説明

放射線硬化型インクにて基材への印刷を行うための方法、およびこの方法への適用に適したインク

【課題】印刷方法における、従来の課題を克服し、あるいは少なくとも軽減する。
【解決手段】支持体上に基材を用意するステップと、動作温度のインクジェット印刷ヘッドを用意するステップと、インクジェット印刷ヘッドから基材へと硬化型インクの滴を噴射するステップと、インクと基材との間の相互作用を制御するステップと、基材上に受け取られたインクを放射線を基材に向かって導くことによって硬化させるステップと、を含む方法であって、上記制御が、担体組成物と担体組成物を可逆にゲル化させることができる物質とを含むインクを適用することによってもたらされ、この物質が、インクジェット印刷ヘッドの動作温度において担体組成物へと溶解可能であるとともに、基材へと受け取られたときにインクをゲル化する方法に関する。さらに本発明は、上記方法の使用を可能にするためのインク、および上記方法の適用にあわせて構成されたプリンタに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線硬化型インクにて基材への印刷を行うための方法であって、支持体上に基材を用意するステップと、動作温度のインクジェット印刷ヘッドを用意するステップと、インクジェット印刷ヘッドから基材へと硬化型インクの滴を噴射するステップと、インクと基材との間の相互作用を制御するステップと、次いで放射線を基材に向かって導くことによって、基材上に受け取られたインクを硬化させるステップとを含む方法に関する。さらに、本発明は、上記方法への適用に適したインク、および上記方法を適用するためのプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
このような方法は、2004年11月10日に発行された欧州特許第1349733号明細書、ならびに2000年11月14日に発行された米国特許第6,145,979号明細書から知られている。放射線硬化型インクは、近年、種々さまざまな非コートの多孔性でない基材へと印刷を行うためのインクの選択肢として、大いに検討されるようになってきている。特に、UV硬化型インクまたは電子ビーム硬化型インクは、当技術分野においてよく知られている。必須ではないが一般的には、これらのインクは、エチレン系不飽和モノマーまたは放射線の作用のもとで重合して硬化済みバインダーを形成するオリゴマー系バインダーを含む担体組成物を主体としている。放射線による硬化を使用することで、大量の水または他の溶媒を追い出す必要なく、インクを迅速に硬化させることができる(一般に、「瞬間乾燥」と考えられている)。結果として、放射線硬化型インクは、1時間当たり100平方メートルを超える産出速度を達成できる高速インクジェットプリンタにおいて使用することが可能である。同じプリンタを、種々さまざまな基材へと印刷を行うために使用でき、用いられている基材の種類にかかわらず、印刷された画像が同じ高品質であることが、一般的な要望である。しかしながら、所与のインク調合物が、異なる種類の基材について異なる相互作用を示すことが、特に上述の引用特許から知られている。したがって、基材の組成がある種類から他の種類へと変化したときに、(二次元または三次元である)最終印刷画像の品質が大きく低下することが、大いに生じうる。従来技術においては、インクが最終的に硬化するよりも前にインクと基材との間の相互作用を制御する方法が、考案されている。詳しくは、インクが基材へと衝突する瞬間と硬化の瞬間との間の滞留時間が、基材と未硬化のインクとの間の所望の相互作用を達成すべく、制御される。
【0003】
このようにして、基材内および基材上でのインクの滴の広がりを、所望のドットゲインを得るべく制御することができる。しかしながら、従来技術の方法は、重大な欠点を抱えている。特定のインクと特定の基材とからなる組み合わせのそれぞれについて、最適なドットゲインを得ることができるように特有の滞留時間を決定しなければならない。今日利用可能である莫大な媒体の種類を考えると、インク−基材のすべての組み合わせのそれぞれについて、滞留時間をあらかじめ定めることはほとんど不可能である。さらには、たとえそのような滞留時間をあらかじめ定めることができたとしても、インク−基材のすべての組み合わせのそれぞれについて最適なドットゲインを得るために、10分の数秒から数分間までさまざまでありうる滞留時間に対処できるプリンタを考案する必要がある。そのようなプリンタは、種々の滞留時間を可能にする複雑な構成ゆえに、比較的高価であって、信頼性が損なわれがちである。
【特許文献1】欧州特許第1349733号明細書
【特許文献2】米国特許第6,145,979号明細書
【特許文献3】米国特許第6,471,758号明細書
【特許文献4】米国特許第6,467,897号明細書
