放射線治療計画装置及び放射線治療計画の提供方法
【課題】
がん患部において、処方された線量より線量が高い領域/処方された線量より線量が低い領域や、危険臓器や正常組織において、予期せず線量が高くなってしまった領域(ホットスポット)/線量が低くなってしまった領域(コールドスポット)の有無を容易に特定することができる放射線治療計画装置を提供することを課題とする。
【解決手段】
被験者の体内線量分布を求める線量分布計算手段と、線量分布計算手段により求めた体内線量分布に基づいて、被験者の関心領域に関する線量体積ヒストグラムを作成する線量体積ヒストグラム作成手段と、線量体積ヒストグラム作成手段により作成された線量体積ヒストグラムと、表示すべき被験者の線量分布の線量値の範囲を指定するための線量値指定手段とを同時に表示する表示手段とを備えた放射線治療計画装置。
がん患部において、処方された線量より線量が高い領域/処方された線量より線量が低い領域や、危険臓器や正常組織において、予期せず線量が高くなってしまった領域(ホットスポット)/線量が低くなってしまった領域(コールドスポット)の有無を容易に特定することができる放射線治療計画装置を提供することを課題とする。
【解決手段】
被験者の体内線量分布を求める線量分布計算手段と、線量分布計算手段により求めた体内線量分布に基づいて、被験者の関心領域に関する線量体積ヒストグラムを作成する線量体積ヒストグラム作成手段と、線量体積ヒストグラム作成手段により作成された線量体積ヒストグラムと、表示すべき被験者の線量分布の線量値の範囲を指定するための線量値指定手段とを同時に表示する表示手段とを備えた放射線治療計画装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線を照射してがんを治療する放射線がん治療に用いられる放射線治療計画装置に係り、X線CT画像,PET画像,MRI画像等の各種診断画像をもとに、治療装置の設定や体内線量分布の計算を実行し、個々の患者に適した放射線治療方法を提供する放射線治療計画装置及び放射線治療計画の提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線をがんに照射して治療を行う放射線がん治療においては、患部周辺の正常組織や放射線感受性の高い危険臓器に極力線量を当てないようにしつつ、がん患部のみに線量を当てるように放射線を照射する必要がある。また、がん患部に対しては、医者が処方した線量で均一に照射する必要がある。
【0003】
このような放射線照射を実現するために、放射線がん治療では、治療に先立ち治療計画が実施される。治療計画とは個々の患者に最適な放射線照射方法を検討するプロセスである。医者は治療計画装置を使用して、患者のX線CT画像,MRI画像,PET画像等の各種診断画像をもとに、治療ビーム線質,ビーム照射門数,ビーム照射方向,照射野形状等の治療装置の条件を決定する。
【0004】
治療計画装置での作業手順を以下に説明する。治療計画装置では、まず事前に撮影された患者のX線CT画像の読み込みを行う。医者は、その画像上に、線量を与えたいがん患部と線量を与えたくない危険臓器とを入力する。患部部位への総線量,分割回数,危険臓器の許容線量を入力し、危険臓器を避けた適切な放射線照射方向を決め、照射野形状,患者固有具の計算を行う。次に、その条件下での体内線量分布を計算する。
【0005】
計算された線量分布は、線量体積ヒストグラム(Dose Volume Histogram (DVH))と呼ばれるヒストグラムにより評価される。線量体積ヒストグラム(DVH)は、がん患部や危険臓器といった関心領域内の各線量値の体積割合をヒストグラム表示したものである。がん患部に関するDVH曲線と危険臓器に関するDVH曲線を表示して、計算された線量分布の良し悪しを評価する。
【0006】
線量体積ヒストグラム(DVH)により、処方された線量でがん患部が一様に照射され、かつ、危険臓器の線量が許容値以下であることが確認されると、その治療計画は承認され、治療計画装置で決定された治療装置条件に基づき治療が開始される。線量体積ヒストグラム(DVH)の結果が満足できるものでない場合は、照射方向,照射野形状等の治療装置設定をやり直し、再度線量分布計算を実施し、満足な線量分布が得られるまでこの作業が繰り返される(例えば、特許文献1,2参照)。
【0007】
このように、放射線がん治療では、がん患部を処方された線量で一様に照射し、危険臓器の線量を減らすことが必要である。治療計画装置では、治療装置条件を設定した後、線量分布計算を行う。この時、体内は様々な密度の物質が存在するため、がん患部内の線量分布は処方された線量より高い線量の領域や、処方された線量より低い線量の領域ができる。また、多門照射を実施した場合などでは、がん患部の領域外の正常組織で線量分布が重なり合い線量の高い領域(ホットスポット)が発生したり、逆に、線量の低い領域(コールドスポット)が発生したりする。線量分布計算後、このような線量の高い領域や線量の低い領域が発生した際に、その位置を確かめて治療上問題がないかどうかを確認することが必要である。
【0008】
治療計画装置では、計算された体内線量分布は、一般に等線量線で表示される。これは、三次元で計算された線量分布の断面を取り出し、その平面内で線量が等しい点を線で結んで表示するものである。さらに、線量分布と体内の組織分布との位置関係を把握するために、通常X線CT画像を背景としてその上に等線量線を重ね合わせて表示する。治療計画装置で線量分布の計算結果を確認するためには、以上の等線量線を目で追いかけて、等線量線の位置,形状を確認する必要がある。例えば、線量値100%の領域が体内のどこにできているかを知るためには、線量値100%の線をたどっていき、分布の形状と体内での位置を確認する。
【0009】
線量分布の表示を制御するルックアップテーブル(LUT)の設定を変更することにより、がん患部内の線量の高い領域あるいは線量の低い領域を確認することができる。線量分布のルックアップテーブル(LUT)とは、ある線量値に対して表示する色の組を持ったテーブルである。例えば、相対線量で線量分布を表示する場合、線量100%の線は赤色の線、線量50%の線は緑色の線、線量10%の線は青色の線、といった線量値と表示色が組になったテーブルである。ルックアップテーブルLook Up Table(LUT) を設定することで、等線量線で表示された線量分布を変更することができる。
【0010】
がん患部はある程度は一様に照射されているため、線量値の分布の範囲が限定されている。従って、ルックアップテーブル(LUT)の設定を変更して表示する線量値の幅を狭める必要がある。例えば、線量0%から線量100%までを10段階で表示していたものを、線量80%から線量100%までを10段階で色付けして表示するように変更して、線量の高い領域や線量の低い領域を探す必要がある。
【0011】
しかし、このようにルックアップテーブル(LUT)の設定を変更する方法では、がん患部や危険臓器といった関心領域内の線量が存在する線量値の範囲が分からない。つまり、分布する線量値の最大値,最小値が分からないため、ルックアップテーブル(LUT)を変えては等線量線を確認するといった作業を、試行錯誤繰り返し行う必要がある。従って、治療計画装置のユーザーの手数がかかる。また、関心領域内で局所的に存在する高い線量の領域や低い線量の領域を見逃す可能性がある。
【0012】
【特許文献1】特開平10−309324号公報
【特許文献2】特開2001−29490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、がん患部において、処方された線量より線量が高い領域/処方された線量より線量が低い領域や、危険臓器や正常組織において、予期せず線量が高くなってしまった領域(ホットスポット)/線量が低くなってしまった領域(コールドスポット)の有無を容易に特定することができる放射線治療計画装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
