説明

放射線検出モジュール

【課題】精度よく放射線源の方向を特定できる放射線検出モジュールを提供する。
【解決手段】本発明に係る放射線検出モジュール1は、放射線を検出可能な複数の半導体素子が搭載された放射線検出基板と、放射線検出基板より放射線が入射する側に近い位置に設けられ、放射線の一部を遮へい可能な遮へい材20と、底部300と、底部300の一端から底部300の法線方向に沿って延びる第1側面部310と、底部300の他端から底部300の法線方向に沿って延びる第2側面部320とを有し、第1側面部310と第2側面部320とがそれぞれ、放射線検出基板を支持する基板支持部330と、基板支持部330に対し予め定められた位置に設けられ、遮へい材20を支持する遮へい材支持部340とを有する固定部材30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出モジュールに関する。特に、本発明は、携帯が容易な放射線検出装置に適用できる放射線検出モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、法線方向に沿って配置され、入射した放射線を検出する複数の検出プレートと、複数の検出プレートのそれぞれに設けられ、各検出プレートに発生した電荷を収集する電荷収集手段と、各電荷収集手段によって収集された検出プレート毎の電荷に基づいて、各検出プレートに入射した放射線の数を検出する入射数検出手段と、各検出プレートに入射した放射線の数と複数の検出プレート間の各間隔距離とに基づいて、放射線の線源までの距離を演算する距離演算手段とを有する多層放射線検出器を備えるガンマ線源の距離測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載のガンマ線源の距離測定装置によれば、放射線源が存在する方向、又は放射線源までの距離を高い精度で計測することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−315465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のガンマ線源の距離測定装置は、各検出プレートに入射した放射線の数と複数の検出プレート間の各間隔距離とに基づいて、放射線の線源までの距離を演算するので、距離測定装置の大きさを小さくすると、放射線源までの距離を適切に測定できない場合がある。
【0006】
したがって、本発明の目的は、精度よく放射線源の方向を特定できる放射線検出モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するため、放射線を検出可能な複数の半導体素子が搭載された放射線検出基板と、放射線検出基板より放射線が入射する側に近い位置に設けられ、放射線の一部を遮へい可能な遮へい材と、底部と、底部の一端から底部の法線方向に沿って延びる第1側面部と、底部の他端から底部の法線方向に沿って延びる第2側面部とを有し、第1側面部と第2側面部とがそれぞれ、放射線検出基板を支持する基板支持部と、基板支持部に対し予め定められた位置に設けられ、遮へい材を支持する遮へい材支持部とを有する固定部材とを備える放射線検出モジュールが提供される。
【0008】
また、上記放射線検出モジュールにおいて、複数の放射線検出基板を備え、複数の放射線検出基板が、複数の半導体素子が搭載された第1の放射線検出基板と、第1の放射線検出基板より放射線の入射側から遠い位置に配置され、複数の半導体素子が搭載された第2の放射線検出基板とを含み、第2の放射線検出基板が、第1の放射線検出基板に搭載される半導体素子の平面視における大きさより小さい大きさの半導体素子を有することもできる。
【0009】
また、上記放射線検出モジュールにおいて、基板支持部が、放射線検出基板の縁の近傍を支持し、遮へい材が、平坦面を含む柱状に形成され、遮へい材支持部が、平坦面に平面で接する表面を含み、遮へい材を、表面にて支持することもできる。
【0010】
また、上記放射線検出モジュールにおいて、複数の半導体素子が、第1のエネルギー検出用の第1半導体素子と、第1のエネルギーより高いエネルギーの第2のエネルギー検出用の第2半導体素子とを含み、第1の放射線検出基板が、第1半導体素子を放射線の入射側に有することもできる。
【0011】
また、上記放射線検出モジュールにおいて、遮へい材が、鉛又はタングステンを含んで形成され、固定部材が、遮へい材より多くの放射線を透過する材料から形成されてもよい。
【0012】
