説明

放熱マットの配管接続構造および放熱マット

【課題】 リフォーム等によって配管接続を付け替えても放熱マットの再利用可能にする。
【解決手段】 温水を通すパイプ6を配設した板状のマット材12の端部側に、パイプ6と外部配管18とを連通接続するヘッダー1を設ける。ヘッダー1は温水の通路2を内部に形成して成るヘッダー本体3を備え、通路2の開口の一端側にはパイプ6を接続する。通路2の開口の他端側には、外部配管18をヘッダー本体3に接続するために、ヘッダー本体3と別個に形成された継ぎ手管4の一端側を、着脱自在に挿入嵌合する継ぎ手管挿入管路5を、ヘッダー本体3の端面より突出して形成する。継ぎ手管挿入管路5には外部配管18を接続した継ぎ手管4を挿入嵌合して液密状に固定する。外部配管18を外す際、継ぎ手管4が傷ついたら、継ぎ手管4のみを別のものに替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は床面の暖房や冷房を行う放熱マットの配管接続構造および、この配管接続構造に適用される放熱マットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、住生活の快適環境を図る観点から、建物(家屋)の床面暖房が広く普及されており、フローリング等の床暖房を行う装置として、温水式の放熱マット(暖房マット)がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図5には本出願人が開発している放熱マットの一例が熱源器と共に示されている。同図に示すように、放熱マット(暖房マット)11は、板状のマット部としてのマット材12を有しており、マット材12は、四角形状をした発泡スチロール等により形成されている。マット材12の互いに対向する辺側からマット材12の長手方向(対向辺の辺長方向)に間隔を介して、互い違いに相手側の辺方向に伸張するスリットが複数形成され、その各スリットに骨材としての小根太13と小小根太15が収容配置されている。小根太13や小小根太15は、通常、横断面が四角形状を呈した木材の棒状の角材が使用されるが、合成樹脂であってもよい。
【0004】
なお、放熱マット11において、小根太13や小小根太15の配設形態は様々なものがあり、例えば、図6に示すような形態のものもある。また、小根太13や小小根太15のような角材を配設していないカーペット状の放熱マットもある。このようなカーペット状の放熱マットは、電気カーペットのように床の上に設置するものもあるし、床下に設置するものもある。
【0005】
図5に示すように、マット材12の上面側には、放熱用(暖房用)の熱媒体である温水を通すパイプ(熱媒体流通パイプ)6が設けられており、例えば小根太13を迂回する形態で1本以上(図5に示す例ではパイプ6aとパイプ6bの2本)引き回し配設されている。なお、通常は、マット材12の表面にパイプ6を配線するための溝が形成され、その溝にパイプ6が収容されて配線敷設されている。
【0006】
また、マット材12の上面には前記パイプ6と根太(小根太13および小小根太15)とを覆うように、シート状の放熱部材であるアルミ箔(同図には図示せず)が接着形成されている。前記マット材12の端部側にはパイプ6と外部配管18とを連通接続するヘッダー1が設けられており、ヘッダー1には、例えば架橋ポリエチレン管等により形成されている外部配管18を介して熱源器20が接続されている。
【0007】
熱源器20は給水される水を加熱して温水(湯)を作り出す給湯機能を備えた熱源器であり、熱源器20で作り出された温水は外部配管18の往管18aを通してヘッダー1に供給される。ヘッダー1は熱源器20から供給される温水を放熱マット11に導くと共に、放熱マット11から戻ってくる温水(湯温が低下した温水)を、外部配管18の戻り管18bを通して、再加熱のために熱源器20へ戻す役割を担う。
【0008】
上記のような放熱マット11を床下に設置する際は、例えば、図7に示すように、互いに間隔を介して配置された複数の根太40の上に、荒床(すて張り)41を配置し、荒床41の上に放熱マット11を配置する。なお、荒床41には、前記放熱マット11のヘッダー1(同図には図示せず)を配設するための切り欠き43に対応させて、ヘッダー1と略同一形状同一寸法の穴42を開けておく。また、放熱マット11のまわりにはステコンパネ44を配置して、放熱マット11と共に荒床41上に載せる。
【0009】
その後、放熱マット11の小根太13または小小根太15の上側から釘を打ち付けて荒床41と根太40に固定し、放熱マット11の上に床材45を敷き、放熱マット11による床暖房等の放熱ができるようにする。なお、放熱マット11による床暖房は、戸建ての場合、床暖房対象の床面積の91%以上(長さ方向で90%×90%以上)が好ましいとされている。
