説明

放射線治療システム

【課題】 患者や治療部位のみではなく、治療計画データを含む経時的な治療スケジュールを構築することで、放射線治療装置への治療計画データの送信みを自動化し、人為的なミスを軽減する放射線治療システムを提供する。
【解決手段】 患者の治療に関するスケジュール情報が、患者情報(患者名)、治療部位、治療計画データの階層で管理され、検者による確認が行われたスケジュール情報に対して治療開始の指示をすることにより、前記スケジュールに登録された治療計画データが放射線治療装置に送り込まれ、1照射が完了すると、自動的に次の治療計画データが放射線治療装置に送り込まれる。これを繰り返し、登録された治療計画データ全ての照射を完了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線治療システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、放射線治療は、治療対象外の正常組織が破壊されないように、対象部位の治療に必要な放射線量を複数の角度に分割し、数日間にわたって照射を繰り返すことで行われる。
【0003】
具体的には、複数の角度に分割された照射データ(架台角度、放射線量、絞り開度等)が、治療計画データとしてスケジュール処理装置に保存されており、治療実施時にこの治療計画データを検者が選択し、放射線治療装置に送信することで、照射パラメータの設定を行っていた。ここで例えば、ある患者Aについて、全モニターユニット(MU)値が1000MUと決定され、それを、治療計画として、上から25MU(治療計画a)及び下から25MU(治療計画b)を行うとした場合、1日に上下の照射で20日の治療期間が設定される。これが治療計画である。
【0004】
また、この照射パラメータの設定としては、治療日時,患者氏名,患者ID,治療部位ID等のデータが、図示しないHIS(Hospital Information System)などから取得され、前記スケジュール処理装置に予め登録し、このスケジューリングに従って治療計画データの選択と、放射線治療装置へのデータ送信を行っていた(特許文献1参照)。
【0005】
治療計画データの選択は、例えば、図5に示す従来の表示画面のように、現在実施している計画情報を特定するために、治療対象でないポート(治療計画)には、プロテクト機能を用いて、治療対象でないことを示していた。また、それが検者によって承認されているかどうかは、プラン(治療部位)のアイコン色で区別していた。さらに、照射実施済みか否かをポート(治療計画)アイコンのチェックマークで示し、本日照射済みを示すためにチェックの色を変化させていた。
【0006】
【特許文献1】特開平11−253565号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
放射線治療は、実際には20日間など、長期にわたって実施されることが多く、数日間の照射を行った後に対象部位の状態を確認し、治療計画を見直すことがある。この際、検者が治療計画データを別途作成し、前記照合記録手段に登録することがある。
【0008】
しかしながら、このような状態では、同一患者、部位の治療計画中に前回まで使用していた治療計画データと今後使用する治療計画データが混在してしまっていた。このように治療計画データが混在してしまっている状態では、検者が放射線治療装置に送信すべき治療計画データを選択ミスする可能性があった。
【0009】
また、スケジューリングに治療計画そのものが登録されていないため、事前に照射スケジュールとして、全てを登録しておくことができなかった。例えば、午前はポート1、午後はポート2などといった治療を行う際には、どのポートを治療するのかがわからなかった。さらには、ポートの計画パラメータについては、事前に確認できるが、どのポートを照射するかを確認し、事前承認することができなかった。加えて、治療対象でないことを示すプロテクト表示や配色したチェック表示など、状況を表示するためのマークが煩雑であった。
【0010】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、患者や治療部位のみではなく、治療計画データを含む経時的な治療スケジュールを構築することで、放射線治療装置への治療計画データの送信みを自動化し、人為的なミスを軽減する放射線治療システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための、請求項1記載の発明に係る放射線治療システムは、被検体の病変部の画像データを得る画像生成装置と、上記画像データをモニタに表示し、治療部位及び放射線照射条件を含む治療計画データを作成する治療計画装置と、前記治療計画データを記録する治療計画格納手段と、放射線治療を実施する放射線治療装置と、前記被検者の診療予約データ及び当該被検者の治療計画データに基づいて、1人以上の被検者について経時的な治療スケジュールデータを、作成するスケジュール生成手段と、前