説明

放射性物質格納容器及び放射性物質格納容器の製造方法

【課題】解体の容易な放射性物質格納容器を提供すること。
【解決手段】放射性物質格納容器1は、胴本体2と、中性子遮蔽容器3と、中性子遮蔽体8とを含んで構成される。胴本体2は、胴部2Aと、胴部2Aの一方の端部に設けられる底部2Bと、底部2Bとは反対側に開口する開口部2Hと、を有し、内部にリサイクル燃料を格納する底付き容器であって、例えば、鋳造によって製造される。中性子遮蔽容器3は、胴本体2に嵌め合わされて取り付けられる筒状の内筒4と、内筒4の外側に配置される筒状の外筒5と、内筒4と外筒5とをつなぐ伝熱フィン7と、を有する。中性子遮蔽体8は、内筒4と隣接する伝熱フィン7、7と外筒5とで囲まれる空間に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、リサイクル燃料のような放射性物質を格納し、輸送、保存に用いる放射性物質格納容器及び放射性物質格納容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所等で用いられる核燃料集合体であって、原子炉に装荷され燃焼させた後に原子炉から取り出した使用済の核燃料を、リサイクル燃料という。また、使用済の核燃料集合体を、リサイクル燃料集合体という。リサイクル燃料は、核分裂生成物(FP)など高放射能物質を含むので、通常、原子力発電所等の冷却ピットで所定期間冷却される。その後、放射線の遮蔽機能を有し、輸送、貯蔵に用いるキャスクと呼ばれる放射性物質格納容器に収納され、車両又は船舶で再処理施設又は中間貯蔵施設に搬送され、再処理を行うまで貯蔵される。このような放射性物質格納容器は、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭59−132397号公報(1、2ページ、図2、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1等に開示されている放射性物質格納容器は、鋳鉄又は鋳鉄製の収納容器本体部分と、この収納容器本体部に鋳包まれた放射能遮蔽材用容器ケースとを備える。この放射性物質格納容器は、鋳造を用いて比較的容易に製造できるが、解体時については考慮されておらず、改善の余地がある。
【0005】
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、解体の容易な放射性物質格納容器及び放射性物質格納容器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る放射性物質格納容器は、筒状の胴部と、前記胴部の一方の端部に設けられる底部と、前記底部とは反対側に開口する開口部と、を有する底付き容器であり、前記胴部と前記底部とによって形成される空間に放射性物質を格納する金属の胴本体と、前記胴本体に嵌め合わされて取り付けられる筒状の内側部材と、前記内側部材の外側に配置される筒状の外側部材と、前記内側部材と前記外側部材とをつなぐ伝熱部材と、を有する中性子遮蔽容器と、前記中性子遮蔽容器の前記内側部材と前記外側部材と隣接する前記伝熱部材とで囲まれる空間に配置される中性子遮蔽体と、を含んで構成されることを特徴とする。
【0007】
このように、中性子遮蔽容器は、内側部材が胴本体に嵌め合わされて取り付けられ、伝熱フィン等の構造物が胴本体に鋳包や溶接等で接合されていないので、内側部材を胴本体から取り外すことにより、放射性物質格納容器を容易に解体できる。
【0008】
本発明の好ましい態様としては、前記放射性物質格納容器において、前記胴本体は、前記胴部と前記底部とが一体に成型される有底一体の底付き容器であることが望ましい。これによって、胴部と底部とを別体で製造し、両者を接合するという手間が不要になるので、比較的簡単に放射性物質格納容器を製造できる。
【0009】
本発明の好ましい態様としては、前記放射性物質格納容器において、前記胴本体は、鋳鉄であることが望ましい。これによって、鋳造により、さらに容易に放射性物質格納容器を製造できる。また、中性子遮蔽容器の内側部材が胴本体に嵌め合わされて取り付けられ、胴本体への溶接は不要なので、溶接ができない鋳鉄を胴本体に用いても、中性子遮蔽容器を胴本体に取り付けることができる。また、解体も容易になる。
【0010】
本発明の好ましい態様としては、前記放射性物質格納容器において、前記胴本体は、前記胴本体と前記底部とが鋳型によって一体成型されることが望ましい。これによって、鋳造により、さらに容易に放射性物質格納容器を製造できる。
【0011】
本発明の好ましい態様としては、前記放射性物質格納容器において、前記胴本体と前記内側部材との間には、前記胴本体と前記内側部材との摩擦を低減する潤滑材料が介在することが望ましい。この潤滑材料によって、中性子遮蔽容器の内側部材を胴本体に嵌め込む際の作業が容易になるとともに、内側部材を胴本体から取り外す作業も容易になる。これによって、放射性物質格納容器を容易に解体できる。
【0012】
本発明の好ましい態様としては、前記放射性物質格納容器において、前記潤滑材料は、熱の導体を含むことが望ましい。これによって、胴本体から中性子遮蔽容器への伝熱性能を確保できる。
【0013】
本発明の好ましい態様としては、前記放射性物質格納容器において、前記潤滑材料は、金属ペースト又はカーボンペーストであることが望ましい。これによって、胴本体から中性子遮蔽容器への伝熱性能を確保できる。
【0014】
本発明の好ましい態様としては、前記放射性物質格納容器において、前記胴部の外側は、前記胴部の周方向に向かう凹部が設けられることが望ましい。これによって、潤滑材料に金属ペーストのような流動体を用いる場合には、潤滑材料の偏在を抑制できるので、胴本体と中性子遮蔽容器の内側部材との固着を抑制できる。
【0015】
本発明の好ましい態様としては、前記放射性物質格納容器において、前記中性子遮蔽容器の前記内側部材と前記外側部材と前記伝熱部材とで囲まれる空間の内面に、前記中性子遮蔽体の付着を抑制する剥離層を設けることが望ましい。これによって、中性子遮蔽体を簡易に取り外すことができるので、放射性物質格納容器を容易に解体できる。
【0016】
本発明の好ましい態様としては、前記放射性物質格納容器において、前記中性子遮蔽容器を加熱してから前記胴本体に嵌め込む焼嵌めによって、前記中性子遮蔽容器を前記胴本体に取り付けることが望ましい。
【0017】
本発明の好ましい態様としては、前記放射性物質格納容器において、前記胴本体を冷却してから前記中性子遮蔽容器を胴本体に嵌め込む冷やし嵌めによって、前記中性子遮蔽容器を前記胴本体に取り付けることが望ましい。
【0018】
本発明の好ましい態様としては、前記放射性物質格納容器において、前記中性子遮蔽容器は、前記胴本体に設けた係止部材によって前記胴本体に固定されることが望ましい。このように、係止部材によってより確実に中性子遮蔽容器を胴本体へ固定できるとともに、係止部材を取り外すことで、中性子遮蔽容器を取り外す作業も容易になる。
【0019】
本発明の好ましい態様としては、前記放射性物質格納容器において、前記係止部材は、前記胴本体の周方向に向かって複数設けられることが望ましい。これによって、中性子遮蔽容器からの荷重を複数の係止部材が略均等に受けることができるので、局所的に過大な荷重が作用することを抑制できる。
【0020】
本発明の好ましい態様としては、前記放射性物質格納容器において、前記係止部材は、前記胴本体に設けられて、少なくとも前記放射性物質格納容器を吊り上げる際に用いる吊り治具であることが望ましい。このように、吊り治具によってより確実に中性子遮蔽容器を胴本体へ固定できるとともに、吊り治具を取り外すことで、中性子遮蔽容器を取り外す作業も容易になる。
【0021】
本発明の好ましい態様としては、前記放射性物質格納容器において、前記中性子遮蔽容器は、前記胴本体の長手方向に対して分割されることが望ましい。これによって、胴本体が複雑な形状をする部分を有していても、その部分に取り付ける中性子遮蔽容器を別個に製造できるので、複雑な形状をする部分に適合させた中性子遮蔽容器を用意できる。
【0022】
本発明の好ましい態様としては、前記放射性物質格納容器において、分割された前記中性子遮蔽容器のうち前記胴本体の開口部に設けられる前記中性子遮蔽容器は、前記中性子遮蔽容器の周方向に向かって分割されることが望ましい。これによって、一体の構造物として構成した中性子遮蔽容器では取り付け不可能であっても、中性子遮蔽容器を取り付け可能な形状に分割して、胴本体へ取り付けることができる。
【0023】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る放射性物質格納容器の製造方法は、筒状の内側部材と、前記内側部材の外側に配置される筒状の外側部材と、前記内側部材と前記外側部材とをつなぐ伝熱部材と、を有する中性子遮蔽容器の前記内側部材と前記外側部材と隣接する前記伝熱部材とで囲まれる空間に、中性子遮蔽体を配置する手順と、筒状の胴部と、前記胴部の一方の端部に設けられる底部と、前記底部とは反対側に開口する開口部と、を有する底付き容器である胴本体に、前記中性子遮蔽容器を嵌め合わせる手順と、を含むことを特徴とする。
【0024】
このように、中性子遮蔽容器は、内側部材が胴本体に嵌め合わされて取り付けられ、伝熱フィン等の構造物が胴本体に鋳包や溶接等で接合されていないので、内側部材を胴本体から取り外すことにより、放射性物質格納容器を容易に解体できる。
【0025】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る放射性物質格納容器の製造方法は、筒状の胴部と、前記胴部の一方の端部に設けられる底部と、前記底部とは反対側に開口する開口部と、を有する底付き容器である胴本体に、筒状の内側部材と、前記内側部材の外側に配置される筒状の外側部材と、前記内側部材と前記外側部材とをつなぐ伝熱部材と、を有する中性子遮蔽容器を嵌め合わせる手順と、前記中性子遮蔽容器の前記内側部材と前記外側部材と隣接する前記伝熱部材とで囲まれる空間に、中性子遮蔽体を配置する手順と、を含むことを特徴とする。
【0026】
このように、中性子遮蔽容器は、内側部材が胴本体に嵌め合わされて取り付けられ、伝熱フィン等の構造物が胴本体に鋳包や溶接等で接合されていないので、内側部材を胴本体から取り外すことにより、放射性物質格納容器を容易に解体できる。
【0027】
本発明の望ましい態様としては、前記放射性物質格納容器の製造方法において、前記中性子遮蔽容器を前記胴本体へ嵌め合わせる前に、前記中性子遮蔽容器の内側部材の内周部と前記胴本体の外周部との少なくとも一方に、前記胴本体と前記内側部材との摩擦を低減する潤滑材料を塗布することを特徴とすることが好ましい。この潤滑材料によって、中性子遮蔽容器の内側部材を胴本体に嵌め込む際の作業が容易になるとともに、内側部材を胴本体から取り外す作業も容易になる。その結果、放射性物質格納容器を容易に解体できる。
【0028】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る放射性物質格納容器の製造方法は、筒状の胴部と、前記胴部の一方の端部に設けられる底部と、前記底部とは反対側に開口する開口部と、を有する底付き容器である胴本体に、筒状の内側部材を嵌め合わせる手順と、前記内側部材の外側に、伝熱部材を取り付ける手順と、前記伝熱部材の外側に、筒状の外側部材を取り付ける手順と、前記中性子遮蔽容器の前記内側部材と前記外側部材と隣接する前記伝熱部材とで囲まれる空間に、中性子遮蔽体を配置する手順と、を含むことを特徴とする。
