説明

放射線監視デバイス

1つまたは複数の検出器画素(3)とクロックパルス発生器とを含む、放射線の1つまたは複数の特性を測定するための放射線検出器(1)であって、各検出器画素(3)は、センサ(20)に衝突する前記放射線の光子または荷電粒子のイベントに応答して電気信号を生成する前記センサ(20)と、前記電気信号を増幅し、整形し、整形パルスを生成するためのアナログ処理ユニット(62)を含む、前記電気信号を受け取り、処理するように構成された画素電子回路(24)とを含み、前記画素電子回路(24)は、TOTカウントを数えるための時間決定ユニット(51)を含み、TOTカウントは、前記整形パルスがしきい値よりも上であるときの時間間隔中に生じるクロックパルス数である。前記画素電子回路は、複数のイベントカウンタ(82)を含み、各イベントカウンタ(82)は、事前定義範囲のTOTカウントを有するイベント数を数える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線量測定で使用するための放射線監視デバイスの分野に関するものであり、さらに詳細には、単一光子計数画素検出器を使用するデバイスおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画素化半導体検出器は、X線撮像で使用され、アクティブな個人線量測定で使用することができる。放射線監視デバイスは、Medipix2チップを使用して構築できる。Medipix2チップおよびその使用は、X. Llopart、M. Campbell、R. Dinapoli、D. San SegundoおよびE. Pernigotti、「Medipix2, a 64k pixel read-out with 55μm square elements working in single photon counting mode」、IEEE Trans. Nucl. Sci. 49 (2002) 2279〜2283頁で述べられている。Medipix2では、光子または荷電粒子が検出器材料内で相互作用したとき、電荷が蓄積され、収集電極の方へドリフトする。この電荷は次いで、増幅され、エネルギー窓を形成する2つの異なるアナログしきい値と比較される。検出電荷がこのエネルギー窓内に入る場合、デジタルカウンタが増分される。Medipix2検出器は、画素ピッチ55μmで画素化されるセンサ層および各画素内の読み出しチップを含む。センサの電極は、バンプ接合を通じて読み出しチップと画素単位で接続される。1つのカウンタが、各画素電子回路内に存在する。Medipix2検出器は、例えばX線撮像での撮像検出器画素配列として使用される。測定段階中に感知画素体積内で調節可能しきい値より上のエネルギー蓄積を引き起こしたまたは上側と下側のしきい値間でエネルギー蓄積を引き起こしたイベント数は、各画素電子回路で数えられる。照射物体を透過させられたあるエネルギー範囲の光子数が、決定できる。X線撮像でのMedipix2検出器の欠点は、下側しきい値が1つしかないことである。したがって1つのエネルギー範囲の粒子しか、1回の取得中に数えることができない。異なるエネルギー範囲からの粒子の透過画像を得る場合、すべての画素に対して異なる弁別器しきい値でいくつかの画像を引き続き取得する必要がある。このことは、測定時間の増加および撮像されるべき物体の暴露線量の増加をもたらす。異なるエネルギー粒子の透過のこれらの測定は、物体の組合せ透過画像でコントラストを改善するために使用できる。それらはまた、物体の材料組成についての情報を取り出すためにも使用できる。
【0003】
線量測定のために検出器の配列およびカウンタ回路を使うことは、WO2005/008286から周知である。各検出器画素は、低および高エネルギーしきい値の単一対を提供される。したがって、高ダイナミックレンジ測定のためには、多くの検出器画素が、必要とされる。
【0004】
Timepixチップは、Medipix開発から直接導き出された。Timepix検出器は、Medipix2検出器と同様に、画素ピッチ55μmを持つハイブリッド、計数、画素化半導体検出器である。画素電子回路の入力信号は、ASICの画素電子回路内のアナログ回路で処理され、次いで弁別器で調節可能しきい値と比較される。Timepixの一動作モードでは、各画素は、弁別器の入力パルスの強度が弁別器のしきい値よりも高い間の時間の長さを測定する。この時間間隔は、カウンタでのクロックパルスの計数を通じて測定される。この方法は、Time-Over-Threshold(TOT)法と呼ばれる。各画素は、ただ1つのカウンタだけを含む。カウンタで測定される時間は、測定段階の終わりにTimepixの読み出しユニットに転送される。それは次いで、ASICの周辺に転送される。Timepixは、放射線感知センサ層を使わずに素粒子物理学実験でのガス追跡箱で使用されるように設計された。Timepixは、そのTime-Over-ThresholdモードがX線撮像で使用される場合、いくつかの欠点を有する。ただ1つのしきい値だけが、各画素で利用可能である。1つのX線画像の撮像中に、センサ内のすべての反応粒子の積算しきい値超え時間は、各画素のカウンタで数えられる。読み出しの後、粒子の個別のエネルギーについての情報は、利用できない。普通のX線画像の撮像中は光子束が非常に高いので、各粒子のしきい値超え時間が決定できるような高周波数のフレームレートを有することはできない。
【0005】
文献WO2006/099003は、1つまたは複数の画素化検出器1がそれぞれ単一チャネル弁別器10と関連する放射線検出システムを開示する。放射線イベントは、単一チャネル弁別器10によって前記放射線イベントのエネルギーに関連するカウント値24に変換される。画素1からおよび単一チャネル弁別器10から離れたデジタル信号プロセッサDSP5が、前記弁別器とともに利用される。DSPは、異なる画素から受け取られるカウント値をソートするようにプログラムできる。しかしながら、画素化検出器の画素数、しきい値の数(即ち、放射線検出器のエネルギー分解能および範囲)、ならびに入射放射線イベントの比率によっては、DSP5は、入力データを処理できない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2005/008286
【特許文献2】WO2006/099003
【特許文献3】DE102006006411.9
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】X. Llopart、M. Campbell、R. Dinapoli、D. San SegundoおよびE. Pernigotti、「Medipix2, a 64k pixel read-out with 55μm square elements working in single photon counting mode」、IEEE Trans. Nucl. Sci. 49 (2002) 2279〜2283頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、広いエネルギー範囲の、特に放射線診断範囲の粒子束密度に関して、高精度、高感度および大きな測定範囲で放射線の1つまたは複数の特性を決定するための方法および装置を提供することであり、ここで測定は、リアルタイムで行われる。例えばエネルギースペクトルまたはスペクトル内の最高エネルギーのような入射放射線のエネルギー情報の決定のための方法および装置を提供することもまた、本発明の目的であり、それによって測定は、非常に高い粒子束密度で行うことができる。そのような装置は、医療用放射線設備、例えばX線管の品質保証で、または管電圧のピーク値の決定(kVp測定)のための装置で使用できる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、1つまたは複数の検出器画素とクロックパルス発生器とを含む、放射線の1つまたは複数の特性を測定するための放射線検出器に関し、各検出器画素は、(i)センサに衝突する前記放射線の光子または荷電粒子のイベントに応答して電気信号を生成する前記センサと、(ii)前記電気信号を増幅し、整形し、整形パルスを生成するためのアナログ処理ユニットを含む、前記電気信号を受け取り、処理するように構成された画素電子回路とを含み、前記画素電子回路は、TOTカウントを数えるための時間決定ユニットを含み、TOTカウントは、前記整形パルスがしきい値より上であるときの時間間隔中に生じるクロックパルス数である。本発明によれば、前記画素電子回路は、複数のイベントカウンタを含み、各イベントカウンタは、事前定義範囲のTOTカウントを有するイベント数を数える。
