説明

放射温度計

【課題】 本体部をヘッド部の特性に容易に適合させることができる放射温度計を提供するとともに、ヘッド部を本体部の設定に容易に適合させることができる放射温度計を提供する。
【解決手段】 使用者により本体部とヘッド部とが互いに接続されると、本体部のCPUは、ヘッド部のCPUと初期通信を行う。次に、ヘッド部型式を示す信号がヘッド部のCPUにより送信される。本体部のCPUは、ヘッド部型式を示す信号を受信する。続いて、本体部のCPUは、受信したヘッド部型式に基づいて測定対象物検出処理に適用することが可能な検出モードの選定を行う。この場合、選定される検出モードは、1または複数の検出モードを含む。次に、本体部のCPUは、使用者の操作に従い、選定した検出モードを表示部へ表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体から放射される赤外線エネルギーを検出することによりその物体の温度を検出する放射温度計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、測定対象物から放射される赤外線エネルギーを検出し、その赤外線エネルギーを測定対象物の放射率で補正することにより測定対象物の実際の温度を測定する放射温度計がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一般に放射温度計は、サーモパイル等の感熱素子により赤外線エネルギーを検出する。サーモパイルは、複数の熱電対を直列に接続した赤外線受光部(温接点)を備える。
【0004】
このようなサーモパイルにおいて、赤外線受光部に赤外線が入射すると、入射した赤外線の量に応じて温接点と冷接点との間に温度差が生じ、その差に応じた熱起電力が発生する。この熱起電力が測定対象物の温度に対応する。
【0005】
ここで、サーモパイルにおける冷接点の温度は、サーモパイルの内部温度により変化する。そこで、サーモパイルの内部温度をサーミスタにより測定することにより、サーモパイルにより測定された測定対象物の温度をサーモパイルの内部温度に基づいて補正する。それにより、測定対象物の正確な温度を得ることができる。
【0006】
この測定された測定対象物の温度に基づいて、測定対象物の有無が検出されている。
【0007】
また、上記のような放射温度計は、通常、ヘッド部と本体部とにより構成されている。ヘッド部には、上記の赤外線受光部を備えるサーモパイル、サーミスタおよび制御部等が備えられており、本体部には、測定対象物の温度等を表示する表示部および制御部等が備えられている。
【特許文献1】特開平7−324981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来の放射温度計においては、ヘッド部と本体部とは電源線および信号線を含むケーブルにより互いに接続されている。そして、ヘッド部において検出された測定対象物の温度等がケーブルを介して本体部へ伝達されている。
【0009】
本体部では、ヘッド部から受信した温度等が表示される。それにより、使用者は、ヘッド部により測定された測定対象物の温度を本体部を見ることにより認識することができる。
【0010】
一般に、測定対象物の種類によりヘッド部に要求される特性が異なる。そのため、測定対象物に適したヘッド部を用いる必要がある。
【0011】
しかしながら、ヘッド部の特性に応じて本体部の処理が異なる。そのため、測定対象物の種類に応じてヘッド部を交換すると、本体部も交換する必要がある。
【0012】
また、他の放射温度計では、ヘッド部から本体部に赤外線受光量が送信され、本体部に予め設定された放射率に基づいて赤外線受光量から温度が算出される。予め設定された放射率が変更され、ヘッド部の増幅器のゲインが変更された場合には、本体部に異なる種類のヘッド部を接続することができない。
【0013】
本発明の目的は、本体部をヘッド部の特性に容易に適合させることができる放射温度計を提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、ヘッド部を本体部の設定に容易に適合させることができる放射温度計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の発明に係る放射温度計は、測定対象物から放射される赤外線エネルギーに基づいて測定対象物の温度を測定する放射温度計であって、ヘッド部および本体部を備え、ヘッド部は、測定対象物からの赤外線エネルギーを検出する赤外線検出手段と、赤外線検出手段により検出された赤外線エネルギーを処理することにより所定の信号を得る第1の処理手段と、第1の処理手段により得られた信号および当該ヘッド部の特性に関する情報を本体部に送信する第1の通信手段とを含み、本体部は、ヘッド部により送信された信号および情報を受信する第2の通信手段と、第2の通信手段により受信された信号を処理するとともにヘッド部を制御するための信号を第2の通信手段を介してヘッド部に送信する第2の処理手段と、第2の通信手段により受信された情報に基づいて第2の処理手段による処理を変更する変更手段とを含むものである。
【0016】
本発明に係る放射温度計においては、測定対象物からの赤外線エネルギーが赤外線検出手段により検出される。赤外線検出手段により検出された赤外線エネルギーが第1の処理手段により処理されることにより所定の信号が得られる。
【0017】
また、第1の処理手段により得られた信号および当該ヘッド部の特性に関する情報が第1の通信手段により本体部に送信される。ヘッド部の第1の通信手段により送信された信号および情報が本体部の第2の通信手段により受信される。第2の通信手段により受信された信号が第2の処理手段により処理されるとともに、ヘッド部を制御するための信号が第2の通信手段を介して第2の処理手段によりヘッド部に送信される。
【0018】
