説明

放射線画像撮影装置

【課題】Lateral方式のバイオプシを実施する際に、圧迫状態にある検査対象物の位置ずれの発生を抑制する。
【解決手段】放射線画像撮影装置において、検査対象物(20)を保持する保持部材(30)に指向して圧迫部材(38)が変位することにより、該保持部材(30)に保持された検査対象物(20)が圧迫される場合に、検査対象物(20)を正面から視たときに、保持部材(30)に対して圧迫部材(38)が検査対象物(20)の左右方向に相対的に傾斜した状態で検査対象物(20)が圧迫されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物を圧迫した状態で該検査対象物に放射線を照射し、前記検査対象物を透過した前記放射線を検出して放射線画像に変換する放射線画像撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、検査対象物に採取針を穿刺して該検査対象物中の検査部位の組織を採取するバイオプシが広く行われている。この場合、放射線画像撮影装置において、撮影台(保持部材)に載置された検査対象物(例えば、乳房や、該乳房を模擬したファントム)を圧迫板(圧迫部材)により圧迫保持し、圧迫状態の検査対象物に放射線を照射して該検査対象物の放射線画像を取得し、該放射線画像より得られた検査部位の位置に基づいて前記検査対象物に採取針を穿刺することにより前記検査部位の組織を採取する。
【0003】
ところで、検査対象物に対する採取針の穿刺方法としては、圧迫板に設けられた開口を介して採取針を検査対象物の圧迫方向(保持部材に指向する方向)に沿って穿刺する方法(Vertical方式)と、圧迫状態の検査対象物の側部に対して横方向から採取針を穿刺する方法(Lateral方式)とがある。
【0004】
Lateral方式は、検査対象物を正面から視たときに、該検査対象物の左右方向に沿って採取針が検査対象物の側部に穿刺されるので、圧迫部材に開口を設ける必要はない。しかしながら、検査対象物は、該検査対象物の左右方向に沿って均一な圧迫圧となるように圧迫されているため、Lateral方式においては、該検査対象物の圧迫方向と交差する方向に沿って、圧迫状態の検査対象物の側部に採取針を穿刺した際に、該側部の反対側への前記検査対象物の位置ずれが発生する。
【0005】
そのため、Lateral方式では、Vertical方式と比較して、検査対象物の位置ずれを抑制するために、該検査対象物に対する圧迫圧が高くなる傾向にある。しかしながら、圧迫圧を高くすれば、検査対象物への負担が大きくなる。
【0006】
なお、特許文献1及び2には、検査対象物に対する圧迫方法が開示されている。特許文献1には、検査対象物の奥行き方向に向かって圧迫板を傾斜させることにより、該検査対象物を前記奥行き方向に傾斜した状態で圧迫保持することが開示されている。また、特許文献2には、検査対象物の奥行き方向に延在する2本のロッドで柔軟性のあるシートの両端部を支持し、該2本のロッドを撮影台に指向して同一高さに変位させることにより、撮影台に保持された検査対象物を前記シートで覆って圧迫保持することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−207681号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/0135997号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示されている圧迫方法をLateral方式のバイオプシが実施される放射線画像撮影装置に適用した場合、検査対象物の奥行き方向に圧迫板を傾斜させた状態で該検査対象物を圧迫するので、検査対象物の受ける圧迫圧は、該検査対象物の左右方向に沿って均一となる。また、特許文献2に開示されている圧迫方法をLateral方式のバイオプシが実施される放射線画像撮影装置に適用した場合、同一の高さ位置となるように撮影台に対して2本のロッドを変位させるので、この場合でも、検査対象物の受ける圧迫圧は、該検査対象物の左右方向に沿って均一となる。
【0009】
従って、特許文献1及び2の技術を適用して、圧迫状態の検査対象物に対するLateral方式のバイオプシを実施しても、該検査対象物の左右方向に沿って採取針を検査対象物に穿刺すれば、圧迫状態の検査対象物に位置ずれが発生する。
【0010】
本発明は、上記の課題を解消するためになされたものであり、Lateral方式のバイオプシを実施する際に、圧迫状態にある検査対象物の位置ずれの発生を抑制することができる放射線画像撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明に係る放射線画像撮影装置は、
検査対象物に対して放射線を照射する放射線源と、前記検査対象物を透過した前記放射線を検出して放射線画像に変換する放射線検出器と、前記検査対象物を保持する保持部材と、前記保持部材に指向して変位することにより前記保持部材に保持された前記検査対象物を圧迫する圧迫部材とを有し、
前記検査対象物を正面から視たときに、前記保持部材に対して前記圧迫部材が前記検査対象物の左右方向に相対的に傾斜した状態で該検査対象物が圧迫されていることを特徴としている。
【0012】
この構成によれば、前記保持部材に対して前記圧迫部材を前記検査対象物の左右方向に相対的に傾斜した状態とすることで、前記検査対象物に対する前記圧迫部材及び前記保持部材の各圧迫面は、該検査対象物に対して互いに傾いた状態となり、前記検査対象物の受ける圧迫圧は、前記左右方向に沿って不均一な分布となる。
【0013】
これにより、前記検査対象物における圧迫圧が比較的低い箇所に対して前記左右方向に沿って前記採取針を穿刺した場合、該検査対象物における他の箇所は比較的高い圧迫圧で圧迫されているため(押さえ付けられているため)、穿刺時に前記検査対象物が前記採取針から力(突き刺し力)を受けても、該検査対象物の位置ずれの発生を抑制することができる。この結果、検査部位に対して前記採取針を精度よく穿刺することができ、該検査部位の組織の一部を確実に且つ効率よく採取することが可能となる。
【0014】
このように、本発明によれば、前記保持部材に対して前記圧迫部材が前記検査対象物の左右方向に相対的に傾斜した状態で該検査対象物を圧迫するようにしたので、前記検査対象物の受ける圧迫圧が前記左右方向に沿って不均一な分布となり、この結果、Lateral方式のバイオプシを実施する際に、圧迫状態にある前記検査対象物の位置ずれの発生を抑制することができる。また、該位置ずれの発生を抑制することで、必要以上に高い圧迫圧での前記検査対象物の圧迫が回避できるので、前記検査対象物への負担を軽減することも可能となる。
【0015】
ここで、前記放射線画像撮影装置は、圧迫状態の前記検査対象物の側部に採取針を穿刺して、該検査対象物内の検査部位の組織の一部を採取する場合に、前記検査対象物に対する前記採取針の穿刺方向に基づいて、前記保持部材に対する前記圧迫部材の相対的な傾斜方向を決定する傾斜方向決定部をさらに有する。これにより、前記検査対象物に対する前記採取針の穿刺方向を判断基準として、前記保持部材に対する前記圧迫部材の相対的な傾斜方向が決定されるので、前記採取針の穿刺時における前記検査対象物の位置ずれの発生を効率よく抑制することができる。
【0016】
この場合、前記検査対象物の一方の側部に前記採取針が穿刺される際に、前記傾斜方向決定部は、前記一方の側部から他方の側部に向って前記保持部材と前記圧迫部材との距離が縮まるように、前記保持部材に対する前記圧迫部材の相対的な傾斜方向を決定すればよい。このようにすれば、前記検査対象物において、前記圧迫部材と前記保持部材とが離間する前記一方の側部での圧迫圧は比較的低くなると共に、前記圧迫部材と前記保持部材とが近接する他方の側部での圧迫圧は比較的高くなる。そのため、前記一方の側部に前記左右方向に沿って前記採取針を穿刺しても、前記他方の側部が高い圧迫圧で圧迫されているため(押さえ付けられているため)、前記検査対象物の前記他方の側部への位置ずれを確実に抑制することができる。
【0017】
また、前記放射線画像撮影装置は、前記採取針の現在位置に基づいて前記検査対象物に対する前記採取針の穿刺方向を判定する穿刺方向判定部をさらに有する。これにより、前記穿刺方向を自動的に判別できるので、前記相対的な傾斜方向を容易に決定することが可能となる。
【0018】
上記の各構成において、前記圧迫部材及び前記保持部材は、下記の部材であることが望ましい。
【0019】
すなわち、前記圧迫部材は、前記放射線源側から前記保持部材に指向して変位する圧迫板、前記圧迫板と前記検査対象物との間に介挿される第1スペーサ及び前記圧迫板、又は、前記放射線源側から前記保持部材に指向して変位する圧迫シートであればよい。また、前記保持部材は、前記放射線検出器を収容し且つ前記検査対象物を保持する撮影台、又は、前記撮影台と前記検査対象物との間に介挿される第2スペーサ及び前記撮影台であればよい。
【0020】
このような部材を前記圧迫部材及び前記保持部材とした場合、前記放射線画像撮影装置は、下記[1]〜[9]のように構成されることが望ましい。
【0021】
[1] 前記放射線画像撮影装置は、前記検査対象物の奥行き方向に沿って延在し且つ前記圧迫板に連結された第1回転軸と、前記第1回転軸を中心として前記圧迫板を回転させることにより前記保持部材に対して前記圧迫板を傾斜させる回転駆動部とをさらに有してもよい。これにより、前記保持部材に対して前記圧迫板を容易に傾斜させることができる。
【0022】
[2] 前記放射線画像撮影装置は、前記検査対象物を正面から視て、前記圧迫板の一端部又は他端部が前記保持部材に向って傾斜している場合に、前記圧迫板の傾斜状態を維持する傾斜状態維持機構をさらに有してもよい。これにより、前記検査対象物の圧迫状態を確実に維持することができる。
【0023】
[3] 上記[1]又は[2]の場合において、前記圧迫板と前記保持部材とによる前記検査対象物の圧迫後に、前記保持部材に対して前記圧迫板を傾斜させるか、又は、前記保持部材に対する前記圧迫板の傾斜後に、傾斜した前記圧迫板と前記保持部材とによって前記検査対象物を圧迫させてもよい。いずれの場合であっても、前記検査対象物の左右方向に沿って前記検査対象物を不均一な圧迫圧で圧迫保持することができる。
【0024】
