説明

放送番組付随情報表示システム

【課題】画面サイズに対して映像番組が縮小表示されること無く、ユーザに適した特定情報を提供することが可能な放送番組付随情報表示システムを提供する。
【解決手段】放送番組付随情報表示システム100は、ネットワークにより配信可能で、ユーザ3の属性に応じて用意した複数の特定情報tを記憶する情報記憶部51と、放送局1に設けられ、放送番組hの信号と、特定情報tにアクセスするためのアクセス情報aを含む信号とを、放送信号として送信する送信部11と、ユーザ3の側に設けられ、放送信号を受信する放送受信部31と、当該放送受信部31と通信可能な端末32とを備え、放送受信部31及び端末32の少なくともいずれか一方が、他方を特定する特定部33を有し、当該端末32がユーザ3のユーザ情報uを登録可能であって、ユーザ情報uに対応した特定情報tに到達するためのアクセス情報aを表示可能な表示部323を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送番組に付随した情報を端末に表示する放送番組付随情報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、店舗や駅構内等においてユーザの携帯端末に情報を発信するサイネージシステムが広く利用されている。このような情報が発信されるエリアは、基地局が設置されている店舗や駅構内の比較的狭い範囲に限定される。このような形態において、上記エリアを広くする方法の一つとして、基地局の数を増やすことが考えられる。しかしながら、基地局を増やす場合には手間とコストとを要する。そこで、手間とコストとを抑えつつ、店舗や駅構内よりも更に広い範囲に亘って情報を発信する技術が検討されてきた(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の技術は、映像番組(本願「放送番組」に相当)と共に、関連コンテンツ(本願「特定情報」に相当)と連携制御情報とが放送事業者から送信される。関連コンテンツは映像番組に関連する商品等の広告からなる。連携制御情報は映像番組と関連コンテンツとの関連付け、映像番組に関する情報、関連コンテンツに関する情報等を含み、IPデータキャストの形態からなる。これらの映像番組、関連コンテンツ、及び連携制御情報を受信した受信装置(例えば携帯端末)の表示画面には、映像番組が表示されると共に、連携制御情報に基づき選択された関連コンテンツも表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−29972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術によれば、関連コンテンツは映像番組と共に、放送事業者から送信されるので広範囲に亘って送信することができる。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、1つの表示画面に映像番組と共に関連コンテンツも表示される。このため、画面サイズに対して映像番組が縮小表示されてしまう。また、特許文献1に記載の技術によれば、映像番組と共に送信される関連コンテンツが不特定多数に全て表示される。このため、関連コンテンツとして、ユーザが全く興味の無い商品等の広告も表示される可能性があり、当該関連コンテンツに興味が無い人にとっては目障りなものとなってしまう。
【0006】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、画面サイズに対して映像番組が縮小表示されること無く、ユーザに適した特定情報を提供することが可能な放送番組付随情報表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る放送番組付随情報表示システムの特徴構成は、ユーザにネットワークにより配信可能であり、前記ユーザの属性に応じて用意した複数の特定情報を記憶する情報記憶部と、放送局に設けられ、放送番組の信号と、前記特定情報にアクセスするためのアクセス情報を含む信号とを、互いに同期させつつ放送信号として送信する送信部と、前記ユーザの側に設けられ、前記放送信号を受信する放送受信部と、当該放送受信部との間に設定された通信方式に基づいて前記放送受信部と通信可能な端末とを備え、前記放送受信部及び前記端末の少なくともいずれか一方が、他方を特定する特定部を有し、当該端末が、前記ユーザを特定するユーザ情報を登録可能であって、前記ユーザ情報に対応した前記特定情報に到達するためのアクセス情報を表示可能な表示部を備えている点にある。
【0008】
このような特徴構成とすれば、放送番組を所定の表示装置に表示し、アクセス情報を表示装置とは別体の端末に表示することができる。このため、表示装置の画面サイズに対して放送番組が縮小表示されることがない。また、端末には当該端末のユーザに関するユーザ情報が登録されており、当該ユーザ情報に基づいてユーザに適した特定情報を閲覧することが可能なアクセス情報を提供することができる。したがって、ユーザに適した特定情報を提供することが可能となる。
