説明

放送素材サーバ装置及び放送素材スタンバイ方法

【課題】不正な送出スタンバイ要求を検出し、検出結果を通知する。
【解決手段】記憶装置13は放送素材データを記憶し、当該放送素材データはロールに分割される。制御部11は、送出制御装置20からの送出スタンバイ要求を受信し、当該送出スタンバイ要求が、記憶装置13に記憶されたロールを正常に指定しているか否かを検出する。送出スタンバイ要求によるロールの誤指定が検出されると、アラームが生成されて制御部11から監視装置30に送信される。送出スタンバイ要求が指定するロールが記憶装置13に記憶されている場合には、当該ロールがスタンバイデータ15にセットされる。送出スタンバイ要求が指定するロールが記憶装置13に記憶されていない場合には、代替素材データ記憶部141に記憶された代替素材データがスタンバイデータ15にセットされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送素材サーバ装置及び放送素材スタンバイ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
番組サーバ装置は放送局に備えられ、放送番組データ等の放送素材をハードディスク装置やフラッシュディスク等の記憶装置に保持する装置である。放送素材は、例えばMPEG2方式などで圧縮されてファイル化され、記録装置に蓄積される。番組サーバ装置では、自動番組送出装置(APC)からの送出スタンバイ要求に応じて、指定された放送素材の送出スタンバイが行なわれ、当該放送素材は自動番組送出装置の制御に基づいて送出、放送される。
【0003】
例えば放送素材の時差再生が行なわれるような場合には、素材の収録や転送が、素材送出の直前に行われる。しかしながら、番組編成によっては、送出スタンバイ要求が、当該放送素材の送出予定時刻よりも数時間前に番組サーバ装置へ送られることがある。この場合、送出スタンバイ要求に応じた放送素材が番組サーバに蓄積されていないため、当該放送素材の送出スタンバイが実行できず、処理が異常終了してしまう。
【0004】
特許文献1には、収録制御機器からの送出制御指示によって指定される放送素材が記憶されていない場合であっても、処理の異常終了を防止できる放送素材処理装置が記載されている。この放送素材処理装置では、送出制御指示によって指定される放送素材が記憶されていない場合でも、当該放送素材の代わりに予め記憶された代替素材を送出準備状態に設定する(仮スタンバイ)。そして、当該放送素材の収録が行なわれたら、代替素材のスタンバイを解除し、当該放送素材の送出スタンバイを行なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−12562号公報(段落[0020]、[0021]、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の放送素材処理装置では、送出スタンバイ要求に誤りがあり、放送素材が正しく指定されていない場合であっても、代替素材による仮スタンバイが行なわれる。この仮スタンバイの際に、送出スタンバイ要求の誤りはユーザには通知されない。このため、誤って仮スタンバイされた代替素材が、正しい放送素材に置き換えられないまま送出されかねない。
【0007】
本発明は、前記のような問題に鑑みなされたもので、不正な送出スタンバイ要求を検出し、検出結果を通知できる放送素材サーバ装置及び放送素材スタンバイ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る放送素材サーバ装置は、少なくとも1つのロールを含む放送素材データを記憶する記憶手段と、送出スタンバイ要求を受信する受信手段と、前記送出スタンバイ要求が、前記記憶手段に記憶されたロールを正常に指定しているか否かを検出する検出手段と、前記検出手段が前記送出スタンバイ要求によるロールの誤指定を検出した場合に、アラームを発行するアラーム手段と、前記送出スタンバイ要求が指定するロールが前記記憶手段に記憶されている場合には、当該ロールをスタンバイ状態にセットし、前記送出スタンバイ要求が指定するロールが前記記憶手段に記憶されていない場合には、所定の代替素材をスタンバイ状態にセットするスタンバイ制御手段を具備する。
【0009】