[4] 前記圧迫板における前記検査対象物側の面を前記保持部材に対する傾斜面として形成し、前記保持部材と前記圧迫板の傾斜面とによって前記検査対象物を圧迫してもよい。これにより、前記保持部材に指向して前記圧迫板を変位させるだけで、前記検査対象物を前記左右方向に沿って不均一な圧迫圧で圧迫保持することができる。
【0025】
[5] 前記第1スペーサにおける前記検査対象物側の面を前記保持部材に対する傾斜面として形成し、前記保持部材と前記第1スペーサの傾斜面とによって前記検査対象物を圧迫してもよい。この場合でも、前記保持部材に指向して前記圧迫板及び前記第1スペーサを変位させるだけで、前記検査対象物を前記左右方向に沿って不均一な圧迫圧で圧迫保持することができる。
【0026】
[6] 前記第2スペーサにおける前記検査対象物側の面を前記圧迫部材に対する傾斜面として形成し、前記圧迫部材と前記第2スペーサの傾斜面とによって前記検査対象物を圧迫してもよい。この場合でも、前記第2スペーサに指向して前記圧迫部材を変位させるだけで、前記検査対象物を前記左右方向に沿って不均一な圧迫圧で圧迫保持することができる。
【0027】
[7] 前記放射線画像撮影装置は、前記検査対象物を正面から視たときに、前記圧迫シートの一端部を支持し且つ前記検査対象物の奥行き方向に延在する第1ロッド、及び、前記圧迫シートの他端部を支持し且つ前記奥行き方向に延在する第2ロッドと、前記保持部材に対して前記第1ロッドを進退させる第1ロッド移動制御部と、前記保持部材に対して前記第2ロッドを進退させる第2ロッド移動制御部とをさらに有する。
【0028】
この場合、前記第1ロッド移動制御部による前記保持部材に対する前記第1ロッドの進退と、前記第2ロッド移動制御部による前記保持部材に対する前記第2ロッドの進退とによって、前記保持部材に対して前記圧迫シートを相対的に傾斜させればよい。このように、前記圧迫シートを用いた場合でも、前記検査対象物を前記左右方向に沿って不均一な圧迫圧で圧迫保持することができる。
【0029】
[8] 上記[7]の場合において、前記保持部材に対して前記第1ロッド及び前記第2ロッドが互いに異なる高さ位置となるように、前記第1ロッド移動制御部により前記第1ロッドを進退させると共に、前記第2ロッド移動制御部により前記第2ロッドを進退させることにより、前記保持部材に対して前記圧迫シートを傾斜させればよい。これにより、前記検査対象物を前記左右方向に沿って不均一な圧迫圧で圧迫保持することができる。
【0030】
[9] 前記放射線画像撮影装置は、前記放射線源を収容する放射線源収容部と、前記放射線源収容部と前記撮影台とを連結するアーム部材と、前記アーム部材に対して前記圧迫部材を移動可能に支持する圧迫部材支持部と、前記アーム部材に連結された第2回転軸とをさらに有する。
【0031】
この場合、前記第2回転軸を中心として前記アーム部材が回動することにより、前記圧迫部材に対して前記撮影台が傾斜してもよい。このように、前記放射線画像撮影装置を構成する前記アーム部材、前記放射線源収容部、及び、前記撮影台が一体的に回動することで、前記圧迫部材に対して前記撮影台が傾斜し、前記検査対象物を前記左右方向に沿って不均一な圧迫圧で圧迫保持することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、保持部材に対して圧迫部材が検査対象物の左右方向に相対的に傾斜した状態で該検査対象物を圧迫するようにしたので、前記検査対象物の受ける圧迫圧が前記左右方向に沿って不均一な分布となり、この結果、Lateral方式のバイオプシを実施する際に、圧迫状態にある前記検査対象物の位置ずれの発生を抑制することができる。また、該位置ずれの発生を抑制することで、必要以上に高い圧迫圧での前記検査対象物の圧迫が回避できるので、該検査対象物への負担を軽減することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施形態に係るマンモグラフィ装置の斜視図である。
【図2】図1のマンモグラフィ装置の一部省略側面図である。
【図3】生検針を備えたバイオプシ装置の斜視図である。
【図4】圧迫状態のマンモに対する生検針の穿刺を示す要部正面図である。
【図5】圧迫状態のマンモに対する生検針の穿刺を示す要部平面図である。
【図6】図6Aは、圧迫板及び撮影台によるマンモの圧迫を模式的に示す説明図であり、図6Bは、撮影台に対して圧迫板を傾斜させた状態でのマンモの圧迫を模式的に示す説明図であり、図6Cは、圧迫状態のマンモに対する生検針の穿刺を模式的に示す説明図である。
【図7】図7Aは、圧迫板及び撮影台によるマンモの圧迫を模式的に示す説明図であり、図7Bは、撮影台に対して圧迫板を傾斜させた状態でのマンモの圧迫を模式的に示す説明図であり、図7Cは、圧迫状態のマンモに対する生検針の穿刺を模式的に示す説明図である。
【図8】図8Aは、撮影台に対して圧迫板を傾斜させた状態を模式的に示す説明図であり、図8Bは、傾斜した圧迫板及び撮影台によるマンモの圧迫を模式的に示す説明図であり、図8Cは、圧迫状態のマンモに対する生検針の穿刺を模式的に示す説明図である。
【図9】図9Aは、撮影台に対して圧迫板を傾斜させた状態を模式的に示す説明図であり、図9Bは、傾斜した圧迫板及び撮影台によるマンモの圧迫を模式的に示す説明図であり、図9Cは、圧迫状態のマンモに対する生検針の穿刺を模式的に示す説明図である。
【図10】マンモグラフィ装置の構成ブロック図である。
【図11】マンモグラフィ装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】第1変形例に係るマンモグラフィ装置の斜視図である。
【図13】図12のXIII−XIII線に沿った断面図であって、傾斜状態維持機構を図示した断面図である。
【図14】図14A及び図14Bは、傾斜した圧迫板及び撮影台により圧迫保持されたマンモに対する生検針の穿刺を模式的に示す説明図である。
【図15】第2変形例に係るマンモグラフィ装置の斜視図である。
【図16】傾斜状態維持機構を図示した要部正面図である。
【図17】図17A及び図17Bは、傾斜した圧迫板及び撮影台により圧迫保持されたマンモに対する生検針の穿刺を模式的に示す説明図である。
【図18】図18A及び図18Bは、第3変形例において、傾斜した圧迫板及び撮影台により圧迫保持されたマンモに対する生検針の穿刺を模式的に示す説明図である。
【図19】図19A及び図19Bは、第4変形例において、圧迫板の傾斜面及び撮影台により圧迫保持されたマンモに対する生検針の穿刺を模式的に示す説明図である。
【図20】図20A及び図20Bは、第5変形例において、圧迫板の傾斜面及び撮影台により圧迫保持されたマンモに対する生検針の穿刺を模式的に示す説明図である。
【図21】図21A及び図21Bは、第6変形例において、圧迫板に対して撮影台及び放射線源が回動(傾斜)した状態で、圧迫保持されたマンモに対して生検針を穿刺する場合を模式的に示す説明図である。
【図22】図22A及び図22Bは、第7変形例において、圧迫板側のスペーサの傾斜面及び撮影台により圧迫保持されたマンモに対する生検針の穿刺を模式的に示す説明図である。
【図23】図23A及び図23Bは、第8変形例において、撮影台側のスペーサの傾斜面及び圧迫板により圧迫保持されたマンモに対する生検針の穿刺を模式的に示す説明図である。
【図24】第9変形例に係るマンモグラフィ装置の斜視図である。
【図25】図25Aは、圧迫保持前のマンモの状態を示す要部正面図であり、図25Bは、圧迫シート及び撮影台によって圧迫保持されたマンモの状態を示す要部正面図である。
【図26】図26A及び図26Bは、圧迫保持されたマンモに対する生検針の穿刺を模式的に示す説明図である。
【図27】図27A及び図27Bは、第10変形例において、撮影台側のスペーサの傾斜面及び圧迫シートにより圧迫保持されたマンモに対する生検針の穿刺を模式的に示す説明図である。
【図28】図28A及び図28Bは、第11変形例において、圧迫シートに対して撮影台及び放射線源が回動(傾斜)した状態で、圧迫保持されたマンモに対して生検針を穿刺する場合を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明に係る放射線画像撮影装置の好適な実施形態を、図1〜図28Bを参照しながら以下詳細に説明する。
【0035】
[本実施形態の構成]
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るマンモグラフィ装置10(放射線画像撮影装置)は、基本的には、立設状態に設置される基台12と、該基台12の略中央部に配設された旋回軸14(第2回転軸)の先端部に固定されるアーム部材16と、被検体18の検査対象物としてのマンモ20に対して放射線22を照射する放射線源24を収容し、且つ、アーム部材16の一端部に固定される放射線源収容部26と、マンモ20を透過した放射線22を検出する固体検出器28が収容され、且つ、アーム部材16の他端部に固定される撮影台30とを有する。
【0036】
また、マンモグラフィ装置10において、アーム部材16における被検体18と対向する矢印Y方向の側部(正面側)には、矢印Z方向に沿って溝部32が設けられ、該溝部32には、圧迫板支持部材34(圧迫部材支持部)が矢印Z方向に変位可能に取り付けられている。
【0037】
圧迫板支持部材34は、溝部32に挿入して図示しない取付部と嵌合することにより、放射線源収容部26と撮影台30との間に配設される基端部34aと、基端部34aの先端から撮影台30に向って垂下する2つの中間部34b、34cと、中間部34b、34cの先端を連結する連結部34dとから構成される。連結部34dには、マンモ20の奥行き方向である矢印Y方向に沿って延在する回転軸36(第1回転軸)が連結され、該回転軸36には、撮影台30に対してマンモ20を圧迫して保持する圧迫板38(圧迫部材)が軸支されている。連結部34d内には、回転軸36を回転させるモータ47(回転駆動部)が内蔵されており、該モータ47の駆動により回転軸36を中心として圧迫板38を回動させることができる。
【0038】
また、基台12には、被検体18の撮影部位等の撮影条件や被検体18のID情報等を表示すると共に、必要に応じてこれらの情報を設定可能な表示操作部40が配設される。
【0039】
放射線源収容部26及び撮影台30を連結するアーム部材16は、旋回軸14を中心として旋回することで、被検体18のマンモ20に対する方向が調整可能に構成される。また、放射線源収容部26は、ヒンジ部42を介してアーム部材16に連結されており、矢印θ方向に撮影台30とは独立に旋回可能に構成される。