【0029】
このように、中性子遮蔽容器を構成する内側部材が胴本体に嵌め合わされて取り付けられ、伝熱フィン等の構造物が胴本体に鋳包や溶接等で接合されていないので、内側部材を胴本体から取り外すことにより、放射性物質格納容器を容易に解体できる。
【0030】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る放射性物質格納容器の製造方法は、筒状の胴部と、前記胴部の一方の端部に設けられる底部と、前記底部とは反対側に開口する開口部と、を有する底付き容器である胴本体に、筒状の内側部材を嵌め合わせる手順と、前記伝熱部材の外側に配置される筒状の外側部材の内側に、伝熱部材を取り付ける手順と、前記内側部材の外側に、前記伝熱部材及び前記外側部材を配置するとともに、前記伝熱部材を前記内側部材の外側に取り付ける手順と、前記中性子遮蔽容器の前記内側部材と前記外側部材と隣接する前記伝熱部材とで囲まれる空間に、中性子遮蔽体を配置する手順と、を含むことを特徴とする。
【0031】
このように、中性子遮蔽容器を構成する内側部材が胴本体に嵌め合わされて取り付けられ、伝熱フィン等の構造物が胴本体に鋳包や溶接等で接合されていないので、内側部材を胴本体から取り外すことにより、放射性物質格納容器を容易に解体できる。
【0032】
本発明の望ましい態様としては、前記放射性物質格納容器の製造方法において、前記内側部材を前記胴本体へ嵌め合わせる前に、前記内側部材の内周部と前記胴本体の外周部との少なくとも一方に、前記胴本体と前記内側部材との摩擦を低減する潤滑材料を塗布することを特徴とすることが好ましい。この潤滑材料によって、中性子遮蔽容器の内側部材を胴本体に嵌め込む際の作業が容易になるとともに、内側部材を胴本体から取り外す作業も容易になる。その結果、放射性物質格納容器を容易に解体できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、解体の容易な放射性物質格納容器及び放射性物質格納容器の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本実施形態に係る放射性物質格納容器の全体構成を示す模式図である。
【図2】本実施形態に係る放射性物質格納容器を構成するバスケットの例を示す斜視図である。
【図3】本実施形態に係る放射性物質格納容器の軸を通る平面、及び前記軸と直交する平面で切った本実施形態に係る放射性物質格納容器を示す断面図である。
【図4−1】本実施形態に係る中性子遮蔽容器が取り付けられていない状態を示す図3のA−A矢視図である。
【図4−2】本実施形態に係る中性子遮蔽容器が取り付けられた状態を示す図3のA−A矢視図である。
【図4−3】本実施形態に係る中性子遮蔽容器が備える中性子遮蔽体を示す斜視図である。
【図5】本実施形態に係る放射性物質格納容器を構成する胴本体と中性子遮蔽容器とを分解した状態を示す斜視図である。
【図6−1】キーを固定する構造の一例を示す説明図である。
【図6−2】キーの一例を示す説明図である。
【図7】キーを固定する構造の他の例を示す説明図である。
【図8−1】キーを固定する構造の他の例を示す説明図である。
【図8−2】キーを固定する構造の他の例を示す説明図である。
【図9−1】キーの他の構成例を示す説明図である。
【図9−2】キーの他の構成例を示す説明図である。
【図10−1】中性子遮蔽容器と胴本体との間の密封構造の一例を示す説明図である。
【図10−2】中性子遮蔽容器と胴本体との間の密封構造の一例を示す説明図である。
【図11】胴本体に中性子遮蔽容器を取り付ける際の状態を示す模式図である。
【図12−1】本実施形態に係る放射性物質格納容器の底部の構成例を示す説明図である。
【図12−2】本実施形態に係る放射性物質格納容器の底部の構成例を示す説明図である。
【図12−3】本実施形態に係る放射性物質格納容器の底部の構成例を示す説明図である。
【図12−4】本実施形態に係る放射性物質格納容器の底部の構成例を示す説明図である。
【図13】本実施形態に係る放射性物質格納容器の軸を通る平面で切った本実施形態の第1変形例に係る放射性物質格納容器を示す断面図である。
【図14−1】本実施形態に係る中性子遮蔽容器が取り付けられた状態を示す図3のA−A矢視図である。
【図14−2】本実施形態に係る中性子遮蔽容器が取り付けられていない状態を示す図3のA−A矢視図である。
【図15】中性子遮蔽容器の分割部の拡大図である。
【図16−1】本実施形態の第1変形例に係る中性子遮蔽容器の分割部の構成例を示す拡大図である。
【図16−2】本実施形態の第1変形例に係る中性子遮蔽容器の分割部の構成例を示す拡大図である。
【図17】本実施形態に係る放射性物質格納容器の軸を通る平面で切った本実施形態の第2変形例に係る放射性物質格納容器を示す断面図である。
【図18】本実施形態に係る放射性物質格納容器の軸を通る平面で切った本実施形態の第3変形例に係る放射性物質格納容器を示す断面図である。
【図19】本実施形態に係る放射性物質格納容器の軸を通る平面で切った本実施形態の第4変形例に係る放射性物質格納容器を示す断面図である。
【図20】本実施形態の第5変形例に係る放射性物質格納容器のフランジ部付近を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための最良の形態(以下実施形態という)によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0036】
本実施形態に係る放射性物質格納容器は、底付き容器であって、内部にリサイクル燃料のような放射性物質を格納する金属の胴本体、及び、この胴本体に取り付けられる筒状の内側部材と、この内側部材の外側に配置される筒状の外側部材と、内側部材と外側部材とをつなぐ伝熱部材とを有する中性子遮蔽容器、及び、中性子遮蔽容器の内側部材と外側部材と伝熱部材とで囲まれる空間に配置される中性子遮蔽体と、を含んで構成される点に特徴がある。
【0037】
図1は、本実施形態に係る放射性物質格納容器の全体構成を示す模式図である。図2は、本実施形態に係る放射性物質格納容器を構成するバスケットの例を示す斜視図である。放射性物質格納容器1は、原子力発電に用いた燃料であるリサイクル燃料、すなわち放射性物質を格納し、輸送及び貯蔵に用いるものである。本実施形態では、放射性物質の一例としてリサイクル燃料を格納する放射性物質格納容器を説明するが、本実施形態の放射性物質格納容器1に格納できる放射性物質はこれに限定されるものではない。放射性物質格納容器1は、有底の容器である胴本体2と、胴本体2の外側に取り付けられる中性子遮蔽容器3とを含んでいる。
【0038】
胴本体2は、筒状の胴部と、前記胴部の一方の端部に設けられる底部とで構成されており、前記胴部と前記底部とで形成される空間(胴本体内部空間、キャビティともいう)2Iが、放射性物質であるリサイクル燃料を格納する空間となる。リサイクル燃料は、複数の格子状のセル30Cを有するバスケット30のセル30Cに収納される。そして、リサイクル燃料を収納したバスケット30が、胴本体内部空間2Iへ格納される。
【0039】
胴本体2は、胴本体内部空間2Iへ格納したリサイクル燃料からのγ線を遮蔽する機能を有する。また、中性子遮蔽容器3は、内部に中性子を遮蔽するための中性子遮蔽体が設けられる。胴本体内部空間2Iとバスケット30との間には、スペーサ38が配置されている。スペーサ38は、バスケット30に収納したリサイクル燃料からの崩壊熱を胴本体2へ伝える。そして、前記崩壊熱は、胴本体2及び中性子遮蔽容器3を介して大気中へ放出される。
【0040】
図2に示すように、例えば、バスケット30は、角パイプ31と板状部材32とを組み合わせ、リサイクル燃料を収納するセル30Cとして角パイプ31の内部を使用するものである。角パイプ31は、長手方向に垂直な断面形状が角形状のパイプであって、対向する側部外側に複数の突起部を有する。そして、前記突起部同士を当接させて直線状に配列されて、角パイプ列となる。板状部材32は、長手方向に垂直な断面形状が日の字形状のパイプであって、長手方向に垂直な断面において短い方の端部同士を当接させて積み重ねられるとともに、直線状に配列された角パイプ列の間に配置される。
【0041】
角パイプ31及び板状部材32は、ともに中性子を遮蔽する機能を有する。このため、例えば、ボロン(B)又はボロン化合物を添加されたアルミニウム、あるいはこれらを添加されたアルミニウム合金で構成される。ここで、前記ボロン(B)又は前記ボロン化合物は、中性子遮蔽機能を有する(B10)を含む。ボロンは、アルミニウムあるいはアルミニウム合金の母材とともに溶融してもよいし、アルミニウムあるいはアルミニウム合金の粉末にボロンの粉末を混合し、ミキサーによる混合やメカニカルアロイングによる機械的合金化を施すことにより、アルミニウムあるいはアルミニウム合金へ添加できる。本実施形態では、このようにして製造したボロン又はボロン化合物を添加されたアルミニウム、あるいはこれらを添加されたアルミニウム合金のビレットをポートホールダイス等により押し出し成形することにより、角パイプ31及び板状部材32が製造される。次に、本実施形態に係る放射性物質格納容器1の構成を説明する。
【0042】
図3は、本実施形態に係る放射性物質格納容器の軸を通る平面、及び前記軸と直交する平面で切った本実施形態に係る放射性物質格納容器を示す断面図である。図4−1は、本実施形態に係る中性子遮蔽容器が取り付けられていない状態を示す図3のA−A矢視図である。図4−2は、本実施形態に係る中性子遮蔽容器が取り付けられた状態を示す図3のA−A矢視図である。図4−3は、本実施形態に係る中性子遮蔽容器が備える中性子遮蔽体を示す斜視図である。図5は、本実施形態に係る放射性物質格納容器を構成する胴本体と中性子遮蔽容器とを分解した状態を示す斜視図である。
【0043】
放射性物質格納容器1を構成する胴本体2は、筒状の胴部2Aと、胴部2Aの一方の端部に設けられる底部2Bと、を有する底付き容器であり、胴部2Aと底部2Bとによって胴本体内部空間2Iが形成される。底部2Bには、中性子遮蔽体14が設けられる。中性子遮蔽体14は、中性子遮蔽容器3が備える中性子遮蔽体8と同種のものである。本実施形態において、放射性物質格納容器1の中心軸Zと直交する断面における胴本体2の内形状及び外形状は円形であるが、胴本体2の内形状及び外形状はこれに限定されるものではない。
【0044】
胴部2Aの底部2Bとは反対側の端部には開口部2Hが設けられており、この開口部から図1に示すバスケット30が胴本体内部空間2Iへ装入される。そして、バスケット30にリサイクル燃料が収納され、開口部2Hには一次蓋11、二次蓋12、三次蓋13がこの順で取り付けられ、胴本体内部空間2Iが密封される。
【0045】
胴本体2は、一次蓋11、二次蓋12、三次蓋13を取り付けるため、胴部2Aの開口部2H側にはフランジ部2Fが設けられる。フランジ部2Fは、胴部2Aよりも直径が大きく形成されて、胴部2Aから張り出している。これによって、フランジ部2Fと胴部2Aとの間は階段状に形成される。また、フランジ部2Fは、一次蓋11、二次蓋12、三次蓋13を取り付けるため、内部が階段状に形成される。蓋の個数は、最大で3個である。本実施形態では、二次蓋12の内部に中性子遮蔽体12Rが配置される。中性子遮蔽体12Rは、中性子遮蔽容器3が備える中性子遮蔽体8と同種のものである。なお、一次蓋11や三次蓋13に中性子遮蔽体を設けてもよい。