また、上記放射線検出モジュールにおいて、固定部材が、樹脂材料又は金属材料から形成されてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る放射線検出モジュールによれば、精度よく放射線源の方向を特定できる放射線検出モジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る放射線検出モジュールを内蔵する放射線検出装置の概要図である。
【図2A】本発明の実施の形態に係る放射線検出モジュールの斜視図である。
【図2B】本発明の実施の形態に係る放射線検出モジュールから回路基板を外した場合における斜視図である。
【図3A】本発明の実施の形態に係る放射線検出モジュールが備える放射線検出基板の斜視図である。
【図3B】本発明の実施の形態に係る放射線検出モジュールが備える放射線検出基板の側面図である。
【図3C】本発明の実施の形態に係る放射線検出モジュールが備える放射線検出基板からフレキシブル基板を外した場合における放射線検出基板の斜視図である。
【図3D】本発明の実施の形態に係る放射線検出モジュールが備える放射線検出基板からフレキシブル基板を外した場合における一方の面側からの平面図である。
【図3E】本発明の実施の形態に係る放射線検出モジュールが備える放射線検出基板からフレキシブル基板を外した場合における他方の面側からの平面図である。
【図3F】本発明の実施の形態に係る放射線検出モジュールが備える放射線検出基板からフレキシブル基板を外した場合における放射線検出基板の斜視図である。
【図3G】本発明の実施の形態に係る放射線検出モジュールが備える放射線検出基板からフレキシブル基板を外した場合における放射線検出基板の側面図である。
【図4A】本発明の実施の形態に係る放射線検出モジュールの固定部材の斜視図である。
【図4B】本発明の実施の形態に係る放射線検出モジュールの固定部材の側面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る放射線検出モジュールの側面の概要図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る放射線検出モジュールにおける角度分解能の概要の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施の形態の要約]
放射線を検出可能な複数の半導体素子を有し、放射線源の方向を特定することを目的として用いられる放射線検出モジュールにおいて、前記複数の半導体素子が搭載された放射線検出基板と、前記放射線検出基板より前記放射線が入射する側に近い位置に設けられ、前記放射線の一部を遮へい可能な遮へい材と、底部と、前記底部の一端から前記底部の法線方向に沿って延びる第1側面部と、前記底部の他端から前記底部の法線方向に沿って延びる第2側面部とを有し、前記第1側面部と前記第2側面部とがそれぞれ、前記放射線検出基板を支持する基板支持部と、前記基板支持部に対し予め定められた位置に設けられ、前記遮へい材を支持する遮へい材支持部とを有する固定部材とを備える放射線検出モジュールが提供される。
【0016】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る放射線検出モジュールを内蔵する放射線検出装置の一例を示す
【0017】
本発明の実施の形態に係る放射線検出モジュール1を内蔵する放射線検出装置2は、ハンディタイプの放射線検出装置2であり、核物質の探査をすることができる。具体的に、放射線検出装置2は、γ線、X線等の放射線200a乃至200dを検出する放射線検出モジュール1と、放射線検出モジュール1の検出結果を処理するデータ処理部と、データ処理部の処理結果を外部の通信端末等に送信する通信部と、データ処理部等に電源を供給する電源供給部とを備え、γ線、X線等の放射線200a乃至200dの放射線源の方向を特定することができる。また、放射線検出装置2は、携帯が容易な小型の形状を有している。例えば、放射線検出装置2は、把持部3を備え、略直方体を有する形態(例えば、図1参照)、又は懐中電灯のように円筒形状を有する形態(図示しない)等、携帯しやすい形状に形成することができる。
【0018】
(放射線検出モジュール1の構成の概要)
図2Aは、本発明の実施の形態に係る放射線検出モジュールの斜視図の一例を示す。更に、図2Bは、本発明の実施の形態に係る放射線検出モジュールから回路基板を外した場合における斜視図の一例を示す。
【0019】
本発明の実施の形態に係る放射線検出モジュール1は、放射線を検出可能な複数の半導体素子(例えば、半導体素子100)が搭載された複数の放射線検出基板(例えば、放射線検出基板10、放射線検出基板11、及び放射線検出基板12)と、放射線検出モジュール1に入射する放射線(例えば、放射線200a)の一部を遮へい可能な遮へい材20と、複数の放射線検出基板の外周の少なくとも一部を保持すると共に、複数の放射線検出基板に対し、遮へい材20を予め定められた位置に固定する固定部材30とを備える。なお、放射線検出基板は、1つ以上であれば上記の例に限られない。この場合、固定部材30は、放射線検出モジュール1が備える放射線検出基板の数に応じ、全ての放射線検出基板を保持することができるように形成される。