【0040】
アーム部材16における矢印X方向(被検体18のマンモ20の左右方向)に沿った両側部には、被検体18が把持するための取手部44がそれぞれ設けられている。また、アーム部材16の正面側における撮影台30近傍の箇所には、溝部32を挟んで2つの穴46が形成されている。
【0041】
マンモグラフィ装置10には、図2〜図5に示すように、マンモ20の生検部位48(検査部位)から必要な組織を採取する生検針50(採取針)を備えたバイオプシ装置52が組み込まれている。バイオプシ装置52は、生検針50が装着される生検針装着部54と、生検針装着部54を移動させることにより生検針50を所望の場所に移動させる生検針移動機構56とから構成される。なお、図1では、バイオプシ装置52が組み込まれる前のマンモグラフィ装置10の状態を図示している。
【0042】
生検針移動機構56は、2つのベース部材58を介して撮影台30に載置された移動機構本体59を有する。
【0043】
移動機構本体59の矢印X方向に沿った両側部には、アーム部材16に向って延在するアーム60がそれぞれ設けられ、各アーム60には、前述した穴46に嵌合するロッド62が設けられている。従って、2つのベース部材58を介して移動機構本体59を撮影台30に載置した状態で、2本のロッド62を2つの穴46にそれぞれ嵌合すれば、アーム部材16と圧迫板支持部材34の中間部34b、34cとの間の所定位置において、被検体18と対向した状態で移動機構本体59を位置決め固定することができる。
【0044】
移動機構本体59は、アーム部材16側で矢印Z方向に立設する背面部材64と、背面部材64に対して前方(被検体18側)から装着された前面部材66と、前面部材66の前方に装着された移動ユニット68と、移動ユニット68の前方に装着された他の移動ユニット70とから構成される。また、移動機構本体59の側面における背面部材64と前面部材66との境界部分にはつまみ72が設けられ、移動ユニット68の側面には、つまみ74、76が設けられている。さらに、移動ユニット70には、被検体18に向って3本のロッド78〜82が矢印Y方向に沿って延在し、各ロッド78〜82の先端には平板状の保持部材84が取り付けられている。
【0045】
背面部材64は、被検体18に対向して比較的大きな凹部が形成された薄肉の部材であり、前面部材66は、アーム部材16に対向して比較的大きな凹部が形成された薄肉の部材である。従って、背面部材64に対して前面部材66を装着することにより、移動機構本体59内には比較的大きな閉空間が形成され、生検針50を移動させるための図示しない機械要素からなる移動機構が前記閉空間に収容される。
【0046】
移動ユニット68は、前記移動機構の駆動作用下に前面部材66に対して矢印Z方向に移動可能である。移動ユニット70は、前記移動機構の駆動作用下に移動ユニット68に対して矢印X方向に移動可能である。保持部材84は、前記移動機構の駆動作用下に各ロッド78〜82が矢印Y方向に沿って進退することにより、矢印Y方向に移動可能である。なお、前述した移動機構としては、例えば、ギヤ、ウォームギヤ、ラック、ピニオン等の機械要素を用いることにより、上述した移動機構本体59の各構成要素を矢印X方向、矢印Y方向及び矢印Z方向に移動可能な周知の移動機構であればよい。
【0047】
また、各つまみ72〜76は、前記移動機構に連結されている。医師又は技師がつまみ72を回すと、その回転力が前記移動機構に伝わり、該移動機構は、前記回転力に基づいて移動ユニット68を矢印Z方向に変位させる。また、医師又は技師がつまみ74を回すと、その回転力が前記移動機構に伝わり、該移動機構は、前記回転力に基づいて移動ユニット70を矢印X方向に変位させる。さらに、医師又は技師がつまみ76を回すと、その回転力が前記移動機構に伝わり、該移動機構は、前記回転力に基づいて各ロッド78〜82を矢印Y方向に進退させる。
【0048】
保持部材84には、図2の側面視でU字状のアーム支持部材86が固定され、該アーム支持部材86には、矢印X方向に延在するアーム88の一端部90が軸支されている。
【0049】
具体的に、アーム支持部材86は、保持部材84側の平板部分と、該平板部分の上端及び下端から被検体18に向って膨出した膨出部分とから構成されたU字状の部材である。また、アーム88の一端部90は、アーム支持部材86内方に接触するように略U字状に形成されている。そして、軸部材92が保持部材84の上下の膨出部分及びアーム88の一端部90を矢印Z方向に貫通することにより、アーム88の一端部90は、軸部材92を中心として回動可能に軸支される。
【0050】
なお、保持部材84の上側の膨出部分には、該膨出部分を貫通して一端部90に当接するつまみ94が配設されている。つまみ94には図示しないネジ溝が形成されており、医師又は技師がつまみ94を回して該つまみ94の先端を一端部90に当接させることにより、アーム88(の一端部90)を軸部材92を中心とした所定の回動角度に固定することができる。
【0051】
アーム88の他端部96には、矢印X方向に沿って延在する矩形状のロッド98が固着され、該ロッド98の先端部には、エンドブロック102が連結されている。ロッド98には、他端部96とエンドブロック102との間を摺動可能なスライダ106が配設されている。なお、スライダ106の移動方法としては、電動シリンダを構成して自動的に移動させる方法や、医師又は技師が手動で移動させる方法がある。
【0052】
スライダ106は、撮影台30に向って垂下する支持部材118を介して平板状の取付部材120と連結され、該取付部材120には、生検針装着部54が取り付けられている。
【0053】
生検針50は、マンモ20の生検部位48の組織(例えば、石灰化組織)を吸引して採取する採取部122を有する。
【0054】
前述のように、生検針移動機構56は、移動機構本体59内の移動機構の駆動作用下に移動ユニット68を矢印Z方向に移動させ、移動ユニット70を矢印X方向に移動させ、且つ、各ロッド78〜82を介して保持部材84を矢印Y方向に移動させる。また、保持部材84に固定されたアーム支持部材86(を貫通する軸部材92)には、アーム88の一端部90が軸支され、アーム88の他端部96とエンドブロック102との間に連結されたロッド98では、スライダ106が矢印X方向に摺動可能である。そして、スライダ106には、支持部材118及び取付部材120を介して生検針50が装着された生検針装着部54が連結されている。
【0055】
従って、前記移動機構の駆動作用によって生検針50を矢印X方向、矢印Y方向及び矢印Z方向に移動させ、アーム88の他端部96及びエンドブロック102間でのロッド98に沿ったスライダ106の摺動によって生検針50を矢印X方向に移動させることができる。また、軸部材92を中心としてアーム88の一端部90が回動することにより、生検針50をX−Y平面内で回動させることができる。
【0056】
そして、本実施形態では、図4の正面図に示すように、被検体18の胸壁124側(正面)からマンモ20を視たときに(被検体18からアーム部材16側を視たときに)、撮影台30に対して圧迫板38が矢印X方向(被検体18のマンモ20の左右方向)に沿って相対的に傾斜しており、この傾斜状態でマンモ20を圧迫保持することにより、マンモ20が圧迫板38及び撮影台30から受ける圧迫圧を、矢印X方向に沿って不均一な分布となるようにしている。
【0057】
例えば、図4に示すように、モータ47の駆動による回転軸36の回転により、圧迫板38が撮影台30に対して図4の左側に傾斜する場合、図4の左側では圧迫板38と撮影台30とが近接し、一方で、図4の右側では圧迫板38と撮影台30とが離間している。そのため、マンモ20が圧迫板38及び撮影台30から受ける圧迫圧は、該マンモ20の左側では比較的高く、右側では比較的低い。
【0058】
従って、図4及び図5に示すように、圧迫圧が比較的低いマンモ20の右側に対して横方向から生検針50を穿刺するLateral方式のバイオプシを実施する場合、圧迫圧の比較的高いマンモ20の左側が圧迫板38及び撮影台30によって強く押さえ付けられているため、マンモ20が生検針50から矢印X方向に沿った力(突き刺し力)を受けても、該マンモ20の位置ずれの発生は抑制される。
【0059】
ここで、図1〜図5のマンモグラフィ装置10におけるマンモ20の圧迫について、図6A〜図9Cの正面図に示す例を参照しながら説明する。なお、図6A〜図9Cでは、本実施形態の特徴的な機能(撮影台30に対して圧迫板38を傾斜させた状態でマンモ20を圧迫)を説明する関係上、一部の構成要素を模式化して図示する。
【0060】
図6A〜図7Cに示す2つの例は、撮影台30及び圧迫板38が矢印X方向に沿って互いに平行な状態でマンモ20を一旦圧迫し、その後、撮影台30に対して圧迫板38を相対的に傾斜させることにより、該マンモ20を傾斜状態で再度圧迫する場合を図示している。
【0061】
先ず、図6A〜図6Cの例は、撮影台30に対して圧迫板38を矢印X方向に沿った図6A〜図6Cの左側に傾斜させてマンモ20を圧迫保持する場合を図示したものである。
【0062】
この場合、先ず、撮影台30及び圧迫板38を矢印X方向に沿って平行に配置した状態で、図6Aのように、撮影台30に指向して圧迫板38を下降させることにより、撮影台30に保持されたマンモ20を圧迫保持する。図6Aの場合、撮影台30及び圧迫板38は、互いに平行に配置されているため、マンモ20が撮影台30及び圧迫板38から受ける圧迫圧は、矢印X方向に沿って均一な分布となる。
【0063】
このようにマンモ20が圧迫されている状態において、図6Bのように、モータ47を駆動させて回転軸36を反時計方向(−φ方向)に回転させる。これにより、圧迫板38は、−φ方向に回動して、撮影台30に対して図6Bの左側に傾斜した状態となる。この結果、マンモ20は、左側に傾斜した圧迫板38と撮影台30とによって、図6Bの左側に傾斜して圧迫されることになり、マンモ20が撮影台30及び圧迫板38から受ける圧迫圧は、矢印X方向に沿って、マンモ20の左側では比較的高くなり、一方で、マンモ20の右側では比較的低くなる、不均一な分布に変化する。
【0064】