さらに、第2の通信手段により受信された情報に基づいて第2の処理手段による処理が変更手段により変更される。
【0019】
このように、ヘッド部の特性に応じて本体部において第2の処理手段による処理が変更手段により変更されることにより、本体部をヘッド部の特性に容易に適合させることが可能となる。それにより、本体部に特性の異なるヘッド部を汎用的に接続することができる。
【0020】
第2の通信手段により受信された情報は、測定対象物の種類に関連する情報を含み、第2の処理手段は、第2の通信手段により受信された信号に基づいて、測定対象物の温度が予め定められた条件を満たしているか否かを検出する検出処理を行うとともに、異なる複数の条件で検出処理を行う複数の検出モードを有し、変更手段は、第2の通信手段により受信された測定対象物の種類に関連する情報に基づいて、第2の処理手段の複数の検出モードのうち1または複数の検出モードを選択可能に設定することにより第2の処理手段の処理を変更してもよい。
【0021】
この場合、第2の通信手段により受信された信号に基づいて、測定対象物の温度が予め定められた条件を満たしているか否かを検出する検出処理が第2の処理手段により行われる。また、第2の通信手段により受信された測定対象物の種類に関連する情報に基づいて、第2の処理手段の複数の検出モードのうち1または複数の検出モードが変更手段により選択可能に設定されることにより第2の処理手段の処理が変更される。
【0022】
それにより、使用者は、ヘッド部により測定可能な測定対象物の種類に応じて利用可能な検出モードを本体部において容易に選択することができる。
【0023】
第2の通信手段により受信された情報は、ヘッド部の応答速度を示す情報を含み、第2の処理手段は、複数の応答速度のうち設定された応答速度で第2の通信手段により受信された信号を処理する処理装置と、複数の応答速度のうちいずれかを設定するための設定手段と、設定手段により設定可能な応答速度を表示する表示手段とを含み、変更手段は、第2の通信手段により受信されたヘッド部の応答速度を示す情報に基づいて、表示手段により表示されるべき応答速度を選択することにより第2の処理手段の処理を変更してもよい。
【0024】
この場合、設定手段により設定可能な応答速度が表示手段により表示され、複数の応答速度のうちいずれかが設定手段により設定される。複数の応答速度のうち設定された応答速度で第2の通信手段により受信された信号が処理装置により処理される。また、第2の通信手段により受信されたヘッド部の応答速度を示す情報に基づいて、表示手段により表示されるべき応答速度が変更手段により選択されることにより第2の処理手段の処理が変更される。
【0025】
それにより、使用者はヘッド部の応答速度に応じて本体部において設定可能な応答速度を表示手段により容易に認識および選択することができる。
【0026】
第2の通信手段により受信された情報は、ヘッド部の信号対ノイズ比率を示す情報を含み、第2の処理手段は、第2の通信手段により受信された信号に基づいて測定対象物の温度が予め定められた条件を満たしているか否かを検出する検出処理を設定回数行うとともに、設定回数行われる検出処理に基づいて検出結果を出力し、変更手段は、第2の通信手段により受信されたヘッド部の信号対ノイズ比率を示す情報に基づいて、第2の処理手段の設定回数を変更することにより第2の処理手段の処理を変更してもよい。
【0027】
この場合、第2の通信手段により受信された信号に基づいて測定対象物の温度が予め定められた条件を満たしているか否かを検出する検出処理が第2の処理手段により設定回数行われるとともに、設定回数行われる検出処理に基づいた検出結果が第2の処理手段により出力される。また、第2の通信手段により受信されたヘッド部の信号対ノイズ比率を示す情報に基づいて、第2の処理手段の設定回数が変更手段により変更されることにより第2の処理手段の処理が変更される。
【0028】
このように、測定対象物の検出処理の設定回数が本体部において変更されることにより、本体部による検出処理がヘッド部の信号対ノイズ比率の特性に容易に適合される。
【0029】
第2の通信手段により受信された情報は、測定対象物の測定箇所に光を照射する照射手段をヘッド部が有するか否かを示す情報を含み、第2の処理手段は、照射手段を点灯させるか否かを選択するための表示を行う表示手段と、照射手段を点灯させるか否かを選択する選択手段と、選択手段の選択に基づいて照射手段を点灯させるべきか否かを示す信号を第2の通信手段を介してヘッド部に送信する処理装置とを含み、変更手段は、第2の通信手段により受信されたヘッド部が照射手段を有するか否かを示す情報に基づいて、表示手段による表示を行うか否かを切り換えることにより第2の処理手段の処理を変更してもよい。
【0030】
この場合、照射手段を点灯させるか否かを選択するための表示が表示手段により行われる。照射手段を点灯させるか否かが選択手段により選択される。選択手段の選択に基づいて照射手段を点灯させるべきか否かを示す信号が処理装置により第2の通信手段を介してヘッド部に送信される。また、第2の通信手段により受信されたヘッド部が照射手段を有するか否かを示す情報に基づいて、表示手段による表示を行うか否かが変更手段により切り換えられることにより第2の処理手段の処理が変更される。
【0031】
このように、本体部の表示手段において照射手段による光の出射および非出射の設定の表示を行うか否かが変更手段により切り換えられることにより、使用者は、ヘッド部が照射手段を備えているか否かを容易に判別することができる。
【0032】
第2の発明に係る放射温度計は、測定対象物の温度を測定する放射温度計であって、ヘッド部および本体部を備え、本体部は、測定対象物に基づく情報を設定する設定手段と、設定手段により設定された情報をヘッド部に送信する第1の通信手段とを含み、ヘッド部は、測定対象物からの赤外線エネルギーを検出する赤外線検出手段と、本体部により送信された情報を受信する第2の通信手段と、赤外線検出手段により検出される赤外線エネルギーを処理する処理手段と、第2の通信手段により受信された情報に基づいて処理手段の特性を変更する変更手段とを含むものである。
