説明

放射能測定精度向上装置

【課題】 簡単な構成で測定目標位置表面の放射能を高精度で簡単安全に測定する放射能測定精度向上装置の提供。
【解決手段】 上面が解放された上部載置具6に上面にV字面7を備えた下部載置具8が一体に形成された能置具5に放射線測定器の種類に応じて径が異なる放射能計測部1aが固定され、各種の放射能検出器が選択使用でき、腕状具10を載置具5に装着し引出筒11を引き出すと、測定目位置の表面が水平面の場合は表面から垂直方向に、距離Lが1mの位置に放射能測定器が固定され、測定目標位置の表面が水平面に角度θ傾斜していると、測定目標位置の表面に直角方向に、距離L’が1cosθの位置に放射能測定器が固定保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は測定目標位置から予め規定された所定距離離れた位置での放射能測定を、簡単な操作で高精度に行なう放射能測定精度向上装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放射能に被爆されたおそれのある測定目標位置の放射能測定を行なう場合には、測定目標位置から予め規定された所定距離離れた位置に放射能測定器を固定した、放射能測定を行なうことが、信頼される測定データを確保するために必要である。
平成23年2月11日の東日本大地震による福島原子力発電所の破損事故以来、福島県のみならず近隣する他府県においても測定目標位置での残留放射能の測定が行なわれている。この場合測定目標位置から放射能測定器までの距離を1mにしようとする全国的な認知規定が設けられる方向に進んでいる。
このような残留放射能の測定に際しては、放射能測定器を測定目標位置から1mの位置に簡単な操作で固定することが必要であり、測定時に放射能測定器や測定を操作実行する操作者に残留放射能が付着しないことが要求される。また、放射能測定精度向上装置が、操作者によって携帯容易であることも必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は前述したような残留放射能の存在する測定目標位置の残留放射能の測定に際して、簡単な操作で各種の放射能測定器を、測定目標位置の測定面に垂直に、測定面から1mの全国的な規定値に精度よく固定配置して、放射能測定精度を向上させることができ、装置全体の携帯持運びも容易で、測定時に放射能測定器に測定目標位置から残留放射能が付着することもない放射能測定精度向上装置を提供するものである。
【0004】
本発明に係る放射能測定精度向上装置は、上部載置具と下部載置具からなる載置具に放射能測定器が、裏面に微細凹凸を有するマジックテープで固定される構成となっている。
放射能を検出する放射能検出器は、放射能を検出するセンサと検出した放射能を計測する放射能計測部からなり、放射能計測部は円筒形をしていて、その径は放射能検出器の種類によって異なっている。
本発明に係る上部載置具は上面が解放面となっていて、この解放面を跨いで載置された放射能計測部は下部載置具の上面に形成されたV字面に突出配置されるので、各種の放射能検出器が自由に固定される。
下部載置具の下面には着脱具が固定され、着脱具の先端の着脱端部が腕状具の上端面に着脱自在に螺子込まれて下部載置具に腕状具が固定される。
【0005】
被測定物の表面の測定目標位置には長方形状の対接板が配置され、腕状具の下端面が対接板に対接配置される。対接板は腕状具に直角に固定されているが、放射能計測時には対接板と、対接板が配置される測定目標位置間には、対接板の端部から外側に突出して対接紙が配置される。
この状態で腕状具は被測定物の表面に直角に位置し、放射能測定器の放射能計測部が取り付けられる下部載置具と被測定物の表面間距離は1mに設定される。
被測定物の表面が水平面に対して角度θ傾いている場合は、放射能測定器と被測定物の表面間距離L’は、L’=Lcosθで求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述したような被測定物の表面の測定目標位置から垂直方向に1mの位置に放射能測定器を固定して、測定目標位置の残留放射能の測定を行なうために、上面が解放面の上方載置具6に上面にV字面を備えた下部載置具を一体に形成して載置具が構成されている。
この載置具の上方載置具を跨ぐようにして、放射能測定器が裏面に微小凹凸を備えたマジックテープで載置具に固定される。
【0007】
下部載置具の下面から突出した着脱具の先端の着脱端部が、腕状具の上端に螺子込まれて下部載置具に腕状具の上端が固定された状態で、被測定物の表面の測定目標位置に対接板が配置される。対接板と腕状具は、互いに直角をなすように形成されている。
このため腕状具は被測定物の表面に直角に配置され、被測定物の表面が水平であれば、下部載置具の上面と水平面間距離は1mに設定される。
【0008】
