説明

放射性廃棄物処分容器、その製造方法及びその容器を用いた放射性廃棄物の封入方法

【課題】放射性廃棄物をより簡易に封入することができる放射性廃棄物処分容器を提供することである。
【解決手段】放射性廃棄物処分容器10は、外表面がチタン材で形成され、有底筒状の容器本体14と、外表面がチタン材で形成され、容器本体14の開口部を塞ぐ蓋体16と、を備え、β変態温度で固相拡散接合させて容器本体14と蓋体16とを封止するために、容器本体14の外周面と蓋体16の外周面とに当てられ、チタン材で形成され、容器本体14と蓋体16とを封止する封止部材18を有し、容器本体14、蓋体16及び封止部材18の各々封止面に、水素を含む水素含有層が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性廃棄物処分容器、その製造方法及びその容器を用いた放射性廃棄物の封入方法に係り、特に、高レベル放射性廃棄物(HLW廃棄物)や長半減期低発熱放射性廃棄物(TRU廃棄物)等の放射性廃棄物を封入する放射性廃棄物処分容器、その製造方法及びその容器を用いた放射性廃棄物の封入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
使用済み燃料の再処理工程で排出されるHLW廃棄物やTRU廃棄物等の放射性廃棄物を深地層中に埋設して地層処分することが検討されている。放射性廃棄物は、金属製の放射性廃棄物処分容器に収納されて深地層中に埋設処分される。例えば、放射性廃棄物は、強度層である炭素鋼の周囲にチタン材を耐食層として設けた複合型の放射性廃棄物処分容器に収納される。そして、放射性廃棄物処分容器は、その周囲に緩衝材(けい砂を含む圧縮ベントナイト等)が設けられてコンクリート内部に設置される。
【0003】
特許文献1には、金属製容器の腐食発生現象の発生そのものを抑制し、地層処分における長期健全性を確保することを可能とする放射性廃棄物処分容器が記載されている。放射性廃棄物処分容器は、有底筒状の容器本体と、容器本体の開口端を閉塞する密封蓋とを備えた金属製容器からなり、金属製容器の外表面には、腐食防止のためにチタン層またはチタン合金層が設けられている。そして、金属製容器内には、HLW廃棄物やTRU廃棄物等の放射性廃棄物が収容され、密封蓋によって密封されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−92466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の放射性廃棄物処分容器では、放射性廃棄物を収容した容器本体と蓋とは、容器本体と蓋との間のシール性を高めるために、お互いの外表面のチタン同士をレーザ溶接加工して密封される。しかし、レーザ溶接加工する場合には、容器本体と蓋との間のルートギャップの許容幅が小さいので、容器本体と蓋との組み付けが複雑になる。更に、放射性廃棄物を容器本体に収容した後に蓋を取り付ける最終封入時には、放射線管理下で封入作業を行うために、放射性廃棄物の封入作業に支障をきたす可能性がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、放射性廃棄物をより簡易に封入することができる放射性廃棄物処分容器、その製造方法及びその容器を用いた放射性廃棄物の封入方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る放射性廃棄物処分容器は、放射性廃棄物が封入される放射性廃棄物処分容器であって、外表面がチタン材で形成され、有底筒状の容器本体と、外表面がチタン材で形成され、前記容器本体の開口部を塞ぐ蓋体と、を備え、前記容器本体と前記蓋体とにβ変態温度で固相拡散接合させて封止するために、前記容器本体の外周面と、前記蓋体の外周面とに当てられ、チタン材で形成される封止部材を有し、前記容器本体、前記蓋体及び前記封止部材の各々封止面に、水素を含む水素含有層が形成されることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る放射性廃棄物処分容器において、前記封止部材は、輪状に形成されることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る放射性廃棄物処分容器において、前記封止部材は、チタン材で形成されたベルトを巻回して形成されることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る放射性廃棄物処分容器において、前記水素含有層の水素含有率は、0at%より大きく39at%以下であることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る放射性廃棄物処分容器において、前記水素含有層の水素含有率は、7at%以上39at%以下であることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る放射性廃棄物処分容器において、前記水素含有層の水素含有率は、7at%以上20at%以下であることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る放射性廃棄物処分容器において、前記容器本体の外表面、前記蓋体の外表面及び前記封止部材の外周面には、チタン水素化物層が形成されることