説明

放射性物質遮蔽構造及び放射性物質貯蔵施設

【課題】放射性物質の遮蔽性能を高く維持するとともに、放射性物質に対する冷却性能を確保することができる放射性物質遮蔽構造及び放射性物質貯蔵施設を提供する。
【解決手段】放射性物質遮蔽構造2は、ダクトの軸線方向(X方向)に連通する空気の上流側から下流側に向かうにしたがって前記軸線と直交する一の方向(A方向)に向かって延在するように、第一翼板51が間隔をあけて複数配設された第一翼板ユニット41と、該第一翼板ユニット41の前記下流側に間隔をあけて設けられ、前記上流側から前記下流側に向かうにしたがって前記一の方向と反対方向(B方向)に向かって延在するように、第二翼板61が間隔をあけて複数配設された第二翼板ユニット42とを備え、前記第一翼板51及び前記第二翼板61は、前記上流側から前記下流側に向かうにしたがって前記軸線に沿うように形成された前記上流側の先端部52,62を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性物質遮蔽構造及び放射性物質貯蔵施設に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、放射性物質を貯蔵するための貯蔵施設では、入口側ダクトを介して外部から空気を流入させて放射性物質を冷却するとともに、出口側ダクトを介して内部の空気を外部に流出させる構成である。
このような入口側ダクト及び出口側ダクトには、放射性物質を内部に封じ込めるために翼が複数設けられたダクト放射線遮蔽構造が設けられている。
【0003】
ダクト放射線遮蔽構造としては、上下方向に延びる軸線に沿って配設された出口側ダクト(入口側ダクト)の内部において、下方から上方に向かうにしたがって軸線方向と直交する一の方向に延在するように翼板が間隔をあけて複数配設された第一の翼板ユニットと、該第一の翼板の上方に設けられ、下方から上方に向かうにしたがって軸線方向と直交する一の方向と反対方向に延在するように翼板が間隔をあけて複数配設された第二の翼板ユニットとを有する構成が採用されている(下記特許文献1参照)。
ここで、翼板の上流側の先端部は軸線方向に直交する面で形成されている。
【0004】
このように構成されたダクト放射線遮蔽構造では、空気が隣接する翼板の間を順次通って下方から上方に滑らかな曲線を描くように流れることができるため、流れの圧力損失が抑制される。その結果、放射性物質に対する冷却性能を維持することができる。
一方、放射性物質は、第一の翼板ユニットを構成する翼板に衝突し該翼板に吸収される。また、残りの放射性物質は、該翼板に隣接する翼板に衝突するか第二の翼板ユニットを構成する翼板に衝突し該翼板に吸収される。こういった一連の動作を繰り返して、放射性物質は出口側ダクトから放出される際には所定の基準量以下の量となり、放射性物質の外部への遮蔽がなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-40191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の特許文献1に記載の放射線遮蔽構造では、翼板の上流側の先端部において、軸線方向と直交する先端面と空気の流れの方向(軸線方向)とが直交するため、空気の流れは先端面により急変してしまう。そうすると、その後の流れは翼板の外面から離れて隣接する翼板間の中央部分に集中するため、流れの圧力損失が大きくなり放射性物質に対する冷却性能が劣るという問題点がある。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、放射性物質の遮蔽性能を高く維持するとともに、放射性物質に対する冷却性能を確保することができる放射性物質遮蔽構造及び放射性物質貯蔵施設を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る放射性物質遮蔽構造は、放射性物質を貯蔵する放射性物質貯蔵施設の内外を連通させるダクトに設けられる放射性物質遮蔽構造であって、前記ダクトの軸線方向に連通する空気の上流側から下流側に向かうにしたがって前記軸線と直交する一の方向に向かって延在するように、第一翼板が間隔をあけて複数配設された第一翼板ユニットと、該第一翼板ユニットの前記下流側に間隔をあけて設けられ、前記上流側から前記下流側に向かうにしたがって前記一の方向と反対方向に向かって延在するように、第二翼板が間隔をあけて複数配設された第二翼板ユニットとを備え、前記第一翼板及び前記第二翼板は、前記上流側から前記下流側に向かうにしたがって前記軸線に沿うように形成された前記上流側の先端部を有することを特徴とする。
【0009】
このような放射性物質遮蔽構造では、ダクトに、第一翼板及び第二翼板が複数配設されているため、これら複数の第一翼板及び第二翼板により放射性物質を遮蔽することができる。
