説明

放送受信装置

【課題】ユーザによるチャンネルの選局に対して映像を表示制御するまでの時間を短縮する放送受信装置を提供する。
【解決手段】放送受信装置は、第1のチャンネルの放送信号を受信する第1の受信手段と、前記第1のチャンネル以外の選局対象となるチャンネルの放送信号を切り替えて受信する第2の受信手段と、前記第1のチャンネルの選局を指示する信号が入力された場合、前記第1の受信手段で受信した放送信号に基づいて映像を表示制御し、前記第1のチャンネル以外のチャンネルの選局を指示する信号が入力された場合、前記第2の受信手段で受信した放送信号に基づいて映像を表示制御する表示制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、チューナによる放送信号の選局に応じて映像を出力する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、近年では、テレビジョン放送のデジタル化が推進されてきている。例えば、日本国内においては、BS(broadcasting satellite)デジタル放送及び110度CS(communication satellite)デジタル放送等の衛星デジタル放送だけでなく、地上デジタル放送も開始されている。
【0003】
ユーザは、リモートコントローラを用いて視聴したいチャンネルを選択する。例えば、デジタルテレビジョン放送受信装置は、EPG(Electric Program Guide)情報を受信し、EPG画面を表示する。ユーザは、EPG画面に表示されている番組情報を参照して、視聴したいチャンネルを選択する。デジタルテレビジョン放送受信装置は、チャンネル選択に基づいて放送信号を選局する。
【0004】
この地上デジタル放送は、チャンネルを切り替えて放送信号を選局するたびに、放送信号の復調やデコード処理等に要する時間を必要とする。そのため、デジタルテレビジョン放送受信装置では、切り替えられたチャンネルの映像を出画するまでに待ち時間が発生している。
【0005】
特許文献1には、複数のワンセグ放送用チューナとデジタル放送用チューナを有する放送受信装置において、チャンネルの切り替え時に、切り替えられたチャンネルの放送信号を選局しているワンセグ放送用チューナの出力に復調及びデコード処理して出力し、デジタル放送用チューナで選局された放送信号に対する復調及びデコード処理が終了した後、デジタル放送用チューナに基づく出力に切り替える構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−16933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、ワンセグ放送用チューナに基づいて出力しているため、映像の画質に問題が生じる。特許文献1では、デジタル放送用チューナの選局を切り替えて最終的に視聴用の映像を取得しているため、制御が煩雑となる。さらに、特定のチャンネルの放送信号を選局するように設定されたワンセグ放送用チューナが放送受信装置に設けられていない場合、映像が出力されるまでに時間がかかるおそれがある。
【0008】
そこで、この発明は、ユーザによるチャンネルの切り替えに対して映像を表示制御するまでの時間を短縮する放送受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る放送受信装置は、第1のチャンネルの放送信号を受信する第1の受信手段と、前記第1のチャンネル以外の選局対象となるチャンネルの放送信号を切り替えて受信する第2の受信手段と、前記第1のチャンネルの選局を指示する信号が入力された場合、前記第1の受信手段で受信した放送信号に基づいて映像を表示制御し、前記第1のチャンネル以外のチャンネルの選局を指示する信号が入力された場合、前記第2の受信手段で受信した放送信号に基づいて映像を表示制御する表示制御手段とを有する。
【発明の効果】
【0010】
上記した発明によれば、ユーザによるチャンネルの切り替えに対して映像を表示制御するまでの時間を短縮する放送受信装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態に係るデジタルテレビジョン放送受信装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】第1の実施形態に係るデジタルテレビジョン放送受信装置に用いられるリモートコントローラの外観図。
【図3】第1の実施形態に係るチャンネル設定を示す画面図。
【図4】第1の実施形態に係るチャンネルリストを映像と共に表示した画面図。
【図5】第1の実施形態に係るアップダウン選局を説明するフローチャート。