【0020】
また、本実施の形態に係る放射線検出モジュール1は、複数の放射線検出基板のそれぞれが一方の端と他方の端とに有するエッジ部120のそれぞれに電気的に接続されると共に、複数の集積回路400が搭載されている回路基板40及び回路基板42を更に備える。複数の放射線検出基板はそれぞれ、回路基板40と回路基板42とに挟まれる。更に、放射線検出モジュール1は、回路基板40が挿入されるコネクタ55と、回路基板42が挿入されるコネクタ(図示しない)とを有するマザーボード50を備える。コネクタ55は、マザーボート50の一辺近傍に設けられ、回路基板42が挿入されるコネクタは当該一辺の対辺近傍に設けられる。
【0021】
すなわち、マザーボート50の表面上に固定部材30が搭載され、固定部材30に複数の放射線検出基板と遮へい材20とが固定され、更に、複数の放射線検出基板のそれぞれに接続される回路基板40と回路基板42とがマザーボード50に固定されることにより、放射線検出モジュール1が構成される。なお、放射線検出モジュール1は、複数の放射線検出基板、遮へい材20、固定部材30、回路基板40及び回路基板42、並びにマザーボード50を格納するケース部材を更に備えることもできる。
【0022】
また、詳細は後述するが、固定部材30は、底部300と、底部300の一端から底部300の法線方向に沿って延びる第1側面部310と、底部300の他端から底部300の法線方向(ただし、第1側面部310が延びる方向と同一方向)に沿って延びる第2側面部320とを有して形成される(図2B参照)。そして、第1側面部310及び第2側面部320はそれぞれ、複数の放射線検出基板のそれぞれを支持する基板支持部330と、基板支持部330に対し、予め定められた位置に設けられ、遮へい材20を支持する遮へい材支持部340とを有する。
【0023】
(遮へい材20)
遮へい材20は、放射線検出基板(例えば、放射線検出基板10、放射線検出基板11、及び放射線検出基板12)より放射線が入射する側に近い位置に設けられる。例えば、遮へい材20は、複数の半導体素子(例えば、半導体素子100等)の直上を除く位置に設けられる。また、遮へい材20は、平坦面を含む柱状を有して形成される。そして、遮へい材20は、放射線を遮へい可能な材料、例えば、鉛若しくはタングステンを含んで形成される。
【0024】
(放射線検出基板10)
図3Aは、本発明の実施の形態に係る放射線検出モジュールが備える放射線検出基板の斜視図の一例を示し、図3Bは、本発明の実施の形態に係る放射線検出モジュールが備える放射線検出基板の側面図の一例を示す。
【0025】
第1の放射線検出基板としての放射線検出基板10は、ガラスエポキシ基板等から構成され、平面視にて略長方形状のリジッド基板110と、リジッド基板110の両端(例えば、両短辺の端部)に形成されるエッジ部120と、リジッド基板110の一方の表面に搭載される第1のエネルギー検出用の第1半導体素子としての複数の半導体素子101と、リジッド基板110の他方の表面に搭載される第1のエネルギーより高いエネルギーの第2のエネルギー検出用としての複数の半導体素子100とを有する。ここで、複数の半導体素子101は、放射線の入射側に設けられる。なお、放射線検出基板10が有する半導体素子100及び半導体素子101の数は、放射線検出モジュール1の用途に応じ、適宜変更できる。また、リジッド基板110の一方の面及び他方の面に搭載される半導体素子を、同一の半導体素子にすることもできる。
【0026】
また、放射線検出基板10は、一方のエッジ部120側の複数の半導体素子101に電気的に接続する配線パターンを含むフレキシブル基板120aと、他方のエッジ部120側の複数の半導体素子101に電気的に接続する配線パターンを含み、フレキシブル基板120aとは電気的に導通しないフレキシブル基板120bとを有する。同様に、放射線検出基板10は、一方のエッジ部120側の複数の半導体素子100に電気的に接続する配線パターンを含むフレキシブル基板122aと、他方のエッジ部120側の複数の半導体素子100に電気的に接続する配線パターンを含み、フレキシブル基板122aとは電気的に導通しないフレキシブル基板122bとを有する。フレキシブル基板120a及び122aはそれぞれ回路基板40に電気的に接続され、フレキシブル基板120b及び122bはそれぞれ、回路基板42に電気的に接続される。