【0009】
また、前記ユーザにより前記アクセス情報に基づいて前記情報記憶部に記憶されている特定情報の閲覧が行われた回数をカウントする計数部が備えられていると好適である。
【0010】
このような構成とすれば、放送局から送信されたアクセス情報に基づくユーザによる特定情報の閲覧回数を取得することができる。したがって、取得された閲覧回数に基づいてユーザの興味や嗜好に関する情報を取得することができる。
【0011】
また、前記計数部の計数結果に基づいて、前記端末から前記情報記憶部へのアクセス数若しくは前記情報記憶部の応答時間が予め設定された判定閾値以上であると判定された場合に、前記送信部は前記アクセス情報を無効にする信号を送信すると好適である。
【0012】
このような構成とすれば、情報記憶部へのアクセス数若しくは情報記憶部の応答時間に応じて、端末から情報記憶部への新たなアクセスを制限することができる。したがって、情報記憶部がシステムダウンすることを防止できる。
【0013】
また、前記アクセス情報を含む信号は、前記端末による前記特定情報への到達を許容する情報が含まれていると好適である。
【0014】
このような構成とすれば、不特定多数の端末による特定情報の閲覧を制限し、許可された特定の端末による特定情報の閲覧を許容することができる。このように、本放送番組付随情報表示システムによれば、端末による特定情報の閲覧を放送局からの放送信号を介して制御することができる。
【0015】
また、前記アクセス情報は、前記計数部を有するアクセスサーバの所在を示すサーバアクセス情報が含まれ、前記アクセスサーバは、前記ユーザからのアクセスに応じて、当該ユーザの端末に対して、前記情報記憶部の前記特定情報をネットワークで取得するように指示すると好適である。
【0016】
このような構成とすれば、情報記憶部からの特定情報のネットワークによる配信を、アクセスサーバからの指示に応じて行う形態とすることができる。したがって、ユーザによるアクセス情報の利用状況を精度良く把握することができる。
【0017】
また、前記計数部は、前記ユーザにより前記特定情報の閲覧の後に行われた当該特定情報に対する問合せ処理の回数もカウントすると好適である。
【0018】
このような構成とすれば、アクセス情報に基づく特定情報の閲覧に伴って行われた当該特定情報に対するイベント(例えば資料請求や会員登録等)の回数を取得することができる。したがって、取得された回数に基づいて放送局から送信されたアクセス情報の利用状況を容易に調査することができる。
【0019】
また、前記計数部の計数結果に基づいて、前記特定情報の提供者に課金すると好適である。
【0020】
このような構成とすれば、例えば放送局は当該放送局から送信されるアクセス情報の発信料をユーザの利用数に応じて特定情報の提供者から徴収することができる。したがって、放送番組付随情報表示システムを宣伝広告ビジネスに好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る放送番組付随情報表示システムの構成を模式的に示した図である。
【図2】テレビ及び端末に表示される画像の一例を示した図である。
【図3】端末で閲覧した情報の一例を示す図である。
【図4】端末で所定の処理を行った一例を示す図である。
【図5】アクセス数の制限について示した図である。
【図6】課金形態について示した図である。
【図7】その他の実施形態に係るテレビ及び端末に表示される画像の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
1.放送番組付随情報表示システムの構成
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明に係る放送番組付随情報表示システム100は、所定の表示装置に放送番組を縮小したりオーバーレイすることなく表示し、当該表示装置とは別体の端末に、放送番組に付随すると共に端末のユーザに適した特定情報tを提供することが可能である。図1は本発明に係る放送番組付随情報表示システム100の構成を模式的に示した図である。本実施形態では、放送番組付随情報表示システム100は、放送局1、ユーザ3、提供者5により構成される。
【0023】
1−1.提供者の構成
提供者5は情報記憶部51を設けて構成される。情報記憶部51は、ユーザ3の属性に応じて用意した複数の特定情報tを記憶する。ユーザ3の属性とは、ユーザ3を区分けする区分である。例えば、性別、年齢、住所又は居所、更には趣味やお気に入り等が相当する。特定情報tとは、放送番組hに付随する情報、すなわち放送番組hに関連する情報である。例えば、放送番組hに登場する人、物、場所等に関する情報や、これらの宣伝広告等が相当する。このような特定情報tは、ユーザ3の属性に紐付けされて情報記憶部51に記憶される。また、特定情報tは、ユーザ3に対してネットワークにより配信可能である。ネットワークにより配信可能とは、情報記憶部51がネットワーク(例えばインターネット回線等)に接続して設けられ、特定情報tが情報記憶部51からネットワークを介してユーザ3に配信することができる構成であることを示す。もちろん、情報記憶部51をインターネット回線以外のネットワークに接続する形態とすることも当然に可能である。