【0033】
本発明に係る放射温度計においては、測定対象物に基づく情報が設定手段により設定される。設定手段により設定された情報が第1の通信手段によりヘッド部に送信される。
【0034】
また、測定対象物からの赤外線エネルギーが赤外線検出手段により検出され、本体部により送信された情報が第2の通信手段により受信される。
【0035】
さらに、赤外線検出手段により検出される赤外線エネルギーが処理手段により処理され、第2の通信手段により受信された情報に基づいて処理手段の特性が変更手段により変更される。
【0036】
このように、本体部の設定に応じてヘッド部の特性が変更手段により変更されることにより、ヘッド部を本体部の設定に容易に適合させることが可能となる。それにより、異なる設定が行われた本体部にヘッド部を汎用的に接続することができる。
【0037】
処理手段は、赤外線検出手段により検出された赤外線エネルギーを増幅する増幅手段を含み、測定対象物に基づく情報は、測定対象物の放射率を示す情報を含み、変更手段は、第2の通信手段により受信された測定対象物の放射率を示す情報に基づいて、増幅手段のゲインを変更することにより処理手段の特性を変更してもよい。
【0038】
この場合、赤外線検出手段により検出された赤外線エネルギーが増幅手段により増幅される。また、第2の通信手段により受信された測定対象物の放射率を示す情報に基づいて、増幅手段のゲインが変更手段により変更されることにより処理手段の特性が変更される。それにより、使用者が本体部において設定した放射率に基づいて、ヘッド部における増幅手段のゲインが容易に最適に設定される。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、ヘッド部の特性に応じて本体部において第2の処理手段による処理が変更手段により変更されることにより、本体部をヘッド部の特性に容易に適合させることが可能となる。それにより、本体部に特性の異なるヘッド部を汎用的に接続することができる。
【0040】
また、本発明によれば、本体部の設定に応じてヘッド部の特性が変更手段により変更されることにより、ヘッド部を本体部の設定に容易に適合させることが可能となる。それにより、異なる設定が行われた本体部にヘッド部を汎用的に接続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態に係る放射温度計について図面を参照しながら説明する。
【0042】
図1は、本発明の実施の形態に係る放射温度計のブロック図である。
【0043】
図1に示すように、本実施の形態に係る放射温度計100は、ヘッド部100Aおよび本体部100Bを備える。なお、図1においては図示していないが、本体部100Bは表示部94を有する。表示部94については後述する。
【0044】
ヘッド部100Aおよび本体部100Bは互いにケーブル80により接続されている。また、本体部100Bはケーブル81を介して図示しない外部装置に接続される。
【0045】
図2は、図1のヘッド部100Aのブロック図であり、図3は、図1の本体部100Bのブロック図である。
【0046】
図2に示すように、ヘッド部100Aは、サーモパイル10、プリアンプ基板20、メイン基板30、電源基板40および2つのレーザダイオード60,70を備える。
【0047】
サーモパイル10は、赤外線受光部11およびサーミスタ12を備える。プリアンプ基板20には、第1の信号増幅部21および第2の信号増幅部22が実装される。メイン基板30には、第3の信号増幅部31、アナログデジタル変換回路(以下、AD変換回路と略記する。)32,33、CPU(中央演算処理装置)34、記憶部35、表示灯36およびレーザ駆動回路37が実装される。
【0048】
電源基板40には、電源回路41、通信回路42およびレーザ駆動回路43が実装される。電源基板40には、電源線および信号線を含むケーブル80が接続されている。
【0049】
サーモパイル10において、赤外線受光部11は測定対象物から放射される赤外線エネルギーを検出する。サーミスタ12はサーモパイル10の内部温度を検出する。
【0050】
プリアンプ基板20において、第1の信号増幅部21は赤外線受光部11の出力信号を増幅する。第2の信号増幅部22はサーミスタ12の出力信号を増幅する。
【0051】
メイン基板30において、第3の信号増幅部31は第1の信号増幅部21の出力信号を増幅する。AD変換回路32は、第1の信号増幅部21の出力信号をデジタル信号に変換し、そのデジタル信号を測定対象物の検出温度値としてCPU34へ与える。
【0052】
AD変換回路33は、第2の信号増幅部22の出力信号をデジタル信号に変換し、そのデジタル信号をサーモパイル10の内部温度値としてCPU34へ与える。
【0053】
記憶部35には、サーモパイル10に関する情報およびCPU34が測定対象物の温度を算出するための演算式等が記憶されている。サーモパイル10に関する情報とは、例えば、赤外線受光部11のゲインおよびオフセット値、サーミスタ12のゲインおよびオフセット値、ならびにサーモパイルの測定温度範囲等である。
【0054】
CPU34には、本体部100Bからケーブル80および通信回路42を通じて測定対象物の放射率および後述する判定信号が与えられる。CPU34は、AD変換回路32から与えられる検出温度値、AD変換回路33から与えられる内部温度値、本体部100Bから与えられた放射率、ならびに記憶部35に記憶された種々の情報および演算式に基づいて測定対象物の実際の温度値(以下、測定温度値と呼ぶ。)を算出する。そして、CPU34は測定温度値を通信回路42およびケーブル80を通じて本体部100Bに与える。