また、流入した空気と衝突する第一翼板及び第二翼板の先端部は、軸線方向に沿うように形成されており、これにより空気を該第一翼板及び第二翼板の延在方向に沿って流すように整流して抵抗を小さくすることができるため、放射性物質に対する冷却性能を確保することができる。
【0010】
また、本発明に係る放射性物質遮蔽構造は、前記先端部は、前記軸線に沿う方向を含む面を有することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、先端部により、空気を軸線方向に沿う面及び第一翼板並びに第二翼板の延在方向に沿わせて抵抗を抑えて流すように整流することができるため、放射性物質に対する冷却性能を確実に確保することができる。
【0012】
また、本発明に係る放射性物質遮蔽構造は、前記第一翼板の前記先端部は、前記反対方向に膨らむように凸状の面を有し、前記第二翼板の前記先端部は、前記一の方向に膨らむように凸状の面を有していても良い。
【0013】
この構成によれば、先端部により、空気を凸状の面及び第一翼板並びに第二翼板の延在方向により確実に沿わせて抵抗を抑えて流すように整流することができるため、放射性物質に対する冷却性能をより一層確保することができる。
【0014】
また、本発明に係る放射性物質遮蔽構造は、前記先端部は、その内方が空洞とされていても良い。
【0015】
この構成によれば、第一翼板及び第二翼板を軽量化することができるため、該第一翼板及び第二翼板の支持が容易にでき、壁面への固定が容易となる。
【0016】
さらに、本発明に係る放射性物質遮蔽構造は、前記第一翼板及び前記第二翼板は、内側を構成する内部材と、該内部材を内包して該翼板の外面を形成する外部材とを有し、
前記内部材は、前記放射性物質のうち中性子線を吸収する部材から構成され、
前記外部材は、前記放射性物質のうちガンマ線を吸収する部材から構成されることを特徴とする。
【0017】
これにより、内部材で中性子線を吸収し、外部材でガンマ線を吸収することができるため、放射性物質を確実に吸収できるとともに、遮蔽性能を任意に調整することができる。
【0018】
また、本発明に係る放射性物質遮蔽構造は、前記内部材は、コンクリートまたは樹脂からなり、前記外部材は、鉄からなっても良い。
【0019】
この構成によれば、コンクリートまたは樹脂により確実に中性子線を吸収し、鉄によりガンマ線を確実に吸収することができる。
【0020】
また、本発明に係る放射性物質貯蔵施設は、上記のうちのいずれか一に記載の放射性物質遮蔽構造を備えることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、上記のうちのいずれか一に記載の放射性物質遮蔽構造を備えるため、放射性物質の遮蔽性能を高く維持するとともに、放射性物質に対する冷却性能を確保することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る放射性物質遮蔽構造及び放射性物質貯蔵施設によれば、放射性物質の遮蔽性能を高く維持するとともに、空気の流れを整流することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る放射性物質貯蔵施設の概略全体構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る放射性物質貯蔵施設の入口側ダクトの構成を示す模式図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る放射性物質遮蔽構造を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る放射性物質遮蔽構造における空気の流れを示す図である。
【図5】本発明の二実施形態に係る放射性物質遮蔽構造を示す断面図である。
【図6】本発明の二実施形態に係る放射性物質遮蔽構造における空気の流れを示す図である。
【図7】本発明の第三実施形態に係る放射性物質遮蔽構造を示す断面図である。
【図8】本発明の第四実施形態に係る放射性物質遮蔽構造の翼板の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第一実施形態)
以下、図面を参照し、本発明の第一実施形態に係る放射性物質貯蔵施設1について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る放射性物質貯蔵施設1の概略全体構成図である。
放射性物質貯蔵施設1は、図1に示すように、例えばコンクリートからなる躯体11と、該躯体11の内部に配設された放射性物質を貯蔵する放射性物質貯蔵容器16と、放射性物質貯蔵施設1の外部と連結された入口側ダクト(ダクト)21及び出口側ダクト(ダクト)26とを備えている。