【0010】
図8(a)には、放熱マット11と外部配管18(18a,18b)との接続構造が、温水の流れ方向を示す矢印と共に示されている。同図に示すように、放熱マット11に設けられたヘッダー1は、熱媒体である温水を通す通路2を内部に形成して成るヘッダー本体3を有しており、前記通路2の開口の一端側には、マット材12に配設されたパイプ6が接続されている。前記通路2の開口の他端側には、配管接続管30がヘッダー本体3と一体的に設けられており、この配管接続管30に外部配管18が接続されている。
【0011】
配管接続管30は、外部配管18の内径より細く形成されており、外部配管18の接続側となる先端側には、該先端側からヘッダー本体3側に向かうにつれて拡径する態様で管路外周側に張り出したテーパ状の鍔部31が、管路長手方向に一つ以上(例えば3つ)配列形成されている。
【0012】
このように、配管接続管30の先端側にテーパ状の鍔部31を形成することによって、外部配管18を配管接続管30の先端側から配管接続管30の外周側に容易に差し込むことができ、かつ、外部配管18の内周壁32を配管接続管30の鍔部31の拡径外周端部に抜け止め係止することができる。そして、この接続によって、外部配管18が配管接続管30から容易に外れることを防止し、また、配管接続管30と外部配管18との接続部から温水が漏れないようにしている。
【0013】
また、外部配管18を確実に配管接続管30により抜け止め係止するために、図8(a)の下側の配管接続管30と外部配管18との接続部に示すように、例えば図8(b)に示すような形状のバンド50を設け、このバンド50によって外部配管18の外周側から外部配管18を押さえ、水漏れを防いでいる。
【0014】
【特許文献1】特開平6―40718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、家族が建物(家屋)に長く居住して行くうちに、家族構成が変化したり、住環境に不便を感じたり、建物の傷みが進行する。これに伴い、建物のリフォームや立て替えを行うことが多く、このような建物のリフォームや立て替えに伴い、放熱マット11の移動を伴う場合は、放熱マット11の配管接続を外すことが行われる。
【0016】
しかしながら、架橋ポリエチレン等により形成された外部配管18は、ヘッダー1の鍔部31とバンド50とに挟まれているので、使用しているうちに、図9(a)に示すように、外部配管18の内周壁に、鍔部31の張り出し先端部の形状に対応した凹部33が形成されてしまい、この凹部33に鍔部31が係止されたような状態となるため、バンド50を外しても、外部配管18からヘッダー1を、図9(a)の矢印方向に引き抜くことができない。
【0017】
そこで、放熱マット11の配管接続を外すためには、まず、図9(b)のAの部分に、刃物(この図ではカッターナイフ34)等によって切り込みを入れて外部配管18を切断し、その後、Bの部分に切れ目を入れて、外部配管18をヘッダー1から剥がすことが行われる。ところが、Bの部分に切り込み形成を行うと、図9(c)に示すように、外部配管18の内周壁に係止している配管接続管30の鍔部31の拡径外周端部に傷を付けてしまうため、この状態で配管接続管30に新しい外部配管18を接続しても、前記傷から温水が漏れてしまう。
【0018】
そのため、たとえ、放熱マット11自体には支障が無く、配管接続し直せば再利用できるにも拘わらず、リフォームや立て替え後に放熱マット11を再利用することはできず、リフォーム等の工事を行うのに伴って、放熱マット11も新しい物に交換しなければならないので、資源の無駄が生じ、リフォームや立て替えのコストが高くなるという問題が生じる。
【0019】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、リフォーム等によって放熱マットの移動の必要が生じても、その放熱マットを引き続き利用することができるようにして資源の無駄を省き、リフォーム等のコスト低減を図ることを可能とする放熱マットの配管接続構造およびその配管接続構造に適用される放熱マットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は上記目的を達成するために、次の構成をもって上記課題を解決する手段と成している。