【図6】第2の実施形態に係るアップダウン選局を説明するフローチャート。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照し、実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態に係るデジタルテレビジョン放送受信装置100の概略構成を示すブロック図である。すなわち、BS/CSデジタル放送受信用のアンテナ47で受信した衛星デジタルテレビジョン放送信号は、入力端子48を介して衛星デジタル放送用チューナ49に供給されることにより、所望のチャンネルの放送信号が選局される。
【0013】
そして、衛星デジタル放送用チューナ49で選局された放送信号は、PSK(phase shift keying)復調モジュール50に供給されて、デジタルの映像信号及び音声信号に復調された後、信号処理モジュール51に出力される。
【0014】
また、地上波放送受信用のアンテナ52で受信した地上デジタルテレビジョン放送信号は、入力端子53を介して第1の地上デジタル放送用チューナ54に供給されることにより、所望のチャンネルの放送信号が選局される。第1の地上デジタル放送用チューナ54で選局された放送信号は、第1のOFDM(orthogonal frequency division multiplexing)復調モジュール55に供給されて、デジタルの映像信号及び音声信号に復調された後、上記信号処理モジュール51に出力される。
【0015】
同様に、第2の地上デジタル放送用チューナ56で選局された放送信号は、第2のOFDM復調モジュール57に供給されて、デジタルの映像信号及び音声信号に復調された後、上記信号処理モジュール51に出力される。第3の地上デジタル放送用チューナ58で選局された放送信号は、第3のOFDM復調モジュール59に供給されて、デジタルの映像信号及び音声信号に復調された後、上記信号処理モジュール51に出力される。第4の地上デジタル放送用チューナ58で選局された放送信号は、第4のOFDM復調モジュール60に供給されて、デジタルの映像信号及び音声信号に復調された後、上記信号処理モジュール51に出力される。
【0016】
なお、デジタルテレビジョン放送受信装置100は、第1の地上デジタル放送用チューナ54から第4の地上デジタル放送用チューナ60を備えることにより、最大4チャンネルの地上デジタル放送信号を同時に選局することができる。第1の実施形態では、デジタルテレビジョン放送受信装置100が、地上デジタル放送用チューナを4つ備えるケースについて説明するが、地上デジタル放送用チューナを5つ以上備える構成としてもよい。
【0017】
上記信号処理モジュール51は、PSK復調モジュール50、第1のOFDM復調モジュール55、第2のOFDM復調モジュール57、第3のOFDM復調モジュール59、第4のOFDM復調モジュール61からそれぞれ供給されたデジタルの映像信号及び音声信号に対して、選択的に所定のデジタル信号処理を施し、グラフィック処理モジュール58及び音声処理モジュール63に出力している。
【0018】
また、上記信号処理モジュール51には、複数(図示の場合は4つ)の入力端子64a,64b,64c,64dが接続されている。これら入力端子64a〜64dは、それぞれ、アナログの映像信号及び音声信号を、デジタルテレビジョン放送受信装置100の外部から入力可能とするものである。
【0019】
この信号処理モジュール51は、各入力端子64a〜64dからそれぞれ供給されたアナログの映像信号及び音声信号を選択的にデジタル化し、そのデジタル化された映像信号及び音声信号に対して所定のデジタル信号処理を施した後、グラフィック処理モジュール62及び音声処理モジュール63に出力している。
【0020】
このうち、グラフィック処理モジュール62は、信号処理モジュール51から供給されるデジタルの映像信号に、OSD(on screen display)信号生成モジュール65で生成されるOSD信号を重畳して出力する機能を有する。このグラフィック処理モジュール64は、信号処理モジュール51の出力映像信号と、OSD信号生成モジュール65の出力OSD信号とを選択的に出力すること、また、両出力をそれぞれ画面の半分を構成するように組み合わせて出力することができる。
【0021】
グラフィック処理モジュール64から出力されたデジタルの映像信号は、映像処理モジュール66に供給される。映像処理モジュール66により処理された映像信号は、映像表示器14に供給され、また出力端子67にも供給される。映像表示器14は、映像信号に基づく映像を表示し、出力端子67に対して外部機器が接続されると、出力端子67に供給された映像信号は、外部機器へ入力される。
【0022】
また、上記音声処理モジュール63は、入力されたデジタルの音声信号を、前記スピーカ15で再生可能なフォーマットのアナログ音声信号に変換した後、スピーカ15に出力して音声再生させるとともに、出力端子68を介して外部に導出させる。
【0023】