【0025】
躯体11は、その一部が地中Jに埋設されるとともに、床部12と、該床部12から立設する壁部13と、該壁部13の上部を連結する屋根部14とを備えている。
【0026】
放射性物質貯蔵容器16は、床部12に複数設置され、放射性物質が含まれる例えば使用済燃料を収容する金属容器である。
【0027】
図1及び図2に示すように、入口側ダクト21は、外部側の空気を給気する給気口22と、該給気口22から吸気した空気を放射性物質貯蔵施設1の内部側に流入させる入口管23とを有している。
給気口22は、例えば壁部13に設けられ、断面視して略矩形の筒状部材である。
入口管23は、上下方向に延びる軸線Pに沿って配設され、断面視して略矩形の筒状部材であり、その内部には放射性物質の外部への流出を遮蔽する放射性物質遮蔽構造2が設けられている。
ここで、図2に示すように、軸線Pに沿う方向を軸線方向Xとする。
なお、給気口22の端部は、内部側から外部側に向かうにしたがって広がるように形成されていてもよい。
【0028】
図3に示すように、放射性物質遮蔽構造2は、空気の流れの上流側に設けられた第一翼板ユニット41と、該第一翼板ユニット41の下流側に間隔をあけて設けられた第二翼板ユニット42とを備え、放射性物質の外部への流出を遮蔽する役割を担っている。
第一翼板ユニット41には第一翼板51が複数配され、第二翼板ユニット42には第二翼板61が複数配されている。
【0029】
第一翼板ユニット41は、上流側から下流側に向かうにしたがって、軸線方向Xと直交する一の方向(A方向とする。以下同じ。)に向かって延在するように、第一翼板51が間隔をあけて複数配設されている。
【0030】
第二翼板ユニット42は、上流側から下流側に向かうにしたがって、Aと反対方向である方向(B方向とする。以下同じ。)に向かって延在するように、第二翼板61が間隔をあけて複数配設されている。
ここで、本実施形態では、第一翼板51、第二翼板61のそれぞれの延在方向と軸線方向Xとの角度Eは約36度であり、隣接する第一翼板51、第二翼板61との距離Fは約52cmである。また、第一翼板51、第二翼板61はそれぞれ5枚から構成され、AB方向両端に位置する第一翼板51及び第二翼板61は入口側ダクトの壁部24に固定されている。
なお、上記数値は一例であるため、当該数値に限定されるものではない。
【0031】
第一翼板51及び第二翼板61は、図2に示すように軸線方向Xと直交する他の方向(Z方向とする。以下同じ。)に延在するとともに、図3に示すように断面視して概略矩形状から上流側の一部が軸線方向Xに沿う面53,63で切り欠かれた形状で形成されている。換言すると、先端部52,62は、軸線方向Xを有する面53,63を有し、先細り形状に形成されている。
また、本実施形態では、第一翼板51及び第二翼板61は、例えばコンクリートで構成され、その厚さTが約10cmで形成されている。
なお、上記数値は一例であるため、当該数値に限定されるものではない。
【0032】
出口側ダクト26は、図1に示すように、内部側の空気を外部側に排気する排気口27と、該排気口27へ内部の空気を導入する出口管28とを有している。
出口管28には、その内部に放射性物質の外部への流出を遮蔽する放射性物質遮蔽構造2が設けられている。
なお、出口管28に設けられた放射性物質遮蔽構造2は、入口管23に設けられた放射性物質遮蔽構造2同様であるため、その説明を省略する。
【0033】
このように構成された放射性物質遮蔽構造2が設けられた入口側ダクト21における空気の流れについて説明する。
外部の空気は、図2に示すように給気口22より入口管23の内部に導入され、導入された空気は、図4に示すように第一翼板ユニット41と衝突する。ここで、空気は、第一翼板ユニット41の第一翼板51の先端部52の形状に沿って、すわなち、軸線方向Xを有する面53に沿って流れる。その後は、第一翼板51の延在方向に沿うように流れて、第二翼板ユニット42に衝突する。第二翼板ユニット42においても、先端部62においては軸線方向Xを有する面に沿って流れて、その後は第二翼板61の延在方向に沿うように流れる。
なお、出口側ダクト26における空気の流れも同様であるため、その説明を省略する。
【0034】
このように構成された放射性物質遮蔽構造2によれば、入口側ダクト21及び出口側ダクト26に導入された空気を、軸線方向Xに沿った面53,63を含む先端部52,62により、第一翼板51及び第二翼板61の延在方向に沿って流すことができる。よって、空気を整流して抵抗を小さくすることができるため、放射性物質に対する冷却性能を確保することができる。
【0035】
また、放射性物質遮蔽構造2は複数の第一翼板51及び第二翼板61で構成され、該第一翼板51及び第二翼板61はコンクリート等で構成されているため、放射性物質の遮蔽性能は高く維持されている。