【0055】
また、CPU34は、AD変換回路32の出力信号のレベルに基づいて第3の信号増幅部31のゲインをフィードバック制御する。
【0056】
さらに、CPU34は、表示灯36、レーザ駆動回路37および電源基板40のレーザ駆動回路43の動作を制御する。表示灯36は、CPU34の制御により判定信号のオン状態またはオフ状態を点灯または非点灯により表示する。レーザ駆動回路37は、CPU34の制御によりレーザダイオード60を駆動する。
【0057】
電源基板40において、電源回路41は本体部100Bからケーブル80を通じて与えられる電力をヘッド部100Aの各構成部に供給する。
【0058】
通信回路42およびレーザ駆動回路43は、ともにメイン基板30のCPU34と接続されている。
【0059】
通信回路42は、上述のように、ケーブル80を介してCPU34と本体部100Bとの間で通信を行う。レーザ駆動回路43は、CPU34の制御によりレーザダイオード70を駆動する。レーザダイオード60,70から出射されるレーザ光は測定対象物の測定箇所に照射される。
【0060】
なお、図2において、サーモパイル10はサーミスタ12を備えるが、これに限定されず、サーミスタ12をサーモパイル10外に設けてもよい。
【0061】
また、プリアンプ基板20、メイン基板30および電源基板40上の各構成部の設けられる基板上の位置については、図2の例に特に限定されない。
【0062】
図3に示すように、本体部100Bは、電源回路91、通信回路92、CPU93、表示部94、記憶部95、外部出力回路97およびアナログ出力回路98を備える。なお、表示部94には、後述の各種キーが備えられている。
【0063】
電源回路91および通信回路92にはケーブル80が接続されている。電源回路91は、電池等の電力供給源を備え、その電力を本体部100Bの各構成部およびヘッド部100Aに供給する。通信回路92は、ケーブル80を介してCPU93とヘッド部100Aとの間で通信を行う。
【0064】
記憶部95は、測定対象物の放射率、演算式および判定のためのしきい値等を記憶する。
【0065】
CPU93は、本体部100Bの各構成部の動作を制御する。また、CPU93は、ヘッド部100Aから与えられる測定温度値と記憶部95に記憶されるしきい値との大小関係を判定し、判定結果を判定信号として外部出力回路97を介してケーブル81に出力する。以下、CPU93による測定温度値としきい値との大小関係を判定する処理を測定対象物検出処理と呼ぶ。
【0066】
判定信号は、例えば測定温度値がしきい値よりも高い場合にオン状態(例えば、ハイレベル)となり、測定温度値がしきい値以下の場合にオフ状態(例えば、ローレベル)となる。
【0067】
さらに、CPU93は、ヘッド部100Aから与えられる測定温度値を外部出力回路97を介してケーブル81に出力するとともに、上記測定温度値に対応するアナログ信号をアナログ出力回路98を介してケーブル81に出力する。
【0068】
このようにして、本実施の形態に係る放射温度計100は、測定対象物の測定温度値を表示および出力するとともに、測定温度値がしきい値よりも高いか否かの判定結果(オン状態またはオフ状態)を表示および出力することができる。
【0069】
次に、本実施の形態に係る放射温度計100のヘッド部100Aの概略構造について説明する。
【0070】
図4は、本実施の形態に係る放射温度計100のヘッド部100Aの一例を示す外観斜視図である。
【0071】
図4に示すように、ヘッド部100Aの各構成部は略直方体形状のヘッドケーシングKに内蔵される。ヘッドケーシングKは、上面KU、下面KD、前面KF、背面KBおよび側面KS1,KS2を有する。
【0072】
以下の説明においては、図4の矢印X,Y,Zに示すように、側面KS1,KS2に垂直な方向をX方向と呼び、前面KFおよび背面KBに垂直な方向をY方向と呼び、上面KUおよび下面KDに垂直な方向をZ方向と呼ぶ。
【0073】
図4において、ヘッドケーシングKの前面KFに赤外線集光部KHおよびレーザ出射部K60,K70が設けられ、上面KUに発光ダイオードからなる表示灯36が設けられ、背面KBにケーブル接続部KJが設けられている。なお、ケーブル接続部KJは、例えばコネクタからなる。
【0074】
表示灯36が上面KUにそれぞれ設けられることにより、使用者は表示灯36の点灯および非点灯状況を容易に認識することができる。
【0075】
赤外線集光部KHにおいては、測定対象物から放射される赤外線が取り込まれる。図2のレーザダイオード60,70により発生されたレーザ光が、レーザ出射部K60,K70から測定箇所へ向けて出射される。
【0076】
ケーブル接続部KJには、ケーブル80が接続される。このケーブル80は、上述のように本体部100Bに接続される。
【0077】
図5は、CPU93による検出モード決定処理を示すフローチャートである。
【0078】
図5に示すように、最初に、CPU93は、初期通信を行う(ステップS1)。初期通信とは、ヘッド部100Aと本体部100Bとが接続された際にのみ実行される相互認識のための初期的な通信である。
【0079】
次に、ヘッド部型式を示す信号がヘッド部100AのCPU34により送信される。CPU93は、ヘッド部型式を示す信号を受信する(ステップS2)。
【0080】
ヘッド部型式とは、種類(用途)別に割り当てられたヘッド部100A(放射温度計)のコードである。放射温度計には、例えば汎用タイプのもの、フィルム検出用のものおよびガラス検出用のもの等があり、上記コードはこれらの種類を示すものである。
【0081】
上記のように、ヘッド部100Aの種類が異なると、最適な検出方法が異なる。本実施の形態では、測定対象物の検出方法は3つの検出モード(第1、第2および第3の検出モード)を含む。この検出モードの詳細については後述する。
【0082】