【特許文献5】米国特許第6,605,652号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上述の課題を克服し、あるいは少なくとも軽減することにある。この目的のため、プリアンブルに記載した印刷方法であって、上記制御が、担体組成物と担体組成物を可逆にゲル化させることができる物質とを含むインクを適用することによってもたらされ、この物質が、インクジェット印刷ヘッドの動作温度において担体組成物へと溶解可能であるとともに、基材へと受け取られたときにインクをゲル化することを特徴とする印刷方法が考案された。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、放射線硬化型インクの担体組成物をゲル化させることができる物質の使用に依拠している。実際、担体組成物をゲル化するということは、この物質が担体組成物内に三次元の構造を形成することによって担体組成物の粘性を高めることを意味する。その結果、担体組成物がゲルであると考えられる。インクの担体組成物をゲル化することによって、基材との相互作用がインクそのものの延展挙動に支配されるようになる。すなわち換言すると、基材の種類が、最終的に得られるドットゲインにほとんど影響しないようになる。さらには、驚くべきことに、インクの種類(実際には、担体組成物の種類)も、延展の挙動にあまり影響しなくなる。ひとたびインクがゲル化すると、実際のところゲル化構造が延展の挙動を支配することを、本発明者らは見出した。これは、インクならびに基材の特性がもはや最終的に得られるドットゲインを支配しないという、きわめて好ましい結果をもたらす。実施において、これは、あらゆるインク−基材の組み合わせについて実質的に同じ滞留時間を選択できるということを意味する。これは、印刷方法および対応するプリンタを大幅に簡略化する。
【0006】
ゲル化用の物質は、一般的には、特に高分子化合物および低分子化合物、化合物の混合物、または分離した粒子で構成されてよい。ゲル化物質の分子または粒子が、担体組成物中に網目が形成されるように互いに相互作用する。
【0007】
この網目の形成の際に、原理的には、ゲル化物質を構成している分子または粒子は、実際に化学的に結合する必要はなく、物理的接触を有する必要もない。液体中で補強効果をもたらすような物理的相互作用を有していさえすればよい。結果として、液体を実際の固相へと移行させることなく、液体の粘性が高められる。ある化合物が担体組成物中においてゲル化物質として機能しうるか否かを、前もって明白に決定することが不可能であることに、留意されたい。これは、特に、ゲル化物質と担体組成物との間の相互作用に左右される。ある物質が担体組成物をゲル化することができるかどうかは、例えば米国特許第6,471,758号明細書(第8欄35行から第9欄59行、図1から図3を参照)に記載されているような分析測定により、実験によって判断されなければならない。
【0008】
本発明は、ゲル化物質を利用しているが、インクジェット印刷ヘッドの動作温度において担体組成物中に溶解できるゲル化物質の使用に限定されている。これは、本発明のきわめて重要な特徴であると考えられる。これは、動作温度のインクジェット印刷ヘッドにおけるインクの安定性に、大きく貢献すると考えられる。一般的に、ゲル化物質が動作温度のインク中に第2の相を形成するならば、典型的にはインクの滴を噴射するために複数の微細なインクチャンバを有しているインクジェット印刷ヘッドからインクを印刷するときに、不安定かつ予測不可能なプロセスが生じる。特に、ゲル化物質が不溶性の粒子で構成されるならば、これらの粒子が固まって、印刷ヘッドのインクチャンバを詰まらせがちである。本発明によれば、ゲル化物質が、印刷ヘッドの動作温度において担体組成物中に溶解可能であり、基材上へと受け取られたときにインクをゲル化する。本発明の他の重要な態様は、ゲル化物質がインクを可逆的にゲル化する点にある。インクジェット印刷においては、インクが比較的長い期間にわたって印刷ヘッドにとどまると考えられ、その間に、印刷ヘッドが複数回にわたって動作温度へと達せられる(例えば、毎朝の起動時に)ため、プリンタがオフにされたときに生じるであろうインク中のゲル構造は、印刷ヘッドが再び動作状態とされるときに解消されなければならない。
【0009】
粘性増加剤を含む放射線硬化型インクが米国特許第6,467,897号明細書から知られていることに、留意されたい。しかしながら、このインクは、粘性増化剤として機能する粒子状物質を、10%から20%含む。したがって、このインクは、インクジェット印刷にはあまり適しておらず、あるいはほとんど適していない。
【0010】
米国特許第6,605,652号明細書から、UV硬化型インクにゲル化剤を加えることができる旨が知られている。しかしながら、この特許からは、ゲル化剤が印刷ヘッドの動作温度において担体組成物中に溶解可能であるべきである旨、およびインクジェット印刷に実用上適するためにゲル化剤がインクを可逆にゲル化させることができなければならない旨が、知られていない。
【0011】
本発明の一実施形態においては、基材が、印刷ヘッドの動作温度を下回る第1の温度の支持体上に用意される。この実施形態においては、印刷ヘッドそのものは、基材の温度(典型的には、室温)を上回る温度で動作する。これは、室温において比較的大きな粘性を有するインクを使用できるという利点を有する。すなわち、インクが動作温度まで加熱されることで、インクの粘性が、インクジェット印刷ヘッドでの滴の形成プロセスを可能にできるまで低下する。室温において比較的粘性が大きいということは、より低温の基材へとインクが受け取られたときに、ゲル化作用によってインクの粘性がさらに増大するということを意味する。これが、得られるドットゲインに対するインクおよび基材の特性の影響をさらに小さくする。
【0012】