すなわち、第1の発明の放熱マットの配管接続構造は、放熱用の熱媒体を通すパイプが配設された板状のマット部と、該マット部の端部側に設けられて前記パイプと外部配管とを連通接続するヘッダーとを有する放熱マットの配管接続構造であって、前記ヘッダーは前記熱媒体を通す通路を内部に形成して成るヘッダー本体を有して、前記通路の開口の一端側には前記パイプが接続されており、前記通路の開口の他端側には前記外部配管を前記ヘッダー本体に接続するためにヘッダー本体と別個に形成された継ぎ手管の一端側を着脱自在に挿入嵌合する継ぎ手管挿入管路が形成され、該継ぎ手管挿入管路は前記ヘッダー本体の端面より突出しており、前記継ぎ手管挿入管路には前記外部配管を接続した継ぎ手管が挿入嵌合されて液密状に固定されている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0021】
また、第2の発明の放熱マットの配管接続構造は、上記第1の発明の構成に加え、前記継ぎ手管の継ぎ手管挿入管路への挿入部位の外周壁と前記継ぎ手管挿入管路の内周壁との間にOリングが設けられて、前記継ぎ手管の挿入部位が前記継ぎ手管挿入管路内に液密状に固定されている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0022】
さらに、第3の発明の放熱マットの配管接続構造は、上記第1または第2の発明の構成に加え、前記継ぎ手管の途中部には外周側に鍔部が張り出し形成されて該鍔部よりも先端側の管路が継ぎ手管挿入管路に挿入されており、継ぎ手管挿入管路の先端側には外周側に鍔部が張り出し形成されて、該鍔部の先端面と前記継ぎ手管の鍔部の端面とが当接し、これらの両鍔部を挟持して前記継ぎ手管と前記継ぎ手管挿入管路とを挟持固定する挟持部材が着脱自在に設けられている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0023】
また、第4の発明の放熱マットの配管接続構造は、上記第1または第2または第3の発明の構成に加え、前記継ぎ手管には、外部配管の接続側となる接続端側に、該接続端側から継ぎ手管挿入管路への挿入部側に向かうにつれて拡径する態様で管路外周側に張り出したテーパ状の鍔部が管路長手方向に一つ以上配列形成され、前記継ぎ手管に挿入される外部配管の内周壁が継ぎ手管のテーパ状の鍔部の拡径外周端部に抜け止め係止されていることを特徴とする。
【0024】
さらに、第5の発明の放熱マットは、上記第1乃至第4のいずれか一つの放熱マットの配管接続構造に適用される放熱マットであって、放熱用の熱媒体を通すパイプが配設された板状のマット部と、該マット部に接続されて前記パイプと外部配管とを連通接続するヘッダーとを有し、該ヘッダーは前記熱媒体を通す通路を内部に形成して成るヘッダー本体を有して、前記通路の開口の一端側には前記パイプが接続されており、前記通路の開口の他端側には継ぎ手管挿入管路が設けられ、該継ぎ手管挿入管路には前記外部配管を前記ヘッダー本体に接続するためにヘッダー本体と別個に形成された継ぎ手管が着脱自在に挿入嵌合されることを特徴とする。
【0025】
さらに、第6の発明の放熱マットは、上記第5の発明の構成に加え、前記継ぎ手管挿入管路には断面が略L字形状の継ぎ手管が着脱自在に挿入嵌合していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、放熱用の熱媒体を通すパイプが配設された板状のマット部の端部側に、前記パイプと外部配管とを連通接続するヘッダーを設けて放熱マットを形成し、そのヘッダーの構成を以下のように特徴的な構成として、放熱マットと外部配管との接続を特徴的な構成としたので、放熱マットを移動する場合でも、放熱マットと外部配管との接続をし直すことにより、放熱マットの再利用を可能とすることができる。
【0027】
すなわち、本発明において、放熱マットのヘッダーは、ヘッダー本体に設けられた熱媒体の通路の開口の一端側に前記パイプを接続し、前記通路の開口の他端側には前記外部配管を前記ヘッダー本体に接続するためにヘッダー本体と別個に形成された継ぎ手管の一端側を着脱自在に挿入嵌合する継ぎ手管挿入管路を設けている。そして、前記外部配管を接続した継ぎ手管を、前記継ぎ手管挿入管路に挿入嵌合して液密状に固定したので、外部配管を継ぎ手管から外すときに継ぎ手管に傷がついても、継ぎ手管を新しいものに替えれば、放熱マットは再利用することができる。
【0028】
つまり、本発明の放熱マットを用い、放熱マットの配管接続構造を適用することにより、リフォーム等の工事の回数に影響なく、放熱マットを寿命に至るまで使用することができるので、資源の無駄を省き、リフォームのコスト低減を図ることが可能であり、リフォームの工事も容易に行うことが可能である。
