説明

放射線撮影システム

【課題】 FPDにおけるシンチレータ種類や感度をネットワーク上で認識させることにより、撮影の効率化を図る。
【解決手段】 この放射線撮影システムには、入射した放射線の強度に応じて発光するシンチレータを有するシンチレータ層、シンチレータの発光を検出して電気エネルギーに変換する光電変換層及び光電変換層で得られた電気エネルギーを蓄積及び出力するスイッチング素子を有するスイッチング素子層を少なくとも有して、被写体の放射線画像情報を取得する複数の放射線画像検出装置が備えられている。また、放射線撮影システムには、複数の放射線画像検出装置から所望の放射線画像検出装置を選択する選択手段を有する撮影動作制御装置が備えられている。そして、撮影動作制御装置は、複数の放射線画像検出装置のそれぞれに用いられているシンチレータのシンチレータ情報を表示する表示手段を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮影システムに係り、特に、X線画像に代表される放射線画像を撮影する放射線撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、医療診断にあっては、被写体にX線等の放射線を照射し、当該被写体を透過した放射線の強度分布を検出して得られた放射線画像が広く利用されており、近年では、撮影に際し、放射線を検出して電気エネルギーに変換し、放射線画像情報として検出するFPD(Flat Panel Detector)を用いた放射線撮影システムが提案されている。FPDには、放射線強度を検出するためのシンチレータが搭載されている。
【0003】
この放射線撮影システムにあっては、システム構成の自由度を向上させる上で、撮影室に配設されたFPDを所定の通信回線を介して、撮影動作を制御するためのPC(Personal Computer)等の所定の撮影動作制御装置(コントローラ)と接続して使用するように構成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、FPDの運搬性・取扱い性の向上を目的として当該FPDをカセッテに収容したカセッテ型FPDも開発されている(例えば、特許文献2参照)。さらに、カセッテ型FPDと撮影動作制御装置とが無線方式により放射線画像情報等の各種情報を通信可能にシステム構成されたものも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
放射線撮影後には、一般的に、撮影が適正に行われたか否かを確認する必要があり、上記の放射線撮影システムにあっては、コンピュータに放射線画像を表示するようになっている。例えば、上記特許文献1におけるFPDと撮影動作制御装置とがシステム専用の通信回線を介して接続された構成のものにあっては、放射線画像情報をFPDから撮影動作制御装置に送信して、撮影動作制御装置にて受信された放射線画像に基づいて作成されたサムネイル画像等の縮小画像をコンピュータに表示することにより、撮影状態の確認を行うことができるようになっている。
【0005】
しかしながら、FPDと撮影動作制御装置とをシステム専用の通信回線を介して接続する構成とすると、システム構成の自由度が低くなってしまうため、FPDと撮影動作制御装置とをイーサネット(Ethernet;登録商標)等の既存のネットワークを介して接続するシステムの構築が考えられるが、この場合、放射線画像情報の通信に時間がかかり、撮影状態の確認を撮影後即座に行うことが困難となる。
そこで、FPDにおいては、放射線画像情報よりも情報量の少ない縮小画像情報を作成した後、作成された縮小画像情報を撮影動作制御装置に送信して、コンピュータに縮小画像を表示するシステム構成のものが提案されている。
【特許文献1】特開2003−199736号公報
【特許文献2】特開平6−342099号公報
【特許文献3】特開2003−210444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、患者の体格や撮影部位等の撮影条件が異なったとしても所望の画質を得るために、その撮影条件に応じてシンチレータの種類や感度を異ならせることが考えられている。こうした場合、シンチレータの種類や感度が異なる複数のFPDが用いられることになるが、これらのFPDが上述したようなネットワークを介して接続されていたとしても、現状のままではFPDにおけるシンチレータの種類や感度をネットワーク上で認識できないために、放射線画像の撮影に手間がかかり結果的に非効率になってしまうおそれがある。特にカセッテ型FPDにおいては、ネットワーク上であれば移動が可能であるので、現状のままであるとシンチレータの種類や感度の特定により手間がかかることが想定される。
【0007】
本発明の課題は、FPDにおけるシンチレータ種類や感度をネットワーク上で認識させることにより、撮影の効率化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明における放射線撮影システムは、
入射した放射線の強度に応じて発光するシンチレータを有するシンチレータ層、前記シンチレータの発光を検出して電気エネルギーに変換する光電変換層及び前記光電変換層で得られた電気エネルギーを蓄積及び出力するスイッチング素子を有するスイッチング素子層を少なくとも有して、前記被写体の放射線画像情報を取得する複数の放射線画像検出装置と、
前記複数の放射線画像検出装置から所望の放射線画像検出装置を選択する選択手段を有する撮影動作制御装置と、を備え、
前記撮影動作制御装置は、前記複数の放射線画像検出装置のそれぞれに用いられている前記シンチレータのシンチレータ情報を表示する表示手段を有することを特徴としている。
【0009】
請求項1記載の発明によれば、複数の放射線画像検出装置のそれぞれに用いられているシンチレータのシンチレータ情報が表示手段に表示されているので、管理者はそれを視認することによって、ネットワークに接続された放射線画像検出装置のシンチレータ種類や感度を認識することが可能となる。そして、複数の放射線画像検出装置のなかから撮影条件(患者の体格や撮影部位など)に最適な1つの放射線画像検出装置を選択すれば、撮影条件が異なっていたとしても、その条件に応じて最適な放射線画像検出装置を容易に選択でき、結果として効率的に所望の画質で撮影することが可能になる。
【0010】
請求項2記載の発明における放射線撮影システムは、