このようにして、簡単な操作で被測定物の表面から1mの位置にセンサを備えた放射線測定器の放射能計測部を安全に固定して、放射能測定器の測定精度を向上した放射能測定が行なわれる。被測定物の表面が水平面からθ度傾いている場合には、被測定物の表面から放射能測定器の垂直方向の距離L’はL’=Lcosθで求められる。
【発明の効果】
【0009】
放射能測定器は上部載置具のV字面に解放面の縁部を跨ぐように配置されるので、各種の放射能能測定器をマジックテープで簡単安全に載置具に固定することが可能になる。
下部載置具の下面に着脱が一体に突出形成され、着脱具の着脱端部が腕状具の上面に螺子込まれて、腕状具は下部載置具に簡単に着脱可能なので、放射能計測部が固定保持された載置具と腕状具とを分離して携帯に便利な状態とし、操作者が放射能計測精度向上装置を負担なく持ち歩いて、被測定物の表面の測定目標位置の各種の放射能測定器による測定現場に迅速に移動することが可能になる。
【0010】
測定現場に迅速に移動した操作者は、下部載置具に放射能測定器を簡単に固定し、被測定物表面の測定目標位置に下面に対接紙を接着した対接板を置くと、センサを備えた放射能測定器の放射能計測部が固定された腕状具は、被測定物表面の測定目標位置の表面に直角に安定に固定される。
そして、測定目標位置の表面が水平面であると、放射能測定器は測定目標位置の表面から全国的な規定値である1mの位置に固定され、被測定物の表面から垂直方向に規定値L=1mだけ離れた位置での被測定物の表面の放射能強度を、高精度で迅速簡単に測定することが可能になる。
また、測定目標位置の表面が水平面から角度θ傾いていると、測定目標位置の表面か垂直方向にL’=Lcosθだけ離れた位置での被測定物の表面の放射能強度を、高精度で迅速簡単に測定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】 本発明の一実施例の載置具に対する放射能測定器の固定取付状態を示す説明図である。
【図2】 本発明の一実施例の被測定物の測定目標位置の放射能測定状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上部載置具と下部載置具からなる載置具に、各種の放射能測定器が簡単に固定配置可射で、放射能測定器の自由選択使用が可能となり、放射能測定器が固定配置された載置具に簡単な操作で腕状具が着脱自在に取り付け可能なので、放射能測定器と腕状具を分離携帯することで、操作者の負担を軽減して測定現場に迅速に持ち運ばれ、測定現場では被測定物の測定目標位置の表面に、対接紙を介して対接する対接体に腕状具の下端面を対接配置する簡単な操作で、被測定物の測定目標位置の表面が水平の場合には、測定目標位置の表面に垂直方向に距離Lが1m離れた位置で、測定目標位置の表面が水平面に対して角度θ傾斜している場合にはL’=Lcosθだけ、測定目標位置の表面から垂直方向に離れた位置で放射能測定強度を高精度で測定可能な一実施例を、以下に図1及び図2を参照して説明する。
【実施例】
【0013】
図1に示すように、放射能測定器1が放射能計測部1aで載置固定される載置具5は上面が解放面の上部載載具6に上面に緩いV字面7が形成された下部載置具8が一体に延長れた構成となっていて、放射能検出器1の種類で径が異なる各種の放射能検出器1の放射能計測部1aが、上部載置具6の縁部を跨いでV字面内に突出配置され、裏面に微小凹凸4が形成されたマジックテープ3で簡単に載置具5に固定されるように構成されている。
【0014】
図2に示すように、本実施例では固定筒10と固定筒10に対して、引き出し或いは押し込み収納が可能な引出筒11とからなる腕状具12が設けられ、図2では引出筒12が引き出された状態が示されている。この引出状態では、下部載置具8の上面と被測定物の測定目標位置の表面間の距離Lは1mになるように設定されている。
下部載置具8の下面には着脱具9が一体に形成されていて、着脱具9の先端には固定具10の上端面に螺子込み自在な着脱丹部9aが設けられている。
【0015】
被測定物の測定目標位置の表面の放射能を測定する場合には、図2に示すように固定筒10から引出筒11を引き出した状態で、固定筒10の上端面に着脱端部9aを螺子込んで下部載置具8に腕状具12を固定する。そして、被測定物の測定目標位置の表面に対接板13を対接紙14を介して配置して、対接板が配置された測定目標位置での放射能測定が行なわれる。
【0016】
図2に示すように、引出筒11の下端面は測定目標位置に、対接紙14を介して対接された状態で、腕状具12は対接板13に平行に配置され、測定目標位置の表面が水平であると、載置具5に固定された放射能測定器1は、被測定物の測定目標位置の表面に垂直に距離Lが1m離れた位置に固定される。
この状態で、操作者によって被測定物の測定目標位置の表面から、垂直方向に距離Lが全国的な規制値である1m離れた位置での放射能測定値が高精度で測定される。
【0017】
もし、被測定物の測定目標位置の表面が、水平面に対して角度θ傾斜している場合の測定目標位置の表面に直角方向の距離L’は、L’=Lcosθとなるので、本実施例によると水平面に角度θ傾斜している場合にも、測定目標位置の表面で垂直方向の距離を簡単に演算して、全国的な規制の方法に変換することが行なわれる。
