説明

放射線データを取得する方法及び装置

検出器アレイの計数率能力を拡張する方法及び装置である。この方法は、検出器アレイにおいてフォトンを受光するステップと、第一のカウンタを用いて第一のエネルギ閾値を上回るフォトンを計数するステップと、第二のカウンタを用いて異なる第二のエネルギ閾値を上回るフォトンを計数するステップと、第一及び第二のカウンタからのフォトン計数を用いてパイル・アップ推定を算出するステップとを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本書に開示される主題は一般的には、イメージング・システムに関し、さらに具体的には、各実施形態は、イメージング・システムの検出器を用いてフォトン計数情報を取得するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
計算機式断層写真法(CT)イメージング・システムのような従来のイメージング・システムは、着目する対象を走査して画像情報を取得するために用いられている。典型的には、イメージング・システムは、X線を対象へ向けて放出するように構成されているX線源を含んでいる。放射線検出器のアレイのような検出装置が対象の反対側に配置されて、対象を透過したX線を検出する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
CTイメージング・システムは、電流モードで動作することにより撮像情報を取得することができる。電流モードで動作しているときには、検出器は放射線撮影エネルギを電流信号へ変換し、電流信号が一定の期間にわたり積算された後に、測定されて最終的にディジタル化される。しかしながら、かかる検出器の欠点は、検出されるフォトンの個数及び/又はエネルギについてのデータ又はフィードバックを与えることができないことである。従って、CTイメージング・システムはまた、フォトン計数モードでも動作するように構成される。フォトン計数モードで動作しているときには、幾つかのCTイメージング・システムは、従来のCTシステムを用いた場合に典型的に遭遇するX線フォトン線束率ではX線を計数することができない場合がある。例えば、フォトン計数モードで動作するテルル化カドミウム亜鉛(CZT)検出器又はテルル化カドミウム(CdTe)検出器のような固体検出器の計数率能力は、検出器シンチレータのパルス成形能力によって限定される。例えば、従来のCZT検出器の最大フォトン計数率は、Tを不感時間とすると電子回路チャネル当たり約1/eTまでに限定されている。不感時間は、フォトンが検出器結晶に衝突しても検出器がフォトンの処理又は計数で塞がっているときに生ずる。
【0004】
従って、幾つかのCTイメージング・システムがフォトン計数モードで動作しているときに、検出器飽和すなわち検出器パイル・アップ(pile-up)が生ずる場合がある。パイル・アップは光度曲線にも影響し、高計数率を抑制する。換言すると、これらの検出器は典型的には、相対的に低いX線束レベル限界値において飽和する。これらの限界値を上回ると、検出器応答は予測不能となり、又は線量利用率が低下する。すなわち、一旦ピクセルが飽和したら(発生される信号の輝点に対応する)、さらなる放射線が画像に有用な細部を生成しなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、検出器アレイの計数率能力を拡張する方法が提供される。この方法は、検出器アレイにおいてフォトンを受光するステップと、第一のカウンタを用いて第一のエネルギ閾値を上回るフォトンを計数するステップと、第二のカウンタを用いて異なる第二のエネルギ閾値を上回るフォトンを計数するステップと、第一及び第二のカウンタからのフォトン計数を用いてパイル・アップ推定を算出するステップとを含んでいる。
【0006】
もう一つの実施形態では、検出器アレイが提供される。この検出器アレイは、ピクセルのマトリクスを形成し、放射線事象を感知する放射線検出場を有する複数の固体結晶と、複数のピクセルの少なくとも一つに結合されたフォトン計数装置とを含んでいる。検出器アレイにおいてフォトンを受光するように構成されているフォトン計数装置は、第一のカウンタを用いて第一のエネルギ閾値を上回るフォトンを計数し、第二のカウンタを用いて異なる第二のエネルギ閾値を上回るフォトンを計数して、第一及び第二のカウンタからのフォトン計数を用いてパイル・アップ推定を算出する。
【0007】
さらにもう一つの実施形態では、コンピュータ可読の媒体が提供される。このコンピュータ可読の媒体は、第一のカウンタを用いて第一のエネルギ閾値を上回るフォトンを計数し、第二のカウンタを用いて異なる第二のエネルギ閾値を上回るフォトンを計数して、第一及び第二のカウンタからのフォトン計数を用いてパイル・アップ推定を算出することをコンピュータに命令するようにプログラムされている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の様々な実施形態に従って形成される例示的なフォトン計数装置の概略図である。
【図2】本発明の様々な実施形態による事象個数を決定する方法の一例の流れ図である。
【図3】本発明の様々な実施形態に従って具現化され得る例示的なパイル・アップ補正のグラフ図である。
【図4】本発明の様々な実施形態に従って形成される例示的な多重モダリティ・イメージング・システムの見取り図である。
【図5】本発明の様々な実施形態に従って形成される図4に示す例示的なイメージング・システムのブロック概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以上の概要及び以下の本発明の幾つかの実施形態の詳細な説明は、添付図面と併せて読むとさらに十分に理解されよう。図面が様々な実施形態の機能ブロックの線図を示す範囲までにおいて、機能ブロックは必ずしもハードウェア回路の間の区分を示す訳ではない。従って、例えば、機能ブロックの1又は複数(例えばプロセッサ若しくはメモリ)が単体のハードウェア(例えば汎用信号プロセッサ若しくはランダム・アクセス・メモリのブロック、又はハードディスク等)として具現化されていてもよい。同様に、プログラムは独立型プログラムであってもよいし、オペレーティング・システムのサブルーチンとして組み込まれていてもよいし、インストールされているソフトウェア・パッケージの関数等であってもよい。尚、様々な実施形態は図面に示されている構成及び手段に限定されないことを理解されたい。