【0024】
1−2.放送局の構成
放送局1は、送信部11、アクセスサーバ12、課金額演算部13を設けて構成される。放送局1とは、放送事業を行う放送事業者が相当する。送信部11は、放送番組hの信号と、特定情報tにアクセスするためのアクセス情報aを含む信号とを、互いに同期させつつ放送信号として送信する。放送番組hとは、所定の出力の元、放送局1や放送局1の基地局から所定のエリア内に送信され、ユーザ3が視聴可能なテレビ放送やラジオ放送等が相当する。このようなエリアは、上述の店舗や駅構内よりも少なくとも広いエリアである。
【0025】
特定情報tとは、上述の情報記憶部51からユーザ3に対してネットワークを介して配信可能とされる情報である。アクセス情報aとは、アクセスサーバ12の所在を示すサーバアクセス情報saが含まれる。アクセスサーバ12の所在を示すサーバアクセス情報saとは、ネットワーク上のアクセスサーバ12のアドレスを規定する情報である。詳細は後述するが、このようなアクセス情報aに基づいて、ユーザ3は端末32で情報記憶部51に記憶されている特定情報tを閲覧することが可能となる。
【0026】
したがって、特定情報tにアクセスするためのアクセス情報aを含む信号とは、アクセスサーバ12のネットワーク上のアドレスを含む信号である。互いに同期させつつ送信するとは、上記2つの信号(放送番組hの信号及びアクセス情報aを含む信号)を互いに紐付けして(関連付けして)一つの放送信号として送信することを意味する。例えば、このような形態として、公知のIPデータキャストの形態として送信することが可能である。
【0027】
本実施形態では、アクセスサーバ12は放送局1に備えられ、計数部121を有する。計数部121は、ユーザ3によりアクセス情報aに基づいて情報記憶部51に記憶されている特定情報tの閲覧が行われた回数をカウントする。ここで、上述のようにアクセス情報aには、アクセスサーバ12のネットワーク上のアドレスが含まれる。このため、本実施形態では、ユーザ3が情報記憶部51の特定情報tを閲覧しようとした際には、ユーザ3の端末32からアクセスサーバ12にアクセスされる(後述する)。このため、アクセスサーバ12にアクセスされたアクセス回数をカウントすることにより、ユーザ3による特定情報tの閲覧回数をカウントすることが可能となる。また、このような閲覧回数に基づいてユーザ3の興味や嗜好に関する情報を容易に取得することができる。計数部121は、このようなユーザ3による特定情報tの閲覧回数をカウントする。
【0028】
また、計数部121は、ユーザ3により特定情報tの閲覧の後に行われた当該特定情報tに対する問合せ処理の回数もカウントする。上記のように、ユーザ3が情報記憶部51の特定情報tを閲覧する際にはアクセスサーバ12にアクセスされるので、特定情報tの閲覧回数は計数部121によりカウントすることが可能である。一方、このような特定情報tを閲覧した際、ユーザ3は当該特定情報tに基づいて当該特定情報tに対する問合せ処理、例えば商品の購入や資料請求等のイベントを行うことも可能である。計数部121は、このような特定情報tの閲覧後のユーザ3により行われた当該特定情報tに対するイベントの回数もカウントする。
【0029】
ここで、このようなユーザ3によるイベントは、一般的に、ユーザ3の端末32と提供者5の情報記憶部51との間で直接、すなわち放送局1のアクセスサーバ12を介さずに行われる。このため、端末32の表示部323に、ユーザ3による特定情報tの閲覧に応じて行われたイベントの完了を示す画面が表示されると、端末32から放送局1の計数部121に所定のイベントがあったことを示す情報を発信する構成とすると好適である。これにより、ユーザ3と提供者5とが、放送局1を介さずに直接、通信を行った場合でも、計数部121によりカウントすることができる。
【0030】
アクセスサーバ12は、ユーザ3からのアクセスに応じてユーザ3の端末32に対して、情報記憶部51の特定情報tをネットワークで取得するように指示する。上述のように、ユーザ3は、アクセス情報aに基づきアクセスサーバ12にアクセスする。アクセスサーバ12は、このユーザ3からのアクセスにより、当該アクセスを行ってきたユーザ3が使用する端末32に情報記憶部51へのアクセスを指示する。したがって、端末32のユーザ3には、あたかもユーザ3自身の操作に応じて直接、情報記憶部51へアクセスしているかのように感じさせることができる。アクセスサーバ12が端末32に対して行う指示は、ネットワークを介して行われる。端末32は、アクセスサーバ12からの指示に応じて情報記憶部51にアクセスし、ネットワークを介して所望する特定情報tを取得する。
