説明

放射線検出装置および飛来放射線の消滅位置特定方法

【課題】簡易な手法により飛来放射線の位置検出精度を向上することのできる放射線検出装置および飛来放射線の消滅位置特定方法を提供する。
【解決手段】放射線(飛来放射線γ)との相互作用により発生する蛍光の波形が互いに異なる複数種類のシンチレータ21〜24を二次元に配列してなるシンチレータアレイ10と、シンチレータ21〜24にて発生した蛍光を検出する受光素子30と、受光素子30が検出した蛍光の波形情報Dに基づいて、上記相互作用が生じたシンチレータ21〜24の種類iを判定する判定部と、を備え、受光素子30による蛍光の検出位置と、判定部により判定されたシンチレータの種類iとから、飛来放射線γが飛来したシンチレータを特定する放射線検出装置50。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出装置および飛来放射線の消滅位置特定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シンチレーションとは、ガンマ線(γ線)やエックス線(X線)などの電離放射線(以下、放射線という。)が特定の物質(シンチレータ)に入射したとき、その放射線エネルギーが吸収されて蛍光を発する現象をいう。そして、かかる蛍光を検出することにより、飛来した放射線の消滅位置を特定する装置が知られている。
【0003】
この種の技術に関し、下記特許文献1には、シンチレータを互いに平行方向に偏倚させて多段に積層したシンチレータアレイにより、放射線が入射して消滅したセル位置を、深さ位置情報DOIとともに同定する位置検出器の発明が記載されている。
【0004】
図8は、同文献に記載のように、平行方向に偏倚させたシンチレータ120を二段に積層したシンチレータアレイを含む従来の位置検出器(放射線検出装置150)の正面図である。
同図(a)に示すように、放射線検出装置150は、互いに積層された、第一シンチレータ122,123,124を配列した第一アレイ111と、第二シンチレータ121を配列した第二アレイ112とからなるアレイユニット110とを有している。下段にあたる第一アレイ111の下方には、シンチレータ120に入射して消滅した飛来放射線γ1,γ2が生じた蛍光を検出する受光素子130が設けられている。
各シンチレータ120の側面には反射材(図示せず)が設けられており、蛍光は上下面より透過可能である。
同図に示すように、第一アレイ111と第二アレイ112とは、シンチレータ120のセルサイズの半分だけ互いにずれあっている。これにより、第二アレイ112にて消滅した飛来放射線γ2が生じる蛍光は、二つの隣接する第一シンチレータ123,124に分配されて受光素子130に至ることとなる。
【0005】
ここで、シンチレータ120のセルサイズは、受光素子130の面内解像度(ピクセルサイズ)に対応している。すなわち、受光素子130によって蛍光を検出することにより、第一アレイ111または第二アレイ112のうち、いずれのシンチレータ120(第一および第二シンチレータ121〜124)から蛍光が入光したかが検知される。
第二シンチレータ121で消滅した飛来放射線γ2が生じた蛍光が受光素子130で検出された場合の強度分布W2は、同図に示すように二つのピークをもち、蛍光の重心位置は第一シンチレータ123,124の中間位置となる。一方、第一アレイ111にて消滅した飛来放射線γ1が生じる蛍光は、そのまま受光素子130に至るため、受光素子130で検出される蛍光の強度分布W1は同図に示すように一つのピークをもつとともに、蛍光の重心位置は第一シンチレータ122の中央位置となる。
したがって、受光素子130で検出される蛍光の重心位置を求めることにより、飛来放射線γ1,γ2が消滅したシンチレータが、深さ位置情報DOIとともに特定される。
【0006】
なお、上記特許文献1では、さらにシンチレータ120(121〜124)を、蛍光減衰時定数の異なる二種類のシンチレータ材料を二段に積層して構成している。
これにより、受光素子130で検出された蛍光の蛍光減衰時定数を加味することで、シンチレータ120(121〜124)で消滅した飛来放射線γ1,γ2が、さらに各セルの上段で消滅したか、または下段で消滅したかが弁別可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−21682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の放射線検出装置150は、深さ位置情報DOIは詳細に検出可能であるものの、受光素子130の面内解像度が高くないという問題がある。
図8(b)に示すように、任意のシンチレータ(例えば、第二シンチレータ121)における異なる位置に飛来放射線γ3,γ4が入射して消滅した場合、第一シンチレータ123,124を通じて受光素子130に至る蛍光の経路は図示のように共通となる。そして、受光素子130で検出される蛍光の強度分布W3は、同図(a)に示す強度分布W2と共通となる。
したがって、従来の放射線検出装置150では、一つのシンチレータ内における飛来放射線γ3,γ4の消滅位置の差異は区別することができず、飛来放射線の位置検出精度は受光素子130の面内解像度と同程度に留まることとなる。