被験者の体内線量分布を求める線量分布計算手段と、線量分布計算手段により求めた体内線量分布に基づいて、被験者の関心領域に関する線量体積ヒストグラムを作成する線量体積ヒストグラム作成手段と、線量体積ヒストグラム作成手段により作成された線量体積ヒストグラムと、表示すべき被験者の線量分布の線量値の範囲を指定するための線量値指定手段とを同時に表示する表示手段とを備えた放射線治療計画装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、線量体積ヒストグラム作成手段により作成された線量体積ヒストグラムと、表示すべき被験者の線量分布の線量値の範囲を指定するための線量値指定手段とを同時に表示するので、被験者の線量体積ヒストグラムを考慮して、ホットスポット等の確認のために表示すべき被験者の線量分布の線量値の範囲を容易に確認・指定することができ、適切な線量値の範囲で線量分布を表示することができる。従って、がん患部において、処方された線量より線量が高い領域/処方された線量より線量が低い領域や、危険臓器や正常組織において、予期せず線量が高くなってしまった領域(ホットスポット)/線量が低くなってしまった領域(コールドスポット)の有無を容易に特定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明における放射線治療計画装置は、線量体積ヒストグラム作成手段により作成された線量体積ヒストグラムと、表示すべき被験者の線量分布の線量値の範囲を指定するための線量値指定手段とを同時に表示する。または、線量体積ヒストグラム作成手段により作成された線量体積ヒストグラムの表示に、表示すべき前記被験者の線量分布の線量値の範囲を指定するための線量値指定手段を付加して、表示手段に表示する。以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0017】
本発明に係る放射線治療計画装置及び放射線治療計画の提供方法についての第1の実施例を図1−図14を用いて説明する。本実施例における放射線治療計画装置は、被験者の線量体積ヒストグラムにより必要とする線量値の範囲を容易に確認し、表示すべき被験者の線量分布の線量値の範囲を指定するため、被験者の体内線量分布を求める線量分布計算手段と、線量分布計算手段により求めた体内線量分布に基づいて被験者の関心領域に関する線量体積ヒストグラムを作成する線量体積ヒストグラム作成手段と、線量体積ヒストグラム作成手段により作成された線量体積ヒストグラムと、表示すべき被験者の線量分布の線量値の範囲を指定するための線量値指定手段とを同時に表示する表示手段とを備えるものである。
【0018】
放射線がん治療では、治療に先立ち治療計画を実施する必要がある。治療計画では、X線CT画像より体内の密度情報を取得する必要があり、患者のがん患部を含む領域のX線CT画像を撮影する。また、患部の特定を補助するために必要に応じて、MRI画像,
PET画像を撮影する。撮影された各種診断画像は画像サーバーに格納される。
【0019】
放射線治療計画装置の全体構成について、図1を用いて説明する。図1は本実施例に係る放射線治療計画装置の全体構成図を示している。放射線治療計画装置200は、入力装置201,処理装置202,表示装置203を備える。入力装置201はキーボードやマウス等、放射線治療計画装置200のユーザーが自由に操作できる入力手段である。処理装置202は、コンピュータであり、関心領域入力手段,線量分布計算手段,線量分布解析手段等の計算が必要な処理を行う。表示装置203は、処理装置202によって計算された結果を表示するものであり、ディスプレイやプリンター等である。放射線治療計画装置200は、X線CT画像を画像サーバー204より取得し、治療計画ファイル保存サーバー205に治療計画結果を出力する。
【0020】
次に、本実施例に係る放射線治療計画装置を用いた放射線治療計画の手順を図2を用いて説明する。図2は、本実施例に係る放射線治療計画の手順を示している。まず、放射線治療計画装置200は、撮影された各種診断画像を画像サーバー204より取得し、読み込みを行う(ステップS1)。次に治療計画装置に、X線CT画像を表示し、医学的な見地よりがん患部を特定し入力していく。部位によっては、MRI画像に対して患部を入力し、MRI画像とX線CT画像のマッピングを実施した後に、MRI画像に入力された患部をX線CT画像に転写する操作を行う。また、機能画像であるPET画像を利用して、患部の入力を半自動的に行うことも可能である。
【0021】
以上のように入力されたがん患部は、治療計画装置において関心領域として登録される。がん患部は、臨床的に決定される肉眼的腫瘍体積Gross Tumor Volume(GTV)、臨床標的体積Clinical Target Volume(CTV)、CTVに臓器の呼吸移動ならびに治療時の患者位置決め誤差を考慮してマージン付けが実施された計画標的体積Planning Target
Volume(PTV)等に分類され、治療計画装置に登録される。
【0022】
また、放射線の照射対象となるがん患部(GTV,CTV,PTV)に加えて、放射線を照射したくない危険臓器Organ At Risk(OAR) も必要に応じて入力・登録する(ステップS2)。図3は、頭部のX線CT画像101にがん患部102と危険臓器103を入力した図を示している。
【0023】
次に、登録されたがん患部及び危険臓器(関心領域)に対してそれぞれ線量設定を実施する。がん患部に対する処方線量,危険臓器に対する許容線量,分割回数,一回線量を設定する(ステップS3)。照射門数,照射方向を決定した後(ステップS4)、治療ビームエネルギー等のビーム線質,照射領域を限定する照射野形状、治療用具形状を計算する(ステップS5)。次に、ステップS1〜5で決定した治療条件下での患者体内の三次元線量分布を、X線CT画像により得られる密度情報をもとに計算する(ステップS6)。
【0024】
ステップS6により計算された体内線量分布は等線量線で表示される。図4は、図3に記載の頭部のX線CT画像101上にさらに線量分布104を等線量線で表示した図である。等線量線表示は、三次元で計算された線量分布の断面を取り出し、その平面内で線量が等しい点を線で結んで表示するものである。線量分布と体内の組織分布との位置関係を把握するために、通常X線CT画像上に等線量線を重ね合わせて表示する。また、線量分布は、隣接する等線量線の間の領域を塗り潰しで描画することもできる。塗り潰しで表示する場合は、背景となるX線CT画像が見えていた方が分かりやすいので、線量分布を半透明にするために、線量分布に対して透明度を設定する。
【0025】
線量分布表示は、ルックアップテーブルLook Up Table(LUT)により表示色や等線量線の間隔を変更することができる。図5に線量分布表示を制御するルックアップテーブル(LUT)を示す。ルックアップテーブル(LUT)は、各線量値に対して表示色が関連付けされたテーブルである。このルックアップテーブル(LUT)を使用して、各線量値に対する色を変える/表示する線量の領域を変える/線量値の間隔を変える等の操作により、線量分布表示を変更することができる。ルックアップテーブル(LUT)を制御しながら、X線CT画像の各断面像に対して、がん患部に所定の線量がかかっているか、また、危険臓器に許容値以上の線量がかかっていないかを確認する。
【0026】
計算された線量分布を定量的に評価するために、線量体積ヒストグラムDose Volume
Histogram(DVH) と呼ばれるヒストグラムを作成する(ステップS7)。図6に微分型の線量体積ヒストグラム(DVH)を示す。図6は、横軸に線量の値を示し、縦軸は体積を示している。微分型の線量体積ヒストグラムは、関心領域内で出現する各線量の体積を表示したものであり、治療計画装置により計算される。
【0027】
図7に積分型の線量体積ヒストグラム(DVH)を示す。これは、微分型の線量体積ヒストグラム(DVH)において、ある線量に注目し、その線量以上の体積の総和を計算して、関心領域全体の体積で割ったものである。したがって、横軸は線量の値を示し、縦軸は関心領域における体積割合を示している。図7に示すDVH曲線105は、ある線量X以上で照射される関心領域の体積割合がY%であることを示している。言い換えると、関心領域の全体積のうち、Y%の領域が線量X以上で照射されるということになる。関心領域内の最大線量はDVH曲線105が0%と交差する点の線量で与えられ、最小線量は
DVH曲線105が100%と交差する点の線量で与えられる。線量体積ヒストグラム
(DVH)は、一般に図6の微分型よりも図7の積分型が使用される。以後の説明では積分型の線量体積ヒストグラムを使用する。
【0028】
先にも説明したように、放射線によるがん治療では、患部を一様な線量で照射して周辺の正常組織には極力線量がかからないような照射が求められる。図8は、がん患部に対する理想的な線量体積ヒストグラム(DVH)を示している。つまり、がん患部が処方線量で均一に照射された場合、DVH曲線105は理想的には図8のようになる。図8のDVH曲線105では、がん患部領域内の線量は処方線量のみであるため、処方線量のところで急峻に立ち上がる。しかし、現実には、人間の体内は様々な密度の臓器が存在するため、がん患部を一様な線量で完全に均一に照射することは困難であり、DVH曲線105は図7のように処方線量Xを中心としてある幅を持って分布する。しかし、がん患部内の線量の一様度が向上すればするほど、DVH曲線105の形状は図8の階段型に近づいていくことになる。
