説明

放射線撮影システム、情報隠蔽方法、プログラム

【課題】情報隠蔽手段実行中において、情報隠蔽手段の実行前の状態を把握できるようにする。
【解決手段】放射線撮影システム100の情報を判別するシステム状態判別部22と、表示部4が表示する情報を隠蔽する複数の互いに異なる情報隠蔽手段が格納される情報隠蔽手段格納部27と、システム状態判別部22による放射線撮影システム100の情報の判別に基づいて情報隠蔽手段を決定または切替える情報隠蔽手段切替部24と、情報隠蔽手段切替部24が決定または切替えた情報隠蔽手段を実行する情報隠蔽手段実行部26とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮影システムと、放射線撮影システムにおける情報隠蔽方法と、情報隠蔽のためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院で発生する患者の医用画像情報をデジタル化して保存・伝送することにより、検査の効率化・迅速化を図ろうとする気運が高まりつつある。このため、放射線撮影の分野においても、これまでのスクリーン/フィルム系に代わり、FPD(Flat Panel Detector)などの放射線検出器を利用したデジタルデータを出力する放射線撮影システムが多く用いられるようになってきた。
従来の放射線撮影システムは、放射線撮影装置と接続して放射線撮影装置の撮影動作を制御する撮影制御信号の送信を行い、放射線撮影装置から撮影制御信号に基づいて撮影された放射線画像データを取得する。また放射線画像データの表示、画像処理、画像の管理、患者情報の管理、撮影シーケンスの管理を行うものが考案されている。
この様な放射線撮影システムにおいては、マウス、キーボード、トラックボール等の入力部からの入力操作が所定の時間以上ない場合には、情報隠蔽手段によって画面表示を隠蔽する隠蔽技術が考案されている。たとえば、画面にアニメーションを表示するスクリーンセーバーなどといった画面表示の隠蔽技術が考案されている。本来、スクリーンセーバーのような情報隠蔽手段は、表示画面の焼き付きを防止するために考案されたものであるが、近年では個人情報保護の観点から使用される事が多い。特にアメリカにおけるHIPAA法にあるように、医療、介護分野における個人情報保護は不可欠なものになっている。このため、上記放射線撮影システムでは、個人情報を保護する方法として情報隠蔽が行われる。
従来の情報隠蔽手段制御方法として、たとえば特許文献1には、設定した特定の情報変化を情報隠蔽手段の終了条件とする発明が開示されている。他にも、特許文献2には、情報隠蔽手段の開始に複数の条件を設定するという発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−290196号公報
【特許文献2】特開2000−163034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の放射線撮影システムには次のような問題点がある。
従来の放射線撮影システムでは、情報保護の観点から入力部からの入力操作が一定時間以上ない場合に情報隠蔽を行っていた。このような構成では、情報隠蔽手段の実行中には、実行前における放射線撮影システムの状態を把握できない。そのため、ユーザは、情報隠蔽手段の実行終了後における放射線システムの操作が予測できず、スムーズに検査を開始できない。例えば、従来の構成では、放射線撮影システムを用いて患者を検査している最中に情報隠蔽を行う場合と、画像ビューア等を用いて放射線画像データを表示している最中に情報隠蔽を行う場合とで、情報隠蔽手段の挙動が同じである。この場合、患者を検査している最中に情報隠蔽を行っているのであれば、情報隠蔽手段の実行中でも、患者の検査が終了していない事が分かることが好ましい。
また、情報隠蔽手段実行中では、放射線撮影システムと接続している放射線撮影装置の状態を確認ができないため、撮影スケジュールに支障をきたすことも考えられる。