【0031】
課金額演算部13は、計数部121の計数結果に基づいて、特定情報tの提供者5に課金する課金額を演算する。課金額は、例えば以下のように演算することが可能である。特定情報tの閲覧があった際、1回の閲覧あたりの金額が予め設定されているとする。これにより、課金額演算部13は当該金額と計数部121によりカウントされた閲覧回数とを積算して提供者5に対する課金額を演算することが可能となる。このような方法は、単なる例示であり、他の方法を用いて課金額を演算することも当然に可能である。
【0032】
1−3.ユーザの構成
ユーザ3は、放送受信部31、端末32を設けて構成される。放送受信部31は、放送信号を受信する。放送信号は放送局1の送信部11から送信される。本実施形態では、放送受信部31は、ユーザ3の側に設けられる表示装置としてのテレビ311に組み込まれているとして説明する。もちろん、テレビ311と放送受信部31とが別体で構成されていても良い。放送受信部31により受信された放送信号に含まれる放送番組hの信号は、テレビ311に伝達され当該テレビ311の画面に表示される。ここで、放送受信部31は、後述する端末32と共に、ネットワークで接続されている。
【0033】
本実施形態では、放送受信部31が端末32を特定する特定部33を備えている。端末32の特定は、放送受信部31が上述のネットワークに接続されている端末32と予め通信を行って、例えば特定部33に端末32を識別する端末情報を登録しておくことにより行うことが可能である。このような特定を行うことにより、放送受信部31は当該放送受信部31とネットワークに接続されている端末32を認識することが可能となる。このような特定部33は、端末32を認識する機能を有する。
【0034】
本実施形態では、放送受信部31から端末32に、送られてきた情報の中からアクセス情報aのみが送信される。すなわち、放送受信部31が受信したアクセス情報aが、ネットワークを介して端末32に送信される。なお、この送信は、上述の特定部33により特定されている端末32に対して行われる。
【0035】
端末32は、放送受信部31との間に設定された通信方式に基づいて放送受信部31と通信可能に構成されている。ここで、端末32も放送受信部31と同様に、ネットワークで接続されている。これにより、端末32は放送受信部31と通信可能に構成される。この通信は、通常は放送局1から放送受信部31に伝達される放送方式とは異なるものが用いられる。
【0036】
端末32には、ユーザ情報記憶部321と表示画像生成部322と表示部323とを備えて構成される。ユーザ情報記憶部321は、ユーザ3を特定するユーザ情報uが登録可能に構成される。ユーザ情報uとはユーザ3に関する情報であり、例えばユーザ3の年齢、性別、住所又は居所、更には趣味やお気に入りが相当する。ユーザ情報記憶部321には、このようなユーザ情報uが記憶される。
【0037】
表示画像生成部322は、表示部323に表示する表示画像を生成する。本実施形態では、表示部323は、ユーザ情報uに対応した特定情報tに到達するためのアクセス情報aが表示可能に構成される。ここで、放送受信部31から端末32には、アクセス情報aが送信される。本実施形態では、放送受信部31が受信した全てのアクセス情報aがネットワークを介して端末32に送信される。ユーザ情報uに対応した特定情報tとは、放送受信部31から端末32に送信される信号のうち、ユーザ情報uに適合する特定情報tである。また、上述のように本実施形態では、放送受信部31が受信した全てのアクセス情報aがネットワークを介して端末32に送信される。このようなアクセス情報aを含む信号は、端末32において、ユーザ情報uに合致しないものは間引かれる。間引かれずに残ったアクセス情報aは、表示画像生成部322に伝達される。このような間引きは、図示しない間引き部により行うと好適である。
【0038】
表示画像生成部322は、ユーザ情報記憶部321に記憶されているユーザ情報uを参照し、当該ユーザ情報uに合致するユーザ3の属性を有する特定情報tのアクセス情報aを表示部323に表示する表示画像を生成する。表示部323には、表示画像生成部322により生成された表示画像が伝達され、表示される。これにより、端末32には、当該端末32の所有者であるユーザ3に適した特定情報tにアクセスするためのアクセス情報aに基づく表示画像を表示することができる。ユーザ3は、表示部323に表示されたアクセス情報aに基づき、特定情報tを閲覧することが可能となる。
【0039】
2.システムダウン防止機能