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る放射性廃棄物処分容器の製造方法は、放射性廃棄物が封入される放射性廃棄物処分容器の製造方法であって、外表面がチタン材からなり、有底筒状の容器本体を形成する工程と、外表面がチタン材からなり、前記容器本体の開口部を塞ぐ蓋体を形成する工程と、前記容器本体と前記蓋体とにβ変態温度で固相拡散接合させて封止するために、前記容器本体の外周面と、前記蓋体の外周面とに当てられる封止部材をチタン材で形成する工程と、前記容器本体、前記蓋体及び前記封止部材の各々封止面に、水素を含む水素含有層を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る放射性廃棄物処分容器の製造方法において、前記水素含有層を形成する工程は、前記容器本体、前記蓋体及び前記封止部材を電解液に浸漬させて、前記容器本体、前記蓋体及び前記封止部材を陰極とし、対極を陽極として通電し、前記容器本体、前記蓋体及び前記封止部材の各々封止面に、水素を含む水素含有層を形成することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る放射性廃棄物の封入方法は、放射性廃棄物を放射性廃棄物処分容器へ封入する放射性廃棄物の封入方法であって、前記放射性廃棄物処分容器は、外表面がチタン材で形成され、有底筒状の容器本体と、外表面がチタン材で形成され、前記容器本体の開口部を塞ぐ蓋体と、前記容器本体の外周面と前記蓋体の外周面とに当てられ、チタン材で形成され、前記容器本体と前記蓋体とを封止する封止部材と、を備え、前記容器本体、前記蓋体及び前記封止部材の各々封止面に、水素を含む水素含有層が形成されており、前記容器本体に前記放射性廃棄物を収容して、前記容器本体の開口部を前記蓋体で塞ぐ工程と、前記容器本体の外周面と、前記蓋体の外周面とに前記封止部材を当てて取り付ける工程と、前記封止部材が当てられた部位を加熱加圧して、前記容器本体と前記蓋体とに前記封止部材をβ変態温度で固相拡散接合させる工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
上記構成によれば、放射性廃棄物を収容した容器本体と、蓋体とに封止部材を当てて固相拡散接合により封止できるので、放射性廃棄物をより簡易に封入することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態において、放射性廃棄物処分容器の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態において、放射性廃棄物処分容器の構成を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態において、封止部材が当てられた部位の拡大断面図である。
【図4】本発明の実施の形態において、Ti(チタン)−H(水素)系の2元系状態図である。
【図5】本発明の実施の形態において、放射性廃棄物処分容器の製造方法のフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態において、放射性廃棄物処分容器の分解組立図である。
【図7】本発明の実施の形態において、クラッド鋼シートを用いた胴部の成形方法を示す模式図である。
【図8】本発明の実施の形態において、放射性廃棄物の封入方法を示すフローチャートである。
【図9A】本発明の実施の形態において、容器本体に放射性廃棄物を収容した状態を示す断面図である。
【図9B】本発明の実施の形態において、容器本体の開口部を蓋体で塞いだ状態を示す断面図である。
【図9C】本発明の実施の形態において、封止部材を取り付けた状態を示す断面図である。
【図9D】本発明の実施の形態において、封止部材が当てられた部位を加熱加圧して固相拡散接合している状態を示す断面図である。
【図9E】本発明の実施の形態において、放射性廃棄物処分容器へ放射性廃棄物を封入した状態を示す断面図である。
【図9F】本発明の実施の形態において、固相拡散接合後の封止部材を当てた部位を示す拡大断面図である。
【図10】本発明の他の実施の形態において、放射性廃棄物処分容器の構成を示す側面図である。
【図11A】本発明の別な実施の形態において、放射性廃棄物処分容器の構成を示す断面図である。
【図11B】本発明の別な実施の形態において、鍔部が設けられた部位を示す拡大断面図である。
【図11C】本発明の別な実施の形態において、容器本体と蓋体とを固相拡散接合して封止した状態を示す断面図である。
【図11D】本発明の別な実施の形態において、固相拡散接合後における鍔部が設けられた部位を示す拡大断面図である。
【図12A】本発明の別な実施の形態において、別な構成の蓋体を備えた放射性廃棄物処分容器を示す断面図である。
【図12B】本発明の別な実施の形態において、鍔部が設けられた部位を示す拡大断面図である。
【図12C】本発明の別な実施の形態において、容器本体と蓋体とを固相拡散接合して封止した状態を示す断面図である。
【図12D】本発明の別な実施の形態において、固相拡散接合後における鍔部が設けられた部位を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、放射性廃棄物処分容器10の構成を示す斜視図である。図2は、放射性廃棄物処分容器10の構成を示す断面図である。