記治療スケジュールを検者が承認する承認手段と、前記承認された前記治療スケジュールデータに含まれる治療計画データを前記放射線治療装置に送信し、放射線照射条件を設定せしめる送信手段と、放射線治療装置から送信された設定結果を受けて、前記送信した治療計画データと照合する照合手段とを備えた照合記録装置と、を備え、前記放射線治療装置は、前記照合結果が正しい場合に、前記治療計画データに基づいて前記放射線治療を実施することを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するための、請求項2記載の発明に係る放射線治療システムは、請求項1に記載の放射線治療システムにおいて、前記送信手段は、前記検者が承認した複数の治療スケジュールデータに含まれる治療計画データを前記放射線治療装置に順次送信し、放射線照射条件を設定せしめることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、治療計画データを含んだ治療スケジュールを立案し、その立案された治療スケジュールに対して照射内容が正しいことを複数の検者によって承認する余地が与えられたので、その承認された治療スケジュールを放射線治療装置に順次送信し、実行することで、治療計画データの選択ミスといった人為的なミスを防ぎ、結果として誤照射などの医療事故を防ぐことができる。
【0014】
また、スケジューリングに治療計画そのものが登録されているため、事前に照射スケジュールとして、全てを登録しておく事ができる。例えば、午前はポート1、午後はポート2などといった治療も登録できる。さらに、ポートの計画パラメータ、どのポートを照射するかを確認し、事前承認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
ここで、本発明の特徴について簡単に述べると、本発明は、患者の治療に関する情報が、患者情報(患者名)、治療部位、治療計画データの階層で管理されていることが特徴である。そして、スケジュール機能では、治療部位をスケジュールに登録する。また、このスケジュールで照射する治療計画データのIDを同時に登録する。
【0016】
登録したスケジュール内容は、検者による確認を行い、治療計画データが正しく登録されていることを承認というマークにより示すことができる。
【0017】
放射線治療は、治療実施するスケジュールを選択後、治療開始の指示をすることにより開始する。そして、スケジュールに登録された治療計画データが放射線治療装置に送り込まれ、1照射が完了すると、自動的に次の治療計画データが放射線治療装置に送り込まれる。これを繰り返し、登録された治療計画データに基づく全ての放射線照射を完了する。
【0018】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る放射線治療システムの一実施形態における構成を示すブロック図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の放射線治療システムは、放射線治療に際し、画像取得から治療計画、位置合わせ(シミュレ−ション)までを一貫して行うための放射線治療計画用CTシステム1と、この放射線治療計画用CTシステム1で計画及びシミュレ−トされた治療計画データに従って、放射線治療を行う放射線治療装置2とを備えると共に、放射線治療装置2に内蔵されたコリメ−タ(図示せず)を自動制御するため、放射線治療計画用CTシステム1と放射線治療装置2との間を信号伝送線としての伝送ライン(同軸ケ−ブル)3により接続している。
【0020】
この伝送ライン(同軸ケ−ブル)3の途中には、上記コリメ−タの開度を検者が実際の放射線治療時に微調整可能な照合記録装置4が介挿されている。さらに、放射線治療計画用CTシステム1には、放射線の線量分布計算などの専門の演算処理を担う治療計画装置5及び治療計画データを出力するプリンタ6が伝送ライン7及び8を介して各々、接続されている。
【0021】
これらの各構成要素のうち、最初に、放射線治療計画用CTシステム1(以下、単に「CTシステム」という)から説明する。
【0022】
このCTシステム1は、通常の放射線CTスキャナを応用して構成したものであって、図1及び3に示す如く、ガントリ11、寝台12及び制御用のコンソ−ル13を備え、例えばR−R方式で駆動する装置である。寝台12の上面には、その長手方向(Z軸(体軸)方向)にスライド可能に支持された状態で天板12aが配設されており、その天板12aの上面に被検体Pが載せられる。天板12aは、電動モ−タ12bにより代表されるスライド機構の駆動によって、ガントリ11の診断用開口部OPに進退可能に挿入される。
【0023】
ガントリ11は、その開口部OPに挿入された被検体Pを挟んで対向する放射線管及び放射線検出器(共に図示せず)を内蔵している。前記放射線検出器で検出された透過放射線に相当する微弱な電流信号は、デジタル量に変換され、コンソ−ル13に送られる。
【0024】