入射した放射線の強度に応じて発光するシンチレータを有するシンチレータ層、前記シンチレータの発光を検出して電気エネルギーに変換する光電変換層及び前記光電変換層で得られた電気エネルギーを蓄積及び出力するスイッチング素子を有するスイッチング素子層を少なくとも有して、前記被写体の放射線画像情報を取得する複数の放射線画像検出装置と、
前記複数の放射線画像検出装置のそれぞれにおける前記シンチレータのシンチレータ情報を管理する管理装置と、
前記管理装置で管理された前記シンチレータ情報を表示し、前記放射線画像検出装置を選択する選択手段の選択結果に対応した前記放射線画像検出装置の撮影動作を制御する撮影動作制御装置と、を備えることを特徴としている。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、管理装置によって管理されているシンチレータ情報が撮影動作制御装置で表示されるので、管理者はそれを視認することによって、ネットワークに接続された放射線画像検出装置のシンチレータ種類や感度を認識することが可能となる。そして、選択手段によって、複数の放射線画像検出装置のなかから撮影条件(患者の体格や撮影部位など)に最適な1つの放射線画像検出装置が選択されれば、撮影動作制御装置が、当該放射線画像検出装置の撮影動作を制御するので、撮影条件が異なっていたとしても、その条件に応じて最適な放射線画像検出装置を容易に選択でき、結果として効率的に所望の画質で撮影することが可能になる。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の放射線撮影システムにおいて、
前記シンチレータ情報には、前記シンチレータの種類及び感度の少なくとも一方が含まれていることを特徴としている。
【0013】
上述したように、患者の体格や撮影部位等の撮影条件(患者の体格や撮影部位など)が異なったとしても所望の画質を得るためには、その撮影条件に応じてシンチレータの種類や感度を異ならせればよい。このため、請求項3記載の発明のように、シンチレータの種類及び感度の少なくとも一方がシンチレータ情報に含まれていれば、撮影条件に最適なシンチレータを備えた放射線画像検出装置を容易に選択することができる。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の放射線撮影システムにおいて、
前記シンチレータ情報には、前記シンチレータに対応する前記放射線画像検出装置の種類及びサイズの少なくとも一方が含まれていることを特徴としている。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、シンチレータに対応する放射線画像検出装置の種類及びサイズの少なくとも一方がシンチレータ情報に含まれているので、放射線画像検出装置の種類及びサイズをも考慮して、撮影条件に最適な放射線画像検出装置を選択することができる。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の放射線撮影システムにおいて、
前記撮影動作制御装置は、患者予約時に、前記複数の放射線画像検出装置における前記シンチレータ情報を表示することを特徴としている。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、複数の放射線画像検出装置におけるシンチレータ情報が患者予約時に表示されているので、各患者に対して最適なシンチレータを備えた放射線画像検出装置を選択することができる。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の放射線撮影システムにおいて、
前記撮影動作制御装置は、患者予約時に入力される撮影条件を基に、当該撮影条件に対応可能な前記シンチレータ情報の候補を選択し、当該シンチレータ情報と他の前記シンチレータ情報とを視覚的に区別して表示することを特徴としている。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、撮影動作制御装置によって、撮影条件に対して適切なシンチレータ情報の候補が選択されて、他のシンチレータ情報とは視覚的に区別されて表示されているので、客観的な観点で判断された選択結果を撮影者が参照することができる。これにより、判断時における撮影者毎の個人差を極力排除することができる。
また、最終判断は撮影者にゆだねられているので、撮影者の意図を反映することができる。例えば、特別な撮影が行われる場合には候補に挙げられたシンチレータ情報を無視して、他のシンチレータ情報を選択することも可能である。
【0020】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の放射線撮影システムにおいて、
前記通信回線に接続され、かつ前記放射線画像検出装置によって取得された前記放射線画像情報に対して画像処理を施す画像処理装置を備え、
前記画像処理装置は、前記放射線画像情報を取得した前記放射線画像検出装置の前記シンチレータ情報に対応させて、画像処理条件を変更することを特徴としている。
【0021】
請求項7記載の発明によれば、画像処理装置が、放射線画像情報を取得した放射線画像検出装置のシンチレータ情報に対応させて、画像処理条件を変更するので、各放射線画像検出装置のシンチレータに対応した最適な画像処理を施すことが可能になる。
【0022】
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の放射線撮影システムにおいて、
前記撮影動作制御装置は、前記複数の放射線画像検出装置を予めグループ化して、前記放射線画像検出装置における前記シンチレータ情報をグループ毎に表示することを特徴としている。
【0023】
請求項8記載の発明によれば、放射線画像検出装置におけるシンチレータ情報がグループ毎に表示されるので、通信回線上の全ての放射線画像検出装置におけるシンチレータ情報を参照する必要がないときに、煩わしさを抑制することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、各放射線画像検出装置のシンチレータ情報が撮影動作制御装置で表示されるので、管理者はそれを視認することによって、ネットワークに接続された放射線画像検出装置のシンチレータ種類や感度を認識することが可能となる。そして、複数の放射線画像検出装置のなかから撮影条件に最適な1つの放射線画像検出装置を選択すれば、撮影条件が異なっていたとしても、その条件に応じて最適な放射線画像検出装置を容易に選択でき、結果として効率的に所望の画質で撮影することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。図1は、本発明を適用した実施形態として例示する放射線撮影システムの概略構成を示す図である。