【0020】
放射性廃棄物処分容器10は、放射性廃棄物12が収容される有底筒状の容器本体14と、容器本体14の開口部15を塞ぐ蓋体16と、容器本体14と蓋体16とを封止する封止部材18とを備えている。放射性廃棄物処分容器10の大きさは、例えば、外径400mmから700mm、高さ1400mmから2000mmである。
【0021】
容器本体14は、円筒状等に形成された筒状の胴部20と、胴部20の下端に設けられた底部22とを有している。胴部20と底部22とは、炭素鋼等で形成された強度層20a、22aと、強度層20a、22aに設けられており、チタン材で形成された耐食層20b、22bとから構成されている。
【0022】
炭素鋼には、SGV410、SF340A等の炭素鋼が用いられる。チタン材には、工業用純チタン(Ti−Gr.1),Ti−Pd合金(Ti−Gr.17)等が用いられる。強度層20a、22aの厚みは、例えば、15mmから25mmである。耐食層20b、22bの厚みは、例えば、5mmから15mmである。
【0023】
胴部20における強度層20aの下端側には、底部22の強度層22aを嵌合させるための下側嵌合溝24が周方向に沿って形成されている。胴部20における強度層20aの上端側には、蓋体16を嵌合させるための上側嵌合溝26が周方向に沿って形成されている。胴部20の外周面には、放射性廃棄物処分容器10を把持するために、チタン材で形成された複数の把持突起28が設けられている。
【0024】
底部22の強度層22aは、下側嵌合溝24に嵌合させて設けられており、胴部20の強度層20aと溶接等で固着されている。底部22の耐食層22bは、強度層22aを覆うようにして強度層22aの外側に設けられており、胴部20の耐食層20bと溶接等で固着されている。なお、胴部20と底部22とは、上記のように別体として形成されるだけでなく、一体で形成されていてもよい。
【0025】
蓋体16は、炭素鋼等で形成された強度層としての内蓋16aと、内蓋16aを覆い、チタン材で形成された耐食層としての外蓋16bとから構成されている。内蓋16aは、容器本体14の強度層20a、22aを形成する炭素鋼等と同じ材質、同じ厚みで形成されていることが好ましく、外蓋16bは、容器本体14の耐食層20b、22bを形成するチタン材と同じ材質、同じ厚みで形成されていることが好ましい。
【0026】
内蓋16aは、胴部20の上側嵌合溝26に嵌合させて容器本体14に取り付けられる。内蓋16aは、放射性廃棄物の封入時に、溶接等で上側嵌合溝26に固着される。また、内蓋16aは、内蓋16aの外周面と上側嵌合溝26の内周面とのどちらか一方にネジ山を設け、他方にネジ溝を設けて螺合させて取り付けられるようにしてもよい。
【0027】
外蓋16bは、内蓋16aを外側から覆うようにして容器本体14に取り付けられる。外蓋16bは、外蓋16bの周縁が胴部20の外周縁と略同じ位置となるように形成されている。なお、内蓋16aと外蓋16bとは、上記のように別体で形成されるだけでなく、一体として形成されていてもよい。
【0028】
封止部材18は、容器本体14の外周面と、蓋体16の外周面とに当てられ、容器本体14と蓋体16とを封止する機能を有している。封止部材18は、容器本体14の胴部20における封止部材18との当接面と、蓋体16の外蓋16bにおける封止部材18との当接面と、封止部材18の内周面とからなる各々封止面を固相拡散接合して、容器本体14と蓋体16とを封止するために設けられている。
【0029】
封止部材18は、チタン材で輪状(リング状)に形成されている。封止部材18は、容器本体14の耐食層20a、20bや、蓋体16の外蓋16bを形成するチタン材と同じ材質で形成されることが好ましい。例えば、封止部材18の幅は20mmから50mmであり、封止部材18の厚みは5mmから15mmである。封止部材18は、一体で形成されているだけでなく、2分割や3分割等の複数に分割して形成されていてもよい。
【0030】
図3は、封止部材18が当てられた部位の拡大断面図である。容器本体14、蓋体16及び封止部材18における各々封止面には、水素を含む水素含有層30が形成されている。容器本体14の胴部20における封止部材18との当接面と、蓋体16の外蓋16bにおける封止部材18との当接面と、封止部材18の内周面とからなる各々封止面に水素含有層30を形成することにより、チタンのβ変態温度で固相拡散接合するときの拡散接合温度をより低くすることができる。
【0031】
水素含有層30は、チタン水素化合物(TiHやTiH)等から形成されている。容器本体14の胴部20における封止部材18との当接面と、蓋体16の外蓋16bにおける封止部材18との当接面と、封止部材18の内周面とからなる各々封止面には、略同じ膜厚の水素含有層30が形成されていることが好ましい。水素含有層30の厚みは、例えば、50μmから500μmであり、好ましくは100μmから200μmである。
【0032】
図4は、Ti(チタン)−H(水素)系の2元系状態図である。図4に示す状態図の横軸は、水素の原子%(at%)または重量%(wt%)を示しており、縦軸は温度(℃)を示している。純チタンは、室温から882℃の間ではαTi相であり、882℃以上の温度ではβTi相へ変態する。αTi相の結晶構造は稠密六方晶であり、βTi相の結晶構造は体心立方晶である。
【0033】