このように左側に傾斜してマンモ20が圧迫された状態において、図6Cのように、マンモ20の右側に生検針50が矢印X方向に沿って穿刺される。この場合、マンモ20の左側は、圧迫板38と撮影台30とが近接して高い圧迫圧で強く押さえ付けられているため、マンモ20の右側から生検針50が穿刺されて、その突き刺し力(矢印X方向に伝わる力)が伝わっても、マンモ20における図6Cの左側への位置ずれの発生を抑制することができる。
【0065】
なお、図6Cでは、放射線22がマンモ20に照射されて放射線画像を取得する場合を図示しているが、図6Aの場合においても放射線22の照射を行って放射線画像を取得してもよいことは勿論である。また、圧迫板38の移動中又は回動中、あるいは、生検針50の移動中には、マンモ20に対する放射線22の照射は行われない。
【0066】
図7A〜図7Cの例は、撮影台30に対して圧迫板38を矢印X方向に沿った図7A〜図7Cの右側に傾斜させてマンモ20を圧迫保持する場合を図示したものであり、基本的には、上記の図6A〜図6Cにおける動作を左右逆転させれば、図7A〜図7Cでの動作となる。
【0067】
すなわち、図7A〜図7Cの場合、先ず、図7Aのように、撮影台30及び圧迫板38を互いに平行に配置した状態で、撮影台30に指向して圧迫板38を下降させることによりマンモ20を圧迫保持する。次に、図7Bのように、モータ47を駆動させて回転軸36を時計方向(+φ方向)に回転させ、圧迫板38を撮影台30に対して図7Bの右側に傾斜させる。これにより、マンモ20は、右側に傾斜した圧迫板38と撮影台30とによって、図7Bの右側に傾斜して圧迫され、マンモ20が撮影台30及び圧迫板38から受ける圧迫圧は、矢印X方向に沿って、マンモ20の右側では比較的高くなり、一方で、マンモ20の左側では比較的低くなる、不均一な分布に変化する。次に、図7Cのように、マンモ20の左側に生検針50を矢印X方向に沿って穿刺させる。この場合、マンモ20の右側は、圧迫板38と撮影台30とが近接して高い圧迫圧で強く押さえ付けられているため、マンモ20の左側から生検針50が穿刺されて、その突き刺し力が伝わっても、マンモ20における図7Cの右側への位置ずれの発生を抑制することができる。
【0068】
図8A〜図9Cに示す2つの例は、マンモ20及び撮影台30から圧迫板38が離間した状態で、撮影台30に対して圧迫板38を矢印X方向に沿って相対的に傾斜させ、傾斜後の圧迫板38と撮影台30とによってマンモ20を傾斜して圧迫保持する点で、図6A〜図7Cの2つの例とは異なる。
【0069】
図8A〜図8Cの例は、撮影台30に対して圧迫板38を矢印X方向に沿った図8A〜図8Cの左側に傾斜させてマンモ20を圧迫保持する場合を図示したものである。
【0070】
この場合、先ず、撮影台30から圧迫板38が離間している状態で、図8Aのように、モータ47を駆動させて回転軸36を反時計方向(−φ方向)に回転させる。これにより、圧迫板38は、−φ方向に回動して、撮影台30に対して図8Aの左側に傾斜した状態となる。次に、図8Bのように、傾斜した圧迫板38を撮影台30に指向して下降させることにより、撮影台30に保持されたマンモ20を圧迫保持する。これにより、マンモ20は、左側に傾斜した圧迫板38と撮影台30とによって、図8Bの左側に傾斜して圧迫されることになり、マンモ20が撮影台30及び圧迫板38から受ける圧迫圧は、矢印X方向に沿って、マンモ20の左側では比較的高くなり、一方で、マンモ20の右側では比較的低くなる、不均一な分布に変化する。次に、図8Cのように、マンモ20の右側に生検針50を矢印X方向に沿って穿刺させる。この場合、マンモ20の左側は、圧迫板38と撮影台30とが近接して高い圧迫圧で強く押さえ付けられているため、マンモ20の右側から生検針50が穿刺されて、その突き刺し力が伝わっても、マンモ20における図8Cの左側への位置ずれの発生を抑制することができる。
【0071】
図9A〜図9Cの例は、撮影台30に対して圧迫板38を矢印X方向に沿った図9A〜図9Cの右側に傾斜させてマンモ20を圧迫保持する場合を図示したものであり、基本的には、上記の図8A〜図8Cにおける動作を左右逆転させれば、図9A〜図9Cでの動作となる。
【0072】
すなわち、図9A〜図9Cの場合、先ず、図9Aのように、撮影台30から圧迫板38が離間している状態で、モータ47を駆動させて回転軸36を時計方向(+φ方向)に回転させ、撮影台30に対して圧迫板38を図9Aの右側に傾斜させる。次に、図9Bのように、該圧迫板38を下降させることにより、右側に傾斜した圧迫板38と撮影台30とによって、マンモ20を図9Bの右側に傾斜して圧迫させる。これにより、マンモ20が撮影台30及び圧迫板38から受ける圧迫圧は、矢印X方向に沿って、マンモ20の右側では比較的高くなり、一方で、マンモ20の左側では比較的低くなる、不均一な分布に変化する。次に、図9Cのように、マンモ20の左側に生検針50を矢印X方向に沿って穿刺させる。この場合、マンモ20の右側は、圧迫板38と撮影台30とが近接して高い圧迫圧で強く押さえ付けられているため、マンモ20の左側から生検針50が穿刺されて、その突き刺し力が伝わっても、マンモ20における図9Cの右側への位置ずれの発生を抑制することができる。
【0073】
図10は、マンモグラフィ装置10の構成ブロック図である。
【0074】
マンモグラフィ装置10は、撮影条件設定部130、放射線源駆動制御部132、生検針位置情報算出部134、圧迫板駆動制御部136、圧迫板位置情報算出部138、検出器制御部140、画像情報記憶部142、CAD(Computer Aided Diagnosis)処理部144、表示部146、生検部位選択部148、生検部位位置情報算出部150、穿刺方向判定部152、傾斜方向決定部154、及び、移動量算出部156をさらに有する。
【0075】
撮影条件設定部130は、放射線源24の管電流及び管電圧、放射線22の照射線量及び照射時間、撮影方法、撮影順序等の撮影条件を設定する。放射線源駆動制御部132は、前記撮影条件に従って放射線源24を駆動制御する。
【0076】
生検針移動機構56は、生検針50等を所定位置に移動及び/又は回動させた場合、その移動量や回動量に関わる情報(例えば、図示しない移動機構を構成するギヤ等の回転量)を、生検針位置情報算出部134に出力する。生検針位置情報算出部134は、生検針移動機構56からの情報に基づいて生検針50の先端部の三次元位置(現在位置)を算出する。
【0077】
圧迫板駆動制御部136は、圧迫板支持部材34及び圧迫板38を矢印Z方向に移動させ、及び/又は、モータ47を駆動させて圧迫板38を回転軸36を中心に(+φ方向又は−φ方向に)回動させる。圧迫板位置情報算出部138は、圧迫板駆動制御部136によって移動及び/又は回動する圧迫板38の撮影台30に対する位置を算出する。圧迫板38は、撮影台30に対してマンモ20を圧迫して保持するため、圧迫板38の位置情報は、圧迫時のマンモ20の厚み情報や、撮影台30に対する圧迫板38の傾斜角度を示すことになる。
【0078】
検出器制御部140は、固体検出器28を制御して、該固体検出器28で放射線22から変換された放射線画像を画像情報記憶部142に記憶する。CAD処理部144は、画像情報記憶部142に記憶された放射線画像に対する画像処理を行って表示部146及び表示操作部40に表示させる。
【0079】
なお、マンモグラフィ装置10では、固体検出器28に対して垂直方向(矢印Z方向)に沿って配置された放射線源24からマンモ20に対して放射線22を照射するスカウト撮影、あるいは、ヒンジ部42を中心とした放射線源収容部26の矢印θ方向への回動により所定の角度配置された放射線源24からマンモ20に対して放射線22を照射するステレオ撮影が行われる。固体検出器28は、スカウト撮影又はステレオ撮影によりマンモ20を透過した放射線22を検出して放射線画像に変換する。
【0080】
そのため、スカウト撮影の場合には1つの撮影角度(θ=0°)での1枚の放射線画像が画像情報記憶部142に記憶され、ステレオ撮影の場合には2つの撮影角度(θ=0°、+θ及び−θのうち、2つの角度(ステレオ角度))での2枚の放射線画像が画像情報記憶部142に記憶される。
【0081】
生検部位選択部148は、マウス等のポインティングデバイスであり、表示部146及び/又は表示操作部40の表示内容(ステレオ撮影により得られた2枚の放射線画像)を視た医師又は技師は、前記ポインティングデバイスを用いて、2枚の放射線画像中の(複数の)生検部位48の中から、組織を採取したい生検部位48を選択することが可能である。なお、生検部位選択部148による生検部位48の選択では、2枚の放射線画像の一方の画像中の生検部位48を選択すると共に、該一方の画像中の生検部位48に対応する他方の画像中の生検部位48も選択する。
【0082】
生検部位位置情報算出部150は、生検部位選択部148により選択された2枚の放射線画像中の生検部位48の位置に基づいて、該生検部位48の三次元位置を算出する。なお、生検部位48の三次元位置については、ステレオ撮影における公知の三次元位置の算出方法に基づき算出することが可能である。
【0083】
穿刺方向判定部152は、生検針位置情報算出部134が算出した生検針50の先端部の三次元位置と、圧迫板位置情報算出部138が算出した圧迫板38の位置、及び/又は、生検部位位置情報算出部150が算出した生検部位48の三次元位置とに基づいて、マンモ20に対する生検針50の穿刺方向を判定する。
【0084】
すなわち、生検針50の先端部と圧迫板38との位置関係からマンモ20に対する生検針50の穿刺方向が推定できるので、穿刺方向判定部152は、生検針50の先端部の三次元位置と、圧迫板38の位置(に基づくマンモ20の位置)とを用いて、マンモ20に対する生検針50の穿刺方向を特定する。
【0085】
また、生検針50の先端部と生検部位48との位置関係からマンモ20に対する生検針50の穿刺方向を推定可能であるため、穿刺方向判定部152は、生検針50の先端部の三次元位置と、生検部位位置情報算出部150が算出した生検部位48の三次元位置とに基づいて、マンモ20に対する生検針50の穿刺方向を特定することもできる。
【0086】
さらに、穿刺方向判定部152は、生検針50の先端部の三次元位置、圧迫板38の位置及び生検部位48の三次元位置に基づいて、マンモ20に対する生検針50の穿刺方向を特定することも可能である。
【0087】
傾斜方向決定部154は、穿刺方向判定部152が決定したマンモ20に対する生検針50の穿刺方向と、撮影台30に対する圧迫板38の位置とに基づいて、撮影台30に対する圧迫板38の傾斜方向を決定する。