ここで、このデジタルテレビジョン受像機100は、上記した各種の受信動作を含むその全ての動作を制御モジュール69によって統括的に制御されている。この制御モジュール69は、CPU(central processing unit)等を内蔵しており、前記操作モジュール16からの操作情報、または、リモートコントローラ17から送出され受光モジュール18を介して受信した操作情報を受けて、その操作内容が反映されるように各モジュールをそれぞれ制御している。リモートコントローラ17は、図2に示すようにチャンネルのアップダウンキー17a、カーソルキー(十字キー)17b、決定キー17c、選局キー17dを有する。
【0024】
制御モジュール69は、主として、そのCPUが実行する制御プログラムを格納したROM(read only memory)70と、該CPUに作業エリアを提供するRAM(random access memory)71と、各種の設定情報及び制御情報等が格納される不揮発性メモリ72とを利用している。
【0025】
第1の実施形態では、第1の地上デジタル放送用チューナ54、第2の地上デジタル放送用チューナ56、第3の地上デジタル放送用チューナ58、第4の地上デジタル放送用チューナ60は、以下に示す放送局のチャンネルの放送信号を選局するように設定されている。
【0026】
第2の地上デジタル放送用チューナ56は、例えば放送局Aのチャンネルの放送信号を常に選局するように設定されている。第3の地上デジタル放送用チューナ58は、例えば放送局Bのチャンネルの放送信号を常に選局するように設定されている。第4の地上デジタル放送用チューナ60は、例えば放送局Cのチャンネルの放送信号を常に選局するように設定されている。
【0027】
第1の地上デジタル放送用チューナ54は、第2の地上デジタル放送用チューナ56、第3の地上デジタル放送用チューナ58、第4の地上デジタル放送用チューナ60で選局する放送局のチャンネルの放送信号以外の放送信号を選局する。つまり、信号処理モジュール51は、放送局A、B、Cのチャンネルの放送信号に基づく映像信号及び音声信号が裏処理として常に入力されている。
【0028】
第2の地上デジタル放送用チューナ56、第3の地上デジタル放送用チューナ58、第4の地上デジタル放送用チューナ60で選局する各放送信号のチャンネルは、ユーザが例えばリモートコントローラ17を用いて設定する。ユーザがリモートコントローラ17を用いてチャンネル設定画面の表示を選択すると、制御モジュール69は、図3に示すチャンネル設定画面を映像表示器14に表示制御する。ユーザは、リモートコントローラ17のカーソルキー17bを用いて所望のチャンネルを選択し、決定キー17cを用いて決定する。図3は、ユーザが放送局A、B、Cのチャンネルを選択した状態を示している。第1の実施形態では、ユーザは、最大で3つのチャンネルを選択できる。制御モジュール69は、ユーザが選択したチャンネルを第2の地上デジタル放送用チューナ56、第3の地上デジタル放送用チューナ58、第4の地上デジタル放送用チューナ60に割り当てる。
【0029】
第2の地上デジタル放送用チューナ56、第3の地上デジタル放送用チューナ58、第4の地上デジタル放送用チューナ60で選局する各放送信号は、制御モジュール69によって視聴頻度が高いチャンネル順に所定期間毎に適宜変更して設定されてもよい。
【0030】
図4は、アップダウン選局に用いるチャンネルリストを映像表示器14に表示した画面図である。ユーザがリモートコントローラ17のアップダウンキー17aを用いて放送局A、放送局B、放送局C、放送局Dの昇順で選局する場合について説明する。
【0031】
ここでは、映像表示器14は、第2の地上デジタル放送用チューナ56で選局された放送局Aのチャンネルの放送信号を復調した映像信号に基づく映像を表示している。ユーザがリモートコントローラ17を用いてアップダウン選局を開始すると、制御モジュール69は、チャンネルリストを映像表示器14に表示されている映像と共に表示制御する。
【0032】
ここで、チャンネルリストとは、チャンネル番号、放送局名に加えて、現在放送中の番組情報を対応付けたチャンネル欄を連続するチャンネル順に並べた一覧である。チャンネルリストは、チャンネル欄をチャンネル番号の小さい順に並べている。チャンネルリストは、映像表示器14の左側に縦方向に表示されているが、表示場所はこれに限られない。
【0033】
ユーザは、アップダウンキー17aを用いて昇順または降順でチャンネルリスト上のフォーカス位置が所望のチャンネル欄と一致するように選択することができる。映像表示器14に表示されているチャンネルリストに並べられたチャンネル欄の位置は固定であり、フォーカス位置はアップダウンキー17aの入力に基づいてチャンネル欄の間を上下に移動する。チャンネルリストが映像表示器14に最初に表示された場合のフォーカス位置は、例えば、映像表示器14に表示されている映像に対応するチャンネル欄である。