さらに、放射線撮影システムの状態によっては、情報隠蔽手段の終了後に、撮影をスムーズに開始できない事もある。そのため、情報隠蔽手段実行中であっても、放射線撮影システムの状態を確認し、撮影をスムーズに開始できるように準備できる事が好ましい。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、実行する情報隠蔽手段を切替えることで操作者の操作性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明は、情報を表示する表示部を有する放射線撮影システムであって、前記放射線撮影システムの情報を判別するシステム状態判別部と、前記表示部が表示する情報を隠蔽する複数の互いに異なる情報隠蔽手段が格納される情報隠蔽手段格納部と、前記システム状態判別部による前記放射線撮影システムの情報の判別に基づいて前記情報隠蔽手段を決定または切替える情報隠蔽手段切替部と、前記情報隠蔽手段切替部が決定または切替えた前記情報隠蔽手段を実行する情報隠蔽手段実行部とを有することを特徴とする。
また、本発明は、情報を表示する表示部を有する放射線撮影システムの情報隠蔽方法であって、前記放射線撮影システムの情報を判別するステップと、判別した前記放射線撮影システムの情報に基づいて、複数の互いに異なる情報隠蔽手段から一つの情報隠蔽手段を決定または切替えるステップと、決定または切替えた前記情報隠蔽手段を実行して前記表示部に表示される情報を隠蔽するステップとを含むことを特徴とする。
また、本発明は、情報を隠蔽する情報を表示する表示部を有する放射線撮影システムのコンピュータに、前記放射線撮影システムの情報を判別するステップと、判別した前記放射線撮影システムの情報に基づいて、複数の互いに異なる情報隠蔽手段から一つの情報隠蔽手段を決定または切替えるステップと、決定または切替えた前記情報隠蔽手段を実行して前記表示部に表示される情報を隠蔽するステップとを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、放射線撮影システムの状態に基づいて、複数の互いに異なる情報隠蔽手段の中から一つを選択して実行する。これにより、操作者は情報隠蔽手段実行中であっても、放射線撮影システムの状態を把握できる。さらに、情報隠蔽表示手段の終了後に、スムーズに撮影を開始できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明の実施例にかかる放射線撮影システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、情報隠蔽手段の種類を示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施例にかかる情報隠蔽手段起動時の動作を示すフローチャートである。
【図4】図4は、本発明の実施例にかかる情報隠蔽手段実行中の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
図1は本発明の実施例にかかる放射線撮影システム100の要部のブロック図である。
図1のブロック図に示すように、放射線撮影システム100は、入力部1と、制御部2と、放射線撮影装置3と、表示部4とを有する。入力部1には、たとえば、マウス、キーボード、トラックボールなどといった、従来公知の各種入力デバイスが適用される。放射線撮影システム100の制御部2は、入力制御部21と、システム状態判別部22と、放射線撮影装置制御部23と、情報隠蔽手段切替部24と、表示制御部25と、情報隠蔽手段実行部26と、情報隠蔽手段格納部27とを有する。制御部2は、ハードウェア的には、マイクロプロセッサーと、RAMやROMなどのメモリと、記憶装置とを含んで構成されるコンピュータである。そして、制御部2は、メモリ等に記憶される制御プログラムを読み出して実行することにより前記各部21〜26として機能し、後述するデータ処理を実行する。また、制御部2の情報隠蔽手段格納部27には、読み出し可能な複数の互いに異なる情報隠蔽手段が格納される。情報隠蔽手段格納部27は、ハードウェア的には、制御部2の記憶装置によって実現される。放射線撮影装置3は、放射線発生装置31と、放射線検出器32とを含む。放射線撮影装置3と、これに含まれる放射線発生装置31および放射線検出器32とは、従来公知の構成が適用できる。表示部4は、従来公知の各種ディスプレイ装置が適用される。そして、入力部1と、放射線撮影装置3と、表示部4とは、制御部2と接続されている。