【0010】
本書で用いる場合には、単数形で記載されており単数不定冠詞を冠した要素又はステップとの用語は、排除を明記していない限りかかる要素又はステップを複数備えることを排除しないものと理解されたい。さらに、本発明の「一実施形態」に対する参照は、所載の特徴を同様に組み入れている追加の実施形態の存在を排除しないものと解釈されたい。また、反対に明記されていない限り、特定の特性を有する1又は複数の要素を「含んでいる」又は「有している」実施形態は、この特性を有しない追加の要素も包含し得る。
【0011】
また、本書で用いられる「画像を再構成する」との表現は、画像を表わすデータが生成されるが可視画像は形成されないような本発明の実施形態を排除するものではない。従って、本書で用いられる「画像」との用語は、可視画像及び可視画像を表わすデータの両方を広く指す。但し、多くの実施形態は少なくとも1枚の可視画像を形成し又は形成するように構成されている。
【0012】
図1は、例示的な放射線源162からのX線を受光するように構成されている例示的な検出器アレイ160と共に用いられ得る例示的なフォトン計数装置100の概略図である。X線源162は、例えばX線を出力するように構成されていてよく、X線は検出器アレイ160に入射する。また、検出器アレイ160はフォトン計数率能力を含むテルル化カドミウム亜鉛(CZT)検出器又はテルル化カドミウム(CdTe)検出器のような固体検出器であってよい。
【0013】
一実施形態では、フォトン計数装置100は、検出器アレイ160に結合された別個の構成要素であってもよい。この実施形態の例では、フォトン計数装置100は、検出器アレイ160と一体形成されている。フォトン計数装置100は、フォトン計数を実行し、また検出される各々のX線のエネルギ・レベルの測定値を与えるように構成されている。検出器アレイ160は共通の陰極102を含んでおり、陰極102は、結晶104の一面に形成されて検出場106を形成する。複数のピクセル陽極108〜116が結晶104の第二の面に形成されている。ピクセル陽極108〜116は横列及び縦列のマトリクスを形成していてよく、各々のピクセル陽極108〜116がピクセルの位置となっている。従って、陰極102、結晶104、及び陽極108の組み合わせが単一のピクセル140を形成する。また、陰極102、結晶104、及び陽極110の組み合わせがもう一つのピクセル142を形成し、以下同様である。結晶104のマトリクスは、各々のピクセルが例えば2mm×2mm又は2mm×3mmである場合に16×16ピクセル又は8×18ピクセル等のように等しい寸法であっても異なる寸法であってもよい。
【0014】
この実施形態の例では、各々のピクセルの出力に一つのフォトン計数装置が結合されている。例えば、図1に示すように、フォトン計数装置100がピクセル142の出力に結合されている。もう一つのフォトン計数装置(図示されていない)がピクセル140の出力に結合され、以下同様である。この実施形態の例では、検出器アレイ160の各々のピクセルがそれぞれのフォトン計数装置に結合される。さらに明確に述べると、ピクセル陽極108〜116の各々と連絡してフォトン計数装置100が結合されて、各々のピクセルに付設される専用のピクセル・データ・チャネル118を形成する。フォトン計数装置100は、特定応用向け集積回路(ASIC)であってもよいし、他の電子装置(1又は複数)であってもよい。選択随意で、フォトン計数装置100は、コンピュータ164の一組の命令集合として具現化されていてもよい。図1には単一のフォトン計数装置100が単一のピクセル陽極110と相互接続しているように図示されているが、このフォトン計数装置がピクセル陽極108〜116の各々に接続され得ることを認められたい。選択随意で、フォトン計数装置100が1よりも多いピクセル陽極108〜116と相互接続されて、各々のピクセル陽極108〜116毎に別個の処理回路及び/又は処理能力を含んでいてもよい。また、フォトン計数装置100は、16×16ピクセルを有する区域のような検出器アレイ160の区域からのピクセルの部分集合から信号を受け取ってもよい。多数のASICが、幾つもの(例えば128の)チャネルを提供する多数のフォトン計数装置100を含むことができ、このようにして128個のピクセルからのデータを受け取る128個のピクセル・データ・チャネル118を設ける。ASICは選択随意でキャリア(carrier)印刷回路基板(PCB)を用いて結晶104に接続される。選択随意で、フォトン計数装置100は、等価の作用を果たす個々の構成要素を用いて具現化されていてもよい。
【0015】
図1へ戻り、この実施形態の例では、フォトン計数装置100は陽極110に結合されて陽極110から情報を受け取る少なくとも一つの前置増幅器120を含んでいる。フォトン計数装置100はまた、前置増幅器120に結合された複数の閾値解析器122、124、…、n、及びそれぞれの閾値解析器122、124、…、nに結合された複数のカウンタ126、128、…、nを含んでいる。この実施形態の例では、フォトン計数装置はそれぞれのカウンタ126に各々結合されたn個の閾値解析器を含んでいる。このようなものとして、フォトン計数装置100はn個のカウンタとn個の閾値解析器とを含んでいる。フォトン計数装置100はさらに、カウンタ124、…、nから計数データを読み取るマルチプレクサ130と、マルチプレクサ130から受け取った情報をコンピュータ164へ送信する読み出しバス132とを含んでいる。フォトン計数装置100の動作を図2に関してさらに詳細に説明する。
【0016】