【0029】
図9は、危険臓器(OAR)に対する線量体積ヒストグラム(DVH)曲線105を示している。許容線量以下の部分にDVH曲線105がおさまっていれば、危険臓器は許容線量以下で照射されていることになる。
【0030】
線量体積ヒストグラム(DVH)は、がん患部及び危険臓器等の各関心領域に対して計算することができ、がん患部に関するDVH曲線と危険臓器(OAR)に関するDVH曲線を作成して、線量分布の良し悪しを判断する。線量体積ヒストグラム(DVH)は、異なる計画を比較検討するのに使用することもできる。
【0031】
次に、がん患部において、処方された線量より線量が高い領域/処方された線量より線量が低い領域や、危険臓器や正常組織において、予期せず線量が高くなってしまった領域(ホットスポット)/線量が低くなってしまった領域(コールドスポット)の有無を確認する(ステップS8)。
【0032】
図10は、線量値指定手段106を線量体積ヒストグラム(DVH)に付加した図である。線量値指定手段106は、表示すべき線量分布の線量の範囲(下限値,上限値)を指定するためのものであり、線量体積ヒストグラム(DVH)と連動している。図10では、線量体積ヒストグラムの線量値を示している横軸に沿って、線量の下限値Xと上限値Yを指定することが可能となっている。つまり、線量体積ヒストグラムの横軸に沿って、線量の下限値Xと上限値Yの箇所にバーが描画されており、このバーはマウスやキーボード入力により左右に移動可能となっている。また、ダイアログでユーザーに下限線量値X及び上限線量値Yを入力させ、その線量値に対応する箇所にバーを描画する方法でも良い。図10では、線量値指定手段106により、線量値がX以上Y以下の線量領域(図中網掛けの領域)が選択されたことを示している。
【0033】
図11は、線量値指定手段106により指定線量領域を塗り潰しで表示した図である。図11では、線量値指定手段106により線量の下限値Xと上限値Yが指定された場合の線量分布表示を示しており、線量分布計算後にまず線量分布を表示し、その上に線量値がX以上Y以下である指定線量領域107が塗り潰しで表示される。図10で線量値指定手段106をマウスで左右に動かして下限値Xと上限値Yを変化させることにより、図11で塗り潰し表示された指定線量領域107の位置,形状が連動して変化する。
【0034】
尚、図11の指定線量領域107は、塗り潰しの色を変更することが可能であり、治療計画装置のユーザーが、好みに応じた表示色を選択することができる。また、指定線量領域107に透明度を入れて、塗り潰し色を半透明とすることもできる。これにより背景として存在するX線CT画像及び線量分布を表わす等線量線を識別することが可能となる。
【0035】
図12は、ステップS8においてホットスポット等を確認する際の表示画面例を示している。表示画面108では、図10に記載の線量値指定手段106を線量体積ヒストグラム(DVH)曲線105に付加した表示画面109と、図11に記載の線量値指定手段
106により指定された線量領域を表示した表示画面110とが表示される。線量値指定手段106の指定により、表示画面110の線量分布として表示された指定線量領域107の位置,形状が連動して変化する。表示画面110に表示される指定線量領域107の位置,形状を確認し、ホットスポット等の有無を特定する。線量値指定手段106が線量体積ヒストグラム(DVH)と同時に重ね合わせて表示されるので(換言すれば、線量体積ヒストグラム作成手段により作成された線量体積ヒストグラムの表示に、表示すべき前記被験者の線量分布の線量値の範囲を指定するための線量値指定手段を付加して、表示手段に表示されるので)、被験者の線量体積ヒストグラムを考慮して、ホットスポット等の確認のために表示すべき被験者の線量分布の線量値の範囲を容易に確認・指定することができる。
【0036】
本実施例においては、線量値指定手段と連動する表示として二次元の線量分布表示について説明したが、二次元と同様の表示が三次元でも可能である。図13に三次元線量分布表示画面を示す。図13では、肺の中のがん患部102の表面形状が三次元で表示されており、線量分布は三次元等線量面112で表示されている。ここで、三次元等線量面112とは、治療計画装置で計算された三次元の体内線量分布において、線量が等しい点を結び、等線量の面を作成するものである。図13では、二方向からの放射線照射に伴う等線量面が表示されている。等線量面表示では内部が見えないため、透明度を指定して半透明にすることによりさらに内部に存在する等線量面を確認することができる。
【0037】
図14に、線量値指定手段106により表示線量領域を指定した場合の三次元表示を示す。図13に示した三次元線量分布の等線量面表示に加えて、三次元での指定線量領域
113が表示される。指定線量領域113は、図10に示す線量値指定手段106で指定される線量値の範囲にある領域表面を三次元で表示したものである。線量値指定手段106で指定する線量領域を変化させると、それと連動して指定線量領域113の位置,形状が変化する。指定線量領域113により、治療計画装置のユーザーは指定線量領域の三次元的な形状,位置関係を確認することができる。
【0038】
ステップS8において、DVH曲線が所定の条件を満たさない場合は、照射門数,照射方向,照射野形状等を変更して、DVH曲線が所定の条件を満たすまでステップS4〜
S8を繰り返す。DVH曲線が所定の条件を満たしたら、治療計画を承認する(ステップ
S9)。
【0039】
尚、本実施例においては、線量体積ヒストグラム(DVH)を用いて指定された関心領域内の指定線量領域を表示するが、関心領域として体内全域を選択することにより、体内全域での指定線量領域の表示を行うことも可能である。関心領域として体内全域を選択することにより、体内での線量の高い領域と低い領域を表示することができ、治療計画装置のユーザーが線量分布を確認する作業を効率化することが可能となる。
【0040】
本実施例においては、線量体積ヒストグラム作成手段により作成された線量体積ヒストグラムと、表示すべき被験者の線量分布の線量値の範囲を指定するための線量値指定手段とを同時に表示するので(換言すれば、線量体積ヒストグラム作成手段により作成された線量体積ヒストグラムの表示に、表示すべき前記被験者の線量分布の線量値の範囲を指定するための線量値指定手段を付加して、表示手段に表示するので)、被験者の線量体積ヒストグラムを考慮して、ホットスポット等の確認のために表示すべき被験者の線量分布の線量値の範囲を容易に確認・指定することができ、適切な線量値の範囲で線量分布を表示することができる。従って、がん患部において、処方された線量より線量が高い領域/処方された線量より線量が低い領域や、危険臓器や正常組織において、予期せず線量が高くなってしまった領域(ホットスポット)/線量が低くなってしまった領域(コールドスポット)の有無を容易に特定することが可能となる。
【0041】
つまり、線量値指定手段106により、被験者の線量体積ヒストグラムを考慮して指定された線量値(上限値X,下限値Y)に連動して、線量分布表示で色付けされて表示される領域が変化するので、治療計画装置のユーザーは関心領域内の指定線量領域の位置,形状を知ることができる。従って、線量値指定手段106と連動する線量分布表示により、がん患部の場合は、処方された線量より高い線量の領域又は処方された線量より低い線量の領域を容易に確認することが可能となる。また、危険臓器(OAR)の場合は、許容線量より線量の高い領域又は多門照射を実施した際に予期せず発生する線量の高い領域(ホットスポット)を容易に確認することが可能となる。がん患部の場合と同様に、危険臓器(OAR)内部の線量が高い領域と低い領域を表示することができる。医者が治療計画装置を使用して治療方法を検討する際に、関心領域内の線量が高い領域や線量が低い領域を容易に特定できるので、医者がその線量分布の良し悪しを判断するのを補助することができる。その結果、治療計画装置のユーザーである医者の作業効率向上,作業負担軽減、さらには、より良い治療計画の立案につながる。
【実施例2】
【0042】
