説明

放射性廃棄物搬送容器機構

【課題】 重量のある放射性廃棄物を収納容器を用いて汚染の管理を必要とする区域から搬出するときに、収納容器の外表面を汚染させず、汚染拭き取り検査の対象を限定することにより、拭き取り作業や汚染検査作業にかかる時間を短縮し、搬出作業を合理化する機構を提供する。
【解決手段】 汚染区域1の床面11に仕切り板13で開口を開閉可能に塞いだ廃棄物投入孔12を設け、容器蓋51を着脱可能に取り付けた搬送容器5と、合体した仕切り板13と容器蓋51を吊り下げて昇降させる吊下装置と、廃棄物投入孔12の下に位置して搬送容器5を鉛直方向に移動可能に載置する昇降台41を備え、仕切り板13の下面と容器蓋51の外表面を合わせて気密に固定したものを搬送容器5から脱着し、容器内に廃棄物を収納して搬出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電所の解体などで発生する大型の放射性廃棄物を汚染管理区域から搬出するときに使用する放射性廃棄物搬送容器のシール機構に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所などの原子力施設では、放射線被曝を的確に制御するため、また、放射性物質による汚染の拡大を防止するため、汚染のおそれのない区域(A区域)と汚染管理区域とに分けて管理されており、さらに、汚染管理区域は汚染の拡がりを防止する区域(B区域)と汚染の管理を必要とする区域(C区域、D区域)とに分けて管理されている。
【0003】
C区域、D区域などの汚染の管理を必要とする区域で発生した解体片などの放射性廃棄物を汚染のないA区域まで搬出するときは、容器に収納して行うことが一般的である。従来は、容器をC区域またはD区域に持ち込んで廃棄物を収納した後、容器全面について汚染拭き取り検査を行い、表面汚染密度が基準値以下であることを確認した上でB区域に搬出し、B区域でさらに容器全面の汚染拭き取り検査を行い、表面汚染密度が基準値以下であることを確認した上でA区域に搬出していた。
この汚染拭き取り検査は手間と時間の必要な作業であるため、搬出作業を合理化する上で検査面積を小さくすることが求められてきた。
【0004】
特許文献1には、比較的軽量の放射性廃棄物を処理室内から搬出する機構が記載されている。図13は、記載された機構における収納容器の蓋の扱いを説明した工程図である。記載の機構は容器を汚染処理室に持ち込まずに放射性廃棄物を収納するようにしたもので、まずOリングにより缶蓋を気密に取り付けた缶を、処理室の投棄口の外側に形成された装着部にロック機構により気密に装着する。このとき、缶蓋は投棄口のロック機構により投棄口の蓋に気密に連結される。次いで、処理室内側から蓋を引き上げると、缶蓋はOリングから解放され蓋と一体に持ち上がるので、放射性廃棄物を缶内に投入する。その後、一体となった缶蓋と蓋を降ろし、缶蓋をOリングにより缶に装着し、蓋を廃棄口に装着する。次いで、ロック機構を解除し缶蓋の付いた缶を装着部から外して、搬出する。これにより、放射性廃棄物は缶内に密閉収容され外部に搬出される。
【0005】
記載された機構では、缶の表面は汚染されないので、汚染拭き取り検査が簡便になり、搬出作業の合理化が可能である。
しかし、汚染の拡大防止はOリングの健全性に依存するため、原子力発電所の解体片など、重量のある放射性廃棄物を取り扱う場合には、確実に汚染を防止することが難しい場合がある。また、缶の構造やロック機構なども、重量物を扱うときには破損のおそれがある。