【0010】
本発明の一実施形態では、放射線検出器は、切り換えユニットを含み、前記切り換えユニットは、各TOTカウント範囲がイベントカウンタと関連する、一組のTOTカウント範囲を定義する、一組のTOTカウント限界値と、測定TOTカウントがある範囲内またはそれより下のときを検出するための手段と、測定TOTカウントが関連する範囲内またはそれより下のときに前記イベントカウンタを増分するための手段とを含む。
【0011】
本発明の別の実施形態では、放射線検出器は、複写ユニットを含み、前記複写ユニットは、TOTカウント値を受け取るための手段と、前記TOTカウント値を複写する一組の出力ポートと、一組の比較ユニットとを含み、各比較ユニットは、一組のTOTカウント範囲を定義し、イベントカウンタと関連する一組のTOTカウント限界値を含み、かつ測定TOTカウントがある範囲内またはそれより下のときを検出するための手段と、測定TOTカウントが関連する範囲内またはそれより下のときにイベントカウンタを増分するための手段とを含む。
【0012】
好ましくは、前記画素電子回路は、前記検出器画素を較正するために前記アナログ処理ユニットの入力において正規化電気信号を受け取るための手段を含む。
【0013】
より好ましくは、前記画素電子回路は、前記検出器画素を較正するために前記アナログ処理ユニットの出力において正規化整形パルスを受け取るための手段を含む。
【0014】
本発明の変形では、放射線検出器は、検出器画素の配列を含み、前記配列は、検出器画素の列と、読み出しユニットと、列内で蓄積されるカウントを、前記列内の計数だけが無効にされながら、前記読み出しユニットに転送するための手段とを含み、各列は、引き続いて転送される。
【0015】
本発明の別の変形では、放射線検出器は、検出器画素の配列と、前記配列の前記検出器画素の前記TOTカウントを読み出しユニットに転送するための手段と、非ゼロのTOTカウント値を有する画素を島状に分類するための手段と、島を生成する前記放射線の光子または荷電粒子のエネルギーを得るために前記島の検出器画素のそれぞれ内の蓄積線量を合計するための手段とを含む。
【0016】
最後の変形の好ましい実施形態では、放射線検出器は、前記衝突放射線の線量および/または線量率を決定するように構成されたマイクロコントローラを含む。この実施形態によれば、低光子束線量計が得られる。
【0017】
最後の変形の好ましい別の実施形態では、放射線検出器は、前記衝突放射線のスペクトルを決定するように、および/または前記放射線を生成する放射性同位体もしくは複数の放射性同位体を決定するように構成されたマイクロコントローラを含む。
【0018】
本発明のさらに別の実施形態では、放射線検出器は、第1の感知面積を有する検出器画素の第1の群と、第2の感知面積を有する検出器画素の第2の群とを含み、第1の感知面積は、第2の感知面積よりも大きく、それによって第1の群は、低線量率の放射線を測定し、第2の群は、高線量率の放射線を測定する。
【0019】
最後の実施形態では、前記第1の群は、前記電気パルスを収集するための画素電極を有する画素を含んでもよく、ガード電極が前記画素電極に隣接し、一定電位に接続され、それによって前記センサの感知体積は、制限される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による放射線検出器の概略上面図である。
【図2】図1の放射線検出器の断面の概略側面図である。
【図3】図1の放射線検出器の別の断面の概略側面図である。
【図4】検出器画素の断面の概略側面図である。
【図5】検出器画素の画素電子回路の概略ブロック図である。
【図6】検出器画素の画素電子回路の変換ユニットの概略ブロック図である。
【図7】検出器画素の画素電子回路の時間決定ユニット51の概略ブロック図である。
【図8】検出器画素の画素電子回路のイベント計数ユニットの第1の実施形態の概略ブロック図である。
【図9】検出器画素の画素電子回路のイベント計数ユニットの第2の実施形態の概略ブロック図である。
【図10】線量測定で使用されるべき放射線検出器の検出器画素配列のイベント計数ユニットのしきい値設定の分布の例の概略図である。
【図11】線量測定で使用されるべき検出器画素配列のイベント計数ユニットの2つのしきい値設定の分布の別の例の概略図である。
【図12】検出器画素配列上の2種類の検出器画素の分布の例の概略図である。
【図13】検出器画素配列上の2種類の検出器画素の分布の別の例の概略図である。
【図14】線量率に関して高い上限の測定範囲を持ち、X線管の加速電圧の不感時間のない測定を行う能力を持つ線量計またはkVp計測器で使用されるべき検出器-吸収体組合せの特別な実施形態の概略図である。
【図15】線量率に関して高い上限の測定範囲を持ち、粒子エネルギーに関して高い上限の測定範囲を持ち、X線管の加速電圧の不感時間のない測定を行う能力を持つ線量計またはkVp計測器で使用されるべき検出器の特別な実施形態の概略図である。
【図16】本発明による放射線検出器を使用する線量計を例示する図である。
【図17】本発明による2つの検出器を使用する、吸収体が検出器の1つの上に置かれる別の線量計を例示する図である。
【図18】本発明による放射線検出器を使用する、吸収体が放射線検出器の検出器画素の一部分の上に置かれるさらに別の線量計を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
検出器の機械的機構
図1は、複数の個別の検出器画素3によって形成される検出器画素配列2を含む放射線検出器1の概略上面図である。読み出しユニット4は、検出器画素配列2の側部に配置される。図2、3および4を参照すると、放射線検出器1は、次の構成要素を含む、即ち、
- センサ20。センサは、光子によって衝突されるとき電荷担体を生成する半導体材料で作られてもよい。シリコン、ヒ化ガリウム、テルル化カドミウム、テルル化カドミウム亜鉛またはヨウ化水銀が、センサ材料として使用されてもよい。センサ材料は、複数の検出器画素3の上に広がってもよい。
- センサ20の上に広がる上部電極22。上部電極は、炭素または銅で作られる、導電性材料の薄い層である。
- 複数の画素電極21。画素電極は、単一の検出器画素の上だけに広がる。電圧は、センサ20に衝突する光子によって生成される電荷を収集するために上部電極22と画素電極21との間に印加される。
- 検出画素3ごとに関連し、対応する画素電極21に接続される画素電子回路24。画素電子回路24は、検出器画素の占有面積内に置かれる。
- 検出器画素配列2の側部に配置される読み出しユニット4。
画素電子回路24および読み出しユニット4は、単一の特定用途向け集積回路(ASIC)25として実現される。検出器画素3の感知体積は、画素電極21の包囲面積とセンサ20の上側との間のセンサ20体積によって形成される。
【0022】
画素電子回路