図2は、検出器アレイ160のようなイメージング・システム検出器から取得されるフォトン計数情報を用いて事象個数を決定する方法200の一例を示す流れ図である。一実施形態では、方法200は、走査手順中に用いられ得る。この実施形態の例では、方法200は、イメージング・システム較正手順中に実行される。また、上述のフォトン計数装置100が方法200の各部分を実行してもよい。選択随意で、方法200は、コンピュータにインストールされている一組の命令集合として具現化されてもよい。また、この実施形態の例では、方法100は、フォトン計数モードで動作している検出器アレイ、例えば検出器アレイ160と共に用いられる。
【0017】
ブロック202では、カウンタ122、…、nは、ゼロ個のフォトンが取得されていることを反映してゼロに設定される。ブロック204では、図1に示す複数のX線150を発生する撮像走査が開始される。動作について述べると、検出器アレイ160に入射するX線150は、検出器ピクセルによって電気信号へ変換される。次いで、検出器アレイ160によって発生される信号はフォトン計数装置100へ送信されて、例えば医用イメージング・システムを較正するために該装置100によって用いられる。また、方法200はパイル・アップ補正を決定し、次いで検出器アレイの計数率能力を高めるためにパイル・アップ補正を施す。
【0018】
この実施形態の例では、検出器アレイ160を較正するために、X線がX線源162から放出される。例えば、図1へ戻り、ブロック204において走査が開始した後に、X線150によって画定されるような複数の放射線事象がX線源162から伝達されて、ピクセル位置例えばピクセル142において吸収され、ピクセル陽極110において信号152を発生させる。信号152は単一の個数を表わす。従って、信号152は単一のX線150の線束エネルギを表わす場合も、多数のX線150の線束エネルギを表わす場合もある。ピクセル陽極110は信号152を発生して、前置増幅器120へ送って増幅する。前置増幅器120は、図2に示すようなフォトン計数装置100の内部に位置していてもよいし別個の構成要素であってもよい。ブロック206では、前置増幅器120は信号152を増幅して成形する。次いで、少なくとも信号152を示すエネルギ成分及びパルス時間成分を有する増幅された信号154が、閾値解析器122,124、…、nに渡される。
【0019】
ブロック208では、閾値解析器122が信号152のエネルギEを解析する。閾値解析器122は、第一の閾値T1に基づいて信号152を解析する。この実施形態の例では、第一の閾値T1は約40keVである。従って、閾値T1以上のエネルギを有するあらゆるX線が、後にあらためて詳細に議論されるように、カウンタによって計数される。
【0020】
ブロック210では、閾値解析器124が信号152のエネルギEを解析する。閾値解析器124はまた、第二の異なる閾値T2に基づいて信号152を解析する。この実施形態の例では、第二の閾値T2は第一の閾値T1よりも大きい。例えば、第二の閾値T2は約100keVであってよい。従って、動作時には、第一の閾値解析器122はピクセル142から受け取った各々の信号を解析して、信号のエネルギ・レベルが閾値T1よりも大きいか否かを決定する。また、ピクセル142から受け取った各々の信号を解析して、信号のエネルギ・レベルが閾値T2よりも大きいか否かを決定する。この態様で、各々のX線が別個に、同時期に(concurrently)、また近似的に同時発生的に(simultaneously)、フォトン計数装置100によって処理されて計数される。
【0021】
ブロック212では、カウンタがそれぞれの閾値カウンタから受け取ったX線を計数する。動作時には、閾値解析器122は、第一の閾値T1を上回る線束エネルギを有するあらゆるX線を第一のカウンタ126へ送り、閾値解析器124は、第二の閾値T2を上回る線束エネルギを有するあらゆるX線を第二のカウンタ128へ送る。従って、信号152の線束エネルギが第一の閾値T1を上回っている場合には、信号152は第一のカウンタ126によって計数される。また、信号のエネルギ・レベル152が第二の閾値T2を上回っている場合には、信号152はまた、第二のカウンタ128によって計数される。
【0022】
さらに明確に述べると、対象又は被検体が撮像されているときに、検出器アレイ160は、幾つかの区域では計数に対して相対的に高感度である。検出器アレイ160によって記録される計数が増すにつれて検出器アレイ160の感度は低下する。例えば、患者が走査されているとすると、検出器アレイ160によって検出される計数又はX線の量、従って検出器アレイ160によって記録される線束エネルギは、患者が稠密である区域ほど小さい。計数率及び線束エネルギは患者が配置されている位置では低下するので、検出器アレイ160はこの位置において相対的に高感度になる。しかしながら、例えば、検出器アレイ160が空気を撮像しているような走査域、例えば患者の何れの部分もX線源162と検出器アレイ160との間に配置されていないときには、計数率は実質的に増大し、従って検出器アレイ160はこの区域に対して相対的に低感度になる。結果として、第一の閾値を用いてより低いエネルギを有する計数を識別し、第二の閾値を用いてより高いエネルギを有する計数を識別する。
【0023】
従って、閾値解析器122、…、nは各々、それぞれの閾値に関してX線150のエネルギEを解析する。一実施形態では、第二の閾値T2は検出器アレイ160の最大修正値(maximum corrected value)以上の値に設定される。最大修正値は典型的には、ピクセルが飽和を経験するときの値である。もう一つの実施形態では、第二の閾値T2は、予め決められた最大修正値の量の範囲内にある値に設定されることができ、例えば、最大修正値の約80%と設定することができる。尚、方法200は2種の閾値を用いることに関して記載されているが、方法200は2種よりも多い閾値を用いてよいことを認められたい。例えば、方法200は、3種、4種、又はさらに多い閾値を用いて具現化され得る。
【0024】