【0034】
制御モジュール69は、チャンネルリストを映像表示器14に表示されている映像の一部または全部に対してOSD(on screen display)で覆っても、α合成のOSDで覆うようにしてもよい。さらに、制御モジュール69は、チャンネルリストの表示領域と映像の表示領域とを分離して映像表示器14に表示制御してもよい。スピーカ15は、映像表示器14にチャンネルリストと共に表示されている映像に対応する音声を出力する。
【0035】
制御モジュール69は、チャンネルリストに表示するチャンネルごとの番組情報を以下のように作成する。制御モジュール69は、放送信号に含まれるSI(service information)からチャンネル情報と番組情報を取得する。
【0036】
SIは、番組選択のために規定された各種情報テーブルを有する。例えば、SIは、SDT(service description table)およびEIT(event information table)を有する。SDTは、例えばチャンネル番号と放送局の名称を全チャンネルについて対応付けた情報を記述している。制御モジュール69は、チャンネル情報としてこの情報をSDTから取得して、常に保持しつつ、適宜更新する。
【0037】
EITは、第2の地上デジタル放送用チューナ56で選局されている放送信号に対応するチャンネルの番組情報である。EITは、例えば、番組情報として番組の名称、開始時刻、内容、ジャンル、プログレスバーなど番組に関する情報を記述している。EITは、p(present)/f(following)情報とスケジュール情報を含んでいる。
【0038】
p/f情報は、例えば、第2の地上デジタル放送用チューナ56で現在選局されている放送信号に対応する放送局Aのチャンネルで放送中の番組の番組情報および次に放送予定の番組の番組情報である。スケジュール情報は、第2の地上デジタル放送用チューナ56で現在選局されている放送信号に対応する放送局Aのチャンネルにおける1週間先までの番組表および各番組の番組情報である。
【0039】
地上デジタル放送は、例えば、第2の地上デジタル放送用チューナ56が放送局Aのチャンネルの放送信号を選局している場合、放送局Aのチャンネルについてp/f情報およびスケジュール情報を含むEITしか送信しない。第3の地上デジタル放送用チューナ58、第4の地上デジタル放送用チューナ60についても同様である。
【0040】
制御モジュール69は、p/f情報に含まれる最新の番組情報に基づいてチャンネルリストを作成する。制御モジュール69は、p/f情報を取得していないチャンネルについては、スケジュール情報に記載されている番組情報に基づいてチャンネルリストを作成する。つまり、制御モジュール69は、スケジュール情報よりもp/f情報による番組情報を優先する。ここでは、地上デジタル放送の場合について説明したが、BS/CSデジタル放送の場合も同様である。
【0041】
この状態で、ユーザがアップダウンキー17aを用いて放送局Aのチャンネルから放送局Bのチャンネルに切り替えると、チャンネルリストおけるフォーカス位置は、放送局Aのチャンネル欄から放送局Bのチャンネル欄に移動する。
【0042】
制御モジュール69は、裏処理として第3の地上デジタル放送用チューナ58で放送局Bのチャンネルの放送信号を選局し、信号処理モジュール51で信号処理しているため、すぐに映像を映像表示器14に表示制御する。したがって、映像表示器14は、放送局Aの番組の映像から放送局Bの番組の映像に待ち時間なく切り替えて表示できる。
【0043】
同様に、ユーザがアップダウンキー17aを用いて放送局Bのチャンネルから放送局Cのチャンネルに切り替えると、チャンネルリストにおけるフォーカス位置は、放送局Bのチャンネル欄から放送局Cのチャンネル欄に移動する。制御モジュール69は、裏処理として第4の地上デジタル放送用チューナ60で放送局Cのチャンネルの放送信号を選局し、信号処理モジュール51で信号処理しているため、すぐに映像を映像表示器14に表示制御する。
【0044】
次に、ユーザがアップダウンキー17aを用いて放送局Cのチャンネルから放送局Dのチャンネルに切り替えると、チャンネルリストおけるフォーカス位置は、放送局Cのチャンネル欄から放送局Dのチャンネル欄に移動する。
【0045】
制御モジュール69は、第1の地上デジタル放送用チューナ54で選局する放送信号を放送局Dのチャンネルの放送信号に切り替えた後に信号処理モジュール51で信号処理した映像信号に基づいて映像を映像表示器14に表示制御する。
【0046】
制御モジュール69は、放送局Dの番組の映像を映像表示器14に表示制御する準備ができる間、第4の地上デジタル放送用チューナ60で選局した放送局Cのチャンネルの放送信号に基づく映像を映像表示器14に表示制御した状態を保つようにしてもよい。