図5および図6を参照して、画素電子回路が述べられる。センサ20内で光子または粒子の反応によって生成される、各検出器画素3内の画素電極21から来るアナログ信号は、画素電子回路24内の変換ユニット50に転送される。変換ユニット50は、後の本明細書で説明されるようにアナログ信号をデジタル信号に変換する。変換ユニット50では最初にアナログ処理ユニット62が、測定信号を処理する。例えば信号は、アナログ処理ユニット62によって増幅され、パルス整形される。アナログ処理ユニット62の出力は、変換ユニット50の弁別器63で調節可能しきい値と比較される。弁別器63のしきい値は、アナログ処理ユニット62の出力信号の雑音レベルより上に設定される。しきい値は、検出器画素3のセンサ20内のエネルギー蓄積Ethrに対応する。しきい値は、最大期待粒子エネルギーより下に設定される。各画素電子回路24は、補正ユニット64を含み、それは、異なる検出器画素3の弁別器63のしきい値の調節が行えるように、しきい値を修正することができる。補正ユニット64は、検出器画素配列2の周辺と信号接続している。検出器画素配列2の外部から各検出器画素3に与えられ、補正ユニット64に保存されるデジタル信号は、弁別器63のしきい値の位置を修正する電気信号、例えば電圧レベルを補正ユニット64で生成する。異なる検出器画素の異なる弁別器63のしきい値の調節は、補正ユニット64に送られ、その中に保存される高度な処理能力を持つ組のデジタル信号を選択することによって得られる。しきい値は、アナログ処理ユニット62の出力の雑音レベルを使用してまたは信号接続61もしくは67を通じて注入されるノルム信号を使用して調節されてもよい。弁別器63の出力信号の継続時間は、アナログ処理ユニット62の出力信号の強度が弁別器63のしきい値よりも高い間の時間と一定の関係を有する。例えば弁別器63の出力信号は、弁別器63の入力信号がしきい値よりも上である間と同じぐらい長い。変換ユニット50は、アナログ処理ユニット62の出力信号がしきい値よりも上である時間が、変換ユニット50の入力信号の強度と一定の関係を有する方法で設計され、実施される。したがって弁別器63出力信号の継続時間は、検出器画素3内のエネルギー蓄積EEventと一定の関係にある。
【0023】
ノルム信号
図6を参照すると、画素電極21内の粒子反応誘起信号と同様の形状を有するノルム信号は、信号接続61を通じて各検出器画素3のアナログ処理ユニット62の入力に注入されてもよくまたは信号接続67を通じて各検出器画素3の弁別器63の入力に注入されてもよい。ノルム信号は、周知の強度を有する。その強度は例えば、信号接続61が使用される場合、アナログ処理ユニット62への信号接続23を通じての検出器画素3のセンサ20内での粒子の反応後の最大電流値もしくは全電荷の流れ、または信号接続67が使用される場合、粒子反応後の画素電極21内の信号のアナログ処理ユニット62でのアナログ処理後の対応する値とすることができる。理想的にはノルム信号は、すべての検出器画素3に対して同一である。
【0024】
時間決定ユニット
各検出器画素3は、その画素電子回路24内に時間決定ユニット51を有する。各時間決定ユニット51は、信号接続55を通じてクロック信号を供給される。例えばクロック周波数100MHzが使用される。例えばクロックパルスは、検出器画素配列2の各列の上部で検出器画素配列2に注入され、クロックパルスは、列内で1つの検出器画素3から次の検出器画素3に転送される。高いエネルギー分解能を得るためには、高いクロック周波数が使用されてもよく、または弁別器63出力信号の継続時間は、長くなければならない。弁別器63の長い出力信号長の欠点は、最大処理可能計数率が低減されることである。高いクロック周波数が使用される場合、好ましくは、検出器は、列を通るそれらの転送中のクロックパルス端部の不鮮明化を避けるために少数の行を有する。
【0025】
時間決定ユニット51は、本発明者らが時間カウンタ70と呼ぶカウンタを有する。時間カウンタ70は、弁別器63の出力信号が時間カウンタ70の入力に現れた後クロックパルスを数え始める。時間カウンタ70は、弁別器63の出力信号が時間カウンタ70の入力に見えなくなった後クロックパルスを数えるのを停止する。
【0026】
したがって、センサ20内での粒子の反応後に時間カウンタ70によって数えられるクロックパルス数は、画素電子回路24の入力信号の強度と一定の関係を有し、したがって検出器画素3の感知体積内に蓄積されたエネルギーと一定の関係を有する。粒子の全運動エネルギーが1つの検出器画素3内に蓄積される場合、検出器画素3での計数クロックパルス数は、粒子の運動エネルギーに対応する。
【0027】
時間カウンタ70によって数えられる計数クロックパルス数は、TEventとして表示されるものとする。時間カウンタ70の出力信号は、デジタルであり、TEventに対応する。
【0028】
イベント計数ユニット
発明となるステップは、センサ20内での粒子の各反応後に各画素電子回路24で測定されるしきい値超え時間で「デジタル弁別」を行うことである。本発明者らに周知の従来技術のすべての検出器画素配列は、アナログ測定信号を異なる弁別器で異なるしきい値と比較することによってエネルギー蓄積スペクトルを導き出している。「デジタル弁別」の目的は、TEventとして測定される検出器画素3内のエネルギー蓄積をエネルギー間隔に割り当て、同時に測定段階中にその間隔内のエネルギー蓄積を持つイベント数を数えることである。
【0029】
アナログ処理ユニット62後のアナログ処理された測定信号の時間カウンタ70で測定されるデジタル時間信号への変換、それに続く時間カウンタ70の信号出力のデジタルしきい値との比較、それに続くイベント計数ユニット52でのイベントの計数は、線量測定に対していくつかの利点を有することになる。1つの利点は、しきい値がイベント計数ユニット52に送られ、その中に保存されるので、エネルギー間隔設定に柔軟性があることである。デジタル方式でのしきい値のプログラミングは、しきい値を設定する非常に柔軟な方法である。これは、多数の検出器画素3を持つ検出器画素配列2においておよび多くのエネルギー間隔を必要とする場合に重要な利点である。別の利点は、1つのアナログ処理ユニット62および1つの弁別器63だけが各検出器画素3に存在するという事実によって検出器画素配列2の電力消費が低減することである。
【0030】
TEventとして表示される、時間カウンタ70によって数えられるクロックパルス数は、画素電子回路24内で異なる方法で処理されてもよい。
【0031】
例えば画素電子回路24の1つのユニット、いわゆる切り換えユニット80は、イベントがどのエネルギー間隔に割り当てられるかを決定する。すべてのデジタルしきい値についての情報を含むデジタル信号は、測定の前にデジタル方式で切り換えユニット80に送られる。この情報は、切り換えユニット80に保存される。
【0032】
最初に切り換えユニット80を使用するこの動作原理が述べられる。
【0033】
時間カウンタ70で数えられるクロックパルス数は、時間カウンタ70の出力に信号接続している切り換えユニット80で少なくとも2つの異なる全数Ti(i=1、2、3、…、imax)と比較される。例えば、数mを持つ検出器画素3では16数Tmiとの比較が行われる。各数Tmiは、検出器画素3のセンサ20内のエネルギー蓄積Emiに対応する。数Tmiは、測定の前に切り換えユニット80に転送され、切り換えユニット80に保存される。本発明者らは、すべての1<i<(imax-1)に対してTmi<Tmi+1を仮定する。加えて本発明者らは、すべての1<i<(imax-1)に対してEmi<Emi+1を仮定する。数Tmiは、デジタルしきい値である。
【0034】
測定時間は、検出器画素配列2の読み出し段階によって分離される測定段階から成る。動作原理1での切り換えユニット80では、時間カウンタ70の出力に現れるデジタル信号TEventを含む間隔[Tmj、Tmj+1]は、デジタル信号TEventとすべてのTmjとの間の比較を通じて決定できる。1つのjは、Tmj<=TEvent<Tmj+1を満たす。そのようにして切り換えユニット80は、どのエネルギー間隔で検出器画素3内の処理イベントのエネルギー蓄積EEventが見いだされるかを、即ちEmj<=EEvent<Emj+1を決定する。
【0035】
切り換えユニット80は、各検出器画素3内で、イベントカウンタ82と名付けられるものとするカウンタに接続される。
【0036】
動作原理1では切り換えユニット80は、信号をイベントカウンタ82jに送る。イベントカウンタ82jは次いで、1だけ増分される。したがってイベントカウンタ82jは、検出器画素3内でEj+1>EEvent>Ej>Ethrであるエネルギー蓄積EEventを数える。測定段階の終わりにイベントカウンタ82でのイベントの計数は、停止される。測定段階の終わりに検出器画素3mのイベントカウンタ82iでのカウント数Nmiは、すべてのiに対して検出器画素3m内でEmiとEmi+1との間のエネルギーを蓄積させた粒子数である。検出器画素3m内のiシリーズのカウンタ値Nmiはそのとき、検出器画素3m内の衝突放射線のエネルギー蓄積スペクトルの標本化版(NPixeldeposition)miである。
