説明

放送受信装置

【課題】本発明は、視聴者によって選局されたチャンネルにおけるCM放送開始直前の放送が再度出力されることを防止する。
【解決手段】第1の放送信号を生成する第1の放送受信部1,3と、第2の放送信号を生成する第2の放送受信部2,4と、CM放送の開始時点及び終了時点を検出するコマーシャル放送検出部7と、CM開始前放送信号を記憶する放送信号記憶部5と、CM放送の終了時点を検出したら、第1の放送信号とCM開始前放送信号との類似の度合いを算出し、類似の度合いが閾値を超えた場合は、これらは類似しないと判定する放送信号比較部6と、放送信号比較部6が類似しないと判定し、かつ、出力部が第2の放送信号を出力している場合、出力部の出力を第2の放送信号から第1の放送信号に切り替えるための制御信号を生成し出力部へ供給する選局決定手段9aとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視聴者によって選局されたチャンネルにおけるコマーシャル放送開始直前の放送が再度出力されることを防止する放送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビジョン放送の視聴者は、視聴している番組がコマーシャル放送(以下、CM放送という)に切り替わったとき、そのCM放送を視聴したくない場合等に、リモートコントローラ(以下、リモコンという)を操作することによって他のチャンネルを選局することが多かった。そして、視聴者自身がCM放送の終了時点を予測し、リモコンを操作することによって視聴していた元のチャンネルに戻していた。
【0003】
しかし、テレビジョン放送の視聴者がCM放送中に他チャンネルの番組を視聴している間に、元々視聴していた番組が始まってしまい、元々視聴していた番組の一部を見逃すという問題点があった。
【0004】
そこで、テレビジョン放送の視聴者が視聴しているチャンネルの番組がCM放送になったとき自動的に他のチャンネルの放送を受信する状態に切り替え、元々視聴していたチャンネルのCM放送が終了すると元のチャンネルに自動的に切り替えるテレビジョン信号受信装置が提案されている(特許文献1)。
【0005】
また、テレビジョン放送の視聴者が視聴中のチャンネルの放送番組のCM放送の開始と終了を検知し、CM放送時、CM放送中のチャンネルをメイン画面に表示し、少なくとも1つの他のチャンネルを所望の設定に従って一定時間ごとに切り替えて自動選局し、他のチャンネルの放送番組を、少なくとも1つのサブ画面に表示し、CM放送終了時、サブ画面の表示を中止し、メイン画面で選局中のチャンネルの放送番組のみを表示することを特徴とする自動選局方法が提案されている。(特許文献2)。
【特許文献1】特公平8−8668号公報
【特許文献2】特開2003−219307号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、昨今のテレビジョン放送において、特にバラエティ、ドラマ、アニメ番組等では、CM放送終了後に、CM開始直前の放送(以下、CM開始前放送という)をそのまま、あるいはダイジェスト的に放送する場合が多い。
【0007】
そのため、特許文献1に記載のテレビジョン信号受信装置や特許文献2に記載の自動選局方法では、CM放送終了後に、CM開始前放送を再度放送するので、視聴者は再度CM開始前放送を視聴するしかなかった。
【0008】
しかし、このCM開始前放送の内容は、視聴者にとっては一度視聴した内容と同等の内容であるので、このCM開始前放送を再度視聴することを嫌う視聴者も少なくなかった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、視聴者によって選局されたチャンネルにおけるCM開始前放送が再度出力されることを防止する放送受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る放送受信装置の第1の特徴は、複数の放送チャンネルのうちから第1のチャンネルおよび第2のチャンネルをそれぞれ選局する選局部と、選局部で選局された第1のチャンネルの放送波を受信し、第1の放送信号を生成する第1の放送受信部と、選局部で選局された第2のチャンネルの放送波を受信し、第2の放送信号を生成する第2の放送受信部と、第1の放送信号と第2の放送信号とを、供給される制御信号を基に切り替えて出力する出力部と、第1の放送信号に含まれるCM放送の開