さらなる実施形態においては、第1の温度と動作温度との間の差が、少なくとも摂氏30度である。驚くべきことに、この差が30℃超であると、印刷ヘッドの動作温度において担体組成物中に溶解できる適切なゲル化剤について、非常に多くの選択肢が存在する。これに加え、温度の差が大きいと、比較的大きな分子量の放射線硬化型化合物を含む担体組成物を使用することができる。大きな化合物は、本質的に、小さな化合物に比べて人間の健康に対する危険が少ない。小さな化合物は、より不安定であり、より容易に人間の体内へと進入しうる。より高い動作温度は、たとえインクが比較的大きな分子を含んでいても、低い動作時の粘性をもたらす。さらに、この実施形態においては、ゲル化のプロセスがきわめて迅速になると考えられる。
【0013】
本発明の一実施形態においては、ゲル化剤が、温度によって可逆であるように担体組成物をゲル化できる。この実施形態においては、ゲル化剤が、単にインクの温度を上昇させるだけでゲル構造を壊すことができるように選択される。これは、超音波プローブや他の機械式の手段などといったゲル構造を壊すための追加の手段を必要とすることなく、インクの信頼できる使用を可能にする。
【0014】
さらなる実施形態においては、温度によって可逆であるゲル化作用が、ゲル化剤の分子間の物理的な相互作用にもとづいている。物理的な相互作用は、比較的高速に発生および解消でき、インクをインクジェットプリンタに適用する場合にきわめて好都合であると考えられる。これに加え、この実施形態は、迅速なゲルの形成を保証し、インクおよび基材の特性そのものがドットゲインにもたらす影響をさらに少なくする。
【0015】
またさらなる実施形態においては、ゲル化作用が生じたとき、分子が担体組成物中に結晶の網目を形成する。これは、ゲル化作用をさらに改善し、最終的に得られる印刷品質を改善すると考えられる。
【0016】
一実施形態においては、ゲル化剤が放射線硬化型である。この実施形態は、放射線の使用によって、ゲル化剤そのものをも硬化させることができるという特有の利点を有している。これは、ゲル化剤が最終的に硬化した組成物の一部分となり、結果として、この物質が基材上で硬化したインクにおいて移動したり、あるいは基材上で硬化したインクから分離したりする恐れが、大幅に小さくなるということを意味している。これは、最終的に印刷された画像の耐久性を大きく改善する。
【0017】
一実施形態においては、基材上へと受け取られたインクが、硬化の前に物理的な処理にさらされる。この実施形態においては、インクが、基材への衝突の瞬間と放射線の作用による硬化との間において、物理的に処理される。これは、インクが実際に硬化する前に、インクの広がりを微調整するための機会をもたらす。印刷画像の用途に応じて、種々のレベルの広がりが例えば必要とされる。この実施形態は、インク中のゲル化剤の量または種類を変化させる必要なく、ドットゲインを制御できるようにする。好ましくは、物理的処理は、熱の伝達および/または圧力の印加を含む。熱または圧力、あるいは両者を(例えば、印刷の技術分野においてよく知られている溶着ローラを使用することによって)使用することで、ドットゲインを適切に微調整することができると考えられる。
【0018】
一実施形態においては、印刷ヘッドが走査キャリッジ上で基材を横切って走査され、基材の所定の領域のインクが、基材の当該領域の走査が完了するまでは硬化されない。ゲル化剤を使用することで、インクによって基材のある領域の印刷を、途中で硬化を行なう必要なく完了させることができる。これは、きわめて重要な利点を有している。すなわち、従来技術においては、インクが基材上および基材内で広がりすぎることがないよう、種々の印刷段階の間において、途中の硬化が行なわれることがしばしばである。しかしながら、これは、あるインクの滴が、すでに硬化したインクの滴の上へと噴射される一方で、他のインクの滴が、未だ硬化していないインクの滴の上へと噴射されることを意味する。これが、印刷された画像の外観の局所的な相違を、特に滴の凝集の程度の相違によって引き起こすが、これは高品質の画像が望まれる場合にきわめて厄介である。本発明においては、新たに噴射されたインクの滴には、常に同種のゲル化済みであるが未硬化のインクの滴が隣接するため、印刷済みの(しかしながら、未だ硬化していない)インクの滴の間の相互作用が、基材の全体にわたって不変である。これは、放射線硬化型インクを噴射することによって得ることができる印刷品質を大きく改善する。好ましい実施形態においては、放射線が、印刷ヘッドとは別個に取り付けられたソースから発せられる。これは、放射線のソースを印刷ヘッドと一緒に走査する必要性をなくす。
【0019】
さらに本発明は、担体組成物と担体組成物を温度によって可逆にゲル化させることができる物質とを含んでおり、この物質が、第1の温度において担体組成物へと溶解可能であるとともに、第1の温度の下方の第2の温度へと冷却されたときに担体組成物をゲル化する、放射線硬化型インクに関する。典型的なゲル化物質は、担体組成物中で弾性網目を形成する高分子量の細長い分子であり、網目のすき間が、液体または固体の状態であってよい担体組成物によって満たされる。すき間の担体組成物が液体の状態にある場合、分子が比較的容易に連続的な液体マトリクスへと拡散できるという特性など、いくらかの流体のような特性と、ゲルが液体状に流れ始める前に変形を生じることなくあるせん断応力に耐えることができるという特性など、いくらかの固体のような特性とを有する、ゲルが生じる。網目のすき間の液体が凝固または硬化すると、このゲルが固体の状態へと移行する。