コンソ−ル13は、このCTシステム全体を統括する主制御部のほか、この主制御部から指令を受けて作動する、寝台制御部、架台制御部を有し、内部バスを介して相互に接続されている。前記主制御部はまた、コンソ−ル外部の放射線制御器に接続され、その放射線制御器からの駆動信号に応じて作動する高電圧発生装置が備えられている。この高電圧発生装置で生成した高電圧が放射線管に供給され、放射線曝射が行われる。さらに、コンソ−ル13は、データ収集部の収集信号を受けて画像データを再構成する画像再構成部、画像データを記憶しておく画像メモリ、再構成画像を表示する表示器、及び検者が前記主制御部に指令を与えるための入力器を夫々備えている。各制御部及び各制御器はコンピュ−タを搭載しており、予めそのメモリに格納されたプログラムに基づいて動作する。
【0025】
照合記録装置4は、例えばパソコンで構成され、放射線治療の際、検者が放射線治療装置2のコリメ−タの開度データを再確認し、必要に応じてその開度データを微調整できるようになっている。また、照射線量と照射情報の設定、変更ができる。
【0026】
続いて放射線治療装置2を説明する。
【0027】
放射線治療装置2(以下、治療装置という)は、放射線を使って被検体の病巣を治療するもので、図1に示す如く、被検体Pを載せる治療台50と、被検体Pの体軸(Z)方向を回転軸として回転可能な架台51と、この架台51を回転可能に支持する架台支持体52とを備えている。
【0028】
治療台50は、その上側に天板50aを備えている。治療台50は内部の駆動機構により高さ調節可能であるから、これにより天板50aを上下動(Y軸方向)させることができる。また、治療台50は内部の別の駆動機構の駆動により、天板50aをその長手方向(Z方向)及び横方向(X方向)に所定範囲で各々移動させることができるほか、更に別の駆動機構を作動させることで、天板支柱回転及びアイソセンタ−を中心とした回転が可能になっている。これらの治療台50の動作は、被検体Pの天板50a上の位置決め及び放射線照射のときに必要であり、図示しないコンソ−ルからの制御信号により制御される。
【0029】
一方、架台51はクラクストロンからの加速電子を偏向してタ−ゲットに当て、そこから発生する放射線ビ−ムを被検体Pに照射する照射ヘッド51aを備えている。この照射ヘッド51aには、タ−ゲット、すなわち放射線源と照射口との間に、被検体Pの体表上の照射野を決めるコリメ−タ(図示せず)を設けてある。
【0030】
このコリメ−タは、本実施形態では、多分割原体絞りの構造を有したマルチ・リ−フ・コリメ−タ(Multi−Leaf Collimator)である。例えば、複数枚の板状のタングステン(W)製リ−フからなる2組のリ−フ群が放射線源からの放射線パスを挟んで立設状態で対向配置され、リ−フの各々がリ−ドスクリュ−を要部とする移動機構によって各リ−フの長さ方向(X方向)に独立して駆動可能になっている。この移動機構は、図示しないコンソ−ルから供給される制御信号に応じて駆動し、2つのリ−フ群で形成される照射開口の大きさ、形状(すなわち、体表上の照射野の大きさ、形状に相当)をリアルタイムに変更できるようになっている。
【0031】
更に、架台支持体52はその内蔵する駆動機構によって、架台51全体を時計回り、反時計回りの何れにも回転可能になっている。この駆動機構の動作も、図示しないコンソ−ルからの制御信号に基づいて行われる。
【0032】
そして、図2に示すように、照合記録装置4は、患者情報格納手段41と、治療計画格納手段42と、照射装置情報格納手段43と、治療室情報格納手段44と、治療スケジュール生成手段45と、生成結果表示手段46と、生成結果格納手段47とを有する。
【0033】
患者情報格納手段41は通信回線などを介して、HIS(図示せず)などから得られた患者毎の氏名、ID、治療可能日及び時間帯などの患者情報を格納する手段である。
【0034】
治療計画格納手段42は、治療計画装置5から送信された、各患者の治療部位毎に必要な治療内容を示す治療計画を格納する手段である。
【0035】
照射装置情報格納手段43は、放射線照射装置毎の照射可能な放射線種、エネルギー強度、稼働日、放射線種切り替え時間、エネルギー強度切り替え時間及びビームコース(1つの放射線照射装置から1つの治療室の1つの放射線照射口(=ポート)までの通り道)切り替え時間などの放射線照射装置情報を格納する手段である。
【0036】
治療室情報格納手段44は、治療室毎の設置ポート(各治療室には照射方向の異なるポートが複数設置される場合がある)、使用可能日、1回の治療毎の準備時間、1回の治療毎の後片付け時間及び1回の治療毎の患者入れ替え時間などの治療室情報を格納する手段である。
【0037】
治療スケジュール生成手段45は、患者情報格納手段1、治療計画格納手段42、照射装置情報格納手段43及び治療室情報格納手段44からデータを受け取り、患者の治療予定日を示す患者スケジュールと、放射線照射装置の放射線種やエネルギー強度、使用予定日及び各日の放射線種やエネルギー強度、ビームコースの切り替え順序を示す放射線照射装置運転スケジュールと、治療室の使用予定日、各日の治療室毎の患者の割り当て及び各日の患者の治療順序を示す治療室スケジュールと、の3種類の治療スケジュールを生成する手段である。