また、先端部52,62は平滑な面により形成されているため、容易に製造することができる。
【0036】
(第二実施形態)
以下、本発明の第二実施形態に係る放射性物質遮蔽構造102について、図5及び図6を用いて説明する。
この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0037】
第一実施形態における放射性物質遮蔽構造2は、先端部52,62が軸線に沿う方向を有する平滑な面53,63で形成された第一翼板51及び第二翼板61で構成されていた。一方、本実施形態の放射性物質遮蔽構造102は、凸状の面153,163で形成された第一翼板151及び第二翼板161で構成されている。
【0038】
第一翼板ユニット141に設けられた第一翼板151はその先端部152がB方向に膨らむように凸状の面153で形成されている。また、第二翼板ユニット142に設けられた第二翼板161はその先端部162がA方向に膨らむように凸状の面163で形成されている。
【0039】
このように構成された放射性物質遮蔽構造102が設けられた入口側ダクト121における空気の流れについて説明する。
給気口22より導入された空気は、図6に示すように、第一翼板ユニット141に衝突し、空気は第一翼板ユニット141の先端部152の凸状の面153に沿って流れる。その後は、第一翼板151の延在方向に沿うように流れて、第二翼板ユニット142に衝突する。第二翼板ユニット142においても、先端部162においては凸状の面163に沿って流れて、その後は第二翼板161の延在方向に沿うように流れる。
ここで、図4に示すように第一実施形態における第一翼板51の先端部52と衝突した空気の流れを流れR1とし、図6に示すように第二実施形態における第一翼板151の先端部152と衝突した空気の流れを流れR2とする。流れR1と流れR2とを比較すると、第一翼板51,151の先端部52,152との衝突後の流れが、流れR1よりも流れR2の方がより衝突した第一翼板151に沿った流路となっている。したがって、本実施形態では、第一翼板151の延在方向により沿うように空気を流すことができる。第二翼板161においても同様に、第一実施形態よりも第二翼板161の延在方向により沿うように空気を流すことができる。
なお、出口側ダクトにおける空気の流れも同様であるため、その説明を省略する。
【0040】
このように構成された放射性物質遮蔽構造102によれば、凸状の面153,163で形成された先端部152,162により、空気を第一翼板151及び第二翼板161の延在方向に沿ってより確実に流すことができる。よって、空気を整流して抵抗を小さくすることができるため、放射性物質に対する冷却性能をより一層確保することができる。
【0041】
(第三実施形態)
以下、本発明の第三実施形態に係る放射性物質遮蔽構造202について、図7を用いて説明する。
この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0042】
第一実施形態における放射性物質遮蔽構造2は、第一翼板51及び第二翼板の先端部52,62の内方は例えばコンクリートが充填された中実構造であるのに対して、本実施形態の放射性物質遮蔽構造202は、第一翼板251及び第二翼板(不図示。以下同じ。)の先端部252(図7に示す斜線部分)の内方は空洞とされている。
【0043】
このように構成された放射性物質遮蔽構造202によれば、第一翼板251及び第二翼板の先端部252の内方を空洞とすることにより、第一翼板251及び第二翼板自体を軽量化することができるため、該第一翼板251及び第二翼板の支持が容易にでき、壁面への固定が容易となる。
また、このような構成であっても、第一翼板251及び第二翼板のうち先端部252以外の部分は中実構造であるため、放射性物質の遮蔽性能は高く維持されている。
さらに、既存の翼板に先端部252のみを付加することができるため、施工が容易であるとともに、既存の翼板を利用することでコストを抑えることができる。
【0044】
(第四実施形態)
以下、本発明の第四実施形態に係る放射性物質遮蔽構造302について、図8を用いて説明する。
この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0045】
第一実施形態における放射性物質遮蔽構造2では、第一翼板51及び第二翼板61は例えばコンクリートのみから構成されているのに対して、本実施形態の放射性物質遮蔽構造302は、内側を構成する内部材352と該内部材352を内包して第一翼板351及び第二翼板(不図示。以下同じ。)の外面を形成する外部材353との二重構造とされている。
【0046】