【0047】
図5は、上記説明した第1の実施形態におけるアップダウン選局を説明するフローチャートである。ここで、第2の地上デジタル放送用チューナ56、第3の地上デジタル放送用チューナ58、第4の地上デジタル放送用チューナ60で常に選局するように設定されたチャンネルそれぞれを第1のチャンネルとする。第2の地上デジタル放送用チューナ56、第3の地上デジタル放送用チューナ58、第4の地上デジタル放送用チューナ60それぞれを第1のチャンネル用の地上デジタル放送用チューナとする。第1のチャンネル以外のチャンネルの放送信号を切り替えて選局する第1の地上デジタル放送用チューナ54を第1のチャンネル以外用の地上デジタル放送用チューナとする。
【0048】
はじめにユーザがアップダウンキー17aを用いてチャンネルを選択すると、制御モジュール69は、ユーザが選択したチャンネルが第1のチャンネルか否かを判断する(ステップS101)。ユーザが選択したチャンネルが第1のチャンネルである場合(ステップS101、YES)、制御モジュール69は、第1のチャンネル用の地上デジタル放送用チューナ及び対応するOFDM復調モジュールに基づく映像を映像表示器14に表示制御する(ステップS102)。
【0049】
ユーザが選択したチャンネルが第1のチャンネルでない場合(ステップS101、NO)、制御モジュール69は、ユーザが選択したチャンネルの放送信号を選局するように切り替えた第1のチャンネル以外用の地上デジタル放送用チューナ及び対応するOFDM復調モジュールに基づく映像を映像表示器14に表示制御する(ステップS103)。
【0050】
したがって、第1の実施形態に係るデジタルテレビジョン放送受信装置100は、選局において映像表示器14がブラックアウトとなることを防ぐことができる。さらに、第1の実施形態によれば、ユーザがリモートコントローラ17を用いて視聴するチャンネルを切り替える場合、映像表示器14は、切り替えられたチャンネルによっては待ち時間なく映像を表示できる。
【0051】
第1の実施形態では、チャンネルリストは、上記説明した地上デジタル放送の場合だけでなく、放送種別(地上デジタル放送/衛星デジタル放送やTV/Radioなど)ごとに用いられる。チャンネルリストは、放送種別ごとに異なるリストであっても、各放送種別をシームレスにしたリストであってもよい。さらに、チャンネルリストは、ユーザが予め設定し、不揮発性メモリ68に記録されているお好み登録したチャンネルのみを表示対象にしたり、スキップ設定したチャンネルを非表示にしたりしてもよい。
【0052】
映像表示器14は、チャンネルリストに第2の地上デジタル放送用チューナ56、第3の地上デジタル放送用チューナ58、第4の地上デジタル放送用チューナ60で選局する放送信号に対応する放送局のチャンネルで放送されている映像(あるいは静止画)を対応するチャンネル欄に表示するようにしてもよい。
【0053】
第1の実施形態では、リモートコントローラ17によるチャンネルの選択は、アップダウンキー17aを用いたアップダウン選局以外に、カーソルキー17dを用いたアップダウン選局であってもよい。また、チャンネルの選択は、選局キー17dによるチャンネルの選択、3桁のチャンネル番号の入力による選択、EPG画面によるチャンネルの選択のいずれであってもよい。ここでは、映像表示器14は、アップダウン選局時に図4に示すようなチャンネルリストを表示する例について説明したが、チャンネルリストを表示しなくてもよい。
【0054】
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態に係るデジタルテレビジョン放送受信装置100は、図1に示す第2の実施形態に係るデジタルテレビジョン放送受信装置100と同様の構成である。第2の実施形態では、第1の地上デジタル放送用チューナ54は、視聴用チューナとして設定されている。つまり、ユーザがリモートコントローラ17を用いて所望のチャンネルを選択した場合、映像表示器14は、第1の地上デジタル放送用チューナ54で選局された放送信号を復調した映像信号に基づく映像を表示する。
【0055】
第2の地上デジタル放送用チューナ56は、例えば放送局Aのチャンネルの放送信号を常に選局するように設定されている。第3の地上デジタル放送用チューナ58は、例えば放送局Bのチャンネルの放送信号を常に選局するように設定されている。第4の地上デジタル放送用チューナ60は、例えば放送局Cのチャンネルの放送信号を常に選局するように設定されている。
【0056】
ユーザがリモートコントローラ17のアップダウンキー17aを用いて昇順または降順でチャンネルを選択した場合、制御モジュール69は、視聴用チューナである第1の地上デジタル放送用チューナ54で選局する放送信号を切り替える。
【0057】