図3は、上述のカウンタから受け取られる結果を用いて具現化され得る例示的なパイル・アップ補正のグラフ図であって、y軸は単一の検出器アレイ・ピクセルによって出力される計数率を表わし、x軸は検出器ピクセルに入力される線束率を表わす。認められるように、計数率は、関連する区域を有するピクセルによって単位時間当たり検出されるフォトンの数を具現化したものである。また、検出器アレイ160のような最適なフォトン計数検出器は二つの挙動を含んでおり、一つ目は可能な限り小さい流入(influx)変化当たり計数率の顕著な変化を与える感度、二つ目は流入の線形変化に対して計数率の線形変化を与える線形性である。例えば、流入が倍増した場合には、計数率も倍増する。本書に記載するこの実施形態の例では、計数率の線形性を感度に基づいて補正することができる。線束当たり顕著な変化が存在する場合、例えば感度に顕著な変化が存在する場合には、本書に記載する方法を用いて、計数率を近似的に線形の応答に戻す。
【0025】
例えば、図3へ戻り、線302は第一のカウンタを用いて生成される1個のフォトン計数ピクセルの実際の計数率を示す。線304は、第二のカウンタを用いて生成される1個のフォトン計数ピクセルの実際の計数率を示す。線306は、第三のカウンタを用いて生成される1個のフォトン計数ピクセルの実際の計数率を示す。線308は、第四のカウンタを用いて生成される1個のフォトン計数ピクセルの実際の計数率を示す。検出器アレイ160は、前述のように2以上のカウンタを含み得ることを認められたい。例えば、線302はカウンタ126によって生成され、線308はカウンタ128によって生成され得る。また、線304及び306は、図1に示していないさらに他のカウンタによって生成され得る。
【0026】
この実施形態の例では、線312は、線302によって示すカウンタによって記録される実際の計数の望ましい応答曲線を表わす。この実施形態の例では、線312は近似的に線形であって、検出器アレイが多重の線束スペクトルにわたって事象を計数していることを示すものとする。線314は、線304によって示すカウンタによって記録される実際の計数の望ましい応答曲線を表わす。線316は、線306に示すカウンタによって記録される実際の計数の望ましい応答曲線を表わす。線318は、線308に示すカウンタによって記録される実際の計数の望ましい応答曲線を表わす。
【0027】
前述のように、この実施形態の例では、計数率の線形性をフォトン計数の感度に基づいて補正することができる。例えば点328のように線308に示す実際の計数率と線318に示す理想化された計数率との間の顕著な変化が存在する場合には、実際の計数率を線形応答に戻すように調節する単純なパイル・アップ補正を実行することができる。
【0028】
例えば、図3に示すように、線308が低閾値カウンタから与えられる1個のフォトン計数ピクセルの実際の計数率を表わしているとする。点0から点T348まででは、検出器は最も高感度であり、すなわち線308は近似的に線形であって、従って理想的な応答曲線318に近似的に合致する。点T348から点T358まででは、検出器は線束に対して感度が低下しており、パイル・アップ条件が生じていて線束の増大当たりの計数の増大が小さくなっていることを示す。しかしながら、点T348と点T358との間の感度は依然として、線302の感度よりも良好である。従って、点T348から点T358までこのカウンタからの情報が依然として用いられる。線308の点T358から点T368まででは、応答は線302に示す応答と実質的に同様である。また、点T368から線308の末尾まででは、応答は実質的に平坦であり、線308からさらなる有用な計数情報は用いられないことを示す。さらに明確に述べると、点T368から線308の末尾まででは、計数率の変化は感度の損失のため実際の線束の不良な推定となっており、線束率の実質的な変化がカウンタの計数率の極く小さい変化によって示されている。
【0029】
各々のカウンタが、当該範囲で最も高感度のカウンタとなる、すなわち当該範囲では他のカウンタよりも線束の変化に対して良好な計数率応答を示すような範囲の線束を有している。動作時には、パイル・アップ効果のため、増大し続けるファクタで検出器が線形応答から下落する。実際の結果は感度の損失であり、すなわち流入の変化による計数率の変化が小さくなる。流入が増大するにつれてパイル・アップのファクタは増大する一方、計数率は次第に低感度になり、結果が不正確になる。従って、この実施形態の例では、最適な結果を達成するために、少なくとも2種の閾値を用いて互いの挙動を補償する。さらに明確に述べると、線308の点0と点T358との間のような低流入域では、第一のカウンタ又は低閾値カウンタが扱い易い線形応答を保ちつつ最大感度を与えるため、このカウンタが用いられる。しかしながら、第一のカウンタが高流入域、例えば点T358と線308の末尾の点との間で動作しているときには、第一のカウンタ又は低閾値カウンタは感度を失い、従って、より高い閾値による第二のカウンタを別個に用いるか、又は第一のカウンタと併用する。
【0030】
この実施形態の例は、2種のカウンタ及び2種の閾値を用いることに関して記載されているが、他の実施形態では、3以上のカウンタを用いてもよいことを認められたい。例えば、この実施形態の例では、線302及び線308についての計数情報を生成する2種のカウンタが記載されている。しかしながら、2よりも多い閾値を用いると、例えば線304及び線306からの付加的な情報を用いて導かれる改善された結果が達成され得る。2以上の閾値を実効的に用いると、流入範囲が詳細に解析され、最高感度を達成し、従って最も正確な結果を達成する。
【0031】
この実施形態の例では、ピクセル毎測定毎に補正アルゴリズムが適用される。以下は、2種の閾値によるカウンタを用いて適用され得る一つのかかる補正アルゴリズムの例であり、線308が第一のカウンタ又は低閾値カウンタC1から得られる計数を表わし、線302が第二のカウンタ又は高閾値カウンタC2から得られる計数を表わす。前述のように、2よりも多い閾値カウンタを用いて、検出される計数の感度を高めることができる。
【0032】
以下に示す表1は、パイル・アップ推定を算出するために少なくとも2種の閾値カウンタを用いる方法の一例を示す。X[i]が計数率による推定流入InFluxを表わすとする。ピクセルの読み出し毎に行なわれるパイル・アップ補正は以下の通りとなる。
