説明

放電ランプ

本発明は、外側バルブ(1)内の放電容器(11)が長手方向軸(22)のまわりに配置される当該外側バルブ(1)と、放電容器(11)と、ランプベース(8)とを有する高圧放電ランプであって、放電容器は、イオン化可能な封入物を含む放電空間(13)を気密に囲み、放電容器は、第1及び第2のリードスルーを形成する第1の互いに対向する部分(2)及び第2の互いに対向する部分(3)を備え、これらの第1及び第2の互いに対向する部分をそれぞれ通って、第1のリードスルー導体(40)及び第2のリードスルー導体(50)が、放電空間に配された一対の電極(6,7)まで延在し、電気絶縁材料から成るランプベース(8)は、一対の電極への第1の電流路及び第2の電流路を形成し、各々が第1のリードスルー導体及び第2のリードスルー導体との溶接部をそれぞれ備える第1の電流供給導体(4)及び第2の電流供給導体(5)を介して放電容器を支持し、ランプベースは、外側バルブも支持し、外側バルブは、第1の電流供給導体及び第2の電流供給導体を囲み、外側バルブは、ランプベースに気密に接続され、 ランプベースは、第1の電流供給導体及び第2の電流供給導体のそれぞれに電気的に接続される第1の接触部材(14)及び第2の接触部材(15)を備える、高圧放電ランプに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧放電ランプに関する。
【0002】
35Wから150Wの範囲に及ぶ高圧放電ランプは、照明の小売用に主流になっている。より低いルーメンパッケージ及び/又はより低いワット数に向かって範囲を拡張する積極的状況を生み出すトレンドが現れている。例えば、専門店では、店全域を投光照明で照射する代わりに、商品に光の焦点を合わせるより低い光レベルが使用される。市場のエンドユーザは、光の均一的な品質にますます興味をもつようになり、低いルーメンパッケージ及びアクセント照明についてはハロゲンランプを使用する代わりに高圧放電ランプを利用することを好むであろう。
【0003】
一般に、冒頭段落に記載された種類の高圧放電ランプは、セラミック壁を備える放電容器又は石英ガラス放電容器をもつ。このような高圧放電ランプは、実際に広く使用されており、高い発光効率を好ましいカラー特性と組み合わせる。ランプの放電容器は、水銀(Hg)及び希ガス封入物に加えて一つ又は複数の金属ハロゲン化物を含有する。
【0004】
本説明及び請求項の範囲における放電容器のセラミック壁は、単結晶の金属酸化物(例えば、サファイア)、半透明の高密度に焼結された多結晶の金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG))、及び半透明の高密度に焼結された多結晶の金属窒化物(例えば、窒化アルミ(AlN))の材料の1つから作製される壁であるものと理解されたい。
【背景技術】
【0005】
冒頭段落に記載された種類のランプは、特開平04−002035号(1992年出願公開)の英訳要約書から知られている。この知られている放電ランプは、放電容器と、絶縁材料から成るランプベースに突出するように据え付けられ、放電容器を支持する電流供給導体と、を有している。一端が開口している外側バルブが、放電容器及び電流供給導体を囲むランプベースに固定される。
【0006】
既知のランプでは、各々のリードスルー導体(lead-through conductor)が、双方の導体のそれぞれに別個に固定される他の導電性金属ストリップによって、その個々の電流供給導体に接続される。固定するための適切なやり方は、抵抗溶接、クランピング、クリンピング及びそれらの組み合わせである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように形成された構造は複雑であり、それにより生産不良の影響を受けやすくなり、その結果として生産損失をもたらす。このことは欠点である。
【0008】
本発明の目的は、上記の欠点に対処することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、
外側バルブ(1)内の放電容器(11)が長手方向軸(22)のまわりに配置される当該外側バルブ(1)と、放電容器(11)と、ランプベース(8)とを有する高圧放電ランプであって、