本発明に係る放射線治療計画装置の第2の実施例を図15及び図16を用いて説明する。本実施例は、第1の実施例における線量値指定手段106を高線量領域指定手段108としたものであり、高線量領域指定手段108により指定された線量の下限値X以上の線量領域を線量分布表示するものである。尚、その他の構成は実施例1と同様であるため、実施例1と同様の部分についての詳細な説明は省略する。
【0043】
図15は、高線量領域指定手段108を線量体積ヒストグラム(DVH)に付加した図である。高線量領域指定手段108は、表示する線量の下限値を指定するためのもので、図15では線量の下限値Xの箇所にバーが描画されている。このバーがマウスやキーボード入力等により左右に移動可能なのは、実施例1の線量値指定手段106と同様である。図15では、高線量領域指定手段108により、線量値がX以上の線量領域(図中網掛けの領域)が選択されたことを示している。
【0044】
図16は、高線量領域指定手段108により線量の下限値Xが指定された場合の線量分布表示を示している。図16は、線量分布計算後に、まず線量分布を表示し、その線量分布上に線量値がX以上である高線量領域109が塗り潰しで表示されている。高線量領域指定手段108をマウスで左右に動かして下限値Xを変化させることにより、図16で塗り潰し表示された高線量領域109の位置,形状が連動して変化する。
【0045】
本実施例においても、実施例1と同様の効果を得ることができる。また、高線量領域指定手段108により表示すべき線量の下限値を指定するのみで下限値以上である高線量領域109が表示されるので、より容易に、処方された線量より高い線量の領域やホットスポット等を特定することができる。
【実施例3】
【0046】
本発明に係る放射線治療計画装置の第3の実施例を図17及び図18を用いて説明する。本実施例は、第1の実施例における線量値指定手段106を低線量領域指定手段110としたものであり、低線量領域指定手段110により指定された線量の上限値Y以上の線量領域を線量分布表示するものである。尚、その他の構成は実施例1と同様であるため、実施例1と同様の部分についての詳細な説明は省略する。
【0047】
図17は、低線量領域指定手段110を線量体積ヒストグラム(DVH)に付加した図である。低線量領域指定手段110は、表示する線量の上限値を指定するためのもので、図17では線量の上限値Yの箇所にバーが描画されている。このバーがマウスやキーボード入力等により左右に移動可能なのは、実施例1の線量値指定手段106と同様である。図17では、低線量領域指定手段110により、線量値がY以下の線量領域(図中網掛けの領域)が選択されたことを示している。
【0048】
図18は、低線量領域指定手段110により線量の上限値Yが指定された場合の線量分布表示を示している。図18は、線量分布計算後に、まず線量分布を表示し、その線量分布上に線量値がY以下である低線量領域111が塗り潰しで表示されている。低線量領域指定手段110をマウスで左右に動かして上限値Yを変化させることにより、図18で塗り潰し表示された低線量領域111の位置,形状が連動して変化する。
【0049】
本実施例においても、実施例1と同様の効果を得ることができる。また、低線量領域指定手段110により表示すべき線量の上限値を指定するのみで上限値以下である低線量領域111が表示されるので、より容易に、処方された線量より低い線量の領域やコールドスポット等を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】第1の実施例に係る放射線治療計画装置の全体構成図。
【図2】本発明に係る放射線治療計画の手順を表す図。
【図3】頭部のX線CT画像上にがん患部と危険臓器を入力した図。
【図4】頭部のX線CT画像上に線量分布を等線量線で表示した図。
【図5】線量分布表示を制御するルックアップテーブル(LUT)を示す図。
【図6】微分型線量体積ヒストグラム(DVH)を示す図。
【図7】積分型線量体積ヒストグラム(DVH)を示す図。
【図8】がん患部に対する理想的な線量体積ヒストグラム(DVH)を示す図。
【図9】危険臓器に対する線量体積ヒストグラム(DVH)を示す図。
【図10】線量領域指定手段を線量体積ヒストグラム(DVH)に付加した図。
【図11】線量領域指定手段により指定線量領域を塗り潰しで表示した図。
【図12】第1の実施例に係る放射線治療計画装置の表示画面例を示す図。
【図13】線量分布を三次元等線量面で表示した図。
【図14】指定線量領域を等線量面で表示した図。
【図15】高線量領域指定手段を線量体積ヒストグラム(DVH)に付加した図。
【図16】高線量領域指定手段により高線量領域を表示した図。
【図17】低線量領域指定手段を線量体積ヒストグラム(DVH)に付加した図。
【図18】低線量領域指定手段により低線量領域を表示した図。
【符号の説明】
【0051】
101 X線CT画像
102 がん患部
103 危険臓器
104 線量分布
105 DVH曲線
106 線量値指定手段
107,113 指定線量領域
112 三次元等線量面
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線を照射してがんを治療する放射線がん治療に用いられる放射線治療計画装置に係り、X線CT画像,PET画像,MRI画像等の各種診断画像をもとに、治療装置の設定や体内線量分布の計算を実行し、個々の患者に適した放射線治療方法を提供する放射線治療計画装置及び放射線治療計画の提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線をがんに照射して治療を行う放射線がん治療においては、患部周辺の正常組織や放射線感受性の高い危険臓器に極力線量を当てないようにしつつ、がん患部のみに線量を当てるように放射線を照射する必要がある。また、がん患部に対しては、医者が処方した線量で均一に照射する必要がある。
【0003】
このような放射線照射を実現するために、放射線がん治療では、治療に先立ち治療計画が実施される。治療計画とは個々の患者に最適な放射線照射方法を検討するプロセスである。医者は治療計画装置を使用して、患者のX線CT画像,MRI画像,PET画像等の各種診断画像をもとに、治療ビーム線質,ビーム照射門数,ビーム照射方向,照射野形状等の治療装置の条件を決定する。
【0004】
治療計画装置での作業手順を以下に説明する。治療計画装置では、まず事前に撮影された患者のX線CT画像の読み込みを行う。医者は、その画像上に、線量を与えたいがん患部と線量を与えたくない危険臓器とを入力する。患部部位への総線量,分割回数,危険臓器の許容線量を入力し、危険臓器を避けた適切な放射線照射方向を決め、照射野形状,患者固有具の計算を行う。次に、その条件下での体内線量分布を計算する。
【0005】
計算された線量分布は、線量体積ヒストグラム(Dose Volume Histogram (DVH))と呼ばれるヒストグラムにより評価される。線量体積ヒストグラム(DVH)は、がん患部や危険臓器といった関心領域内の各線量値の体積割合をヒストグラム表示したものである。がん患部に関するDVH曲線と危険臓器に関するDVH曲線を表示して、計算された線量分布の良し悪しを評価する。
【0006】
線量体積ヒストグラム(DVH)により、処方された線量でがん患部が一様に照射され、かつ、危険臓器の線量が許容値以下であることが確認されると、その治療計画は承認され、治療計画装置で決定された治療装置条件に基づき治療が開始される。線量体積ヒストグラム(DVH)の結果が満足できるものでない場合は、照射方向,照射野形状等の治療装置設定をやり直し、再度線量分布計算を実施し、満足な線量分布が得られるまでこの作業が繰り返される(例えば、特許文献1,2参照)。
【0007】
このように、放射線がん治療では、がん患部を処方された線量で一様に照射し、危険臓器の線量を減らすことが必要である。治療計画装置では、治療装置条件を設定した後、線量分布計算を行う。この時、体内は様々な密度の物質が存在するため、がん患部内の線量分布は処方された線量より高い線量の領域や、処方された線量より低い線量の領域ができる。また、多門照射を実施した場合などでは、がん患部の領域外の正常組織で線量分布が重なり合い線量の高い領域(ホットスポット)が発生したり、逆に、線量の低い領域(コールドスポット)が発生したりする。線量分布計算後、このような線量の高い領域や線量の低い領域が発生した際に、その位置を確かめて治療上問題がないかどうかを確認することが必要である。
【0008】