始時点及び終了時点を検出するコマーシャル放送検出部と、コマーシャル放送検出部が検出したCM放送の開始時点から予め設定されている所定時間さかのぼった時点までの間に受信していた第1の放送信号をCM開始前放送信号として記憶する放送信号記憶部と、コマーシャル放送検出部がCM放送の終了時点を検出したら、この終了時点から所定時間経過するまでの間の第1の放送信号と、CM開始前放送信号との類似の度合いを算出し、この類似の度合いが予め定めた閾値以下の場合は、第1の放送信号とCM開始前放送信号とは類似すると判定し、類似の度合いが閾値を超えた場合は、第1の放送信号とCM開始前放送信号とは類似しないと判定する判定処理を行う放送信号比較部と、放送信号比較部が類似しないと判定し、かつ、出力部が第2の放送信号を出力している場合、出力部の出力を第2の放送信号から第1の放送信号に切り替えるための制御信号を生成し出力部へ供給する選局決定手段とを備えることにある。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る放送受信装置の第2の特徴は、出力部が、第1の放送信号に含まれる映像信号と第2の放送信号に含まれる映像信号とを、供給される制御信号を基に合成又は合成解除する合成器を有し、放送信号比較部が類似しないと判定し、かつ、合成器が第1の放送信号の映像信号と第2の放送信号の映像信号とを合成している場合、合成器の合成を解除して第1の放送信号の映像信号のみを出力するように制御するための制御信号を生成し出力部の合成器へ供給する選局決定手段とを備えることにある。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る放送受信装置の第3の特徴は、第1の放送信号に含まれる各番組コンテンツ毎のジャンルを示す番組ジャンルデータを取得する番組ジャンル取得部を備え、放送信号比較部は、取得した番組ジャンルデータを基に、この番組ジャンルデータに対応した番組コンテンツの放送期間内で判定処理を行うか否かを決定する判定処理決定器を有し、この判定処理決定器で判定処理を行うと決定された番組コンテンツの放送期間内でのみ判定処理を行う比較部であることにある。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る放送受信装置によれば、視聴者によって選局されたチャンネルにおけるCM開始前放送が再度出力されることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
本実施形態では、視聴者によって元々視聴されているチャンネル(以下、主視聴チャンネルという)がCM放送中に、視聴者によって他チャンネル(以下、副視聴チャンネルという)が選局されたとしても、主視聴チャンネルのCM開始前放送を再度出力することなく、主視聴チャンネルに自動的に切り替える放送受信装置を例に挙げて説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る放送受信装置の一実施形態を示したブロック図である。
【0017】
本実施形態に係る放送受信装置100は、放送受信装置100の動作状態や利用者により操作された操作状態等を表示する表示部12と、外部入力によるテレビジョン放送の選局信号や主視聴チャンネルへの自動復帰を示すCM終了自動復帰切替要求信号を生成したり、各種設定の入力信号を生成する入力部13と、入力部13により生成した選局信号に対応する主視聴チャンネル及び副視聴チャンネルの選局を行う選局部8と、選局部8により選局された主視聴チャンネルの放送波を受信する第1の放送受信部1と、選局部8により選局された副視聴チャンネルの放送波を受信する第2の放送受信部2と、第1の放送受信部1により受信した放送波に対して再生するための信号処理を行うことで第1の放送信号を生成する第1の映像音声信号処理部3と、第2の放送受信部2により受信した放送波に対して再生するための信号処理を行うことで第2の放送信号を生成する第2の映像音声信号処理部4と、第1の放送信号と第2の放送信号とを、供給される制御信号を基に切り替えて出力する出力部20とを備える。
【0018】