固相拡散接合を行う場合には、接合強度を高めるために、お互いの接合面をより密着させて接合させることが必要となる。そのため、接合面の結晶構造をαTi相より変形が容易なβTi相にして固相拡散接合することが好ましい。したがって、容器本体14、蓋体16及び封止部材18の固相拡散接合は、β変態温度で加圧して固相拡散接合が行われる。
【0034】
図4に示す状態図から明らかなように、チタンに含まれる水素量が多くなると、β変態温度が低下する。チタンに水素を添加しない場合(水素添加量が0at%の場合)には、β変態温度が882℃であるが、チタンに水素を39at%添加することによりβ変態温度を300℃まで下げることができる。
【0035】
このように、容器本体14、蓋体16及び封止部材18の各々封止面に水素含有層30を形成することにより、水素含有層30が形成されている部位のβ変態温度を水素含有層30が形成されていない基材のβ変態温度より下げることができるので、固相拡散接合をより低い接合温度で行うことができる。
【0036】
水素含有層30の水素含有量は、0at%より大きく、39at%以下であることが好ましい。水素含有量が0at%より大きいのは、上述したように、接合面である封止面のβ変態温度を下げることができるからである。水素含有量が39at%以下であるのは、図4の状態図に示されるように、水素含有量を39at%より多くしてもβ変態温度が300℃よりも低下しないと共に、水素のチャージ時間が長くなり生産性が低下するからである。
【0037】
水素含有層30の水素含有量は、7at%以上39at%以下であることがより好ましい。水素含有層30の水素含有量が7at%以上であるのは、水素含有層30の水素含有量が7at%より少ないとβ変態温度が800℃より高くなるために、炭素鋼等で形成された強度層20a、22a及び内蓋16aの強度が応力除去等で低下する可能性があるからである。また、放射性廃棄物処分容器10に封入される放射性廃棄物12への熱影響を抑える点からも、接合温度であるβ変態温度が800℃以下となるようにすることが好ましいからである。
【0038】
水素含有層30の水素含有量は、7at%以上20at%以下であることが更に好ましい。水素含有層30の水素含有量が20at%以下であるのは、後述するように固相拡散接合の好ましい接合温度は600℃から800℃であるので、β変態温度600℃のときの水素含有量20at%を添加すればよく、水素のチャージ時間をより短縮することができるからである。
【0039】
また、容器本体14の外表面(胴部20の外周面と底部22の外表面)、蓋体16の外表面(外蓋16bの外表面)及び封止部材18の外周面には、チタン水素化物層を形成することが好ましい。予め、容器本体14の外表面、蓋体16の外表面及び封止部材18の外周面にチタン水素化物層を形成しておくことにより、放射性廃棄物処分容器10の埋設後における耐食層であるチタン層の内部に水素化物が拡散及び生成することが抑制され、地層処分における放射性廃棄物処分容器10の長期健全性が確保される。チタン水素化物層は、チタン水素化合物(TiHやTiH)等から形成されている。チタン水素化物層の膜厚は、例えば、20μmから50μmである。
【0040】
次に、放射性廃棄物処分容器10の製造方法について説明する。
【0041】
図5は、放射性廃棄物処分容器10の製造方法のフローチャートである。図6は、放射性廃棄物処分容器10の分解組立図である。
【0042】
容器本体形成工程(S10)は、外表面がチタン材からなり、有底筒状の容器本体14を形成する工程である。出発材料として、炭素鋼シートの表面にチタンシートを貼り合せたクラッド鋼シートを使用する。例えば、炭素鋼シートの厚みは19mmであり、チタンシートの厚みは6mmである。外周面側がチタンシート(内周面側が炭素鋼シート)となるようにクラッド鋼シートを曲げ加工し、クラッド鋼シートの一端縁と他端縁とを溶接して筒状の胴部20を成形する。図7は、クラッド鋼シート31を用いた胴部20の成形方法を示す模式図である。
【0043】
図7(a)に示すように、クラッド鋼シート31の溶接位置のチタンシート31bを除去した後、クラッド鋼シート31を曲げ加工する。そして、炭素鋼シート31aの一端縁と他端縁とをTIG溶接して溶接部32を形成する。クラッド鋼シート31の曲げ加工やTIG溶接には、一般的な金属材料のプレス等による曲げ加工装置やTIG溶接装置が用いられる。
【0044】
次に、図7(b)に示すように、チタンシート31bを除去した部位にチタン材からなるスペーサ34を嵌め込む。そして、図7(c)に示すように、スペーサ34が嵌め込まれた部位に、チタン材で形成された当て板36を当てる。なお、当て板36は、封止部材18が取り付けられる位置を除いて当てられることが好ましい。その後、当て板36の長手方向の両側縁をレーザ溶接で溶接する。レーザ溶接には、一般的な金属材料のレーザ溶接に使用するレーザ溶接装置が用いられる。なお、スペーサ34と当て板36とは、容器本体14や蓋体16に用いられる耐食層のチタン材と同じ材質であることが好ましい。
【0045】
胴部20の長手方向における上端と下端とには、上側嵌合溝26と下側嵌合溝24とが切削加工等で形成される。また、胴部20の外周面には、チタン材で形成された把持突起28がレーザ溶接等で取り付けられる。
【0046】