治療計画装置では、計算された体内線量分布は、一般に等線量線で表示される。これは、三次元で計算された線量分布の断面を取り出し、その平面内で線量が等しい点を線で結んで表示するものである。さらに、線量分布と体内の組織分布との位置関係を把握するために、通常X線CT画像を背景としてその上に等線量線を重ね合わせて表示する。治療計画装置で線量分布の計算結果を確認するためには、以上の等線量線を目で追いかけて、等線量線の位置,形状を確認する必要がある。例えば、線量値100%の領域が体内のどこにできているかを知るためには、線量値100%の線をたどっていき、分布の形状と体内での位置を確認する。
【0009】
線量分布の表示を制御するルックアップテーブル(LUT)の設定を変更することにより、がん患部内の線量の高い領域あるいは線量の低い領域を確認することができる。線量分布のルックアップテーブル(LUT)とは、ある線量値に対して表示する色の組を持ったテーブルである。例えば、相対線量で線量分布を表示する場合、線量100%の線は赤色の線、線量50%の線は緑色の線、線量10%の線は青色の線、といった線量値と表示色が組になったテーブルである。ルックアップテーブルLook Up Table(LUT) を設定することで、等線量線で表示された線量分布を変更することができる。
【0010】
がん患部はある程度は一様に照射されているため、線量値の分布の範囲が限定されている。従って、ルックアップテーブル(LUT)の設定を変更して表示する線量値の幅を狭める必要がある。例えば、線量0%から線量100%までを10段階で表示していたものを、線量80%から線量100%までを10段階で色付けして表示するように変更して、線量の高い領域や線量の低い領域を探す必要がある。
【0011】
しかし、このようにルックアップテーブル(LUT)の設定を変更する方法では、がん患部や危険臓器といった関心領域内の線量が存在する線量値の範囲が分からない。つまり、分布する線量値の最大値,最小値が分からないため、ルックアップテーブル(LUT)を変えては等線量線を確認するといった作業を、試行錯誤繰り返し行う必要がある。従って、治療計画装置のユーザーの手数がかかる。また、関心領域内で局所的に存在する高い線量の領域や低い線量の領域を見逃す可能性がある。
【0012】
【特許文献1】特開平10−309324号公報
【特許文献2】特開2001−29490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、がん患部において、処方された線量より線量が高い領域/処方された線量より線量が低い領域や、危険臓器や正常組織において、予期せず線量が高くなってしまった領域(ホットスポット)/線量が低くなってしまった領域(コールドスポット)の有無を容易に特定することができる放射線治療計画装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
被験者の体内線量分布を求める線量分布計算手段と、線量分布計算手段により求めた体内線量分布に基づいて、被験者の関心領域に関する線量体積ヒストグラムを作成する線量体積ヒストグラム作成手段と、線量体積ヒストグラム作成手段により作成された線量体積ヒストグラムと、表示すべき被験者の線量分布の線量値の範囲を指定するための線量値指定手段とを同時に表示する表示手段とを備えた放射線治療計画装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、線量体積ヒストグラム作成手段により作成された線量体積ヒストグラムと、表示すべき被験者の線量分布の線量値の範囲を指定するための線量値指定手段とを同時に表示するので、被験者の線量体積ヒストグラムを考慮して、ホットスポット等の確認のために表示すべき被験者の線量分布の線量値の範囲を容易に確認・指定することができ、適切な線量値の範囲で線量分布を表示することができる。従って、がん患部において、処方された線量より線量が高い領域/処方された線量より線量が低い領域や、危険臓器や正常組織において、予期せず線量が高くなってしまった領域(ホットスポット)/線量が低くなってしまった領域(コールドスポット)の有無を容易に特定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明における放射線治療計画装置は、線量体積ヒストグラム作成手段により作成された線量体積ヒストグラムと、表示すべき被験者の線量分布の線量値の範囲を指定するための線量値指定手段とを同時に表示する。または、線量体積ヒストグラム作成手段により作成された線量体積ヒストグラムの表示に、表示すべき前記被験者の線量分布の線量値の範囲を指定するための線量値指定手段を付加して、表示手段に表示する。以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0017】
本発明に係る放射線治療計画装置及び放射線治療計画の提供方法についての第1の実施例を図1−図14を用いて説明する。本実施例における放射線治療計画装置は、被験者の線量体積ヒストグラムにより必要とする線量値の範囲を容易に確認し、表示すべき被験者の線量分布の線量値の範囲を指定するため、被験者の体内線量分布を求める線量分布計算手段と、線量分布計算手段により求めた体内線量分布に基づいて被験者の関心領域に関する線量体積ヒストグラムを作成する線量体積ヒストグラム作成手段と、線量体積ヒストグラム作成手段により作成された線量体積ヒストグラムと、表示すべき被験者の線量分布の線量値の範囲を指定するための線量値指定手段とを同時に表示する表示手段とを備えるものである。
【0018】
放射線がん治療では、治療に先立ち治療計画を実施する必要がある。治療計画では、X線CT画像より体内の密度情報を取得する必要があり、患者のがん患部を含む領域のX線CT画像を撮影する。また、患部の特定を補助するために必要に応じて、MRI画像,
PET画像を撮影する。撮影された各種診断画像は画像サーバーに格納される。
【0019】
放射線治療計画装置の全体構成について、図1を用いて説明する。図1は本実施例に係る放射線治療計画装置の全体構成図を示している。放射線治療計画装置200は、入力装置201,処理装置202,表示装置203を備える。入力装置201はキーボードやマウス等、放射線治療計画装置200のユーザーが自由に操作できる入力手段である。処理装置202は、コンピュータであり、関心領域入力手段,線量分布計算手段,線量分布解析手段等の計算が必要な処理を行う。表示装置203は、処理装置202によって計算された結果を表示するものであり、ディスプレイやプリンター等である。放射線治療計画装置200は、X線CT画像を画像サーバー204より取得し、治療計画ファイル保存サーバー205に治療計画結果を出力する。
【0020】
次に、本実施例に係る放射線治療計画装置を用いた放射線治療計画の手順を図2を用いて説明する。図2は、本実施例に係る放射線治療計画の手順を示している。まず、放射線治療計画装置200は、撮影された各種診断画像を画像サーバー204より取得し、読み込みを行う(ステップS1)。次に治療計画装置に、X線CT画像を表示し、医学的な見地よりがん患部を特定し入力していく。部位によっては、MRI画像に対して患部を入力し、MRI画像とX線CT画像のマッピングを実施した後に、MRI画像に入力された患部をX線CT画像に転写する操作を行う。また、機能画像であるPET画像を利用して、患部の入力を半自動的に行うことも可能である。
【0021】
以上のように入力されたがん患部は、治療計画装置において関心領域として登録される。がん患部は、臨床的に決定される肉眼的腫瘍体積Gross Tumor Volume(GTV)、臨床標的体積Clinical Target Volume(CTV)、CTVに臓器の呼吸移動ならびに治療時の患者位置決め誤差を考慮してマージン付けが実施された計画標的体積Planning Target
Volume(PTV)等に分類され、治療計画装置に登録される。
【0022】
また、放射線の照射対象となるがん患部(GTV,CTV,PTV)に加えて、放射線を照射したくない危険臓器Organ At Risk(OAR) も必要に応じて入力・登録する(ステップS2)。図3は、頭部のX線CT画像101にがん患部102と危険臓器103を入力した図を示している。
【0023】
次に、登録されたがん患部及び危険臓器(関心領域)に対してそれぞれ線量設定を実施する。がん患部に対する処方線量,危険臓器に対する許容線量,分割回数,一回線量を設定する(ステップS3)。照射門数,照射方向を決定した後(ステップS4)、治療ビームエネルギー等のビーム線質,照射領域を限定する照射野形状、治療用具形状を計算する(ステップS5)。次に、ステップS1〜5で決定した治療条件下での患者体内の三次元線量分布を、X線CT画像により得られる密度情報をもとに計算する(ステップS6)。
【0024】