【0009】
一方、例えば受光素子として位置検出型の光電子増倍管を用いた場合、その面内解像度を向上するためには、シンチレータの微細化とともに、電荷集積用ワイヤやメッシュ電極の配線密度を増大させる必要がある。しかし、配線密度の増大は製造上の困難とコストの大幅上昇を招く。このため、受光素子の面内解像度の向上には限界がある。また、受光素子としてフォトダイオードを用いた場合には、フォトダイオードが位置敏感機能を持たないため、必要な解像度に相当する小型のダイオードをアンプ等とともに多数用意しなければならない。
【0010】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、簡易な手法により飛来放射線の消滅位置検出精度を向上することのできる放射線検出装置および飛来放射線の消滅位置特定方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の放射線検出装置は、放射線との相互作用により発生する蛍光の波形が互いに異なる複数種類のシンチレータを二次元に配列してなるシンチレータアレイと、
前記シンチレータにて発生した前記蛍光を検出する受光素子と、
前記受光素子が検出した前記蛍光の波形情報に基づいて、前記相互作用が生じたシンチレータの前記種類を判定する判定手段と、を備え、
前記受光素子による前記蛍光の検出位置と、前記判定手段により判定されたシンチレータの前記種類とから、前記放射線が消滅したシンチレータを特定することを特徴とする。
【0012】
上記発明によれば、受光素子にて特定されたピクセルに含まれる複数のシンチレータのうち、飛来放射線が消滅したシンチレータを判定することができるため、受光素子の面内解像度よりも高い位置精度で飛来放射線の消滅位置を特定することができる。
【0013】
また本発明の飛来放射線の消滅位置特定方法は、放射線との相互作用により発生する蛍光の波形が互いに異なる複数種類のシンチレータを二次元に配列してなるシンチレータアレイに入射した飛来放射線の消滅位置を特定する方法であって、
サンプル放射線の入射により前記シンチレータに生じる蛍光の波形に関する照合情報を、前記シンチレータの種類ごとにそれぞれ取得する予備取得工程と、
前記シンチレータアレイに入射した前記飛来放射線により生じる蛍光を受光して、前記蛍光の波形情報と、前記蛍光を受光した受光エリアとを取得する受光工程と、
前記波形情報と前記照合情報とを対比して、前記飛来放射線が消滅したシンチレータの前記種類を判定する判定工程と、
前記受光エリアに含まれる、前記種類のシンチレータの位置を特定する位置特定工程と、
を含む。
【0014】
上記発明によれば、複数種類のシンチレータごとに発光する蛍光の波形に関する照合情報を予め取得しておき、検査対象である飛来放射線により生じた蛍光に関する波形情報を照合することにより、飛来放射線が消滅したシンチレータの種類が判定できる。これにより、受光素子において検査対象の蛍光が検出された受光エリア(ピクセル)のうち、飛来放射線が消滅したシンチレータの位置が特定されるため、受光素子の面内解像度よりも高い位置精度で飛来放射線の消滅位置を特定することができる。
【0015】
なお、上記各発明において、放射線がシンチレータに入射するとは、断りなき場合、飛来した放射線が当該シンチレータの内部で消滅して相互作用を生じることを意味するものである。
また、複数種類のシンチレータが二次元に配列されているとは、複数種類のシンチレータ同士が平面方向に重なり合いなく配置されていることをいい、シンチレータ同士が厚み方向に同一段にあるか、互いに一部同士が重なっているか、または乖離しているかは問わない。
【0016】
また、本発明の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でもよい。
【0017】
また、本発明による飛来放射線の消滅位置特定方法を説明するにあたり、複数の工程を順番に記載することがあるが、明示の場合を除き、その記載の順番は工程を実行する順番を必ずしも限定するものではない。また、複数の工程は、明示の場合を除き、個々に相違するタイミングで実行されることに限定されず、ある工程の実行中に他の工程が発生すること、ある工程の実行タイミングと他の工程の実行タイミングとの一部ないし全部が重複していること、等でもよい。
また、本発明でいう面とは、平面を目標として物理的に形成した面を意味しており、当然ながら幾何学的な完全な平面であることは要しない。さらに、本発明では前後左右上下の方向を規定しているが、これは本発明の構成要素の相対関係を簡単に説明するために便宜的に規定したものであり、本発明を実施する場合の製造時や使用時の方向を限定するものではない。
【発明の効果】
【0018】
本発明の放射線検出装置および飛来放射線の消滅位置特定方法によれば、受光素子の面内解像度よりも高い位置精度で飛来放射線の消滅位置を特定することができる。これにより、従来の受光素子を用いた場合には、放射線検出装置の解像度を向上することができる。一方、従来の放射線検出装置の解像度を維持した場合には、受光素子の面内解像度を下げることができるため、受光素子の素子密度を低減し、処理速度の向上およびコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態にかかる放射線検出装置の一例を示す正面図である。