次に、底部22の強度層22aとなる炭素鋼底板を形成し、底部22の耐食層22bとなるチタン底板を形成する。炭素鋼底板とチタン底板とは、一般的な金属材料の切削加工やプレス加工で形成される。胴部20の下側嵌合溝24に炭素鋼底板を嵌合してTIG溶接等で溶接する。次に、炭素鋼底板の外側にチタン底板を被せて、チタン底板の外周縁と胴部20の外周縁とをレーザ溶接等で溶接する。以上により、容器本体14が形成される。
【0047】
なお、容器本体14は、上記のようにクラッド鋼シート31を用いないで形成することも可能である。例えば、容器本体14は、胴部20の強度層20aと底部22の強度層22aとを炭素鋼ブロックから削り出すことにより一体として形成した後、外表面にチタンシートを貼り合わせて形成されてもよい。
【0048】
蓋体形成工程(S12)は、外表面がチタン材からなり、容器本体14の開口部15を塞ぐ蓋体16を形成する工程である。内蓋16aは、炭素鋼シートから切削加工やプレス加工等で加工して形成される。外蓋16bは、チタンシートから切削加工やプレス加工等で加工して形成される。また、内蓋16aを上側嵌合溝26に螺合して取り付ける場合には、内蓋16aの外周面と、上側嵌合溝26の内周面とにネジ加工が施される。
【0049】
封止部材形成工程(S14)は、容器本体14と蓋体16とを封止する封止部材18を形成する工程である。
【0050】
封止部材18は、例えば、チタンテープ(チタン帯板)の一端と他端とをレーザ溶接等で溶接して輪状(リング状)に形成される。また、封止部材18は、切削加工やプレス加工等により輪状に一体として形成されてもよい。
【0051】
水素含有層形成工程(S16)は、容器本体14、蓋体16及び封止部材18の各々封止面に、水素を含む水素含有層30を形成する工程である。容器本体14の胴部20における封止部材18との当接面と、蓋体16の外蓋16bにおける封止部材18との当接面と、封止部材18の内周面とからなる各々封止面に、水素を含ませた水素含有層30を形成する。
【0052】
チタンに水素を添加する方法には、例えば、陰極チャージ法を用いることができる。次に、陰極チャージ法で水素含有層30を形成する場合について説明する。
【0053】
容器本体14と、蓋体16の外蓋16bと、封止部材18とを電解液を入れた処理槽に入れて電解液に浸漬させる。このとき、容器本体14、蓋体16の外蓋16b及び封止部材18において、水素含有層30を形成しない部位については予め合成樹脂等でマスキングしておくことが好ましい。電解液には、例えば、1%から5%[HSO]の希硫酸水溶液等が用いられる。そして、容器本体14、蓋体16の外蓋16b及び封止部材18を陰極(カソード)とし、白金等からなる対極を陽極(アノード)として、ポテンショガルバノスタット等を用いて通電する。
【0054】
容器本体14、蓋体16及び封止部材18の各々封止面等で発生した水素が各々封止面に入り込み、拡散して水素含有層30が形成される。水素含有層30の厚みと、水素含有層30中の水素含有量とは、電流密度や通電時間を変えることにより制御される。例えば、電流密度は50A/mから2000A/mであり、通電時間は1時間から150時間である。
【0055】
また、容器本体14の外表面、蓋体16の外表面、封止部材18の外周面にチタン水素化物層を形成する場合には、チタン水素化物層と水素含有層30とは略同じチタン水素化物で形成されることから、水素含有層30の形成と同一工程で行うことが生産性向上等の点から好ましい。次に、例えば、100μmの水素含有層30と、20μmのチタン水素化物層を形成する場合について説明する。
【0056】
まず、容器本体14の胴部20における封止部材18との当接面と、蓋体16の外蓋16bにおける封止部材18との当接面と、封止部材18の内周面とからなる各々封止面を除いて、その他の部位を合成樹脂等でマスキングする。容器本体14、外蓋16b及び封止部材18を電解液に浸漬させて通電し、各々封止面に水素含有層30を80μm形成する。
【0057】
次に、容器本体14の外表面、蓋体16の外蓋16bの外表面、封止部材18の外周面のマスキングを除去して、チタン水素化物層を形成する部位を露出させる。再び、容器本体14、外蓋16b及び封止部材18を電解液に浸漬させて通電し、更に、各々封止面に20μmの水素含有層30を形成し、容器本体14の外表面、蓋体16の外蓋16bの外表面、封止部材18の外周面に20μmのチタン水素化物層を形成する。そして、処理槽から容器本体14、外蓋16b及び封止部材18を取り出し、残りのマスキングを除去する。
【0058】
この方法により水素含有層30とチタン水素化物層とを同一工程で形成することにより、放射性廃棄物処分容器10の生産性が向上する。更に、チタン水素化物層を形成した後に、チタン水素化物層に合成樹脂等のマスキングをする必要がないので、チタン水素化物層の剥離が防止される。以上により、放射性廃棄物処分容器10の製造が完了する。
【0059】
次に、放射性廃棄物処分容器10へ放射性廃棄物12を封入する方法について説明する。図8は、放射性廃棄物12の封入方法を示すフローチャートである。
【0060】
放射性廃棄物収容工程(S20)は、容器本体14に放射性廃棄物12を収容して、容器本体14の開口部15を蓋体16で塞ぐ工程である。図9Aは、容器本体14に放射性廃棄物12を収容した状態を示す断面図である。放射性廃棄物12は、容器本体14の開口部15から入れられて収容される。
【0061】