ステップS6により計算された体内線量分布は等線量線で表示される。図4は、図3に記載の頭部のX線CT画像101上にさらに線量分布104を等線量線で表示した図である。等線量線表示は、三次元で計算された線量分布の断面を取り出し、その平面内で線量が等しい点を線で結んで表示するものである。線量分布と体内の組織分布との位置関係を把握するために、通常X線CT画像上に等線量線を重ね合わせて表示する。また、線量分布は、隣接する等線量線の間の領域を塗り潰しで描画することもできる。塗り潰しで表示する場合は、背景となるX線CT画像が見えていた方が分かりやすいので、線量分布を半透明にするために、線量分布に対して透明度を設定する。
【0025】
線量分布表示は、ルックアップテーブルLook Up Table(LUT)により表示色や等線量線の間隔を変更することができる。図5に線量分布表示を制御するルックアップテーブル(LUT)を示す。ルックアップテーブル(LUT)は、各線量値に対して表示色が関連付けされたテーブルである。このルックアップテーブル(LUT)を使用して、各線量値に対する色を変える/表示する線量の領域を変える/線量値の間隔を変える等の操作により、線量分布表示を変更することができる。ルックアップテーブル(LUT)を制御しながら、X線CT画像の各断面像に対して、がん患部に所定の線量がかかっているか、また、危険臓器に許容値以上の線量がかかっていないかを確認する。
【0026】
計算された線量分布を定量的に評価するために、線量体積ヒストグラムDose Volume
Histogram(DVH) と呼ばれるヒストグラムを作成する(ステップS7)。図6に微分型の線量体積ヒストグラム(DVH)を示す。図6は、横軸に線量の値を示し、縦軸は体積を示している。微分型の線量体積ヒストグラムは、関心領域内で出現する各線量の体積を表示したものであり、治療計画装置により計算される。
【0027】
図7に積分型の線量体積ヒストグラム(DVH)を示す。これは、微分型の線量体積ヒストグラム(DVH)において、ある線量に注目し、その線量以上の体積の総和を計算して、関心領域全体の体積で割ったものである。したがって、横軸は線量の値を示し、縦軸は関心領域における体積割合を示している。図7に示すDVH曲線105は、ある線量X以上で照射される関心領域の体積割合がY%であることを示している。言い換えると、関心領域の全体積のうち、Y%の領域が線量X以上で照射されるということになる。関心領域内の最大線量はDVH曲線105が0%と交差する点の線量で与えられ、最小線量は
DVH曲線105が100%と交差する点の線量で与えられる。線量体積ヒストグラム
(DVH)は、一般に図6の微分型よりも図7の積分型が使用される。以後の説明では積分型の線量体積ヒストグラムを使用する。
【0028】
先にも説明したように、放射線によるがん治療では、患部を一様な線量で照射して周辺の正常組織には極力線量がかからないような照射が求められる。図8は、がん患部に対する理想的な線量体積ヒストグラム(DVH)を示している。つまり、がん患部が処方線量で均一に照射された場合、DVH曲線105は理想的には図8のようになる。図8のDVH曲線105では、がん患部領域内の線量は処方線量のみであるため、処方線量のところで急峻に立ち上がる。しかし、現実には、人間の体内は様々な密度の臓器が存在するため、がん患部を一様な線量で完全に均一に照射することは困難であり、DVH曲線105は図7のように処方線量Xを中心としてある幅を持って分布する。しかし、がん患部内の線量の一様度が向上すればするほど、DVH曲線105の形状は図8の階段型に近づいていくことになる。
【0029】
図9は、危険臓器(OAR)に対する線量体積ヒストグラム(DVH)曲線105を示している。許容線量以下の部分にDVH曲線105がおさまっていれば、危険臓器は許容線量以下で照射されていることになる。
【0030】
線量体積ヒストグラム(DVH)は、がん患部及び危険臓器等の各関心領域に対して計算することができ、がん患部に関するDVH曲線と危険臓器(OAR)に関するDVH曲線を作成して、線量分布の良し悪しを判断する。線量体積ヒストグラム(DVH)は、異なる計画を比較検討するのに使用することもできる。
【0031】
次に、がん患部において、処方された線量より線量が高い領域/処方された線量より線量が低い領域や、危険臓器や正常組織において、予期せず線量が高くなってしまった領域(ホットスポット)/線量が低くなってしまった領域(コールドスポット)の有無を確認する(ステップS8)。
【0032】
図10は、線量値指定手段106を線量体積ヒストグラム(DVH)に付加した図である。線量値指定手段106は、表示すべき線量分布の線量の範囲(下限値,上限値)を指定するためのものであり、線量体積ヒストグラム(DVH)と連動している。図10では、線量体積ヒストグラムの線量値を示している横軸に沿って、線量の下限値Xと上限値Yを指定することが可能となっている。つまり、線量体積ヒストグラムの横軸に沿って、線量の下限値Xと上限値Yの箇所にバーが描画されており、このバーはマウスやキーボード入力により左右に移動可能となっている。また、ダイアログでユーザーに下限線量値X及び上限線量値Yを入力させ、その線量値に対応する箇所にバーを描画する方法でも良い。図10では、線量値指定手段106により、線量値がX以上Y以下の線量領域(図中網掛けの領域)が選択されたことを示している。
【0033】
図11は、線量値指定手段106により指定線量領域を塗り潰しで表示した図である。図11では、線量値指定手段106により線量の下限値Xと上限値Yが指定された場合の線量分布表示を示しており、線量分布計算後にまず線量分布を表示し、その上に線量値がX以上Y以下である指定線量領域107が塗り潰しで表示される。図10で線量値指定手段106をマウスで左右に動かして下限値Xと上限値Yを変化させることにより、図11で塗り潰し表示された指定線量領域107の位置,形状が連動して変化する。
【0034】
尚、図11の指定線量領域107は、塗り潰しの色を変更することが可能であり、治療計画装置のユーザーが、好みに応じた表示色を選択することができる。また、指定線量領域107に透明度を入れて、塗り潰し色を半透明とすることもできる。これにより背景として存在するX線CT画像及び線量分布を表わす等線量線を識別することが可能となる。
【0035】
図12は、ステップS8においてホットスポット等を確認する際の表示画面例を示している。表示画面108では、図10に記載の線量値指定手段106を線量体積ヒストグラム(DVH)曲線105に付加した表示画面109と、図11に記載の線量値指定手段
106により指定された線量領域を表示した表示画面110とが表示される。線量値指定手段106の指定により、表示画面110の線量分布として表示された指定線量領域107の位置,形状が連動して変化する。表示画面110に表示される指定線量領域107の位置,形状を確認し、ホットスポット等の有無を特定する。線量値指定手段106が線量体積ヒストグラム(DVH)と同時に重ね合わせて表示されるので(換言すれば、線量体積ヒストグラム作成手段により作成された線量体積ヒストグラムの表示に、表示すべき前記被験者の線量分布の線量値の範囲を指定するための線量値指定手段を付加して、表示手段に表示されるので)、被験者の線量体積ヒストグラムを考慮して、ホットスポット等の確認のために表示すべき被験者の線量分布の線量値の範囲を容易に確認・指定することができる。
【0036】
本実施例においては、線量値指定手段と連動する表示として二次元の線量分布表示について説明したが、二次元と同様の表示が三次元でも可能である。図13に三次元線量分布表示画面を示す。図13では、肺の中のがん患部102の表面形状が三次元で表示されており、線量分布は三次元等線量面112で表示されている。ここで、三次元等線量面112とは、治療計画装置で計算された三次元の体内線量分布において、線量が等しい点を結び、等線量の面を作成するものである。図13では、二方向からの放射線照射に伴う等線量面が表示されている。等線量面表示では内部が見えないため、透明度を指定して半透明にすることによりさらに内部に存在する等線量面を確認することができる。
【0037】
図14に、線量値指定手段106により表示線量領域を指定した場合の三次元表示を示す。図13に示した三次元線量分布の等線量面表示に加えて、三次元での指定線量領域
113が表示される。指定線量領域113は、図10に示す線量値指定手段106で指定される線量値の範囲にある領域表面を三次元で表示したものである。線量値指定手段106で指定する線量領域を変化させると、それと連動して指定線量領域113の位置,形状が変化する。指定線量領域113により、治療計画装置のユーザーは指定線量領域の三次元的な形状,位置関係を確認することができる。