【0029】
また、本発明において、継ぎ手管の継ぎ手管挿入管路への挿入部位の外周壁と前記継ぎ手管挿入管路の内周壁との間にOリングが設けられて、前記継ぎ手管の挿入部位が前記継ぎ手管挿入管路内に液密状に固定されている構成によれば、Oリングの介設によって、継ぎ手管の挿入部位を継ぎ手管挿入管路内に、容易に、かつ、確実に液密状に固定でき、外部配管と放熱マットとを的確に接続できる。
【0030】
さらに、本発明において、継ぎ手管の途中部には外周側に鍔部が張り出し形成されて該鍔部よりも先端側の管路が継ぎ手管挿入管路に挿入されており、継ぎ手管挿入管路の先端側には外周側に鍔部が張り出し形成されて、該鍔部の先端面と前記継ぎ手管の鍔部の端面とが当接し、これらの両鍔部を挟持して前記継ぎ手管と前記継ぎ手管挿入管路とを挟持固定する挟持部材が着脱自在に設けられている構成によれば、挟持部材によって、継ぎ手管と継ぎ手管挿入管路とを、簡単に、着脱自在に挟持固定できる。
【0031】
さらに、本発明において、継ぎ手管には、外部配管の接続側となる接続端側に、該接続端側から継ぎ手管挿入管路への挿入部側に向かうにつれて拡径する態様で管路外周側に張り出したテーパ状の鍔部が管路長手方向に一つ以上配列形成され、前記継ぎ手管に挿入される外部配管の内周壁が継ぎ手管のテーパ状の鍔部の拡径外周端部に抜け止め係止されている構成によれば、外部配管を継ぎ手管に容易に挿入でき、かつ、挿入後は、外部配管の内周壁を継ぎ手管のテーパ状の鍔部の拡径外周端部に強固に抜け止め係止して外部配管の抜けを防止できるので、外部配管と放熱マットとを容易に、かつ、より一層的確に接続できる。
【0032】
さらに、本発明の放熱マットにおいて、継ぎ手管挿入管路には断面が略L字形状の継ぎ手管が着脱自在に挿入嵌合している構成によれば、継ぎ手管の基端側の軸心を中心として、継ぎ手管の先端側を回動させることにより、継ぎ手管に接続される外部配管の向きを自在に変えることができる。そのため、放熱マットの設置に関し、マットの下側に設けられる荒床の開口端や、基礎壁面に外部配管がぶつからないように外部配管を的確に配置することが容易にでき、設置作業をより効率的に、より的確に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、以下の実施の形態の説明において、従来例の構成部分と同一部分には同一符号を付して重複説明は省略又は簡易化する。
【0034】
図1は本発明の放熱マットの配管接続構造の一実施形態例を示す説明図である。この実施形態例に適用している放熱マット11は図5に示した従来例の放熱マット11とほぼ同様に構成されており、マット材12の端部側にヘッダー1が配設されているが、本実施形態例の放熱マット11は、ヘッダー1の構成を従来例と異なる構成としている。
【0035】
つまり、図1(a)、図1(b)に示すように、本実施形態例では、ヘッダー1のヘッダー本体3に形成されている通路2の開口の他端側(パイプ6の接続側と反対側)に、前記外部配管18をヘッダー本体1に接続するためにヘッダー本体1と別個に形成された継ぎ手管4の一端側を、着脱自在に挿入嵌合する継ぎ手管挿入管路5を形成している。
【0036】
この継ぎ手管挿入管路5は、前記ヘッダー本体3の端面より突出しており、図1(a)に示すように、継ぎ手管挿入管路5には前記外部配管18を接続した継ぎ手管4が挿入嵌合されて液密状に固定されている。
【0037】
つまり、図1(a)において下側に示されている継ぎ手管4側と、図1(b)とに示すように、継ぎ手管4の継ぎ手管挿入管路5への挿入部位の外周壁8と前記継ぎ手管挿入管路5の内周壁9との間にはOリング7が設けられており、前記継ぎ手管4の挿入部位が前記継ぎ手管挿入管路5内に液密状に固定されている。
【0038】
また、本実施形態例では、継ぎ手管4の継ぎ手管挿入管路5への挿入部位の外周壁8と継ぎ手管挿入管路5の内周壁9とを、いずれもストレート状に形成し、継ぎ手管4の挿入部位の外周側にOリング7を取り付けた状態で継ぎ手管挿入管路5の管路内に挿入し、このとき、Oリング7を弾性変形させている。
【0039】
このように、本実施形態例では、継ぎ手管4の継ぎ手管挿入管路5への挿入部位の外周壁8と継ぎ手管挿入管路5の内周壁9との間にOリング7を設けて、継ぎ手管4の挿入部位を継ぎ手管挿入管路5内に液密状に固定することにより、Oリング7の介設によって、継ぎ手管4を継ぎ手管挿入管路5に、容易に、かつ、確実に液密状に固定でき、外部配管18と放熱マット11とを的確に接続できる。
【0040】