図1に示すように、放射線撮影システム100は、例えば、第一撮影室R1、第二撮影室R2、第三撮影室R3の3つの撮影室にわたって構成されているものである。第一撮影室R1、第二撮影室R2、第三撮影室Rのそれぞれには、被写体の放射線撮影に際し、被写体に対してX線等の放射線を照射する放射線画像撮影装置1と、被写体の放射線画像を取得する複数の放射線画像検出装置2と、各撮影室R1,R2,R3のそれぞれに設置された放射線画像検出装置2の撮影動作の制御、放射線画像の表示及び放射線画像の画像処理等を行うコンソール3とが設置されている。そして、各撮影室R1,R2,R3の各装置がネットワークNを介して接続されている。ネットワークNには、ネットワークN上の全ての放射線画像検出装置2を管理する管理装置が接続されている。
ここで、ネットワークNは、当該システム専用の通信回線であってもよいが、システム構成の自由度が低くなってしまう等の理由のため、イーサネット(Ethernet;登録商標)等の既存の回線である方が好ましい。
【0026】
放射線画像撮影装置1について図2を参照して詳細に説明する。ここで、図2は放射線画像撮影装置1の要部構成を表す説明図である。放射線画像撮影装置1は、例えば院内の放射線撮影室に設置されて使用されるものであり、放射線源(放射線照射手段)11を有し、この放射線源11に管電圧が印加されることによって、放射線を発生するようになっている。放射線源11の放射線照射口には、放射線照射野を調節する絞り装置12が、開閉自在に設けられている。放射線源11の下方であって放射線照射範囲には、患者Sを載置させる寝台13が設けられており、寝台13の下方には、放射線の強弱を読み取って放射線画像を検出する放射線画像検出装置2を装着する検出装置装着口(図示しない)が設けられている。検出装置装着口の下部には、フォトタイマ14が設けられており、フォトタイマ14は、患者Sを透過する放射線量を検出し、患者Sを透過する放射線量が所定の線量に到達したときに、コンソール3に対して放射線源11からの放射線の照射を停止させるように信号を送信するようになっている。
【0027】
以下に、放射線画像検出装置2について、図3を参照して詳細に説明する。ここで、図3は、放射線画像検出装置2の要部構成を示すブロック図である。
【0028】
放射線画像検出装置2は、例えば、図3に示すように、制御部21、RAM22、ROM23、検出部24、画像メモリ25、通信部26、電源部27、シンチレータ情報メモリ28等がバスAによって接続された状態で、カセッテに収容されたカセッテ型FPDである。
【0029】
RAM(Random Access Memory)22は、例えば、揮発性の半導体メモリであり、制御部21により実行される各種プログラムの作業領域(図示略)等を構成している。
【0030】
ROM(Read Only Memory)23は、読み出し専用のメモリであり、例えば、各種プログラムや、当該放射線画像検出装置2を識別するための識別情報等が記憶されている。
各種プログラムとしては、検出部24から被写体の放射線画像情報を取得するための取得制御プログラム、取得した放射線画像情報を画像メモリ25に記憶させるための画像記憶制御プログラム、放射線画像情報に基づいて、コンソール3に対して出力される表示用画像情報を生成するための表示用情報生成プログラム、表示用情報生成プログラムによって生成された表示用画像情報と放射線画像情報とを対応付けるための対応付プログラム、放射線画像情報を補正するための放射線画像補正プログラム、表示用画像情報を補正するための表示用画像補正プログラム、放射線画像の補正に係る補正用情報を取得するための補正用情報取得プログラム、放射線画像情報をコンソール3に対して送信してもよいか否かを判定するための判定プログラム等が挙げられる。
【0031】
識別情報とは、ネットワークNで接続された複数の放射線画像検出装置2のそれぞれを識別するために各放射線画像検出装置に付された重複しない情報のことであり、例えば製造番号や、ID番号等が挙げられる。
【0032】
検出部24は、放射線源11から被写体を透過して入射した放射線の強度に応じて発光するシンチレータを有するシンチレータ層、シンチレータの発光を検出して電気エネルギーに変換する光電変換層及び前記光電変換層で得られた電気エネルギーを蓄積及び出力する例えばTFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング素子を有するスイッチング素子層を少なくとも有している。
【0033】
画像メモリ25は、検出部24のスイッチング素子部から出力された電気エネルギーが制御部21の制御下にて読み取られることで、取得された放射線画像情報を記憶するようになっている。具体的には、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリから構成されている。この画像メモリ25の記憶容量は、放射線画像を少なくとも2つ記憶可能な大きさである。なお、記憶容量の上限は、当該放射線撮影システム100の構成等に応じて適当に設定され、例えば、放射線画像を10程度記憶可能な大きさである。
【0034】
通信部26は、例えば無線LAN(Local Area Network)等の無線通信方式によりコンソール3及びサーバ(管理装置)4と各種情報の通信を行うものである。この通信部26は、制御部21により生成され、所定の画像補正が施された縮小画像情報をコンソール3に送信(出力)するようになっている。また、通信部26は、制御部21により生成され、コンソール3に対して送信される縮小画像情報と画像メモリ25に記憶された放射線画像情報とを対応付けるためのキー情報をコンソール3に送信するようになっている。そして、通信部26は、画像メモリ25に記憶され、画像補正後(後述)の放射線画像情報をコンソール3に対して出力するようになっている。また、通信部26は、撮影動作を制御するための撮影動作信号をコンソール3から受信するようになっている。
【0035】
電源部27は、放射線画像検出装置2を構成する各部に電源を供給する充電池271を有し、当該放射線画像検出装置2の所定位置に設けられた充電用端子(図示略)を介して充電可能に構成されている。