デジタルテレビジョン放送受信装置100は、第1の地上デジタル放送用チューナ54で選局する放送信号の切り替え、第1のOFDM復調モジュール55による放送信号の復調、信号処理モジュール51によるデジタル信号処理に時間を要する。アップダウン選局は、これらによる信号処理がなされた後に昇順または降順による次のチャンネルへの切り替えが可能となる。
【0058】
次に、ユーザがアップダウンキー17aを用いて放送局A、放送局B、放送局C、放送局Dの昇順で選局する場合について説明する。第1の実施形態と同様に、映像表示器14は、アップダウン選局時に、図4に示すチャンネルリスト表示する。ここでは、映像表示器14は、第1の地上デジタル放送用チューナ54で選局された放送局Aのチャンネルの放送信号を復調した映像信号に基づく映像を表示している。
【0059】
この状態で、ユーザがアップダウンキー17aを用いて放送局Aのチャンネルから放送局Bのチャンネルに切り替えると、チャンネルリストおけるフォーカス位置は、放送局Aのチャンネル欄から放送局Bのチャンネル欄に移動する。
【0060】
制御モジュール69は、裏処理として第3の地上デジタル放送用チューナ58で放送局Bのチャンネルの放送信号を選局し、信号処理モジュール51で信号処理しているため、すぐに映像を映像表示器14に表示制御する。
【0061】
制御モジュール69は、第1の地上デジタル放送用チューナ54による放送局Bのチャンネルの放送信号の選局ではなく、第3の地上デジタル放送用チューナ58による放送局Bのチャンネルの放送信号の選局に基づく映像を映像表示器14に表示制御している。
【0062】
したがって、映像表示器14は、遅滞なく放送局Aのチャンネルの番組の映像から放送局Bのチャンネルの番組の映像に切り替えて表示できる。アップダウン選局における映像表示器14への出画時間は短縮する。
【0063】
ユーザが、放送局Bのチャンネル欄にフォーカス位置がある状態でリモートコントローラ17の決定キー17cを押下すると、制御モジュール69は、放送局Bのチャンネルに対応する放送信号を選局するように第1の地上デジタル放送用チューナ54を切り替える。
【0064】
制御モジュール69は、第1の地上デジタル放送用チューナ54で放送局Bのチャンネルの放送信号の選局に基づく映像を映像表示器14に表示制御する準備ができた後、第3の地上デジタル放送用チューナ58ではなく第1の地上デジタル放送用チューナ54で選局した放送局Bのチャンネルの放送信号に基づく映像に切り替えて映像表示器14に表示制御する。
【0065】
同様に、ユーザがアップダウンキー17aを用いて放送局Bのチャンネルから放送局Cのチャンネルに切り替えると、チャンネルリストおけるフォーカス位置は、放送局Bのチャンネル欄から放送局Cのチャンネル欄に移動する。制御モジュール69は、裏処理として第4の地上デジタル放送用チューナ60で放送局Cのチャンネルの放送信号を選局し、信号処理モジュール51で信号処理しているため、すぐに映像を映像表示器14に表示制御する。
【0066】
次に、ユーザがアップダウンキー17aを用いて放送局Cのチャンネルから放送局Dのチャンネルに切り替えると、チャンネルリストおけるフォーカス位置は、放送局Cのチャンネル欄から放送局Dのチャンネル欄に移動する。制御モジュール69は、第4の地上デジタル放送用チューナ60で放送局Cのチャンネルの放送信号の選局に基づく映像を映像表示器14に表示制御した状態を保つ。
【0067】
つまり、制御モジュール69は、デジタルテレビジョン放送受信装置100に放送局Dのチャンネルの放送信号を常に選局するように設定された地上デジタル放送用チューナが設けられていないため、すぐに放送局Dのチャンネルの番組の映像を映像表示器14に表示制御することはできない。したがって、ユーザが視聴したい放送局のチャンネル欄にフォーカス位置がある状態でリモートコントローラ17の決定キー17cを押下するまで、制御モジュール69は、放送局Cのチャンネルの番組の映像を映像表示器14に表示制御した状態を維持する。したがって、第2の実施形態に係るデジタルテレビジョン放送受信装置100は、アップダウン選局において映像表示器14がブラックアウトとなることを抑えることができる。
【0068】
ユーザがアップダウンキー17aを用いてアップダウン選局を続行し、チャンネルリストおけるフォーカス位置を放送局Aのチャンネル欄に戻すと、制御モジュール69は、放送局Cのチャンネルの番組の映像から、第2の地上デジタル放送用チューナ56で選局する放送局Aのチャンネルの放送信号に基づく映像に切り替えて映像表示器14に表示制御する。
【0069】
ユーザが、放送局Dのチャンネル欄にフォーカス位置がある状態でリモートコントロー17の決定キー17cを押下すると、制御モジュール69は、第1の地上デジタル放送用チューナ54で放送局Dのチャンネルの放送信号を選局するように切り替える。映像表示器14は、第4の地上デジタル放送用チューナ60で選局する放送局Cのチャンネルの放送信号に基づく映像から、第1の地上デジタル放送用チューナ54で選局する放送局Dのチャンネルの放送信号に基づく映像に切り替えて表示する。