【図2】(a)は本実施形態のシンチレータアレイの平面図であり、(b)は従来の放射線検出装置におけるアレイユニットの平面図である。
【図3】(a)は本実施形態の放射線検出装置の構成図であり、(b)はそのブロック図である。
【図4】シンチレータアレイに入射して消滅した飛来放射線より生じた蛍光が受光素子で検出される様子を示す模式図である。
【図5】(a)はフラッシュAD変換器に入力されるアナログ信号の一例を示す波形グラフであり、(b)はサンプリングマスクを示す図であり、(c)は波形情報のデジタルデータを示す図である。
【図6】(a)はフォトダイオードに対して本実施形態のシンチレータユニットを光学的に接続した状態を示す模式図であり、(b)は放射線検出装置の構成図である。
【図7】(a)はフォトダイオードアレイに対して、単一種のシンチレータを配列した従来のシンチレータユニットを光学的に接続した状態を示す模式図であり、(b)はフォトダイオードアレイおよびシンチレータユニットを備える従来の放射線検出装置の構成図である。
【図8】従来の位置検出器の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0021】
<放射線検出装置>
図1は、本発明の実施形態にかかる放射線検出装置50の一例を示す正面図である。同図では、フラッシュAD変換器40および判定部42は図示を省略している。
図2(a)は、本実施形態のシンチレータアレイ10の平面図である。なお、同図(b)は、図8に示した従来の放射線検出装置150におけるアレイユニット110の平面図である。
図3(a)は本実施形態の放射線検出装置50の構成図であり、同図(b)はそのブロック図である。ただし、図3では、シンチレータアレイ10は図示を省略している。
【0022】
はじめに、本実施形態の放射線検出装置50の概要について説明する。
本実施形態の放射線検出装置50は、放射線(飛来放射線γ)との相互作用により発生する蛍光の波形が互いに異なる複数種類のシンチレータ21〜24を二次元に配列してなるシンチレータアレイ10と、シンチレータ21〜24にて発生した蛍光を検出する受光素子30と、受光素子30が検出した蛍光の波形情報Dに基づいて、上記相互作用が生じたシンチレータ21〜24の種類iを判定する判定部42と、を備えている。
そして、放射線検出装置50は、受光素子30による蛍光の検出位置Lと、判定部42により判定されたシンチレータの種類iとから、飛来放射線γが消滅したシンチレータを特定する。
【0023】
次に、本実施形態の放射線検出装置50について詳細に説明する。
放射線検出装置50は、飛来する各種放射線の到達位置情報を画像再構成に利用する陽電子放射断層撮像装置(PET)や単一光子放射撮影装置(SPECT)などに用いられる。
【0024】
シンチレータアレイ10を構成するシンチレータは組成が互いに異なり、放射線との相互作用により発する蛍光の波形情報Dが相違する。四種類のシンチレータ21〜24を用いる本実施形態においては、各シンチレータの波形情報Dは、種類i(i=1〜4)ごとに蛍光減衰時定数τまたは立ち上がり時間τが互いに相違する。
【0025】
なお、本発明において、所望の一方向(例えば第一の方向X)に関してのみ、飛来放射線γの消滅位置を高精度化すれば足りる場合には、複数種類のシンチレータを当該一方向にのみ配列すればよい。
ここで、シンチレータの二次元配列のパターンは特に限定されるものではない。シンチレータアレイ10における各種類のシンチレータの配置位置が既知である限り、各種類のシンチレータを繰り返し規則的にパターン配置してもよく、または各種類のシンチレータを予め定められたマッピング位置に配置してもよい。
【0026】
かかるシンチレータに用いられる材料は特に限定されず、LYSO、LuAG、LuAP、LuYAP、BGO、GSO、LSO、YSO、YAP、YAG、NaI(Tl)、CsI(Tl)などより適宜選択して用いることができる。
このうち、発生した蛍光の蛍光減衰時定数τまたは立ち上がり時間τの少なくとも一方が、互いに弁別可能な程度に相違するシンチレータの組み合わせを用いるとよい。
具体的には、二種類のシンチレータを用いる場合には、LuAGおよびLYSOの組み合わせを選択するとよい。これらは、LuAGの蛍光減衰時定数τが20nsecであるのに対し、LYSOの蛍光減衰時定数τが40nsecであって、互いに二倍の関係にある。
また、四種類のシンチレータを用いる場合には、LuAG、LYSO、GSO1およびGSO2の組み合わせを選択するとよい。なお、GSO1とGSO2は、互いにCe濃度を相違させて蛍光減衰時定数を変化させたGdSiOを意味する。
【0027】
本実施形態の放射線検出装置50は、放射線との相互作用により発生する蛍光の波形が互いに異なるN(Nは2以上の整数)種類のシンチレータを含んでいる。そして、シンチレータアレイ10は、第一の方向Xおよびこれと交差する第二の方向Yに、シンチレータが、上記N種類のうちN種類ずつ配列されている。