続いて、CPU93は、受信したヘッド部型式に基づいて測定対象物検出処理に適用することが可能な検出モードの選定を行う(ステップS3)。この場合、選定される検出モードは、1または複数の検出モードを含む。
【0083】
次に、CPU93は、使用者の選択および操作に従い、選定した検出モードを表示部94へ表示する(ステップS4)。
【0084】
ここで、上記ステップS4の処理、ならびに本体部100Bの表示部94の構成および表示例について説明する。
【0085】
図6(a),(b),(c)に示すように、表示部94は、入力部102および表示パネル103を備える。
【0086】
表示部94の入力部102は、モード設定キー101d、セットキー101e、上キー101fおよび下キー101gを含む。
【0087】
また、表示パネル103は、出力表示灯101aおよび7セグメントLED101b,101cを含む。
【0088】
セットキー101eは、例えば各種操作の確定を行う場合等に用いられる。また、使用者は、モード設定キー101d、上キー101fおよび下キー101gをそれぞれ操作することにより、検出モードおよび放射率等を表示および設定することができる。
【0089】
後述するように、本実施の形態に係る放射温度計は複数のチャンネルを有し、出力表示灯101aは用いられているチャンネルを点灯および非点灯により表示する。
【0090】
上記のステップS4の処理において、例えば図6(a)に示すように、CPU93は、ヘッド部型式に基づいた利用可能な検出モードを表示する。この場合、7セグメントLED101bには、検出モードを意味する「Func」が表示され、7セグメントLED101cには、第1の検出モードを意味する「F1」が表示される。
【0091】
ここで、利用可能な検出モードがさらにある場合には、使用者は、上キー101fまたは下キー101gを押下することにより、例えば図6(b),(c)に示すように、利用可能な検出モードをさらに表示させることができる。なお、図6(b)の7セグメントLED101cには、第2の検出モードを意味する「F2」が表示され、図6(c)の7セグメントLED101cには、第3の検出モードを意味する「F3」が表示されている。
【0092】
このように、使用者はヘッド部型式に基づいた利用可能な検出モードを本体部100Bにおいて容易に認識および選択することができる。
【0093】
次に、3つの検出モードである第1〜第3の検出モードについて図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態では、第1の検出モードは上限検出モードと呼ばれ、第2の検出モードは下限検出モードと呼ばれ、第3の検出モードは上下限検出モードと呼ばれる。
【0094】
図7は、各検出モードの検出原理を示す説明図である。図7(a)は第1の検出モードの検出原理を示し、図7(b)は第2の検出モードの検出原理を示し、図7(c)は第3の検出モードの検出原理を示す。なお、図7(a),(b),(c)においては、縦軸に測定対象物の温度が示され、横軸に時間が示されている。
【0095】
ここで、本実施の形態に係る放射温度計は、複数のしきい値に対応する複数のチャンネルを有する。以下の例では、放射温度計が2チャンネル(第1および第2のチャンネル)を有するものとする。また、第1および第2のチャンネルの出力は、正常時にはローレベルとなり、異常時にはハイレベルとなるものとする。
【0096】
図7(a)に示すように、測定対象物の検出のための温度のしきい値P1,P2(P1<P2)が設定されている。初期状態では、第1および第2のチャンネルの判定信号はローレベルとなっている。
【0097】
第1の検出モードにおいては、測定対象物の温度がしきい値P1を上まわると第1のチャンネルの判定信号がハイレベルとなり、測定対象物の温度がしきい値P1よりも低い温度(以下、第1のヒス(ヒステリシス)値と呼ぶ)を下まわると第1のチャンネルの判定信号はローレベルとなる。
【0098】
また、測定対象物の温度がしきい値P2を上まわる第2のチャンネルの判定信号がハイレベルとなり、測定対象物の温度がしきい値P2よりも低い温度(以下、第2のヒス(ヒステリシス)値と呼ぶ)を下まわると第2のチャンネルの判定信号はローレベルとなる。
【0099】
上記のように、第1および第2のチャンネルの判定信号がハイレベルからローレベルとなる基準としての第1および第2のヒス値を、それぞれしきい値P1,P2よりも低く設定することにより、ノイズ等によるチャタリングを防止し、しきい値P1,P2を基準とした第1および第2のチャンネルの判定信号の状態を安定化させることができる。
【0100】
図7(b)に示すように、測定対象物の検出のための温度のしきい値P1,P2(P1<P2)が設定されている。初期状態では、第1および第2のチャンネルの判定信号はローレベルとなっている。
【0101】
第2の検出モードにおいては、測定対象物の温度がしきい値P2を下まわると第1のチャンネルの判定信号がハイレベルとなり、測定対象物の温度がしきい値P2よりも高い温度(以下、第3のヒス(ヒステリシス)値と呼ぶ)を上まわると第1のチャンネルの判定信号はローレベルとなる。
【0102】
また、測定対象物の温度がしきい値P1を下まわる第2のチャンネルの判定信号がハイレベルとなり、測定対象物の温度がしきい値P1よりも高い温度(以下、第4のヒス(ヒステリシス)値と呼ぶ)を上まわると第2のチャンネルの判定信号はローレベルとなる。
【0103】
上記のように、第1および第2のチャンネルの判定信号がハイレベルからローレベルとなる基準としての第3および第4のヒス値を、それぞれしきい値P1,P2よりも高く設定することにより、ノイズ等によるチャタリングを防止し、しきい値P1,P2を基準とした第1および第2のチャンネルの判定信号の状態を安定化させることができる。
【0104】