【0036】
シンチレータ情報メモリ28は、当該放射線画像検出装置2に備えられるシンチレータ固有のシンチレータ情報を記憶していて、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリから構成されている。ここで、シンチレータ情報には、シンチレータの種類及び感度(相対発光強度)の少なく一方が含まれている。シンチレータの種類としては、放射線光変換層を形成する例えばGd22S:TbやCsI:Tlなどの蛍光体の種類が挙げられる。さらに、シンチレータ情報には、当該シンチレータに対応する放射線画像検出装置2の種類やサイズの少なくとも一方が含まれていることが好ましい。
ここで放射線画像検出装置2の種類としては、本実施形態で例示したカセッテ型FPD以外にも、立位専用FPDや、臥位専用FPDなどがある。
放射線画像検出装置2のサイズには、半切(17×14インチ)、大角(14×14インチ)、大四切(11×14インチ)等がある。
【0037】
制御部21は、例えばCPU(Central Processing Unit)等から構成され、ROM23に格納される所定のプログラムを読み出してRAM22の作業領域に展開し、当該プログラムに従って各種処理を実行する。例えば、制御部21は、取得制御プログラムに従いながら、コンソール3から送信された撮影動作信号を基にして、検出部24の各スイッチング素子を制御することで、当該スイッチング素子に蓄積された電気エネルギーの読み取りをスイッチングしていき、検出部24に蓄積された電気エネルギーを読み取る。これにより、制御部21は、検出部24から被写体の放射線画像情報を取得する。
また、制御部21は、画像記憶制御プログラムに従って、被写体の新たな放射線撮影の前に、取得した放射線画像情報を画像メモリ25に記憶させる。
【0038】
また、制御部21は、放射線画像情報を取得する毎に、表示用情報生成プログラムに従って、取得した放射線画像情報に基づいて、コンソール3に対して出力される表示用画像情報を生成する。具体的には、制御部21は、表示用画像情報として、放射線画像情報よりも情報量の少ない縮小画像情報を生成するようになっている。この縮小画像の縮小率は、例えば、原画像に対して各辺の長さが1/2〜1/100倍となる程度(画素数が1/4〜1/10000倍となる程度)が好ましく、1/4〜1/2500倍となる程度がより好ましい。
ここで、制御部21による表示用画像の生成は、画像メモリ25に対する放射線画像情報の記憶前に行われてもよいし、放射線画像情報の記憶後に行われてもよい。
さらに、制御部21は、対応付プログラムに従って、制御部21により生成された表示用画像情報と画像メモリ25に記憶された放射線画像情報とを対応付けるためのキー情報を生成する。
【0039】
また、制御部21は、放射線画像補正プログラムに従って、取得された放射線画像情報を補正したり、表示用画像補正プログラムに従って、生成された表示用画像情報を補正したりする。具体的には、本実施形態にあっては、シンチレータを構成するa−Si(アモルファス・シリコン)等の半導体に時間の経過に応じて蓄積される暗電流を補正するFPN(Fixed Pattern Noise)補正や、検出部24の画素毎のゲインのバラツキを補正する白補正(ゲイン補正)等を行う。これら画像補正にあっては、制御部21は、補正用情報取得プログラムに従って、放射線画像の補正に係る補正用情報を取得、具体的には、例えば、FPN補正にあっては暗電流信号(FPN信号)を取得し、また、白補正にあっては白画像データを取得するようになっている。
以下に、FPN補正及び白補正について、さらに詳細に説明する。
【0040】
FPN補正とは、具体的には、撮影で得られた画像信号から当該画像信号の中に含まれ、ノイズとなるFPN信号を取り除くことにより、真の画像信号を得る画像補正である。ここで、FPN信号は、一般に温度及び蓄積時間の関数であり、さらに、撮影部位・被写体毎に撮影時間は異なることから、FPN補正を行う上で、一回の撮影毎に検出部24の蓄積時間を計測して、撮影後に、計測された蓄積時間と略等しい時間だけ検出部24にX線を照射しない状態で暗電流を蓄積させる。その後、検出部24から信号を読み出すことにより、撮影画像に含まれるFPN信号と略等しいFPN画像信号を得る。このFPN画像信号を、被写体を撮影することで得た画像信号から減算することにより、真の画像信号を得ることができる。
また、白補正にあっては、先ず、例えばFPN補正後にLog(対数)変換された画像信号から白画像データ(Log値)を減算する。ここで、白画像データは、被写体を介さずに検出部24全体に一様な放射線を照射することにより取得される画像データであり、取得された白画像データは、所定の記憶手段に記憶される。なお、白画像データの取得は、例えば毎朝又は一週間に一度等、定期的に行われるようになっている。
【0041】
また、制御部21は、判定プログラムに従って、コンソール3の通信部36から送信され当該放射線画像検出装置2の通信部26を介して受信した撮影適否信号に基づいて、画像メモリ25に記憶された放射線画像情報をコンソール3に対して送信してもよいか否かを判定する。より具体的には、制御部21は、撮影適否信号及び当該撮影適否信号に係るキー情報に基づいて、画像メモリ25に記憶された複数の放射線画像情報のうち、キー情報に対応付けられた放射線画像情報をコンソール3に対して送信してもよいか否かを判定するようになっている。
【0042】
次にコンソール3について、図4を参照にして説明する。図4は、コンソール3の要部構成を示すブロック図である。
コンソール3は、放射線撮影が適正に行われたか否かを撮影者が確認するために、放射線画像検出装置2にて撮影された放射線画像を表示したり、放射線画像に対して所定の画像処理を施したり、放射線画像検出装置2の撮影動作の制御したりするものである。つまり、コンソール3は、本発明に係る撮影動作制御装置と画像処理装置とを兼用するものである。図4に示すように、コンソール3は、制御部31、RAM32、ROM33、表示部34、操作入力部35、通信部36、電源部37、画像記憶部38等を備えて構成されていて、各部はバスBにより接続されている。
【0043】
RAM32は、例えば、揮発性の半導体メモリであり、制御部31により実行される各種プログラムの作業領域(図示略)等を構成している。また、RAM32は、放射線画像検出装置2の通信部26から出力され入力された複数の表示用画像情報としての縮小画像情報を記憶するようになっている。