また、本実施形態に係る放送受信装置100は、第1の映像音声信号処理部3により生成された第1の放送信号からCM放送の開始時点及び終了時点を検出するコマーシャル放送検出部7と、コマーシャル放送検出部7が検出したCM放送の開始時点から予め設定されている所定時間さかのぼった時点までの間に受信していた第1の放送信号をCM開始前放送信号として記憶する放送信号記憶部5と、コマーシャル放送検出部7がCM放送の終了時点を検出したら、この終了時点から所定時間経過するまでの間の第1の放送信号と、CM開始前放送信号との類似の度合いを算出し、この類似の度合いが予め定めた閾値以下の場合は、第1の放送信号とCM開始前放送信号とは類似すると判定し、類似の度合いが閾値を超えた場合は、第1の放送信号とCM開始前放送信号とは類似しないと判定する判定処理を行う放送信号比較部6と、放送受信装置100の中枢的な制御を行う制御部9と、放送受信プログラム等の放送受信装置100が各種処理を行う上で必要なプログラムや各種設定値を記憶する記憶部15とを備える。
【0019】
制御部9は、記憶部15に記憶された放送受信プログラムを実行することにより、放送信号比較部6が類似しないと判定し、かつ、出力部20が第2の放送信号を出力している場合、出力部20の出力を第2の放送信号から第1の放送信号に切り替えるための制御信号を生成し出力部20へ供給する選局決定手段9aを実装する。
【0020】
また、出力部20は、第1の映像音声信号処理部3により生成された第1の放送信号に含まれる映像信号と第2の映像音声信号処理部4により生成された第2の放送信号に含まれる映像信号との切替え又はこれらの合成若しくは合成解除を行う映像切替合成部10と、第1の映像音声信号処理部3により生成された第1の放送信号に含まれる音声信号と第2の映像音声信号処理部4により生成された第2の放送信号に含まれる音声信号との切替えを行う音声切替部17と、映像切替合成部10及び音声切替部17からの信号に応じて表示パネルや録画装置等の出力装置へ出力信号を送信する出力制御部11とを備える。
【0021】
次に図2のフローチャートに従って、本実施形態に係る放送受信装置100の処理手順について説明する。
【0022】
まず、制御部9は、入力部13により受信したテレビジョン放送の主視聴チャンネルの選局信号を受付け、受け付けた選局信号を選局部8へ送信する。そして、選局信号を受け付けた選局部8は、この選局信号を第1の放送受信部1へ送信する。これにより、選局されたチャンネルが主視聴チャンネルとして設定される(ステップS1)。
【0023】
そして、第1の放送受信部1は、選局部8により選局された主視聴チャンネルの放送波を第1の放送波として受信する。
【0024】
次に、第1の映像音声信号処理部3が、第1の放送受信部1により受信した第1の放送波について、再生するための信号処理を行い第1の放送信号を生成する(ステップS2)。そして、第1の映像音声信号処理部3は、生成した第1の放送信号を放送信号記憶部5へ記憶する(ステップS3)。
【0025】
そして、コマーシャル放送検出部7が、第1の映像音声信号処理部3により生成された第1の放送信号からCM放送の開始時点及び終了時点を検出し、検出したCM放送の開始時点又は終了時点を示すCM放送状態データを制御部9へ送信する。
【0026】
このコマーシャル放送検出部7より受信したCM放送状態データがCM放送の開始時点を示すデータであった場合(ステップS4)には、制御部9は、第1の映像音声信号処理部3へ第1の放送信号の記憶処理を停止させる信号を送信する(ステップS5)。
【0027】
これにより、制御部9は、コマーシャル放送検出部7が検出したCM放送の開始時点までの間に受信していた第1の放送信号をCM開始前放送信号として放送信号記憶部5に記憶させることができる。
【0028】
さらに、利用者等が予め放送信号記憶部5に記憶させる時間を設定しておくことによって、制御部9は、コマーシャル放送検出部7が検出したCM放送の開始時点から予め設定されている所定時間さかのぼった時点までの間に受信していた第1の放送信号をCM開始前放送信号として放送信号記憶部5に記憶させることができる。
【0029】
具体的には、例えば、制御部9が、第1の映像音声信号処理部3が第1の放送信号の記憶を開始してから所定時間が経過するまで第1の放送信号を記憶するよう第1の映像音声信号処理部3を制御し、所定時間経過後は、制御部9が、記憶された放送信号のうち古い放送信号から順に消去し、新たな第1の放送信号を記憶するように第1の映像音声信号処理部3を制御する。これにより、第1の映像音声信号処理部3は、所定時間分に相当する最新の第1の放送信号をCM開始前放送信号として放送信号記憶部5へ記憶することができ、放送信号記憶部5の記憶容量を低減することができる。なお、この所定時間は、10秒から30秒程度の値が予め提供者や利用者等によって入力部13から入力されることで設定可能である。