また、本発明の一実施形態に係る放送素材スタンバイ方法は、少なくとも1つのロールを含む放送素材データを記憶する記憶手段を具備する放送素材サーバ装置において用いられる放送素材スタンバイ方法であって、送出スタンバイ要求を受信する受信ステップと、前記送出スタンバイ要求が、前記記憶手段に記憶されたロールを正常に指定しているか否かを検出する検出ステップと、前記送出スタンバイ要求によるロールの誤指定が検出された場合に、アラームを発行するアラームステップと、前記送出スタンバイ要求が指定するロールが前記記憶手段に記憶されている場合には、当該ロールをスタンバイ状態にセットし、前記送出スタンバイ要求が指定するロールが前記記憶手段に記憶されていない場合には、所定の代替素材をスタンバイ状態にセットするスタンバイ制御ステップを具備する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態による放送素材サーバ装置及び放送素材スタンバイ方法によれば、送出スタンバイ要求が、記憶手段に記憶されたロールを正常に指定しているか否かを検出することができる。また、送出スタンバイ要求によるロールの誤指定を検出した場合に、アラームを発行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る番組サーバ装置の構成を示すブロック図。
【図2】番組サーバ装置に収録される放送素材の一例を示す図。
【図3】図2に示す放送素材が放送データとして実際にオンエアされる場合のデータ構造の一例を示す図。
【図4】送出スタンバイ要求によって指定されるロールの代わりに、スタンバイデータ15に挿入される代替素材データを模式的に示す図。
【図5】送出スタンバイ要求を受信した際に行われる、ロールの送出スタンバイ処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明による放送素材サーバ装置の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る番組サーバ装置10の構成を示すブロック図である。
【0013】
番組サーバ装置10は、送出制御装置20及び監視装置30に接続され、放送送出システムを構成する。この番組サーバ装置10は、映像信号及び音声信号からなるテレビジョン番組等の放送素材を記憶(収録)する。番組サーバ装置10に収録された放送素材は、素材送出制御装置20の制御に応じて送出される。
【0014】
送出制御装置20は制御CPUを有し、広告(CM)素材を蓄積するCMバンク25が接続される。送出制御装置20はまた、営業放送システム(EDPS)、データサーバ(DS)、及び自動番組送出装置(APC)に接続されるか、これらの機器を内蔵する。
【0015】
営業放送システム(EDPS)は、放送データ、CMデータ、営業情報などを一元管理するシステムである。データサーバ(DS)は、放送進行データの作成及び放送データを一元管理する。放送局のオペレータは、DSのクライアント端末の操作によって、番組編成を変更することができる。自動番組送出装置(APC)は、DSから受け取った放送進行データにより放送制御データを作成し、リアルタイムにマスタ送出システム内の各部を制御する。放送制御データには、放送進行データに基づく放送素材のスタンバイ要求が含まれ、このスタンバイ要求は番組サーバ装置10に送信される。
【0016】
監視装置30は、送出システムの運行管理者の運行支援のために、機器の異常や故障、及び信号異常等を集約し、オペレータに通知する。例えば、番組サーバ装置10からのアラームが監視装置30に送信されると、監視装置30の表示装置によってアラーム表示がなされたり、あるいはアラーム音声が出力されたりする。このようなアラーム出力によって、番組サーバ装置10の異常がオペレータに通知され、当該オペレータが異常に対処することが可能となる。
【0017】
番組サーバ装置10は、制御部11、エンコーダ12、記憶装置13、デコーダ14を備えている。制御部11は、図示しないCPU、ROM、RAM等を備え、番組サーバ装置10の全体の動作を制御する。
【0018】
エンコーダ12は、映像信号及び音声信号を含む放送素材信号を例えばMPEG2方式等で圧縮符号化してTS(トランスポートストリーム)パケット化する。
【0019】
記憶装置13は、例えばハードディスク装置(HDD)やフラッシュメモリを含み、エンコーダ12によってTSパケット化された放送素材データを記憶する。記憶装置13に記憶(収録)される放送素材は、例えばVTR(ビデオテープレコーダ)から生成されてもよい。あるいは放送素材は、ネットワークを介して収録されてもよい。また、ノンリニア編集システムやデータアーカイブから放送素材ファイルが転送されてきてもよい。記憶装置13には、複数の放送素材(複数の番組)のデータが記憶され得る。
【0020】