これにより、二次元平面における飛来放射線γの消滅位置を、受光素子30の面内解像度を超えてN倍の精度で特定することが可能となる。
なお、本実施形態では第一の方向Xと第二の方向Yとは直交しているが、本発明はこれに限られるものではなく、第一の方向Xと第二の方向Yとは互いに斜交していてもよい。
【0028】
本実施形態の場合、具体的には、図2(a)に示すように、四種類の組成からなるシンチレータ(第一シンチレータ21、第二シンチレータ22、第三シンチレータ23および第四シンチレータ24)を、各象限に配置してシンチレータユニット20が構成されている。本実施形態の場合、第四シンチレータ24および第三シンチレータ23が第一の方向Xに繰り返し配置された行と、第一シンチレータ21および第二シンチレータ22が第一の方向Xに繰り返し配置された行とが、第二の方向Yに交互に並んでいる。
【0029】
シンチレータ21〜24は同一寸法の直方体状をなし、起立状態にて、第一および第二の方向X,Yにそれぞれ寄せ集められている。また、シンチレータ21〜24の長手方向の両端面の形状は正方形である。
よって、図2(a)に示すように、シンチレータ21〜24を寄せ集めたシンチレータユニット20は、平面視正方形状をなす。
以下、シンチレータ21〜24の正方形端面の辺長をセルサイズSという。
【0030】
図1に示すように、四種類のシンチレータ21〜24は、同一段に配列されている。
各シンチレータ21〜24の高さは等しく、その上面にあたる入射面26は、互いにほぼ面一である。四種類のシンチレータ21〜24を組み合わせたシンチレータユニット20の上端開口面のサイズは、受光素子30による蛍光の検出位置Lの最小単位にあたるピクセル27と同等としている。
そして、シンチレータユニット20をさらに二次元配列して、シンチレータアレイ10を構成することにより、その上面にあたる検出面28が平坦に形成されている。
【0031】
シンチレータ21〜24の周面、すなわち長手方向の側面には、蛍光を反射する反射材(図示せず)がそれぞれ設けられている。よって、入射面26より飛来放射線γがシンチレータ21〜24に入射してその内部で消滅しつつ蛍光を発すると、かかる蛍光は隣接する他のシンチレータには入光せず、反射材の表面で適宜反射して受光素子30に至る。
【0032】
受光素子30としては、光電子増倍管(PMT)、アバランシェ・フォト・ダイオード(APD)などのフォトダイオード、またはCCD素子を用いた光電変換器等を用いることができる。本実施形態では、光電子増倍管を受光素子30として用いるものとする。
【0033】
図3(a)に示すように、受光素子30は、第一の方向Xおよび第二の方向Yにそれぞれ延在する配線31,32により構成されたダイノード33を多段に含む光電子増倍管である。
受光素子30がクロスワイヤード型の場合、ダイノード33の配線31,32は互いにねじれの位置にあって互いに交差しない。一方、受光素子30がメッシュアノード型の場合、配線31,32が互いに交差点で連結されてダイノード33はメッシュ状をなす。
受光素子30は、後述する図4に示すように、ダイノード33を多段に備えている。図3(a)では最下層のダイノード33のみを図示している。
【0034】
図3(a)に示すように、最下段のダイノード33において配線31,32はそれぞれ抵抗チェーンRによって互いに接続されている。
第一の方向Xに並ぶ配線31を接続する抵抗チェーンR,R,R・・・の両端には、増幅器と、出力端子XおよびXが設けられている。一方、第二の方向Yに並ぶ配線32を接続する抵抗チェーンR,R,R・・・の両端には、増幅器と、出力端子YおよびYが設けられている。
任意のシンチレータ21〜24より受光素子30に入光した蛍光は、光電子増倍管にて光電子を増倍させ、ダイノード33よりアナログ信号として出力端子X,X,Y,Yより取り出される。
【0035】
具体的には、図3(b)のブロック図に示すように、ダイノード33からのアナログ信号は、調整器34により配線31,32ごとにゲイン調整された上で、抵抗チェーンRを介して出力端子X,X,Y,Yより出力される。出力されたアナログ信号は、和演算回路35により加重和演算が行われ、最下段のダイノード33における光電子の到達量の分布が第一および第二の方向X,Yごとに検出される。
【0036】
かかるアナログ信号は、出力端子X,X,Y,Yより波形情報取得部に入力される。波形情報取得部は、受光素子30が検出した蛍光に基づく光電子量に関する特性値を取得する手段である。波形情報取得部としては種々の手段を用いることができるが、本実施形態では図3に示すようにフラッシュAD変換器(F−ADC)40を用いている。フラッシュAD変換器40では、ダイノード33で検出された光電子量に関するアナログ信号の時刻歴的な波高に関する情報が、デジタルデータとして出力される。
なお、本発明においては、波形情報取得部として、アナログ入力信号を所定時間ごとに連続的にAD変換するフラッシュAD変換器40のほか、電荷積分法や電荷比較法を測定原理とする市販のアナログ型装置を用いることができる。
電荷積分法とは、シンチレーション光による光電子電流を複数の時間区間において積分し、その違いからシンチレーション光の波形の違いを弁別する方法である。また、電荷比較法とは、光電子電流を異なる時定数を有する積分回路によって積分し、その値の違いからシンチレーション光の波形を弁別する方法である。波形の違いを立ち上がり時間やゼロクロス時間の違いに変換する手法も同様である。