本実施形態においては、上述のようにアクセス情報aは放送局1(又は放送局1の基地局)により放送番組hの信号と共に広範囲に亘って送信される。このため、多数の者がアクセス情報aに基づき提供者5の特定情報tを閲覧する可能性がある。一方、提供者5の特定情報tは、同時配信されるのではなく、ユーザ3の端末32からのアクセスに応じて配信される。したがって、特定情報tが記憶されている情報記憶部51へのアクセスが集中して負荷が重くなり、情報記憶部51がシステムダウンする可能性がある。そこで、本発明においては、情報記憶部51がシステムダウンしないようにする機能を備えている。
【0040】
計数部121が設けられるアクセスサーバ12は、計数部121の計数結果に基づいて、端末32から情報記憶部51へのアクセス数若しくは情報記憶部51の応答時間が予め設定された判定閾値以上であるか否かを判定する。
【0041】
アクセスサーバ12は、端末32から情報記憶部51へのアクセス数若しくは情報記憶部51の応答時間が判定閾値以上であると判定された場合に、送信部11にアクセス情報aを無効にする信号を送信するよう指示する。この指示を受け、送信部11はアクセス情報aを無効にする信号を送信する。これにより、先に送信されていたアクセス情報aが無効にされるので、端末32から情報記憶部51への新たなアクセスは制限される。したがって、情報記憶部51のシステムダウンを未然に防止できる。
【0042】
3.表示画像
次に、テレビ311及び端末32に表示される画像について説明する。図2は、放送受信部31により受信された放送信号に基づいて、テレビ311及び端末32に表示される画面の一例が示される。本実施形態では、放送局1から受験関連の番組が放送される場合の例を挙げて説明する。この場合、放送信号として、受験関連の放送番組hの信号と、当該放送番組hに付随する(関連する)特定情報tにアクセスするためのアクセス情報aを含む信号とが送信部11から送信される。
【0043】
このような放送信号は、放送受信部31により受信される。受信された放送信号のうち、放送番組hの信号に係る画像が、テレビ311に表示される。図2の例では、「受験シーズン特集」なる放送番組hが表示されている。また、放送受信部31により受信された放送信号のうちアクセス情報aが、予め設定されている通信方式にて端末32に送信される。端末32の表示画像生成部322は、アクセス情報aに含まれるユーザ3の属性に基づき、ユーザ情報記憶部321に記憶されているユーザ情報uと合致するアクセス情報aを選択して、表示部323に表示させる表示画像を生成する。このように生成された表示画像が表示部323に表示される。図2の例では「○○○大学」や「×××大学」の特定情報tにアクセスするためのアクセス情報aが表示部323にアイコンA、Bとして表示される。
【0044】
図3に示されるように、表示部323に表示されたアクセス情報a(図3の例では、アイコンA)をユーザ3が選択すると、端末32からアクセスサーバ12に閲覧要求がなされる(#01)。アクセスサーバ12は、この閲覧要求を受け、計数部121に閲覧回数をカウントさせる(#02)。また、アクセスサーバ12は、閲覧要求に対応するアクセス情報aにより端末32に特定情報tを記憶する情報記憶部51へのアクセスを指示する(#03)。端末32は、この指示を受け、ネットワークを介して情報記憶部51にアクセスし(#04)、当該情報記憶部51に記憶されている特定情報tを取得する(#05)。これにより、端末32の表示部323に特定情報tが表示される(#06)。図3の例では、アイコンAに基づく「○○○大学のホームページ」が表示される。
【0045】
また、図4に示されるように、ユーザ3が、例えば「○○○大学のホームページ」内の「願書の請求」ボタンを押して願書を請求したとする。このような「願書の請求」は、本発明に係る「所定の処理」に相当する。ユーザ3により「願書の請求」ボタンが押されると、端末32は情報記憶部51に対してイベントの要求を行う(#11)。情報記憶部51は、この要求に応じて所定の入力画面に関する画像データを端末32に送信する(#12)。ユーザ3は、表示部323に表示された入力画面に所定の入力を行い、「請求」ボタンを押す。これに伴い、端末32から情報記憶部51に請求指示がなされる(#13)。この請求を受け付けた情報記憶部51は、端末32に請求を受け付けた旨の画像データ(例えば「ありがとうございました」の表示)を送信する(#14)。
【0046】
このようにイベントが完了すると、端末32からアクセスサーバ12に、端末32と情報記憶部51との間でイベントが行われたことを示す情報(例えば「イベント完了情報」)が伝達される(#15)。アクセスサーバ12は、この情報を受け、計数部121にカウントさせる(#16)。このカウントは、上述の閲覧回数とは別にカウントすると好適である。
【0047】
4.アクセスサーバによるアクセス制限