なお、継ぎ手管4の継ぎ手管挿入管路5への固定構造は、特に限定されるものでなく、継ぎ手管4の挿入部位が前記継ぎ手管挿入管路5内に液密状に固定されるように適宜設定されるものである。例えば継ぎ手管挿入管路5の内周壁9に、Oリング7が嵌合する凹部を形成し、この凹部にOリング7を設けた状態で、継ぎ手管4の挿入部位を継ぎ手管挿入管路5の管路内に挿入してもよい。
【0041】
また、本実施形態例において、継ぎ手管4の途中部には外周側に鍔部22が張り出し形成されており、該鍔部22よりも先端側の管路が継ぎ手管挿入管路5に挿入されている。継ぎ手管挿入管路5の先端側には、外周側に鍔部23が張り出し形成されて、該鍔部23の先端面と前記継ぎ手管4の鍔部22の端面とが当接している。
【0042】
図1(a)の上側の継ぎ手管4側に示すように、継ぎ手管4の鍔部22と継ぎ手管挿入管路5の鍔部23は、挟持部材としてのクリップ24によって両側から挟持され、継ぎ手管4と継ぎ手管挿入管路5とが挟持固定されている。なお、図1(a)の下側の継ぎ手管4側にもクリップ24が設けられているが、説明の都合上、省略して示している。
【0043】
クリップ24は、図2(a)に示す正面形状と図2(b)に示す側面形状を有しており、図2(b)に示すように、鍔部22,23を嵌合するための嵌合穴25が形成されている。そして、図2(a)に示すように、クリップ24の足部24aを、継ぎ手管4と継ぎ手管挿入管路5の鍔部22,23の外周部の一端側から挿入し、嵌合穴25に鍔部22,23を嵌合すると、図2(c)に示すように、鍔部22,23を両側から挟持することができる。クリップ24は、着脱自在に設けられており、上記と逆の操作により、鍔部22,23から外すことができる。
【0044】
また、図1に示すように、継ぎ手管4には、外部配管18の接続側となる接続端側に、該接続端側から継ぎ手管挿入管路5への挿入部側に向かうにつれて拡径する態様で管路外周側に張り出したテーパ状の鍔部10が管路長手方向に一つ以上(ここでは3つ)配列形成されている。そして、継ぎ手管4に挿入される外部配管18の内周壁32が継ぎ手管4のテーパ状の鍔部10の拡径外周端部に抜け止め係止されている。
【0045】
また、前記ヘッダー1の通路2の開口の一端側(継ぎ手管挿入管路5と反対側)には、前記ヘッダー本体3と一体的に設けられたパイプ用接続管26がヘッダー本体3の端面より突出して形成され、該パイプ接続管路26には前記パイプ6が接続されている。
【0046】
パイプ接続管路26の先端側には、先端側から基端側に向かうにつれて拡径する態様で管路外周側に張り出したテーパ状の鍔部27が管路長手方向に一つ以上(ここでは3つ)配列形成され、パイプ接続管路26の先端側から挿入されるパイプ6の内周壁28が前記テーパ状の鍔部27の基端側に抜け止め係止されている。
【0047】
なお、ヘッダー1の厚みは特に限定されるものではないが、本実施形態例では、ヘッダー1の厚みがマット材12の厚みより薄く形成されており、ヘッダー1はマット材12の端部側に設けられたヘッダー収容部21に収容されている。
【0048】
本実施形態例は以上のように構成されており、本実施形態例では、従来例のように、外部配管18をヘッダー1のヘッダー本体3に接続するための管路をヘッダー本体3と一体的に設けたものではなく、ヘッダー本体3から突出させて、ヘッダー本体3と別個に形成された継ぎ手管4の一端側を着脱自在に挿入嵌合する継ぎ手管挿入管路5を形成しているので、例えば放熱マット11の移動等に伴い、外部配管18を外す作業の必要性が生じても、放熱マット11自体を再利用することができる。
【0049】
つまり、本実施形態例によれば、外部配管18を外す作業の必要性に応じて外部配管18を継ぎ手管4から外すときに継ぎ手管4に傷がついても、継ぎ手管4を新しいものに替えれば、放熱マット11は再利用することができる。なお、継ぎ手管4は、継ぎ手管挿入管路5に液密状に固定されるようにしており、継ぎ手管4を介しての外部配管18からの温水の供給等は、従来と同様に、支障なく行うことができる。
【0050】
つまり、本実施形態例によれば、リフォーム等の工事の回数に影響なく、放熱マット11を寿命に至るまで使用することができるので、資源の無駄を省き、リフォームのコスト低減を図ることが可能であり、リフォームの工事も容易に行うことが可能である。
【0051】
また、本実施形態例によれば、継ぎ手管4の途中部と継ぎ手管挿入管路5の先端側にそれぞれ、外周側に鍔部22,23を張り出し形成し、該鍔部22,23同士を当接させ、これら両鍔部22,23をクリップ24により挟持しており、クリップ24によって、継ぎ手管4と継ぎ手管挿入管路5とを、簡単に、着脱自在に挟持固定できる。
【0052】