【特許文献1】特開平6−1382996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、大型かつ大重量の放射性廃棄物を収納容器を用いて汚染の管理を必要とする区域から搬出するときに、収納容器の外表面を汚染させず、汚染拭き取り検査の対象を限定することにより、拭き取り作業や汚染検査作業にかかる時間を短縮し、搬出作業を合理化することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の放射性廃棄物搬送容器機構は、汚染の管理を必要とする区域の床面に仕切り板で開口を開閉可能に塞いだ廃棄物投入孔を設け、容器蓋を着脱可能に取り付けた搬送容器と、合体した仕切り板と容器蓋を吊り下げて昇降させる吊下装置と、廃棄物投入孔の下に位置して搬送容器を鉛直方向に移動可能に載置する昇降台を備え、仕切り板の下面と容器蓋の外表面を合わせて気密に固定する機構を備えることを特徴とする。
【0008】
搬送容器を昇降台に載置して上昇させ廃棄物投入孔に対して気密に当接させて、仕切り板と容器蓋を気密に結合して汚染の管理を必要とする区域側に吊り上げて廃棄物投入孔を開口させ、放射性廃棄物を搬送容器に収納した後に仕切り板と容器蓋を吊り下げて搬送容器を封止し、仕切り板と容器蓋を分離して仕切り板で廃棄物投入孔を塞いだ後に、搬送容器を廃棄物投入孔から外して搬出する。
【0009】
本発明の放射性廃棄物搬送容器機構によれば、廃棄物投入孔は放射性廃棄物を搬出するとき以外は仕切り板で塞がれており、搬出時には搬送容器で気密に塞がれているので、汚染の管理を必要とする区域の外に汚染が広がる心配がない。また、搬送容器は汚染の管理を必要とする区域に持ち込まないためその表面が汚染される心配がない。さらに、合体した仕切り板と容器蓋を吊下装置により吊り下げて汚染の管理を必要とする区域に持ち込むときにも、容器蓋の外表面と仕切り板の下表面は汚染の管理を必要とする区域の外で気密に合わせられたものなので、容器蓋の外表面と仕切り板の下表面が汚染されることはない。
このため、搬送容器の外表面の拭き取り作業や汚染検査作業を簡約化して搬出作業を合理化することができる。
【0010】
なお、昇降台に載置した搬送容器を廃棄物投入孔に押し付けて気密を維持するため、昇降台に精密な高さ調節ができるボールねじ式リフト機構を備えることができる。また、搬送容器の縁と廃棄物投入孔の縁が当接するところにゴムパッキンを備えて確実にシールするようにすることが好ましい。さらに、昇降台にはレーザ式距離計などの非接触式変位計と、その測定値に基づいて昇降装置を調整する機構を備えることが好ましい。搬送容器に収納される重量物の多寡によって容器が浮き沈みすると汚染の管理を必要とする区域との気密が破れるおそれがあるので、微少な変位を検出してこれを相殺するように昇降台の位置を調整することが好ましいからである。
また、昇降台は台車に取り付けられて水平方向に移動ができるようにすると、搬送容器の搬出搬入に便利である。
【0011】
仕切り板の下面と容器蓋の外表面を合わせて気密に固定する機構は、ボルトナットにより構成されるものであってよい。特に、仕切り板にボルト孔を設けボルトを上面から差し込んで、容器蓋の外表面側に設けたナットでこのボルトを受けて、仕切り板と容器蓋を固定するようにすることが好ましい。ボルト孔には常時ボルトをセットしておくことにより、仕切り板で廃棄物投入孔を塞ぐときに汚染の管理を必要とする区域を気密に保持して、汚染の拡大を防ぐ。また、ナットの孔は容器蓋を貫通しないようにして、蓋を閉めたときに搬送容器が気密を維持できるようにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
図1から図8は、本発明の1実施例に係る放射性廃棄物搬送容器機構における工程を表す図面、図9から図11は本実施例の蓋部分の構造を説明する図面、図12は別の実施例における蓋構造を説明する断面図、図13は従来技術における放射性廃棄物搬送容器の使用方法を説明する図面である。
【0013】