【0046】
胴本体2は、胴本体内部空間2Iに格納するリサイクル燃料から放射されるγ線を遮蔽する機能を有する。本実施形態においては、胴本体2を鋳鉄(例えば球状黒鉛鋳鉄)で構成する。胴本体2は、放射性物質格納容器1の質量の大部分を占めるため、この製造コストを抑制できれば、放射性物質格納容器1の製造コストの抑制に大きく寄与する。これによって、鋳鉄を鋳型に鋳込む鋳造によって胴本体2を比較的簡易に製造できるので、放射性物質格納容器1の製造コストを抑制できる。これによって、放射性物質格納容器1を安価に提供できる。
【0047】
ところで、鋳鉄は、その性質上、鋼やステンレス鋼とは異なり、母材と同等の強度を要求される構造部材としての溶接はできない。したがって、鋳鉄で製造した胴本体2の外周部に溶接によって、例えば伝熱フィンのような構造物を取り付けることはできない。そこで、本実施形態では、中性子の遮蔽機能を有する中性子遮蔽容器3を胴本体2とは別個独立に用意し、これをγ線の遮蔽機能を有する胴本体2に取り付けて放射性物質格納容器1を構成する。このように、本実施形態では、γ線の遮蔽機能を有する胴本体2と、中性子の遮蔽機能を有する中性子遮蔽容器3とに機能分担させて放射性物質格納容器1を構成する。
【0048】
鋳鉄の胴本体2は、機械加工で所定の寸法に仕上げたままでは、表面に微細な傷や窪みが存在するので、放射性物質格納容器1へリサイクル燃料を格納する際に、放射性物質格納容器1を燃料収納プールに沈めた場合の防錆処理が必要である。また、胴本体2の表面の微細な傷や窪みは除染を困難にするため、これらを埋める処置が必要ある。このため、少なくとも、胴本体2の胴本体内部空間2Iの表面には、被覆層を設けることが好ましい。
【0049】
このような被覆層としては、例えば、塗装により容器表面に塗膜を作る方法がある。この方法によれば、安価に被覆層を形成できる。また、ニッケル成分を主とした溶射処理や電気めっき層により被覆層を形成してもよい。これによれば、胴本体内部空間2Iの表面とバスケット30との伝熱を容易にできる。溶射を用いる場合、完全に隙間のない層を生成するのは難しいので、樹脂による封孔処理を併用するのが望ましい。また、溶射の場合、犠牲電極となる素材で被覆層を形成してもよい。電気めっきは、傷や窪みが埋まるように厚みのあるめっき層にすることが必要となる。これらの被覆層は、輸送や移動の際にバスケットと接触して傷つくことを想定し、その際のダメージを極力を小さくできるように膜厚を設定する。
【0050】
電気めっきにおいては、胴本体内部空間2Iの表面の防錆と、胴本体内部空間2Iの表面とバスケット30との伝熱を容易にすることも考慮して、ニッケルめっき層の被覆層形成されることが好ましい。ニッケルめっきは、胴本体内部空間2Iの表面の傷や窪みが埋まるように厚みのある層にすることが重要で、例えば100μm以上、望ましくは500μm以上が好ましい。このようにすれば、胴本体内部空間2I内で必要な被覆層の厚さを確実に確保できる。
【0051】
図3、図4−2、図5に示すように、中性子遮蔽容器3は筒状の構造物であり、胴本体2の外周部へしまり嵌めで取り付けられる。すなわち、中性子遮蔽容器3の内周長よりも胴本体2の外周長の方が長く形成され、両者を組み付ける際には、中性子遮蔽容器3の温度を胴本体2の温度よりも高くすることにより、一時的に中性子遮蔽容器3の内周長を胴本体2の外周長よりも長くする。この状態で、図5に示すように中性子遮蔽容器3を胴本体2へ取り付ける。中性子遮蔽容器3と胴本体2との温度が同程度になると、中性子遮蔽容器3の内周長よりも胴本体2の外周長の方が長くなるので、中性子遮蔽容器3は胴本体2により、周方向に引き伸ばされた状態となり、胴本体2へ固定される。
【0052】
このように、中性子遮蔽容器3は胴本体2にしまり嵌めによって取り付けられており、中性子遮蔽容器3と胴本体2とは、鋳包みや溶接等によって接合されていない。このため、放射性物質格納容器1を解体するときには、中性子遮蔽容器3を胴本体2から簡易に取り外すことができる。その結果、放射性物質格納容器1を簡易に解体できる。
【0053】
しまり嵌めは、例えば、中性子遮蔽容器3を胴本体2よりも加熱して、胴本体2へ中性子遮蔽容器3を取り付ける焼き嵌めや、中性子遮蔽容器3よりも胴本体2を冷却して、胴本体2へ中性子遮蔽容器3を取り付ける冷やし嵌めが用いられる。このように、中性子遮蔽容器3をしまり嵌めで胴本体2へ取り付けることにより、ボルトのような締結手段を用いる場合における構造上の不安定さを回避でき、放射性物質格納容器1を堅牢な構造とすることができる。これによって、放射性物質格納容器1を輸送する際の信頼性や、数十年にわたる長期保管での信頼性も向上する。
【0054】
図3、図4−2に示すように、中性子遮蔽容器3は、筒状の内側部材である内筒4と、内筒4の外側に配置される筒状の外側部材である外筒5と、放射性物質格納容器1のフランジ部2F側における内筒4の端部と外筒5の端部とを封止する第1端版6Tと、放射性物質格納容器1の底部2B側における内筒4の端部と外筒5の端部とを封止する第2端版6Bとで外殻が形成される。これらは、炭素鋼やステンレス鋼で構成される。内筒4、外筒5、第1端版6T、第2端版6Bは、例えば溶接によって接合される。
【0055】
図3に示すように、内筒4と外筒5との間には、内筒4から外筒5へ熱を伝える伝熱部材である伝熱フィン7が、内筒4及び外筒5の周方向に向かって複数配置される。伝熱フィン7は、溶接によって内筒4と外筒5とに取り付けられる。伝熱フィン7は、例えば、銅やアルミニウム等の熱伝導性のよい材料で構成することが好ましいが、伝熱フィン7の材料はこれに限定されるものではない。例えば、内筒4と外筒5との溶接を考慮して、内筒4及び外筒5と同じ種類の材料で伝熱フィン7を構成してもよい。
【0056】
中性子遮蔽容器3を構成する部材のうち、内筒4と、外筒5と、第1端版6Tと、第2端版6Bとは放射化されにくい材料で構成することが好ましい。このようにすれば、内筒4、外筒5、第1端版6T及び第2端版6Bの放射化を抑制して、これらをリサイクルしやすくなる。放射化されにくい材料としては、例えば、放射化されやすい元素、例えばクロム(Cr)、炭素(C)、ニオブ(Nb)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)等を極力含まない炭素鋼が揚げられる。
【0057】
内筒4と外筒5と隣接する伝熱フィン7とで囲まれる空間(中性子遮蔽体格納空間)には、中性子遮蔽体8が配置される。中性子遮蔽体8は、水素を含有する高分子材料であるレジン、ポリウレタン、エポキシ樹脂又はシリコーン樹脂その他の材料で構成される。このような材料で構成される中性子遮蔽体8を用いることにより、リサイクル燃料体から放出される中性子を吸収し、放射性物質格納容器1の外部へ漏洩する中性子を規制値よりも少なくする。ここで、水素吸蔵合金粉末を混合した中性子遮蔽体は、放射性物質格納容器の通常の使用環境でも吸蔵した水素を微量ながら放出し、中性子遮蔽体を収納した空間の圧力を上昇させ、また、火災時には急激に水素を放出し、外筒内の圧力を急激に上昇させるおそれがあり、放射性物質格納容器の中性子遮蔽体としては好ましくない。
【0058】
本実施形態では、図4−3に示すように、予めレジン等を型に鋳込んで固めた中性子遮蔽体8を、前記中性子遮蔽体格納空間へ配置してから、第1端版6Tあるいは第2端版6Bを内筒4と外筒5とに取り付ける。また、前記中性子遮蔽体格納空間へ液状のレジン等を流し込み、これを固化させて中性子遮蔽体8を構成してもよい。予めレジン等を型に鋳込んで固めた中性子遮蔽体8を、前記中性子遮蔽体格納空間へ配置することにより、放射性物質格納容器1を解体する際には、中性子遮蔽容器3から中性子遮蔽体8を取り出しやすくなる。これによって、放射性物質格納容器1を容易に解体できる。
【0059】
ここで、前記中性子遮蔽体格納空間には、中性子遮蔽体8が付着することを抑制する剥離層を形成することが好ましい。中性子遮蔽体8はエポキシ樹脂やポリウレタン等の樹脂材料を主成分とする。特に、エポキシ樹脂は接着剤にも用いられるものであるため、解体に際しては中性子遮蔽容器3を構成する部材に付着した中性子遮蔽体8を剥ぎ取る必要がある。しかしながら、一体の放射性物質格納容器1が備える前記中性子遮蔽体格納空間の表面積はおよそ80mにもなり、中性子遮蔽体8を剥ぎ取るのは容易ではない。
【0060】
エポキシ樹脂は、容易に変形するものではなく、中性子遮蔽体8の切断に際して刃物を用いる場合は、中性子遮蔽体8に含まれる難燃剤や中性子吸収成分(代表的には炭化ほう素)により刃物の摩耗が激しく、中性子遮蔽体8の飛散も考慮すると、効率的に解体できない。さらに、熱を用いる切断トーチによる場合は、中性子遮蔽体8に多量に含まれる難燃剤により切断作業が困難で、かつ中性子遮蔽体8の主要な成分であるエポキシ樹脂が燃焼するおそれがあり、開放された空間では解体できない。
【0061】
本実施形態では、中性子遮蔽体8が付着することを抑制する剥離層により、金属と中性子遮蔽体が隔離されているので、中性子遮蔽体8を中性子遮蔽容器3から容易に取り外すことができる。また、本実施形態では、胴本体2と中性子遮蔽容器3とによって放射性物質格納容器1を構成するので、中性子遮蔽容器3の一部を切断すれば、胴本体2と中性子遮蔽容器3との嵌合が解除される。したがって、胴本体2から中性子遮蔽容器3を取り出して中性子遮蔽容器3を構成する金属部分を切断すれば、中性子遮蔽体8が付着することを抑制する剥離層により、中性子遮蔽体8と金属部との付着が回避されるので、中性子遮蔽体8を容易に取り出せる。ここで、中性子遮蔽体8が付着することを抑制する剥離層としては、例えば、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、表面活性剤等を用いることができる。
【0062】
内筒4は、胴本体2へしまり嵌めで取り付けられて胴本体2と密着する。そして、伝熱フィン7を介して胴本体2からの熱を、外気に接する外筒5へ伝える。このため、内筒4と胴本体2とは、できる限り隙間なく密着することが好ましい。このため、内筒4の内側形状は、胴本体2の外側形状に合わせてある。これによって、内筒4を胴本体2へ取り付けたときには、両者の隙間を少なくすることができる。
【0063】
放射性物質格納容器1のフランジ部2F側には、トラニオンと呼ばれる吊り治具が取り付けられる。トラニオンを取り付けるため、例えば、図4−1に示すように、胴本体2のフランジ部2Fの一部にトラニオン取付座2Pを設けることがある。トラニオン取付座2Pは、放射性物質格納容器1の中心軸Zと直交する断面形状が円形の胴本体2の一部を平面に形成して構成される。トラニオンは、放射性物質格納容器1の中心軸Zを通る直線上に対向して取り付けられる。本実施形態では、2対、すなわち計4個のトラニオンが胴本体2に取り付けられる。
【0064】
胴本体2のトラニオン取付座2Pが形成される部分は、非円形となる。したがって、中性子遮蔽容器3の内筒4の内側形状も、この部分の外側形状に合わせて平面と曲面とで構成される。なお、胴本体2のトラニオン取付座2Pが形成される部分において、トラニオン取付座2Pが形成される部分は、図3のB−B断面よりも径方向の寸法が小さくなる。したがって、トラニオン取付座2Pを胴本体2に形成する場合、中性子遮蔽容器3を放射性物質格納容器1の中心軸Z方向で分割し、中性子遮蔽容器3をトラニオン取付座2Pが形成される部分とそれ以外の部分とに分けて構成する。そして、後述するように、トラニオン取付座2Pに配置される中性子遮蔽容器3は周方向に分割して、胴本体2に取り付ける。なお、トラニオン取付座2Pを設けないでトラニオンを胴本体に取り付けてもよく、この場合、胴本体2のトラニオン取付座2Pが形成される部分は、他の部分と同じ形状(本実施形態では円形)となる。