容器本体14に放射性廃棄物12を収容した後、容器本体14の開口部15を蓋体16で塞ぐ。図9Bは、容器本体14の開口部15を蓋体16で塞いだ状態を示す断面図である。まず、蓋体16の内蓋16aを上側嵌合溝26に嵌合させて、内蓋16aと、胴部20の強度層20aとをTIG溶接等で溶接する。また、内蓋16aと上側嵌合溝26とを螺合する場合には、例えば、内蓋16aを回しながら上側嵌合溝26に取り付ける。そして、内蓋16aで塞がれた容器本体14の上端面に外蓋16bを被せる。
【0062】
封止部材取付工程(S22)は、容器本体14の外周面と、蓋体16の外周面とに封止部材18を当てて取り付ける工程である。図9Cは、封止部材18を取り付けた状態を示す断面図である。封止部材18は、容器本体14における胴部20の外周面と、蓋体16の外蓋16bの外周面とに当てられて、胴部20と外蓋16bとを挟むようにして取り付けられる。なお、容器本体14の胴部20には、封止部材18の位置決めを容易に行うために、周方向に沿って複数の位置決め突起を設けることが好ましい。
【0063】
また、次工程の固相拡散接合工程(S24)では、接合面を所定圧力で加圧した状態で固相拡散接合するため、封止部材18は、加圧治具等(図示せず)で封止部材18の外側から所定圧力で押圧された状態で取り付けられる。なお、加圧治具を用いないで、焼き嵌めや冷やし嵌め等により封止部材18を取り付けて、封止部材18により胴部20の外周面と外蓋16bの外周面とを所定圧力で押圧するようにしてもよい。所定圧力は、後述するように、5MPaから10MPaである。
【0064】
固相拡散接合工程(S24)は、封止部材18で当てられた部位を加熱加圧して、容器本体14と蓋体16とに封止部材18をβ変態温度で固相拡散接合する工程である。図9Dは、封止部材18が当てられた部位を加熱加圧して固相拡散接合している状態を示す断面図である。
【0065】
封止部材18で当てられた部位は、真空中または不活性雰囲気中で加熱加圧して固相拡散接合される。加熱装置40には、一般的な真空炉や雰囲気炉等を用いることができる。なお、放射性廃棄物12の熱影響を抑制するために、ヒータ42は、封止部材18で当てられた部位を局所的に加熱可能な位置に設けられることが好ましい。また、熱間等方圧加圧装置(HIP装置)を用いることにより、前工程の封止部材取付工程(S22)における加圧治具による押圧作業、または焼き嵌めや冷やし嵌め等の作業を省略することができる。
【0066】
封止部材18で当てられた部位の加熱温度は、600℃以上800℃以下であることが好ましい。加熱温度が600℃以上であるのは、次の理由により接合強度をより大きくすることができるからである。チタン材の表面には酸化被膜が形成されているが、チタンは酸素を多く固溶することができるので、真空中等で600℃以上に加熱すると酸化被膜を構成する酸素がチタン母材中に溶解する。それにより、封止面である接合面に形成されていた酸化被膜が低減し、接合面を清浄にすることができるので接合強度をより大きくすることができる。また、チタンの拡散速度の点からも、加熱温度が600℃以上であることが好ましい。
【0067】
加熱温度が800℃以下であるのは、上述したように、炭素鋼等で形成された強度層20a、22a及び内蓋16aの強度が応力除去等で低下する可能性があるからである。また、放射性廃棄物処分容器10に封入される放射性廃棄物12への熱影響を抑える点からも、800℃以下となるようにすることが好ましいからである。
【0068】
なお、封止部材18で当てられた部位の加圧条件は、例えば、加圧力5MPaから10MPaであり、保持時間は、例えば、0.6ksから1.8ksである。
【0069】
図9Eは、放射性廃棄物処分容器10へ放射性廃棄物12を封入した状態を示す断面図である。図9Fは、固相拡散接合後の封止部材18を当てた部位を示す拡大断面図である。容器本体14と封止部材18との接合面と、蓋体16と封止部材18との接合面とに固相拡散接合層44が形成されており、容器本体14と蓋体16とが封止されている。以上により、放射性廃棄物処分容器10への放射性廃棄物12の封入が完了する。
【0070】
以上、上記構成によれば、放射性廃棄物を収容した容器本体と、蓋体とに封止部材を当ててβ変態温度で固相拡散接合させて封止できるので、レーザ溶接のように容器本体と蓋体との複雑な組み付け作業が必要なく、放射性廃棄物をより簡易に封入することが可能となる。また、容器本体、蓋体及び封止部材の各々封止面に、水素を含む水素含有層が形成されていることから、更に低いβ変態温度で固相拡散接合させて封止できるので、放射性廃棄物処分容器に封入される放射性廃棄物の熱影響等を抑制することができる。
【0071】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0072】
図10は、放射性廃棄物処分容器50の構成を示す側面図である。放射性廃棄物処分容器50は、上記の放射性廃棄物処分容器10と封止部材の構成が相違している。なお、同様の構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0073】
封止部材は、チタン製のベルト52を巻回して形成される。ベルト52は、例えば、上述した封止部材18と同じ材質のチタン材で形成される。例えば、ベルト52の幅は20mmから50mmであり、ベルト52の厚みは5mmから15mmである。
【0074】