本実施例の放射性廃棄物搬送容器機構は、汚染の管理を必要とする区域(C区域)において解体した放射性廃棄物を搬送容器に収納し、汚染の拡がりを防止する区域(B区域)を介して、非汚染区域(A区域)に搬出するもので、搬送容器をC区域とB区域の境界に気密にセットして放射性廃棄物を投入し、汚染がB区域側に拡大しないように封止して搬出することを特徴とする。
【0014】
図1は、搬送容器をC区域の床下に取り込む前の状態を表す図面である。
C区域1の床下にB区域2を設定し、仕切りとなる仕切り床11に開口を設けて廃棄物投入孔12とする。常時は廃棄物投入孔12に仕切り板13を気密に取り付けることにより、C区域を他の区域から隔離している。また、B区域2の側壁には仕切り扉21を設けてA区域3と仕切っている。
放射性廃棄物を収納する搬送容器5は、容器を気密に封止する容器蓋51を備える。
【0015】
搬送容器5は搬送台車4に搭載されて、仕切り扉21からB区域2に持ち込まれ、廃棄物投入孔12の下に配置される。搬送台車4がB区域2に入ったらできるだけ速やかに仕切り扉21を閉めて汚染拡大を防止する。
搬送台車4は搬送容器5を搭載して昇降させる昇降台41を備える。昇降台41を昇降させる機構は、図2以降に表わされるような交差するビームの交差角により高さを調節する大ストローク用のリンク式昇降機44に加えて、微調整ができるボールねじ式リフト機構42を併用する。
さらに、レーザ式変位計などの非接触式変位計43を備えて、昇降台41の高さを常に測定して、目標値からずれたときにはボールねじ式リフト機構42を駆動して搬送容器5の高さを調整するようになっている。
【0016】
図9は、搬送容器5と廃棄物投入孔12の係合部分の構成例を拡大して示した断面図である。図9に示した例では、搬送容器5の容器本体52の上縁にはフランジ53が設けられ、フランジ上面にはゴムパッキン54が当てられている。また、フランジ53の内側にゴムパッキンを貼付した鍔55が設けられて、この鍔55に容器蓋51を載せてボルト56で固定したときに容器内部を気密に維持するようになっている。
【0017】
また、C区域の仕切り床11に設けられた廃棄物投入孔12には、鍔を有する仕切り板13が嵌合して、鍔のところでボルト14により固定されていて、C区域とB区域の間の気通を遮断している。なお、仕切り板13には貫通するボルト孔15が設けられ、長ボルト16が挿入されている。なお、長ボルト16を挿入したときにボルト孔15が気密に封止してC区域を遮蔽することが好ましい。
容器蓋51の上面にはねじ孔57が設けられていて、長ボルト16の先端が螺入されるようになっている。なお、ねじ孔57は容器蓋51を貫通しないように形成され、搬送容器5に蓋をしたときに容器を密封できるようになっている。
【0018】
図2は、搬送容器5をC区域1の廃棄物投入孔12の下に配設した状態を表す図面である。
搬送容器5を搭載した搬送台車4をB区域2に搬入して、B区域内で搬送容器5の容器蓋51を固定していたボルト56を外す。次に、搬送容器5を廃棄物投入孔12の下に移動し、リンク式昇降機44により昇降台41を持ち上げて搬送容器5のフランジ53が、廃棄物投入孔12の縁に設けられた容器位置決めガイド17に案内されて、廃棄物投入孔12の縁に当たり、ゴムパッキン54によりシールして、C区域1の空気がB区域2に漏れないようにする。
なお、ガイドは搬送容器5の方に設けて、廃棄物投入孔12の内壁とガイドの外側が係合するようにしてもよい。
【0019】
さらに、C区域側から仕切り板13の長ボルト16を容器蓋51のねじ孔57に螺入して仕切り板13と容器蓋51を一体化し、また、仕切り板13を仕切り床11に止めていたボルト14を外す。
図10は、このときの搬送容器5と廃棄物投入孔12の係合部分を拡大して示した断面図である。