次に、アクセスサーバ12によるアクセス制限について図を用いて説明する。図5の横軸は放送開始からの経過時間であり、縦軸はアクセスサーバ12に対する所定時間におけるアクセス数(瞬間アクセス数)である。図5に示されるように、放送開始と共に情報記憶部51への瞬間アクセス数が増加する。計数部121によりカウントされる情報記憶部51へのアクセス数(図示せず)若しくは情報記憶部51の応答時間(図示せず)が無効閾値(本発明に係る「判定閾値」に相当)に達すると、アクセスサーバ12は送信部11にアクセス情報aを無効にする信号の送信を命令する。これにより、送信部11からアクセス情報aを無効にする信号(無効信号)が送信される。したがって、端末32から情報記憶部51へのアクセスが制限されるので、新たにアクセスをするユーザ3が増加することは無い。よって、図5に示されるように瞬間アクセス数は減少する。
【0048】
このままアクセス情報aを無効状態としておくことも可能であるが、本実施形態では、情報記憶部51への瞬間アクセス数が予め設定された値まで減少するとアクセス情報aを有効にする機能を備えている。このようなアクセス情報aを有効にするための値は「復帰閾値」として設定される。瞬間アクセス数が復帰閾値以下になると、アクセスサーバ12は送信部11にアクセス情報aを有効にする信号を送信させる。これにより、送信部11からアクセス情報aを有効にする信号(有効信号)が送信される。よって、情報記憶部51に対する新たなユーザ3のアクセスが許容される。
【0049】
5.課金額の演算
次に、計数部121の計数結果に基づく提供者5に課金する課金額の演算について説明する。図6には、計数部121の計数結果が示される。図6には、「閲覧」後に行われた「イベント(所定の処理)」についても示される。夫々が行われた際には、図6中「○」を付して示される。「閲覧」のみに「○」が付されている場合には、閲覧だけが行われ、その後の処理が行われなかったことを示す。一方、「閲覧」及び「イベント」に「○」が付されている場合には、閲覧後に、所定の処理が行われたことを示す。
【0050】
課金額演算部13は、計数部121によりカウントされる計数結果に基づいて提供者5に課金する課金額の計算をする。
【0051】
6.まとめ
このように本放送番組付随情報表示システム100によれば、放送番組hをテレビ311に表示し、アクセス情報aをテレビ311とは別体の端末32に表示することができる。このため、テレビ311の画面サイズに対して放送番組hが縮小表示やオーバーレイされることがない。また、端末32には当該端末32のユーザ3に関するユーザ情報uが登録されており、当該ユーザ情報uに基づいてユーザ3に適した特定情報tを閲覧することが可能なアクセス情報aを提供することができる。したがって、ユーザ3に適した特定情報tを提供することが可能となる。
【0052】
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では、放送受信部31と端末32とが別体で構成されているとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。放送受信部31と端末32とを一体で構成する、すなわち一つのデバイスで構成することも当然に可能である。
【0053】
上記実施形態では、放送受信部31が端末32を特定する特定部33を備えているとして説明した。すなわち、放送受信部31が端末32を認識している関係にあるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。特定部33は、端末32に備えられていても良い。このような構成においては、端末32が放送受信部31を認識している関係になる。このような場合であってもアクセス情報aを伝達することが可能である。もちろん、放送受信部31及び端末32の双方に特定部33を備える構成とすることも可能である。この場合には、互いに他方を認識している関係とすることができる。
【0054】
上記実施形態では、放送受信部31が受信したアクセス情報aを含む信号は、全てがネットワークを介して端末32に送信され、端末32がユーザ情報uに合致しないアクセス情報aを間引くとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。例えば、端末32のユーザ情報記憶部321に記憶されているユーザ情報uを放送受信部31に伝達し、放送受信部31の側でユーザ情報uに合致しないアクセス情報aを間引く構成とすることも当然に可能である。
【0055】
上記実施形態では、ユーザ3により特定情報tの閲覧が行われた回数をカウントする計数部121が放送局1に備えられているとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。計数部121が放送局1に備えられない構成とすることも当然に可能である。係る場合、例えば計数部121を提供者5の側に備えられる構成とすることも可能である。更には、放送局1、端末32、提供者5のいずれにも相当しない他の者が有する構成とすることも可能である。このような構成であっても、当然に本発明に権利範囲である。或いは、本放送番組付随情報表示システム100が、計数部121を備えない構成とすることも当然に可能である。