ROM33は、読み出し専用のメモリであり、制御部31により実行される各種プログラムを記憶している。各種プログラムとしては、例えば、放射線画像を画像処理するための画像処理プログラムや、放射線画像検出装置2の撮影動作を制御するための制御プログラムなどが挙げられる。
ここで、シンチレータの種類によって最適な画像処理条件が異なるために、ROM33には、シンチレータの種類に応じて複数の画像処理プログラム又は画像処理パラメータが記憶されている。
【0044】
制御部31は、例えば、CPU等から構成され、ROM33に格納される所定のプログラムを読み出してRAM32の作業領域に展開し、当該プログラムに従って各種処理を実行する。具体的には、制御部31は、画像処理プログラムに従って、放射線画像検出装置2の通信部26から送信され通信部36を介して受信した放射線画像情報に基づいて、当該放射線画像情報に係る放射線画像の階調処理や周波数強調処理等の所定の画像処理を行う。
また、制御部31は、制御プログラムに従いながら、操作入力部35からの操作信号を基にして撮影動作信号を作成し、この撮影動作信号を放射線画像検出装置2にネットワークNを介して出力することで、放射線画像検出装置2の撮影動作を制御するようになっている。
【0045】
表示部34は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等を備えて構成され、制御部31から出力され入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。具体的には、表示部34は、放射線画像検出装置2から送信され通信部36を介して受信された複数の縮小画像情報に基づいて、複数の縮小画像をサムネイル表示可能に構成されている。
また、表示部34は、放射線画像検出装置2の撮影動作制御時における撮影動作指示信号の入力を指示するための撮影動作指示信号部や、縮小画像の表示の際に、例えば、各縮小画像と対応付けて撮影適否信号の入力を指示するための撮影適否指示部等を表示するようになっている。ここで、撮影動作指示信号部内には、放射線画像検出装置2のシンチレータ情報が表示されることになる。
そして、撮影動作指示部や撮影適否指示部は、例えば、操作入力部35の所定操作に基づいて選択可能となるように表示されるものである。
【0046】
操作入力部35は、例えば、キーボードやマウス等から構成されており、キーボードで押下操作されたキーの押下信号やマウスによる操作信号とを入力信号として制御部31に対して出力する。具体的には、操作入力部35は、放射線画像の表示指示に係る画像表示指示信号や、放射線画像の撮影状態が適正であるか否かに係る撮影適否信号、放射線画像検出装置2に対する撮影動作指示信号等を制御部31に対して出力(入力)するように構成されている。
また、操作入力部35は、表示部34の表示画面を覆う透明なシートパネルに、指又は専用のスタイラスペンで触れることにより入力される位置情報を入力信号として制御部31に出力する、所謂、タッチパネルにより構成されてもよい。
【0047】
通信部36は、例えば無線LAN等の無線通信方式により放射線画像検出装置2の通信部26との間で各種情報の通信を行うものである。具体的には、通信部36は、放射線画像検出装置2の通信部26から送信された縮小画像情報及びキー情報を受信する。また、通信部36は、操作入力部35により入力された撮影動作指示信号、撮影適否信号と、当該撮影適否信号に係る縮小画像情報に対応付けられたキー情報とを放射線画像検出装置2に対して送信する。
【0048】
電源部37は、コンソール3を構成する各部に電源を供給するものである。この電源部37は、例えば、所定の充電用端子(図示略)を介して充電可能に構成された充電池を備える構成であってもよいし、交流商用電源に接続するための電源接続部を備える構成であってもよい。
【0049】
画像記憶部38は、例えば、ハードディスクドライブ等を備えて構成され、制御部31の制御下にて所定の画像処理が施された放射線画像に係る放射線画像情報を記憶する画像データベースを構成している。
【0050】
次に、サーバ4について図5を参照にして説明する。図5は、管理装置の要部構成を示すブロック図である。
サーバ4は、ネットワークN上の全ての放射線画像検出装置2を管理するものである。図5に示すように、サーバ4は、制御部41、RAM42、ROM43、表示部44、操作入力部45、通信部46、電源部47等を備えて構成されており、各部はバスCにより接続されている。
【0051】
RAM42は、例えば、揮発性の半導体メモリであり、制御部41により実行される各種プログラムの作業領域(図示略)、放射線画像検出装置2の識別情報やシンチレータ情報を記憶する記憶領域(図示省略)等を構成している。
ROM43は、読み出し専用のメモリであり、制御部41により実行される各種プログラム、例えば各放射線画像検出装置2を管理するための管理プログラムを記憶している。
【0052】
制御部41は、例えば、CPU等から構成され、ROM43に格納される所定のプログラムを読み出してRAM42の作業領域に展開し、当該プログラムに従って各種処理を実行する。具体的には、制御部41は、管理プログラムに従いながら、各放射線画像検出装置2の識別情報及びシンチレータ情報を基にして、各放射線画像検出装置2を管理するようになっている。
【0053】
通信部46は、例えば無線LAN等の無線通信方式により放射線画像検出装置2との間で各種情報の通信を行うものであり、具体的には、放射線画像検出装置2の通信部26から出力された識別情報及びシンチレータ情報を受信する。なお、通信部46は、サーバ4でシンチレータ情報を管理する場合などであると、識別情報及びシンチレータ情報を送信することになる。
【0054】
表示部44及び操作入力部45は、上記のコンソール3に備わる表示部34及び操作入力部35と略等しい構成となっている。
また、電源部47は、サーバ4を構成する各部に電源を供給するものである。
【0055】
次に、放射線撮影システム100における放射線画像の撮影処理について、図6を参照して説明する。図6は、放射線撮影システム100による撮影処理に係る動作の一例を示すフローチャートである。
【0056】