【0038】
生成結果表示手段46は、立案された治療スケジュールの表示を行い、治療スケジュールの対話的な修正を行う手段である。
【0039】
生成結果格納手段47は、新たに立案された治療スケジュールを格納し、前回の生成結果を治療スケジュール生成手段45と生成結果表示手段46とに転送を行う手段である。なお、その他に、外部から入力を行う入力手段等が含まれるが図示は省略されている。
【0040】
承認手段48は、実行するべき治療スケジュールを複数の検者によって承認するために、前記入力手段によって該当する治療スケジュールの承認を受け付け、それに該当する治療計画データを確定し、放射線治療装置における放射線照射条件を設定せしめる契機となる手段である。
【0041】
照合手段49は、前記放射線治療装置から送信された設定結果を受けて、前記送信した治療計画データと照合し、照合結果を放射線治療装置に送信する手段である。例えば、検者が承認した前記治療スケジュールに含まれる治療計画データどおりに放射線治療装置が設定されているかを照合する手段である。従って、この照合手段49による照合結果が正しいと判定しない限り。放射線治療は行われない。
【0042】
以上のような構成の放射線治療システムにより、放射線治療装置2の効率的な運用が行える治療スケジュールの自動立案が可能になり、立案者の負荷を大きく軽減できる。
【0043】
次に、本実施形態の動作について、図3に示すフローチャートを参照して説明する。
【0044】
本実施形態の放射線治療は、一般的に以下のような手順にて行われる。まず、画像撮影装置で撮影された画像を取得する(S1)。そして、その取得した画像を元に、治療計画装置において治療計画を立案する(S2)。この治療計画の立案は、例えば、前記画像に基づいて照射野(プラン)が特定され、前記画像の対象たる患者Aについて、全モニターユニット(MU)値が1000MUと決定された場合、それらを、上から25MU(治療計画a)及び下から25MU(治療計画b)を行い、1日に上下の照射で20日の治療期間を設定するといったように決定される。
【0045】
(治療計画情報の表示態様)
なお、患者の治療計画情報は図5に示すような階層で管理されている。この図5を例にすると、表示された計画情報で、治療部位aの治療計画データa及び治療計画データaは以前の照射に使用していたもので、治療計画データa及び治療計画データaが新しい計画情報である。したがって、患者Aの治療部位は、治療部位a及び治療部位bの2点であり、治療部位aに放射線を照射する際に参照する治療計画データは、治療計画データa及び治療計画データaである。また、治療部位bに放射線を照射する際に参照する治療計画データは、治療計画データb及び治療計画データbである。
【0046】
次に、治療計画装置にて立案された治療計画がスケジュール処理装置4の患者情報格納手段41に患者情報とリンクされて保存される(S3)。
【0047】
そして、患者情報格納手段41に記録された治療計画及び患者情報を元に、治療スケジュール生成手段45が総線量と1回の照射線量から照射日数を割り出し、全日程の治療スケジュールを立てる(S4)。
【0048】
(スケジュールの登録態様)
なお、スケジュール情報は図4のような階層で管理される。図4に示すように、予約1には、患者Aの治療部位Aを治療するためのスケジュールが登録される。このとき、治療部位Aの治療計画データも併せて登録される。そして、予約2についても同様に、治療計画データまでの予約を登録する。これらの予約は、治療実施までに、第三者(複数の検者)による確認を行い、図示しない入力手段を用いて予約の「承認マーク」を入力する。ここで、本発明でいうスケジュール情報は、図4に示す「予約」項目であり、この「予約」項目の下位層に患者と照射部位(プラン)と治療計画(ポート)が関連づけられている。
【0049】
その後、生成結果表示手段46が、治療スケジュール生成手段45によって生成された治療スケジュールの表示を行い、検者と治療スケジュールの対話的な修正を行う(S5)。そして、当日のスケジュールリストを生成結果表示手段46が表示する(S6)。
【0050】
次に、表示された当日のスケジュールリストのうち、入力手段を用いて実施するスケジュールを選択する(S7)。
【0051】
具体的には、図4に示すような表示画面が前記モニタに表示されたときに、スケジュールに登録された予約1を選択し、照射開始を指示すると、治療計画データaが放射線治療装置2に送信される(S8)。
【0052】
治療計画データが送信された放射線治療装置2では、まず患者の位置を照射位置に移動し、照合記録装置4から送られた治療計画データの値に基づく照射パラメータの設定(架台角度の移動など)が検者によって行われ、その設定結果が入力手段などによって照合記録装置4に送信される。