【0088】
すなわち、マンモ20に対して右方向から生検針50が穿刺される場合(図6A及び図8A参照)には、傾斜方向決定部154は、撮影台30に対して圧迫板38を左側に傾斜させることを決定する。また、マンモ20に対して左方向から生検針50が穿刺される場合(図7A及び図9A参照)には、傾斜方向決定部154は、撮影台30に対して圧迫板38を右側に傾斜させることを決定する。従って、圧迫板駆動制御部136は、傾斜方向決定部154で決定された傾斜方向に従ってモータ47を駆動させることにより、圧迫板38を前記傾斜方向に傾斜させることができる。
【0089】
移動量算出部156は、生検部位位置情報算出部150により算出された生検部位48の三次元位置と、生検針位置情報算出部134により算出された生検針50の先端部の三次元位置と、圧迫板位置情報算出部138が算出した圧迫板38の位置(マンモ20の厚み)と、穿刺方向判定部152が決定した生検針50の穿刺方向と、傾斜方向決定部154が決定した圧迫板38の傾斜方向とに基づいて、生検部位48に対する生検針50の移動量を算出する。
【0090】
これにより、生検針移動機構56は、移動量算出部156が算出した生検針50の移動量に従って該生検針50を移動させることで、Lateral方式のバイオプシを実施して生検部位48の組織の採取を行わせることができる。
【0091】
[本実施形態の動作]
本実施形態に係るマンモグラフィ装置10は、以上のように構成されるものであり、次に、マンモグラフィ装置10の動作について、図11のフローチャートを参照しながら説明する。この動作の説明では、必要に応じて、図1〜図10も参照しながら説明する。
【0092】
ここでは、一例として、撮影台30及び圧迫板38によるマンモ20の圧迫後に該マンモ20に対するステレオ撮影を行い、ステレオ撮影により得られた放射線画像に基づいてLateral方式のバイオプシが実施される場合について説明する。また、図11では、最初に図6A〜図7Cの例に従ってマンモ20を圧迫保持した後にLateral方式のバイオプシを実施する場合について説明し、次に、図8A〜図9Cの例に従ってマンモ20を圧迫保持した後にLateral方式のバイオプシを実施する場合について説明する。
【0093】
ステップS1において、先ず、撮影条件設定部130(図10参照)を用いて、マンモ20に応じた管電流、管電圧、放射線22の照射線量、照射時間、撮影方法、撮影順序等の撮影条件が設定される。設定された撮影条件は、放射線源駆動制御部132に設定される。
【0094】
次のステップS2において、医師又は技師は、2つの穴46(図1及び図2参照)にロッド62を嵌合して撮影台30上の所定位置に移動機構本体59を含むバイオプシ装置52(図3参照)を配置すると共に、圧迫板38が取り付けられた圧迫板支持部材34の基端部34aを溝部32に嵌合する。
【0095】
次のステップS3において、撮影台30及び圧迫板38による被検体18のマンモ20の圧迫が行われる。すなわち、撮影台30の所定位置(圧迫板38に対向する位置)にマンモ20が配置された後、撮影台30に対して平行に配置された圧迫板38を圧迫板駆動制御部136により撮影台30に向かって矢印Z方向に移動させ、マンモ20を圧迫する。これにより、マンモ20は、撮影台30及び圧迫板38により矢印X方向に沿って均一な圧迫圧で圧迫固定される。なお、圧迫板位置情報算出部138は、圧迫板38の撮影台30に対する位置情報を算出する。
【0096】
次のステップS4において、生検針移動機構56は、生検針50等の移動量や回動量に関わる情報を生検針位置情報算出部134に出力し、生検針位置情報算出部134は、生検針移動機構56からの前記情報に基づいて生検針50の先端部の三次元位置を算出する。また、穿刺方向判定部152は、生検針位置情報算出部134が算出した生検針50の先端部の三次元位置と、圧迫板位置情報算出部138が算出した圧迫板38の位置とに基づいて、マンモ20に対する生検針50の穿刺方向を判定する。
【0097】
次のステップS5において、傾斜方向決定部154は、穿刺方向判定部152が決定したマンモ20に対する生検針50の穿刺方向と、圧迫板位置情報算出部138が算出した圧迫板38の位置とに基づいて、撮影台30に対する圧迫板38の傾斜方向を決定する。
【0098】
これにより、ステップS6において、圧迫板駆動制御部136は、傾斜方向決定部154で決定された傾斜方向に従ってモータ47を駆動させる。この結果、モータ47の駆動作用下に回転軸36が回転し、圧迫板38は、撮影台30に対して矢印X方向に沿って前記傾斜方向に相対的に傾斜する。マンモ20は、傾斜した圧迫板38及び撮影台30によって傾斜状態で圧迫保持されるため、マンモ20の受ける圧迫圧は、矢印X方向に沿って不均一な分布に変化する。
【0099】
このように、マンモ20が傾斜して圧迫保持された状態となることで、該マンモ20のステレオ撮影に対する準備(撮影準備)が完了する。
【0100】
次のステップS7において、マンモグラフィ装置10は、放射線源24を駆動して、マンモ20に対するステレオ撮影を行う。この場合、ヒンジ部42(図1参照)を中心として矢印θ方向に放射線源収容部26を回動させることにより、2つの角度位置に放射線源24を移動させ、これらの位置から放射線22をそれぞれ照射することにより、マンモ20を透過した放射線22が撮影台30の固体検出器28によって放射線画像として検出される。
【0101】
検出器制御部140は、固体検出器28を制御して、2枚の放射線画像を取得し、これらの2枚の放射線画像を画像情報記憶部142に一旦記憶させる。
【0102】
ステップS8において、CAD処理部144は、画像情報記憶部142に記憶された、マンモ20の2枚の放射線画像に対する画像処理を行い、画像処理後の2枚の放射線画像を表示部146及び表示操作部40に表示させる。
【0103】
次のステップS9において、医師又は技師は、マウス等のポインティングデバイスである生検部位選択部148を用いて、表示部146及び/又は表示操作部40に表示された2枚の放射線画像から、(複数の)生検部位48のうち、組織を採取したい生検部位48を選択する。
【0104】
ステップS10において、生検部位位置情報算出部150は、生検部位48が選択されると、2枚の放射線画像中の生検部位48の位置に基づいて、該生検部位48の三次元位置を算出する。移動量算出部156は、生検部位位置情報算出部150が算出した生検部位48の三次元位置と、生検針位置情報算出部134が算出した生検針50の先端部の三次元位置と、圧迫板位置情報算出部138が算出した圧迫板38の位置と、穿刺方向判定部152が決定した生検針50の穿刺方向と、傾斜方向決定部154が決定した圧迫板38の傾斜方向とに基づいて、生検部位48に対する生検針50の移動量を算出する。
【0105】
次のステップS11において、生検針移動機構56は、移動量算出部156が算出した生検針50の移動量に基づいて、生検針50を移動させる。生検針移動機構56では、移動機構本体59による矢印X方向、矢印Y方向及び矢印Z方向への移動制御により生検針50を生検部位48に対向する位置(生検部位48に対して矢印X方向に沿った所定位置)に位置決めし、次いで、スライダ106の矢印X方向への摺動により生検針50をマンモ20の側部に向けて移動させる。これにより、マンモ20の側部に対して生検針50が穿刺される(ステップS12)。
【0106】
生検針50の採取部122が生検部位48の近傍に到達すると、生検針50による吸引処理が開始され、生検部位48の組織が採取される(ステップS13)。その後、生検針50を矢印X方向に移動させることにより、生検針50がマンモ20から抜き取られ、Lateral方式のバイオプシが終了する(ステップS14)。その後、圧迫板38を上昇させ、マンモ20を圧迫状態から解放する(ステップS15)。
【0107】
上述したマンモグラフィ装置10の動作は、図6A〜図7Cの例を実施した場合であったが、図8A〜図9Cの例を実施する場合には、ステップS2後、ステップS3の処理が省略され、その後、ステップS4以降の処理が順次行われる。
【0108】
この場合、ステップS4、S5後のステップS6において、圧迫板駆動制御部136は、傾斜方向決定部154で決定された傾斜方向に従ってモータ47を駆動させる。これにより、モータ47の駆動作用下に回転軸36が回転し、圧迫板38は、撮影台30から離間した状態で、撮影台30に対して矢印X方向に沿って前記傾斜方向に相対的に傾斜する。
【0109】
次に、傾斜した圧迫板38及び撮影台30による被検体18のマンモ20の圧迫が行われる。この場合、撮影台30の所定位置にマンモ20を配置した後、傾斜した圧迫板38を圧迫板駆動制御部136により撮影台30に向かって矢印Z方向に移動させ、マンモ20を圧迫する。これにより、マンモ20は、傾斜した圧迫板38及び撮影台30によって傾斜状態で圧迫保持され、マンモ20の受ける圧迫圧は、矢印X方向に沿って不均一な分布となる。
【0110】
その後は、前述したステップS7以降の処理が順に行われる。
【0111】
[本実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態に係るマンモグラフィ装置10によれば、マンモ20を正面から視たときに(被検体18の胸壁124側からマンモ20を視たときに)、撮影台30(保持部材)に対して圧迫板38(圧迫部材)を被検体18のマンモ20の左右方向である矢印X方向に沿って相対的に傾斜した状態することで、マンモ20に対する圧迫面としての撮影台30の上面及び圧迫板38の底面は、マンモ20に対して互いに傾いた状態となり、この結果、マンモ20の受ける圧迫圧は、矢印X方向方向に沿って不均一な分布となる。
【0112】
これにより、マンモ20における圧迫圧が比較的低い箇所に対して矢印X方向に沿って生検針50を穿刺した場合、該マンモ20における他の箇所は比較的高い圧迫圧で圧迫されているため(押さえ付けられているため)、穿刺時にマンモ20が生検針50から力(突き刺し力)を受けても、マンモ20の位置ずれの発生を抑制することができる。この結果、生検部位48に対して生検針50を精度よく穿刺することができ、該生検部位48の組織の一部を確実に且つ効率よく採取することが可能となる。
【0113】