【0020】
本発明によるインクの実施形態においては、ゲル化用の物質が、5000未満、特に1000未満、好ましくは500未満の重量平均分子量を有する分子を含む。放射線硬化型のインクそのものが、典型的には、水を主体とするインクまたは他の溶媒のインクよりも粘性的であるため、カラゲナン、ラミナリン、ペクチン、ならびにアラビアガム、キサンタンガム、およびグアールガムなどのガム類など、公知の高分子量のゲル化物質を少量加えると、印刷ヘッドの動作温度において認容できないほどの高い粘度につながる可能性があり、これはインクの噴射特性に悪い影響が存在することを意味している。したがって、オリゴマーであるゲル化物質、すなわち分子量が5000未満であるゲル化物質が、ゲル化物質によってインク組成物の粘性に悪影響を及ぼすことがないよう、好ましく使用される。さらなる好ましい実施形態においては、低分子量のゲル化物質、すなわち分子量が1,000または500未満であるゲル化物質が使用される。これらのオリゴマーおよび低分子量化合物が、比較的小さな分子量であるにもかかわらずゲル化特性を有することができるという事実を、以下のように説明することができる。オリゴマーおよび低分子量のゲル化物質の場合、この物質の分子が、温度を適切に下げることによって担体組成物から分離して、互いの(典型的には非共有の)相互作用によって長い化合物の鎖を形成し、おそらくはこの鎖が、すでに述べた公知のゲル化剤の高分子量のポリマーと同じように振る舞うと考えられる。ゲルが加熱されるとき、ゲル化物質の分子間の相互作用が中断され、ゾルが再び形成される。オリゴマーおよび低分子量のゲル化物質を使用する補助的な利点は、ゲル−ゾルの移行のためには、ポリマー鎖の化合物分子間の比較的弱い非共有の結合のみを破壊すればよいため、ゲル−ゾルの移行が比較的迅速に生じる点にある。さらに、小さな分子は、より迅速に担体組成物中に均一に溶解する。
【0021】
一実施形態においては、インクが、ゲル化物質を10重量%未満、好ましくは5重量%未満だけ含む。これは、この物質そのものが、最終的に硬化したインクの特性、特に機械的特性をあまり左右しないという利点を有している。これは、上述のようにゲル化物質そのものが放射線硬化型である場合に、より強く当てはまる。
【0022】
他の実施形態においては、ゲル化した未硬化の担体組成物が、室温において脱ゲル化する。この実施形態においては、ゲル化物質が、ゲル化しているが未硬化であるインクが、室温においてゆっくりと脱ゲル化するように選択される。これは、インクが、工場から顧客までの道程において、ゲル化状態にとどまることがないという利点を有している。すなわち、そのようなゲル化状態は、インクがきわめて粘性的であることを意味し、インクを容器から印刷装置へと取り出すやり方が少ないことを意味する。室温において通常の液体状態へとゆっくりと移行するということは、実際において、補充の目的のためにプリンタへと到着したときにインクがゲル化していないことを保証する。脱ゲル化のプロセスが低速であり、典型的には数時間から数日間を要するため、ゲル化の作用は、印刷プロセスにおいてインクと基材との間の相互作用の制御を提供するために依然として適切である。したがって、本発明の利点は、この実施形態においても完全に維持されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、以下の図面および実施例を使用して本発明をさらに詳しく説明する。
【0024】
実施例1は、本発明による使用のためのインクを説明している。
【0025】
実施例2は、本発明による使用のための第2のインクを説明している。
【0026】
図1
図1は、放射線硬化型インクを使用する従来技術のインクジェット印刷装置のいくつかの構成部品を示している。この装置は、欧州特許第1349733号明細書の段落[0021]から[0043]に広く記載されており、これらの段落は、参照により完全に本明細書に組み込まれたものとする。この装置は、基材12の背後に垂直支持プレートを有しており、この基材が上向きの方向Vに移動する。インクジェット印刷ヘッド14が、プレートを横切って広がっており、プレートを横切って移動するときに、紫外線(UV)硬化型インクなどの放射線硬化型インクを基材へと導くべく動作することができる。実際には、印刷ヘッド14は、最終の印刷済み画像において幅広い色のスペクトルを得ることができるよう、色の異なる少なくとも4つのインクを印刷すべく動作することができる。
【0027】