さらに、本実施形態例によれば、継ぎ手管4の先端側にテーパ状の鍔部10を複数形成しているので、外部配管18を継ぎ手管4に容易に挿入でき、かつ、挿入後は、外部配管18の内周壁32を継ぎ手管4のテーパ状の鍔部10の拡径外周端部に強固に抜け止め係止して外部配管18の抜けを防止できる。
【0053】
また、本実施形態例では、パイプ接続管路26の先端側にも、同様に、テーパ状の鍔部27を複数形成しているので、パイプ6をパイプ接続管路26に容易に挿入でき、かつ、挿入後は、パイプ6の抜けを防止できる。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態例の構成に限定されることなく、様々な実施の形態を採り得る。例えば、上記実施形態例では、クリップ24を設けて継ぎ手管4と継ぎ手管挿入管路5とを固定したが、クリップ24以外の挟持部材を着脱自在に設けて、継ぎ手管4と継ぎ手管挿入管路5とを固定してもよし、挟持部材は省略することもできる。
【0055】
図2(d)、(e)には、挟持部材の別の例が示されており、これらの挟持部材35は、例えば、挟持部材35の足部35aを、継ぎ手管4と継ぎ手管挿入管路5の鍔部22,23の外周部の一端側から挿入し、それぞれの凹部36に継ぎ手管4と継ぎ手管挿入管路5を嵌合することにより、鍔部22,23を挟持することができる。挟持部材35は、着脱自在に設けられ、上記と逆の操作により、鍔部22,23から外すことができる。
【0056】
図2(d)、(e)に示す挟持部材は、並設された2つの継ぎ手管挿入管路5と、それぞれの継ぎ手管挿入管路5に挿入嵌合される継ぎ手管4とを同時に挟持することができるので、便利である。なお、凹部36の配設数を多くすれば、その分だけ、同時に挟持できる継ぎ手管4と継ぎ手管挿入管路5との組を多くできる。
【0057】
また、上記実施形態例では、放熱マット11に取り付ける継ぎ手管4はストレート形状としたが、例えば図3(a)に示すように、L字形状としてもよい。
【0058】
放熱マット11を床下に取り付けるときには、図7に示したように、前記荒床41に穴42を形成し、外部配管18は穴42を通って床下空間から引き出されて、継ぎ手管4を介して放熱マット11のヘッダー1に接続されるが、継ぎ手管4が上記実施形態例のようなストレート形状の場合、継ぎ手管4の長手方向が放熱マット11の面方向と同じ水平方向となるのに対し、床下空間から斜めに引き出された外部配管18が接続されることになる。
【0059】
外部配管18を床下空間から斜めに引き出す理由は、もし、外部配管18を床下空間からほぼ垂直方向から引き出して、水平方向に配置された継ぎ手管4に接続すると、外部配管18が継ぎ手管4との接続部位で座屈してしまうので、この座屈を防ぐためである。
【0060】
そこで、上記のように、外部配管18を床下空間から斜めに引き出すためには、上記荒床41に形成する穴42をある程度余裕のある大きな穴として、余裕を持って外部配管18の配置を行いたいところだが、穴42は工事の現場で開けられるものであり、大工はあまり大きな穴を開けたがらない。そのため、穴42は小さめであり、放熱マット11を再利用する際に、穴42を通って床下空間から引き出される外部配管18が荒床41の穴42の端部にぶつかる可能性がある。
【0061】
また、放熱マット11を再利用する際、例えば、再利用前に6畳の部屋で用いていた放熱マット11を4.5畳の部屋に適用しようとする等、異なる大きさや異なるタイプの部屋への適用を行う場合、ストレート形状の継ぎ手管4の先端から斜めの方向に基礎壁面が形成されていることがある。特に、廊下の突き当たりのような場所では、ヘッダー1の配設位置の下部側近傍に2面の基礎壁面が形成されていることがあり、ストレート形状の継ぎ手管4の場合、外部配管18の配置が難しい場合がある。
【0062】
それに対し、例えば図3(a)に示すようなL字形状の継ぎ手管4の場合は、図(b)に示すように、継ぎ手管4を基端側を軸として回動させると、継ぎ手管4の先端側の向きを自在に変えることができるので、継ぎ手管4に接続される外部配管18の向きを自在に変えることができる。
【0063】
そのため、放熱マット11の設置に関し、マットの下側に設けられる荒床の開口端(穴42の端部)や、基礎壁面に外部配管18がぶつからないように外部配管18を的確に配置することが容易にでき、設置作業をより効率的に、より的確に行うことができる。
【0064】
なお、継ぎ手管4の継ぎ手管挿入管路5への挿入嵌合部にはOリング7が設けられているので、継ぎ手管4を回転させても液密固定状態を確実に保つことができる。
【0065】