【0037】
ここで、飛来放射線γの消滅によって生じた蛍光に基づく光電子量の波高に関する情報を、「蛍光の波形情報D」という。また、最下段のダイノード33における光電子の到達量の分布から求まる最大増倍位置を、「蛍光の検出位置L」という。また、特に断りなき場合、蛍光の波形情報Dは、アナログ信号またはデジタル信号の両方を意味する。
【0038】
そして、本実施形態の放射線検出装置50では、フラッシュAD変換器40の出力である波形情報Dを計算機(判定部42)に取り込み、蛍光の波形情報Dに基づいてシンチレータ21〜24の種類iを判定する。
【0039】
ここで、光電子増倍管である受光素子30は、ダイノード33における光電子到達量の分散形状やピーク位置に基づいて蛍光の検出位置Lを検出する。このため、受光素子30の面内解像度は、隣接する配線31,32同士の間隔の数分の一程度となる。
本実施形態の放射線検出装置50では、受光素子30の面内解像度にあたるピクセル27のピクセルサイズSと、シンチレータユニット20の上端面の辺長を同等としている。すなわち、本実施形態では、第一および第二の方向X,Yについて、配線31,32同士の間隔に対しシンチレータユニット20を二個以上の割合で配置している。
【0040】
そして、シンチレータユニット20は、上記各方向について、複数個のシンチレータ21〜24によって構成されている。したがって、本実施形態の場合、シンチレータ21〜24のセルサイズSは、配線31,32の間隔の四分の一以下である。
【0041】
また、本実施形態においては、シンチレータ21〜24のセルサイズSは、受光素子30による検出位置Lの位置精度δよりも小さい。
【0042】
本実施形態の放射線検出装置50は、フラッシュAD変換器40の出力である蛍光の波形情報Dに基づいて、当該蛍光が生じたシンチレータ21〜24の種類iを判定することにより、受光素子30の面内解像度よりも高い位置精度にて、蛍光の発生位置、すなわち飛来放射線γの消滅位置を特定することができる。
【0043】
一方、図2(b)に示す単一種のシンチレータ120を配列したアレイユニット110を、図1の受光素子30および放射線検出装置50と組み合わせた場合、各シンチレータ120にて消滅した飛来放射線γからは単一の波形情報しか得られない。このため、放射線検出装置50により特定される飛来放射線γの消滅位置の位置精度は、受光素子30の面内解像度を超えることができない。
【0044】
<飛来放射線の消滅位置特定方法>
以下、本実施形態の放射線検出装置50によりおこなう飛来放射線γの消滅位置特定方法について、図面を用いて説明する。
図4は、シンチレータアレイ10に入射した飛来放射線γより生じた蛍光が受光素子30で検出される様子を示す模式図である。同図(a)は、飛来放射線γが第四シンチレータ24にて消滅した場合が示し、同図(b)は、飛来放射線γが第三シンチレータ23で消滅した状態を示している。
すなわち、図4は、シンチレータアレイ10および受光素子30を第二の方向Yに見た状態を示している。
【0045】
はじめに、本実施形態による飛来放射線γの消滅位置特定方法(以下、「本方法」という場合がある。)の概要について説明する。
本方法は、放射線との相互作用により発生する蛍光の波形が互いに異なる複数種類のシンチレータ21〜24を二次元に配列してなるシンチレータアレイ10に入射した飛来放射線γの消滅位置を特定する方法に関し、以下の予備取得工程、受光工程、判定工程および位置特定工程を含んでいる。
予備取得工程では、サンプル放射線γの入射によりシンチレータ21〜24に生じる蛍光の波形に関する照合情報Cを、シンチレータの種類iごとにそれぞれ取得する。
受光工程では、シンチレータアレイ10に入射した飛来放射線γにより生じる蛍光を受光して、蛍光の波形情報Dと、蛍光を受光した受光エリアARとを取得する。
判定工程では、波形情報Dと照合情報Cとを対比して、飛来放射線γが消滅したシンチレータの種類iを判定する。
そして、位置特定工程では、蛍光を受光した受光エリアARに含まれる、上記種類iのシンチレータの位置を特定する。
【0046】
次に、本方法についてより詳細に説明する。
図4に示すように、第四シンチレータ24で生じる蛍光の波形情報Dと、第三シンチレータ23で生じる蛍光の波形情報Dとは、蛍光減衰時定数τおよび立ち上がり時間τが相違している。
【0047】
予備取得工程では、シンチレータ21〜24に対して、個別にサンプル放射線γを照射してシンチレーションを発生させ、フラッシュAD変換器40にて蛍光の波形を解析するとよい。そして、かかる波形より蛍光減衰時定数τまたは立ち上がり時間τの少なくとも一方を、照合情報C(C〜C)として取得し、判定部42が備える記憶部(図示せず)に格納しておく。
なお、シンチレータで生じる蛍光の蛍光減衰時定数τおよび立ち上がり時間τは、シンチレータの組成によって固有である。したがって、予備取得工程においては、サンプル放射線γをシンチレータに実際に照射して蛍光の波形を解析する必要は必ずしもなく、シンチレータ21〜24ごとに既知の蛍光減衰時定数τまたは立ち上がり時間τを、単に記憶部に入力しておこなってもよい。