記憶装置13に記憶された放送素材データは、制御部11による制御に基づいて、デコーダ14に供給される。デコーダ14は、TSパケット化された放送素材データを放送可能な形式の映像信号及び音声信号を含む放送用データに復号する。放送用データは、送出制御装置20の制御に応じて送出され、スタンバイデータ15として、スタンバイ状態にセットされる。
【0021】
また、デコーダ14は代替素材データ記憶部141を備えている。代替素材データ記憶部141には、例えば充分な長さの風景動画等が代替素材データとして記憶される。送出制御装置20からの送出スタンバイ要求によって指定される放送素材データが、記憶装置13に記憶されていない場合に、当該放送素材データに代わって代替素材データがスタンバイデータ15として、スタンバイ状態に設定される(送出仮スタンバイ)。
【0022】
デコーダ14によってスタンバイ状態にセットされたスタンバイデータは、送出制御装置20からの送出指示に応じて送出されてオンエアされる。
【0023】
図2は、番組サーバ装置10に収録される放送素材の一例を示す図である。図2に示すように、番組サーバ装置10に収録される放送素材には、それぞれ固有の素材IDが割り当てられる。また、番組サーバ装置10に収録される放送素材データのそれぞれは、指定の長さのロールに分割される。分割されたロールのそれぞれには、固有のロールIDが割り当てられる。
【0024】
図2に示す例では、素材ID「AB」が割り当てられた素材データが、n個のロールに分割されている。ロール#1〜ロール#nまでのn個のロールのそれぞれには、「AB001」から「AB00n」までのロールIDが割り当てられている。この例に示すように、素材IDとロールIDの割り当てに規則性をもたせ、あるロールのロールIDから、当該ロールがどの素材データに含まれるのかが推定可能となるように構成してもよい。素材IDの割り当て、ロールの分割、及びロールIDの割り当ては、送出制御装置20によって管理されるものとする。
【0025】
図3は、図2に示す放送素材が放送データとして実際にオンエアされる場合のデータ構造の一例を示す図である。図3に示すように、放送素材のロール間には、CMバンク25から読み出されたCMが、送出制御装置20の制御に基づいて挿入される。
【0026】
図3に示す例では、素材IDが「AB」である素材が、n個のロール(ロールIDは、#1〜#n)に分割されている。ロール#1の放送時間は、「00´00」から「10´00」までの10分間であり、次のロール#2の放送時間は、「11´00」から「21´00」までの10分間である。ロール#1とロール#2の間の「10´00」から「11´00」の1分間にCM1が挿入されている。また、ロール#2に続いてCM2が挿入されている。以降、同様にしてロール間にCMが挿入され、合計の放送時間が60分である1番組を構成する。なお、各ロールは、例えば、ロール#3が8分間、ロール#4が9分間の様にそれぞれ時間長が異なって居ても良いことは勿論である。
【0027】
このように、1番組内であってもロール間にCMが挿入されるため、送出制御装置20は、送出する素材を識別する素材IDと送出するロールを識別するロールIDを、送出スタンバイ要求で指定する。番組サーバ装置10の制御部11は、送出スタンバイ要求に含まれる素材ID及びロールIDによって指定されるロールを、スタンバイ状態にセットする。
【0028】
あるいは、送出制御装置20は、素材IDと、当該素材IDによって指定される放送素材をどの位置から再生するかを示す再生開始位置と、当該放送素材をどの位置まで再生するかを示す再生終了位置のセットを含む送出スタンバイ要求を、番組サーバ装置10の制御部11に送信してもよい。番組サーバ装置10の制御部11は、送出スタンバイ要求に含まれる素材IDによって指定される放送素材から、送出スタンバイ要求に含まれる再生開始位置と再生終了位置によって指定される部分(ロール)を抽出してスタンバイ状態にセットする。
【0029】
送出制御装置20から送出スタンバイ要求が送信されても、このスタンバイ要求よって指定されるロールを含む放送素材が、番組サーバ装置10に収録される前であったり、収録中であったりすれば、送出スタンバイ要求が指定するロールがスタンバイできない。あるいは送出スタンバイ要求によって指定されるロールの作成前であれば、当該送出スタンバイ要求が指定するロールがスタンバイできない。このような場合、図4に示すように、送出スタンバイ要求によって指定される本来の素材やロールの代わりに、代替素材データ記憶部141に記憶された代替素材データがスタンバイデータ15に挿入されてスタンバイ状態にセットされる(送出仮スタンバイ)。
【0030】