印刷ヘッド14は、所望の時期に選択的に動作させるため、コントローラ16に接続されている。さらに、コントローラ16は、基材駆動システム(図示されていない)の動きも制御する。印刷ヘッド14は、所望の画像のドットの列を印刷するため、基材の全幅を横切って水平方向に移動することができるキャリッジ18に取り付けられている。キャリッジ18は、水平方向に平行に延びる2本のレール20に沿って移動可能である。ステッピングモータ22が、レール20に沿ってキャリッジ18を移動させるべく動作可能である。モータ22は、必要に応じてモータ22を時間を限って選択的に動作させるため、コントローラ16へと接続されている。硬化装置24がさらに、キャリッジ18に取り付けられている。硬化装置24が、1つ以上の放射線ソースを備えており、そのそれぞれが、紫外スペクトルにある光を放射することができる。適切なソースは、例えば水銀キセノンランプ、炭素アーク灯、タングステンフィラメントランプ、レーザ、およびLEDなどである。この特定の実施形態においては、硬化装置は、UVランプ26を1つだけ備えている。硬化装置は、基材のうちのランプの直下に位置する部位のみが照射を受けるようにするため、ランプ26を実質的に覆って広がるシールド(図示されていない)を備えている。硬化装置は、コントローラ16へと接続され、垂直方向に移動できるようにキャリッジに取り付けられている。ステッピングモータ28が、硬化装置24を印刷ヘッド14から離れる方向、または印刷ヘッド14に向かう方向へと移動させるため、硬化装置24へと接続されている。コントローラ16は、基材へと受け取られたインクについて所望の滞留時間を、使用されているインクおよび基材の特性にもとづいて決定するためのコンピュータを備えている。この滞留時間は、インクが基材12へと受け取られた時点と、基材が硬化装置24からの放射線を受け取る時点との間の、時間間隔を表わしている。ひとたび所望の滞留時間が計算されると、モータ28が、硬化装置24を印刷ヘッド14に向かって、あるいは印刷ヘッド14から離れるように移動させるために必要なとおりに駆動される。代案として、滞留時間を、基材12の前進の速度を変化させることによって変えることができる。この実施形態においては、モータ28は不要である。この実施形態の欠点は、装置の出力の速度が、特定のインク−基材の組み合わせによって決まってしまう点にある。
【0028】
図2
図2は、回転ドラム11aを有する従来技術の印刷装置10aを表わしている。このドラムは、中央の水平基準軸を中心として回転可能である。ドラム11aは、ドラムをドラムの軸を中心として運動させるための搬送システムに接続されており、その回転は、コントローラ16aを使用して制御される。基材12aが、ドラム11aの外表面を覆って収容されている。さらに装置は、放射線硬化型インクを噴射するための印刷ヘッド14aを備えている。装置10aは、基材12a上へと受け取られたインクに向かってUV放射を導くための硬化装置24aを備えている。硬化装置のランプ26aが、必要に応じた動作および停止のために、コントローラ16aへと接続されている。硬化装置24aは、一対の案内レール27aに接続されており、その一方が図2には示されている。レールは、ドラム11aの回転軸を中心とする円弧に延びている。モータ28aが、所望のとおり硬化装置24aをレール27aに沿って移動させるため、硬化装置24aおよびレール27aに作用可能に接続されている。モータ28aもやはり、動作のためのコントローラへと接続されている。
【0029】
図2を参照することによって理解できるとおり、モータ28aは、UVランプ26aを印刷ヘッド14aへと向かう方向、または印刷ヘッド14aから離れる方向のいずれかへと移動させるべく動作可能である。したがって、基材12a上に受け取られたインクの滞留時間を、モータ28aを動作させることによって変化させることができる。代案として、ドラム11aの回転運動の開始および停止時間を変化させることによって、滞留時間を変えることも可能である。
【0030】
図3
図3は、本発明による放射線硬化型インクを使用するインクジェット印刷装置の、あるいくつかの構成部品を示している。この実施形態において、プリンタは、大きくて平たいパネル12cを印刷することができるフラットベッド型のプリンタである。このプリンタは、方向Fに実質的に直交する方向へと往復運動するようにレール機構20c上を案内されるキャリッジ18cを有している。キャリッジ18cには、この実施形態においてはそれぞれ異なる色を含んでおり、すなわちシアン、マゼンタ、イエロー、およびブラック、ならびにこれらの色のそれぞれを薄めてなる色を含む、8つの印刷ヘッド14cが設けられている。
【0031】
パネル12cへと画像を印刷するとき、キャリッジが、パネルのある帯状領域へとインクの滴の列をもたらすべく、案内レール20c上を往復移動する。この場合、この帯状領域を対象とする完全な画像が印刷される。インクが、インクの滴を基材上へと受け取られるや否やゲル化する物質を含むため、インクが不都合にも凝固したり、広がったり、パネル12cへとにじんだりすることがない。上記帯状領域への印刷が完了した後に、パネルは、たった今印刷された帯状領域に隣接する次の帯状領域が印刷ヘッド14cに面するよう、方向Fへと動かされる。次いで、このパネル12cの次の帯状領域が、インクの滴によって印刷される。プリンタには、硬化装置24cが設けられており、硬化装置24cは、紫外スペクトルの光をパネル12cに向かって放射することができる複数のランプ(図示されていない)を有している。UV光がパネルから周囲へと、特に印刷ヘッドへと散乱されることがないよう、硬化装置にシールド30を備えることが考えられる。未硬化のインクを有する印刷済みの帯状領域が硬化装置24cの下方を通過するとき、この帯状領域に位置するインクを硬化させるために十分な放射が、パネルに向かって放射される。硬化装置24cは、案内レール20cに対して移動することがない静止した装置である。したがって、インクの滴の滞留時間は、すべての滴について実質的に同じである。
【0032】
図4