【0010】
次に、図1に示す放射線撮影システム100の動作について説明する。
入力部1からの入力情報は、入力制御部21に入力される。入力制御部21は、入力部1から入力された情報を、制御プログラムに従ってデータ処理する。入力制御部21がデータ処理した情報は、システム状態判別部22に入力される。
放射線撮影装置制御部23は、放射線撮影装置3への情報の入出力を制御する。たとえば、放射線撮影装置制御部23は、放射線撮影装置3から入力される情報を、制御プログラムに従ってデータ処理する。また、放射線撮影装置制御部23は、制御プログラムに従って、放射線撮影装置3へ情報を出力する。さらに、放射線撮影装置制御部23がデータ処理した情報は、システム状態判別部22にも入力される。
放射線撮影装置3は、放射線撮影装置制御部23からの情報に基づいて、撮影などを実施する。
システム状態判別部22は、放射線撮影システム100に関する情報を監視し、放射線撮影システム100の状態を判別する。放射線撮影システム100に関する情報としては、たとえば、入力制御部21から最後にデータ入力されてからの経過時間、制御部2が実行しているデータ処理の進行状態、放射線撮影装置3の情報などが挙げられる。放射線撮影システム100に関する情報としては、このほかにも、次の(1)〜(6)の情報が挙げられる。(1)放射線撮影システム100が検査開始前状態、検査状態、撮影画像閲覧状態のいずれの状態にあるかという情報。ここで、検査開始前状態とは、患者情報の入力や撮影部位を選択するなどの放射線撮影開始に必要な情報入力が未入力である状態をいう。検査状態とは、放射線撮影を開始するために必要な情報を入力し、放射線撮影できる状態である状態をいう。撮影画像閲覧状態とは、過去に撮影された放射線撮影画像を閲覧している状態である状態をいう。(2)放射線撮影システム100の設定状態の情報。たとえば、放射線検出器32の名前やシリアル番号などの識別情報などが挙げられる。(3)制御部2に接続される放射線撮影装置3の電源の状態がONであるか、OFFであるか、スリープ状態であるか、省電力状態であるかの情報。(4)放射線撮影装置3の各種設定値の情報。たとえば、放射線量設定値、放射線出力電力値、放射線管電圧値、放射線管電流値の情報など。(5)放射線撮影装置3の放射線検出器32の電源状態がONであるか、OFFであるか、スリープ状態であるか、省電力状態であるかの情報。(6)放射線検出器32の電池残量や電波強度の情報。
システム状態判別部22は、監視している放射線撮影システム100に関する情報を、情報隠蔽手段切替部24に入力する。
情報隠蔽手段切替部24は、システム状態判別部22から入力された情報に基づいて、情報隠蔽手段格納部27に格納される複数の互いに異なる情報隠蔽手段の中から、実行する一つの情報隠蔽手段を選択して決定する。なお、実行する情報隠蔽手段は、情報隠蔽手段切替部24が、後述する図3のフローチャートに示す処理にしたがって決定する。そして、情報隠蔽手段切替部24は、決定した情報隠蔽手段に関する情報を、情報隠蔽手段実行部26に入力する。
情報隠蔽手段実行部26は、情報隠蔽手段切替部24から入力された情報に基づいて、情報隠蔽手段を実行する。具体的には、情報隠蔽手段実行部26は、表示する情報隠蔽手段の設定情報を表示制御部25に入力する。情報隠蔽手段の設定情報としては、たとえば、放射線検出器32の名前やシリアル番号などの識別情報といった、システム情報判別部22が監視している放射線システム100に関する情報などが適用される。
表示部4は、表示制御部25から入力された情報隠蔽手段の設定情報に基づいて、表示される情報を隠蔽する。
【0011】
次に、情報隠蔽手段切替部24が切替える情報隠蔽手段の例を、図2を参照して説明する。
図2(a)は、制御部2が実行している制御プログラムのデータ処理の状態が患者検査中である場合に実行される情報隠蔽手段による表示部4の表示(=情報隠蔽の態様)の例を示す。この情報隠蔽手段を、説明の便宜上「第1の情報隠蔽手段」と称する(図3参照)。第1の情報隠蔽手段は、表示部4に表示される情報を隠蔽するとともに、表示部4に患者検査中であることを表示する。図2(a)においては、表示部4に「検査中」と表示する構成を示すが、第1の情報隠蔽手段はこの構成に限定されない。たとえば、第1の情報隠蔽手段は、制御部2が実行している制御プログラムのデータ処理の状態に応じて、データ処理の状態を表示する構成であってもよい。また、患者名などといった特定の情報(たとえば患者の個人情報)のみを、他の画像で覆って隠蔽する構成や、白抜きまたは黒塗りによって隠蔽する構成であってもよい。