【0065】
胴本体2は、胴本体内部空間2Iに格納するリサイクル燃料から放射されるγ線を遮蔽するため、数十cmの厚さを有する。中性子遮蔽容器3にもある程度のγ線の遮蔽機能は要求されるが、胴本体2に要求されるγ線の遮蔽機能よりは小さい。このため、内筒4の厚さti及び外筒5の厚さteは、胴本体2の厚さtdよりも小さくすることができ、中性子遮蔽容器3を軽量化できる。
【0066】
放射性物質格納容器1を構成する材料のリサイクルを前提とする場合には、放射性物質格納容器1に収納される放射性物質の放射線の強度及び放射線の種類が問題となる。すなわち、放射性物質格納容器1の材料をリサイクルしようとする場合には、放射性物質格納容器1の材料が放射線によりどれくらい放射化されているかが重要である。
【0067】
放射化によりリサイクルが困難となる範囲の構造物の金属は鋳物で構成して、放射化が許容できる範囲の構造物の金属は鉄鋼材料として再利用を図ることが考えられる。この場合、胴本体2の厚さtdと中性子遮蔽容器3の内筒4の厚さtiとは、放射化される範囲とされない範囲とで決定することが好ましい。
【0068】
上述したように、内筒4は胴本体2にしまり嵌めで取り付けられ、胴本体2と密着するため、寸法精度が要求される。このため、内筒4の厚さtiは、外筒5の厚さteよりも大きくすることが好ましい。これによって、内筒4の寸法精度を確保して、内筒4と胴本体2との隙間を抑制できる。また、内筒4には伝熱フィン7や第1端版6T等を溶接するが、溶接時の熱によるひずみをできる限り抑制する必要がある。さらに、内筒4は、内側形状を胴本体2の外側形状に合わせるため、中性子遮蔽容器3を組み立てた後に、内側を切削等の機械加工をする必要がある。このため、熱ひずみを抑制し、かつ削り代や切削加工における剛性を確保するため、内筒4はある程度の厚さとする。
【0069】
胴本体2の底部2Bには、放射性物質格納容器1の中心軸Z方向における中性子遮蔽容器3のずれを抑制するため、係止部材であるキー10が取り付けられる。キー10は、胴本体2の底部2Bに形成されたキー溝21に嵌め込まれ、底部2Bの外表面から突出して、胴本体2へ取り付けられた中性子遮蔽容器3の内筒4の端部に当接する。これによって、中性子遮蔽容器3の前記ずれが抑制される。また、キー10によって中性子遮蔽容器3を固定すれば、中性子遮蔽容器3が胴本体2へ焼き嵌めや冷やし嵌めにより取り付けられたときに両者間に生じる応力を小さくしても、両者のずれを抑制できる。また、キー10によって中性子遮蔽容器3を固定すれば、中性子遮蔽容器3が胴本体2へ取り付けられたときに両者間に生じる応力を小さくできるので、放射性物質格納容器1を内筒4と中性子遮蔽容器3とに分解するときの作業も容易になる。
【0070】
図6−1は、キーを固定する構造の一例を示す説明図である。図6−2は、キーの一例を示す説明図である。図7、図8−1、図8−2は、キーを固定する構造の他の例を示す説明図である。キー10は、金属(例えば炭素鋼)で構成される環状の部材を用い、環状のキー10の場合は、これを加熱して胴本体2の底部2Bに嵌め込む。キー10の温度が低下すると、キー10が収縮するので、キー10がキー溝21に取り付けられる。キー10と中性子遮蔽容器3とは、図6−1に示すように、キー10と中性子遮蔽容器3の内筒4とをボルト44で固定する構造がある。これによれば、キー10は、常温で容易に放射性物質格納容器1の外部に設けられるので、放射性物質格納容器1の組み立てや解体が容易になる。
【0071】
図6−2に示す例では、キー10は、例えば、周方向に分割(本実施形態では2分割)した円形のキー10A、10Bを用い、胴本体2の底部2Bを挟み込むようにして図6−1に示すキー溝21にキー10A、10Bを取り付ける。そして、ボルト44でキー10と中性子遮蔽容器3とを固定する。これによって、簡単かつ確実にキー10と中性子遮蔽容器3とを固定できる。また、環状の金属材料で構成されたキー10を焼き嵌めによって取り付けることができない場合でも、キー10を分割すれば、簡易にキー10をキー溝21へ取り付けることができる。
【0072】
また、図7に示すように、キー10と中性子遮蔽容器3の内筒4とを溶接によって接合してもよい。符合15は溶接によるキー10と内筒4との接合部を示す。このように、溶接によってキー10と内筒4とを固定すれば、確実に両者を固定できるので、特に放射性物質格納容器1の燃料収納プールでの汚染のおそれを低減するのに寄与し、また、輸送する際における信頼性が向上する。
【0073】
図8−1、図8−2は、キー10aを胴本体2の周方向に離隔して複数配置した構造である。図8−2に示すように、キー10aは棒状の部材(例えば丸棒)であり、胴本体2の径方向に向かって、中性子遮蔽容器3の内筒4及び胴本体2の底部2Bに穿孔したキー穴21aへ複数のキー10aを差し込む。キー穴21aは、胴本体2の周方向に向かって、中性子遮蔽容器3の内筒4及び胴本体2の底部2Bに複数設けられる。
【0074】
キー10a及びキー穴21aの形状は、例えば、矩形であってもよいが、これらを円形とすることによって、キー穴21aの加工が容易になる。なお、キー10aは、胴本体2の底部2Bの中心(放射性物質格納容器1の中心軸Z)へ向かうにしたがって内径が小さくなっている。これによって、キー10aをキー穴21aに叩き込めば、キー10aがキー穴21aに固定され、キー10aの脱落が抑制される。このように、キー10aを胴本体2の周方向に離隔して複数配置することにより、胴本体2と中性子遮蔽容器3とがずれようとする動きを、分散配置したキー10aによって略一様な負荷で受け止めることができる。
【0075】
図9−1、図9−2は、キーの他の構成例を示す説明図である。図9−1に示す例は、胴本体2の底部2Bにキー10を設けて、中性子遮蔽容器3の内筒4の端部をキー10で固定することに加え、中性子遮蔽容器3の内筒4と胴本体2の胴部2Aとをキー10bで固定する。すなわち、中性子遮蔽容器3の内筒4で覆われる部分にキー10bを配置する。図9−2に示す例では、胴本体2の底部2Bにキー10を設けて、中性子遮蔽容器3の内筒4の端部をキー10で固定することに加え、中性子遮蔽容器3を胴本体2に固定する係止部材としてトラニオン10dを用いる。このようにキーを配置することによって、胴本体2の熱伸びと内筒4の熱伸びとの違いに起因してキーに作用する負荷を分散させることができる。
【0076】
トラニオン10dは、胴本体2の周方向に離隔して複数配置されており、中性子遮蔽容器3を貫通して胴本体2の胴部2Acに固定されるので、中性子遮蔽容器3を胴本体2に固定する係止手段として利用できる。トラニオン10dの断面は十分に大きく、また、トラニオン10dは胴本体2の全周に略等間隔で配置されているので、トラニオン10dを係止部材として用いれば、中性子遮蔽容器3を胴本体2へ確実に固定できる。また、トラニオン10dは、ねじ等の締結手段によって胴本体2へ固定されるので、取り外しも容易である。したがって、トラニオン10dを取り外すのみで中性子遮蔽容器3の解体に移行できるので、放射性物質格納容器1の解体が容易になる。
【0077】
図10−1、図10−2は、中性子遮蔽容器と胴本体との間の密封構造の一例を示す説明図である。図10−1に示す例では、胴本体2のフランジ部2Fに、封止部材を配置する凹部2Fsを設けてある。凹部2Fsは、フランジ部2Fの中性子遮蔽容器3の第1端版6Tと接する部分に、フランジ部2Fの周方向に向かって設けられる。この凹部2Fsに、例えば、樹脂等の封止部材20を配置する。なお、封止部材20を配置する凹部は、中性子遮蔽容器3の第1端版6Tに設けてもよい。
【0078】
図10−2は、胴本体2の底部2B側における中性子遮蔽容器3の内筒4の端部に、封止部材を配置する凹部4sを設けてある。凹部4sは、内筒4の周方向に向かって設けられる。この凹部4sに、例えば、樹脂等の封止部材20を配置する。なお、封止部材20を配置する凹部は、胴本体2の底部2Bに設けてもよい。
【0079】
放射性物質格納容器1にリサイクル燃料を格納する際には、放射性物質格納容器1を燃料収納プールに沈めるため、胴本体2と中性子遮蔽容器3との間に隙間があると、前記隙間に燃料収納プールの水が侵入するおそれがある。これに起因して、胴本体2や中性子遮蔽容器3が腐食するおそれがある。このため、上述したように、胴本体2と中性子遮蔽容器3とが接する部分のうち、外部から見える範囲を封止する。これによって、放射性物質格納容器1を燃料収納プールに沈めた場合や、放射性物質格納容器1を水等で洗浄して除洗する場合等においては、前記隙間への水の侵入を回避できる。
【0080】
封止部材20が樹脂である場合、封止部材20が放射性物質格納容器1の表面から突出していると、放射性物質格納容器1を取扱う際に封止部材20を損傷するおそれがある。このため、上述したように、放射性物質格納容器1と中性子遮蔽容器3とのうち少なくとも一方に、封止部材20を受け入れる凹部2Fs、4sを設けることが好ましい。これによって、封止部材20が放射性物質格納容器1の表面から突出する量を低減できる。
【0081】
図11は、胴本体に中性子遮蔽容器を取り付ける際の状態を示す模式図である。胴本体2へ中性子遮蔽容器3を取り付ける際には、焼き嵌めや冷やし嵌めによって両者の隙間を確保する。しかし、胴本体2や中性子遮蔽容器3は、放射性物質格納容器1の中心軸Z方向の寸法が大きい(数メートル)ので、胴本体2へ中性子遮蔽容器3を取り付ける際には、胴本体2と中性子遮蔽容器3の内筒4とが接触する。このとき、胴本体2の硬度と内筒4の硬度との差が小さいと、かじりやむしれが発生し、両者を組み合わせた後に両者の間へ隙間が残るおそれがある。
【0082】
そこで、胴本体2と中性子遮蔽容器3の内筒4との間に潤滑材料を介在させて、胴本体2へ中性子遮蔽容器3を取り付ける。この潤滑材料は、胴本体2へ中性子遮蔽容器3を取り付ける作業中に内筒4と胴本体2とが接触した場合には両者の摩擦を低減し、速やかに両者を組み付けることができる。また、焼き嵌め温度を低くして胴本体2と中性子遮蔽容器3の内筒4との隙間が小さくても両者を取り付けることができるので、中性子遮蔽容器3の加熱によるひずみや酸化を抑制できる効果も得られる。
【0083】
また、胴本体2へ中性子遮蔽容器3を取り付けた後は、両者の隙間に前記潤滑材料が介在するため、前記潤滑材料によって胴本体2から中性子遮蔽容器3への伝熱が確保される。これによって、胴本体2と中性子遮蔽容器3の内筒4との間に隙間が生じることによる伝熱性能の低下を抑制できる。
【0084】
このため、潤滑材料は、熱の導体を含むことが好ましい。これによって、胴本体2から中性子遮蔽容器3への伝熱性能をより向上させることができる。熱の導体としては、銀や銅等の金属、カーボン(炭素)等がある。潤滑材料は、ある程度の流動性を有している方が、胴本体2へ中性子遮蔽容器3の内筒4との間の摩擦を抑制する効果が高くなる他、両者の隙間にまんべんなく入り込むので、伝熱性能の低下をより効果的に抑制できる。潤滑材料としては、例えば、上述した熱の導体を含むペースト、すなわち銅ペーストや銀ペーストのような金属ペースト、あるいはカーボンペースト等がある。この他にも熱の導体を含む貼り付け材やスプレー剤を用いることもできる。
【0085】