図4は、本発明によるプリンタの第2の実施形態を示している。プリンタの最も注目される部品が、図4に示されている。このプリンタには、8つの印刷ヘッド14dが設けられてなるキャリッジ18dが設けられており、キャリッジが、基材(図示されていない)を横切って往復運動するように案内レール20dに接続されている。これは、図3によるプリンタの場合と同じ構成である。プリンタは、第2の案内レール200を有している。この案内レールへと、キャリッジ180および181が接続されている。これらのキャリッジには、それぞれ硬化装置24d’および24dが設けられており、これら装置のそれぞれは、基材に向かって放射を発するための水銀ランプ(図示されていない)を有している。キャリッジを、それぞれレール200上で案内することによって、基材を横切って往復させることができる。随意により、プリンタが、追加のキャリッジ190を有することができ、透明インクまたは色を持たない他の物質の供給源と連通し、場合によっては色付きインクの供給源と連通する追加の印刷ヘッドまたは印刷ヘッドの組を、追加のキャリッジ190に保持することができる。透明インクを、例えば耐久性、光沢、および落書きへの耐性などを向上させることによって、仕上がり製品の性能を向上させるために使用することができる。例えば白色顔料インクなど、色付きのインクを、例えば専用の特別の色調を有するスポットカラーを適用するために使用してもよい。
【0033】
放射線硬化型インクの例
インクジェット印刷に適したインクを構成する放射線硬化型の担体組成物は、かねてから従来技術において知られており、例えば、アクリレートまたはチオレンを主体とする組成物を含むことができ、このような組成物は、放射を発することによってラジカルを供給することで硬化させることができる。他の公知の組成物は、組成物へと放射を発することによってカチオンを供給することで、硬化させることができる。さらに、種々の組成物の混合物も、従来技術において知られている。硬化のために使用される典型的な放射の種類は、紫外光および電子ビームである。UV硬化は、紫外スペクトルの光の放射によって反応を開始させることで引き起こされる。光開始剤がUV光を吸収し、これが例えばラジカルまたはイオンの形成を引き起こす。電子ビーム硬化は、化学結合を断ち切ってフリーラジカルおよびイオンの形成を生じさせるという、そのようなビームの能力にもとづいている。次いで、これら粒子が硬化反応を開始させる。これらのプロセスはすべて、従来技術においてよく知られている。
【0034】
UV硬化型インクは、典型的には、アクリレートモノマーおよびオリゴマーを含む担体組成物を主体としている。この点で、よく知られているアクリレートは、例えばエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、シリコンアクリレート、アクリル酸デンドリマー、ポリエーテルアクリレート、および1価または多価のポリオールアクリレートである。一般に、担体組成物は、硬化のプロセスにおいてポリマー鎖(および、網目)を形成することができるよう、2価(あるいは、多価でもよい)の官能アクリレートを含む。一般的には、1,6−ヘキサンジオール−アクリレートという化合物が利用される。1,6−ヘキサンジオール−エトキシレート−ジアクリレートなどのアルコキシル化合物も、UV硬化型インクへの使用が知られており、哺乳類の健康への危険が少ないという利点を有している。同じことが、二量化されたアクリレートにも当てはまる。アルコキシル化された二量化アクリレートが、人間の健康への危険が最も少ないと考えられる。この組成物は、アクリレートの他に、通常は光開始剤を含む。一般的には、顔料または他の着色剤が、これらのインクにおいて表示の目的を可能にするために使用される。殺生剤、分散剤、湿潤剤、粘度調整剤、界面活性剤など、インクの技術分野において一般的に知られている他の成分を、必要に応じて利用することができる。
【0035】
アクリレート型の放射線硬化型インクの他に、ビスフェノールAエポキシド、脂環式エポキシド、イソポリオール、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル、および脂肪族ウレタンビニルエーテルなど、エポキシド、オキセタン、およびビニルエーテルを主体とするインクが知られている。後者の種類は、UV光とUV光を吸収してイオンを生成する適切な光開始剤(例えば、ジアリルヨードニウムまたはトリアリルスルホニウムの塩)との組み合わせを使用することによって、硬化させることも可能である。通常使用される担体化合物は、例えば二酸化リモネン、ビス{[1−エチル(3−オキセタニル)]メチル}エーテル、ビス−(3−4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3−エチル−3−フェノキシメチル−オキセタン、3−エチル−3−[(2−エチルヘキシルオキシ)メチル]オキセタン、および3−エチル−3−ヒドロキシメチル−オキセタンである。これらの化合物とともに一般的に使用される光開始剤は、Esacure(登録商標) 1187およびChivacure 1172である。多数の感光剤が、これらの開始剤として知られており、特にアントラセン、キサントン、チアジン、アクリジン、およびポルフォリンの誘導体の中に見つけることができる。特定の化合物は、例えば1,6ジフェニル−1,3,5ヘキサトリエン、ピレン、ペリレンである。