さらに、上記実施形態例では、継ぎ手管4と継ぎ手管挿入管路5とに鍔部22,23を形成したが、これらの鍔部22,23は省略することもできる。ただし、上記実施形態例のように、鍔部22,23を設け、鍔部22よりも挿入先端側の管路を継ぎ手管4の挿入部位とし、鍔部22を継ぎ手管挿入管路5の鍔部23に当接させると、継ぎ手管4の挿入位置を確定でき、継ぎ手管4と継ぎ手管挿入管路5との接続をより一層的確に行うことができる。
【0066】
さらに、上記実施形態例では、それぞれの継ぎ手管4に、外部配管18の接続端側にテーパ状の鍔部10を3つずつ形成したが、このテーパ状の鍔部10の配設数や形状は特に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。
【0067】
また、テーパ状の鍔部10を設ける代わりに、例えば図4(a)に示すように、継ぎ手管4の先端側で外部配管18の壁部を内外から挟持するように構成し、外部配管18を継ぎ手管4の先端側に抜け止め固定してもよい。図4(a)に示す構成は、継ぎ手管4の先端部46をテーパ面とし、その基端側にOリング38を設けて外部配管18の内側に配置すると共に、外部配管18の外周壁に係止する爪部37を設けている。
【0068】
このようにすると、外部配管18と継ぎ手管4とをより確実に液密固定できる。また、外部配管18の壁部を挟持する構成を図4(a)と逆にして、外部配管18の外周側にOリング38を有する挟持部を設け、外部配管18の内壁面側に係止する爪部37を設けてもよい。
【0069】
さらに、図4(b)に示すように、継ぎ手管4の先端側内壁と外部配管18の先端側外壁とを溶着した溶着接続部39として、継ぎ手管4と外部配管18とを固定してもよい。この場合、継ぎ手管4の少なくとも先端側を外部配管18と同じ材質に形成する。
【0070】
そして、例えば継ぎ手管4の外部配管挿入部分に金属のワイヤーを埋め込んで、外部から電磁波(マイクロ波)を当てることにより、継ぎ手管4の先端側内壁と外部配管18の先端側外壁とを熱溶着する。また、外部からの通電も可能であり、この場合、金属の線は、通電用線が継ぎ手管4から出ることになる。
【0071】
さらに、上記実施形態例では、パイプ6との接続を、図1に示した構成のパイプ接続管路26を介して行ったが、パイプ接続管路26の構成は特に限定されるものではなく、適宜設定されるものである。
【0072】
また、上記実施形態例では、図5に示した放熱マット11を例にして説明したが、放熱マット11のパイプ6の本数、パイプ6のマット材12上での敷設形態(引き回し形態)は仕様に応じ任意に設定できるものである。
【0073】
また、図5の例では骨材の小根太13を棒状の角材形態にしてマット材12の面内に互い違いに設けたが、小根太13の配設形態はこれとは異なる形態で配置してもよく、また、骨材は小根太13のような棒状の角材を寝せた姿勢で配置するのではなく、短柱状の骨材を立設状にマット材12の領域に間隔を介して複数配置したものでもよいし、小根太13を配置しない形態とすることもできる。さらに、マット材12の形状も実施形態例では四角形としたが、円形や、四角形以外の多角形状であってもよく、仕様に応じた様々な形状にすることができる。
【0074】
さらに、上記実施形態例においては、放熱マット11の上面全面に放熱材(アルミニューム箔等の伝熱シート)が張られていたが、放熱材を放熱マット11の上面の一部位に張ったものでもよく、極端な例では放熱材を設けない場合も有り得る。
【0075】
さらに、上記実施形態例において、放熱マット11に供給する温水の熱源器20はガスや石油を燃料とする給湯機能を備えた温水循環式熱源器を念頭において説明したが、熱源器20は温水循環式の電気温水器であってもよく、発電装置等の廃熱を利用して温水を作り出す、コジェネレーション温水循環式熱源器であってもよい。
【0076】
さらに、上記実施形態例では、パイプ6に温水を通して暖房を行う用途を例にして説明したが、パイプ6に室温よりは低温の冷水(加熱されていない水)を通すことにより、冷房の用途に使用することができる。
【0077】
さらに、上記説明は、リフォーム等を前提に説明したが、本発明の放熱マットの設置構造および放熱マットは、新築建物に適用する新設の場合にも適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明に係る放熱マットの配管接続構造の一実施形態例を、継ぎ手管4を挿入した状態(a)と外した状態(b)とにより模式的に示す説明図である。
【図2】上記実施形態例において設けられているクリップとその取り付け動作(a)〜(c)と、その他の実施形態例に設けられる挟持部材の例(d)、(e)を示す説明図である。