図7(c)に示すように、測定対象物の検出のための温度のしきい値P1,P2(P1<P2)が設定されている。初期状態では、第1のチャンネルの判定信号はハイレベルとなっており、第2のチャンネルの判定信号はローレベルとなっている。
【0105】
第3の検出モードにおいては、測定対象物の第4のヒス値を上まわると第1のチャンネルの判定信号がローレベルとなり、測定対象物の温度がしきい値P1を下まわると第1のチャンネルの判定信号はハイレベルとなる。
【0106】
また、測定対象物の温度がしきい値P2を上まわると第2のチャンネルの判定信号がハイレベルとなり、測定対象物の温度が第2のヒス値を下まわると第2のチャンネルの判定信号はローレベルとなる。
【0107】
このように、第3の検出モードにおいては、例えば、しきい値P1としきい値P2とからなる温度範囲内の温度を有する測定対象物のみが検出されることとなっている。
【0108】
図8は、CPU93による応答速度表示制限処理を示すフローチャートである。
【0109】
図8に示すように、最初に、CPU93は、初期通信を行う(ステップS11)。
【0110】
次に、ヘッド部100Aの応答速度を示す信号がCPU34により送信される。CPU93は、ヘッド部100Aの応答速度を示す信号を受信する(ステップS12)。上記応答速度は、ヘッド部100Aの赤外線受光部11およびサーミスタ12の応答速度を含む。
【0111】
次に、CPU93は、設定可能な応答速度の表示を制限する(ステップS13)。この場合、CPU93は、受信したヘッド部100Aの応答速度に基づいて本体部100Bにおいて設定可能な1または複数の応答速度が表示されるようにする。ここで、本体部100Bの応答速度は、CPU93の応答速度である。以下、この詳細について説明する。
【0112】
図9は、本体部100Bにおいて設定可能な応答速度の表示例を示す模式図である。
【0113】
図9(a)に示すように、本体部100Bにおいて設定可能な応答速度が例えば30msecの場合、表示部94の7セグメントLED101cには「0.03」と表示される。なお、7セグメントLED101bには、例えば応答速度を意味する「SPEd」が表示される。
【0114】
ここで、使用者により上キー101fまたは下キー101gが押下された場合で、本体部100Bにおいて設定可能な応答速度がさらにある場合には、図9(b)に示すように、表示部94の7セグメントLED101cに例えば0.1secの応答速度を示す「0.1」が表示される。
【0115】
さらに、使用者により上キー101fまたは下キー101gが押下された場合で、本体部100Bにおいて設定可能な応答速度がさらにある場合には、図9(c)に示すように、表示部94の7セグメントLED101cに例えば0.2secの応答速度を示す「0.2」が表示される。
【0116】
このように、使用者はヘッド部100Aの応答速度に応じて本体部100Bに設定可能な応答速度を容易に認識および選択することができる。例えば、外乱(例えば風)等による温度変化を無視したい場合には、使用者は本体部100Bの応答速度を遅い速度(例えば、1秒)に設定することができる。
【0117】
図10は、CPU93によるS/N(信号対ノイズ比率)変更処理を示すフローチャートである。
【0118】
図10に示すように、最初に、CPU93は、初期通信を行う(ステップS21)。
【0119】
次に、必要な平均回数を示す信号がヘッド部100AのCPU34により送信される。CPU93は、ヘッド部100Aから必要な平均回数を示す信号を受信する(ステップS22)。なお、平均回数とは、平均値を得るための検出温度値の総数である。一般的に、ヘッド部100AのS/Nが良好でない場合、平均回数は多くなる。
【0120】
続いて、CPU93は、平均回数を変更する(ステップS23)。
【0121】
このように、検出温度値の平均値を得るための平均回数を本体部100Bにおいて変更することにより、本体部100Bの測定対象物検出処理がヘッド部100AのS/N特性に容易に適合される。
【0122】
なお、上記のS/N変更処理において変更するのは平均回数に限らず、平均回数と同様に、表示部94の表示分解能および上述した検出モードに用いる第1〜第4のヒス値を本体部100Bにおいて最適に変更することができる。上記表示分解能とは、表示部94おいて表示する検出温度値の表示有効桁数を意味し、例えば表示有効桁数が小数点以下2桁に設定されている場合でS/Nが良好でない場合に、この表示有効桁数を少数点以下1桁に変更することができる。それにより、表示部94における検出温度値の表示が安定化される。
【0123】
図11は、CPU93によるゲイン変更処理を示すフローチャートである。なお、このゲイン変更処理はヘッド部100Aと本体部100Bとが接続された後に行われる処理であるので、上述の初期通信は行われない。また、図11においては、本体部100BのCPU93の動作のみではなく、ヘッド部100AのCPU34の動作も示されている。
【0124】
図11に示すように、最初に、使用者が表示部94のモード設定キー101d、上キー101fおよび下キー101gを操作して放射率を変更すると、本体部100BのCPU93は、変更後の放射率を受信する(ステップS31)。
【0125】
次に、本体部100BのCPU93は、変更後の放射率をヘッド部100AのCPU34に送信する(ステップS32)。
【0126】
続いて、ヘッド部100AのCPU34は、変更後の放射率を受信する(ステップS33)。次に、CPU34は、受信した変更後の放射率に基づいて第3の信号増幅部31のゲインを最適なゲインに変更する(ステップS34)。
【0127】
次いで、CPU34は、AD変換回路32から測定対象物の検出温度値として与えられたデジタル信号を温度に換算する温度換算式を変更する(ステップS35)。記憶部35には、予め複数の温度換算式が記憶されている。複数の温度換算式はそれぞれ異なる係数を有する。
【0128】