【0037】
検出器画素3の画素電子回路24はまた、時間カウンタ70の出力に現れる各デジタル信号TEventに対してTmj<TEventが真である場合の最大数jが決定される動作原理2で動作することもできる。
【0038】
動作原理2では切り換えユニット80は、i<=jであるすべてのイベントカウンタ82iに信号を送る。i<=jであるすべてのイベントカウンタ82iは、1だけ増分される。イベントは、いくつかのイベントカウンタ82でこのようにして数えられる。動作原理2では、検出器画素3mのイベントカウンタ82iのカウント数Nmiは、検出器画素3内でEmiよりも大きいエネルギーを蓄積させた粒子数である。検出器画素3m内のiのシリーズとしてのエネルギー蓄積スペクトルの標本化(NPixeldeposition)miは、その後のカウンタのカウント数を引くことによって導き出される、即ち(NPixeldeposition)mi=Nmi-Nmi+1である。
【0039】
次に本発明者らは、イベント計数ユニット52内で複写ユニット90および比較ユニット91を使用する動作原理を述べる。
【0040】
エネルギー蓄積EEventがどのエネルギー蓄積間隔内にあるかの決定は、検出器画素3のイベント計数ユニット52内のいくつかの比較ユニット91で別々に行われる。これをするために、時間カウンタ70の出力信号は、複写ユニット90で複写ユニット90のいくつかの出力に複写される。複写ユニット90は、信号の複写を同時にイベント計数ユニット52内のいくつかの比較ユニット91に送る。デジタルしきい値についての情報を含む信号は、測定段階の開始の前に比較ユニット91に送られ、その中に保存される。
【0041】
複写ユニット90は、imax個の比較ユニット91への信号接続を有する。時間カウンタ70での計数クロックパルス数は、各検出器画素3mの各比較ユニット91で全数Tmi(i=1、2、3、…、imax)と比較される。例えば16個の比較ユニット91が、各画素電子回路24内に存在する。数Tmiは、デジタルエネルギーしきい値であり、エネルギー蓄積間隔を定義する。数Tmiは、測定段階の開始の前にデジタル方式で比較ユニット91に送られ、その中に保存される。本発明者らは、すべての1<=i<=(imax-1)に対してTmi<Tmi+1を仮定する。さらに、それは、すべての1<=i<=(imax-1)に対してEmi<Emi+1であり、ただしEmiは、Tmiに対応するエネルギー蓄積である。検出器画素3mの各比較ユニット91iは、比較を行い、Ethrよりも大きなエネルギー蓄積を持つイベントに対してTmi<TEventが真であるかどうかを決定する。これが真である場合、比較ユニット91iに接続されるイベントカウンタ82iは、1だけ増分される。各比較ユニット91に信号接続している1つのイベントカウンタ82がある。したがって衝突粒子は、比較ユニット91がTmi<TEventが真であると決定するすべてのイベントカウンタ82で数えられる。測定段階の終わりにイベントカウンタ82でのイベントの計数は、停止される。検出器画素3mのイベントカウンタ82iのカウント数Nmiはそのとき、検出器画素3m内のエネルギー蓄積がEmiよりも大きい粒子数である。検出器画素3m内のiのシリーズとしてのエネルギー蓄積スペクトルの標本化(NPixeldeposition)miは、その後のカウンタのカウント数を引くことによって導き出される、即ち(NPixeldeposition)mi=Nmi-Nmi+1である。
【0042】
比較ユニット91でTEventを2つの全数Tmilow(i=1、2、3、…、imax)およびTmihigh(i=1、2、3、…、imax)と比較を行うこともまた可能である。Tmjlow<=TEvent<=Tmjhighが真である場合、比較ユニット91jに接続されるイベントカウンタ82は、1だけ増分される。その結果エネルギー間隔内のイベントを数えることが可能である。
【0043】
上で述べられたデジタル弁別および計数の原理は、いくつかのエネルギー蓄積間隔内のエネルギー蓄積を持つ粒子の計数を同時に可能とする。
【0044】
すべての原理について、TEventのデジタルしきい値との比較が行われ、イベントが最終的に数えられた後に時間カウンタ70は、ゼロに設定される。時間カウンタ70はそのとき、センサ20内の次の反応粒子のTEventを決定する準備ができている。
【0045】
図10は、検出器画素配列2上のデジタルエネルギーしきい値の分布を概略的に示し、ここでデジタルエネルギーしきい値の組は、M1(110)として表示され、M1={Ti|i=1、…、imax}である。M1は、すべての検出器画素3に対して同一である。X線撮像ではimax=8およびM1={10keV、30keV、50keV、70keV、90keV、110keV、130keV、150keV}は、例えば1つの可能な選択である。
【0046】
線量測定では、異なる検出器画素3m内で異なるデジタルエネルギーしきい値Tmiを使用することが可能である。いくつかの組のデジタルしきい値が検出器画素配列2内で使用される場合、線量測定がより正確であるということを実現することは、発明となるステップである。図11は、検出器画素配列2内のデジタルしきい値の2つの組M2(120)およびM3(121)の分布を概略的に示す。1つの組のしきい値は、もう1つの組のしきい値の間にあるように選択される。所与の幅の全エネルギー蓄積範囲および所与の数imaxのしきい値に対して、全検出器画素配列2のしきい値を用いたエネルギー蓄積スペクトルの標本化はより微細であるので、より高い精度の決定線量が取得可能である。放射線診断応用での線量測定で使用されるべきしきい値およびしきい値の組の数に対する1つの可能な例は、imax=8ならびにM2={10keV、30keV、50keV、70keV、90keV、110keV、130keV、150keV}およびM3={20keV、40keV、60keV、80keV、100keV、120keV、140keV、160keV}である。
【0047】
本発明の画素設計を使用することによって、各画素に対して定義されたしきい値の組を用いて、画素のそれぞれ内で複数のエネルギービンへのデジタル弁別を別々に行うことができる多用途の検出器配列を得る。
【0048】
読み出しユニット
時間カウンタ70でまたはイベントカウンタ82で測定されたデータの転送は、いくつかの動作原理で行われてもよい。すべての動作原理の共通の特徴は、時間カウンタ70またはイベントカウンタ82のカウンタ値が、カウンタ値が完全に読み出しユニット4に転送される場合、ゼロに設定されるということである。
【0049】
例えば全検出器画素配列2内でのイベントの計数は、検出器画素配列2の周辺からの信号の出現時に停止される。カウンタ値の読み出しユニット4への次の転送中は検出器画素配列2内でのイベントの計数は、抑制される。そのとき検出器画素3からのカウンタ値の読み出しユニット4への転送が、実行される。例えば時間カウンタ70またはイベントカウンタ82は、このカウンタ値転送中はシフトレジスタとして働いてもよい。1つの行内のすべてのカウンタ値は、ビットごとに同時に読み出しユニット4に移されてもよい。読み出しユニット4は、行ごとにカウンタ値を受け取る。この動作原理の欠点は、検出器画素配列2が、カウンタ値を読み出しユニット4に移している間は、イベントカウンタ82または時間カウンタ70でイベントを数えることができないことである。検出器1の不感時間が生じる。
【0050】
各検出器画素3の画素電子回路24内に2*imax個のイベントカウンタ82または2つの時間カウンタ70を有することによって不感時間を避けることが可能である。2つの組のカウンタは、それらのしきい値に関して同一である。1つの組は、アクティブであり、粒子を数えることができ、一方もう1つの組のカウンタ値は、読み出しユニット4に転送される。この解決策の欠点は、検出器1の設計の複雑さの増加および電力消費の増加である。