長ボルト16の先端が容器蓋51の厚みの途中まで達して、仕切り板13と容器蓋51を接合している。容器蓋51と搬送容器本体52を結合するボルトは取り外され、また仕切り板13をC区域の仕切り床11に固定するボルトも取り外されている。
【0020】
図3および図11は、一体化した仕切り板13と容器蓋51を吊り上げた状態を示す図面である。
一体化した仕切り板13と容器蓋51はクレーンなどで吊り上げられて廃棄物投入孔12から持ち上がり、C区域1の適当な位置に運ばれ、そこに仮置きされる。搬送容器5の内部は廃棄物投入孔12を通してC区域1に解放される。
合体させた仕切り板13と容器蓋51はC区域1の雰囲気に暴露されるので、その表面が放射性物質に汚染される可能性があるが、仕切り板13と容器蓋51の接合面は密閉されているので汚染されない。
【0021】
図4は、放射性廃棄物を搬送容器5に収納する状態を示す図面である。
放射性廃棄物6は、クレーンなどで搬送容器5内に吊り下ろされる。
原子力装置の解体などで発生する大型の廃棄物は重量が数トンに及ぶものもあり、これに対応するためには、搬送容器5も数m3程度の容積を持った大型のものを使用する必要がある。
【0022】
このような大型の放射性廃棄物6を搬送容器5に収納すると、搬送容器5は重みにより沈み込んで、廃棄物投入孔12の縁とゴムパッキン54の間のシールが緩み、C区域1の空気がB区域2に漏れるおそれがある。
これに対して、本実施例の昇降台41には、レーザ式変位計などの非接触式変位計43と台の高さを微調整できるボールねじ式リフト機構42が設けられていて、昇降台41の高さを常に測定しており、測定値が目標値からずれてシールが解けそうになったときにはボールねじ式リフト機構42を駆動して搬送容器5の高さを調整することによりシールを確保するようになっている。
【0023】
図5は、放射性廃棄物6を搬送容器5に収納した後に一体化した仕切り板13と容器蓋51を再び廃棄物投入孔12に吊り下ろした状態を示す図面である。
クレーンなどを使って、仕切り板13と容器蓋51の一体化物を仮置きした場所で吊り上げ、廃棄物投入孔12の上まで移動してきて、孔に吊り下ろす。
次いで、C区域1内の仕切り板13の上面側から、長ボルト16を緩めて容器蓋51を分離して搬送容器5に預ける。また、仕切り板13の鍔をボルト14で仕切り床11に固定する。
廃棄物投入孔12は密封され、C区域1とB区域2は気密に遮断されて汚染の拡大が防止される。これにより搬送容器5のフランジ53と廃棄物投入孔12の縁の間の気密は不要になるので、昇降台41の高さ調整を停止する。
【0024】
図6は、搬送容器5を廃棄物投入孔12から切り離した状態を表す図面である。
リンク式昇降機44により昇降台41を下降させて、搬送容器5をC区域1の仕切り床11の下面から切り離す。
容器蓋51は搬送容器5の開口に付いたまま降下する。
【0025】
図7は、搬送容器5を拭き取り検査する状態を表す図面である。
搬送容器5をC区域1の床下から切り離した後に、B区域2内で搬送容器5の表面を拭き取り検査して、汚染のないA区域3に引き出せないほどの汚染がないことを確認する。搬送容器5の表面は、原則としてC区域に露呈されていないので、C区域の雰囲気に接触した可能性があるフランジ53の合わせ部分や容器蓋51の周辺部などを重点的に検査すればよい。
検査に合格したら、ボルト56で容器蓋51を搬送容器5にしっかりと固定する。
【0026】
図8は、搬送容器5をA区域3に搬出した状態を表す図面である。
拭き取り検査により安全を確認し容器蓋51を固定して汚染の拡大を防止した後に、仕切り扉21を開けて搬送容器5を搭載した搬送台車4をA区域3に引き出し、仕切り扉21を閉じて、任意の処理場所に搬送する。
なお、昇降台41は廃棄物投入孔12の下に設備され、台車4で運ばれた搬送容器5を移して鉛直方向に駆動するものであってもよい。