図2(b)は、表示する情報がない場合に実行する情報隠蔽手段の例を示す。この情報隠蔽手段を、説明の便宜上、「第2の情報隠蔽手段」と称する(図3参照)。第2の情報隠蔽手段は、表示部4の全体を隠蔽する。そして、第2の情報隠蔽手段は、情報隠蔽手段の実行前に表示部に表示されていた情報を隠蔽するのみで、表示部4に特定の情報(たとえば、文字列等)を表示しないという構成を有する。また、第2の情報隠蔽手段は、表示部4の画面の焼き付きを防止する態様の表示をおこなう。
図2(c)は、放射線撮影装置3の状態を表示する情報隠蔽手段の例を示す。この情報隠蔽手段を、説明の便宜上、「第3の情報隠蔽手段」と称する(図3参照)。第3の情報隠蔽手段は、放射線撮影装置3に関する情報を表示する。放射線撮影装置3に関する情報としては、たとえば、放射線撮影装置3に含まれる放射線検出器32の名称、電池残量、電波強度などが適用される。また、第3の情報隠蔽手段は、放射線発生装置31に関する情報を表示する構成であってもよい。放射線発生装置31に関する情報としては、たとえば、照射線量などが挙げられる。
以上、複数の互いに異なる情報隠蔽手段の例として、図2(a)(b)(c)の3つの情報隠蔽手段の例を示したが、情報隠蔽手段の数は3つに限定されるものではない。また、各情報隠蔽手段による表示部4の表示の態様(=情報隠蔽の態様)も、図2(a)(b)(c)の構成に限定されるものではない。
【実施例1】
【0012】
次に、情報隠蔽手段起動時の放射線撮影システム100の動作について、図3を参照して説明する。図3は、情報隠蔽手段起動時の処理を示すフローチャートである。この処理は、コンピュータプログラム(コンピュータソフトウェア)として、制御部2のRAMまたはROMに格納されている。そして、制御部2のコンピュータが実行する(=マイクロプロセッサーがRAMまたはROMから読み出して実行する)。制御部2は、図3に示す情報隠蔽手段起動時の処理を終えた後、図4に示す情報隠蔽手段実行中の処理(後述)を実行する。
【0013】
ステップS301において、システム状態判別部22は、入力部1で入力操作が行われた事を示す入力制御部21からの情報の入力を監視する。入力がなければ(Yesの場合には)ステップS302に進む。そうでない場合には(Noの場合には)、ステップS301を繰り返す。
ステップS302において、システム状態判別部22は、入力制御部21から最後に情報が入力されてからの経過時間を監視する。最後に情報が入力されてからの経過時間が規定時間以上であれば(Yesの場合には)、ステップS303に進む。そうでない場合には(Noの場合には)、ステップS301に戻る。なお、規定時間は適宜設定されるものであり、特に限定されない。
ステップS303において、システム状態判別部22は、放射線撮影システム100が検査状態にあるかどうかを判別する。具体的には、システム状態判別部22は、放射線撮影システム100の制御部2が実行している制御プログラムによるデータ処理の進行状況を監視する。制御部2が実行している制御プログラムによるデータ処理の進行状態が、患者の検査中(=検査状態)である場合には(Yesの場合には)、ステップS304に進む。その他の場合には(Noの場合には)、ステップS305に進む。ここで、ステップS303において、放射線撮影システム100が検査状態であるかどうかを判断する構成を示すが、この構成に限定されるものではなく、たとえば、次の(1)〜(3)のような構成が適用できる。(1)検査開始前状態(たとえば、検査開始前の患者情報の入力中の状態)であるかどうかを判断する構成。(2)撮影画像閲覧状態(放射線撮影データを閲覧中の状態)であるかどうかを判断する構成。(3)放射線撮影データの転送中であるかどうかを判断する構成。