【0051】
全検出器の不感時間を避けるための別の可能性は、それらのイベントカウンタ82のカウンタ値が読み出しユニット4に転送される間は、検出器画素(134)の1つの群(112)内での粒子の計数を抑制することである。この転送中に検出器画素3の別の群(113)のイベントカウンタ82は、イベントを数えている。群(113)のイベントカウンタ82は、群(112)のイベントカウンタ82のカウンタ値の転送が終えられた瞬間に粒子の計数を停止する。群(112)のイベントカウンタ82は次いで、イベントを数えるためにアクティブであり始める。群(113)のイベントカウンタ82内のカウンタ値は次いで、読み出しユニット4に転送される。群(112)および(113)だけでは、不感時間なしで動作していないが、それらの組合せは、不感時間なしである。全検出器画素配列2は、常にイベントを数えることができる。
【0052】
別の読み出し原理は、いつも検出器画素配列2の1つの列(122)だけが、そのカウンタ値のその転送段階にあるということである。この列(122)のイベントカウンタ82または時間カウンタ70は、列(122)の転送段階中はイベントを数えていないまたは記録していない。検出器画素配列2のすべての他の列は、列(122)の転送段階中にイベントを数え、記録することができる。列(122)のカウンタ値の転送が終えられた後、列(122)のカウンタは、アクティブであり、数えることができる。次いで別の列(123)のカウンタ内でのイベントの計数および記録は、抑制され、列(123)のカウンタ値は、読み出しユニット4に転送される。このようにしてすべての列は、引き続いて読み出される。この読み出し案は、線量計での使用にとって好ましい。その理由は、いつも検出器画素配列2の一部分が、イベントを記録することができるからである。したがって、例えばX線応用で生じる非常に短い放射線暴露でさえ測定することが可能である。そのとき線量計は、不感時間なしである。
【0053】
読み出しユニット4はまた、必要な電流または電圧、弁別器63内のしきい値のための参照信号、時間カウンタ70のためのクロック信号およびカウンタ値の転送のための信号を検出器画素電子回路24に供給している。読み出しユニット4はまた、デジタルしきい値についての情報を含む信号を切り換えユニット80または比較ユニット91に送りもする。
【0054】
線量測定のための活動信号(図14、16、17、18)
検出器画素配列2の読み出し周波数は、検出器1の電力消費に影響を及ぼす。低い読み出し周波数は、低い電力消費をもたらすが、高線量率の場合にはイベントカウンタ82の計数範囲は、2つの読み出し段階の間のすべてのイベントを数えるには十分でない可能性がある。それ故に、読み出し周波数が低すぎる場合、線量率に関する測定範囲は、制限されることになる。
【0055】
発明となるステップは、読み出し周波数を実際のイベント率、したがって線量率に依存させることである。
【0056】
これをするために、検出器画素3のカウンタは、最小周波数で読み出される。例えば読み出しは、毎秒ごとに行われてもよい。ほとんどの時間、検出器1がアクティブな個人線量計で使用される場合、秒当たり数イベントが期待されるだけである。検出器画素配列2内には、計数イベント率に依存し、したがって線量率に依存する、活動信号と呼ばれる信号を生成する、活動検出器画素(151)と呼ばれるものとする少なくとも1つの検出器画素3がある。
【0057】
1つの特別な検出器画素(151)内の1つのイベントカウンタから、その他のイベントカウンタからとは異なるような活動信号を得ることが可能である。この特別なイベントカウンタは、自己清算カウンタとして実現されてもよい。活動信号は、線量率が事前定義値を超える場合、検出器画素(151)の1つの出力に現れる。活動信号は、読み出しユニット4に到達する。活動信号が出現すると、検出器画素配列2の読み出し段階は、始動され、読み出し周波数は、しばらくの間増加される。
【0058】
完全なセンサ20を貫流する電流の測定によって、活動を監視する信号を生成することもまた可能である。センサ20を貫流する電流は、線量率に依存している。センサを貫流する電流は、線量計の特別な電子ユニットで測定されてもよい。電流が事前定義値を超える場合、検出器1の読み出しは、始動され、読み出し周波数は、しばらくの間増加される。
【0059】
マイクロコントローラ(186)は、線量計のすべての電気部品を制御すること、読み出しユニット4からそれに転送されるカウンタ値の分析および保存、線量値の計算ならびにディスプレイ(180)での測定値の表示に関与する。マイクロコントローラ(186)はまた、線量計内の電子回路の電力消費にも大きく寄与している。電力消費を低減するために、マイクロコントローラは、検出器1の読み出し段階の間は電力節約モードにある。マイクロコントローラ(186)は、活動信号の出現時にまたは通常の低周波数読み出し時に動作モードに切り替わる。マイクロコントローラ(186)は、検出器1のカウンタの読み出しを始動させ、読み出しユニット4からデータを受け取り、データ分析を行い、ディスプレイを更新し、最終的に読み出し周波数を修正する。
【0060】
時間カウンタ読み出しおよび同位体識別
オプションとしてイベントカウンタ82または時間カウンタ70が読み出されるような方法で検出器画素配列2を実現することが可能である。時間カウンタ70の読み出し原理は、上で述べられたイベントカウンタ82の読み出し原理と似ている。
【0061】
時間カウンタ70の読み出しは、線量計においてまたは放射線放出物質の組成を決定するための装置において低線量率で使用されてもよい。
【0062】
測定段階中に取得されたすべての検出器画素3の時間カウンタ値がマイクロコントローラ186に転送された後、マイクロコントローラ186は、いわゆる時間画像を分析する。時間画像は、検出器画素3の列数および行数の時間カウンタ70内のそれらの値へのマッピングである。本発明者らは、1つの時間画像内で非ゼロのカウンタ値を示す検出器画素3の数が少ないように低線量率を仮定する。
【0063】
低線量率では、時間画像内で時間カウンタ70が非ゼロ値を示す検出器画素3の数は、少ない。マイクロコントローラは、時間画像内で非ゼロのカウンタ値を示す隣接検出器画素3の群を探索するアルゴリズムを実行する。これらの群は、ヒット群と名付けられるものとする。測定段階の長さは、時間画像内の異なるヒット群が共通の検出器画素3を有さないように短く選択されるべきである。このようにしてヒット群は、分離される。
【0064】
画素化検出器では、センサ20内で生成される二次コンプトン電子の伸長経路長またはセンサ20内での電荷担体の拡散のような過程は、隣接検出器画素3間での電荷担体の分布をもたらす。より正確なエネルギー蓄積値を決定するためには、1つの衝突粒子によって蓄積される隣接画素のエネルギー蓄積は、検出器1の読み出し後にマイクロコントローラ(186)内で加えられるべきである。
【0065】
したがって検出器画素3の時間カウンタ70のカウンタ値は、各ヒット群に対して別々に加えられる。
【0066】
マイクロコントローラは、各検出器画素3に対する参照テーブルまたは公式にアクセスする。この参照テーブルまたは公式は、各検出器画素3の時間カウンタ70で数えられるクロックパルス数と対応するエネルギー蓄積との間の関係を作成する。この関係は、列mおよび行n内の検出器画素3に対してEdepos=fm、n(TEvent)と表示されるものとする。各検出器画素3に対してfm、nは、周知のエネルギーを持つ放射線を使用する、シミュレーションツールを使用するまたは上述のノルム信号を使用する較正手順を通じて周知である。
【0067】
fm、n(TEvent)を使用するエネルギー蓄積Edeposの計算は、弁別器63のしきい値内でのエネルギー位置の変化またはアナログ処理ユニット62の増幅もしくはパルス整形特性の変化を補正する必要があるかもしれない。
【0068】
ヒット群の検出器画素3がそれらの列miおよび行ni(i=1、…、z)によって特徴づけられる、z個の検出器画素3から成るヒット群のセンサ体積内の全エネルギー蓄積Eはそのとき、
【0069】
【数1】