【0033】
【表1】

上の表1に示すように、低閾値カウンタC1が線308の点0と点T348との間の情報を記録しているときには、カウンタは実質的に線形であって、線束の変化に関して高感度であり、従ってカウンタは検出器計数に最も高感度である。従って、低閾値カウンタC1についての点0と点T348との間の計数情報を用いて、パイル・アップ補正を算出する。
【0034】
低閾値カウンタC1が点T34と点T358との間に位置しているときには、応答は最早線形ではないが、良好な感度が依然保たれているので、低閾値カウンタC1からの計数情報を用いてパイル・アップ補正を正確に行なうことができる。
【0035】
しかしながら、点T358から点T368まででは、パイル・アップ効果が著しくなり、精度を得ることが困難である。従って、パイル・アップ補正は、低閾値カウンタ及び高閾値カウンタの両方を用いて決定されて、パイル・アップ補正のために滑らかな移行を与える。この実施形態の例では、点T358から点T368までのパイル・アップ補正は、下記に従って決定される。
【0036】
InFlux=X[C1]+{(X[C1]−X[T358])*(X[C2]−X[C1])}/(X[T368]−X[T358])
式中、X[i]は推定流入InFluxを示し、
X[C1]は低閾値カウンタによって記録される推定流入InFluxを示し、
X[C2]は高閾値カウンタによって記録される推定流入InFluxを示し、
X[T358]は点T358において低閾値カウンタによって記録される推定流入InFluxを示し、
X[T368]は点T368において低閾値カウンタによって記録される推定流入InFluxを示す。
【0037】
低閾値カウンタが、例えば点T368から線308の末尾までのように線束率の変化Iに最早応答しないときには、高閾値カウンタの方が低閾値カウンタよりも正確で線束変化に高感度であるため、高閾値カウンタからの計数率、例えば線302をパイル・アップ補正に用いる。
【0038】
表1に示すように、低線束区域では低閾値カウンタを用い、高線束区域では高閾値カウンタを用いて、これにより、扱い易い線形応答を保ちつつ最大感度を与えて改善されたパイル・アップ補正を達成することができる。高閾値カウンタが感度を失うような相対的に高流入の区域では、高閾値カウンタを低閾値カウンタと併用して感度を保ち得ることを認められたい。
【0039】
図2へ戻り、ブロック214では、マルチプレクサ130は第一のカウンタ126、第二のカウンタ128、及び第nのカウンタから出力された計数データをそれぞれ読み取って、これらの計数データを読み出しバス132へ転送する。次いで、読み出しの後にカウンタ126、…、nをゼロにリセットする。次いで、読み出しバス132はデータをワークステーションへ転送する。ブロック216では、読み出しバス132から受け取ったデータをテーブル(図示されていない)に入力してパイル・アップ補正を行なう。例えば、計数率が最大修正値(不感時間Tによって画定される最大計数率の約80%)よりも小さいときには、低閾値カウンタT1をパイル・アップ補正に用いる。計数率が最大修正値よりも高いときには、高閾値カウンタT2値をT2値と併用してパイル・アップ補正を行なう。
【0040】
これらの実施形態の例では、方法100を用いてイメージング・システムを較正してもよいし、患者を撮像している間に方法100を用いてもよい。一実施形態では、較正手順中に、線源162の線束率を次第に増大させて、ピクセルが飽和を経験する点を識別するのを容易にすることができる。次いで、この閾値、例えば第二の閾値T2を反映するようにルックアップ・テーブルを補正することができる。また、検出器アレイ160の各々のピクセル毎に別個の閾値T2を決定してもよいことを認められたい。
【0041】
本書に記載する様々な実施形態の技術的効果は、例示的な検出器アレイの計数能力を拡張する性能を提供することである。さらに明確に述べると、第一のカウンタが飽和した後に少なくとも一つの付加的なカウンタが全ての事象を計数するように、多数のカウンタが用いられる。この態様で、様々な実施形態は、第一のカウンタがパイル・アップ状態を経験したら、少なくとも一つの付加的なカウンタを用いて事象を計数する。次いで、第二のカウンタからの計数を用いて、第一のカウンタによって生成された情報を補正することができる。さらに明確に述べると、例えばフォトン計数モードで行なわれるCT取得中に、各々のピクセルに接続された電子回路チャネルが低閾値よりも高いエネルギを有するフォトンを計数する。また、高閾値よりも高いエネルギを有するフォトンを第二のカウンタによって同時に計数する。計数率が最大修正値(不感時間Tによって画定される最大計数率の約80%)よりも小さいときには、低閾値カウンタT1を用いる。計数率が最大修正値よりも高いときには、高閾値カウンタ値T2を用いる。カウンタ値を作成される補正テーブルに入力して、このテーブルを用いてパイル・アップ推定を生成する。結果として、所載のフォトン計数装置は、高計数率において正確な結果を依然出力しつつ、低計数率での事象に対する改善された感度を提供する。この能力によって、イメージング・システムは、X線走査又はCT走査のように様々な計数率に遭遇し得る場合にもCZT検出器アレイを用いることが可能になる。
【0042】
図4は、上述の例示的なフォトン計数装置100を含み得る例示的な多重モダリティ・イメージング・システム410である。イメージング・システム410は、第一のモダリティ・ユニット412及び第二のモダリティ・ユニット414を含んでいる。これら二つのモダリティ・ユニットは、多重モダリティ・イメージング・システム410が第一のモダリティ・ユニット412を用いて第一のモダリティにおいて対象416のような対象又は患者を走査し、第二のモダリティ・ユニット414を用いて第二のモダリティにおいて対象416を走査することを可能にする。多重モダリティ・イメージング・システム410は異なるモダリティでの多数の走査を考慮しており、単一モダリティのシステムを上回る診断能力を促進する。一実施形態では、第一のモダリティ・ユニット412は計算機式断層写真法(CT)イメージング・システムであり、第二のモダリティ・ユニット414は陽電子放出断層写真法(PET)イメージング・システムである。CT/PETシステム410は、ガントリ418を含むものとして示されている。動作時には、対象416は、例えば電動テーブル422を用いてイメージング・システム410を通して画定されている中央開口420の内部に配置される。ガントリ418は、検出器アレイ160へ向けてX線のビームを投射するX線源162を含んでおり、検出器アレイ160はガントリ418の反対側に設けられている。検出器アレイ160によって検出されるフォトンを用いて、対象416の画像を再構成する。