【0018】
以上に説明した構成の本実施例によると、載置具5の下部載置具8に緩やかなV字面7が形成されていて、各種の放射能測定器1の径が異なる円柱状の放射能計測部1aを突出配置可能なので、図1に示すように各種の放射能測定器1A、1Bの放射能計測部1a、1bが上部載置具6の縁部を跨いで、V字面7内に突出配置され、各種の放射能検出器1A、1Bを任意に選択使用することが可能になる。
上部載置具6を跨ぐように載置された放射能検出器1は裏面に微小凹凸4が形成されたマジックテープ3で簡単に載置具5に固定して使用することが可能になる。
【0019】
図2に示すように、本実施例では固定筒10と固定筒10に対して、引き出し或いは押し込み収納が可能な引出筒11とからなる腕状具12が設けられ、図2に示す引出筒11の引出状態では、下部載置具8の上面と被測定物の測定目標位置の表面間の距離Lは全国的な規定値になるように設定されている。
下部載置具8の下面には着脱具9が一体に突出形成されていて、着脱具8の先端には固定筒10の上端面に螺子込み自在な着脱端部9aが設けられている。
【0020】
被測定物の測定目標位置の表面の放射能を測定する場合には、図2に示すように固定筒10から引出筒11を引き出した状態で、固定筒10の上端面に着脱端部9aを螺子込んで、下部載置具8に腕状具12を固定する。そして、被測定物の測定目標位置の表面に対接板13を載置して、対接板13が載置された測定目標位置での放射能測定が行なわれる。
【0021】
図2に示すように、引出筒11の下端面を測定目標位置に載置された対接板13に対接配置した状態で、腕状具12は対接板13と平行に位置決めされ、測定目標位置の表面が水平であると、載置具5に固定された放射能測定器1は、被測定物の測定目標位置の表面に垂直に距離Lが1m離れた位置に固定される。
この状態は、操作者によって被測定物の測定目標位置の表面から、垂直方向に距離Lが全国的な規制値である1m離れた位置での放射能測定値を高精度で測定することが可能な状態である。
【0022】
もし、被測定物の測定目標位置の表面が、水平面に対して角度θ傾斜している場合には、測定目標位置の表面に直角方向の距離L’はL’=Lcosθとなるので、本実施例によると水平面に対して角度θ傾斜している場合にも、測定目標位置の表面で垂直方向距離を簡単に演算して、全国的な規制の方法に変換することが可能になる。
【0023】
操作者は足先で対接紙14の縁部に触れるだけで、操作者の足先が被測定物の測定目標位置の放射性物質に触れることはなく、操作者は放射能の被爆を全く受けることなく、高精度の放射能測定を行なうことが可能になる。また、対接板13の裏面から除去した対接紙14は放射能廃棄物として安全に処理される。
【符号の説明】
【0024】
1 放射能測定器
1a 放射能計測部
3 マジックテープ
4 微小凹凸
5 載置具
6 上部載置具
7 V字面
8 下部載置具
9 着脱具
9a 着脱端部
10 固定筒
11 引出筒
12 腕状具
13 対接板
14 対接紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
解放上面を備えた上部載置具に、上面にV字面が形成された下部載置具が一体形成され、センサを備えた各種の放射能計測部が、前記上部載置具を跨いで固定載置される載置具と、
固定筒及び該固定筒に対して収納或いは引出が可能な引出筒からなり、前記固定軸の上端面が前記下部載置具の下端面に着脱自在で、前記下端面への装着状態で、前記引出筒を引出状態にすると、被測定物の測定目標位置の表面に垂直な方向における前記測定目標位置の表面から前記載置具の上面間距離の位置に前記放射能測定器を固定保持する固定保持手段と
を有することを特徴とする放射能測定精度向上装置。
【請求項2】
放射能測定が行なわれる被測定物の測定目標位置の表面が水平面の場合、前記固定保持手段は前記測定目標位置の表面から垂直方向に、全国的な規定値である距離Lが、L=1mの位置に前記放射能測定器を固定保持することを特徴とする請求項1記載の放射能測定精度向上装置。
【請求項3】
放射能測定が行なわれる被測定物の測定目標位置の表面が水平面に対して角度θ傾斜している場合、前記固定保持手段は前記測定目標位置の表面から直角方向に、距離L’が全国定な規定値Lを1mとして、距離L’=Lcosθの位置に前記放射能測定器を固定保持することを特徴とする請求項1記載の放射能測定精度向上装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−44738(P2013−44738A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194364(P2011−194364)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(391064027)
【Fターム(参考)】