このように、本実施形態によれば、撮影台30に対して圧迫板38が被検体18のマンモ20の左右方向(矢印X方向)に相対的に傾斜した状態でマンモ20を圧迫するようにしたので、マンモ20の受ける圧迫圧が前記左右方向に沿って不均一な分布となり、この結果、Lateral方式のバイオプシを実施する際に、圧迫状態にあるマンモ20の位置ずれの発生を抑制することができる。また、該位置ずれの発生を抑制することで、必要以上に高い圧迫圧でのマンモ20の圧迫が回避できるので、マンモ20を含めた被検体18への負担を軽減することも可能となる。
【0114】
また、傾斜方向決定部154は、マンモ20に対する生検針50の穿刺方向を判断基準として、撮影台30に対する圧迫板38の相対的な傾斜方向を決定するので、生検針50の穿刺時におけるマンモ20の位置ずれの発生を効率よく抑制することができる。その際、傾斜方向決定部154は、マンモ20の一方の側部から他方の側部に向って撮影台30と圧迫板38との距離が縮まるように、撮影台30に対する圧迫板38の相対的な傾斜方向を決定するので、マンモ20において、圧迫板38と撮影台30とが離間する一方の側部での圧迫圧は比較的低くなると共に、圧迫板38と撮影台30とが近接する他方の側部での圧迫圧は比較的高くなる。そのため、一方の側部に矢印X方向に沿って生検針50を穿刺しても、他方の側部が高い圧迫圧で圧迫されているため(押さえ付けられているため)、マンモ20の他方の側部への位置ずれ(矢印X方向への位置ずれ)を確実に抑制することができる。
【0115】
また、穿刺方向判定部152は、生検針位置情報算出部134が算出した生検針50の三次元位置(現在位置)に基づいて、マンモ20に対する生検針50の穿刺方向を自動的に判定(判別)するので、傾斜方向決定部154では、穿刺方向判定部152での判別結果に基づいて、撮影台30と圧迫板38との相対的な傾斜方向を容易に且つ精度よく決定することができる。
【0116】
さらに、モータ47が矢印Y方向(マンモ20の奥行き方向)に延在する回転軸36を回転させて圧迫板38を回動させることにより、撮影台30に対して圧迫板38を容易に傾斜させることができる。
【0117】
さらにまた、マンモグラフィ装置10では、圧迫板38と撮影台30とによるマンモ20の圧迫後に、撮影台30に対して圧迫板38を傾斜させてもよいし、又は、撮影台30に対する圧迫板38の傾斜後に、傾斜した圧迫板38と撮影台30とによってマンモ20を圧迫させてもよい。いずれの場合であっても、矢印X方向に沿ってマンモ20を不均一な圧迫圧で圧迫保持することができる。
【0118】
[本実施形態の変形例]
次に、本実施形態の変形例(第1〜第11変形例)について、図12〜図28Bを参照しながら説明する。なお、第1〜第11変形例の説明において、図1〜図11における本実施形態と同じ構成要素については、同一の参照符号を付けて、その詳細な説明を省略する。
【0119】
図12〜図14Bに示す第1変形例は、圧迫板支持部材34の中間部34b、34cの先端に被検体18側に向う先端部34e、34fがそれぞれ延出され、これらの先端部34e、34fに圧迫板38が傾斜可能に装着されている点で、本実施形態(図1〜図11参照)とは異なる。
【0120】
第1変形例において、先端部34e、34fの圧迫板38側と、圧迫板38の側部における先端部34e、34f側の箇所とには、撮影台30に対して圧迫板38を相対的に傾斜させると共に、圧迫板38の傾斜状態を保持(維持)可能な傾斜状態維持機構160、162がそれぞれ設けられている。
【0121】
具体的に、傾斜状態維持機構160、162は、複数のケーブルを結束する結束バンド(ケーブルタイ)と略同一の構造を有し、図13に示すように、先端部34e、34fの圧迫板38に対向する側面に矢印Z方向に沿って形成された複数の係止溝164、168と、圧迫板38の側部に設けられ且つ各係止溝164、168に係止可能な突起部166、170とからそれぞれ構成される。
【0122】
各係止溝164、168は、斜め下方向に傾斜するテーパ部分と矢印X方向に延在する水平部分とにより構成され、該水平部分に突起部166、170が保持されるようになっている。また、突起部166、170は、係止溝164、168の水平部分に保持される程度の長さと、可撓性を有する程度に圧迫板38よりも十分に薄い厚みとを有している。
【0123】
そして、第1変形例では、撮影台30に対して圧迫板38を(矢印X方向に沿って)平行に維持したい場合には、図13に示すように、同じ高さの係止溝164、168の水平部分に突起部166、170を係止させればよい。
【0124】
また、撮影台30に対して圧迫板38を図14Aの左側に傾斜させたい場合、医師又は技師は、圧迫板38の左側を撮影台30に向って押圧すればよい。この押圧力によって、可撓性を有する突起部166は、圧迫板38に連結された基端部を支点として、先端部側が圧迫板38に向うようにテーパ部分に沿って上方に湾曲する。これにより、突起部166は、現在保持されている係止溝164での係止状態から解放され、圧迫板38の左側は、前記押圧力により撮影台30に向って下降する。
【0125】
この結果、突起部166は、該係止溝164を乗り越え1つ下の係止溝164に下降し、その直後、湾曲状態から解放され、基端部を支点として、先端部側が該1つ下の係止溝164のテーパ部分に沿って移動し水平部分に当接する。突起部166が1つ下の係止溝164の水平部分に当接することにより、該突起部166は、1つの下の係止溝164に保持され、その結果、圧迫板38は、図14Aの左側に傾斜して、その状態を維持することができる。
【0126】
なお、図14Aは、先端部34eの一番下の係止溝164に突起部166が係止されている状態を図示したものであり、上述した医師又は技師による圧迫板38の左側への押圧を継続して行うことにより、図13に示す圧迫板38の水平状態から図14Aの左側への傾斜状態に変化させることができる。
【0127】
また、図14Bは、先端部34fの一番下の係止溝168に突起部170が係止されている状態を図示したものであり、上述した医師又は技師による圧迫板38の左側への押圧の説明に関し、左側、係止溝164及び突起部166の各文言を、右側、係止溝168及び突起部170の各文言にそれぞれ置き換えることにより、図13に示す圧迫板38の水平状態から図14Bの右側への傾斜状態に変化させるための説明となる。
【0128】
このように、第1変形例では、撮影台30に対して圧迫板38を相対的に傾斜させることができるため、上述した本実施形態の各効果が容易に得られる。また、第1変形例では、傾斜状態維持機構160、162によって圧迫板38の傾斜状態を維持するので、マンモ20の圧迫状態を確実に維持することができる。
【0129】
なお、第1変形例の説明では、医師又は技師が圧迫板38の右側又は左側を上方から押圧することにより、撮影台30に対して圧迫板38を右側又は左側に傾斜させる場合について説明したが、図示しない押圧機構を用いて自動的に押圧してもよい。
【0130】
また、傾斜方向決定部154での決定内容を表示部146及び/又は表示操作部40に表示すれば、医師又は技師は、その表示内容を視認することにより、押圧すべき圧迫板38の箇所(右側又は左側)を容易に認識することができ、圧迫板38の傾斜に関わる作業を容易に且つ正確に行うことが可能となる。
【0131】
さらに、各係止溝164、168では、水平部分から上方に向って圧迫板38の側部に向うテーパ部分が形成されているため、各突起部166、170は、撮影台30に向って下降できても、該テーパ部分によって上方に移動できないような構造となっている。従って、圧迫板38を上昇させる場合には、例えば、図示しないピン部材を用いて突起部166、170の先端部を圧迫板38側に湾曲させ、その状態で圧迫板38を所望の高さまで移動させればよい。
【0132】
図15〜図17Bに示す第2変形例は、圧迫板支持部材34の連結部34dと、圧迫板38の連結部34d側の箇所とに傾斜状態維持機構180、182を設けることにより、連結部34dに対して圧迫板38が傾斜可能に装着されている点で、本実施形態(図1〜図11参照)及び第1変形例(図12〜図14B参照)とは異なる。
【0133】
具体的に、連結部34dにおける圧迫板38に対向する箇所(被検体18の胸壁124に対向する側面)には、圧迫板38の左側及び右側から連結部34d側に向ってそれぞれ延在する2つの突出部188、198を挿入可能な2つの穴184、194が形成され、これらの穴184、194には、矢印Z方向に沿って複数の係止溝186、196がそれぞれ形成されている。突出部188、198の側部には、各係止溝186、196に係止可能な突起部190、200がそれぞれ形成されている。
【0134】
突出部188、198の突起部190、200と、穴184、194に形成された係止溝186、196とによって、傾斜状態維持機構180、182がそれぞれ構成される。傾斜状態維持機構180、182は、第1変形例の傾斜状態維持機構160、162と略同様の機能を奏する。
【0135】
すなわち、各係止溝186、196は、各係止溝164、168と同様に、斜め下方向に傾斜するテーパ部分と矢印X方向に延在する水平部分とにより構成され、該水平部分に突起部190、200が保持される。また、各突起部190、200は、各突起部166、170と同様に、係止溝186、196の水平部分に保持される程度の長さと、可撓性を有する程度に突出部188、198よりも十分に薄い厚みとを有している。
【0136】
そして、第2変形例でも、撮影台30に対して圧迫板38を矢印X方向に沿って平行に維持したい場合には、図16に示すように、穴184、194に突出部188、198を挿入した状態で、同じ高さの係止溝186、196の水平部分に突起部190、200を係止させればよい。なお、圧迫板38及び連結部34dには、穴184、194に突出部188、198を挿入して圧迫板38を圧迫板支持部材34に一旦装着した際に、穴184、194から突出部188、198が抜けることを防止するための図示しない抜け止め機構が設けられている。
【0137】
そして、撮影台30に対して圧迫板38を図17Aの左側に傾斜させたい場合、医師又は技師は、図14Aの場合と同様に、圧迫板38の左側を撮影台30に向って押圧すればよい。この押圧力によって、可撓性を有する突起部190は、圧迫板38の突出部188に連結された基端部を支点として、先端部側が突出部188に向うようにテーパ部分に沿って上方に湾曲する。これにより、突起部190は、現在保持されている係止溝186での係止状態から解放され、圧迫板38の左側は、前記押圧力により撮影台30に向って下降する。