【0036】
本発明による方法において使用される放射線硬化型インクは、インクが基材へと受け取られたときに担体組成物をゲル化できる物質を含む。以下で、本発明を具現化するインクの具体例を挙げる。
【0037】
実施例1
36.5重量%の1,6−ヘキサンジオール−エトキシレート−ジアクリレート(下記の化学式1を参照)、36.5重量%のジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレート(化学式2を参照)、18重量%のN−ビニルカプロラクタム(化学式3を参照)、および9重量%の光開始剤((Ciba Specialty Chemicals,Basel,Switzerlandにて)Irgacure 379という商品名で入手できる2パラトリル−2−(ジメチルアミノ)−4’−モルホリノブチロフェノン)を含む担体組成物を主体とする、UV硬化型インクを製造した。この担体組成物に、100部の担体組成物につき1.5部(1.5phr)のカーボンブラックが、表示用物質として加えられる。このカーボンブラックは、Degussa AG GermanyにてNipex(登録商標) 150として入手可能であり、分散媒質としての2−ブタノンで、いずれもNoveon Inc.,USAから入手できる、Solsperse(登録商標) 39000(カーボンブラック1部につき1部)およびSolsperse 5000(カーボンブラック4部につき1部)を使用して分散される。次いでこれに、1.5phrのステアロン(すなわち、(C1735C=O)が、ゲル化剤として加えられる。インクジェットインク用の化合物としてのステアロンは、それ自体は公知であるが、この特定の担体組成物との組み合わせにおいてゲル化剤として機能することは、これまでに知られていない。最後に、500ppmのメトキシヒドロキノンが、抑制剤として加えられる。
【化1】

【化2】

【化3】

【0038】
このインクを、70℃の動作温度で(例えば、図3および図4によるプリンタにおいて)使用することができ、この温度においてステアロンは、担体組成物にちょうど溶解している。必要であれば、動作温度において溶解していない幾らかの余分のステアロンを、インクがインクジェット印刷ヘッドにて使用される前に、フィルタ処理によって除くことができる。インクは、約25℃の温度を有している基材へと噴射されると、急速にゲル状態に変化する。これにより、過剰な広がり、隣り合うインクの滴の融合、および基材へのにじみが回避される。同じ担体組成物を主体とする他のインク調合物を、オクタデカン−アミド、ステアリルステアラミド、およびCeridust(登録商標) TP 5091(Clariant,Muttenz,Switzerlandにて入手可能)をゲル化剤として使用して製作した。後者のゲル化剤はUV硬化性であり、担体組成物と一緒に硬化する。
【0039】
実施例2
4.9重量%の二酸化リモネン(LDO)(Arkema Inc,Philadelphia,USAから入手可能)、24.9重量%のビス{[1−エチル(3−オキセタニル)]メチル}エーテル(DKSH−Market Intelligence,Zurich,SwitzerlandからOXT−221として入手可能)、20.0重量%のビス−(3−4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート(Dow Chemicals,Horgen,SwitzerlandからUVR−6128として入手可能)、32.35重量%(m/m)の3−エチル−3−フェノキシメチル−オキセタン(DKSH−market intelligence,Zurich,SwitzerlandからOXT−221として入手可能)を含む担体組成物を主体とする、第2のUV硬化型インクを製造した。この担体組成物は、1.25重量%のカーボンブラック、1.5%の2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン(Sigma−Aldrich,St.−Louis,USAから入手可能)、15%の光開始剤Chivacure 1172(Double Bond Chemical,Tapei Taiwanから入手可能)、および0.1%のByk UV3510(Byk chemie GmbH,Wesel,Germanyから入手可能)をさらに含む。ゲル化剤として、2phrのステアロンが加えられる。このインクは、実施例1において説明したインクと同じやり方で使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】従来技術のインクジェット印刷装置の一部分を示した概略の斜視図であり、この装置は、この場合には、ロールからロールへの垂直インクジェットプリンタである。
【図2】別の従来技術のインクジェット印刷装置の概略の端面図であり、この装置は、この場合には、回転ドラム式インクジェットプリンタである。
【図3】本発明の一実施形態によるインクジェット印刷装置の一部分を示した概略の斜視図であり、この装置は、この場合には、フラットベッド型のインクジェットプリンタである。
【図4】本発明の第2の実施形態によるインクジェット印刷装置の一部分を示した概略の斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