【0053】
放射線治療装置2から送信された設定結果を受信した照合記録装置4では、照合手段49によって、選択されたスケジュールに含まれる治療計画データと、前記設定結果とを照合する。この設定結果は照合記録装置4内に記録・保存されることが望ましい(S9)。
【0054】
ここで、照合手段49が出力した照合結果が正しい、すなわち、選択されたスケジュールに含まれる治療計画データと放射線治療装置2における設定とが同じであれば(S10−Yes)、当該治療計画データに基づき放射線治療装置2は被検体に対して放射線照射を行う(S11)。
【0055】
放射線の照射が完了した後は、他のスケジュールが選択された場合(S12−Yes)に、図3に示すように、治療計画データb3が送信された後に、自動的に治療計画データbが放射線治療装置2に送信される。このようにして、S7において選択されたスケジュールがすべて実行されるまで放射線治療装置2へ治療計画データが順次送信され、治療装置では、放射線の照射が順次行われて放射線治療が完了する。
【0056】
以上のような動作によって、図4に示すように、予約時に登録した計画のみが表示され、表示された治療計画を全て選択すれば、治療が正しく行われることとなる。
【0057】
また、予約状況は、計画した時点で確認ができるため、複数日に連続する治療時に、前日の予約状況が正しく登録できていることを、第三者が確認でき、承認マークを付けることが可能となる。さらに、承認マークの有無により、使用制限(照射の可/不可)などを掛けることが可能である。
【0058】
さらに、スケジューリングに治療計画そのものが登録されているため、事前に照射スケジュールとして、全てを登録しておく事ができる。例えば、午前はポート1、午後はポート2などといった治療も登録できる。さらに、ポートの計画パラメータ、どのポートを照射するかを確認し、事前承認することができる。
【0059】
上述の各実施形態は、本発明の一例であり、本発明は各実施の形態に限定されることはない。また、この他であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係る放射線治療システムの一実施形態における構成を示すブロック図。
【図2】本発明に係る放射線治療システムの一実施形態におけるスケジュール処理装置の構成を示すブロック図。
【図3】本発明に係る放射線治療システムの一実施形態において治療計画データを放射線治療装置に送り込む動作を示すフローチャート。
【図4】本発明に係る放射線治療システムの一実施形態における治療スケジュールの階層構造を示す図。
【図5】本発明に係る放射線治療システムの一実施形態における治療計画の階層構造を示す図。
【符号の説明】
【0061】
1 放射線治療計画用CTシステム(CTシステム)
2 放射線治療装置(治療装置)
3 伝送ライン
4 照合記録装置
5 治療計画装置
11 ガントリ
12 寝台
12a 天板
13 コンソール
41 患者情報格納手段
42 治療計画格納手段
43 照射装置情報格納手段
44 治療室情報格納手段
45 治療スケジュール生成手段
46 生成結果表示手段
47 生成結果格納手段
48 承認手段
49 照合手段
P 被検体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の病変部の画像データを得る画像生成装置と、
上記画像データをモニタに表示し、治療部位及び放射線照射条件を含む治療計画データを作成する治療計画装置と、
前記治療計画データを記録する治療計画格納手段と、
放射線治療を実施する放射線治療装置と、
前記被検者の診療予約データ及び当該被検者の治療計画データに基づいて、1人以上の被検者について経時的な治療スケジュールデータを、作成するスケジュール生成手段と、
前記治療スケジュールを検者が承認する承認手段と、
前記承認された前記治療スケジュールデータに含まれる治療計画データを前記放射線治療装置に送信し、放射線照射条件を設定せしめる送信手段と、
放射線治療装置から送信された設定結果を受けて、前記送信した治療計画データと照合する照合手段とを備えた照合記録装置と、を備え、
前記放射線治療装置は、
前記照合結果が正しい場合に、前記治療計画データに基づいて前記放射線治療を実施することを特徴とする放射線治療システム。
【請求項2】
前記送信手段は、前記検者が承認した複数の治療スケジュールデータに含まれる治療計画データを前記放射線治療装置に順次送信し、放射線照射条件を設定せしめることを特徴とする請求項1に記載の放射線治療システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−255203(P2006−255203A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−78124(P2005−78124)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】