【0043】
図5は、図4に示す例示的なCTイメージング・システム412の一部のブロック概略図である。本実施形態では、CTイメージング・システム412は検出器アレイ160を含んでいる。検出器アレイ160は単一の横列を成す検出器素子428を有するように図示されているが、この実施形態の例では、検出器アレイ160は、複数の平行な検出器横列を成す検出器素子428を含むマルチ・スライス検出器アレイであって、複数の準平行スライス又は平行スライスに対応する投影データが走査中に同時に取得され得るようにしていることを認められたい。また、この実施形態の例では、検出器アレイ160は、CZTのような固体材料で形成された検出器素子428のマトリクスで形成されていてもよいし、PIN又はAPD(アバランシュ・フォトダイオード)のような固体光検出器を各々付設したシンチレーション結晶のマトリクスで形成されていてもよい。CZTのような固体材料は、透過X線フォトン及び放出ガンマ・フォトンに対する感度を有し、これらのフォトンを識別することが可能である。
【0044】
動作時には、制御機構430が検出器アレイ160の回転及びX線源162の動作を制御する。制御機構430は、X線源162に電力信号及びタイミング信号を供給するX線制御器432を含んでいる。制御機構430はまた、ガントリ418の回転速度及び位置を制御するガントリ・モータ制御器434を含んでいる。制御機構430に設けられているデータ取得システム(DAS)436が検出器素子428からアナログ・データを標本採取し、これらのデータをディジタル信号へ変換して、図1に示すフォトン・カウンタ100を用いた後の処理に供する。この実施形態の例では、CTイメージング・システム410は、電流モード又はフォトン計数モードの何れかで動作するように構成されている。電流モードで動作しているときには、検出器アレイ160は、X線源162から伝達された放射線撮影エネルギを電流信号へ変換するように構成され、これらの電流信号は一定期間にわたり積算された後に、測定されて最終的にディジタル化される。フォトン計数モードで動作しているときには、検出器アレイ160は、X線計数を行ない、また検出される各々のX線のエネルギ・レベルの測定を提供するように構成される。
【0045】
イメージング・システム410はまた、画像再構成器438を含んでおり、画像再構成器438はフォトン計数装置100によって発生されるデータをDAS436から受け取って、高速画像再構成を実行する。本書で用いられる「コンピュータ」との用語は、マイクロコントローラ、縮小命令セット回路(RISC)、特定応用向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、論理回路、及び本書に記載された作用を実行することが可能な他の任意の回路又はプロセッサを用いたシステムを含む任意のプロセッサ方式又はマイクロプロセッサ方式のシステムを含み得る。上の例は例示のみのためのものであり、従って「コンピュータ」との語の定義及び/又は意味を如何なる方法でも限定しないものとする。この実施形態の例では、コンピュータ164は、入力データを処理するために1又は複数の記憶要素又はメモリに記憶されている一組の命令集合を実行する。記憶要素はまた、所望又は必要に応じてデータ又は他の情報を記憶することができる。記憶要素は、情報ソースの形態にあってもよいし、コンピュータ164の内部の物理的メモリ素子の形態にあってもよい。選択随意で、イメージング・システム410は外部記憶装置442を含んでいてよい。
【0046】
動作時には、コンピュータ164は、キーボードを有する操作者ワークステーションのコンソール444を介して操作者から命令及び走査パラメータを受け取る。付設されている表示器446によって、操作者は、再構成画像、並びにコンピュータ164及び/又はワークステーション444からの他のデータを観察することができる。操作者が供給した命令及びパラメータはコンピュータ164によって用いられて、DAS436、X線制御器432及びガントリ・モータ制御器434へ制御信号及び情報を与える。加えて、コンピュータ164は、電動テーブル422を制御するテーブル・モータ制御器448を動作させて、患者のような対象416をガントリ418において配置する。
【0047】
一実施形態では、コンピュータ164は、フロッピィ・ディスク又はCD−ROMのようなコンピュータ可読の媒体452からの命令及び/又はデータを読み取る装置450、例えばフロッピィ・ディスク・ドライブ又はCD−ROMドライブを含んでいる。もう一つの実施形態では、コンピュータ164はファームウェア(図示されていない)に記憶されている命令を実行する。コンピュータ164は、本書に記載する作用を実行するようにプログラムされている。本書に記載する方法及び装置は医療環境において記載されているが、本書に記載する方法及び装置の利点は、産業環境又は運輸環境、例えば限定しないが空港、他の運輸拠点、政府建築物、及びオフィス・ビル等での手荷物走査システム等で典型的に用いられるシステム等のような医用以外のイメージング・システムにおいても得られると想到される。
【0048】