前記潤滑材料に金属ペーストやカーボンペースト等を用いる場合、胴本体2へ中性子遮蔽容器3を取り付ける作業中に内筒4と胴本体2とが接触すると、潤滑材料が内筒4の端部に溜まってしまい、内筒4と胴本体2との間へ入らないおそれがある。このため、本実施形態では、胴本体2の胴部2Aの外面に、胴部2Aの周方向に向かう凹部2Asを設けて、潤滑材料溜めを形成する。これによって、潤滑材料が内筒4と胴本体2との間に入り込むようにすることができる。なお、凹部2Asは、放射性物質格納容器1の中心軸Z方向に対して複数設けることが好ましい。これによって、放射性物質格納容器1の中心軸Z方向に対する潤滑材料の偏在を抑制できる。
【0086】
図12−1〜図12−4は、本実施形態に係る放射性物質格納容器の底部の構成例を示す説明図である。放射性物質格納容器1は、胴本体2に中性子遮蔽容器3を組み付ける構成である。このため、中性子遮蔽機能を有する構造物を胴本体へ直接取り付ける構成と比較して、中性子遮蔽容器3の内筒4の肉厚分だけ胴本体2の外径が小さくなる。その結果、胴本体2の底部の外径も小さくなるため、放射性物質格納容器1の転倒に対する抵抗が難しくなる。これによって、放射性物質格納容器1の転倒を防止する下部トラニオンと放射性物質格納容器1を載置する保管床を連結する固定具に大きい荷重が作用するおそれがある。これを解消するためには、胴本体2の底部2Bの外径を大きくして、転倒に対する抵抗を強化することが好ましい。
【0087】
ここで、放射性物質格納容器1の胴本体2は鋳鉄なので、胴本体2の底部2Bへ溶接によって構造物を接合し、底部2Bの外径を大きくする手法を採用することはできない。ここでは、胴本体2の底部2Bの側面と嵌合するとともに内部に中性子遮蔽体14を格納する底部構造体16を底部2Bへ取り付ける。
【0088】
底部構造体16は、筒状部材16tと、筒状部材16tの端部に設けられる底板16pとで構成される。筒状部材16tの一方の端部は胴本体2の底部2Bに取り付けられるが、底板16pは、筒状部材16tの底部2B側とは反対側の端部に取り付けられる。筒状部材16tの底部2Bにおける端部には開口部が設けられており、この開口部から中性子遮蔽体14を筒状部材16tと底板16pとで囲まれる空間に配置する。なお、中性子遮蔽体14を底部構造体16の内部に格納した後、前記開口部を板等によって封止してもよい。
【0089】
底部構造体16を構成する筒状部材16tの外径は、中性子遮蔽容器3の内筒4の外径と同じ大きさとする。そして、筒状部材16tと内筒4とを溶接等の接合手段によって接合する。これにより、胴本体2の底部2Bの外径を、中性子遮蔽容器3の内筒4の外径と同じ大きさまで増加できるので、転倒に対する抵抗を強化できる。また、放射性物質格納容器1がその使命を終えて、解体される際には、放射化されにくい範囲の構造体(胴本体2の底部2Bに設けられる筒状部材16t)を容易に解体して、容易にリサイクルできるようになる。また、底部構造体16を構成する筒状部材16tは、胴本体2の底部2Bの側面と嵌合するので、底部構造体16の内部は密封される。これによって、底部構造体16の内部への水の侵入を回避できるので、底部構造体16の内部が腐食するおそれを低減できる。
【0090】
図12−2に示す底部構造体16aは、筒状部材16atと、筒状部材16atの端部に設けられる底板16apとで構成される。図12−2に示す放射性物質格納容器の底部は、胴本体2の底部2Baの底部構造体16aと対向する面に突起部2Batを設けた構成である。そして、底部構造体16aを構成する筒状部材16atの底部2Baと対向する端部に形成した凹部16sと突起部2Batとを嵌め合わせる。これによって、底部構造体16aを胴本体2の底部2Baへより確実に固定できる。また、底部構造体16aが地面に衝突する態様で放射性物質格納容器1が落下した場合には、凹部16sと突起部2Batとがかみ合うことによって、底部2Baと底部構造体16aとのずれや分離を抑制できる。このように、本構成によれば、放射性物質格納容器1を堅牢な構造にすることができる。
【0091】
図12−3に示す底部構造体16bは、筒状部材16btと、筒状部材16btの端部に設けられる底板16bpとで構成される。図12−3に示す放射性物質格納容器1において、底部構造体16bを構成する筒状部材16btは、中性子遮蔽容器3の内筒4と接する部分が筒状部材16btの径方向に張り出したフランジ部17を有する。フランジ部17によって、中性子遮蔽容器3の第2端版6Bと底部構造体16bとの接する面積が大きくなるので、放射性物質格納容器1を堅牢に構成できる。
【0092】
図12−4に示す底部構造体16cは、筒状部材16ctと、筒状部材16ctの端部に設けられる底板16cpとで構成される。図12−4に示す放射性物質格納容器1において、底部構造体16cを構成する筒状部材16ctは、中性子遮蔽容器3の内筒4と接する部分が、図12−3に示す筒状部材16btよりもさらに筒状部材16ctの径方向に張り出したフランジ部17cを有する。このフランジ部17cは、中性子遮蔽容器3の外筒5まで張り出しており、フランジ部17cが中性子遮蔽容器3の底部2Bにおける端版となる。これによって、図12−3に示す中性子遮蔽容器3で必要であった第2端版6Bが不要になるので、部品点数の削減によるコスト低減及び軽量化といった効果が得られる。
【0093】
ここで、放射性物質格納容器1にリサイクル燃料を格納した状態において、中性子遮蔽容器3の熱伸びは、胴本体2の熱伸びと比較して等しいか負となるように構成することが好ましい。これによって、放射性物質格納容器1にリサイクル燃料を格納した後でも、中性子遮蔽容器3と胴本体2との密着状態を確保できるので、胴本体2から中性子遮蔽容器3への伝熱を確保できる。この場合、中性子遮蔽容器3の熱伸びは、胴本体2の熱伸びと比較して極端に小さくならないように設定する。これによって、熱伸びの絶対値が大きくなりすぎることに起因する中性子遮蔽容器3や胴本体2の耐久性低下を抑制できる。
【0094】
次に、放射性物質格納容器1の製造方法の一例を説明する。
(第1の製造方法例)
(1)放射性物質格納容器1の胴本体2を鋳造により製造する。この場合、胴部2Aと底部2Bとが一体となった有底一体の容器として胴本体2を製造する。なお、胴本体2の材料は鋳鉄を用いる。
(2)胴本体2の外面を所定形状に切削や研磨等の機械加工によって、必要な精度を確保する。このとき、図11に示すように、切削加工等によって、胴本体2の胴部2Aの外面に胴部2Aの周方向に向かう凹部2Asを複数設けて、潤滑材料溜めを形成することが好ましい(以下の例でも同様)。
(3)胴本体2の外形状に合う内形状を有する内筒4を製造する。また、内筒4の外側に配置される外筒5を製造する。例えば、曲げ加工した鋼板の端部同士を溶接等によって接合することにより、筒状の内筒4及び外筒5を製造する。
(4)内筒4と外筒5との間に伝熱フィン7を溶接等の接合手段で取り付ける。このとき、第1端版6T又は第2端版6Bのいずれか一方も内筒4の端部と外筒5の端部とに接合しておく。この後、熱応力を除去するため、溶接後の構造物に焼き鈍し等の熱処理を施す。
(5)内筒4と外筒5と伝熱フィン7との間に形成される空間へ、液状の中性子遮蔽体8を鋳込む。あるいは予め前記空間の形状に合わせて固化、成型した中性子遮蔽体8を前記空間へ挿入する。
(6)中性子遮蔽体8を鋳込む場合は鋳込み口を封止する。成型した中性子遮蔽体8を挿入する場合は、既に取り付けた端版とは異なる端板を取り付ける。
(7)胴本体2へ中性子遮蔽容器3を取り付ける。この場合、中性子遮蔽容器3には既に中性子遮蔽体8が配置されているので、胴本体2を冷却する冷やし嵌めを用いる。なお、胴本体2の外周部に上述した潤滑剤を塗布する、あるいは中性子遮蔽容器3の内周部に上述した潤滑材料を塗布して、胴本体2へ中性子遮蔽容器3を取り付ける際には、両者の間に潤滑材料を介在させることが好ましい。
(8)キー10を取り付ける。トラニオン10dをキー10の代わりにする場合はトラニオン10dを付ける。なお、キー10を使用しない場合には、キー10の取り付けは不要である。
上記手順によって、放射性物質格納容器1が完成する。この方法では、冷やし嵌めを用いるので、既に中性子遮蔽容器3に配置された中性子遮蔽体8の耐熱温度を上回ることなく施工できる。
【0095】
(第2の製造方法例)
(1)放射性物質格納容器1の胴本体2を鋳造により製造する。この場合、胴部2Aと底部2Bとが一体となった有底一体の容器として胴本体2を製造する。なお、胴本体2の材料は鋳鉄を用いる。
(2)胴本体2の外面を所定形状に切削や研磨等の機械加工によって、必要な精度を確保する。
(3)胴本体2の外形状に合う内形状を有する内筒4を製造する。また、内筒4の外側に配置される外筒5を製造する。例えば、曲げ加工した鋼板の端部同士を溶接等によって接合することにより、筒状の内筒4及び外筒5を製造する。
(4)内筒4と外筒5との間に伝熱フィン7を溶接等の接合手段で取り付ける。このとき、第1端版6T又は第2端版6Bのいずれか一方も内筒4の端部と外筒5の端部とに接合しておく。この後、熱応力を除去するため、溶接後の構造物に焼き鈍し等の熱処理を施す。
(5)胴本体2へ中性子遮蔽容器3を取り付ける。この場合、中性子遮蔽容器3には、まだ中性子遮蔽体8が配置されていないので、胴本体2を冷却する冷やし嵌めを用いてもよいし、中性子遮蔽容器3を加熱する焼き嵌めを用いてもよいし、両者を併用してもよい。なお、胴本体2の外周部に上述した潤滑剤を塗布する、あるいは中性子遮蔽容器3の内周部に上述した潤滑材料を塗布して、胴本体2へ中性子遮蔽容器3を取り付ける際には、両者の間に潤滑材料を介在させることが好ましい。
(6)キー10を取り付ける。トラニオン10dをキー10の代わりにする場合はトラニオン10dを付ける。なお、キー10を使用しない場合には、キー10の取り付けは不要である。
(7)内筒4と外筒5と伝熱フィン7との間に形成される空間へ、液状の中性子遮蔽体8を鋳込む。あるいは予め前記空間の形状に合わせて固化、成型した中性子遮蔽体8を前記空間へ挿入する。
(8)中性子遮蔽体8を鋳込む場合は鋳込み口を封止する。成型した中性子遮蔽体8を挿入する場合は、既に取り付けた端版とは異なる端板を取り付ける。
上記手順によって、放射性物質格納容器1が完成する。この方法では、中性子遮蔽容器3を胴本体2へ取り付けた後に中性子遮蔽体8を内筒4と外筒5と伝熱フィン7との間に形成される空間へ配置するので、中性子遮蔽体の温度制限もなくなる。この手法は、安価な放射性物質格納容器1を作る上で非常に有効である。また、焼き嵌めを用いる場合、胴本体2と比較して熱容量の小さい中性子遮蔽容器3を加熱するので、加熱に要するエネルギーを低減できる。
【0096】
(第3の製造方法例)
(1)放射性物質格納容器1の胴本体2を鋳造により製造する。この場合、胴部2Aと底部2Bとが一体となった有底一体の容器として胴本体2を製造する。なお、胴本体2の材料は鋳鉄を用いる。
(2)胴本体2の外面を所定形状に切削や研磨等の機械加工によって、必要な精度を確保する。
(3)胴本体2の外形状に合う内形状を有する内筒4を製造する。例えば、曲げ加工した鋼板の端部同士を溶接等によって接合することにより、筒状の内筒4を製造する。
(4)胴本体2へ内筒4を取り付ける。この場合、胴本体2を冷却する冷やし嵌めを用いてもよいし、内筒4を加熱する焼き嵌めを用いてもよい。なお、胴本体2の外周部に上述した潤滑剤を塗布する、あるいは内筒4の内周部に上述した潤滑材料を塗布して、胴本体2へ内筒4を取り付ける際には、両者の間に潤滑材料を介在させることが好ましい。