10a 従来技術の印刷装置
11a 回転ドラム
12、12a 基材
12c パネル
14、14a、14c、14d 印刷ヘッド
16、16a コントローラ
18、18c、18d、180、181、190 キャリッジ
20、20c、20d レール
22、28 ステッピングモータ
24、24a、24c、24d’、24d 硬化装置
26、26a UVランプ
27a 案内レール
28a モータ
30 シールド
200 第2の案内レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線硬化型インクにて基材への印刷を行うための方法であって、
・支持体上に基材を用意するステップと、
・動作温度のインクジェット印刷ヘッドを用意するステップと、
・インクジェット印刷ヘッドから基材へと、硬化型インクの滴を噴射するステップと、
・インクと基材との間の相互作用を制御するステップと、
・基材上に受け取られたインクを、放射線を基材に向かって導くことによって硬化させるステップとを含み、
前記制御は、担体組成物と担体組成物を可逆にゲル化させることができる物質とを含むインクを適用することによってもたらされ、この物質は、インクジェット印刷ヘッドの動作温度において担体組成物へと溶解可能であるとともに、基材へと受け取られたときに、インクの滴が基材との適切な相互作用をもたらすべく基材上へと十分に広がるように、インクをゲル化することを特徴とする、方法。
【請求項2】
基材が、動作温度を下回る第1の温度の支持体上に用意されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の温度と前記動作温度との間の差が、少なくとも摂氏30度であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
物質は、温度によって可逆であるように担体組成物をゲル化できることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
温度によって可逆であるゲル化作用が、前記ゲル化物質の分子間の物理的な相互作用にもとづいていることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
分子は、ゲル化作用が生じたときに担体組成物中で結晶の網目を形成することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ゲル化物質は、放射線硬化型であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
基材上へと受け取られたインクが、硬化の前に物理的な処理にさらされることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
物理的な処理は、熱の伝達および/または圧力の印加を含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
印刷ヘッドが走査キャリッジ上で基材を横切って走査され、
基材の所定の領域のインクが、基材の前記領域の走査が完了するまでは硬化されないことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
放射線が、印刷ヘッドとは別個に取り付けられたソースから発せられることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
担体組成物と、担体組成物を温度によって可逆にゲル化させることができる物質とを含んでおり、この物質は、第1の温度において担体組成物へと溶解可能であるとともに、第1の温度の下方の第2の温度へと冷却されたときに担体組成物をゲル化する、放射線硬化型インク。
【請求項13】
ゲル化物質は、5000未満、特に1000未満、好ましくは500未満の重量平均分子量を有する分子を含むことを特徴とする、請求項12に記載のインク。
【請求項14】
ゲル化物質を、10重量%未満、好ましくは5重量%未満だけ含むことを特徴とする、請求項12または13に記載のインク。
【請求項15】
ゲル化物質は結晶化合物であることを特徴とする、請求項12から14のいずれか一項に記載のインク。
【請求項16】
ゲル化物質は放射線硬化型であることを特徴とする、請求項12から15のいずれか一項に記載のインク。
【請求項17】
ゲル化した未硬化の担体組成物は、室温において脱ゲル化することを特徴とする、請求項12から16のいずれか一項に記載のインク。
【請求項18】
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成された、インクジェットプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−63553(P2007−63553A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−222205(P2006−222205)
【出願日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(390039435)オセ−テクノロジーズ・ベー・ヴエー (103)
【氏名又は名称原語表記】OCE’−NEDERLAND BESLOTEN VENNOOTSHAP
【Fターム(参考)】