【0038】
ステップS8において、DVH曲線が所定の条件を満たさない場合は、照射門数,照射方向,照射野形状等を変更して、DVH曲線が所定の条件を満たすまでステップS4〜
S8を繰り返す。DVH曲線が所定の条件を満たしたら、治療計画を承認する(ステップ
S9)。
【0039】
尚、本実施例においては、線量体積ヒストグラム(DVH)を用いて指定された関心領域内の指定線量領域を表示するが、関心領域として体内全域を選択することにより、体内全域での指定線量領域の表示を行うことも可能である。関心領域として体内全域を選択することにより、体内での線量の高い領域と低い領域を表示することができ、治療計画装置のユーザーが線量分布を確認する作業を効率化することが可能となる。
【0040】
本実施例においては、線量体積ヒストグラム作成手段により作成された線量体積ヒストグラムと、表示すべき被験者の線量分布の線量値の範囲を指定するための線量値指定手段とを同時に表示するので(換言すれば、線量体積ヒストグラム作成手段により作成された線量体積ヒストグラムの表示に、表示すべき前記被験者の線量分布の線量値の範囲を指定するための線量値指定手段を付加して、表示手段に表示するので)、被験者の線量体積ヒストグラムを考慮して、ホットスポット等の確認のために表示すべき被験者の線量分布の線量値の範囲を容易に確認・指定することができ、適切な線量値の範囲で線量分布を表示することができる。従って、がん患部において、処方された線量より線量が高い領域/処方された線量より線量が低い領域や、危険臓器や正常組織において、予期せず線量が高くなってしまった領域(ホットスポット)/線量が低くなってしまった領域(コールドスポット)の有無を容易に特定することが可能となる。
【0041】
つまり、線量値指定手段106により、被験者の線量体積ヒストグラムを考慮して指定された線量値(上限値X,下限値Y)に連動して、線量分布表示で色付けされて表示される領域が変化するので、治療計画装置のユーザーは関心領域内の指定線量領域の位置,形状を知ることができる。従って、線量値指定手段106と連動する線量分布表示により、がん患部の場合は、処方された線量より高い線量の領域又は処方された線量より低い線量の領域を容易に確認することが可能となる。また、危険臓器(OAR)の場合は、許容線量より線量の高い領域又は多門照射を実施した際に予期せず発生する線量の高い領域(ホットスポット)を容易に確認することが可能となる。がん患部の場合と同様に、危険臓器(OAR)内部の線量が高い領域と低い領域を表示することができる。医者が治療計画装置を使用して治療方法を検討する際に、関心領域内の線量が高い領域や線量が低い領域を容易に特定できるので、医者がその線量分布の良し悪しを判断するのを補助することができる。その結果、治療計画装置のユーザーである医者の作業効率向上,作業負担軽減、さらには、より良い治療計画の立案につながる。
【実施例2】
【0042】
本発明に係る放射線治療計画装置の第2の実施例を図15及び図16を用いて説明する。本実施例は、第1の実施例における線量値指定手段106を高線量領域指定手段108としたものであり、高線量領域指定手段108により指定された線量の下限値X以上の線量領域を線量分布表示するものである。尚、その他の構成は実施例1と同様であるため、実施例1と同様の部分についての詳細な説明は省略する。
【0043】
図15は、高線量領域指定手段108を線量体積ヒストグラム(DVH)に付加した図である。高線量領域指定手段108は、表示する線量の下限値を指定するためのもので、図15では線量の下限値Xの箇所にバーが描画されている。このバーがマウスやキーボード入力等により左右に移動可能なのは、実施例1の線量値指定手段106と同様である。図15では、高線量領域指定手段108により、線量値がX以上の線量領域(図中網掛けの領域)が選択されたことを示している。
【0044】
図16は、高線量領域指定手段108により線量の下限値Xが指定された場合の線量分布表示を示している。図16は、線量分布計算後に、まず線量分布を表示し、その線量分布上に線量値がX以上である高線量領域109が塗り潰しで表示されている。高線量領域指定手段108をマウスで左右に動かして下限値Xを変化させることにより、図16で塗り潰し表示された高線量領域109の位置,形状が連動して変化する。
【0045】
本実施例においても、実施例1と同様の効果を得ることができる。また、高線量領域指定手段108により表示すべき線量の下限値を指定するのみで下限値以上である高線量領域109が表示されるので、より容易に、処方された線量より高い線量の領域やホットスポット等を特定することができる。
【実施例3】
【0046】
本発明に係る放射線治療計画装置の第3の実施例を図17及び図18を用いて説明する。本実施例は、第1の実施例における線量値指定手段106を低線量領域指定手段110としたものであり、低線量領域指定手段110により指定された線量の上限値Y以上の線量領域を線量分布表示するものである。尚、その他の構成は実施例1と同様であるため、実施例1と同様の部分についての詳細な説明は省略する。
【0047】
図17は、低線量領域指定手段110を線量体積ヒストグラム(DVH)に付加した図である。低線量領域指定手段110は、表示する線量の上限値を指定するためのもので、図17では線量の上限値Yの箇所にバーが描画されている。このバーがマウスやキーボード入力等により左右に移動可能なのは、実施例1の線量値指定手段106と同様である。図17では、低線量領域指定手段110により、線量値がY以下の線量領域(図中網掛けの領域)が選択されたことを示している。
【0048】
図18は、低線量領域指定手段110により線量の上限値Yが指定された場合の線量分布表示を示している。図18は、線量分布計算後に、まず線量分布を表示し、その線量分布上に線量値がY以下である低線量領域111が塗り潰しで表示されている。低線量領域指定手段110をマウスで左右に動かして上限値Yを変化させることにより、図18で塗り潰し表示された低線量領域111の位置,形状が連動して変化する。
【0049】
本実施例においても、実施例1と同様の効果を得ることができる。また、低線量領域指定手段110により表示すべき線量の上限値を指定するのみで上限値以下である低線量領域111が表示されるので、より容易に、処方された線量より低い線量の領域やコールドスポット等を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】第1の実施例に係る放射線治療計画装置の全体構成図。
【図2】本発明に係る放射線治療計画の手順を表す図。
【図3】頭部のX線CT画像上にがん患部と危険臓器を入力した図。
【図4】頭部のX線CT画像上に線量分布を等線量線で表示した図。
【図5】線量分布表示を制御するルックアップテーブル(LUT)を示す図。
【図6】微分型線量体積ヒストグラム(DVH)を示す図。
【図7】積分型線量体積ヒストグラム(DVH)を示す図。
【図8】がん患部に対する理想的な線量体積ヒストグラム(DVH)を示す図。
【図9】危険臓器に対する線量体積ヒストグラム(DVH)を示す図。
【図10】線量領域指定手段を線量体積ヒストグラム(DVH)に付加した図。
【図11】線量領域指定手段により指定線量領域を塗り潰しで表示した図。
【図12】第1の実施例に係る放射線治療計画装置の表示画面例を示す図。
【図13】線量分布を三次元等線量面で表示した図。
【図14】指定線量領域を等線量面で表示した図。
【図15】高線量領域指定手段を線量体積ヒストグラム(DVH)に付加した図。
【図16】高線量領域指定手段により高線量領域を表示した図。
【図17】低線量領域指定手段を線量体積ヒストグラム(DVH)に付加した図。
【図18】低線量領域指定手段により低線量領域を表示した図。
【符号の説明】
【0051】
101 X線CT画像
102 がん患部
103 危険臓器
104 線量分布
105 DVH曲線
106 線量値指定手段
107,113 指定線量領域
112 三次元等線量面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の体内線量分布を求める線量分布計算手段と、
前記線量分布計算手段により求めた体内線量分布に基づいて、前記被験者の関心領域に関する線量体積ヒストグラムを作成する線量体積ヒストグラム作成手段と、