放電容器は、イオン化可能な封入物を具備する放電空間(13)を気密に囲み、
放電容器は、第1及び第2のリードスルーを有する第1の互いに対向する部分(2)及び第2の互いに対向する部分(3)を備え、これらの第1及び第2の互いに対向する部分をそれぞれ通って、第1のリードスルー導体(40)及び第2のリードスルー導体(50)が、放電空間に配された一対の電極(6,7)まで延在し、
電気絶縁材料から成るランプベース(8)が、一対の電極への第1の電流路及び第2の電流路をそれぞれ同時に形成する、第1のリードスルー導体との溶接部(41)をもつ第1の電流供給導体(4)と、第2のリードスルー導体に電気的に接続される第2の電流供給導体(5)とを介して放電容器を支持し、
ランプベースは、外側バルブも支持し、
外側バルブは、第1の電流供給導体及び第2の電流供給導体を囲み、
外側バルブは、ランプベースに気密に接続され、
ランプベースは、第1の電流供給導体及び第2の電流供給導体のそれぞれに電気的に接続される第1の接触部材(14)及び第2の接触部材(15)を備える、
高圧放電ランプがもたらされる。
【0010】
有利な実施形態では、第1の電流供給導体及び第1のリードスルー導体から成る第1の電流路が、
第1のリードスルーから長手方向軸に沿ってランプベースに向かって延在する第1のセクション(A)と、
長手方向軸に対して実効的に横方向に曲げられて延在する第2のセクション(B)と、
第1の接触部材に向かって延在する第3のセクション(C)と、
を備える。
【0011】
好ましくは、第1の電流路の第2のセクションが、2つのU字湾曲部(UB1,UB2)を有する。好ましくは、各々のU字湾曲部が、相互に異なる平面にある。他の実施形態では、2つのU字湾曲部が、中間部(BS)、例えば、直線部によって隔てられる。代替例として、2つのU字湾曲部は、へリックス(helix,らせん)の一部を形成する。U字湾曲部に対して相互に異なる平面を使用することによって、ランプ構造の更なる小型化が促進される。
【0012】
本発明によるランプの他の好ましい実施形態では、第1のリードスルー導体との第1の電流供給導体の溶接部が、第1の電流路の第3のセクションにある。その場合、電流路の形成は、セラミック壁材料と合う熱膨張係数をもつように選択されるリードスルー導体によって実質的には行なわれる。ニオブ(Nb),モリブデン(Mo)及びジルコニウム(Zr)のような適切な材料は、更に、適度な延性から高度な延性を有し、このことは、上記の形成にとって有利であり、また、リードスルー導体と電流供給導体との間の熱膨張の差を吸収するのにも有利である。
【0013】
第1のリードスルー導体との第1の電流供給導体の溶接部は、好ましくは、突き合わせ溶接部である。突き合わせ溶接部をもつ構造の特別な利点は、突き合わせ溶接部が、空気のような酸化雰囲気において形成されるのに適していることである。それゆえ、ランプ製造は、ランプベースのプレートに放電容器を取り付けるプロセス中に特別に制御された雰囲気をもつ必要性がないので、比較的簡単なままであることが可能である。
【0014】
一般にリードスルーでは、リードスルー導体が、ある長さ分だけ導体表面にわたって延伸する傾向があるシーリングフリットによって放電容器壁にシールされる。第1の電流路の第1のセクションが、少なくとも1ミリメートル、好ましくは約2ミリメートルの長さをもつように選択することによって、第2のセクションを形成する導体の湾曲部の位置は、シーリングフリットがないであろう。
【0015】
本発明は、図面を参照してより詳細に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1及び図2は、本発明による高圧放電ランプであって、
外側バルブ1内の放電容器11が長手方向軸22のまわりに配置される当該外側バルブ1と、放電容器11と、ランプベース8とを有する高圧放電ランプであって、
放電容器は、イオン化可能な封入物を含む放電空間13を気密に囲み、
放電容器は、第1及び第2のリードスルーを有する第1の互いに対向する部分2及び第2の互いに対向する部分3を備え、これらの第1及び第2の互いに対向する部分をそれぞれ通って、第1のリードスルー導体40及び第2のリードスルー導体50が、放電空間に配された一対の電極6,7まで延在し、