【0030】
以上のステップS3乃至S5の処理において、第1の映像音声信号処理部3は、第1の放送信号のうちCM放送以外の放送信号をCM開始前放送信号として放送信号記憶部5へ記憶することができる。
【0031】
次に、制御部9の選局決定手段9aは、主視聴チャンネルへの自動復帰を示すCM終了自動復帰切替要求が入力されているか否かを判定し、入力されていると判定した場合は、ステップS7の処理へ移行させる(ステップS6)。
【0032】
一方、制御部9の選局決定手段9aは、CM終了自動復帰切替要求が入力されていないと判定したときに、コマーシャル放送検出部7よりCM放送が終了されたことを示すCM放送状態データを受信した場合、処理をステップS3へ移行させ、放送信号記憶部5への第1の放送信号の記憶を開始する(ステップS13)。
【0033】
次に、制御部9は、CM終了自動復帰切替要求が入力されていると判定した場合、入力部13により受信したテレビジョン放送の副視聴チャンネルの選局信号を受付け、受け付けた選局信号を選局部8へ送信する。そして、選局信号を受け付けた選局部8は、この選局信号を第2の放送受信部2へ送信する。これにより、選局されたチャンネルが副視聴チャンネルとして設定される(ステップS7)。
【0034】
そして、第2の放送受信部2は、選局部8により選局された副視聴チャンネルの放送波を第2の放送波として受信する。
【0035】
次に、第2の映像音声信号処理部4が、第2の放送受信部2から受信した第2の放送波から第2の放送信号を生成する。そして、映像切替合成部10が、生成された第2の放送信号のうち映像信号を受信し、受信した映像信号を第1の放送信号の映像信号と切り替え、又は合成する(ステップS8)。
【0036】
ここで、映像信号の切り替えとは、例えば第1の放送信号の映像信号から第2の放送信号の映像信号へフルスクリーンの映像の出力元を変更することをいい、映像信号の合成とは、例えば、ピクチャーインピクチャーのように、第1の放送信号の映像信号をフルスクリーン表示し、第2の放送信号の映像信号を子画面表示することをいう。
【0037】
また、音声切替部17は、第2の放送信号のうち音声信号を受信し、受信した音声信号を第1の放送信号の音声信号と切り替える(ステップS8)。
【0038】
次に、コマーシャル放送検出部7が、第1の映像音声信号処理部3から受信した第1の放送信号からCM放送の終了時点を検出した場合(ステップS9)は、検出したCM放送の終了時点を示すCM放送状態データを放送信号比較部6へ送信する。
【0039】
そして、コマーシャル放送検出部7によりこのCM放送状態データを受信した放送信号比較部6は、このCM放送の終了時点から所定時間経過するまでの間の第1の放送信号と、放送信号記憶部5へ記憶したCM開始前放送信号との類似の度合いを算出し、この類似の度合いが予め定めた閾値以下の場合は、第1の放送信号とCM開始前放送信号とは類似すると判定し、類似の度合いが閾値を超えた場合は、第1の放送信号とCM開始前放送信号とは類似しないと判定する判定処理を行う(ステップS10)。
【0040】
具体的には、ステップ10における類似又は非類似の判定処理を行うには、以下のような映像比較方法があり、いずれの方法を採用してもよい。
【0041】
例えば、動きベクトル解析による映像比較方法がある。これは、CM放送の終了時点から所定時間経過するまでの間の第1の放送信号に含まれる映像信号と放送信号記憶部5へ記憶したCM開始前放送信号に含まれる映像信号との間の動きベクトルの符号量を算出し、算出した動きベクトルの符号量が予め定めた閾値を超えた場合に、両映像信号は類似しないと判定するものである。
【0042】
また、輝度信号解析による映像比較方法を用いても良い。これは、CM放送の終了時点から所定時間経過するまでの間の第1の放送信号に含まれる映像信号と放送信号記憶部5へ記憶したCM開始前放送信号に含まれる映像信号について、YCbCr(Y:輝度信号,CbCr:色差信号)のYの値の差分値を算出し、映像信号全体にわたって算出した差分値の合計値が予め定めた閾値を超えた場合に、両映像信号は類似しないと判定するものである。
【0043】