その後、送出スタンバイ要求によって指定されるロールを含む本来の放送素材が収録され当該ロールが作成されると、送出仮スタンバイされた代替素材データと差し替えられて、自動的にスタンバイ状態にセットされる。
【0031】
しかしながら、送出制御装置20から送信される送出スタンバイ要求が、ロールを正しく指定していないことがある。例えば、当該送出スタンバイ要求によって指定されるロールが、収録された放送素材から抜け落ちている(例えば図2の素材データにおいて、ロール#2だけが収録できていない)ことがある。あるいは、送出スタンバイ要求が誤っており、当該スタンバイ要求が指定するロールの再生開始位置又は再生終了位置が、収録されたロールの開始位置又は終了位置と一致しないこともある。また、放送進行データに基づく送出スタンバイ要求が指定するロールと、記憶装置13に記憶されているロールとが一致しないこともあり得る。以上のような場合であっても代替素材による送出仮スタンバイが行われ通常通り行なわれてしまうと、ロールデータの誤り、収録データの誤り、又は送出スタンバイ要求の誤りにオペレータが気付かないままとなり、代替素材がそのまま送出されてしまう。
【0032】
本実施形態による番組サーバ装置10では、以下に述べるように、ロールの誤指定を検出し、アラームによってオペレータに誤指定を通知して代替素材データがそのまま送出されてしまうことを防止する。
【0033】
図5は、送出スタンバイ要求を受信した際に行われる、ロールの送出スタンバイ処理の手順を示すフローチャートである。
【0034】
送出制御装置20が放送進行データに基づいて送信した送出スタンバイ要求を受信すると(ステップS51)、番組サーバ装置10の制御部11は、当該送出スタンバイ要求からロールIDを抽出する。そして制御部11は、当該ロールIDから、送出スタンバイ要求が指定するロールを特定し、当該ロールを含む放送素材の素材IDを算出する(ステップD52)。
【0035】
制御部11は、当該素材IDによって指定される放送素材が記憶装置13にすでに収録されているか否かを判定する(ステップS53)。
【0036】
当該素材IDが指定する放送素材が記憶装置13に収録されていない場合(ステップS53でNo)、番組全体が未収録であるので、当該放送素材に代わって代替素材データをデコーダ14からスタンバイデータ15に挿入し、送出仮スタンバイが行なわれる(ステップS54)。
【0037】
一方、当該素材IDが指定する放送素材が記憶装置13に収録されている場合(ステップS53でYes)、制御部11は、送出スタンバイ要求から抽出したロールIDに対応するロールが、当該放送素材内に作成されているか否かを判定する(ステップS55)。
【0038】
送出スタンバイ要求から抽出されたロールIDに対応するロールが、放送素材内に作成されていない場合(ステップS55でNo)、ロール未作成アラームが生成され、制御部11から監視装置30に送信される(ステップS56)。そして、図4に示すように、当該ロールに代わって代替素材データがスタンバイデータ15に挿入され、送出仮スタンバイが行なわれる(ステップS54)。
【0039】
例えば、収録ミスによって放送素材においていずれかのロールだけが脱落し、収録できていないことがある。このような場合に、当該収録できていないロールが指定されても、送出スタンバイ要求から抽出されたロールIDに対応するロールが放送素材内に作成されていないと判定される。また、n個のロールに分割された素材データに対して、n+1番目以降のロールが指定された場合にも、送出スタンバイ要求から抽出されたロールIDに対応するロールが、放送素材内に作成されていないと判定される。すなわち、これらの場合には、ロールIDが無効なロールを指定している。ロールIDが無効なロールを指定している場合には、ロール未作成アラームに応じて監視装置30がアラーム出力を行い、ロールが未作成である旨がオペレータに通知される。
【0040】
送出スタンバイ要求から抽出されたロールIDに対応するロールが放送素材内に作成されている場合は(ステップS55でYes)、制御部11は、当該ロールの再生開始位置が正常であるか否かを判定する(ステップS57)。
【0041】
当該ロールの再生開始位置が正常でない場合(ステップS57でNo)、開始位置異常アラームが生成され、制御部11から監視装置30に送信される(ステップS58)。そして、当該ロールに代わって代替素材データがスタンバイデータ15に挿入され、送出仮スタンバイが行なわれる(ステップS54)。
【0042】