通常、AD変換回路32からのデジタル信号は、記憶部35に予め記憶されている温度換算テーブルに基づいて温度値に換算される。
【0129】
しかしながら、上記のようにゲインが変更されると、AD変換回路32からのデジタル信号の値が変化する。その結果、変化後のデジタル信号の値に対応した温度換算テーブルがさらに必要になる。
【0130】
本実施の形態では、温度換算テーブルを変更せず温度換算式を変更することにより、ゲインの変更に伴う新たな温度換算テーブルは不要となる。
【0131】
このように、使用者が本体部100Bにおいて設定した放射率に基づいて、ヘッド部100Aにおける第3の信号増幅部31のゲインが容易に最適に設定される。
【0132】
図12は、CPU93による表示メニュー変更処理を示すフローチャートである。
【0133】
図12に示すように、最初に、CPU93は、初期通信を行う(ステップS41)。
【0134】
次に、レーザダイオードの有無を示す信号を示す信号がヘッド部100AのCPU34により送信される。CPU93は、ヘッド部100Aからレーザダイオードの有無を示す信号を受信する(ステップS42)。
【0135】
続いて、CPU93は、受信した上記信号に基づいてヘッド部100Aがレーザダイオードを備えているか否かを判別する(ステップS43)。ヘッド部100Aがレーザダイオードを備えている場合、CPU93は、レーザダイオードによるレーザ光の出射および非出射の設定の画面を表示部94に表示させ、表示メニュー変更処理を終了する。レーザ光を出射させたい場合には、使用者は、レーザ光の出射の設定の画面において、例えば上キー101f、下キー101gおよびセットキー101eを操作する。それにより、CPU93は、レーザダイオードからレーザ光を出射させるための信号をヘッド部100Aに送信する。
【0136】
一方、ヘッド部100Aがレーザダイオードを備えていない場合、CPU93は、レーザダイオードによるレーザ光の出射および非出射の設定の表示を非表示に設定する(ステップS44)。その後、CPU93は、表示メニュー変更処理を終了する。
【0137】
このように、ヘッド部100Aがレーザダイオードを備えていない場合に、本体部100Bの表示部94においてレーザダイオードによる出射および非出射の設定の表示を非表示に設定することにより、使用者は、ヘッド部100Aがレーザダイオードを備えているか否かを容易に判別することができる。
【0138】
(本実施の形態の総括的な効果)
本実施の形態においては、ヘッド部100Aの特性に応じて本体部100Bにおいて各種設定の変更を行うことにより、本体部100Bをヘッド部100Aの特性に容易に適合させることが可能となる。それにより、本体部100Bに特性の異なるヘッド部100Aを汎用的に接続することができる。
【0139】
また、本体部100Bの設定に応じてヘッド部100Aの特性を変更することにより、ヘッド部100Aを本体部100Bの設定に容易に適合させることが可能となる。それにより、異なる設定が行われた本体部100Bにヘッド部100Aを汎用的に接続することができる。
【0140】
(請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応)
本実施の形態においては、赤外線受光部11が赤外線検出手段に相当し、CPU34が第1の処理手段、処理手段および変更手段に相当し、通信回路42およびケーブル80が第1の通信手段または第2の通信手段に相当し、通信回路92およびケーブル80が第2の通信手段または第1の通信手段に相当し、CPU93が第2の処理手段、変更手段および処理装置に相当する。
【0141】
また、ヘッド部型式が測定対象物の種類に関連する情報に相当し、測定対象物検出処理が検出処理に相当し、上キー101f、下キー101gおよびセットキー101eが設定手段および選択手段に相当し、表示パネル103が表示手段に相当し、レーザダイオードが照射手段に相当し、第3の信号増幅部31が増幅手段に相当する。
【0142】
(他の実施の形態)
なお、上記実施の形態では、ヘッド部100Aおよび本体部100BのそれぞれにCPUを設けているが、これに限定されるものではなく、ヘッド部100Aおよび本体部100Bのうちどちらか一方にCPUを設けて、このCPUが総括的に各種制御動作および測定対象物検出処理を行ってもよい。
【0143】
また、本実施の形態に係る放射温度計は2チャンネルを有するが、これに限定されず、例えば1つまたは3つ以上のチャンネルを有してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明は、物体から放射される赤外線エネルギーを検出することに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明の実施の形態に係る放射温度計のブロック図である。
【図2】図1のヘッド部のブロック図である。
【図3】図1の本体部のブロック図である。
【図4】本実施の形態に係る放射温度計のヘッド部の一例を示す外観斜視図である。
【図5】CPUによる検出モード決定処理を示すフローチャートである。
【図6】本体部の表示部の表示例を示す模式図である。
【図7】各検出モードの検出原理を示す説明図である。
【図8】CPUによる応答速度表示制限処理を示すフローチャートである。
【図9】本体部において設定可能な応答速度の表示例を示す模式図である。
【図10】CPUによるS/N変更処理を示すフローチャートである。
【図11】CPUによるゲイン変更処理を示すフローチャートである。
【図12】CPUによる表示メニュー変更処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0146】
10 サーモパイル
11 赤外線受光部
12 サーミスタ
34,93 CPU
35,95 記憶部
36 表示灯
42,92 通信回路
80 ケーブル
94 表示部