【0138】
この結果、突起部190は、該係止溝186を乗り越え1つ下の係止溝186に下降し、その直後、湾曲状態から解放され、基端部を支点として、先端部側が該1つ下の係止溝186のテーパ部分に沿って移動し水平部分に当接する。そして、突起部190が1つ下の係止溝186の水平部分に当接することにより、該突起部190は、1つの下の係止溝186に保持され、その結果、圧迫板38は、図17Aの左側に傾斜して、その状態を維持することができる。
【0139】
なお、図17Aでも、上述した医師又は技師による圧迫板38の左側への押圧を継続して行うことにより、図16に示す圧迫板38の水平状態から図17Aの左側への傾斜状態に変化させることができる。
【0140】
また、図17Bは、一番下の係止溝196に突起部200が係止されている状態を図示したものであり、上述した医師又は技師による圧迫板38の左側への押圧の説明に関し、左側、係止溝186、突出部188及び突起部190の各文言を、右側、係止溝196、突出部198及び突起部200の各文言にそれぞれ置き換えることにより、図16に示す圧迫板38の水平状態から図17Bの右側への傾斜状態に変化させるための説明となる。
【0141】
このように、第2変形例でも、撮影台30に対して圧迫板38を相対的に傾斜させることができるため、本実施形態及び第1変形例の各効果が容易に得られる。また、第2変形例でも、第1変形例の場合と同様に、図示しない押圧機構を用いて圧迫板38を自動的に押圧したり、傾斜方向決定部154の決定内容を表示部146及び/又は表示操作部40に表示させたり、図示しないピン部材を用いて圧迫板38を所望の高さまで移動させることが可能であることは勿論である。
【0142】
図18A及び図18Bに示す第3変形例は、圧迫板38が軸部材210を介して圧迫板支持部材34に連結されている点で、本実施形態(図1〜図11参照)と第1及び第2変形例(図12〜図17B参照)とは異なる。従って、第3変形例では、回転軸36及びモータ47は存在せず、圧迫板38は、撮影台30に対して矢印X方向に沿って左側又は右側に傾斜した状態で、軸部材210を介して圧迫板支持部材34に連結されている。
【0143】
第3変形例でも、本実施形態の場合と同様に、傾斜した圧迫板38と撮影台30とによってマンモ20を圧迫保持することができるので、本実施形態の各効果を容易に得ることができる。
【0144】
図19A及び図19Bに示す第4変形例は、圧迫板38の底面212が撮影台30に対して傾斜した傾斜面として構成されている点で、第3変形例(図18A及び図18B参照)とは異なる。この場合でも、撮影台30に指向して圧迫板38を下降すれば、撮影台30の上面と、該撮影台30に対して傾斜した圧迫板38の底面212とによって、マンモ20を傾斜状態で圧迫保持することができる。
【0145】
このように、圧迫板38の底面212を撮影台30に対する傾斜面として形成し、撮影台30(の上面)に対して圧迫板38を相対的に傾斜した状態とすることにより、撮影台30に指向して圧迫板38を変位させるだけで、マンモ20を矢印X方向に沿って不均一な圧迫圧で圧迫保持することができ、本実施形態及び第1〜第3変形例の各効果を得ることが可能となる。
【0146】
図20A及び図20Bに示す第5変形例は、圧迫板38の底面214が階段状の傾斜面として構成されている点で、第4変形例(図19A及び図19B参照)とは異なる。この場合でも、第4変形例と同様に、圧迫板38の底面214を撮影台30に対する傾斜面として形成しているため、撮影台30に指向して圧迫板38を変位させるだけで、マンモ20を矢印X方向に沿って不均一な圧迫圧で圧迫保持することができる。
【0147】
図21A及び図21Bに示す第6変形例は、旋回軸14を中心としてアーム部材16を旋回することにより、圧迫板38に対して放射線源24(を収容する放射線源収容部26)及び撮影台30を相対的に傾斜させる点で、本実施形態(図1〜図11参照)及び第1〜第5変形例(図12〜図20B参照)とは異なる。
【0148】
この場合、圧迫板38は、回転軸36を介して傾斜可能に圧迫板支持部材34に連結されているか、又は、軸部材210を介して傾斜状態で圧迫板支持部材34に連結されている。
【0149】
従って、傾斜方向決定部154での決定内容に従って、アーム部材16が旋回軸14を中心として旋回し、放射線源24及び撮影台30がω=0°(矢印Z方向に沿った垂直位置)から−ω又は+ωの角度だけ回動した場合、モータ47の駆動による回転軸36の回転によって、圧迫板38が矢印X方向に沿って略水平に維持されれば、圧迫板38に対して撮影台30を相対的に傾斜した状態とすることができる。
【0150】
また、圧迫板38が傾斜した状態で軸部材210を介して圧迫板支持部材34に連結されている場合に、傾斜方向決定部154での決定内容に従って、アーム部材16が旋回軸14を中心として旋回し、放射線源24及び撮影台30が−ω又は+ωの角度だけ回動すれば、圧迫板38が矢印X方向に沿って略水平になる一方で、圧迫板38に対して撮影台30が相対的に傾斜した状態になる。
【0151】
いずれの場合であっても、圧迫板38に対して撮影台30が相対的に傾斜した状態となるため、マンモ20を矢印X方向に沿って不均一な圧迫圧で圧迫保持することができ、本実施形態及び第1〜第5変形例と同様の効果が得られる。
【0152】
図22A及び図22Bに示す第7変形例は、圧迫板38のマンモ20側にスペーサ220(第1スペーサ)が配設され、該スペーサ220の底面222が撮影台30に対する傾斜面として形成されている点で、本実施形態(図1〜図11参照)及び第1〜第6変形例(図12〜図21B参照)とは異なる。
【0153】
この場合でも、撮影台30に指向して圧迫部材としての圧迫板38及びスペーサ220を下降させれば、撮影台30の上面と、スペーサ220の底面222とによって、マンモ20を傾斜状態で圧迫保持することができる。
【0154】
このように、スペーサ220の底面222を撮影台30に対する傾斜面として形成し、撮影台30(の上面)に対してスペーサ220を相対的に傾斜した状態とすることにより、撮影台30に指向して圧迫板38及びスペーサ220を変位させるだけで、マンモ20を矢印X方向に沿って不均一な圧迫圧で圧迫保持することができ、本実施形態及び第1〜第6変形例の各効果を得ることが可能となる。
【0155】
図23A及び図23Bに示す第8変形例は、撮影台30のマンモ20側にスペーサ230(第2スペーサ)が配設され、該スペーサ230の上面232が圧迫板38に対する傾斜面として形成されている点で、第7変形例(図22A及び図22B参照)とは異なる。
【0156】
この場合でも、保持部材としての撮影台30及びスペーサ230に指向して圧迫板38を下降すれば、スペーサ230の上面232と圧迫板38とによって、マンモ20を傾斜状態で圧迫保持することができる。
【0157】
このように、スペーサ230の上面232を圧迫板38に対する傾斜面として形成し、圧迫板38に対してスペーサ230を相対的に傾斜した状態とすることにより、撮影台30及びスペーサ230に指向して圧迫板38を変位させるだけで、マンモ20を矢印X方向に沿って不均一な圧迫圧で圧迫保持することができ、本実施形態及び第1〜第7変形例の各効果を得ることが可能となる。
【0158】
図24〜図26Bに示す第9変形例は、圧迫板支持部材34の先端部34e、34fに電動シリンダ240、242(第1及び第2ロッド移動制御部)がそれぞれ取り付けられ、該電動シリンダ240、242のロッド246、252を矢印Z方向に進退させることにより、可撓性を有する樹脂製の圧迫シート244(圧迫部材)を撮影台30に指向して変位させる点で、本実施形態(図1〜図11参照)及び第1〜第8変形例(図12〜図23B参照)とは異なる。
【0159】
この場合、電動シリンダ240、242のロッド246、252の先端に筒状部材248、254が固定され、該筒状部材248、254から被検体18に向ってロッド250、256(第1及び第2ロッド)が延在し、これらのロッド250、256によって圧迫シート244の矢印X方向に沿った両端部が支持されている。
【0160】
ここで、図25Aのように、圧迫シート244がマンモ20及び撮影台30から離間している場合には、電動シリンダ240、242は、撮影台30に対してロッド246、252を同一の高さ位置に退動させている。従って、筒状部材248、254を介してロッド246、252に連結されたロッド250、256は、撮影台30に対して同じ高さ位置に退避し、圧迫シート244は、矢印X方向に沿って撮影台30と略平行に配置される。
【0161】
一方、圧迫シート244及び撮影台30によってマンモ20を圧迫保持する場合、電動シリンダ240、242は、ロッド246、252を互いに異なる移動量だけ撮影台30側に変位させる。例えば、図25Bのように、ロッド246の移動量がロッド252の移動量よりもΔZだけ多い場合、筒状部材248及びロッド250は、筒状部材254及びロッド256よりもΔZだけ撮影台30側に下降する。
【0162】
そのため、各ロッド250、256に支持された圧迫シート244は、撮影台30に対して図25B及び図26Aの左側に傾斜した状態でマンモ20の上側を覆うことになり、この結果、マンモ20は、傾斜した圧迫シート244及び撮影台30によって、矢印X方向に沿って不均一な圧迫圧で圧迫保持される。
【0163】
なお、図25B及び図26Aは、撮影台30に対して圧迫シート244が左側に傾斜した状態でマンモ20を圧迫保持する場合を図示したものであり、図26Bは、撮影台30に対して圧迫シート244が右側に傾斜した状態でマンモ20を圧迫保持する場合を図示したものである。図26Bの場合でも、ロッド252の移動量をロッド246の移動量よりも多くすることにより、圧迫シート244を右側に傾斜した状態でマンモ20を圧迫保持させることができる。
【0164】
このように、第9変形例においても、電動シリンダ240、242の駆動により撮影台30に対して各ロッド250、256を進退させることで、撮影台30に対して圧迫シート244を相対的に傾斜させることが可能であるため、マンモ20を矢印X方向に沿って不均一な圧迫圧で圧迫保持することができ、この結果、本実施形態及び第1〜第9変形例と同様の効果が得られる。
【0165】