例えば、図2の例に示す素材データにおいて、ロール#1より先にロール#2が指定された場合、抽出されたロールIDに対応するロールの再生開始位置が異常であると判定される。また、指定されたロールの再生開始位置が、当該放送素材の終了後に設定されている場合にも、抽出されたロールIDに対応するロールの再生開始位置が異常であると判定される。このように、ロールの再生開始位置が異常である場合、開始位置異常アラームに応じて監視装置30がアラーム出力を行い、開始位置異常がオペレータに通知される。
【0043】
ロールの再生開始位置が正常である場合は(ステップS57でYes)、制御部11は、当該ロールの再生終了位置が正常であるか否かを判定する(ステップS59)。
【0044】
ロールの再生終了位置が正常でない場合(ステップS59でNo)、終了位置異常アラームが生成され、制御部11から監視装置30に送信される(ステップS60)。そして、当該ロールがスタンバイデータ15に挿入され、送出スタンバイが行なわれる(ステップS61)。
【0045】
例えば、指定されたロールの再生終了位置が当該放送素材の終了後に設定されている場合、あるいは、放送進行データによって定められる再生終了位置より後に、指定されたロールが終了している場合は、放送進行データに基づくロール長よりも、記憶装置13に記憶されたロール長が長く設定されている。このような場合、ロールの再生終了位置が異常であると判定される。また、放送進行データによって定められる再生終了位置より前に、指定されたロールが終了している場合は、放送進行データに基づくロール長よりも、記憶装置13に記憶されたロール長が短く設定されている。このような場合も、ロールの再生終了位置が異常であると判定される。ロールの再生終了位置が異常であると判定された場合、終了位置異常アラームに応じて監視装置30がアラーム出力を行い、終了位置異常がオペレータに通知される。
【0046】
一方、ロールの再生終了位置が正常である場合は(ステップS59でYes)、当該ロールがスタンバイデータ15に挿入され、送出スタンバイが行なわれる(ステップS61)。
【0047】
以上のようにしてスタンバイ処理がなされた後、送出制御装置20から送出指示が送られたら、スタンバイデータ15が送出され、オンエアされる。
【0048】
図5に示す処理では、ステップS56でロール未作成アラームが生成された後、及びステップS58で開始位置異常アラームが生成された後には、代替素材データがスタンバイデータ15に挿入されて送出仮スタンバイが行なわれた(ステップS54)。オペレータがアラームに気付かず、本来のロールを準備することができない場合には、送出指示に応じて代替素材が送出される。このため、送出スタンバイ要求がロールを誤指定しても、誤って黒画面等が送出されて放送事故となる事態を防止することができる。
【0049】
また、図5に示す処理では、指定されたロールの再生終了位置が正常でない場合でも、当該指定されたロールのスタンバイを行なった。これに加えて、放送進行データに基づくロール長よりも、記憶装置13に記憶されたロール長が短く設定されている場合には、不足するロールの長さ分だけ、代替素材データで補ってもよい。
【0050】
以上のように、本実施形態に係る番組サーバ装置によれば、送出スタンバイ要求によるロール指定の誤りを検出することができる。また、誤ったロールが指定された場合には、アラームを生成して、オペレータに通知することができる。このため、オペレータはアラームに応じて対処することが可能となる。
【0051】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、代替素材データ記憶部141をデコーダ14内に設ける例について説明した。しかし、これに限ることなく、デコーダ14に対し代替素材データ記憶部141を外付けに設けるようにしてもよい。
【0052】
また、上述の実施形態では、番組サーバ装置においてロール誤指定検出を行なう例について説明したが、CMバンク、コンテンツサーバ等他のサーバにおいても同様に、ロール誤指定を検出することができる。
【0053】
本願発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、1つの実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの実施形態に示される構成要件が組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
【符号の説明】
【0054】
10…番組サーバ装置、11…制御部、12…エンコーダ、13…記憶装置、14…デコーダ、15…スタンバイデータ、25…CMバンク、20…送出制御装置、30…監視装置、141…代替素材データ記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのロールを含む放送素材データを記憶する記憶手段と、