【0027】
図12は別の態様の容器蓋と仕切り板を示す断面図である。
搬送容器の側板71の上端に容器梁72が設けられ、容器梁72の内側に容器蓋73が掛けられる。容器蓋73の端部は容器梁72に懸かるフランジが設けられ、ボルトでフランジを容器梁72に止めて容器内を密封する。
容器蓋73の上面には仕切り板82と合わすためのナット74が適当数設けられている。ナット74のネジ孔は容器蓋73を貫通しないようにして、搬送容器の気密を維持できるようにする。
【0028】
C区域の床面に仕切り架台梁81が四角く巡らされて、廃棄物を搬送容器に投入するための方形の廃棄物投入孔が設けられている。
廃棄物投入孔には周囲に鍔を有する仕切り板82が嵌め込まれて、鍔の部分でボルト85で架台梁81に固定され、C区域を密封して安全を確保する。
仕切り板82は面積が大きいので、適当な数の補強材83が装着されている。また、容器蓋73のナット74に対応する位置にボルト孔84が設けられていて、ボルト86をナット74に螺合させることにより仕切り板82と容器蓋73を結合することができる。
【0029】
容器蓋73と仕切り板82を用いるときは、搬送容器をB区域に持ち込んで容器蓋73のボルト75を外し、搬送容器を持ち上げ、容器梁72の上面が仕切り架台梁81の下面に当接させて気密を確保した後に、ボルト86で仕切り板82と容器蓋73を縫い付けて一体化し、鍔を固定するボルト85を抜いて動かせるようにする。
その後、仕切り板82と容器蓋73の一体化物をクレーンで吊って適当な場所に移動し仮置きする。こうして解放された廃棄物投入孔の開口から、廃棄物を搬送容器内に吊り下ろして収納する。
重量物を収納すると搬送容器が沈もうとするので、沈み具合を変位計で測定してボールネジ式リフト機構で相殺し、C区域とB区域の間の気密を確保する。
【0030】
廃棄物を収納した後、仕切り板82と容器蓋73の一体化物をクレーンで吊って来て、廃棄物投入孔に吊り下ろし、ボルト86を抜いて仕切り板82と容器蓋73を離し、仕切り板82を仕切り架台梁81に固定してC区域をシールする。
搬送容器を下降させると、容器蓋73は容器梁72に付いて下がるので、ボルト75で鍔を容器梁72に固定して容器内を気密にする。
その後、容器表面、特に容器蓋73の周縁部を拭き取り検査して汚染がないことを確認した上で、A区域に引き出す。
【0031】
本発明の放射性廃棄物搬送容器機構によれば、搬送容器をC区域に持ち込まずに廃棄物投入孔に開口を合わせて内部をC区域に解放し、C区域の放射性廃棄物を容器内に収納するため、容器本体の外表面が汚染されない。
また、容器蓋の表面は仕切り板の下面で覆って一体化したものとしてC区域に取り込むため、容器蓋の表面側汚染も少ない。
したがって、放射性廃棄物を収納した搬送容器について拭き取り検査の対象となるのは容器蓋部分だけであって、対象面積が顕著に減少する。
【0032】
このため、搬送容器をC区域に持ち込んで廃棄物を収納しA区域に搬出する従来の方法では、容器の搬入搬出を含めた処理時間が105分程度かかると想定されるのに対して、本実施例の方法により検査対象面積を減少させることができたときには55分程度にほぼ半減すると算定される。
なお、本発明の機構を利用すると、B区域における汚染検査も、C区域に接触した可能性があるフランジ接触面や容器蓋周辺部などの汚染の可能性が高い部分を重点的に検査することで足りるから、処理時間はさらに短縮することができる。
【0033】
また、管理区域に搬送容器を持ち込むたびに養生シートを取り付けて作業し管理区域での作業が終了すると養生シートを取り外して容器を持ち出す方法も利用されてきた。この従来方法では、養生シートが2次廃棄物になるので、この処分が問題となる。