さらに、CM放送の終了時点から所定時間経過するまでの間の第1の放送信号のLine21に重畳されているクローズドキャプション情報を抽出し、抽出したクローズドキャプションデータと放送信号記憶部5へ記憶したCM開始前放送信号のクローズドキャプションデータとの差異が所定の閾値以内であるか否かで両映像信号の類似又は非類似を判定したり、CM放送の終了時点から所定時間経過するまでの間の第1の放送信号の映像信号に重畳されている字幕データを抽出し、抽出した字幕データと、放送信号記憶部5へ記憶したCM開始前放送信号の字幕データとの差異が所定の閾値以内であるか否かで両映像信号の類似又は非類似を判定することもできる。
【0044】
ここで、この閾値は、高すぎると両映像信号が常に類似すると判定され、副視聴チャンネルから主視聴チャンネルへ切り替わることがなくなり、低すぎるとCM開始前放送信号が再度出力されることになる。そのため、例えば95%といったように、予め提供者等が実測に基づいた適性な値を予め算出し、提供者や利用者等が予め適正な値を設定しておく必要がある。
【0045】
以上のように、放送信号比較部6が、例えば上記のような映像比較方法を用いて、CM放送の終了時点から所定時間経過するまでの間の第1の放送信号と、CM開始前放送信号との類似の度合いを算出し、この類似の度合いが予め定めた閾値以下の場合は、第1の放送信号とCM開始前放送信号とは類似すると判定し、類似の度合いが閾値を超えた場合は、第1の放送信号とCM開始前放送信号とは類似しないと判定する判定処理を行うことができる。
【0046】
そして、放送信号比較部6は、第1の放送信号とCM開始前放送信号とが類似すると判定している間はステップS10の判定処理を繰り返し実行し、第1の放送信号とCM開始前放送信号とが類似しないと判定した場合に(ステップS11)、制御部9の選局決定手段9aへCM開始前放送終了信号を送信する。
【0047】
そして、CM開始前放送終了信号を受信した制御部9の選局決定手段9aは、映像切替合成部10及び音声切替部17へ第2の放送信号から第1の放送信号に切り替えて出力させるための制御信号を生成し送信する。(ステップS12)。
【0048】
具体的には、制御部9の選局決定手段9aは、映像切替合成部10へ出力元を第2の放送信号から第1の放送信号へ切り替えて出力させる切替信号、又は第1の放送信号と第2の放送信号との合成を解除させて第1の放送信号を出力させる合成解除信号を送信する。そして、切替信号又は合成解除信号を受信した映像切替合成部10が、受信した信号に基づき、第1の放送信号を出力する。
【0049】
また、制御部9の選局決定手段9aは、音声切替部17へ切替信号を送信し、切替信号を受信した音声切替部17が、第2の放送信号の音声信号を第1の放送信号の音声信号へ切り替えて出力する。
【0050】
以上のように、CM放送の終了時点から所定時間経過するまでの間の第1の放送信号と、CM開始前放送信号との類似の度合いが予め定めた閾値を超えた場合に、第1の放送信号とCM開始前放送信号とは類似しないと判定し、類似しないと判定した場合に、出力制御部11の出力を主視聴チャンネルである第1の放送信号に設定することできる。
【0051】
これにより、視聴者によって主に視聴されている主視聴チャンネルがCM放送中に、視聴者によって他チャンネルが選局されたとしても、主視聴チャンネルのCM開始前放送を再度出力することなく、選択チャンネルを主チャンネルに切り替え、又は合成解除して主視聴チャンネルを出力することができ、CM開始前放送を視聴者に再度視聴させることを防止することができる。
【0052】
図3は、本実施形態に係る放送受信装置100の処理結果を時系列に示したタイミングチャートである。
【0053】
図3に示すように、主視聴チャンネル101は第1の放送受信部1により選局されているチャンネルを示し、放送信号記憶102は、放送信号記憶部5に放送信号が記憶されている期間を示し、副視聴チャンネル103は第2の放送受信部2により選局されているチャンネルを示し、出力チャンネル104は、出力制御部11により出力されるチャンネルを示している。
【0054】
ここで、図3に示す“A1”、“A2”・・・は、“A”チャンネルの番組放送を示し、“CM1”、“CM2”・・・は、CM放送を示し、“B1”は、“B”チャンネルの番組放送を示している。
【0055】
まず、T0時において、制御部9は、入力部13により受信したテレビジョン放送の主視聴チャンネルの選局信号として“A”チャンネルを受付け、選局部8によって、第1の放送受信部1の主視聴チャンネルが“A”に設定される。