本書に記載する方法は、処理機械であるコンピュータ又はプロセッサ164に本書に記載する様々な実施形態の方法及び工程のような特定の動作を果たすように命令する様々な命令を含む一組の命令集合として具現化され得る。例えば、方法100は、ソフトウェア・プログラムの形態にある一組の命令集合として具現化され得る。本書で用いられる「ソフトウェア」及び「ファームウェア」との用語は互換的であり、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、及び不揮発性RAM(NVRAM)メモリを含めたメモリに記憶されてコンピュータによって実行される任意のコンピュータ・プログラムを含んでいる。以上のメモリ形式は例示のみのためのものであり、従ってコンピュータ・プログラムの記憶に利用可能なメモリの形式に関して制限するものではない。例えば、フォトン計数装置100及び/又は方法200は、アルゴリズムとして具現化され得る。このアルゴリズムは、一組の命令集合としてコンピュータ可読の媒体452に記憶され得る。選択随意で、アルゴリズムは、一組の命令集合としてコンピュータ164に記憶されてもよい。
【0049】
以上の記載は例示説明のためのものであって制限するものではないことを理解されたい。例えば、上述の各実施形態(及び/又は各実施形態の諸観点)を互いに組み合わせて用いてよい。加えて、本発明の範囲を逸脱することなく、特定の状況又は材料を発明の教示に合わせて適応構成する多くの改変を施すことができる。例えば、方法に記載されている各ステップの順序は、明示されていたり暗黙裡に要求されていたり(例えば一つのステップが、前段のステップの結果又は成果が利用可能であることを要求する等)しない限り、特定の順序で実行される必要はない。以上の記載を吟味して理解すれば、当業者には他の多くの実施形態が明らかとなろう。従って、本発明の範囲は、特許請求の範囲に関連して、かかる特許請求の範囲が網羅する等価物の全範囲と共に決定されるものとする。特許請求の範囲では、「including包含する」との用語は「comprising含む」の標準英語の同義語として、また「in whichこのとき」との用語は「whereinここで」の標準英語の同義語として用いられている。また、特許請求の範囲の制限は、「手段プラス機能(means-plus-function)」形式で記載されている訳ではなく、かかる特許請求の範囲の制限が、「〜のための手段」に続けて他の構造を含まない機能の言明を従えた文言を明示的に用いていない限り、合衆国法典第35巻第112条第6パラグラフに基づいて解釈されるべきではない。
【0050】
この書面の記載は、最適な態様を含めて発明を開示し、また任意の装置又はシステムを製造して利用すること及び任意の組み込まれた方法を実行することを含めてあらゆる当業者が本発明を実施することを可能にするように実例を用いている。特許付与可能な発明の範囲は特許請求の範囲によって画定されており、当業者に想到される他の実例を含み得る。かかる他の実例は、特許請求の範囲の書字言語に相違しない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の書字言語と非実質的な相違を有する等価な構造要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0051】
100:フォトン計数装置
102:陰極
104:結晶
106:検出場
108、110、112、114、116:ピクセル陽極
118:ピクセル・データ・チャネル
120:前置増幅器
122、124、…、n:閾値解析器
126、128、…、n:カウンタ
130:マルチプレクサ
132:読み出しバス
140、142:ピクセル
150:X線
152、154:信号
160:検出器アレイ
162:放射線源
164:コンピュータ
200:イメージング・システム検出器から取得されるフォトン計数情報を用いて事象個数を決定する方法
302、304、306、308:実際の計数率
312、314、316、318:実際の計数の望ましい応答曲線
324、326、328:実際の計数率と望ましい曲線との間の顕著な変化
410:多重モダリティ・イメージング・システム
412:第一のモダリティ・ユニット
414:第二のモダリティ・ユニット
416:対象
418:ガントリ
420:中央開口
422:電動テーブル
430:制御機構
432:X線制御器
434:ガントリ・モータ制御器
436:データ取得システム(DAS)
438:画像再構成器
442:外部記憶装置
444:操作者ワークステーション
446:表示器
448:入力装置
450:読み取り装置
452:コンピュータ可読の媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトン計数情報を取得する方法であって、
検出器アレイにおいてフォトンを受光するステップと、
第一のカウンタを用いて第一のエネルギ閾値を上回る前記フォトンを計数するステップと、
第二のカウンタを用いて異なる第二のエネルギ閾値を上回る前記フォトンを計数するステップと、
前記第一及び第二のカウンタからの前記フォトン計数を用いてパイル・アップ推定を算出するステップと
を備えた方法。
【請求項2】
前記第一のカウンタを用いて線束エネルギが約40keV以上であるフォトンを計数するステップと、
前記第二のカウンタを用いて線束エネルギが約100keV以上であるフォトンを計数するステップと
さらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記検出器アレイにより検出されている前記線束エネルギを、前記第一のカウンタを実質的に飽和させるのに十分な第一の線束レベルまで増大させるステップと、
前記検出器アレイにより検出されている前記線束エネルギを、前記第一の線束レベルよりも大きい第二の線束レベルまで増大させるステップと、
前記第一のカウンタが飽和した後に前記第二のカウンタを用いて前記検出器アレイにおいて受光されるフォトンを計数するステップと、
前記第一及び第二のカウンタにより計数される前記フォトンを用いて前記検出器アレイを較正するステップと
をさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第一のカウンタにより計数されている前記フォトンが、いつ、実質的に線形の応答から実質的に非線形の応答へ変移したかを識別するステップと、