ステップS304において、情報隠蔽手段切替部24は、システム状態判別部22からの入力情報に基づいて、複数の互いに異なる情報隠蔽手段の中から、実行する情報隠蔽手段を決定する。そして、情報隠蔽手段切替部24は、決定した情報隠蔽手段に関する情報を、情報隠蔽手段実行部26に入力する。その後、情報隠蔽手段実行部26は、情報隠蔽手段の設定情報を表示制御部25に入力する。そして、情報隠蔽手段実行部26は、決定した情報隠蔽手段を実行し、表示部4に表示される情報の隠蔽を開始する。この処理で表示部4に表示される情報隠蔽手段は、システム状態判別部22が監視している放射線撮影システム100の状態を表示する第1の情報隠蔽手段(図2(a)参照)である。
ただし、第1の情報隠蔽手段の実行による具体的な表示態様は、図2(a)に示す表示態様に限定されない。たとえば、前記(1)の検査開始前状態や前記(2)の撮影画像閲覧状態であると判断された場合には、第1の情報隠蔽手段は、表示されている患者の個人情報のみを隠蔽する構成が適用される。また、前記(3)の放射線撮影データの転送中でると判断された場合には、データの転送中であることを表示する構成が適用できる。その後、情報隠蔽手段起動時の処理を終了する。
ステップS305において、システム状態判別部22は、放射線撮影装置制御部23の入力情報を監視する。放射線撮影システム100に放射線撮影装置3が接続されていない場合には(Yesの場合には)、ステップS306に進む。その他の場合には(Noの場合には)、ステップS307に進む。
ステップS306においては、情報隠蔽手段実行部26が第2の情報隠蔽手段を実行する構成であることを除いては、ステップS304と同様の処理が実行される。前記のとおり、第2の情報隠蔽手段は、たとえば表示部4の画面の焼き付きを防止する態様の表示を実行する(図2(b)参照)。
ステップS307においては、情報隠蔽手段実行部26が実行する情報隠蔽手段が第3の情報隠蔽手段であることを除いては、ステップS304と同様の処理が実行される。第3の情報隠蔽手段は、たとえば、放射線撮影装置3に含まれる放射線検出器の名称、電池残量、電波強度などを表示部4に表示する。ただし、第3の情報隠蔽手段は、このような構成に限定されるものではない。たとえば、放射線撮影装置3に含まれる放射線発生装置に関する情報を表示する構成であってもよい。
以上のように、システム状態判別部22と情報隠蔽手段切替部24は、情報隠蔽手段の実行前に、放射線撮影システム100の情報を判別し、実行する情報隠蔽手段を決定する。
【実施例2】
【0014】
次に、放射線撮影システム100の情報隠蔽手段実行中の処理について、図4を参照して説明する。図4は、情報隠蔽手段実行中の処理を示すフローチャートである。この処理は、コンピュータプログラム(コンピュータソフトウェア)として、制御部2のRAMまたはROMに格納されている。そして、制御部2のコンピュータ(マイクロプロセッサー)がRAMまたはROMから読み出して実行する。また、この情報隠蔽手段実行中の処理は、前記情報隠蔽手段起動時の処理の後に実行される。
【0015】
ステップS401において、システム状態判別部22は、第1の情報隠蔽手段の実行時間(=起動してからの経過時間)を監視する。実行時間が所定の設定値以上であれば(Yesの場合には)、ステップS402に進む。なお、実行時間の設定値は、適宜設定されるものであり、特に限定されない。
ステップS402において、制御部2は、放射線撮影システム100の状態を、現在の検査状態(=患者を検査中の状態)から検査開始前状態に移行させる処理を行う。この処理は、放射線撮影システム100の状態を制御する制御プログラムを実行することにより実施される。
なお、S401においては、現在の放射線撮影システム100の状態を検査開始前状態に移行させる処理を行う構成であるが、この構成に限定されるものではない。たとえば、放射線撮影システム100の状態を、操作者が任意に設定した状態へ移行するという構成であってもよい。たとえば、放射線発生装置31に対して、線量設定値、放射線出力電力値、放射線管電圧値、放射線管電流値の一つ以上の情報を送信し、これら線量設定値、放射線出力電力値、放射線管電圧値、放射線管電流値の一つ以上を設定する処理であってもよい。