【0056】
そして、放送信号記憶102に示すように、T0時以降、第1の映像音声信号処理部3が、“A”チャンネルの放送信号をCM開始前信号として放送信号記憶部5へ記憶する。
【0057】
次に、T1時において、主視聴チャンネルへの自動復帰を示すCM終了自動復帰切替要求が入力されている。
【0058】
次に、T3時において、コマーシャル放送検出部7が、第1の放送信号からCM放送“CM1”の開始を検出し、第1の映像音声信号処理部3が、“A”チャンネルの放送信号の記憶処理を停止する。
【0059】
これにより、放送信号記憶102に示すように、第1の映像音声信号処理部3は、“A”チャンネルの放送信号のうちCM放送以外の放送信号をCM開始前放送信号として記憶することができる。
【0060】
なお、所定時間分の第1の放送信号を記憶するように設定されている場合には、制御部9は、T3時までの所定時間分の“A”チャンネルの放送信号がCM開始前放送信号として放送信号記憶部5へ記憶されるように第1の映像音声信号処理部3を制御する。
【0061】
次に、副視聴チャンネル103に示すように、T4時において、制御部9は、入力部13により受信したテレビジョン放送の副視聴チャンネルの選局信号として“B”チャンネルを受付け、選局部8により第2の放送受信部2の副視聴チャンネルが“B”に設定される。
【0062】
そして、映像切替合成部10が、信号処理された“B”チャンネルの放送信号のうち映像信号を受信し、受信した映像信号を第1の放送受信部1からの“A”チャンネルの映像信号と切り替え又は合成する。
【0063】
また、音声切替部17は、信号処理された“B”チャンネルの放送信号のうち音声信号を受信し、受信した音声信号を第1の放送受信部1からの“A”チャンネルの音声信号と切り替える。
【0064】
これにより、出力チャンネル104に示すように、T4時以降、“B”チャンネルの放送信号が出力制御部11により出力されている。
【0065】
次に、主視聴チャンネル101に示すように、T5時に、コマーシャル放送検出部7が、第1の放送受信部1からの“A”チャンネルの放送信号からCM放送“CM1”の終了時点を検出し、検出したCM放送“CM1”の終了時点を示すCM放送状態データを放送信号比較部6へ送信する。
【0066】
そして、主視聴チャンネル101に示すように、T5時以降、放送信号比較部6が、第1の放送受信部1により受信された放送信号“A2”と、放送信号記憶102に示すように、放送信号記憶部5にCM開始前放送信号として記憶した放送信号“A1”及び“A2”とを比較する。
【0067】
具体的には、例えば、放送信号比較部6が、CM放送“CM1”の放送終了時点、即ちT5時における第1の放送信号“A2”の映像信号と、放送信号記憶部5によりCM開始前放送信号として記憶した“A1”及び“A2”の全ての映像信号との間の動きベクトルの符号量を算出する。そして、放送信号比較部6は、T5時の“A2”の映像信号と、T2時に放送信号記憶部5により記憶した第1の放送信号“A2”との符号量が予め定めた閾値以内であるので、両映像信号は類似すると判定し、T6時になるまで比較処理を継続する。
【0068】
そして、T6時になったとき、主視聴チャンネル101に示すように、第1の放送信号が“A3”となり、放送信号記憶102に示すように、放送信号記憶部5により記憶したCM開始前放送信号は“A1”及び“A2”であるので、放送信号比較部6は、両放送信号の符号量が予め定めた閾値を超え、両放送信号は類似しないと判定する。
【0069】
そこで、制御部9の選局決定手段9aは、映像切替合成部10へ切替信号又は合成解除信号を送信し、切替信号又は合成解除信号を受信した映像切替合成部10が、現在出力制御部11へ出力している副視聴チャンネルである“B”チャンネルの映像信号を主視聴チャンネルである“A”チャンネルの映像信号へ切り替え、又は合成を解除する。
【0070】
また、同時に、制御部9の選局決定手段9aは、音声切替部17へ切替信号を送信し、切替信号を受信した音声切替部17が、現在出力制御部11へ出力している副視聴チャンネルである“B”チャンネルの音声信号を主視聴チャンネルである“A”チャンネルの音声信号へ切り替える。
【0071】
これにより、出力チャンネル104に示すように、T6時以降、“A”チャンネルの放送信号が出力制御部11により出力されている。
【0072】