【0070】
ユーザが、放送局Dのチャンネル欄にフォーカス位置がある状態でリモートコントロー17の決定キー17cを押下しなくても、制御モジュール69は、所定時間経過後、放送局Cのチャンネル番組の映像から放送局Dのチャンネルの放送信号の番組の映像に切り替えて映像表示器14に表示制御するようにしてもよい。つまり、制御モジュール69は、第1の地上デジタル放送用チューナ54で放送局Dのチャンネルの放送信号の選局に基づく映像を映像表示器14に表示制御する準備をする。その後、制御モジュール69は、準備が完了すると、第4の地上デジタル放送用チューナ60で選局する放送局Cのチャンネルの放送信号に基づく映像から、第1の地上デジタル放送用チューナ54で選局する放送局Dのチャンネルの放送信号に基づく映像に切り替えて映像表示器14に表示制御する。
【0071】
また、制御モジュール69は、ユーザがアップダウンキー17aを短押しした場合は
第1の地上デジタル放送用チューナ54のみを用いてアップダウン選局し、ユーザがアップダウンキー17aを長押しした場合は上記説明したように第1の地上デジタル放送用チューナ54、第2の地上デジタル放送用チューナ56、第3の地上デジタル放送用チューナ58、第4の地上デジタル放送用チューナ60を用いてアップダウン選局するようにしてもよい。
【0072】
図6は、上記説明した第2の実施形態におけるアップダウン選局を説明するフローチャートである。ここで、第1のチャンネルは、第1の実施形態と同様の意味とする。また、第1のチャンネル用の地上デジタル放送用チューナは、第1の実施形態と同様の意味とする。第1のチャンネルを含めた選局対象となるチャンネルの放送信号を切り替えて選局する第1の地上デジタル放送用チューナ54を共通地上デジタル放送用チューナとする。
【0073】
はじめにユーザがアップダウンキー17aを用いてチャンネルを選択すると、制御モジュール69は、ユーザが選択したチャンネルが第1のチャンネルか否かを判断する(ステップS201)。ユーザが選択したチャンネルが第1のチャンネルである場合(ステップS201、YES)、制御モジュール69は、第1のチャンネル用の地上デジタル放送用チューナ及び対応するOFDM復調モジュールに基づく映像を映像表示器14に表示制御する(ステップS202)。
【0074】
次に、制御モジュール69は、共通地上デジタル放送用チューナを第1のチャンネルの放送信号を選局するように切り替える。制御モジュール69は、共通地上デジタル放送用チューナ及び対応するOFDM復調モジュールで第1のチャンネルの放送信号に基づく映像を映像表示器14に表示制御する準備ができたか否かを判断する(ステップ203)。
【0075】
準備ができていない場合(ステップS203、NO)、制御モジュール69は、ステップS202の動作を続行する。準備ができた場合(ステップS203、YES)、制御モジュール69は、第1のチャンネル用の地上デジタル放送用チューナではなく共通地上デジタル放送用チューナで選局した第1のチャンネルの放送信号に基づく映像に切り替えて映像表示器14に表示制御する(ステップS204)。
【0076】
ユーザが選択したチャンネルが第1のチャンネルでない場合(ステップS201、NO)、制御モジュール69は、共通地上デジタル放送用チューナをユーザが選択したチャンネルの放送信号を選局するように切り替え、共通地上デジタル放送用チューナで選局したチャンネルの放送信号に基づく映像を映像表示器14に表示制御する(ステップS205)。 第2の実施形態によれば、アップダウン選局における映像表示器14でのブラックアウトおよび出画時間の遅延を解消できる。
【0077】
なお、この発明は上記した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を種々変形して具体化することができる。また、上記した実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良いものである。さらに、異なる実施の形態に係る構成要素を適宜組み合わせても良いものである。
【符号の説明】
【0078】
14…映像表示器、17…リモートコントローラ、17a…アップダウンキー、17b…カーソルキー、17c…決定キー、49…衛星デジタル放送用チューナ、54…第1の地上デジタル放送用チューナ、56…第2の地上デジタル放送用チューナ、58…第3の地上デジタル放送用チューナ、60…第4の地上デジタル放送用チューナ、69…制御モジュール、100…デジタルテレビジョン放送受信装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上デジタル放送内の第1のチャンネルの放送信号を受信する第1の受信手段と、