先ず、各撮影室R1,R2,R3において、新たな放射線画像検出装置2がネットワークNに接続されると、その放射線画像検出装置2の通信部26からは識別情報及びシンチレータ情報がサーバ4に送信される(ステップS1)。サーバ4の制御部41は、取得した識別情報及びシンチレータ情報を基にして管理プログラムに従いながら、ネットワークNに接続された放射線画像検出装置2のシンチレータ情報を管理する(ステップS2)。ここで、サーバ4は、ネットワークNに接続された全ての放射線画像検出装置2を撮影室R1,R2,R3毎にグループ化して管理している。なお、グループ化の基準として、撮影室R1,R2,R3毎にグループ化するだけでなく、近隣の撮影室R1,R2,R3をも含んだ形でグループ化してもよい。
【0057】
その後、コンソール3の制御部31は、担当する撮影室R1,R2,R3に対応するシンチレータ情報のグループをサーバ4から取得して、当該撮影室R1,R2,R3に存在する全ての放射線画像検出装置2のシンチレータ情報を表示部34に表示させる(ステップS3)。なお、一度ネットワークNに接続されて識別情報及びシンチレータ情報が登録されている放射線画像検出装置2がネットワークNに接続されていない場合には、そのシンチレータ情報を表示する際に、現在ネットワークNに接続されていない旨も表示しておくことが好ましい。
【0058】
撮影者は、表示部34に表示されたシンチレータ情報を基に、各患者の予約を行う(ステップS4)。予約時においては、撮影者は操作入力部35を操作することで、コンソール3に患者の体格(身長や体重など)や撮影部位などの撮影条件を入力する。コンソール3の制御部31は入力された撮影条件を基に、この撮影条件に対応可能なシンチレータ情報の候補を選択し、候補とされたシンチレータ情報と、他のシンチレータ情報とが視覚的に区別されるように、表示部34に表示させる。撮影者は、候補とされたシンチレータ情報と、他のシンチレータ情報とを参照にしながら、操作入力部35を操作して、撮影条件に最適な検出部24を備えた放射線画像検出装置2を選択し、コンソール3に入力する。つまり、操作入力部35が本発明に係る選択手段である。
なお、撮影条件に最適な放射線画像検出装置2がグループ内にない場合には、コンソール3の制御部31は、他のグループのシンチレータ情報を取得して、表示部34に表示させる。これにより、他のグループ内から撮影条件に最適な放射線画像検出装置2を選択することができる。
【0059】
その後、コンソール3に対して、撮影開始指示が入力されると(ステップS5)、ステップS3で選択された放射線画像検出装置2を放射線画像撮影装置1にセットし、放射線画像撮影装置1から被写体に対して放射線を照射して、放射線画像検出装置2を用いて被写体の放射線撮影を行う(ステップS6)。即ち、放射線画像検出装置2の検出部24のシンチレータ層にて入射した放射線を検出し、光電変換層で電気エネルギーに変換し、スイッチング素子層で電気エネルギーを蓄積/読み出しを行い、被写体の放射線画像情報を取得する(ステップS7)。
【0060】
具体的には、制御部21は、ROM23から取得制御プログラムを読み出してRAM22に展開し、この取得制御プログラムに従って、検出部24の各スイッチング素子を制御して、当該各スイッチング素子に蓄積された電気エネルギーの読み取りをスイッチングしていき、検出部24に蓄積された全ての電気エネルギーを読み取る。
続けて、制御部21は、ROM23から放射線画像補正プログラムを読み出してRAM22に展開し、この放射線画像補正プログラムに従って、取得した放射線画像情報に対して所定の画像補正を施す原画像の補正処理を行う(ステップS8)。
その後、制御部21は、ROM23から画像記憶制御プログラムを読み出してRAM22に展開し、この画像記憶制御プログラムに従って、補正後の放射線画像情報を画像メモリ25に記憶させる(ステップS9)。
【0061】
次に、制御部21は、ROM23から表示用情報生成プログラムを読み出してRAM22に展開し、この表示用情報生成プログラムに従って、取得した放射線画像情報に基づいて、コンソール3に対して出力される表示用画像として、放射線画像情報よりも情報量の少ない縮小画像情報を生成する(ステップS10)。
続けて、制御部21は、ROM23から表示用画像補正プログラムを読み出してRAM22に展開し、この表示用画像補正プログラムに従って、縮小画像情報に対して所定の画像補正を施す(ステップS11)。
なお、上記の縮小画像情報の生成及び補正は、当該放射線画像検出装置2による放射線画像情報の取得毎に行われるようになっている。
【0062】
次に、制御部21は、ROM23から対応付プログラムを読み出してRAM22に展開し、この対応付プログラムに従って、コンソール3に送信される縮小画像情報と画像メモリ25に記憶された放射線画像情報とを対応付けるためのキー情報を生成する(ステップS12)。
【0063】
その後、制御部21は、通信部26を制御して、生成された縮小画像情報及び当該縮小画像情報に対応するキー情報をコンソール3に対して送信させる(ステップS13)。
【0064】
コンソール3では、放射線画像検出装置2の通信部26から送信された縮小画像情報及びキー情報を、通信部36を介して受信すると、当該コンソール3の制御部31は、受信した縮小画像情報及びキー情報をRAM32の所定領域に格納する(ステップS14)。
その後、操作入力部35の操作に基づいて、RAM32に格納された縮小画像情報の表示指示に係る画像表示指示信号が入力されると、制御部31は、画像表示指示信号に対応する複数の縮小画像情報をRAM32から取得して、取得した縮小画像情報に基づく複数の縮小画像を表示部34にサムネイル表示させる(ステップS15)。具体的には、制御部31は、表示部34の所定位置に、複数の縮小画像とこれら縮小画像の各々と対応付けられた撮影適否指示部を表示させるようになっている。
そして、表示部34に表示された撮影適否指示部が撮影者による操作入力部35の所定操作に基づいて選択指示されることにより、選択された撮影適否指示部に係る放射線画像の撮影状態が適正であるか否かに係る撮影適否信号が制御部31に対して入力される(ステップS16)。
制御部31は、撮影適否信号が入力される毎に、入力された撮影適否信号をRAM32の情報格納領域に一旦格納させる。
なお、通信部36を介して受信したキー情報は、例えば、RAM32内の所定の格納領域に格納されるようになっている。
【0065】
その後、例えば撮影者による操作入力部35の操作に従って撮影適否信号の放射線画像検出装置2に対しての送信が指示されると、制御部31は、送信指示された撮影適否信号及びこの撮影適否信号に対応するキー情報をRAM32から読み出した後、通信部36を制御して、放射線画像検出装置2に対して送信させる(ステップS17)。