【0070】
であり、ただし列miおよび行ni内の検出器画素3の時間カウンタ70は、
【0071】
【数2】

【0072】
の計数クロックパルスを有する。
【0073】
検出器1のエネルギー分解特性および決定エネルギー蓄積スペクトルの品質は、この参照テーブルまたは公式fを使用して改善できる。
【0074】
検出器1のこの方法および実施形態を用いて各検出粒子のエネルギー蓄積が決定できる。マイクロコントローラ(186)は次いで、あるエネルギー蓄積間隔内のイベント数のヒストグラムを取得する。このヒストグラムの統計は、測定時間中の異なる測定段階のヒストグラムエントリを合計することによって改善される。このエネルギー蓄積スペクトルは、DE102006006411.9で述べられている方法を使用して線量値を決定するために使用されてもよい。センサ20内での電荷担体分布効果の影響が、ヒット群内のエネルギー蓄積を合計することによって最小化されるという事実によって、測定線量値の系統誤差は、低減される。この利点は、ヒット群内での合計が機能する低線量率において重要となり得る。
【0075】
同位体識別の目的は、測定される放射線を放出する核種を決定することである。決定されるべき同位体は、特性放射線を放出する。この放射線は、原子核崩壊からの特性エネルギーを持つ蛍光光子、特性エネルギーを持つ崩壊光子、特性エネルギーを持つアルファ粒子または特性最大エネルギーを持つ電子から成る可能性がある。測定エネルギー蓄積スペクトルの比較は、マイクロコントローラ内でまたは接続されたコンピュータ内で、モデルを用いてシミュレーションされたまたは周知の放射線場を用いた測定で得られたエネルギー蓄積スペクトルと比較されてもよい。モデルを用いてシミュレーションされたまたは周知の放射線場を用いた測定で得られたエネルギー蓄積スペクトルは、較正スペクトルと呼ばれるものとする。較正スペクトルの一次結合への測定エネルギー蓄積スペクトルのデコンボリューションが、行われてもよい。このデコンボリューション法は、疑似逆行列または最尤法または反復減算法を使用することができる。
【0076】
デコンボリューションを行う代わりに、測定エネルギー蓄積スペクトル内で極大を識別し、参照テーブル内での極大のエネルギー位置を同位体の特性輝線と比較することが可能である。
【0077】
検出器画素の感知面積(図12〜13)
高線量率では単一検出器画素3の計数率は、高い可能性がある。例えば、220μm辺長を持つ正方形領域検出器画素3および1000μm厚さを持つシリコン層から成るセンサ20の計数率は、1Sv/hの低光子エネルギーに対して100kHzよりも高い。そのような高計数率は、カウンタ82の容量を超える可能性がある。線量率における測定範囲を広げるために、検出器画素配列2は、異なる感知面積を持つ検出器画素3から構築できる。大感知面積検出器画素3内のイベントカウンタ82でのカウント数は、低線量率の線量を決定するために使用できる。小感知面積検出器画素3内のイベントカウンタ82でのカウント数は、高線量率の線量を決定するために使用できる。線量計で使用されるべき検出器画素3の感知面積の典型的な組合せは、220μm×220μmおよび55μm×55μmである。図12は、検出器画素配列2内に異なる感知検出器画素面積を実現するための第1の可能性を示す。検出器画素3がそれらの画素電極21間のある距離およびそれらの画素電極21のある面積を有する検出器画素配列2内の検出器画素3の第1の群131ならびに検出器画素3がそれらの画素電極21間の別の距離およびそれらの画素電極21の別の面積を有する検出器画素配列2内の検出器画素3の第2の群132を有することによって、異なる感知面積を持つ異なる種類の検出器画素3を実現する。図13は、検出器画素配列2内に異なる感知検出器画素面積を実現するための別の可能性を示す。これは、これらの圧縮検出器画素140内のセンサ20の底部にガードリングを使用することによって検出器画素の第1の群141内のいくつかの検出器画素140の感知センサ体積を圧縮することによって行われる。このガードリングは、これらの圧縮検出器画素140のセンサ20内のドリフト電界が通常の検出器画素と比較して制限されるように、画素電子回路を通じて専用電気接続によって定義済み電位に接続される。ガードリングの寸法は、検出器画素140の必要な感知面積に適合される。検出器画素3の第2の群142内では、画素は、非圧縮センサ体積を有し、より低い線量率を測定するように構成される。
【0078】
線量計およびkVp計測器での使用(図14〜18)
この発明の特別な実施形態では検出器1は、時間の関数として線量およびX線管の加速電圧の両方を測定するための1つの単一装置で使用されてもよい。
【0079】
時間の関数として管電圧を測定するために、光子束がX線照射中は高いという事実によって、少数の検出器画素3から引き渡されるデータだけが必要とされる。小さな感知面積は、最大光子エネルギーの決定で必要とされる統計的有意性を得るために十分である。必要とされる時間分解能約1msecを得るために、検出器画素配列2内の一部の検出器画素3のイベントカウンタ82だけが、読み出される。
【0080】
例えば少数の列だけが、読み出される。例えば列(155)および(156)は、エネルギー蓄積スペクトルの連続測定をするために交互方式で読み出される。エネルギー蓄積スペクトル内で見いだされる最大エネルギー蓄積は、X線管の電圧に対応する。
【0081】
列(155)の検出器画素3は、イベントの検出のためにアクティブにされる。上で述べられたようにエネルギー蓄積スペクトルは、列(155)内の検出器画素3のイベントカウンタ82でデジタル弁別法を使用して測定される。列(155)のイベントカウンタ82でのイベントの計数は、測定段階の終わりに停止される。列(155)のイベントカウンタ82でのカウント数は、読み出しユニット4に転送される。カウント数は次いで、マイクロコントローラ(186)に転送される。
【0082】
マイクロコントローラ(186)は、エネルギー蓄積スペクトル内の最大エネルギーを決定する、即ちそれは、非ゼロのカウント数を示す最高エネルギー間隔を決定する。
【0083】
次いで決定最大エネルギーのより微細な標本化およびより高い精度を得るために、列(155)のイベントカウンタ82に関係するデジタルしきい値を適合させることが可能である。
【0084】
列(155)のイベントカウンタ82のカウンタ値の読み出しユニット4へのおよびマイクロコントローラ(186)への転送中は、列(156)の検出器画素3は、アクティブであり、そのイベント計数ユニット52のデジタルしきい値によって定義されるエネルギー蓄積間隔内のイベント数を数える。列(156)のイベントカウンタ82でのイベントの計数は、列(156)の読み出し中は抑制される。同時に列(155)内のイベントカウンタ82は、計数を再び開始する。列(156)からのデータは、先の列(155)のデータと同様に読み出され、それらは、マイクロコントローラ(186)によって分析される。
【0085】
より小さな感知面積を持つ検出器画素(140)が列(155)および(156)で使用される場合、さらにより高い光子束でのエネルギー蓄積スペクトルの標本化が、得られてもよい。
【0086】
光子束を低減するために、列(155)および(156)の前に吸収体を置くこともまた可能である。最大エネルギー蓄積、したがって管電圧の決定値は、これによって影響されない。
【0087】
4つの列(160)(161)(162)(163)を使用することもまた可能であり、ここで列(160)および(161)の前には1つの吸収体(165)が置かれ、列(162)および(163)の前には別の吸収体(166)が置かれる。吸収体(165)および(166)は、それらの材料組成またはそれらの厚さが異なる。各吸収体は、特有の方法で透過スペクトルを修正する。その結果列(160)および(161)内のイベントカウンタ82で測定されるエネルギー蓄積スペクトルを列(162)および(163)内のイベントカウンタ82で測定されるエネルギー蓄積スペクトルと比較することが可能である。そのようにして最大粒子エネルギーに関する測定範囲は、より高い粒子エネルギーまで拡大できる。
【0088】
列(160)および(161)は、交互方式でイベント数を数えている。列(162)および(163)は、交互方式でイベント数を数えている。列(160)内のイベントカウンタ82は、列(162)内のイベントカウンタ82が数えているときに数えている。列(161)内のイベントカウンタ82は、列(163)内のイベントカウンタ82が数えているときに数えている。各瞬間に、2つの列内のイベントカウンタ82は、数えている。各瞬間に、2つの列内のイベントカウンタ82は、読み出しユニット4またはマイクロコントローラ(186)に転送される。それ故に、不感時間のない測定が得られる。
【0089】
温度監視装置(図14)
環境温度の変化または検出器1での強い電気的活動は、検出器画素配列2内の温度を修正する。これは、弁別器63のしきい値の変化、補正ユニット(64)での補正電圧の変化またはアナログ処理ユニット62の特性の変化をもたらす。マイクロコントローラ(186)での測定線量値の表示を補正するために、温度依存信号を測定することは、道理にかなっている。
【0090】
検出器画素配列2内の温度が補正されるべき関連温度であるという事実によって、検出器画素配列2内の温度センサを使用することは、道理にかなっている。
【0091】
温度監視のために使用されるべき信号は、少なくとも1つの検出器画素(152)内のアナログ処理ユニット62または弁別器63から取得される特性電流または電圧とすることができる。測定の前に、この温度信号の強度への補正されていない決定線量値の依存性が、マイクロコントローラ(186)で測定され、保存される。マイクロコントローラ(186)は、この依存性に従って表示線量値を修正する。
【0092】
少なくとも1つの検出器画素(153)に信号接続(61)または(67)を通じてノルム信号を絶えず供給することもまた可能である。この検出器画素(153)内のカウンタでのカウント数が、温度信号である。測定の前に、この温度信号の強度への決定線量値の依存性が、測定される。マイクロコントローラ(186)は、検出器画素(153)のイベントカウンタ82または時間カウンタ70内のデータを分析し、表示線量値への必要な補正を決定する。イベントカウンタ82が使用される場合、ノルムパルスに対する時間カウンタ値の期待値周辺のデジタルしきい値の微細間隔が、イベント計数ユニット52に与えられる。測定の前に、検出器画素(153)のカウンタ値への補正されていない決定線量値の依存性が、マイクロコントローラ(186)で測定され、保存される。
【0093】
入射放射線の線量またはエネルギースペクトルを決定する方法
全検出器画素配列2を用いて測定されるエネルギー蓄積スペクトルNiは、それらのイベント計数ユニット52に与えられる同じエネルギー間隔を有するすべてのmmax個の検出器画素3の上述のエネルギー間隔で数えられるイベント数を合計することによって計算される、即ち、
【0094】
【数3】