本実施例の方法では、このような2次廃棄物が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の放射性廃棄物搬送容器機構における1実施例に係る搬送容器をC区域の床下に取り込む前の状態を表す図面である。
【図2】本実施例の搬送容器をC区域の廃棄物投入孔の下に配設した状態を表す図面である。
【図3】本実施例の搬送容器の蓋をC区域に吊り上げた状態を表す図面である。
【図4】本実施例の搬送容器に廃棄物を収納する状態を表す図面である。
【図5】本実施例の搬送容器に再び蓋を吊り下ろした状態を表す図面である。
【図6】本実施例の搬送容器をC区域から切り離した状態を表す図面である。
【図7】本実施例の搬送容器を拭き取り検査する状態を表す図面である。
【図8】本実施例の搬送容器をA区域に搬出した状態を表す図面である。
【図9】本実施例の搬送容器と廃棄物投入孔の接合部分を拡大して表示した断面図である。
【図10】本実施例の搬送容器と廃棄物投入孔が接合したときの状態を示す断面図である。
【図11】本実施例の搬送容器と廃棄物投入孔の接合部材を吊り上げたときの部分断面図である。
【図12】本発明の別の実施例を表す拡大断面図である。
【図13】従来の放射性廃棄物搬送容器機構の例を示す図面である。
【符号の説明】
【0035】
1 C区域
2 B区域
3 A区域
4 搬送台車
5 搬送容器
6 放射性廃棄物
11 仕切り床
12 廃棄物投入孔
13 仕切り板
14 ボルト
15 ボルト孔
16 長ボルト15
17 容器位置決めガイド
21 仕切り扉
41 昇降台
42 ボールねじ式リフト機構
43 非接触式変位計
44 リンク式昇降機
51 容器蓋
52 容器本体
53 フランジ
54 ゴムパッキン
55 鍔
56 ボルト
57 ねじ孔
71 搬送容器側板
72 容器梁
73 容器蓋
74 ナット
75 ボルト
81 仕切り架台梁
82 仕切り板
83 蓋補強材
84 ボルト孔
85 ボルト
86 ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕切り板で開口を開閉可能に塞げるようにした廃棄物投入孔を汚染区域の床面に設け、容器蓋を着脱可能に取り付けた搬送容器と、合体した仕切り板と容器蓋を吊り下げて昇降させる吊下装置と、廃棄物投入孔の下に位置して搬送容器を鉛直方向に移動可能に載置する昇降台を備え、仕切り板の下面と容器蓋の外表面を合わせて気密に固定する機構を備えることを特徴とする放射性廃棄物搬送容器機構。
【請求項2】
前記搬送容器の縁と前記廃棄物投入孔の縁が当接するところにゴムパッキンを備えることを特徴とする請求項1記載の放射性廃棄物搬送容器機構。
【請求項3】
前記昇降台は車輪を備えて水平方向に移動可能な台車に設けられることを特徴とする請求項1または2記載の放射性廃棄物搬送容器機構。
【請求項4】
前記昇降台には、非接触式変位計と、その測定値に基づいて前記昇降台を昇降させる高さ調整機構を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の放射性廃棄物搬送容器機構。
【請求項5】
前記高さ調整機構は、ボールねじ式リフト機構であることを特徴とする請求項4記載の放射性廃棄物搬送容器機構。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−45886(P2008−45886A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−219020(P2006−219020)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(500213410)カワサキプラントシステムズ株式会社 (25)