(5)内筒4の外側に伝熱フィン7を溶接等の接合手段で取り付ける。また、内筒4の両端部に第1端版6Tと第2端版6Bとの少なくとも一方を溶接等の接合手段で取り付ける。固化、成型した中性子遮蔽体8を用いる場合には、第1端版6T又は第2端版6Bのいずれか一方を内筒4の一方の端部に取り付ける。液状の中性子遮蔽体8を鋳込む場合には、第1端版6T及び第2端版6Bを内筒4のそれぞれの端部に取り付ける。この場合、中性子遮蔽体8の鋳込み口を第1端版6Tと第2端版6Bと外筒5との少なくとも一つに設ける。
(6)キー10を取り付ける。トラニオン10dをキー10の代わりにする場合はトラニオン10dを付ける。なお、キー10を使用しない場合には、キー10の取り付けは不要である。
(7)曲げ加工した鋼板の端部同士を溶接等によって接合することにより製造した筒状の外筒5を内筒4の外側に配置し、溶接等の接合手段によって伝熱フィン7及び端版を外筒5に接合する。
(8)内筒4と外筒5と伝熱フィン7との間に形成される空間へ、液状の中性子遮蔽体8を鋳込む。あるいは予め前記空間の形状に合わせて固化、成型した中性子遮蔽体8を前記空間へ挿入する。
(9)中性子遮蔽体8を鋳込む場合は鋳込み口を封止する。成型した中性子遮蔽体8を挿入する場合は、既に取り付けた端版とは異なる端板を取り付ける。
上記手順によって、放射性物質格納容器1が完成する。この方法では、また、焼き嵌めを用いる場合、中性子遮蔽容器3と比較して熱容量の小さい中性子遮蔽容器3の内筒4を加熱するので、加熱に要するエネルギーをより低減できる。
【0097】
(第4の製造方法例)
(1)放射性物質格納容器1の胴本体2を鋳造により製造する。この場合、胴部2Aと底部2Bとが一体となった有底一体の容器として胴本体2を製造する。なお、胴本体2の材料は鋳鉄を用いる。
(2)胴本体2の外面を所定形状に切削や研磨等の機械加工によって、必要な精度を確保する。
(3)胴本体2の外形状に合う内形状を有する内筒4を製造する。例えば、曲げ加工した鋼板の端部同士を溶接等によって接合することにより、筒状の内筒4を製造する。
(4)胴本体2へ内筒4を取り付ける。この場合、胴本体2を冷却する冷やし嵌めを用いてもよいし、内筒4を加熱する焼き嵌めを用いてもよい。なお、胴本体2の外周部に上述した潤滑剤を塗布する、あるいは内筒4の内周部に上述した潤滑材料を塗布して、胴本体2へ内筒4を取り付ける際には、両者の間に潤滑材料を介在させることが好ましい。
(5)胴本体2のフランジ部2F側における内筒4の端部に、第1端版6Tを溶接等の接合手段で取り付ける。
(6)キー10を取り付ける。トラニオン10dをキー10の代わりにする場合はトラニオン10dを付ける。なお、キー10を使用しない場合には、キー10の取り付けは不要である。
(7)曲げ加工した鋼板の端部同士を溶接等によって接合することにより製造した筒状の外筒5の内側に、伝熱フィン7を溶接等の接合手段で取り付ける。
(8)内側に伝熱フィン7を取り付けた外筒5を内筒4の外側に配置し、伝熱フィン7を溶接等の接合手段で内筒4の外側に取り付ける。また、第1端版を外筒5の一方の端部へ溶接等の接合手段で内筒4の外側に取り付ける。固化、成型した中性子遮蔽体8を用いる場合には、第2端版6Bは内筒4、外筒5には取り付けない。液状の中性子遮蔽体8を鋳込む場合には、第2端版6Bを、胴本体2の底部2B側における内筒4の端部及び外筒5の端部に取り付ける。この場合、中性子遮蔽体8の鋳込み口を第1端版6Tと第2端版6Bと外筒5との少なくとも一つに設ける。
(9)内筒4と外筒5と伝熱フィン7との間に形成される空間へ、液状の中性子遮蔽体8を鋳込む。あるいは予め前記空間の形状に合わせて固化、成型した中性子遮蔽体8を前記空間へ挿入する。
(10)中性子遮蔽体8を鋳込む場合は鋳込み口を封止する。成型した中性子遮蔽体8を挿入する場合は、既に取り付けた端版とは異なる端板を取り付ける。
上記手順によって、放射性物質格納容器1が完成する。
【0098】
本実施形態では、鋳鉄を材料とした鋳造により胴本体2を一体成形するが、胴本体2の材料としては鋳鋼を用いてもよい。鋳鋼は溶接が可能なので、鋳型による成形後に素材の欠陥が見つかっても溶接で欠陥部を解消できる利点がある。また、鋼やステンレス鋼のビレットを鍛造することによって、胴本体2を一体成型してもよい。さらに、胴本体2は、胴部2Aと底部2Bとを別部材として用意し、両者を溶接等で接合して有底の底付き容器としてもよい。
【0099】
(第1変形例)
図13は、本実施形態に係る放射性物質格納容器の軸を通る平面で切った本実施形態の第1変形例に係る放射性物質格納容器を示す断面図である。図14−1は、本実施形態に係る中性子遮蔽容器が取り付けられた状態を示す図13のA−A矢視図である。図14−2は、本実施形態に係る中性子遮蔽容器が取り付けられていない状態を示す図13のA−A矢視図である。本変形例に係る放射性物質格納容器1aは、上記実施形態に係る放射性物質格納容器1と略同様の構成であるが、中性子遮蔽容器3aを放射性物質格納容器1aの中心軸Z方向(すなわち放射性物質格納容器1aの長手方向)に分割した点が異なる。その他の構成は上記実施形態と同様なので、同一の構成要素には同一の符号を付すとともに、同一の構成、作用及び効果の説明は省略する。
【0100】
中性子遮蔽容器3aは、放射性物質格納容器1aの中心軸Z方向、すなわち放射性物質格納容器1aの長手方向に分割されている。本変形例に係る放射性物質格納容器1aは、図14−1、図14−2に示すように、トラニオン取付座2Pが胴本体2に設けられている。トラニオン取付座2Pは、胴本体2の一部を平面に形成して構成される。
【0101】
胴本体2のトラニオン取付座2Pが形成される部分の断面形状は非円形であり、トラニオン取付座2Pが形成される部分以外の部分の断面形状は円形である。このように、放射性物質格納容器1の中心軸Z方向において胴本体2の断面形状が異なる場合には、中性子遮蔽容器3aの内筒4の断面形状も放射性物質格納容器1の中心軸Z方向において異ならせる必要がある。この場合、中性子遮蔽容器及びその内筒を一体で製造することは困難である。
【0102】
そこで、本変形例では、トラニオン取付座2Pを胴本体2に形成する場合、中性子遮蔽容器3aを放射性物質格納容器1の中心軸Z方向で分割し、中性子遮蔽容器3aをトラニオン取付座2Pが形成される部分とそれ以外の部分とに分けて構成する。これによって、放射性物質格納容器1の中心軸Z方向において胴本体2の断面形状が異なる場合であっても、それぞれの部分に合わせて中性子遮蔽容器3aを製造すればよいので、中性子遮蔽容器3aを容易に製造できる。
【0103】
中性子遮蔽容器3aは、トラニオン取付座2Pが形成される部分に取り付ける第1中性子遮蔽容器3atと、トラニオン取付座2Pが形成される部分以外の部分に取り付ける第2中性子遮蔽容器3amとで構成される。胴本体2のトラニオン取付座2Pが形成される部分の断面形状は非円形となる。したがって、中性子遮蔽容器3aの内筒4atの内側形状も、この部分の外側形状に合わせて平面と曲面とで構成される。
【0104】
ここで、本変形例に係る放射性物質格納容器1aは、胴本体2のトラニオン取付座2Pが形成される部分において、トラニオン取付座2Pが形成される部分は、図13のB−B断面よりも径方向の寸法が小さくなる。このため、トラニオン取付座2Pに配置される第1中性子遮蔽容器3atは、その周方向に分割して胴本体2に取り付ける。本変形例では、第1中性子遮蔽容器3atを、その周方向に4分割している。すなわち、第1中性子遮蔽容器3atは、第1中性子遮蔽容器分割体3at1、3at2、3at3、3at4で構成される。なお、第1中性子遮蔽容器3atは、4分割に限定されるものではなく、2分割、3分割等、胴本体2の外形状に応じて適切な分割数を選択できる。本変形例は、胴本体2の形状が特異であって、中性子遮蔽容器3aを放射性物質格納容器1aの中心軸Z方向に分割するだけでは対処しきれない場合に有効である。
【0105】
第1中性子遮蔽容器3atを分割する位置を、平面に形成されるトラニオン取付座2Pの部分、すなわち、胴本体2に平面が形成される部分に配置する。これによって、分割された第1中性子遮蔽容器3atは胴本体2の外形状に合わせても容易に胴本体2に寄せることができる。そして、第1中性子遮蔽容器分割体3at1、3at2、3at3、3at4を溶接等の接合手段により接合すれば、溶接部の収縮により、第1中性子遮蔽容器3atは胴本体2に押し付けられるため、第1中性子遮蔽容器3atと胴本体2との隙間を最小限に抑えることができる。これによって、胴本体2から第1中性子遮蔽容器3atへの伝熱効率の低下を抑制できる。
【0106】
第1中性子遮蔽容器3atが取り付けられる部分は、トラニオン取付座2Pを設けて、放射性物質格納容器1aからのトラニオンの突出を最小限に抑える。トラニオン取付座2Pは平面に形成され、図13のB−B断面よりも径方向の寸法が小さくなる。このため、この部分の中性子遮蔽体8atは他の部分と比較すると薄くなり、放射性物質格納容器1aに格納するリサイクル燃料の放射線量によっては、この部分で遮蔽能力が不足するおそれもある。
【0107】
したがって、トラニオン取付座2Pが設けられる部分に配置される第1中性子遮蔽容器3atの中性子遮蔽体8atは、他の部分、すなわち第2中性子遮蔽容器3amの中性子遮蔽体8amよりも中性子遮蔽能の高い材料を用いることが好ましい。すなわち、第1中性子遮蔽容器3at内の中性子遮蔽体8atの水素含有量を、第2中性子遮蔽容器3am内の中性子遮蔽体8amの水素含有量よりも高くすることが好ましい。例えば、第1中性子遮蔽容器3at内の中性子遮蔽体8atにはポリエチレンに代表される中性子遮蔽材料を用い、第2中性子遮蔽容器3am内の中性子遮蔽体8amにはエポキシ樹脂を用いる。これによって、トラニオン取付座2Pを設けた部分においても、確実に中性子を遮蔽できる。
【0108】
なお、本変形例では、中性子遮蔽容器3aを分割構造としているが、図3に示す中性子遮蔽容器3のように、分割構造を採用しない場合であっても、トラニオン取付座2Pが設けられる部分に配置される中性子遮蔽体8atは、他の部分に配置される中性子遮蔽体8amよりも中性子遮蔽能の高い材料、すなわち水素含有量の高い材料を用いることが好ましい。これによって、トラニオン取付座2Pを形成した場合であっても、放射性物質格納容器1aの中心軸Z方向において、中性子遮蔽能を維持できる。また、胴本体2の底部2B側にもトラニオン取付座を設ける場合、この部分に配置される中性子遮蔽体は、他の部分に配置される中性子遮蔽体よりも中性子遮蔽能の高い材料、すなわち水素含有量の高い材料を用いることが好ましい。
【0109】
図15は、中性子遮蔽容器の分割部の拡大図である。図15に示すように、第1中性子遮蔽容器3atと第2中性子遮蔽容器3amとの間は、樹脂等の封止部材20によって密封することが好ましい。これによって、中性子遮蔽容器3aが取り付けられた放射性物質格納容器1aを燃料収納プールに沈めた場合でも、第1中性子遮蔽容器3atと第2中性子遮蔽容器3amとの間からの浸水を回避できる。本変形例では、第1中性子遮蔽容器3atに、その周方向に向かう凹部3asを形成し、この凹部3asに封止部材20を設ける。このような構造により、封止部材が中性子遮蔽容器3aの表面から突出する量を低減できる。
【0110】