【0056】
上記実施形態では、アクセスサーバ12は、ユーザ3からのアクセスに応じて端末32に対して情報記憶部51から特定情報tを取得するよう指示するとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。アクセスサーバ12に情報記憶部51を備え、アクセスサーバ12自体から特定情報tを配信する構成とすることも当然に可能である。
【0057】
上記実施形態では、アクセス情報aを含む信号には、アクセスサーバ12の所在を示すサーバアクセス情報saが含まれるとして説明した。例えば、アクセス情報aを含む信号に、端末32による特定情報tへの到達を許容する情報を含むように構成することも可能である。特定情報tへの到達を許容する情報とは、端末32が最終的に特定情報tにアクセスすることを可能とする情報である。より具体的には、アクセス権の設定やパスワード入力などによる秘匿化とすることができる。このような形態の一例として、以下が挙げられる。
【0058】
(1)アクセスサーバへのアクセス
端末32がアクセスサーバ12にアクセスする場合に、アクセス権が必要な構成とすることができる。係る場合、端末32によるアクセスサーバ12へのアクセスがあった際、アクセスサーバ12が、アクセスしてきた端末32がアクセス権を有しているか否かを判定し、アクセス権を有していればアクセスを許可する構成とすることが可能である。一方、アクセス権を有していなければ、アクセスを許可しないように構成することが可能である。
【0059】
(2)情報記憶部へのアクセス
端末32が情報記憶部51にアクセスする場合に、アクセス権が必要な構成とすることができる。係る場合、端末32による情報記憶部51へのアクセスがあった際、情報記憶部51が、アクセスしてきた端末32がアクセス権を有しているか否かを判定し、アクセス権を有していればアクセスを許可する構成とすることが可能である。一方、アクセス権を有していなければ、アクセスを許可しないように構成することが可能である。
【0060】
(3)アクセス情報の読み取り
端末32に伝達されたアクセス情報aを読み取る際に、パスワードが必要な構成とすることができる。係る場合、放送局1から送信されるアクセス情報aを、パスワードを用いなければ読み取ることができないようなロック付きアクセス情報とすると良い。
【0061】
(4)サーバアクセス情報の読み取り
端末32に伝達されたサーバアクセス情報saを読み取る際に、パスワードが必要な構成とすることができる。係る場合、放送局1から送信されるアクセス情報aに含まれるサーバアクセス情報saを、パスワードを用いなければ読み取ることができないようなロック付きサーバアクセス情報とすると良い。
【0062】
(5)特定情報の読み取り
端末32が情報記憶部51から取得した特定情報tを読み取る際に、パスワードが必要な構成とすることができる。係る場合、特定情報tを、パスワードを用いなければ読み取ることができないようなロック付き特定情報とすると良い。
【0063】
また、端末32による特定情報tへの到達を許容する情報は、アクセス情報aを含む信号に含まれていなくても良い。すなわち、端末32には、放送信号を介した伝達に限定されるものではなく、端末32に直接、入力する形態とすることも可能である。係る場合、端末32が二次元バーコードを読み取ることにより前記情報を取得する構成とすることができる。また、ユーザ3により直接入力する形態とすることも可能であるし、端末32が別途、ネットワークを介して前記情報を取得する構成とすることも可能である。更には、例えば端末32でゲーム等を行って、そのゲームの結果に基づき複数の特定情報tから設定された特定情報tを閲覧する構成とすることが可能である。
【0064】
上記実施形態では、ユーザ3により特定情報tの閲覧の後に行われた所定の処理の回数もカウントするとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。特定情報tの閲覧の後に行われた所定の処理の回数をカウントしない構成とすることも可能である。すなわち、ユーザ3による特定情報tの閲覧のみをカウントする構成とすることも当然に可能である。
【0065】
上記実施形態では、計数部121の計数結果に基づいて、特定情報tの提供者5に課金するとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。計数結果に基づき課金をしない構成とすることも当然に可能である。
【0066】
上記実施形態では、計数部121の計数結果に基づいて、送信部11はアクセス情報aを無効にする信号を送信するとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。計数結果にかかわらず、アクセス情報aを無効にする信号を送信しない構成とすることも当然に可能である。また、上記実施形態では、一旦、無効としたアクセス情報aを再度有効にするとして説明した。もちろん、再度有効にしないような構成とすることも当然に可能である。