電気絶縁材料から成るランプベース8が、一対の電極への第1の電流路及び第2の電流路をそれぞれ同時に形成する、第1のリードスルー導体との溶接部41をもつ第1の電流供給導体4と、第2のリードスルー導体に電気的に接続される第2の電流供給導体5とを介して放電容器を支持し、
ランプベースは、外側バルブも支持し、
外側バルブは、第1の電流供給導体及び第2の電流供給導体を囲み、
外側バルブは、ランプベースに気密に接続され、
ランプベースは、第1の電流供給導体及び第2の電流供給導体のそれぞれに電気的に接続される第1の接触部材14及び第2の接触部材15を備える、
高圧放電ランプを示す。
【0017】
図示の実施形態において、第1のリードスルー導体及び第2のリードスルー導体が通る放電容器の互いに対向する側の部分はネック形状であり、この箇所は、ランプ動作中に比較的涼しく保たれる位置でセラミック材料にリードスルー導体をシーリングすることによって形成されるリードスルーを好ましくはもつ。図示の実施形態では、リードスルー導体が、当技術分野においてよく知られるやり方でシーリングフリット(図示略)によって、放電空間から離れた側の各々のネック形状部の端部でセラミック製ネック形状部にシールされる。このようにして形成されたリードスルーは、放電容器の気密封止(hermetic sealing,ハーメチックシーリング)を形成する。代替のリードスルー構造は、当技術分野においてよく知られており、例えば、セラミック端部に気密焼結されるサーメットによって形成されるリードスルー構造などである。好ましくは、外側エンベロープ1を真空にするための排気管18が、ランプベース8に設けられる。このように、外側エンベロープ1は、放電容器11及び外側バルブ1がランプベース8に取り付けられた後に、真空にされることができる。代替の実施形態では、排気管18が、ランプベース8において、それぞれの接触部材に対する電流供給導体の1つのフィードスルー管を形成してもよい。
【0018】
図3では、第1の電流路を形成する電流供給導体構造の一部が、詳細に示される。第1の電流路は、
第1のリードスルーから長手方向軸22に沿ってランプベースに向かって延在する第1のセクションAと、
長手方向軸に対して実効的に横方向に曲げられて延在する第2のセクションBと、
第1の接触部材に向かって延在する第3のセクションCと、
をもつ。
【0019】
第1の電流路の第2のセクションBは、中間の直線部BSによって隔てられる2つのU字湾曲部(U-bends,U字管)UB1,UB2を有し、 各々のU字湾曲部が相互に異なる平面にある。図示の構造において、U字湾曲部UB1は長手方向軸22を通る平面にあり、U字湾曲部UB2は、U字湾曲部UB1が位置する平面を実質的に横切る平面にある。
【0020】
図示の実施形態では、第1の電流路の第1のセクションA、第2のセクションB及び第3のセクションCは、リードスルー導体40によって形成される。第3のセクションCは、突き合わせ溶接部(butt-weld)41で電流供給導体4に溶接される。
【0021】
リードスルー導体として使用するのに適している材料は、ニオブ(Nb)である。ニオブは、セラミックの熱膨張率にほぼ一致し、高い延性度をもち、このことは、一方では、電流路の一部としての必要な湾曲が簡単に実施され、他方では、電流供給導体と放電管との間の熱膨張の差を吸収するための大きい吸収容量をもつという利点をもたらす。
【0022】
図面で説明されたランプの実際の実施形態は、22ワット(W)の公称電力をもち、安定動作時に約70ルーメン/ワット(lm/W)の発光効率と共に約3000ケルビン(K)の色温度をもつ光を生成する。放電容器の封入物は、2.2ミリグラム(mg)の水銀(Hg)と、モルパーセント比(mol %)で85%のナトリウム(Na),9%のタリウム(Tl),2%のジスプロシウム(Dy),2%のホルミウム(Ho)及び2%のツリウム(Tm)から成る5.5ミリグラムのヨウ化塩と、を含有する。
【0023】