【0027】
ここで、半導体素子100及び半導体素子101としては、CdTe素子、CdZnTe(CZT)素子、HgI素子等を用いることができる。また、半導体素子100と半導体素子101とはそれぞれ同一又は異なる材料を用いて形成することができる。更に、半導体素子100及び半導体素子101は、平面視にて長方形状又は正方形状に形成することができる。そして、一例として、半導体素子の厚さを変えることにより、検出可能である放射線のエネルギー帯域を調整することができる。この場合において、より低いエネルギーの放射線を検出する半導体素子は、放射線の入射側により近い位置に配置されることが好ましい。
【0028】
図3Cは、本発明の実施の形態に係る放射線検出モジュールが備える放射線検出基板からフレキシブル基板を外した場合における放射線検出基板の斜視図の一例を示す。また、図3Dは、本発明の実施の形態に係る放射線検出モジュールが備える放射線検出基板からフレキシブル基板を外した場合における一方の面側からの平面図の一例を示し、図3Eは、本発明の実施の形態に係る放射線検出モジュールが備える放射線検出基板からフレキシブル基板を外した場合における他方の面側からの平面図の一例を示す。
【0029】
図3C及び図3Dに示すように、複数の半導体素子101は、平面視にて、リジッド基板110の一方の面に格子状に配置される。すなわち、複数の半導体素子101は、リジッド基板110の長手方向及び短手方向のそれぞれに予め定められた間隔をおいて配置される。また、図3Eに示すように、複数の半導体素子100についても同様に、リジッド基板110の他方の面の長手方向及び短手方向のそれぞれに予め定められた間隔をおいて配置される。
【0030】
(放射線検出基板12)
図3Fは、本発明の実施の形態に係る放射線検出モジュールが備える放射線検出基板からフレキシブル基板を外した場合における放射線検出基板の斜視図の一例を示し、図3Gは、本発明の実施の形態に係る放射線検出モジュールが備える放射線検出基板からフレキシブル基板を外した場合における放射線検出基板の側面図の一例を示す。
【0031】
第2の放射線検出基板としての放射線検出基板11及び/又は放射線検出基板12は、第1の放射線検出基板としての放射線検出基板10より、放射線の入射側から遠い位置に配置される。例えば、図2Bにおいて示したように、放射線の入射側から放射線検出基板10、放射線検出基板11、放射線検出基板12の順に配置される。そして、放射線検出基板11及び/又は放射線検出基板12は、放射線検出基板10に搭載される半導体素子(例えば、半導体素子100)の平面視における大きさより小さい大きさの半導体素子(例えば、半導体素子102)を有する。
【0032】
図3F及び図3Gにおいては、一例として、放射線検出基板12の例を示す。放射線検出基板12は、搭載される半導体素子の大きさが放射線検出基板10の場合と異なる点を除き、放射線検出基板10と略同一の構成を有する。
【0033】
具体的に、放射線検出基板12は、放射線検出基板10に搭載される半導体素子100の平面視における大きさより小さい大きさの半導体素子102を有する。すなわち、第1の位置に放射線検出基板(例えば、放射線検出基板10)が配置され、第1の位置より放射線の入射側から離れた第2の位置に放射線検出基板(例えば、放射線検出基板12)が配置される場合に、第1の位置に配置される放射線検出基板が有する半導体素子より平面視における大きさが小さい半導体素子(すなわち、横幅が第1の位置に配置される放射線検出基板が有する半導体素子より狭い半導体素子)を、第2の放射線検出基板としての放射線検出基板12は有する。なお、第2の放射線検出基板としての放射線検出基板12は、搭載される半導体素子の少なくとも一部に、第1の位置に配置される放射線検出基板が有する半導体素子より平面視における大きさが小さい半導体素子を有していればよい。
【0034】
(固定部材30)
図4Aは、本発明の実施の形態に係る放射線検出モジュールの固定部材の斜視図の一例を示し、図4Bは、本発明の実施の形態に係る放射線検出モジュールの固定部材の側面図の一例を示す。
【0035】
固定部材30は、底板部302を含む底部300と、第1側面部310と、第2側面部320とを有して形成される。そして、第1側面部310及び第2側面部320はそれぞれ、複数の放射線検出基板のそれぞれを支持する基板支持部330と、遮へい材20を支持する遮へい材支持部340とを有する。ここで、底部300、第1側面部310、及び第2側面部320は、一体構造を有して形成することができる。
【0036】