以上のように、CM放送の終了時点から所定時間経過するまでの間の第1の放送信号と、CM開始前放送信号との類似の度合いが閾値を超えた場合に、第1の放送信号とCM開始前放送信号とは類似しないと判定し、類似しないと判定した場合に、出力制御部11の出力を主視聴チャンネルである第1の放送信号に設定する。これにより、視聴者によってもともと選局されていたチャンネル“A”のCM開始前放送“A2”が終了したときに、選択チャンネル“B”を元のチャンネル“A”に切り替えることができ、視聴者が既に視聴済みであるCM開始前放送“A2”を再度出力することを防止することができる。
【0073】
<変形例1>
図4は、変形例1に係る放送受信装置200の構成を示すブロック図である。
【0074】
本実施形態に係る放送受信装置100では、全ての番組ジャンルについて放送信号の類似又は非類似の判定処理を実行し、判定結果に基づいて出力制御部11の出力チャンネルを設定した。変形例1に係る放送受信装置200では、番組ジャンルデータを取得し、取得した番組ジャンルデータに応じて放送信号の判定処理を行うか否かを決定する。
【0075】
図4に示すように、変形例1に係る放送受信装置200は、本実施形態に係る放送受信装置100の構成に加え、更に、第1の放送波の中から、この第1の放送波によって放送される番組のジャンルを示す番組ジャンルデータを取得する番組ジャンル取得部16と、番組ジャンルデータごとに放送信号比較部6に判定処理を実行させるか否かを示したジャンル判定データを記憶する記憶部15と、取得した番組ジャンルデータを基に、この番組ジャンルデータに対応した番組コンテンツの放送期間内で判定処理を行うか否かを決定する判定処理決定器6aとを備える。
【0076】
図5は、変形例1に係る放送受信装置の処理手順を示すフローチャートである。
【0077】
図5に示すように、第1の放送受信部1の主視聴チャンネルが設定された(ステップS1)後、番組ジャンル取得部16は、第1の放送波から、この第1の放送波の番組ジャンルを示す番組ジャンルデータを取得する(ステップS14)。
【0078】
ここで、番組ジャンルデータとは、番組のジャンルを示すデータである。例えば、番組内容に応じて、ニュース報道、スポーツ、情報ワイドショー、映画、音楽、ドラマ、バラエティ、アニメなどに分類されたジャンルに対して一意に割り付けられたコードを示す。
【0079】
また、記憶部15には、この番組ジャンルデータに関連付けられて、放送信号比較部6に判定処理を実行させるか否かを示したジャンル判定データが記憶されている。
【0080】
例えば、放送信号比較部6に比較の判定処理を実行させない番組ジャンルとして、CM開始前放送の再放送を行うことの少ない番組ジャンルである“ニュース報道”、“スポーツ”、“情報ワイドショー”、“映画”、“音楽”、“ドキュメンタリー・教養”、“趣味教育”、“福祉”などが予め記憶部15に記憶されている。
【0081】
そして、放送信号比較部6に比較の判定処理を実行させる番組ジャンルとして、CM開始前放送の再放送を行うことの多い番組ジャンルである“ドラマ”、“バラエティ”、“アニメ”、“特撮”などが予め記憶部15に記憶されている。
【0082】
そして、放送信号比較部6の判定処理決定器6aが、番組ジャンル取得部16により取得した番組ジャンルデータに対応するジャンル判定データを記憶部15から読み込み、読み込んだジャンル判定データに基づいて、放送信号比較部6が判定処理を実行するか否かの決定を行う(ステップS14)。
【0083】
これにより、判定処理決定器6aは、番組ジャンル取得部16が取得した番組ジャンルデータの示す番組がCM開始前放送の再放送を行うことの多い番組ジャンルである場合には、放送信号比較部6に判定処理を実行させ、番組ジャンル取得部16が取得した番組ジャンルデータの示す番組がCM開始前放送の再放送を行うことの少ない番組ジャンルである場合には、放送信号比較部6に判定処理をスキップさせることができる。
【0084】
以上のように、判定処理決定器6aが、番組の番組ジャンル情報を取得し、取得した番組ジャンルに応じて放送信号の判定処理を実行するか否かを決定することによって、放送信号比較部6の負荷を低減することができる。
【0085】
なお、上記説明では、番組ジャンルデータは放送波から取得する例を示したが、番組ジャンルデータは放送波から取得するだけでなく、例えばインターネットなどを用いて、番組情報提供事業者が用意する番組情報提供用のサーバにアクセスして取得しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明に係る放送受信装置の一実施形態を示したブロック図である。