【0048】
受光工程では、検出対象となる飛来放射線γをシンチレータアレイ10の検出面28に入射させる。そして、シンチレータ21〜24のいずれかの内部で飛来放射線γが消滅して生じる蛍光を受光素子30によって受光する。
図4(a)は、第四シンチレータ24にて消滅した飛来放射線γからの蛍光が、受光素子30の内部に多層に設けられたダイノード33から光電子を順次叩き出し、かかる光電子に誘起された電流のアナログ信号(電流信号)が最下段のダイノード33の配線31,32より出力される様子を示している。個々の光電子が誘起する電流信号のプロファイルは波形情報Dである。また、叩き出された大量の光電子からの電流信号の総和である光電子増倍管(PMT)の出力波形W24は、飛来放射線γが消滅した第四シンチレータ24の直下においてピークとなっている。
【0049】
受光工程では、受光素子30で蛍光を受光した受光エリアARを特定する。受光エリアARとしては、受光素子30による蛍光の検出位置Lの最小単位にあたるピクセル27を用いることができるが、必ずしもこれに限られない。すなわち、受光エリアARとしては、ピクセル27よりも広い領域を特定してもよい。なお、受光エリアARの特定に際しては、受光素子30にて検出した出力波形W24のピーク位置を算出し、かかるピーク位置を含む受光エリアARを特定すればよい。
【0050】
図4(b)は、上記第四シンチレータ24に隣接する第三シンチレータ23にて飛来放射線γが消滅して蛍光を発した状態を示す模式図である。かかる蛍光は受光素子30のダイノード33より光電子を叩き出して配線31,32より電流信号を出力させる。したがって、電流信号の出力波形W23は第三シンチレータ23の直下においてピークとなる。
ここで、本実施形態の受光素子30の面内解像度を示すピクセルサイズSは、シンチレータユニット20の辺長と同等であり、セルサイズSよりも大きい。したがって、受光素子30は、隣接する第三シンチレータ23または第四シンチレータ24に入射した飛来放射線γに基づく光電子の電流信号の出力ピークの位置を互いに弁別することはできない。そして、受光素子30で蛍光を受光した受光エリアARとしては、当該第三シンチレータ23および第四シンチレータ24を含む、より広範囲の領域が、例えばシンチレータユニット20単位にて指定される。
【0051】
また、受光工程では、最下段のダイノード33から出力されるアナログ信号IをフラッシュAD変換器40に入力して、電流信号の波形情報Dを取得する。
図5(a)は、フラッシュAD変換器40に入力されるアナログ信号I(I,I)の一例を示す波形グラフである。かかるアナログ信号Iを、同図(b)に示すサンプリングマスクを用いてAD変換することにより、同図(c)に示す波形情報D,Dのデジタルデータが得られる。
【0052】
ここで、本方法においては、フラッシュAD変換器40におけるサンプリング間隔を、シンチレータ21〜24の蛍光減衰時定数τの最小値に対し、さらに半分以下とするとよい。これにより、受光素子30がシンチレータ21〜24のいずれから蛍光を受光した場合も、受光素子30から出力されるアナログ信号IをフラッシュAD変換器40にて好適にAD変換することができる。
【0053】
本方法では、波形情報Dとして、蛍光の蛍光減衰時定数τまたは立ち上がり時間τを取得する。アナログ信号IをAD変換してなる波形情報Dより蛍光減衰時定数τまたは立ち上がり時間τを取得する方法は特に限定されないが、本実施形態では一例として以下の方法により行う。なお、下記方法のほか、上記のように電荷積分法や電荷比較法に基づいてアナログ信号Iより波形情報Dを取得してもよい。
【0054】
まず、波形情報Dの非零の出力データのうち、最初の2つのデータを外挿して、波形情報Dの開始時刻Tを求める。つぎに、各波形情報Dについて、非零のデジタルデータが取得された最終時刻Tを求め、T−TをTFULLと定める。
一方、波形情報Dの値が、ピーク値に対して所定の1以下の減衰比率となった時刻Tを求め、T−TをTPARTIALと定める。
そして、TFULL/TPARTIALの値を算出することで蛍光減衰時定数τを求めることができる。また、時刻Tから、波形情報Dのピーク時刻までの時間を算出することで、立ち上がり時間τを求めることができる。
なお、上記の減衰比率は、シンチレータアレイ10に用いるシンチレータ21〜24の組成に応じて適宜選択できる。
【0055】
判定工程では、判定部42に格納された、シンチレータの種類iごとの照合情報Cと、上記受光工程で得られた波形情報Dとを照合することで、波形情報Dにかかる蛍光を発したシンチレータの種類i(例えば図4(a)の場合、第四シンチレータ24)を判定する。
【0056】
位置特定工程では、蛍光を受光した受光エリアARの内部に存在するシンチレータのうち、上記判定工程にて判定された種類iのシンチレータ(例えば第四シンチレータ24)の位置を特定する。これにより、飛来放射線γが消滅した消滅位置を、受光素子30を用いたピクセルサイズS単位の概略位置のみならず、波形情報Dを用いたセルサイズS単位の詳細位置として特定することができる。
【0057】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