固定部材30は、遮へい材より多くの放射線を透過する材料を用いて形成できる。具体的には、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリイミド樹脂(PI)、ポリアセタール樹脂(POM)等の樹脂材料を用い、寸法精度がよい射出成型又は切削加工により形成できる。また、固定部材30は、アルミニウム、ステンレス等の金属材料から形成することもできる。なお、固定部材30を樹脂から形成する場合、複数の放射線検出基板の遮へい材20に対する位置精度の確保、及び機械的強度の確保を目的として、PPSから形成することが好ましい。
【0037】
第1側面部310と第2側面部320とは底部300の一端又は他端に設けられる点を除き、互いに略同一の構成及び機能を有するので、以下、第1側面部310について説明する。ただし、遮へい材支持部340については、説明の便宜上、第2側面部320に設けられている遮へい材支持部340について説明する。
【0038】
第1側面部310は、底板部302の一の隅から底板部302の法線方向に沿って延びる柱部310aと、端部に当該一の隅を含む底板部302の一辺に沿って延び、柱部310aの先端部に連結している梁部310dと、梁部310dの柱部310aに連結している一方の端の反対側の他方の端から底板部302に向けて延び、底板部302に連結している柱部310cと、柱部310aと柱部310cとの間であって、梁部310dの中央領域から底板部302の表面に向かって延びる中間部310bとを含む。
【0039】
基板支持部330は、柱部310aの中間部310b側の表面と、柱部310cの中間部310b側の表面と、中間部310bの柱部310a側及び柱部310c側の表面とのそれぞれに複数の溝条として形成される。そして、基板支持部330は、放射線検出基板の外表面に沿った平坦な支持表面330aを含んで形成される。支持表面330aは、一例として、底板部302の表面に平行に形成される。
【0040】
遮へい材支持部340は、梁部310の中間部310bが設けられている側の反対側に設けられる。遮へい材支持部340は、底板部302に水平な表面340dと、表面340dに垂直な表面340a、表面340b、及び表面340cを含んで形成される。表面340aと表面340cとは対向する位置に設けられ、表面340cは、表面340aと表面340cとに垂直に設けられる。
【0041】
図5は、本発明の実施の形態に係る放射線検出モジュールの側面の概要を示す。
【0042】
図5においては、説明の便宜上、回路基板40、放射線検出基板10、放射線検出基板12、及び放射線検出金11が有するフレキシブル基板の図示を省略する。
【0043】
まず、複数の基板支持部330は、固定部材30の側面からみると、それぞれ凹形状に形成される。すなわち、各基板支持部330は、支持表面330aと、支持表面330aに対向する支持表面330bと、支持表面330aと支持表面330bとに垂直であり、支持表面330aと支持表面330bと連結する側部330cとを含む。そして、基板支持部330は、放射線検出基板11の縁の近傍を支持する。具体的には、基板支持部330に放射線検出基板11が挿入され、放射線検出基板11の基板表面110aが支持表面330aに接触することにより、放射線検出基板11は基板支持部330に支持される。なお、一の基板支持部330の支持表面330aと支持表面330bとの間の距離は、放射線検出基板11の厚さ以上に設定される。
【0044】
また、遮へい材支持部340は、表面340aにおいて遮へい材20の平坦面20aに接し、表面340cにおいて遮へい材の平坦面20cに接し、表面340dにおいて平坦面20bに接することにより、遮へい材20を支持する。すなわち、固定部材30に対する遮へい材支持部340の表面340a、表面340d、表面340dの位置を制御することにより、遮へい材20の固定部材30に対する位置を精密に制御しつつ、遮へい材支持部340において遮へい材20を支持することができる。
【0045】
図6は、本発明の実施の形態に係る放射線検出モジュールにおける角度分解能の概要を説明する図である。
【0046】
図6においては、説明の便宜上、固定部材30、回路基板40、回路基板42、各フレキシブル基板等の図示を省略する。
【0047】
遮へい材20は、外部からの放射線を遮へいする。したがって、遮へい材20の陰に位置する半導体素子において放射線は検出されないので、放射線を検出した半導体素子と、放射線を検出しない半導体素子との受光カウント比と放射線の入射角とから放射線源の方向を特定できる。
【0048】