【図3】本発明に係る放熱マットとその配管接続構造の他の実施形態例を示す説明図である。
【図4】本発明に係る放熱マットとその配管接続構造に適用される継ぎ手管と外部配管との接続部位を断面図により示す説明図である。
【図5】放熱マットを用いた暖房システムの一例の説明図である。
【図6】放熱マットにおけるマット材と小根太の配置構成例を簡略化して示す説明図である。
【図7】放熱マットの施工方法例を示す説明図である。
【図8】従来の放熱マットの配管接続構造を示す図である。
【図9】従来の放熱マットの配管接続構造の問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
【0079】
1 ヘッダー
2 通路
3 ヘッダー本体
4 継ぎ手管
5 継ぎ手管挿入管路
6 パイプ
7 Oリング
8 外周壁
9 内周壁
10 テーパ状の鍔部
11 放熱マット
12 マット材
18 外部配管
22,23 鍔部
24 クリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放熱用の熱媒体を通すパイプが配設された板状のマット部と、該マット部の端部側に設けられて前記パイプと外部配管とを連通接続するヘッダーとを有する放熱マットの配管接続構造であって、前記ヘッダーは前記熱媒体を通す通路を内部に形成して成るヘッダー本体を有して、前記通路の開口の一端側には前記パイプが接続されており、前記通路の開口の他端側には前記外部配管を前記ヘッダー本体に接続するためにヘッダー本体と別個に形成された継ぎ手管の一端側を着脱自在に挿入嵌合する継ぎ手管挿入管路が形成され、該継ぎ手管挿入管路は前記ヘッダー本体の端面より突出しており、前記継ぎ手管挿入管路には前記外部配管を接続した継ぎ手管が挿入嵌合されて液密状に固定されていることを特徴とする放熱マットの配管接続構造。
【請求項2】
継ぎ手管の継ぎ手管挿入管路への挿入部位の外周壁と前記継ぎ手管挿入管路の内周壁との間にOリングが設けられて、前記継ぎ手管の挿入部位が前記継ぎ手管挿入管路内に液密状に固定されていることを特徴とする請求項1記載の放熱マットの配管接続構造。
【請求項3】
継ぎ手管の途中部には外周側に鍔部が張り出し形成されて該鍔部よりも先端側の管路が継ぎ手管挿入管路に挿入されており、継ぎ手管挿入管路の先端側には外周側に鍔部が張り出し形成されて、該鍔部の先端面と前記継ぎ手管の鍔部の端面とが当接し、これらの両鍔部を挟持して前記継ぎ手管と前記継ぎ手管挿入管路とを挟持固定する挟持部材が着脱自在に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の放熱マットの配管接続構造。
【請求項4】
継ぎ手管には、外部配管の接続側となる接続端側に、該接続端側から継ぎ手管挿入管路への挿入部側に向かうにつれて拡径する態様で管路外周側に張り出したテーパ状の鍔部が管路長手方向に一つ以上配列形成され、前記継ぎ手管に挿入される外部配管の内周壁が継ぎ手管のテーパ状の鍔部の拡径外周端部に抜け止め係止されていることを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3記載の放熱マットの配管接続構造。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の放熱マットの配管接続構造に適用される放熱マットであって、放熱用の熱媒体を通すパイプが配設された板状のマット部と、該マット部に接続されて前記パイプと外部配管とを連通接続するヘッダーとを有し、該ヘッダーは前記熱媒体を通す通路を内部に形成して成るヘッダー本体を有して、前記通路の開口の一端側には前記パイプが接続されており、前記通路の開口の他端側には継ぎ手管挿入管路が設けられ、該継ぎ手管挿入管路には前記外部配管を前記ヘッダー本体に接続するためにヘッダー本体と別個に形成された継ぎ手管が着脱自在に挿入嵌合されることを特徴とする放熱マット。
【請求項6】
継ぎ手管挿入管路にはL字形状の継ぎ手管が着脱自在に挿入嵌合していることを特徴とする請求項5記載の放熱マット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−242478(P2006−242478A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−59165(P2005−59165)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(000129231)株式会社ガスター (277)
【Fターム(参考)】