送出スタンバイ要求を受信する受信手段と、
前記送出スタンバイ要求が、前記記憶手段に記憶されたロールを正常に指定しているか否かを検出する検出手段と、
前記検出手段が前記送出スタンバイ要求によるロールの誤指定を検出した場合に、アラームを発行するアラーム手段と、
前記送出スタンバイ要求が指定するロールが前記記憶手段に記憶されている場合には、当該ロールをスタンバイ状態にセットし、前記送出スタンバイ要求が指定するロールが前記記憶手段に記憶されていない場合には、所定の代替素材をスタンバイ状態にセットするスタンバイ制御手段と、
を具備することを特徴とする放送素材サーバ装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記送出スタンバイ要求が指定するロールが、前記記憶手段に記憶されているか否かを検出し、
前記アラーム手段は、前記送出スタンバイ要求が指定するロールが前記記憶手段に記憶されていない場合に、前記アラームを発行することを特徴とする請求項1に記載の放送素材サーバ装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記送出スタンバイ要求が指定するロールの開始位置が正常であるか否かを判定し、
前記アラーム手段は、前記送出スタンバイ要求が指定するロールの開始位置が正常でない場合に、前記アラームを発行することを特徴とする請求項1に記載の放送素材サーバ装置。
【請求項4】
前記検出手段は、前記送出スタンバイ要求が指定するロールの終了位置が正常であるか否かを判定し、
前記アラーム手段は、前記送出スタンバイ要求が指定するロールの終了位置が正常でない場合に、前記アラームを発行することを特徴とする請求項1に記載の放送素材サーバ装置。
【請求項5】
前記スタンバイ制御手段は、前記送出スタンバイ要求が指定するロールの長さが不足する場合に、当該ロールをスタンバイ状態にセットし、前記所定の代替素材で不足する長さを補完することを特徴とする請求項4に記載の放送素材サーバ装置。
【請求項6】
少なくとも1つのロールを含む放送素材データを記憶する記憶手段を具備する放送素材サーバ装置において用いられる放送素材スタンバイ方法であって、
送出スタンバイ要求を受信する受信ステップと、
前記送出スタンバイ要求が、前記記憶手段に記憶されたロールを正常に指定しているか否かを検出する検出ステップと、
前記送出スタンバイ要求によるロールの誤指定が検出された場合に、アラームを発行するアラームステップと、
前記送出スタンバイ要求が指定するロールが前記記憶手段に記憶されている場合には、当該ロールをスタンバイ状態にセットし、前記送出スタンバイ要求が指定するロールが前記記憶手段に記憶されていない場合には、所定の代替素材をスタンバイ状態にセットするスタンバイ制御ステップと、
を具備することを特徴とする放送素材スタンバイ方法。
【請求項7】
前記検出ステップは、前記送出スタンバイ要求が指定するロールが、前記記憶手段に記憶されているか否かを検出し、
前記アラームステップは、前記送出スタンバイ要求が指定するロールが前記記憶手段に記憶されていない場合に、前記アラームを発行することを特徴とする請求項6に記載の放送素材スタンバイ方法。
【請求項8】
前記検出ステップは、前記送出スタンバイ要求が指定するロールの開始位置が正常であるか否かを判定し、
前記アラームステップは、前記送出スタンバイ要求が指定するロールの開始位置が正常でない場合に、前記アラームを発行することを特徴とする請求項6に記載の放送素材スタンバイ方法。
【請求項9】
前記検出ステップは、前記送出スタンバイ要求が指定するロールの終了位置が正常であるか否かを判定し、
前記アラームステップは、前記送出スタンバイ要求が指定するロールの終了位置が正常でない場合に、前記アラームを発行することを特徴とする請求項6に記載の放送素材スタンバイ方法。
【請求項10】
前記スタンバイ制御ステップは、前記送出スタンバイ要求が指定するロールの長さが不足する場合に、当該ロールをスタンバイ状態にセットし、前記所定の代替素材で不足する長さを補完することを特徴とする請求項9に記載の放送素材スタンバイ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−61373(P2011−61373A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207241(P2009−207241)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】