図27A及び図27Bに示す第10変形例は、圧迫シート244と、第8変形例(図23A及び図23B参照)で説明したスペーサ230とによってマンモ20を圧迫保持する点で、第9変形例(図24〜図26B参照)とは異なる。
【0166】
この場合、スペーサ230の上面232が圧迫シート244に対する傾斜面であるため、電動シリンダ240、242は、撮影台30に対してロッド246、252を互いに同一量だけ進行(下降)させる。これにより、圧迫シート244は、矢印X方向に沿って略水平な状態でマンモ20の上側を覆うことになり、この結果、傾斜したスペーサ230(の上面232)と略水平な圧迫シート244とによって、マンモ20を矢印X方向に沿って不均一な圧迫圧で圧迫保持することになる。従って、第10変形例においても、第8及び第9変形例と同じ効果を得ることができる。
【0167】
図28A及び図28Bに示す第11変形例は、圧迫シート244を用いると共に、第6変形例(図21A及び図21B参照)で説明した旋回軸14を中心としたアーム部材16の旋回によって圧迫シート244に対して放射線源24(を収容する放射線源収容部26)及び撮影台30を相対的に傾斜させる点で、第9及び第10変形例(図24〜図27B参照)とは異なる。
【0168】
この場合、旋回軸14を中心としたアーム部材16の旋回によって、放射線源24及び撮影台30が−ω又は+ωの角度だけ回動され、一方で、矢印X方向に沿って略水平に圧迫シート244が配置されるように電動シリンダ240、242がロッド246、252を撮影台30に向って進行させると、略水平な圧迫シート244に対して撮影台30が相対的に傾斜した状態となり、マンモ20を矢印X方向に沿って不均一な圧迫圧で圧迫保持することができる。従って、第11変形例においても、第6、第9及び第10変形例と同様の効果が得られる。
【0169】
なお、上述した各説明では、被検体18のマンモ20を圧迫保持する場合について説明した。本実施形態に係るマンモグラフィ装置10は、これらの説明に限定されることはなく、マンモ20を模擬したファントムを検査対象物として圧迫保持することも可能である。このファントムは、医師によるバイオプシのトレーニングに用いられるファントムであって、該ファントム内には、生検部位48の組織を模擬した物質も内蔵されている。
【0170】
従って、マンモグラフィ装置10において、前記ファントムを圧迫保持する場合には、上述したマンモ20に対する圧迫保持と同様に、正面から視たときに、例えば、撮影台30に対して圧迫板38を前記ファントムの左右方向(矢印X方向)に沿って相対的に傾斜させた状態で該ファントムを圧迫保持し、圧迫保持したファントムの側部に、Lateral方式のバイオプシにより生検針50を穿刺し、前記物質を採取すればよい。
【0171】
なお、本発明は、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0172】
10…マンモグラフィ装置
14…旋回軸
16…アーム部材
18…被検体
20…マンモ
22…放射線
24…放射線源
26…放射線源収容部
28…固体検出器
30…撮影台
34…圧迫板支持部材
36…回転軸
38…圧迫板
47…モータ
48…生検部位
50…生検針
52…バイオプシ装置
122…採取部
134…生検針位置情報算出部
136…圧迫板駆動制御部
138…圧迫板位置情報算出部
152…穿刺方向判定部
154…傾斜方向決定部
156…移動量算出部
160、162、180、182…傾斜状態維持機構
164、168、186、196…係止溝
166、170、190、200…突起部
210…軸部材
212、214、222…底面
220、230…スペーサ
232…上面
240、242…電動シリンダ
244…圧迫シート
246、250、252、256…ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物に対して放射線を照射する放射線源と、
前記検査対象物を透過した前記放射線を検出して放射線画像に変換する放射線検出器と、
前記検査対象物を保持する保持部材と、
前記保持部材に指向して変位することにより前記保持部材に保持された前記検査対象物を圧迫する圧迫部材と、
を有し、
前記検査対象物を正面から視たときに、前記保持部材に対して前記圧迫部材が前記検査対象物の左右方向に相対的に傾斜した状態で該検査対象物が圧迫されている
ことを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
圧迫状態の前記検査対象物の側部に採取針を穿刺して、該検査対象物内の検査部位の組織の一部を採取する場合に、前記検査対象物に対する前記採取針の穿刺方向に基づいて、前記保持部材に対する前記圧迫部材の相対的な傾斜方向を決定する傾斜方向決定部をさらに有する
ことを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項3】
請求項2記載の装置において、
前記検査対象物の一方の側部に前記採取針が穿刺される際に、前記傾斜方向決定部は、前記一方の側部から他方の側部に向って前記保持部材と前記圧迫部材との距離が縮まるように、前記保持部材に対する前記圧迫部材の相対的な傾斜方向を決定する
ことを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の装置において、
前記採取針の現在位置に基づいて前記検査対象物に対する前記採取針の穿刺方向を判定する穿刺方向判定部をさらに有する
ことを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置において、
前記圧迫部材は、前記放射線源側から前記保持部材に指向して変位する圧迫板、前記圧迫板と前記検査対象物との間に介挿される第1スペーサ及び前記圧迫板、又は、前記放射線源側から前記保持部材に指向して変位する圧迫シートであり、
前記保持部材は、前記放射線検出器を収容し且つ前記検査対象物を保持する撮影台、又は、前記撮影台と前記検査対象物との間に介挿される第2スペーサ及び前記撮影台である
ことを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項6】
請求項5記載の装置において、
前記検査対象物の奥行き方向に沿って延在し且つ前記圧迫板に連結された第1回転軸と、
前記第1回転軸を中心として前記圧迫板を回転させることにより、前記保持部材に対して前記圧迫板を傾斜させる回転駆動部と、
をさらに有する
ことを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項7】
請求項5記載の装置において、
前記検査対象物を正面から視て、前記圧迫板の一端部又は他端部が前記保持部材に向って傾斜している場合に、前記圧迫板の傾斜状態を維持する傾斜状態維持機構をさらに有する
ことを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項8】
請求項6又は7記載の装置において、
前記圧迫板と前記保持部材とによる前記検査対象物の圧迫後に、前記保持部材に対して前記圧迫板を傾斜させるか、又は、前記保持部材に対する前記圧迫板の傾斜後に、傾斜した前記圧迫板と前記保持部材とによって前記検査対象物を圧迫させる
ことを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項9】
請求項5記載の装置において、
前記圧迫板における前記検査対象物側の面を前記保持部材に対する傾斜面として形成し、前記保持部材と前記圧迫板の傾斜面とによって前記検査対象物を圧迫する
ことを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項10】
請求項5記載の装置において、
前記第1スペーサにおける前記検査対象物側の面を前記保持部材に対する傾斜面として形成し、前記保持部材と前記第1スペーサの傾斜面とによって前記検査対象物を圧迫する
ことを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項11】
請求項5記載の装置において、
前記第2スペーサにおける前記検査対象物側の面を前記圧迫部材に対する傾斜面として形成し、前記圧迫部材と前記第2スペーサの傾斜面とによって前記検査対象物を圧迫する
ことを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項12】
請求項5記載の装置において、
前記検査対象物を正面から視たときに、前記圧迫シートの一端部を支持し且つ前記検査対象物の奥行き方向に延在する第1ロッド、及び、前記圧迫シートの他端部を支持し且つ前記奥行き方向に延在する第2ロッドと、
前記保持部材に対して前記第1ロッドを進退させる第1ロッド移動制御部と、
前記保持部材に対して前記第2ロッドを進退させる第2ロッド移動制御部と、
をさらに有し、
前記第1ロッド移動制御部による前記保持部材に対する前記第1ロッドの進退と、前記第2ロッド移動制御部による前記保持部材に対する前記第2ロッドの進退とによって、前記保持部材に対して前記圧迫シートを相対的に傾斜させる
ことを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項13】
請求項12記載の装置において、
前記保持部材に対して前記第1ロッド及び前記第2ロッドが互いに異なる高さ位置となるように、前記第1ロッド移動制御部により前記第1ロッドを進退させると共に、前記第2ロッド移動制御部により前記第2ロッドを進退させることにより、前記保持部材に対して前記圧迫シートを傾斜させる
ことを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項14】
請求項5記載の装置において、
前記放射線源を収容する放射線源収容部と、
前記放射線源収容部と前記撮影台とを連結するアーム部材と、
前記アーム部材に対して前記圧迫部材を移動可能に支持する圧迫部材支持部と、
前記アーム部材に連結された第2回転軸と、
をさらに有し、
前記第2回転軸を中心として前記アーム部材が回動することにより、前記圧迫部材に対して前記撮影台が傾斜する
ことを特徴とする放射線画像撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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