前記線量体積ヒストグラム作成手段により作成された線量体積ヒストグラムと、表示すべき前記被験者の線量分布の線量値の範囲を指定するための線量値指定手段とを同時に表示する表示手段とを備えたことを特徴とする放射線治療計画装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放射線治療計画装置において、前記表示手段は、前記線量値指定手段により指定された線量値の範囲の線量分布を表示することを特徴とする放射線治療計画装置。
【請求項3】
被験者の体内線量分布を求める線量分布計算手段と、
前記線量分布計算手段により求めた体内線量分布に基づいて、前記被験者の関心領域に関する線量体積ヒストグラムを作成する線量体積ヒストグラム作成手段とを備えた放射線治療計画装置であって、
前記線量体積ヒストグラム作成手段により作成された線量体積ヒストグラムの表示に、表示すべき前記被験者の線量分布の線量値の範囲を指定するための線量値指定手段を付加したことを特徴とする放射線治療計画装置。
【請求項4】
請求項3に記載の放射線治療計画装置であって、前記線量体積ヒストグラムと、前記線量値指定手段と、前記線量値指定手段により指定された線量値の範囲の線量分布とを表示する表示装置を備えることを特徴とする放射線治療計画装置。
【請求項5】
請求項2又は4に記載の放射線治療計画装置であって、前記表示される線量分布が三次元で表示されることを特徴とする放射線治療計画装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載の放射線治療計画装置において、前記線量値指定手段は前記線量体積ヒストグラムに重ね合わせて表示されることを特徴とする放射線治療計画装置。
【請求項7】
被験者の体内線量分布を求める線量分布計算手段と、前記被験者の関心領域に関する線量体積ヒストグラムを作成する線量体積ヒストグラム作成手段と、表示手段とを備えた射線治療計画装置における放射線治療計画の提供方法であって、
前記線量分布計算手段により、前記被験者の体内線量分布を求め、
線量体積ヒストグラム作成手段により、前記線量分布計算手段により求めた体内線量分布に基づいて、指定された前記被験者の関心領域に関する線量体積ヒストグラムを作成し、
前記線量体積ヒストグラム作成手段により作成された線量体積ヒストグラムと、表示すべき前記被験者の線量分布の線量値の範囲を指定するための線量値指定手段とを前記表示手段に同時に表示することを特徴とする放射線治療計画の提供方法。
【請求項8】
被験者の体内線量分布を求める線量分布計算手段と、前記被験者の関心領域に関する線量体積ヒストグラムを作成する線量体積ヒストグラム作成手段と、表示手段とを備えた射線治療計画装置における放射線治療計画の提供方法であって、
前記線量分布計算手段により、前記被験者の体内線量分布を求め、
線量体積ヒストグラム作成手段により、前記線量分布計算手段により求めた体内線量分布に基づいて、指定された前記被験者の関心領域に関する線量体積ヒストグラムを作成し、
前記線量体積ヒストグラム作成手段により作成された線量体積ヒストグラムの表示に、表示すべき前記被験者の線量分布の線量値の範囲を指定するための線量値指定手段を付加して、前記表示手段に表示することを特徴とする放射線治療計画の提供方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の放射線治療計画の提供方法において、前記表示手段は、前記線量値指定手段により指定された線量値の範囲の線量分布を表示することを特徴とする放射線治療計画の提供方法。
【請求項10】
請求項9に記載の放射線治療計画の提供方法であって、前記表示される線量分布が三次元で表示されることを特徴とする放射線治療計画の提供方法。
【請求項11】
請求項7乃至10の何れかに記載の放射線治療計画の提供方法において、前記線量値指定手段は前記線量体積ヒストグラムに重ね合わせて表示されることを特徴とする放射線治療計画の提供方法。
【請求項1】
被験者の体内線量分布を求める線量分布計算手段と、
前記線量分布計算手段により求めた体内線量分布に基づいて、前記被験者の関心領域に関する線量体積ヒストグラムを作成する線量体積ヒストグラム作成手段と、
前記線量体積ヒストグラム作成手段により作成された線量体積ヒストグラムと、表示すべき前記被験者の線量分布の線量値の範囲を指定するための線量値指定手段とを同時に表示する表示手段とを備えたことを特徴とする放射線治療計画装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放射線治療計画装置において、前記表示手段は、前記線量値指定手段により指定された線量値の範囲の線量分布を表示することを特徴とする放射線治療計画装置。
【請求項3】
被験者の体内線量分布を求める線量分布計算手段と、
前記線量分布計算手段により求めた体内線量分布に基づいて、前記被験者の関心領域に関する線量体積ヒストグラムを作成する線量体積ヒストグラム作成手段とを備えた放射線治療計画装置であって、
前記線量体積ヒストグラム作成手段により作成された線量体積ヒストグラムの表示に、表示すべき前記被験者の線量分布の線量値の範囲を指定するための線量値指定手段を付加したことを特徴とする放射線治療計画装置。
【請求項4】
請求項3に記載の放射線治療計画装置であって、前記線量体積ヒストグラムと、前記線量値指定手段と、前記線量値指定手段により指定された線量値の範囲の線量分布とを表示する表示装置を備えることを特徴とする放射線治療計画装置。
【請求項5】
請求項2又は4に記載の放射線治療計画装置であって、前記表示される線量分布が三次元で表示されることを特徴とする放射線治療計画装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載の放射線治療計画装置において、前記線量値指定手段は前記線量体積ヒストグラムに重ね合わせて表示されることを特徴とする放射線治療計画装置。
【請求項7】
被験者の体内線量分布を求める線量分布計算手段と、前記被験者の関心領域に関する線量体積ヒストグラムを作成する線量体積ヒストグラム作成手段と、表示手段とを備えた射線治療計画装置における放射線治療計画の提供方法であって、
前記線量分布計算手段により、前記被験者の体内線量分布を求め、
線量体積ヒストグラム作成手段により、前記線量分布計算手段により求めた体内線量分布に基づいて、指定された前記被験者の関心領域に関する線量体積ヒストグラムを作成し、
前記線量体積ヒストグラム作成手段により作成された線量体積ヒストグラムと、表示すべき前記被験者の線量分布の線量値の範囲を指定するための線量値指定手段とを前記表示手段に同時に表示することを特徴とする放射線治療計画の提供方法。
【請求項8】
被験者の体内線量分布を求める線量分布計算手段と、前記被験者の関心領域に関する線量体積ヒストグラムを作成する線量体積ヒストグラム作成手段と、表示手段とを備えた射線治療計画装置における放射線治療計画の提供方法であって、
前記線量分布計算手段により、前記被験者の体内線量分布を求め、
線量体積ヒストグラム作成手段により、前記線量分布計算手段により求めた体内線量分布に基づいて、指定された前記被験者の関心領域に関する線量体積ヒストグラムを作成し、
前記線量体積ヒストグラム作成手段により作成された線量体積ヒストグラムの表示に、表示すべき前記被験者の線量分布の線量値の範囲を指定するための線量値指定手段を付加して、前記表示手段に表示することを特徴とする放射線治療計画の提供方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の放射線治療計画の提供方法において、前記表示手段は、前記線量値指定手段により指定された線量値の範囲の線量分布を表示することを特徴とする放射線治療計画の提供方法。
【請求項10】
請求項9に記載の放射線治療計画の提供方法であって、前記表示される線量分布が三次元で表示されることを特徴とする放射線治療計画の提供方法。
【請求項11】
請求項7乃至10の何れかに記載の放射線治療計画の提供方法において、前記線量値指定手段は前記線量体積ヒストグラムに重ね合わせて表示されることを特徴とする放射線治療計画の提供方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−178619(P2008−178619A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−15737(P2007−15737)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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