第一翼板351及び第二翼板の内部材352は放射性物質のうち中性子を吸収する部材から構成され、外部材353は放射性物質のうちガンマ線を吸収する部材から構成されている。本実施形態では、例えば、内部材352はコンクリートから構成され、外部材353は鉄から構成されている。
なお、内部材352及び外部材353の材料は上記に限定されるものではなく、適宜選択可能である。例えば、内部材352としては、樹脂であってもよい。
このような第一翼板351及び第二翼板は、鉄で外部材353を形成し、該外部材353を型枠としてその内部にコンクリートを充填し固化させることにより、製造することができる。
【0047】
このように構成された放射性物質遮蔽構造302によれば、内部材352が中性子線を吸収し、外部材353がガンマ線を吸収することができるため、放射性物質を確実に遮蔽することができる。さらに、内部材352と外部材353とを任意に選択し、またはその構成比率を調整することにより、放射性物質の吸収量を調整することができる。
また、外部材353を型枠として利用することができるため、内部材352を充填するための型枠が不要となり、製造が容易であるとともに、コストを抑えることができる。
【0048】
なお、上述した実施の形態において示した組立手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0049】
例えば、本実施形態では、第一翼板ユニット41,141及び第二翼板ユニット42,142がそれぞれ1個ずつで構成されているが、第一翼板ユニット41,141及び第二翼板ユニット42,142を複数設ける構成であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…放射性物質貯蔵施設
2,102,202,302…放射性物質遮蔽構造
21,121…入口側ダクト(ダクト)
26…出口側ダクト(ダクト)
41,141…第一翼板ユニット
42,142…第二翼板ユニット
51,151,251,351…第一翼板
61,161…第二翼板
52,62,152,162,252…先端部
53,63…面
153,163…凸状の面
351…内部材
352…外部材
P…軸線
A方向…一方向
B方向…反対方向
X方向…軸線方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性物質を貯蔵する放射性物質貯蔵施設の内外を連通させるダクトに設けられる放射性物質遮蔽構造であって、
前記ダクトの軸線方向に連通する空気の上流側から下流側に向かうにしたがって前記軸線と直交する一の方向に向かって延在するように、第一翼板が間隔をあけて複数配設された第一翼板ユニットと、
該第一翼板ユニットの前記下流側に間隔をあけて設けられ、前記上流側から前記下流側に向かうにしたがって前記一の方向と反対方向に向かって延在するように、第二翼板が間隔をあけて複数配設された第二翼板ユニットとを備え、
前記第一翼板及び前記第二翼板は、前記上流側から前記下流側に向かうにしたがって前記軸線に沿うように形成された前記上流側の先端部を有することを特徴とする放射性物質遮蔽構造。
【請求項2】
請求項1に記載の放射性物質遮蔽構造において、
前記先端部は、前記軸線に沿う方向を含む面を有することを特徴とする放射性物質遮蔽構造。
【請求項3】
請求項1に記載の放射性物質遮蔽構造において、
前記第一翼板の前記先端部は、前記反対方向に膨らむように凸状の面を有し、
前記第二翼板の前記先端部は、前記一の方向に膨らむように凸状の面を有することを特徴とする放射性物質遮蔽構造。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の放射性物質遮蔽構造において、
前記先端部は、その内方が空洞とされていることを特徴とする放射性物質遮蔽構造。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の放射性物質遮蔽構造において、
前記第一翼板及び前記第二翼板は、内側を構成する内部材と、該内部材を内包して該翼板の外面を形成する外部材とを有し、
前記内部材は、前記放射性物質のうち中性子線を吸収する部材から構成され、
前記外部材は、前記放射性物質のうちガンマ線を吸収する部材から構成されることを特徴とする放射性物質遮蔽構造。
【請求項6】
請求項5に記載の放射性物質遮蔽構造において、
前記内部材は、コンクリートまたは樹脂からなり、
前記外部材は、鉄からなることを特徴とする放射性物質遮蔽構造。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の放射性物質遮蔽構造を備えることを特徴とする放射性物質貯蔵施設。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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