図16−1、図16−2は、本実施形態の第1変形例に係る中性子遮蔽容器の分割部の構成例を示す拡大図である。中性子遮蔽容器3aを第1中性子遮蔽容器3atと第2中性子遮蔽容器3amとに分割する場合、図16−1に示すように、第1中性子遮蔽容器3atと第2中性子遮蔽容器3amとの接続部を、放射性物質格納容器1aの中心軸Zに対して傾斜させる。本変形例では、第1中性子遮蔽容器3atの第2中性子遮蔽容器3am側の端版23、及び第2中性子遮蔽容器3amの第1中性子遮蔽容器3at側の端版24を、放射性物質格納容器1aの中心軸Zに対して傾斜させる。
【0111】
また、図16−2に示すように、第1中性子遮蔽容器3atと第2中性子遮蔽容器3amとの接続部を、放射性物質格納容器1aの中心軸Zに対して傾斜する階段状に形成してもよい。この場合、第1中性子遮蔽容器3atの第2中性子遮蔽容器3am側の端版25、及び第2中性子遮蔽容器3amの第1中性子遮蔽容器3at側の端版26を、放射性物質格納容器1aの中心軸Zに対して傾斜する階段状に形成する。
【0112】
これによって、図16−1、図16−2に示すように、第1中性子遮蔽容器3atと第2中性子遮蔽容器3amとの接続部における胴本体2の径方向外側には、第1中性子遮蔽体8atと第2中性子遮蔽体8amとの少なくとも一方が存在する。その結果、リサイクル燃料からの中性子を確実に遮蔽できる。ここで、図16−1に示す例では、特定の方向に中性子が漏れるおそれがあるが、蓋部側はリサイクル燃料集合体の非発熱部の領域となるので、中性子の少ない方向からの漏れとなり、容器表面の中性子の線量を押し上げることはない。
【0113】
これによって、図16−2に示すように、第1中性子遮蔽容器3atと第2中性子遮蔽容器3amとの接続部における胴本体2の径方向外側には、第1中性子遮蔽体8atと第2中性子遮蔽体8amとの少なくとも一方が存在する。その結果、リサイクル燃料からの中性子を確実に遮蔽できる。
【0114】
(第2変形例)
図17は、本実施形態に係る放射性物質格納容器の軸を通る平面で切った本実施形態の第2変形例に係る放射性物質格納容器を示す断面図である。本変形例に係る放射性物質格納容器1bは、上記実施形態の第1変形例に係る放射性物質格納容器1aと略同様の構成であるが、中性子遮蔽容器3bを放射性物質格納容器1aの中心軸Z方向(すなわち放射性物質格納容器1aの長手方向)にさらに分割した点が異なる。その他の構成は上記変形例と同様なので、同一の構成要素には同一の符号を付すとともに、同一の構成、作用及び効果の説明は省略する。
【0115】
中性子遮蔽容器3bは、放射性物質格納容器1bの中心軸Z方向、すなわち放射性物質格納容器1bの長手方向に3分割されている。すなわち、中性子遮蔽容器3bは、フランジ部2Fb側と、胴部2A部分と、底部2B部分とにそれぞれ対応する第1中性子遮蔽容器3bt、第2中性子遮蔽容器3bm、第3中性子遮蔽容器3bnに分割される。第1中性子遮蔽容器3bt、第2中性子遮蔽容器3bm、第3中性子遮蔽容器3bnの内部には、それぞれ第1中性子遮蔽体8bt、第2中性子遮蔽体8bm、第3中性子遮蔽体8bnが配置される。このように、放射性物質格納容器の仕様に応じて、中性子遮蔽容器の分割数は適宜変更できる。
【0116】
(第3変形例)
図18は、本実施形態に係る放射性物質格納容器の軸を通る平面で切った本実施形態の第3変形例に係る放射性物質格納容器を示す断面図である。本変形例に係る放射性物質格納容器1cは、上記実施形態に係る放射性物質格納容器1と略同様の構成であるが、胴本体2の胴部2Acのフランジ部2Fc側を階段状に形成し、段階的にフランジ部2Fcの外径にするとともに、中性子遮蔽容器3cの内形状を胴本体2cの外形状に合わせて構成する点が異なる。その他の構成は上記実施形態と同様なので、同一の構成要素には同一の符号を付すとともに、同一の構成、作用及び効果の説明は省略する。
【0117】
胴本体2cの開口部2Hc側の内面には、一次蓋11等を固定するために多段の平坦部やねじ穴等が加工される。また、胴本体2cの外側には、トラニオンを取り付けるための平坦部が加工される。このため、胴本体2cの開口部2Hc側は応力集中を生じやすい形状をしている。輸送中の放射性物質格納容器1cが落下したり衝突したりした場合、胴本体2cに対する外力や胴本体2cの自重に起因する負荷により、胴本体2cの形状が急変する部分には応力集中が生ずる。この応力集中は、形状によって集中する度合いが変化する。
【0118】
このため、応力集中の度合いを軽減する目的で、本変形例に係る放射性物質格納容器1cの胴本体2cは、内形状が複雑な開口部2Hc側に段部2Dを設けることにより、この部分の外形状を階段状に形成し、胴部2Acの直径が段階的にフランジ部2Fcの直径となるように胴本体2cを構成する。これによって、開口部2Hc側で、所定の胴本体2cの厚さC1、C2を確保している。そして、放射性物質格納容器1cの構造の健全性を確保している。
【0119】
本変形例では、中性子遮蔽容器3cの内筒4cの内形状を胴本体2cの外形状に合わせた形状としている。すなわち、胴本体2cの開口部2Hc側における胴部2Acの外形状を階段状に形成しているので、この部分の内筒4cの内形状も階段状に形成される。これによって、中性子遮蔽容器3cを構成する内筒4cの全面にわたって内筒4cと外筒5cとが接触するので、伝熱性能を確保できる。
【0120】
中性子遮蔽容器3cは、フランジ部2Fc側の第1中性子遮蔽部3ctと、底部2Bc側の第2中性子遮蔽部3cmとで構成される。第1中性子遮蔽部3ct内の中性子遮蔽体を第1中性子遮蔽部遮蔽体8ctといい、第2中性子遮蔽部3cm内の中性子遮蔽体を第2中性子遮蔽部遮蔽体8cmという。本変形例では、フランジ部2Fcに中性子遮蔽容器3cの第1端版6Tを当接させることで、中性子遮蔽容器3cのフランジ部2Fc側への動きを規制している。
【0121】
第1中性子遮蔽部3ctのフランジ部2Fc側、すなわち、第1端版6T側と第1中性子遮蔽部遮蔽体8ctとの間には、昇温に起因する第1中性子遮蔽部遮蔽体8ctの膨張を吸収するための熱膨張吸収層9Tが設けられる。また、第2中性子遮蔽部3cmを構成する外筒5cmの径方向外側にも、昇温に起因する第2中性子遮蔽部遮蔽体8cmの膨張を吸収するための熱膨張吸収層9A1、9A2が設けられる。熱膨張吸収層9T、9A1、9A2には、例えば、アルミニウム合金のハニカムのような、熱伝導性の良好な弾性体を配置することが好ましい。このようにすれば、第1中性子遮蔽部遮蔽体8ctと第1端版6Tとの間や第2中性子遮蔽部遮蔽体8cmと外筒5cmとの間の伝熱を確保できる。
【0122】
本変形例では、放射性物質格納容器1cの中心軸Z方向全域にわたって第2中性子遮蔽部3cmの径方向外側に熱膨張吸収層を設けるのではなく、図18に示すように、第2中性子遮蔽部3cmのフランジ部2Fc側及び底部2Bc側にのみ熱膨張吸収層9A1、9A2を設ける。あるいは、第2中性子遮蔽部3cmのフランジ部2Fc側と底部2Bc側との間における熱膨張吸収層の厚さ(中性子遮蔽容器3cの径方向の寸法)を、フランジ部2Fc側及び底部2Bc側の熱膨張吸収層9A1、9A2よりも小さくする。これによって、第2中性子遮蔽部3cmの中央部分における第2中性子遮蔽部遮蔽体8cmの厚さを確保する。
【0123】
放射性物質格納容器1cの胴本体内部空間2Icにリサイクル燃料集合体の形で格納されるリサイクル燃料は、長手方向中央部の中性子密度が高くなるので、中性子遮蔽容器3cもこの部分における中性子遮蔽能を高くすることが好ましい。第2中性子遮蔽部3cmに、上述したように熱膨張吸収層9A1、9A2を形成することで、中性子密度が最も高くなる部分に厚い第2中性子遮蔽部遮蔽体8cmを配置できるので、中性子遮蔽体の熱膨張を抑制しつつ、リサイクル燃料からの中性子を確実に遮蔽できる。
【0124】
(第4変形例)
図19は、本実施形態に係る放射性物質格納容器の軸を通る平面で切った本実施形態の第4変形例に係る放射性物質格納容器を示す断面図である。本変形例に係る放射性物質格納容器1dは、上記実施形態の第3変形例に係る放射性物質格納容器1cと略同様の構成であるが、中性子遮蔽容器3bを放射性物質格納容器1dの中心軸Z方向(すなわち放射性物質格納容器1dの長手方向)で分割した点が異なる。その他の構成は上記変形例と同様なので、同一の構成要素には同一の符号を付すとともに、同一の構成、作用及び効果の説明は省略する。
【0125】
上述したように、胴本体2dの開口部2Hd側は応力集中を生じやすい形状をしている。このため、応力集中の度合いを軽減する目的で、本変形例に係る放射性物質格納容器1dの胴本体2dは、内形状が複雑な開口部2Hd側の外側に段部2Dを設けることにより、この部分の外形状を階段状に形成して、胴部2Adの直径が段階的にフランジ部2Fdの直径となるように胴本体2dを構成する。
【0126】
中性子遮蔽容器3dは、段部2Dとフランジ部2Fdとの間に配置される第1中性子遮蔽容器3dtと、段部2Dと底部2Bdとの間に配置される第2中性子遮蔽容器3dmとで構成される。段部2Dとフランジ部2Fdとの間に上述したトラニオン取付座が形成されると、第1中性子遮蔽容器3dtが備える中性子遮蔽体8dtの厚さは、第2中性子遮蔽容器3dmが備える中性子遮蔽体8dmの厚さよりも小さくなってしまう。
【0127】
第1中性子遮蔽容器3dtの内筒4dtの厚さを第2中性子遮蔽容器3dmの内筒4dmの厚さと同じ大きさにすると、第1中性子遮蔽容器3dtが備える中性子遮蔽体8dtの厚さはさらに小さくなり、中性子遮蔽機能が不十分になるおそれがある。このため、第1中性子遮蔽容器3dtの内筒4dtの厚さを第2中性子遮蔽容器3dmの内筒4dmの厚さよりも小さくする必要があるが、厚さの異なる内筒4dt、4dmを一体で連続して製造することは困難である。これに加えて、内筒4dt、4dmは、段部2Dに合わせた形状とする必要があるので、開口部2Hd側の外側に段部2Dを設けた胴本体2dを備える放射性物質格納容器1dにおいては、中性子遮蔽容器3dを一体で製造することは困難である。
【0128】
これを回避するため、本変形例では、中性子遮蔽容器3dを、第1中性子遮蔽容器3dtと第2中性子遮蔽容器3dmとで構成し、それぞれの部分に要求される機能を発揮できるようにした。段部2Dとフランジ部2Fdとの間には、トラニオン取付座等が形成されて形状が複雑になるが、この部分には第1中性子遮蔽容器3dtを配置する。第1中性子遮蔽容器3dtは、放射性物質格納容器1dの中心軸Z方向の寸法が小さいので、第1中性子遮蔽容器3dt自体の剛性は低くてよい。したがって、これを構成する内筒4dtを薄肉化して、中性子遮蔽体8dtの厚さを確保できる。その結果、第1中性子遮蔽容器3dtが取り付けられる部分においても、中性子遮蔽機能を確保できる。また、第1中性子遮蔽容器3dtは、放射性物質格納容器1dの中心軸Z方向の寸法が小さいので、製造も比較的容易になり、複雑な形状にも対応しやすくなる。
【0129】
(第5変形例)
図20は、本実施形態の第5変形例に係る放射性物質格納容器のフランジ部付近を示す拡大図である。本変形例に係る放射性物質格納容器1eは、上記第2変形例に係る放射性物質格納容器1aと略同様の構成であるが、フランジ部2Feを放射性物質格納容器1eの中心軸Zに対して傾斜させた点が異なる。その他の構成は上記変形例と同様なので、同一の構成要素には同一の符号を付すとともに、同一の構成、作用及び効果の説明は省略する。
【0130】
放射性物質格納容器1eの胴本体2aのフランジ部2Feと胴部2Aeとの間には、放射性物質格納容器1eの中心軸Zに対して傾斜した傾斜部Yが設けられている。これによって、胴部2Aeとフランジ部2Feとの間の応力が緩和される。また、胴本体2eに取り付けられる中性子遮蔽容器3eを、第1中性子遮蔽容器3etと第2中性子遮蔽容器3emとで構成する。