また、放射線撮影装置3に含まれる放射線発生装置31に対する電源の切替え操作を行う構成や、放射線検出器32に対する電源の切替え操作を行う構成であっても良い。たとえば、放射線発生装置31に対して、電源をONの状態、OFFの状態、スリープ状態、省電力状態のいずれかに切替える命令(=情報)を送信する処理であってもよい。同様に、放射線検出器32に対して、電源をONの状態、OFFの状態、スリープ状態、省電力状態のいずれかに切替える命令(=情報)を送信する処理であってもよい。
そして、ステップS403に進む。
ステップS403において、システム状態判別部22は、放射線撮影システム100が検査開始前状態であるか調べる。放射線撮影システム100が検査開始前状態である場合には(Yesの場合には)、ステップS404へ進み、その他の場合には(Noの場合には)、ステップS407に進む。なお、S403においては、放射線撮影システム100が検査開始前状態であるかどうかが判断される構成であるが、この構成に限定されるものではない。たとえば、S403においては、放射線撮影システム100の状態が、操作者によって任意に設定された状態であるかどうかが判断される構成であってもよい。
ステップS404において、システム状態判別部22は、放射線撮影装置制御部23からの入力に基づいて、放射線撮影装置3の放射線検出器32の状態を監視する。放射線検出器32が放射線撮影システム100に接続されていない場合には(Yesの場合には)、ステップS405に進む。その他の場合には(Noの場合には)、ステップS406に進む。なお、S404においては、放射線検出器32が接続されているかどうかを監視したが、この構成に限定されない。たとえば、放射線発生装置31の状態を監視する構成であってもよい。
ステップS405において、図3のステップS306と同様の処理が実行される。そして、ステップS407に進む。なお、情報隠蔽手段切替部24が、実行する情報隠蔽手段を切替える構成でなくてもよい。たとえば、現在の情報隠蔽手段の実行を継続する構成(=現在の情報の隠蔽の態様を継続する構成)であってもよい。
ステップS406において、図3のステップS307と同様の処理が実行される。そしてステップS407に進む。なお、情報隠蔽手段切替部24は、表示部4で表示する情報隠蔽手段を切替える構成でなくてもよい。たとえば、現在の情報隠蔽手段の実行を継続し、表示部4で表示している放射線撮影装置3の情報のみを更新する構成であっても良い。
ステップS407において、システム状態判別部22は、入力制御部21から入力される情報に基づいて、入力部1に入力操作が行われたかどうかを監視する。入力操作が行われた場合には(Yesの場合には)、ステップS408に進む。ない場合には(Noの場合には)ステップS401に進む。
ステップS408において、制御部2は、情報隠蔽手段の実行を停止する。
以上のように、システム状態判別部22と情報隠蔽手段切替部24は、情報隠蔽手段の実行中においても、放射線撮影システム100の情報を判別し、実行する情報隠蔽手段を決定する。
【0016】
以上のとおり、システム状態判別部22は、情報隠蔽手段の実行前のみならず実行中においても、放射線撮影システム100に関する情報を取得し、状態を判断する(ステップS403)。同様に、情報隠蔽手段切替部24は、情報隠蔽手段の実行前のみならず実行中においても、システム状態判別部22による判別結果に基づいて、実行または切替える情報隠蔽手段を決定する(ステップS404,S405,S406)。この情報の取得は、情報隠蔽手段の実行開始から所定の時間が経過していない場合、および、情報隠蔽手段の切替から所定の時間が経過していない場合に実行される(ステップS401)。すなわち、情報隠蔽手段の実行中における放射線撮影システム100に関する情報の取得は、情報隠蔽手段の実行および切替からの経過時間に基づいて実行される。
【0017】
そして、システム状態判別部22は、取得した情報に基づいて、放射線発生装置31と、放射線検出器32と、放射線撮影システム100それ自身のいずれか1つ以上に対して、所定の処理を実行する。
放射線発生装置31に対して行う所定の処理は、放射線発生装置31に対して、電源をONの状態、OFFの状態、スリープ状態、省電力状態のいずれかに切替える命令(=情報)を送信する処理である。また、放射線発生装置31に対して、線量設定値、放射線出力電力値、放射線管電圧値、放射線管電流値の一つ以上の情報を送信し、これら線量設定値、放射線出力電力値、放射線管電圧値、放射線管電流値の一つ以上を設定する処理であってもよい。