【0067】
上記実施形態では、放送受信部31に1台の端末32がネットワークに接続されている場合の例を示して説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。例えば、図7に示すように複数の端末32A、32B、32Cが放送受信部31とネットワーク接続されている構成とすることも当然に可能である。ここで、端末32Aの所有者は自動車に興味がある者(例えば青年男性)であり、端末32Bの所有者はファッションに興味がある者(例えば青年女性)であり、端末32Cの所有者は旅行に興味がある者(例えば中年女性)であるとする。
【0068】
例えばテレビ311に温泉に関する情報番組が表示されている場合、各端末32には、夫々登録されているユーザ情報uに基づいてアクセス情報aを表示することができる。すなわち、端末32Aには番組に登場する自動車のウェブサイトを示すアクセス情報が表示され、端末32Bには番組に出演する人が着ている衣服や身に付けているアクセサリのウェブサイトを示すアクセス情報が表示され、端末32Cには番組に関わる土地(例えば温泉地)の観光情報(宿情報、土産情報など)のウェブサイトを示すアクセス情報が表示される。各端末32A、32B、32Cの所有者は、希望すればアクセス情報aを選択して情報記憶部51に記憶されている特定情報tを閲覧することを可能である。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、放送番組に付随した情報を端末に表示する放送番組付随情報表示システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0070】
1:放送局
3:ユーザ
11:送信部
12:アクセスサーバ
31:放送受信部
32:端末
51:情報記憶部
100:放送番組付随情報表示システム
121:計数部
323:表示部
a:アクセス情報
h:放送番組
u:ユーザ情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにネットワークにより配信可能であり、前記ユーザの属性に応じて用意した複数の特定情報を記憶する情報記憶部と、
放送局に設けられ、放送番組の信号と、前記特定情報にアクセスするためのアクセス情報を含む信号とを、互いに同期させつつ放送信号として送信する送信部と、
前記ユーザの側に設けられ、前記放送信号を受信する放送受信部と、
当該放送受信部との間に設定された通信方式に基づいて前記放送受信部と通信可能な端末とを備え、
前記放送受信部及び前記端末の少なくともいずれか一方が、他方を特定する特定部を有し、
当該端末が、前記ユーザを特定するユーザ情報を登録可能であって、前記ユーザ情報に対応した前記特定情報に到達するためのアクセス情報を表示可能な表示部を備えている放送番組付随情報表示システム。
【請求項2】
前記ユーザにより前記アクセス情報に基づいて前記情報記憶部に記憶されている特定情報の閲覧が行われた回数をカウントする計数部が備えられている請求項1に記載の放送番組付随情報表示システム。
【請求項3】
前記計数部の計数結果に基づいて、前記端末から前記情報記憶部へのアクセス数若しくは前記情報記憶部の応答時間が予め設定された判定閾値以上であると判定された場合に、前記送信部は前記アクセス情報を無効にする信号を送信する請求項2に記載の放送番組付随情報表示システム。
【請求項4】
前記アクセス情報を含む信号は、前記端末による前記特定情報への到達を許容する情報が含まれている請求項1から3のいずれか一項に記載の放送番組付随情報表示システム。
【請求項5】
前記アクセス情報は、前記計数部を有するアクセスサーバの所在を示すサーバアクセス情報が含まれ、
前記アクセスサーバは、前記ユーザからのアクセスに応じて、当該ユーザの端末に対して、前記情報記憶部の前記特定情報をネットワークで取得するように指示する請求項2又は3に記載の放送番組付随情報表示システム。
【請求項6】
前記計数部は、前記ユーザにより前記特定情報の閲覧の後に行われた当該特定情報に対する問合せ処理の回数もカウントする請求項2、3、及び5のいずれか一項に記載の放送番組付随情報表示システム。
【請求項7】
前記計数部の計数結果に基づいて、前記特定情報の提供者に課金する請求項2、3、5及び6のいずれか一項に記載の放送番組付随情報表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−204981(P2012−204981A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66173(P2011−66173)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(391004104)株式会社毎日放送 (4)
【Fターム(参考)】