【図2】本実施形態に係る放送受信装置の処理手順を示したフローチャートである。
【図3】本実施形態に係る放送受信装置の処理結果を時系列に示したタイミングチャートである。
【図4】変形例1に係る放送受信装置の構成を示すブロック図である。
【図5】変形例1に係る放送受信装置の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0087】
1…第1の放送受信部
2…第2の放送受信部
3…第1の映像音声信号処理部
4…第2の映像音声信号処理部
5…放送信号記憶部
6…放送信号比較部
6a…判定処理決定器
7…コマーシャル放送検出部
8…選局部
9…制御部
9a…選局決定手段
10…映像切替合成部(合成器)
11…出力制御部
12…表示部
13…入力部
15…記憶部
16…番組ジャンル取得部
17…音声切替部
20…出力部
100…放送受信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビジョン放送における複数の放送チャンネルのうちのいずれか1つのチャンネルである第1のチャンネルの放送波と、この第1のチャンネル以外の1つのチャンネルである第2のチャンネルの放送波とを同時に受信する放送受信装置であって、
前記複数の放送チャンネルのうちから前記第1のチャンネルおよび前記第2のチャンネルをそれぞれ選局する選局部と、
前記選局部で選局された前記第1のチャンネルの放送波を受信し、第1の放送信号を生成する第1の放送受信部と、
前記選局部で選局された前記第2のチャンネルの放送波を受信し、第2の放送信号を生成する第2の放送受信部と、
前記第1の放送信号と前記第2の放送信号とを、供給される制御信号を基に切り替えて出力する出力部と、
前記第1の放送信号に含まれるCM放送の開始時点及び終了時点を検出するコマーシャル放送検出部と、
前記コマーシャル放送検出部が検出した前記CM放送の開始時点から予め設定されている所定時間さかのぼった時点までの間に受信していた前記第1の放送信号をCM開始前放送信号として記憶する放送信号記憶部と、
前記コマーシャル放送検出部が前記CM放送の終了時点を検出したら、この終了時点から前記所定時間経過するまでの間の前記第1の放送信号と、前記CM開始前放送信号との類似の度合いを算出し、この類似の度合いが予め定めた閾値以下の場合は、前記第1の放送信号と前記CM開始前放送信号とは類似すると判定し、前記類似の度合いが前記閾値を超えた場合は、前記第1の放送信号と前記CM開始前放送信号とは類似しないと判定する判定処理を行う放送信号比較部と、
前記放送信号比較部が類似しないと判定し、かつ、前記出力部が前記第2の放送信号を出力している場合、前記出力部の出力を前記第2の放送信号から前記第1の放送信号に切り替えるための制御信号を生成し前記出力部へ供給する選局決定手段と
を備えることを特徴とする放送受信装置。
【請求項2】
前記出力部は、
前記第1の放送信号に含まれる映像信号と前記第2の放送信号に含まれる映像信号とを、供給される制御信号を基に合成又は合成解除する合成器を有し、
前記放送信号比較部が類似しないと判定し、かつ、前記合成器が前記第1の放送信号の映像信号と前記2の放送信号の映像信号とを合成している場合、前記合成器の合成を解除して前記第1の放送信号の映像信号のみを出力するように制御するための制御信号を生成し前記出力部の合成器へ供給する選局決定手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の放送受信装置。
【請求項3】
前記第1の放送信号に含まれる各番組コンテンツ毎のジャンルを示す番組ジャンルデータを取得する番組ジャンル取得部を備え、
前記放送信号比較部は、取得した前記番組ジャンルデータを基に、この番組ジャンルデータに対応した番組コンテンツの放送期間内で前記判定処理を行うか否かを決定する判定処理決定器を有し、この判定処理決定器で判定処理を行うと決定された前記番組コンテンツの放送期間内でのみ前記判定処理を行う比較部である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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