【0095】
である。ここで本発明者らは、(NPixeldeposition)miがこれらの合計に寄与するすべてのiおよびすべての検出器画素3mに対してEmi=Em+1iと仮定する。したがって本発明者らは、すべてのiおよびすべてのmに対してEi:=Emiと定義する。
【0096】
iのシリーズとしてのNiは、離散形での総測定エネルギー蓄積スペクトルである。Niは、間隔[Ei;Ei+1]内のエネルギー蓄積を持つ計数イベント数である。
【0097】
エネルギーEjmonoの単一エネルギー放射線のエネルギー蓄積スペクトルは、Mijと名付けられるものとする。Mijは、iのシリーズである。エネルギー蓄積スペクトルMijは、単一エネルギー放射線のもとでのシミュレーションまたは測定で使用される粒子数による割り算を通じて正規化される。指数iは、エネルギー蓄積スペクトル内での位置を表す。指数jは、一次エネルギーEjmonoの指数である。Mijは、エネルギーEjmonoの入射粒子がエネルギー蓄積間隔[Ei;Ei+1]内のイベントのカウントをもたらす確率である。エネルギー蓄積のimax個の間隔がある場合、測定されるまたはシミュレーションされる少なくとも同じ数の異なるエネルギー蓄積スペクトルがあるはずであるが、好ましくは、各間隔に対してその間隔内に少なくとも1つの一次エネルギーEjmonoがある。測定されるまたはシミュレーションされるjmax個の蓄積スペクトルがある。imax=jmaxである場合、一次エネルギーEimonoは、すべてのiに対して(Ei+1+Ei)/2として選択されてもよい。Eimonoはまた、間隔[Ei;Ei+1]内に検出効率を持つこの間隔内の入射放射線の期待エネルギー分布の加重平均値として選択されてもよい。特性が装置を用いて決定されるべきその放射線の測定エネルギー蓄積スペクトルNiは、
【0098】
【数4】

【0099】
と書くことができる。シリーズ
【0100】
【数5】

【0101】
は、入射粒子エネルギーのエネルギースペクトルの近似である。これは、
【0102】
【数6】

【0103】
が、Ejmonoに近いエネルギーでセンサに衝突した粒子数であることを意味する。検出効率は、Mijの決定を通じてMij内にすでに含まれており、したがって
【0104】
【数7】

【0105】
は、最終的に不完全な検出効率をすでに補正されている。iのシリーズとしてのNiおよびjのシリーズとしての
【0106】
【数8】

【0107】
はそれぞれ、ベクトル
【0108】
【数9】

【0109】
および
【0110】
【数10】

【0111】
の成分と見なすことができ、Mijは、行列
【0112】
【数11】

【0113】
の成分と見なされる。それは、
【0114】
【数12】

【0115】
と書くことができる。ベクトル
【0116】
【数13】

【0117】
は、その離散形での入射放射線のエネルギースペクトルであり、行列反転を通じてまたは最尤法のような推定法を通じて計算することができる。そのようにして入射放射線のエネルギースペクトルが決定される。決定エネルギースペクトルへの電荷共有効果の影響は、この再構成アルゴリズムを用いて補正される。
【0118】
入射エネルギースペクトルを再構成するための別の方法は、最初に蓄積スペクトルの最高ビンj内のカウント数を対応するエネルギーEjmonoの正規化応答関数とかけることである。ビンj内のエネルギーの応答関数は、ビンj内のカウント数で決定されるべきエネルギースペクトルに寄与する。ビンi内のEjmonoのかけられた応答関数の値は次いで、ビンi内のカウント数から引かれる。この引き算は、すべてのi<jに対して実行される。それ故に、引き算の後、より高いビンのエネルギーの粒子から来るビン(j-1)内のカウントは、除去される。ビン(j-1)のエネルギーへの応答関数はその結果、このビン(j-1)内の引き算の結果をもって寄与する。ビン(j-1)のエネルギーへの応答関数は次いで、この引き算の結果とかけられる。このかけられた応答関数の値は、すべてのビンi<(j-1)内のすでに補正されたカウントから引かれ、エネルギーEj-2monoの寄与をもたらす。この手順は、引き続いて何度も繰り返して実行される。この過程の各ステップで、ビン内の残留カウント数は、減少する。結局、測定エネルギー蓄積スペクトルへのすべての応答関数の寄与、したがってエネルギースペクトルが、決定される。
【0119】
例えば空気または組織のような材料内に蓄積される線量Dは、因子Kjが測定またはシミュレーションによって事前に決定される場合、入射粒子エネルギーの決定スペクトル
【0120】
【数14】