例えば上記実施形態においては、受光素子30として光電子増倍管(PMT)を用いているが、本発明はこれに限られない。
図6(a)は、受光素子30として用いるフォトダイオード36(アバランシェ・フォト・ダイオード(APD))に対して、本実施形態のシンチレータユニット20(図2(a)を参照)を光学的に接続した状態を示す模式図である。シンチレータユニット20は、互いに組成の異なるシンチレータ21〜24を各象限に配置してなる。また、同図(b)は、本変形例にかかる放射線検出装置50の構成図である。ただし、同図(b)では、シンチレータアレイ10は図示を省略している。
【0058】
本変形例にかかる受光素子30は、フォトダイオード36を二次元に配列したフォトダイオードアレイ37であって、フォトダイオード36の辺長Eが、それぞれシンチレータ21〜24のセルサイズSの二倍以上である。
フォトダイオード36にはそれぞれ出力端子X1〜Xが個別に設けられ、シンチレータ21〜24のいずれかに入射して消滅した飛来放射線γに基づく光電流が出力される。したがって、出力端子の数(M)は、フォトダイオード36の個数と等しい。
【0059】
また、出力端子X〜Xからの電流信号は、それぞれプリアンプ(図示せず)で増幅されたうえで、波形情報取得部であるフラッシュAD変換器40に入力されて蛍光の波形情報Dが取得される。
かかる構成により、本変形例の放射線検出装置50では、光電流の出力値の大きなフォトダイオード36を特定することで、飛来放射線γが消滅した概要位置を、シンチレータユニット20単位で特定することができる。さらに、波形情報Dを参照することで、当該シンチレータユニット20のうち、蛍光を発したシンチレータ21〜24が特定される。したがって、本変形例によれば、辺長Eのフォトダイオード36を用いて、これよりも精細な位置精度にて飛来放射線γの消滅位置を特定することができる。
【0060】
一方、図7(a)は、フォトダイオードアレイ37に対して、単一種のシンチレータ120を配列した従来のアレイユニット110(図2(b)を参照)を光学的に接続した状態を示す模式図である。また、同図(b)は、フォトダイオードアレイ37およびアレイユニット110(同図では図示せず)を備える従来の放射線検出装置150の構成図である。
従来の放射線検出装置150におけるフォトダイオード36の辺長をEとする。
放射線検出装置150は、単一種のシンチレータ120を備えるため、蛍光の波形情報Dを取得する必要はなく、出力端子X〜Xからの電流信号はAD変換器140に入力される。そして、AD変換器140でデジタル化された電流信号の大小をフォトダイオード36ごとに求めることにより、蛍光の検出位置が特定される。
【0061】
ここで、本変形例の放射線検出装置50のように、各フォトダイオード36に対して四種のシンチレータ21〜24を各象限に配置した場合、飛来放射線γの消滅位置の特定精度は辺長E/2となる。一方、従来の放射線検出装置150における飛来放射線γの消滅位置の特定精度は、フォトダイオード36の辺長Eとなる。したがって、本変形例の放射線検出装置50によって従来の放射線検出装置150と同等の面内解像度を得る場合、フォトダイオード36の個数が四分の一で足りることとなる。図示の場合、本変形例に要するADCチャンネル数(M)は9チャンネルである(図6(b)を参照)のに対し、従来の放射線検出装置150に要するADCチャンネル数(N)は36チャンネルである(図7(b)を参照)。
したがって、ADCチャンネルに対応して設けるプリアンプに関しても、本変形例の放射線検出装置50は、従来の放射線検出装置150に対して各方向につき半数、全体として四分の一の数量で足りることとなる。
【0062】
すなわち、本変形例にかかる放射線検出装置50の場合、シンチレータユニット20が、方向X,Yごとに二種類のシンチレータ21〜24よりなり、さらに、受光素子30からの電流信号を波形解析するフラッシュAD変換器40を備えている。これにより、ADCチャンネル数およびプリアンプ数を各方向につき半分に低減しても、放射線検出装置150と同等の面内解像度を得ることができる。すなわち、従来の放射線検出装置150の面内解像度をシンチレータ21〜24のセルサイズSと同等に得るためには、各シンチレータ120に対して方向X,Yごとに二倍の数のADCチャンネルおよびプリアンプを要することとなる。
また、換言すると、同数のADCチャンネルおよびプリアンプにて同等の面内解像度を得る場合には、本変形例の放射線検出装置50におけるフォトダイオード36の辺長Eを、従来の放射線検出装置150におけるフォトダイオード36の辺長Eの二倍とすることができる。したがって、本変形例の放射線検出装置50では、従来の放射線検出装置150に比して四倍の検出面積をカバーすることができる。
【0063】
また、上記実施形態では、互いに異なる組成のシンチレータ21〜24を2×2のマトリクス状に配列してシンチレータアレイ10を構成しているが、本発明はこれに限られず、種々の変形が可能である。
例えば、放射線検出装置50における飛来放射線γの消滅位置の特定精度を更に向上するため、ピクセルサイズSに対して、各方向に三個以上のシンチレータを組み合わせてもよい。