ランプの長手方向軸に沿って測定されたランプベース及び外側バルブの全体の長さは、44ミリメートル(mm)である。外側バルブの最大直径は、17ミリメートルである。ネック形状部を含む放電容器の長さは、28ミリメートルである。放電空間は、4.6ミリメートルの内径をもつ。第1のリードスルー導体のうち、第1のリードスルーから長手方向軸に沿ってランプベースに向かって延在する第1のセクションAは、約2ミリメートルの長さをもつ。
【0024】
本発明によるランプの代替の実施形態では、リードスルーを組み込む放電容器の端部が、放電空間を閉じるセラミックディスクから構成される。
【0025】
図示の実施形態の放電空間の形状は、円筒状である。しかし、例えば、球状、先細り形状及びそれらの組み合わせのような任意の他の形状でも、本発明によるランプの用途に適している。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による高圧放電ランプを概略的に示す図である。
【図2】図1に示されるランプの断面図である。
【図3】図1のランプの電流供給導体構造の一部を詳細に示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側バルブ内の放電容器が長手方向軸のまわりに配置される当該外側バルブと、前記放電容器と、ランプベースとを有する高圧放電ランプであって、
前記放電容器は、イオン化可能な封入物を具備する放電空間を気密に囲み、
前記放電容器は、第1及び第2のリードスルーを形成する第1及び第2の互いに対向する部分を備え、前記第1及び第2の互いに対向する部分をそれぞれ通って、第1のリードスルー導体及び第2のリードスルー導体が、前記放電空間に配された一対の電極まで延在し、
電気絶縁材料から成る前記ランプベースが、前記一対の電極への第1の電流路及び第2の電流路を個々に形成する、前記第1のリードスルー導体との溶接部をもつ第1の電流供給導体と、前記第2のリードスルー導体に電気的に接続される第2の電流供給導体とを介して前記放電容器を支持し、
前記ランプベースは、前記外側バルブも支持し、
前記外側バルブは、前記第1の電流供給導体及び前記第2の電流供給導体を囲み、
前記外側バルブは、前記ランプベースに気密に接続され、
前記ランプベースは、前記第1の電流供給導体及び前記第2の電流供給導体の個々に電気的に接続される第1の接触部材及び第2の接触部材を備える、
高圧放電ランプ。
【請求項2】
前記第1の電流路が、
前記第1のリードスルーから前記長手方向軸に沿って前記ランプベースに向かって延在する第1のセクションと、
前記長手方向軸に対して実効的に横方向に曲げられて延在する第2のセクションと、
前記第1の接触部材に向かって延在する第3のセクションと、
をもつ、請求項1に記載の高圧放電ランプ。
【請求項3】
前記第1の電流路の前記第2のセクションが、2つのU字湾曲部を有する、請求項2に記載の高圧放電ランプ。
【請求項4】
前記U字湾曲部の各々が、相互に異なる平面にある、請求項3に記載の高圧放電ランプ。
【請求項5】
前記2つのU字湾曲部が、中間部によって隔てられる、請求項3又は4に記載の高圧放電ランプ。
【請求項6】
前記中間部が直線部である、請求項5に記載の高圧放電ランプ。
【請求項7】
前記第1のリードスルー導体との前記第1の電流供給導体の前記溶接部が、前記第1の電流路の前記第3のセクションにある、請求項2,3,4,5又は6に記載の高圧放電ランプ。
【請求項8】
前記第1のリードスルー導体との前記第1の電流供給導体の前記溶接部が、突き合わせ溶接部である、請求項1,2,3,4,5,6又は7に記載の高圧放電ランプ。
【請求項9】
前記第1のセクションが、少なくとも1ミリメートル、好ましくは約2ミリメートルの長さをもつ、請求項2,3,4,5,6,7又は8に記載の高圧放電ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−511038(P2007−511038A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530959(P2006−530959)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051938
【国際公開番号】WO2005/033802
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】