【0121】
から計算できる。因子は、シミュレーションまたは測定でエネルギーEjmonoを使用して決定されてもよい。線量は、計算エネルギースペクトル内のエネルギー間隔の線量寄与の合計である、即ち、
【0122】
【数15】

【0123】
である。線量率値は、線量計によって決定されるべき測定時間による割り算を通じて決定されてもよい。
【0124】
蓄積スペクトルの事前決定なしに線量値を直接決定することもまた可能である。この方法では、蓄積スペクトルNiの各ビン内のカウント数は、因子Liをかけられる。因子Liは、シミュレーションまたは較正測定を通じて測定より前に決定される。表示されるべき線量は、
【0125】
【数16】

【0126】
によって計算される。この方法は、線量値の見積もりを与える。
【0127】
Liは、次の手順によって決定される。線量計は、シミュレーションモデルでまたは測定で周知の線量Djを持ついくつかのスペクトル(較正放射線)に照射される。エネルギー間隔i内の検出器1のカウント数Njiは、各スペクトルjに対して測定される。連結した組の方程式
【0128】
【数17】

【0129】
は、行列表記法
【0130】
【数18】

【0131】
で書くこともできる。Liに対する最良の見積もりは、較正放射線の測定されたまたはシミュレーションされた線量に疑似逆行列を適用して得られる、即ち、
【0132】
【数19】

【0133】
である。蓄積スペクトル内の情報、例えば最大粒子エネルギーは、Ljからより正確であるいくつかの因子
【0134】
【数20】

【0135】
を決定するために使用できる。線量はそのとき、
【0136】
【数21】

【0137】
となる。
【符号の説明】
【0138】
1 検出器
2 検出器画素配列
3 検出器画素
4 読み出しユニット
20 センサ
21 画素電極
22 上部電極
23 画素電極への信号接続
24 画素電子回路
25 特定用途向け集積回路(ASIC)
50 変換ユニット
51 時間決定ユニット
52 イベント計数ユニット
55 信号接続
61 信号接続
62 アナログ処理ユニット
63 弁別器
64 補正ユニット
67 信号接続
70 時間カウンタ
80 切り換えユニット
82 イベントカウンタ
90 複写ユニット
91 比較ユニット
112 検出器画素の群
113 検出器画素の群
151 活動検出器画素
122 検出器画素配列の列
123 検出器画素配列の列
131 検出器画素の群
132 検出器画素の群
134 検出器画素
140 検出器画素
141 検出器画素の群
142 検出器画素の群
151 検出器画素
152 検出器画素
153 検出器画素
155 検出器画素配列の列
156 検出器画素配列の列
160 検出器画素配列の列
161 検出器画素配列の列
162 検出器画素配列の列
163 検出器画素配列の列
165 吸収体
166 吸収体
180 ディスプレイ
186 マイクロコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の検出器画素(3)とクロックパルス発生器とを含む、放射線の1つまたは複数の特性を測定するための放射線検出器(1)であって、
各検出器画素(3)は、
センサ(20)に衝突する前記放射線の光子または荷電粒子のイベントに応答して電気信号を生成する前記センサ(20)と、
前記電気信号を増幅し、整形し、整形パルスを生成するためのアナログ処理ユニット(62)を含む、前記電気信号を受け取り、処理するように構成された画素電子回路(24)であって、TOTカウントを数えるための時間決定ユニット(51)を含み、前記TOTカウントは、前記整形パルスがしきい値よりも上であるときの時間間隔中に生じるクロックパルス数である、画素電子回路(24)とを含み、
前記画素電子回路は、複数のイベントカウンタ(82)を含み、各イベントカウンタ(82)は、事前定義範囲のTOTカウントを有するイベント数を数えることを特徴とする放射線検出器(1)。
【請求項2】
切り換えユニット(80)をさらに含み、
前記切り換えユニットは、各TOTカウント範囲がイベントカウンタ(82)と関連する、一組のTOTカウント範囲を定義する、一組のTOTカウント限界値と、測定TOTカウントがある範囲内またはそれより下であるときを検出するための手段と、測定TOTカウントが関連する範囲内またはそれより下であるときに前記イベントカウンタ(82)を増分するための手段とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の放射線検出器(1)。
【請求項3】
複写ユニット(90)をさらに含み、
前記複写ユニットは、TOTカウント値を受け取るための手段と、前記TOTカウント値を複写する一組の出力ポートと、一組の比較ユニット(91)とを含み、
各比較ユニット(91)は、一組のTOTカウント範囲を定義し、イベントカウンタ(82)と関連する、一組のTOTカウント限界値を含み、かつ測定TOTカウントがある範囲内またはそれより下であるときを検出するための手段と、測定TOTカウントが関連する範囲内またはそれより下であるときに前記イベントカウンタを増分するための手段とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の放射線検出器(1)。
【請求項4】
前記画素電子回路は、前記検出器画素(3)を較正するために前記アナログ処理ユニット(62)の入力において正規化電気信号を受け取るための手段を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の放射線検出器(1)。
【請求項5】
前記画素電子回路は、前記検出器画素(3)を較正するために前記アナログ処理ユニット(62)の出力において正規化整形パルスを受け取るための手段を含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の放射線検出器(1)。
【請求項6】
検出器画素(3)の配列(2)を含み、
前記配列は、検出器画素(3)の列(122、123)と、読み出しユニット(4)と、列(122)内で蓄積されたカウントを、前記列内のカウントだけが無効にされながら、前記読み出しユニット(4)に転送するための手段とを含み、各列(122、123)は、引き続いて転送されることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の放射線検出器(1)。
【請求項7】
検出器画素(3)の配列(2)と、前記配列(2)の前記検出器画素(3)の前記TOTカウントを読み出しユニット(4)に転送するための手段と、非ゼロのTOTカウントを有する画素(3)を島状に分類するための手段と、島を生成する前記放射線の光子または荷電粒子のエネルギーを得るために前記島の検出器画素(3)のそれぞれ内の蓄積線量を合計するための手段とを含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の放射線検出器(1)。
【請求項8】
前記衝突放射線の線量および/または線量率を決定するように構成されたマイクロコントローラを含む、請求項7に記載の放射線検出器(1)。
【請求項9】
前記衝突放射線のスペクトルを決定するように、および/または前記放射線を生成する放射性同位体もしくは複数の放射性同位体を決定するように構成されたマイクロコントローラを含む、請求項7に記載の放射線検出器(1)。
【請求項10】
第1の感知面積を有する検出器画素(3)の第1の群(131;141)と、第2の感知面積を有する検出器画素の第2の群(132;142)とをさらに含み、
前記第1の感知面積は、前記第2の感知面積よりも大きく、それによって前記第1の群は、低線量率の放射線を測定し、前記第2の群は、高線量率の放射線を測定することを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の放射線検出器(1)。
【請求項11】
前記第1の群(131;141)は、前記電気パルスを収集するための画素電極(21)有する画素を含み、ガード電極が前記画素電極(21)に隣接し、一定電位に接続され、それによって前記センサの感知体積は、制限されることを特徴とする、請求項10に記載の放射線検出器(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2010−536021(P2010−536021A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519477(P2010−519477)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【国際出願番号】PCT/EP2008/060521
【国際公開番号】WO2009/019318
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(508190791)
【出願人】(510035185)フリードリヒ−アレクサンダー−ユニベルシタ・エアランゲン−ニュルンベルク (1)
【出願人】(509125981)
【Fターム(参考)】