前記第1のチャンネル以外の選局対象となる前記地上デジタル放送内のチャンネルの放送信号を切り替えて受信する第2の受信手段と、
放送種別ごとの各チャンネルの番組情報を並べたチャンネルリストを表示制御し、前記チャンネルリスト中の選局されているチャンネルにフォーカスが当たるように表示制御し、前記第1のチャンネルの選局を指示する信号が入力された場合、前記第1の受信手段で受信した放送信号に基づいて映像を表示制御し、前記第1のチャンネル以外のチャンネルの選局を指示する信号が入力された場合、前記第2の受信手段で受信した放送信号に基づいて映像を表示制御する表示制御手段と、
を有する放送受信装置。
【請求項2】
地上デジタル放送内の第1のチャンネルの放送信号を受信する第1の受信手段と、
選局対象となる前記地上デジタル放送内の全てのチャンネルの放送信号を切り替えて受信する第2の受信手段と、
放送種別ごとの各チャンネルの番組情報を並べたチャンネルリストを表示制御し、前記チャンネルリスト中の選局されているチャンネルにフォーカスが当たるように表示制御し、アップダウン選局により第2のチャンネルから前記第1のチャンネルへの切り替えを指示する信号が入力された場合、前記第1の受信手段で受信した放送信号に基づいて映像を表示制御し、前記第2の受信手段で受信する放送信号を前記第2のチャンネルから前記第1のチャンネルへ切り替え、前記第2の受信手段で受信した放送信号に基づく映像の表示制御の準備ができた後、前記第1の受信手段で受信した前記第1のチャンネルの放送信号に基づく映像から前記第2の受信手段で受信した前記第1のチャンネルの放送信号に基づく映像に切り替えて表示制御する表示制御手段と、
を有する放送受信装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記アップダウン選局により前記第1のチャンネルから前記第2のチャンネルへの切り替えを指示する信号が入力された場合、前記第1の受信手段で受信した放送信号に基づく映像の表示制御を維持し、前記第2の受信手段で受信する放送信号を前記第1のチャンネルから前記第2のチャンネルへ切り替え、前記第2の受信手段で受信した放送信号に基づく映像の表示制御の準備ができた後、前記第1の受信手段で受信した前記第1のチャンネルの放送信号に基づく映像から前記第2の受信手段で受信した前記第2のチャンネルの放送信号に基づく映像に切り替えて表示制御する請求項2記載の放送受信装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、各放送種別をシームレスにした前記チャンネルリストを表示制御する請求項1記載の放送受信装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、特定のチャンネルの表示および非表示設定に基づいて、前記チャンネルリストの表示を設定する請求項1記載の放送受信装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記第1の受信手段で受信した前記第1のチャンネルの放送信号に基づいて前記チャンネルリストに映像を表示する請求項1記載の放送受信装置。
【請求項7】
前記第1の受信手段で受信した放送信号に基づく映像または前記第2の受信手段で受信した放送信号に基づく映像を表示する表示手段を有する請求項1記載の放送受信装置。
【請求項8】
地上デジタル放送内の第1のチャンネルの放送信号を受信する第1の受信手段と前記第1のチャンネル以外の選局対象となる前記地上デジタル放送内のチャンネルの放送信号を切り替えて受信する第2の受信手段とを有する放送受信装置に適用する方法であって、
放送種別ごとの各チャンネルの番組情報を並べたチャンネルリストを表示制御し、
前記チャンネルリスト中の選局されているチャンネルにフォーカスが当たるように表示制御し、
前記第1のチャンネルの選局を指示する信号が入力された場合、前記第1の受信手段で受信した放送信号に基づいて映像を表示制御し、
前記第1のチャンネル以外のチャンネルの選局を指示する信号が入力された場合、前記第2の受信手段で受信した放送信号に基づいて映像を表示制御する、
映像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−166824(P2011−166824A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97420(P2011−97420)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【分割の表示】特願2009−200857(P2009−200857)の分割
【原出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】