放射線検出器32に対して行う所定の処理は、放射線検出器32に対して、電源をONの状態、OFFの状態、スリープ状態、省電力状態のいずれかに切替える命令(=情報)を送信する処理である。
放射線撮影システム100それ自身に対する所定の処理は、情報隠蔽手段の実行を停止し、放射線撮影システム100を情報隠蔽手段の実行前の状態に移行させる処理である(ステップS408)。すなわち、放射線撮影システム100は、所定の処理として、放射線撮影システム100それ自身を、検査開始前状態、検査状態、撮影画像閲覧状態のいずれかに移行させる。
【0018】
また、情報隠蔽手段による情報の隠蔽の態様には、次の(1)〜(3)の3つが適用される。(1)情報隠蔽手段は、図2(a)(b)に示すように、表示部4の画面の全体を隠蔽する表示を行うことによって、表示部4に表示される情報を隠蔽する。(2)情報隠蔽手段は、表示部4に表示される特定の情報を隠蔽する態様の表示を実行することによって、表示部4に表示される情報を隠蔽する。たとえば、情報隠蔽手段は、患者の個人情報(たとえば、患者名など)が表示される部分を隠蔽する態様で、表示部4に表示される情報を隠蔽する。(3)情報隠蔽手段は、図2(c)に示すように、放射線撮影システム100の情報を表示することによって、表示部4に表示される隠蔽すべき情報を隠蔽する。そして、情報隠蔽手段実行部26は、図3に示すフローチャートの処理と図4に示すフローチャートの処理にしたがって、3つの態様のうちの1つを選択して実行または切替える。
【0019】
以上のとおり、本発明の実施形態においては、放射線撮影システム100の状態に基づいて、複数の互いに異なる情報隠蔽手段の中から一つを選択して実行する。これにより、操作者は情報隠蔽手段実行中であっても、放射線撮影システムの状態を把握できる。さらに、情報隠蔽表示手段の終了後に、スムーズに撮影を開始できる。
【0020】
以上、本発明の各実施形態について詳細に説明したが、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎない。本発明は、これらの実施形態によって技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明は、その技術思想またはその主要な特徴から逸脱することなく、さまざまな形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、放射線撮影システムと、放射線撮影システムにおける情報隠蔽方法と、情報隠蔽のためのプログラムに有効な技術である。そして本発明によれば、操作者は情報隠蔽手段の実行中であっても、放射線撮影システムの状態を把握できる。また、本発明によれば、情報隠蔽表示手段による情報の隠蔽の停止後に、スムーズに撮影を開始できる。
【符号の説明】
【0022】
1:入力部、2:システム状態判別部、3:情報隠蔽手段切替手段、4:情報隠蔽手段実行部、5:放射線撮影装置、6:表示部、100:放射線撮影システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を表示する表示部を有する放射線撮影システムであって、
前記放射線撮影システムの情報を判別するシステム状態判別部と、
前記表示部が表示する情報を隠蔽する複数の互いに異なる情報隠蔽手段が格納される情報隠蔽手段格納部と、
前記システム状態判別部による前記放射線撮影システムの情報の判別に基づいて前記情報隠蔽手段を決定または切替える情報隠蔽手段切替部と、
前記情報隠蔽手段切替部が決定または切替えた前記情報隠蔽手段を実行する情報隠蔽手段実行部と、
を有することを特徴とする放射線撮影システム。
【請求項2】
前記システム状態判別部が判別する前記放射線撮影システムの情報は、前記放射線撮影システムの状態が検査開始前状態であるか、検査状態であるか、撮影画像閲覧状態であるか、のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影システム。
【請求項3】
放射線発生装置および放射線検出器を含む放射線撮影装置をさらに有し、