そして、容器本体14の胴部20におけるベルト52との当接面と、蓋体16の外蓋16bにおけるベルト52との当接面と、ベルト52の内周面とからなる各々封止面には、上述した陰極チャージ法等により水素を含む水素含有層30が形成されている。
【0075】
固相拡散接合時には、容器本体14と蓋体16とに巻回されたベルト52の一端と他端とに引張荷重を負荷することにより、容器本体14の胴部20におけるベルト52との当接面と、蓋体16の外蓋16bにおけるベルト52との当接面とをベルト52により押圧して、上述した固相拡散接合時の加圧力5MPaから10MPaが付与されるように調節される。そして、容器本体14、蓋体16及びベルト52の各々封止面である接合面に上記加圧力が負荷された状態でβ変態温度で加熱することにより固相拡散接合されて、容器本体14と蓋体16とがベルト52により封止される。
【0076】
次に、本発明の別な実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0077】
図11Aは、放射性廃棄物処分容器60の構成を示す断面図である。放射性廃棄物処分容器60は、上記の放射性廃棄物処分容器10と封止部材の構成が相違している。なお、同様の構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0078】
放射性廃棄物処分容器60は、放射性廃棄物12を収容する容器本体14と、容器本体14の開口部15を塞ぐ蓋体62とを備えている。蓋体62は、炭素鋼等で形成された内蓋16aと、チタン材で形成された外蓋16bとを有している。蓋体62は、外蓋16bの周縁に突出させて設けられており、容器本体14の胴部20と嵌合する鍔部64を有している。
【0079】
鍔部64は、チタン材で形成されており、容器本体14と蓋体62とを封止するための封止部材としての機能を有している。鍔部64は、外蓋16bと一体として形成されてもよいし、外蓋16bと別体として形成され、外蓋16bの周縁にレーザ溶接等で溶接してもよい。例えば、鍔部64の高さは25mmから50mmであり、鍔部64の厚みは5mmから15mmである。
【0080】
図11Bは、鍔部64が設けられた部位を示す拡大断面図である。容器本体14の胴部20における鍔部64との当接面と、鍔部64の内周面とは、上述した陰極チャージ法等により水素含有層30が形成されており、封止面としての機能を有している。
【0081】
固相拡散接合時には、容器本体14に蓋体62を被せた後、HIP装置等によりβ変態温度で加熱加圧して容器本体14と蓋体62とを固相拡散接合する。図11Cは、容器本体14と蓋体62とを固相拡散接合して封止した状態を示す断面図である。図11Dは、固相拡散接合後における鍔部64が設けられた部位を示す拡大断面図である。胴部20の外周面と、鍔部64の内周面との間には固相拡散接合層44が形成されて、容器本体14と蓋体62とが封止される。
【0082】
また、図12Aは、別な構成の蓋体72を備えた放射性廃棄物処分容器70を示す断面図である。蓋体72は、図11Aに示す蓋体62と鍔部の構成が相違している。蓋体72の鍔部74には、その先端から周方向に沿って切り込まれた切り込み溝が形成されている。また、胴部20の上端側には、切り込み溝が形成された鍔部74を嵌合させるために、周方向に沿って耐食層20bを切り欠いた切り欠き部が形成されている。なお、胴部20の耐食層20bの厚みは、例えば、7mmである。
【0083】
例えば、鍔部74の高さは25mmから50mmであり、鍔部74の厚みは10mmから20mmである。また、切り込み溝の溝幅は、胴部20の耐食層20bを切り込み溝に嵌合させるために、胴部20の耐食層20bの厚みと同じ溝幅か若しくはそれ以上の溝幅で形成される。切り込み溝の溝幅は、胴部20の耐食層20bの厚みと同じ溝幅であることが好ましく、胴部20の耐食層20bの厚みが7mmの場合は、切り込み溝の溝幅は7mmである。切り込み溝の深さは、例えば、20mmである。鍔部74は、例えば、外蓋16bの周縁に、切り込み溝が設けられたチタン製の帯板をレーザ溶接等で溶接して形成される。勿論、外蓋16bと鍔部74とは、チタンブロック等から削り出して一体として形成されていてもよい。
【0084】
図12Bは、鍔部74が設けられた部位を示す拡大断面図である。容器本体14の胴部20における鍔部74の切り込み溝との当接面と、鍔部74における切り込み溝の内周面とは、上述した陰極チャージ法等により形成された水素含有層30を備えており、封止面としての機能を有している。
【0085】
固相拡散接合時では、容器本体14に蓋体72を被せた後、HIP装置等によりβ変態温度で加熱加圧して、容器本体14の胴部20における鍔部74の切り込み溝との当接面と、鍔部74における切り込み溝の内周面とを固相拡散接合する。また、加熱前にチタン材の降伏応力以上破断応力以下の圧力で加圧してチタン材を塑性変形させることにより、容器本体14の胴部20における鍔部74の切り込み溝との当接面と、鍔部74における切り込み溝の内周面とをより密着させることが好ましい。チタン材に工業用純チタンTi−Gr.1を使用した場合には、降伏応力以上破断応力以下の圧力は、例えば、300MPaである。次に、チタンのβ変態温度で加熱加圧して、容器本体14と外蓋との当接面を固相拡散接合する。加熱時は、例えば、5MPaから100MPaで加圧される。