【0066】
そして、放射線画像検出装置2では、コンソール3の通信部36から送信され通信部26を介して撮影適否信号及びキー情報を受信すると、制御部21は、ROM23から判定プログラムを読み出してRAM22に展開し、この判定プログラムに従って、各撮影適否信号及びキー情報に基づいて、画像メモリ25に記憶された複数の放射線画像情報のうち、キー情報に対応付けられた放射線画像情報をコンソール3に対して送信してもよいか否かを判定する(ステップS18)。具体的には、制御部21は、撮影適否信号として放射線画像の撮影状態が適正であるという情報を含む信号が入力された場合に、放射線画像情報を送信してもよいと判定する一方で、撮影適否信号として放射線画像の撮影状態が不適正であるという情報を含む信号が入力された場合に、放射線画像情報を送信する必要がないと判定するようになっている。
ここで、放射線画像情報をコンソール3に対して送信してもよいと判定されると(ステップS18;YES)、制御部21は、画像メモリ25から放射線画像情報を取得して、取得した放射線画像情報を通信部26からコンソール3に対して送信させる(ステップS19)。
【0067】
コンソール3では、放射線画像検出装置2の通信部26から送信された放射線画像情報を、通信部36を介して受信すると、当該コンソール3の制御部31は、ROM33から画像処理プログラムを読み出してRAM32に展開し、この画像処理プログラムに従って、受信した放射線画像情報に基づいて、当該放射線画像情報に係る放射線画像の階調処理や周波数強調処理等の所定の画像処理を行う(ステップS21)。この際、制御部31は、放射線画像情報を取得した放射線画像検出装置2のシンチレータ情報に対応させて、画像処理条件を変更している。具体的には、制御部31は、ROM33に記憶される複数の画像処理プログラムから、当該シンチレータ情報に最適な画像処理プログラムを選択し、その選択した画像処理プログラム及び放射線画像情報に基づいて画像処理を行う。
その後、制御部31は、画像処理後の放射線画像情報を画像記憶部38の所定領域に記憶させる(ステップS22)。
【0068】
なお、ステップS18にて、放射線画像情報をコンソール3に対して送信する必要がいと判定された場合には(ステップS18;NO)、制御部21は、当該放射線画像検出装置2の各部を制御して放射線画像の再撮影の受付状態に移行する(ステップS20)。
ここで、制御部21は、コンソール3に対して送信する必要のない放射線画像情報をデータ消去するような構成であってもよい。
【0069】
以上のように、本実施形態の放射線撮影システム100によれば、サーバ4によって管理されているシンチレータ情報がコンソール3で表示されるので、管理者はそれを視認することによって、ネットワークに接続された放射線画像検出装置2のシンチレータ種類や感度を認識することが可能となる。そして、複数の放射線画像検出装置2のなかから撮影条件に最適な1つの放射線画像検出装置2を選択すれば、コンソール3が、当該放射線画像検出装置2の撮影動作を制御するので、撮影条件が異なっていたとしても、その条件に応じて最適な放射線画像検出装置2を容易に選択でき、結果として効率的に所望の画質で撮影することが可能になる。
【0070】
また、シンチレータの種類及び感度の少なくとも一方がシンチレータ情報に含まれているので、撮影条件に最適な検出部24を備えた放射線画像検出装置を容易に選択することができる。さらに、検出部24に対応する放射線画像検出装置2の種類及びサイズの少なくとも一方がシンチレータ情報に含まれているので、放射線画像検出装置2の種類及びサイズをも考慮して、撮影条件に最適な放射線画像検出装置2を選択することができる。
【0071】
また、複数の放射線画像検出装置2におけるシンチレータ情報が患者予約時に表示されているので、各患者に対して最適なシンチレータを備えた放射線画像検出装置2を選択することができる。
さらに、コンソール3によって、撮影条件に対して適切なシンチレータ情報の候補が選択されて、他のシンチレータ情報とは視覚的に区別されて表示されているので、客観的な観点で判断された選択結果を撮影者が参照することができる。これにより、判断時における撮影者毎の個人差を極力排除することができる。また、最終判断は撮影者にゆだねられているので、撮影者の意図を反映することができる。例えば、特別な撮影が行われる場合には候補に挙げられたシンチレータ情報を無視して、他のシンチレータ情報を選択することも可能である。
【0072】
そして、コンソール3が、放射線画像情報を取得した放射線画像検出装置2のシンチレータ情報に対応させて、画像処理条件を変更するので、各放射線画像検出装置2のシンチレータに最適な画像処理を施すことが可能になる。
さらに、放射線画像検出装置2におけるシンチレータ情報がグループ毎に表示されるので、通信回線上の全ての放射線画像検出装置2におけるシンチレータ情報を参照する必要がないときに、煩わしさを抑制することができる。
【0073】
なお、本発明は上記実施形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。
例えば、本実施形態の放射線撮影システム100では、各放射線画像検出装置2のシンチレータ情報がサーバ4にまとめて管理されているが、例えば、各撮影室R1,R2,R3のコンソール3のそれぞれに、当該コンソール3が担当する放射線画像検出装置2のシンチレータ情報が記憶されていて、必要に応じてサーバ4に取得されて管理される構成であってもよい。つまり、シンチレータ情報自体は、サーバ4で常に管理できるのであれば、一箇所にまとめて記憶されていても、分散して記憶されていても構わない。
【0074】
また、本実施形態では、ネットワークN上にサーバ4が単体で接続される構成を例示したが、例えば、ネットワークN上に接続される複数のコンソール3のうち、1つのコンソール3が本発明に係る管理装置として動作してもよい。こうした場合、1つのコンソール3が、本発明に係る撮影動作制御装置と管理装置とを兼ねているので、管理装置を単体で設置した場合よりもシステム構成を簡略化することができる。
【0075】