前記システム状態判別部が判別する前記放射線撮影システムの情報は、放射線発生装置の電源の状態、前記放射線発生装置の線量設定値、放射線出力電力値、放射線管電圧値、放射線管電流値、前記放射線検出器の電源の状態、前記放射線検出器の電池残量、電波強度の一つ以上であることを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影システム。
【請求項4】
前記情報隠蔽手段実行部が前記情報隠蔽手段の実行前と実行中において、前記システム状態判別部は前記放射線撮影システムの状態を判別するとともに、前記情報隠蔽手段切替部は前記情報隠蔽手段を決定または切替えることを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影システム。
【請求項5】
複数の互いに異なる前記情報隠蔽手段は、前記表示部に表示される個人情報を隠蔽するものと、前記表示部の全体を隠蔽するものと、前記システム状態判別が判別する前記放射線撮影システムの情報を表示するものとを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の放射線撮影システム。
【請求項6】
前記情報隠蔽手段の実行中においても、前記放射線撮影システムそれ自身に対して所定の処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影システム。
【請求項7】
前記放射線撮影システムそれ自身に対して実行する所定の処理は、前記放射線撮影システムの状態を、検査開始前状態と、検査状態と、撮影画像閲覧状態のいずれかに移行させる処理であることを特徴とする請求項6に記載の放射線撮影システム。
【請求項8】
前記情報隠蔽手段の実行中においても、前記放射線発生装置と前記放射線検出器との1つ以上に対して所定の処理を実行することを特徴とする請求項3に記載の放射線撮影システム。
【請求項9】
前記放射線発生装置に対して実行する所定の処理は、前記放射線発生装置の電源をON、OFF、スリープ状態、省電力状態のいずれかに設定する処理と、前記放射線発生装置の線量設定値、放射線出力電力値、放射線管電圧値、放射線管電流値のいずれかを設定する処理の一つ以上であることを特徴とする請求項8に記載の放射線撮影システム。
【請求項10】
前記放射線検出器に対して行う所定の処理は、前記放射線検出器の電源をON、OFF、スリープ状態、省電力状態のいずれかに設定する処理であることを特徴とする請求項8に記載の放射線撮影システム。
【請求項11】
前記システム状態判別部は、前記情報隠蔽手段の実行前と実行中に前記放射線撮影システムの情報を判別することを特徴とする請求項6から10のいずれか1項に記載の放射線撮影システム。
【請求項12】
前記システム状態判別部は、前記情報隠蔽手段の実行の開始からの経過時間と、前記情報隠蔽手段の切替えからの経過時間とに基づいて、前記放射線撮影システムの情報を判別することを特徴とする請求項6から10のいずれか1項に記載の放射線撮影システム。
【請求項13】
情報を表示する表示部を有する放射線撮影システムの情報隠蔽方法であって、
前記放射線撮影システムの情報を判別するステップと、
判別した前記放射線撮影システムの情報に基づいて、複数の互いに異なる情報隠蔽手段から一つの情報隠蔽手段を決定または切替えるステップと、
決定または切替えた前記情報隠蔽手段を実行して前記表示部に表示される情報を隠蔽するステップと、
を含むことを特徴とする情報隠蔽方法。
【請求項14】
情報を表示する表示部を有する放射線撮影システムのコンピュータに、
前記放射線撮影システムの情報を判別するステップと、
判別した前記放射線撮影システムの情報に基づいて、複数の互いに異なる情報隠蔽手段から一つの情報隠蔽手段を決定または切替えるステップと、
決定または切替えた前記情報隠蔽手段を実行して前記表示部に表示される情報を隠蔽するステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−94487(P2013−94487A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241315(P2011−241315)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】