100 放射温度計
100A ヘッド部
100B 本体部
101a 出力表示灯
101b,101c 7セグメントLED
101d モード設定キー
101e セットキー
101f 上キー
101g 下キー
102 入力部
103 表示パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物から放射される赤外線エネルギーに基づいて測定対象物の温度を測定する放射温度計であって、
ヘッド部および本体部を備え、
前記ヘッド部は、
測定対象物からの赤外線エネルギーを検出する赤外線検出手段と、
前記赤外線検出手段により検出された赤外線エネルギーを処理することにより所定の信号を得る第1の処理手段と、
前記第1の処理手段により得られた信号および当該ヘッド部の特性に関する情報を前記本体部に送信する第1の通信手段とを含み、
前記本体部は、
前記ヘッド部により送信された信号および情報を受信する第2の通信手段と、
前記第2の通信手段により受信された信号を処理するとともに前記ヘッド部を制御するための信号を前記第2の通信手段を介して前記ヘッド部に送信する第2の処理手段と、
前記第2の通信手段により受信された情報に基づいて前記第2の処理手段による処理を変更する変更手段とを含むことを特徴とする放射温度計。
【請求項2】
前記第2の通信手段により受信された情報は、測定対象物の種類に関連する情報を含み、
前記第2の処理手段は、前記第2の通信手段により受信された信号に基づいて、前記測定対象物の温度が予め定められた条件を満たしているか否かを検出する検出処理を行うとともに、異なる複数の条件で前記検出処理を行う複数の検出モードを有し、
前記変更手段は、前記第2の通信手段により受信された測定対象物の種類に関連する情報に基づいて、前記第2の処理手段の複数の検出モードのうち1または複数の検出モードを選択可能に設定することにより前記第2の処理手段の処理を変更することを特徴とする請求項1記載の放射温度計。
【請求項3】
前記第2の通信手段により受信された情報は、前記ヘッド部の応答速度を示す情報を含み、
前記第2の処理手段は、
複数の応答速度のうち設定された応答速度で前記第2の通信手段により受信された信号を処理する処理装置と、
前記複数の応答速度のうちいずれかを設定するための設定手段と、
前記設定手段により設定可能な応答速度を表示する表示手段とを含み、
前記変更手段は、前記第2の通信手段により受信された前記ヘッド部の応答速度を示す情報に基づいて、前記表示手段により表示されるべき応答速度を選択することにより前記第2の処理手段の処理を変更することを特徴とする請求項1または2記載の放射温度計。
【請求項4】
前記第2の通信手段により受信された情報は、前記ヘッド部の信号対ノイズ比率を示す情報を含み、
前記第2の処理手段は、前記第2の通信手段により受信された信号に基づいて前記測定対象物の温度が予め定められた条件を満たしているか否かを検出する検出処理を設定回数行うとともに、前記設定回数行われる検出処理に基づいて検出結果を出力し、
前記変更手段は、前記第2の通信手段により受信された前記ヘッド部の信号対ノイズ比率を示す情報に基づいて、前記第2の処理手段の前記設定回数を変更することにより前記第2の処理手段の処理を変更することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の放射温度計。
【請求項5】
前記第2の通信手段により受信された情報は、前記測定対象物の測定箇所に光を照射する照射手段を前記ヘッド部が有するか否かを示す情報を含み、
前記第2の処理手段は、
前記照射手段を点灯させるか否かを選択するための表示を行う表示手段と、
前記照射手段を点灯させるか否かを選択する選択手段と、
前記選択手段の選択に基づいて前記照射手段を点灯させるべきか否かを示す信号を前記第2の通信手段を介して前記ヘッド部に送信する処理装置とを含み、
前記変更手段は、前記第2の通信手段により受信された前記ヘッド部が前記照射手段を有するか否かを示す情報に基づいて、前記表示手段による表示を行うか否かを切り換えることにより前記第2の処理手段の処理を変更することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の放射温度計。
【請求項6】
測定対象物の温度を測定する放射温度計であって、
ヘッド部および本体部を備え、
前記本体部は、
測定対象物に基づく情報を設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された前記情報を前記ヘッド部に送信する第1の通信手段とを含み、
前記ヘッド部は、
測定対象物からの赤外線エネルギーを検出する赤外線検出手段と、
前記本体部により送信された前記情報を受信する第2の通信手段と、
前記赤外線検出手段により検出される赤外線エネルギーを処理する処理手段と、
前記第2の通信手段により受信された前記情報に基づいて前記処理手段の特性を変更する変更手段とを含むことを特徴とする放射温度計。
【請求項7】
前記処理手段は、赤外線検出手段により検出された赤外線エネルギーを増幅する増幅手段を含み、
前記測定対象物に基づく情報は、測定対象物の放射率を示す情報を含み、
前記変更手段は、前記第2の通信手段により受信された前記測定対象物の放射率を示す情報に基づいて、前記増幅手段のゲインを変更することにより前記処理手段の特性を変更することを特徴とする請求項6記載の放射温度計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−226782(P2006−226782A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−39517(P2005−39517)
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】