前記第一のカウンタが実質的に線形の応答から実質的に非線形の応答へ変移した後に、前記第二のカウンタを用いて前記検出器アレイにおいて受光されるフォトンを計数するステップと
をさらに含んでいる請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第一のカウンタが、いつ、最大修正値に達したかを決定するステップと、
前記第二のカウンタを用いて前記最大修正値を上回る前記検出器アレイにおいて受光されるフォトンを計数するステップと
をさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第一のカウンタが飽和点に達したときの最大修正値を決定するステップと、
前記第二のカウンタを用いて前記最大修正値の80%を上回る前記検出器アレイにおいて受光されるフォトンを計数するステップと
をさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第一及び第二のカウンタを用いて前記検出器アレイから受光される前記フォトンを同時に計数するステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第一及び第二のカウンタにより計数される合計フォトンを識別するステップと、
計数された前記合計フォトンを用いて前記検出器アレイを較正するステップと
をさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ピクセルのマトリクスを形成し、放射線事象を感知する放射線検出場を有する複数の固体結晶と、
前記複数のピクセルの少なくとも1個に結合されたフォトン計数装置と
を備えた検出器アレイであって、前記フォトン計数装置は、
第一のカウンタを用いて、第一のエネルギ閾値を上回る前記検出器アレイにおいて受光されるフォトンを計数し、
第二のカウンタを用いて、異なる第二のエネルギ閾値を上回る前記検出器アレイにおいて受光されるフォトンを計数して、
前記第一及び第二のカウンタからの前記フォトン計数を用いてパイル・アップ推定を算出する
ように構成されている、検出器アレイ。
【請求項10】
前記フォトン計数装置はさらに、
各々の放射線事象を閾値解析して、
前記放射線事象に関連するエネルギ・レベルを予め決められた閾値に対して比較することにより各々の放射線事象を計数する
ように構成されている、請求項9に記載の検出器アレイ。
【請求項11】
前記フォトン計数装置はさらに、
前記第一のカウンタを用いて、線束エネルギが約40keV以上であるフォトンを計数して、
前記第二のカウンタを用いて、線束エネルギが約100keV以上であるフォトンを計数する
ように構成されている、請求項9に記載の検出器アレイ。
【請求項12】
前記フォトン計数装置はさらに、前記第一のカウンタが飽和した後には、前記第二のカウンタを用いて、前記検出器アレイにおいて受光されるフォトンを計数するように構成されている、請求項9に記載の検出器アレイ。
【請求項13】
前記フォトン計数装置はさらに、前記検出器アレイを較正するための情報であって、前記第一及び第二のカウンタにより計数される前記フォトンを含む情報を生成するように構成されている、請求項9に記載の検出器アレイ。
【請求項14】
前記フォトン計数装置はさらに、
前記第一のカウンタにより計数されている前記フォトンが、いつ、実質的に線形の応答から実質的に非線形の応答へ変移したかを識別して、
前記第一のカウンタが実質的に線形の応答から実質的に非線形の応答へ変移した後に、前記第二のカウンタを用いて、前記検出器アレイにおいて受光されるフォトンを計数する
ように構成されている、請求項9に記載の検出器アレイ。
【請求項15】
前記フォトン計数装置はさらに、
前記第一のカウンタが、いつ、最大修正値に達したかを決定して、
前記第二のカウンタを用いて、前記最大修正値を上回る前記検出器アレイにおいて受光されるフォトンを計数する
ように構成されている、請求項9に記載の検出器アレイ。
【請求項16】
前記フォトン計数装置はさらに、前記第一及び第二のカウンタを用いて、前記検出器アレイから受光した前記フォトンを同時に計数するように構成されている、請求項9に記載の検出器アレイ。
【請求項17】
第一のカウンタを用いて、第一のエネルギ閾値を上回る前記検出器アレイにおいて受光されるフォトンを計数し、
第二のカウンタを用いて、異なる第二のエネルギ閾値を上回る前記検出器アレイにおいて受光されるフォトンを計数して、
前記第一及び第二のカウンタからの前記フォトン計数を用いてパイル・アップ推定を算出する
ことをコンピュータに命令する命令を含んでいるコンピュータ可読の媒体。
【請求項18】
前記命令はさらに、
各々の放射線事象を閾値解析して、
前記放射線事象に関連するエネルギ・レベルを予め決められた閾値に対して比較することにより各々の放射線事象を計数する
ことを前記コンピュータに命令する、請求項17に記載のコンピュータ可読の媒体。
【請求項19】
前記命令はさらに、
前記第一のカウンタにより計数されている前記フォトンが、いつ、実質的に線形の応答から実質的に非線形の応答へ変移したかを識別して、
前記第一のカウンタが実質的に線形の応答から実質的に非線形の応答へ変移した後に、前記第二のカウンタを用いて、前記検出器アレイにおいて受光されるフォトンを計数する
ことを前記コンピュータに命令する、請求項17に記載のコンピュータ可読の媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−516610(P2013−516610A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547074(P2012−547074)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【国際出願番号】PCT/US2010/055595
【国際公開番号】WO2011/090534
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】