ここで、本実施の形態においては放射線の入射側に配置される半導体素子100の平面視における大きさより、放射線の入射側から離れた位置に配置される半導体素子102の平面視における大きさが小さい。これにより、放射線検出モジュール1に入射する放射線の入射角度の分解能を向上させることができる。なお、図6に示すように、本実施の形態においては、複数の放射線検出基板を所定の間隔をおいて重ねて配置する。これにより、平面視において半導体素子100乃至半導体素子102が重なった構造になっているので、放射線の散乱角の計算、及び散乱した放射線の計算に要するデータの収集を容易にすることができる。
【0049】
(実施の形態の効果)
本実施の形態に係る放射線検出モジュール1においては、放射線の遮へい性が良好な材料から形成される遮へい材20で入射する放射線の一部を遮へいすることにより、放射線検出基板上に放射線が入射しない領域(すなわち、放射線の影)を形成できるので、従来より小型の放射線検出モジュールの設計を容易にできる。
【0050】
また、放射線検出モジュール1においては、複数の放射線検出基板と遮へい材20とを、放射線の遮へい性が遮へい材20よりも悪い樹脂材料又は金属材料から形成した固定部材30で支持するので、固定部材30による放射線の遮へいを抑制でき、角度分解能の向上と大きな視野角度の確保とを実現できる。
【0051】
更に、放射線検出モジュール1においては、精密加工が容易な樹脂材料又は金属材料から固定部材30を形成するので、複数の放射線検出基板の遮へい材20に対する位置を精密に制御することができる。これにより、放射線検出モジュール1の角度分解能を容易に向上させることができる。
【0052】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0053】
1 放射線検出モジュール
2 放射線検出装置
3 把持部
10、11、12 放射線検出基板
20 遮へい材
20a、20b、20c 平坦面
30 固定部材
40、42 回路基板
50 マザーボード
55 コネクタ
100、101、102 半導体素子
110 リジッド基板
110a 基板表面
120 エッジ部
120、122 フレキシブル基板
200a、200b、200c、200d、200e、200f 放射線
300 底部
302 底板部
310 第1側面部
310a、310c 柱部
310b 中間部
310d 梁部
320 第2側面部
330 基板支持部
330a、330b 支持表面
330c 側部
340 遮へい材支持部
340a、340b、340c、340d 表面
400 集積回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を検出可能な複数の半導体素子が搭載された放射線検出基板と、
前記放射線検出基板より前記放射線が入射する側に近い位置に設けられ、前記放射線の一部を遮へい可能な遮へい材と、
底部と、前記底部の一端から前記底部の法線方向に沿って延びる第1側面部と、前記底部の他端から前記底部の法線方向に沿って延びる第2側面部とを有し、前記第1側面部と前記第2側面部とがそれぞれ、前記放射線検出基板を支持する基板支持部と、前記基板支持部に対し予め定められた位置に設けられ、前記遮へい材を支持する遮へい材支持部とを有する固定部材と
を備える放射線検出モジュール。
【請求項2】
複数の前記放射線検出基板を備え、
複数の前記放射線検出基板が、複数の前記半導体素子が搭載された第1の放射線検出基板と、前記第1の放射線検出基板より前記放射線の入射側から遠い位置に配置され、複数の前記半導体素子が搭載された第2の放射線検出基板とを含み、
前記第2の放射線検出基板が、前記第1の放射線検出基板に搭載される前記半導体素子の平面視における大きさより小さい大きさの前記半導体素子を有する請求項1に記載の放射線検出モジュール。
【請求項3】
前記基板支持部が、前記放射線検出基板の縁の近傍を支持し、
前記遮へい材が、平坦面を含む柱状に形成され、
前記遮へい材支持部が、前記平坦面に平面で接する表面を含み、前記遮へい材を、前記表面にて支持する請求項2に記載の放射線検出モジュール。
【請求項4】
複数の前記半導体素子が、第1のエネルギー検出用の第1半導体素子と、前記第1のエネルギーより高いエネルギーの第2のエネルギー検出用の第2半導体素子とを含み、
前記第1の放射線検出基板が、前記第1半導体素子を放射線の入射側に有する請求項3に記載の放射線検出モジュール。
【請求項5】
前記遮へい材が、鉛又はタングステンを含んで形成され、
前記固定部材が、前記遮へい材より多くの放射線を透過する材料から形成される請求項4に記載の放射線検出モジュール。
【請求項6】
前記固定部材が、樹脂材料又は金属材料から形成される請求項5に記載の放射線検出モジュール。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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