【0086】
図12Cは、容器本体14と蓋体72とを固相拡散接合して封止した状態を示す断面図である。図12Dは、固相拡散接合後における鍔部74が設けられた部位を示す拡大断面図である。胴部20の外周面と、鍔部64における切り込み溝の内周面との間には固相拡散接合層44が形成されて、容器本体14と蓋体72とが封止される。
【符号の説明】
【0087】
10、50、60、70 放射性廃棄物処分容器、12 放射性廃棄物、14 容器本体、15 開口部、16、62、72 蓋体、18 封止部材、20 胴部、22 底部、24 上側嵌合溝、26 下側嵌合溝、28 把持突起、30 水素含有層、31 クラッド鋼シート、32 溶接部、34 スペーサ、36 当て板、40 加熱装置、42 ヒータ、44 固相拡散接合層、52 ベルト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性廃棄物が封入される放射性廃棄物処分容器であって、
外表面がチタン材で形成され、有底筒状の容器本体と、
外表面がチタン材で形成され、前記容器本体の開口部を塞ぐ蓋体と、
を備え、
前記容器本体と前記蓋体とにβ変態温度で固相拡散接合させて封止するために、前記容器本体の外周面と、前記蓋体の外周面とに当てられ、チタン材で形成される封止部材を有し、
前記容器本体、前記蓋体及び前記封止部材の各々封止面に、水素を含む水素含有層が形成されることを特徴とする放射性廃棄物処分容器。
【請求項2】
請求項1に記載の放射性廃棄物処分容器であって、
前記封止部材は、輪状に形成されることを特徴とする放射性廃棄物処分容器。
【請求項3】
請求項1に記載の放射性廃棄物処分容器であって、
前記封止部材は、チタン材で形成されたベルトを巻回して形成されることを特徴とする放射性廃棄物処分容器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の放射性廃棄物処分容器であって、
前記水素含有層の水素含有率は、0at%より大きく39at%以下であることを特徴とする放射性廃棄物処分容器。
【請求項5】
請求項4に記載の放射性廃棄物処分容器であって、
前記水素含有層の水素含有率は、7at%以上39at%以下であることを特徴とする放射性廃棄物処分容器。
【請求項6】
請求項5に記載の放射性廃棄物処分容器であって、
前記水素含有層の水素含有率は、7at%以上20at%以下であることを特徴とする放射性廃棄物処分容器。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載の放射性廃棄物処分容器であって、
前記容器本体の外表面、前記蓋体の外表面及び前記封止部材の外周面には、チタン水素化物層が形成されることを特徴とする放射性廃棄物処分容器。
【請求項8】
放射性廃棄物が封入される放射性廃棄物処分容器の製造方法であって、
外表面がチタン材からなり、有底筒状の容器本体を形成する工程と、
外表面がチタン材からなり、前記容器本体の開口部を塞ぐ蓋体を形成する工程と、
前記容器本体と前記蓋体とにβ変態温度で固相拡散接合させて封止するために、前記容器本体の外周面と、前記蓋体の外周面とに当てられる封止部材をチタン材で形成する工程と、
前記容器本体、前記蓋体及び前記封止部材の各々封止面に、水素を含む水素含有層を形成する工程と、
を備えることを特徴とする放射性廃棄物処分容器の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の放射性廃棄物処分容器の製造方法であって、
前記水素含有層を形成する工程は、前記容器本体、前記蓋体及び前記封止部材を電解液に浸漬させて、前記容器本体、前記蓋体及び前記封止部材を陰極とし、対極を陽極として通電し、前記容器本体、前記蓋体及び前記封止部材の各々封止面に、水素を含む水素含有層を形成することを特徴とする放射性廃棄物処分容器の製造方法。
【請求項10】
放射性廃棄物を放射性廃棄物処分容器へ封入する放射性廃棄物の封入方法であって、
前記放射性廃棄物処分容器は、外表面がチタン材で形成され、有底筒状の容器本体と、外表面がチタン材で形成され、前記容器本体の開口部を塞ぐ蓋体と、前記容器本体の外周面と、前記蓋体の外周面とに当てられ、チタン材で形成され、前記容器本体と前記蓋体とを封止する封止部材と、を備え、前記容器本体、前記蓋体及び前記封止部材の各々封止面に、水素を含む水素含有層が形成されており、
前記容器本体に前記放射性廃棄物を収容して、前記容器本体の開口部を前記蓋体で塞ぐ工程と、
前記容器本体の外周面と、前記蓋体の外周面とに前記封止部材を当てて取り付ける工程と、
前記封止部材が当てられた部位を加熱加圧して、前記容器本体と前記蓋体とに前記封止部材をβ変態温度で固相拡散接合させる工程と、
を備えることを特徴とする放射性廃棄物の封入方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図9F】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【公開番号】特開2013−7711(P2013−7711A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141901(P2011−141901)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)