ここで、シンチレータユニット20の辺長を、受光素子30のピクセルサイズSよりも小さくしても、受光素子30の面内解像度を超える位置精度δを得ることはできない。しかし、シンチレータユニット20の辺長を一定として、これに含まれるシンチレータのセルサイズSを微細化するとともに、方向X,Yごとに、それぞれ異なる組成のシンチレータを配列することで、受光素子30の面内解像度を超えて、放射線検出装置50による位置特定精度を向上してゆくことができる。
【0064】
また、上記の判定工程では、波形情報Dおよび照合情報Cとして、蛍光の蛍光減衰時定数τまたは立ち上がり時間τを用いているが、本発明はこれに限られない。
例えば、予備取得工程および受光工程では、サンプル放射線γまたは飛来放射線γに誘起された電流信号の波形画像をそれぞれ取得し、両画像の一致度を判定することでシンチレータの種類iを判定してもよい。また、電流信号の波形より、波形情報Dおよび照合情報Cとして、減衰時間分布または波高分布を取得し、これらを対比してシンチレータの種類iを弁別してもよい。
【符号の説明】
【0065】
10 シンチレータアレイ
20 シンチレータユニット
21〜24,120〜124 シンチレータ
26 入射面
27 ピクセル
28 検出面
30,130 受光素子
31,32 配線
33 ダイノード
34 調整器
35 和演算回路
36 フォトダイオード
37 フォトダイオードアレイ
40 フラッシュAD変換器
140 AD変換器
42 判定部
50,150 放射線検出装置
110 アレイユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線との相互作用により発生する蛍光の波形が互いに異なる複数種類のシンチレータを二次元に配列してなるシンチレータアレイと、
前記シンチレータにて発生した前記蛍光を検出する受光素子と、
前記受光素子が検出した前記蛍光の波形情報に基づいて、前記相互作用が生じたシンチレータの前記種類を判定する判定手段と、を備え、
前記受光素子による前記蛍光の検出位置と、前記判定手段により判定されたシンチレータの前記種類とから、前記放射線が消滅したシンチレータを特定することを特徴とする放射線検出装置。
【請求項2】
前記シンチレータのセルサイズが、前記受光素子による前記検出位置の位置精度よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の放射線検出装置。
【請求項3】
前記複数種類のシンチレータの前記波形情報は、蛍光減衰時定数または立ち上がり時間が互いに相違することを特徴とする請求項1または2に記載の放射線検出装置。
【請求項4】
前記複数種類のシンチレータが、同一段に配列されている請求項1から3のいずれかに記載の放射線検出装置。
【請求項5】
放射線との相互作用により発生する蛍光の波形が互いに異なるN2(Nは2以上の整数)種類のシンチレータを含む請求項1から4のいずれかに記載の放射線検出装置であって、
第一の方向およびこれと交差する第二の方向に、前記シンチレータが、前記N2種類のうちN種類ずつ配列されていることを特徴とする放射線検出装置。
【請求項6】
前記受光素子が、前記第一の方向および前記第二の方向にそれぞれ延在する配線により構成されたダイノードを多段に含む光電子増倍管であって、
前記シンチレータのセルサイズが、前記配線の間隔の四分の一以下である請求項5に記載の放射線検出装置。
【請求項7】
前記受光素子が、フォトダイオードを二次元に配列したフォトダイオードアレイであって、
前記フォトダイオードの辺長が、それぞれ前記シンチレータのセルサイズの二倍以上である請求項5に記載の放射線検出装置。
【請求項8】
放射線との相互作用により発生する蛍光の波形が互いに異なる複数種類のシンチレータを二次元に配列してなるシンチレータアレイに入射した飛来放射線の消滅位置を特定する方法であって、
サンプル放射線の入射により前記シンチレータに生じる蛍光の波形に関する照合情報を、前記シンチレータの種類ごとにそれぞれ取得する予備取得工程と、
前記シンチレータアレイに入射した前記飛来放射線により生じる蛍光を受光して、前記蛍光の波形情報と、前記蛍光を受光した受光エリアとを取得する受光工程と、
前記波形情報と前記照合情報とを対比して、前記飛来放射線が消滅したシンチレータの前記種類を判定する判定工程と、
前記受光エリアに含まれる、前記種類のシンチレータの位置を特定する位置特定工程と、
を含む、飛来放射線の消滅位置特定方法。
【請求項9】
前記照合情報および前記波形情報として、前記蛍光の蛍光減衰時定数または立ち上がり時間を取得する請求項8に記載の飛来放射線の消滅位置特定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−169516(P2010−169516A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−11895(P2009−11895)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【出願人】(509023137)医療法人みやぎクリニック (4)
【Fターム(参考)】