【0131】
第1中性子遮蔽容器3etのフランジ部2Fe側は、フランジ部2Feの傾斜部Yに合わせた形状となっている。すなわち、第1中性子遮蔽容器3etのフランジ部2Fe側は、放射性物質格納容器1eの中心軸Zに対して傾斜している。これによって、フランジ部2Feと第1中性子遮蔽容器3etとが確実に接触するとともに、両者の接触面積が大きくなるので、放射性物質格納容器1eの中心軸Z方向の荷重を受けやすくなる。
【0132】
また、第1中性子遮蔽容器3etの第2中性子遮蔽容器3em側、及び第2中性子遮蔽容器3emの第2中性子遮蔽容器3et側も、放射性物質格納容器1eの中心軸Zに対して傾斜している。これによって、フランジ部2Feと第1中性子遮蔽容器3etとの接触面積が大きくなるので、放射性物質格納容器1eの中心軸Z方向の荷重を受けやすくなる。
【0133】
以上、本実施形態及びその変形例に係る放射性物質格納容器1は、内部にリサイクル燃料を格納する金属の胴本体と、前記胴本体の外側に嵌め合わされて取り付けられる筒状の内側部材とこの内側部材の外側に配置される筒状の外側部材と内側部材と外側部材とをつなぐ伝熱部材とを有する中性子遮蔽容器と、前記中性子遮蔽容器の内部に配置されると中性子遮蔽体と、を含む。このように、中性子遮蔽容器は、胴本体に嵌め合わされて取り付けられるので、内側部材を胴本体から取り外すことにより、放射性物質格納容器を簡易に解体できる。
【符号の説明】
【0134】
1、1a、1b、1c、1d、1e 放射性物質格納容器
2P トラニオン取付座
2F、2Fc、2Fd フランジ部
2H、2Hc、2Hd 開口部
2D 段部
2B、2Bd 底部
2A、2Aa、2Ac、2Ae 胴部
2、2a、2c、2d 胴本体
2I、2Ic 胴本体内部空間
3、3a、3b、3c、3d、3e 中性子遮蔽容器
3at、3bt、3dt、3et 第1中性子遮蔽容器
3am、3bm、3dm、3em 第2中性子遮蔽容器
3ct 第1中性子遮蔽部
3cm 第2中性子遮蔽部
3bn 第3中性子遮蔽容器
3at1 中性子遮蔽容器分割体
4、4a、4c 内筒
5 外筒
6T 第1端版
6B 第2端版
7 伝熱フィン
8 中性子遮蔽体
8at、8bt、8dt 第1中性子遮蔽体
8am、8dm 第2中性子遮蔽体
8bn 第3中性子遮蔽体
8ct 第1中性子遮蔽部遮蔽体
8cm 第2中性子遮蔽部遮蔽体
9T、9A1、9A2 熱膨張吸収層
10、10a、10b、10A、10B キー
10d トラニオン
16、16a、16b、16c 底部構造体
16p 底板
16t、16at、16bt、16ct 筒状部材
17、17c フランジ部
20 封止部材
21 キー溝
21a キー穴
30C セル
30、30a バスケット
31、31a 角パイプ
32、33、34 板状部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の胴部と、前記胴部の一方の端部に設けられるとともに前記胴部と一体に成型される底部と、前記底部とは反対側に開口する開口部と、を有する底付き容器であり、前記胴部と前記底部とによって形成される空間に放射性物質を格納する金属かつ有底一体の底付き容器である胴本体と、
前記胴本体に嵌め合わされて取り付けられるとともに、厚さが前記胴本体よりも小さい筒状の内側部材と、前記内側部材の外側に配置される筒状の外側部材と、前記内側部材と前記外側部材とをつなぐ伝熱部材と、を有する中性子遮蔽容器と、
前記中性子遮蔽容器の前記内側部材と前記外側部材と隣接する前記伝熱部材とで囲まれる空間に配置される中性子遮蔽体と、
を含んで構成されることを特徴とする放射性物質格納容器。
【請求項2】
前記胴本体と前記内側部材との間には、前記胴本体と前記内側部材との摩擦を低減する潤滑材料が介在することを特徴とする請求項1に記載の放射性物質格納容器。
【請求項3】
前記潤滑材料は、熱の導体を含むことを特徴とする請求項2に記載の放射性物質格納容器。
【請求項4】
前記潤滑材料は、金属ペースト又はカーボンペーストであることを特徴とする請求項3に記載の放射性物質格納容器。
【請求項5】
前記胴部の外側は、前記胴部の周方向に向かう凹部が設けられることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の放射性物質格納容器。
【請求項6】
前記中性子遮蔽容器の前記内側部材と前記外側部材と前記伝熱部材とで囲まれる空間の内面に、前記中性子遮蔽体の付着を抑制する剥離層を設けることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の放射性物質格納容器。
【請求項7】
前記中性子遮蔽容器を加熱してから前記胴本体に嵌め込む焼嵌めによって、前記中性子遮蔽容器を前記胴本体に取り付けることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の放射性物質格納容器。
【請求項8】
前記胴本体を冷却してから前記中性子遮蔽容器を胴本体に嵌め込む冷やし嵌めによって、前記中性子遮蔽容器を前記胴本体に取り付けることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の放射性物質格納容器。
【請求項9】
前記中性子遮蔽容器は、前記胴本体に設けた係止部材によって前記胴本体に固定されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の放射性物質格納容器。
【請求項10】
前記係止部材は、前記胴本体の周方向に向かって複数設けられることを特徴とする請求項9に記載の放射性物質格納容器。
【請求項11】
前記係止部材は、前記胴本体に設けられて、少なくとも前記放射性物質格納容器を吊り上げる際に用いる吊り治具であることを特徴とする請求項9又は10に記載の放射性物質格納容器。
【請求項12】
前記中性子遮蔽容器は、前記胴本体の長手方向に対して分割されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の放射性物質格納容器。
【請求項13】
分割された前記中性子遮蔽容器のうち前記胴本体の開口部に設けられる前記中性子遮蔽容器は、前記中性子遮蔽容器の周方向に向かって分割されることを特徴とする請求項12に記載の放射性物質格納容器。
【請求項14】
筒状の内側部材と、前記内側部材の外側に配置される筒状の外側部材と、前記内側部材と前記外側部材とをつなぐ伝熱部材と、を有する中性子遮蔽容器の前記内側部材と前記外側部材と隣接する前記伝熱部材とで囲まれる空間に、中性子遮蔽体を配置する手順と、
筒状の胴部と、前記胴部の一方の端部に設けられる底部と、前記底部とは反対側に開口する開口部と、を有する底付き容器である胴本体に、前記内側部材の厚さが前記胴本体よりも小さい前記中性子遮蔽容器を嵌め合わせる手順と、
を含むことを特徴とする放射性物質格納容器の製造方法。
【請求項15】
筒状の胴部と、前記胴部の一方の端部に設けられる底部と、前記底部とは反対側に開口する開口部と、を有する底付き容器である胴本体に、厚さが前記胴本体よりも小さい筒状の内側部材と、前記内側部材の外側に配置される筒状の外側部材と、前記内側部材と前記外側部材とをつなぐ伝熱部材と、を有する中性子遮蔽容器を嵌め合わせる手順と、
前記中性子遮蔽容器の前記内側部材と前記外側部材と隣接する前記伝熱部材とで囲まれる空間に、中性子遮蔽体を配置する手順と、
を含むことを特徴とする放射性物質格納容器の製造方法。
【請求項16】
前記中性子遮蔽容器を前記胴本体へ嵌め合わせる前に、前記中性子遮蔽容器の内側部材の内周部と前記胴本体の外周部との少なくとも一方に、前記胴本体と前記内側部材との摩擦を低減する潤滑材料を塗布することを特徴とすることを特徴とする請求項14又は15に記載の放射性物質格納容器の製造方法。
【請求項17】
筒状の胴部と、前記胴部の一方の端部に設けられる底部と、前記底部とは反対側に開口する開口部と、を有する底付き容器である胴本体に、厚さが前記胴本体よりも小さい筒状の内側部材を嵌め合わせる手順と、
前記内側部材の外側に、伝熱部材を取り付ける手順と、
前記伝熱部材の外側に、筒状の外側部材を取り付ける手順と、
前記中性子遮蔽容器の前記内側部材と前記外側部材と隣接する前記伝熱部材とで囲まれる空間に、中性子遮蔽体を配置する手順と、
を含むことを特徴とする放射性物質格納容器の製造方法。
【請求項18】
筒状の胴部と、前記胴部の一方の端部に設けられる底部と、前記底部とは反対側に開口する開口部と、を有する底付き容器である胴本体に、厚さが前記胴本体よりも小さい筒状の内側部材を嵌め合わせる手順と、
前記伝熱部材の外側に配置される筒状の外側部材の内側に、伝熱部材を取り付ける手順と、
前記内側部材の外側に、前記伝熱部材及び前記外側部材を配置するとともに、前記伝熱部材を前記内側部材の外側に取り付ける手順と、
前記中性子遮蔽容器の前記内側部材と前記外側部材と隣接する前記伝熱部材とで囲まれる空間に、中性子遮蔽体を配置する手順と、
を含むことを特徴とする放射性物質格納容器の製造方法。
【請求項19】
前記内側部材を前記胴本体へ嵌め合わせる前に、前記内側部材の内周部と前記胴本体の外周部との少なくとも一方に、前記胴本体と前記内側部材との摩擦を低減する潤滑材料を塗布することを特徴とする請求項17又は18に記載の放射性物質格納容器の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4−1】
image rotate

【図4−2】
image rotate

【図4−3】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6−1】
image rotate

【図6−2】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8−1】
image rotate

【図8−2】
image rotate

【図9−1】
image rotate

【図9−2】
image rotate

【図10−1】
image rotate

【図10−2】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12−1】
image rotate

【図12−2】
image rotate

【図12−3】
image rotate

【図12−4】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14−1】
image rotate

【図14−2】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16−1】
image rotate

【図16−2】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2011−169915(P2011−169915A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102022(P2011−102022)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【分割の表示】特願2007−321149(P2007−321149)の分割
【原出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)