さらに、本実施形態では、原画像や縮小画像の補正を放射線画像検出装置2で行う場合を例示して説明したが、これらの画像の補正をコンソール3で行ってもよい。こうした場合には、サーバ4の制御部41は、撮影に用いられる放射線画像検出装置2の識別情報を基にして、RAM42に記憶されている複数の管理情報の中から、当該放射線画像検出装置2に対応する管理情報を抽出し、コンソール3に送信する。コンソール3の制御部31は、受信した管理情報の中から画像補正用データを取得して、その画像補正用データを基に原画像や縮小画像の補正を行うようになっている。
【0076】
そして、本実施形態では、コンソール3が、サーバ4で管理されたシンチレータ情報を表示し、表示されたシンチレータ情報を基に、撮影者が操作入力部35を操作して、複数の放射線画像検出装置2から所望の放射線画像検出装置2を選択するようになっているが、サーバ4を介さなくてもコンソール3が直接複数の放射線画像検出装置2のシンチレータ情報を表示部34に表示してもよい。こうした場合においても、複数の放射線画像検出装置2のそれぞれに用いられているシンチレータのシンチレータ情報が表示部34に表示されているので、管理者はそれを視認することによって、ネットワークに接続された放射線画像検出装置2のシンチレータ種類や感度を認識することが可能となる。そして、複数の放射線画像検出装置2のなかから撮影条件に最適な1つの放射線画像検出装置2を選択すれば、撮影条件が異なっていたとしても、その条件に応じて最適な放射線画像検出装置を容易に選択でき、結果として効率的に所望の画質で撮影することが可能になる。
そして、本実施形態では無線通信方式を適用したが、有線通信方式であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明を適用した実施形態として例示する放射線撮影システムの概略構成を示す図である。
【図2】図1の放射線撮影システムを構成する放射線画像撮影装置1の要部構成を表す説明図である。
【図3】図1の放射線撮影システムを構成する放射線画像検出装置の要部構成を示すブロック図である。
【図4】図1の放射線撮影システムを構成するコンソールの要部構成を示すブロック図である。
【図5】図1の放射線撮影システムを構成するサーバの要部構成を示すブロック図である。
【図6】図1の放射線撮影システムによる撮影処理に係る動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
1 放射線画像撮影装置
11 放射線源(放射線照射手段)
2 放射線画像検出装置
24 シンチレータ
3 コンソール(撮影動作制御装置、画像処理装置)
34 表示部(表示手段)
35 操作入力部(選択手段)
4 サーバ(管理装置)
100 放射線撮影システム
N ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した放射線の強度に応じて発光するシンチレータを有するシンチレータ層、前記シンチレータの発光を検出して電気エネルギーに変換する光電変換層及び前記光電変換層で得られた電気エネルギーを蓄積及び出力するスイッチング素子を有するスイッチング素子層を少なくとも有して、前記被写体の放射線画像情報を取得する複数の放射線画像検出装置と、
前記複数の放射線画像検出装置から所望の放射線画像検出装置を選択する選択手段を有する撮影動作制御装置と、を備え、
前記撮影動作制御装置は、前記複数の放射線画像検出装置のそれぞれに用いられている前記シンチレータのシンチレータ情報を表示する表示手段を有することを特徴とする放射線撮影システム。
【請求項2】
入射した放射線の強度に応じて発光するシンチレータを有するシンチレータ層、前記シンチレータの発光を検出して電気エネルギーに変換する光電変換層及び前記光電変換層で得られた電気エネルギーを蓄積及び出力するスイッチング素子を有するスイッチング素子層を少なくとも有して、前記被写体の放射線画像情報を取得する複数の放射線画像検出装置と、
前記複数の放射線画像検出装置のそれぞれにおける前記シンチレータのシンチレータ情報を管理する管理装置と、
前記管理装置で管理された前記シンチレータ情報を表示し、前記放射線画像検出装置を選択する選択手段の選択結果に対応した前記放射線画像検出装置の撮影動作を制御する撮影動作制御装置と、を備えることを特徴とする放射線撮影システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の放射線撮影システムにおいて、
前記シンチレータ情報には、前記シンチレータの種類及び感度の少なくとも一方が含まれていることを特徴とする放射線撮影システム。
【請求項4】
請求項3記載の放射線撮影システムにおいて、
前記シンチレータ情報には、前記シンチレータに対応する前記放射線画像検出装置の種類及びサイズの少なくとも一方が含まれていることを特徴とする放射線撮影システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の放射線撮影システムにおいて、
前記撮影動作制御装置は、患者予約時に、前記複数の放射線画像検出装置における前記シンチレータ情報を表示することを特徴とする放射線撮影システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の放射線撮影システムにおいて、
前記撮影動作制御装置は、患者予約時に入力される撮影条件を基に、当該撮影条件に対応可能な前記シンチレータ情報の候補を選択し、当該シンチレータ情報と他の前記シンチレータ情報とを視覚的に区別して表示することを特徴とする放射線撮影システム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の放射線撮影システムにおいて、
前記通信回線に接続され、かつ前記放射線画像検出装置によって取得された前記放射線画像情報に対して画像処理を施す画像処理装置を備え、
前記画像処理装置は、前記放射線画像情報を取得した前記放射線画像検出装置の前記シンチレータ情報に対応させて、画像処理条件を変更することを特徴とする放射線撮影システム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の放射線撮影システムにおいて、
前記撮影動作制御装置は、前記複数の放射線画像検出装置を予めグループ化して、前記放射線画像検出装置における前記シンチレータ情報をグループ毎に表示することを特徴とする放射線撮影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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