放電灯及びその製造方法
【課題】放電灯のマウント部の製造工程で一対のリード線の相互の干渉を防ぐと共に、一対のリード線間のショートによる短絡の発生を防止する。
【解決手段】ガラス管6の端部に設けられたマウント部7は、フィラメント12を支持する一対のリード線11と、ガラス管6内部を排気するための排気管14と、排気管14の外周を覆って形成されリード線11を支持するフレアステム13と、フレアステム13の内周と排気管14の外周との間に設けられリード線11の位置を規制するリード規制部材15とを有する。そして、リード規制部材15は、絶縁材料によって筒状に形成され、排気管14の外周とリード規制部材15の内周との間に、一対のリード線11を分離させる2つの空間17を構成する。
【解決手段】ガラス管6の端部に設けられたマウント部7は、フィラメント12を支持する一対のリード線11と、ガラス管6内部を排気するための排気管14と、排気管14の外周を覆って形成されリード線11を支持するフレアステム13と、フレアステム13の内周と排気管14の外周との間に設けられリード線11の位置を規制するリード規制部材15とを有する。そして、リード規制部材15は、絶縁材料によって筒状に形成され、排気管14の外周とリード規制部材15の内周との間に、一対のリード線11を分離させる2つの空間17を構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば蛍光灯や水銀灯等の放電灯及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光灯は、内面の蛍光体が塗布されたガラス管の両端部に、フィラメントを支持する一対のリード線を有するマウント部がそれぞれ設けられている。図10に示すように、一般的なマウント部107は、一対のリード線111を支持するフレアステム113と、このフレアステム113の内周部に配置されガラス管106の内部を排気するための排気管114とを有している。
【0003】
以上のように構成された蛍光灯では、一対のリード線111を介してフィラメントに通電されることによって、フィラメントで加熱された電子放出物質が熱電子を放出し、熱電子がガラス管106内の水銀と衝突して紫外線を発生させ、この紫外線が蛍光体を励起し可視光を発生する。
【0004】
また、本発明に関連する蛍光灯としては、ガラス管の両端部の一方のマウント部における、ガラス管の長さ方向に対するフレアステムの高さ寸法が、他方のマウント部のフレアステムの高さ寸法よりも大きく形成されることで、蛍光灯の周囲温度の上昇に伴う効率の低下の改善が図られた、いわゆるハイマウント方式が採られた構成が開示されている(例えば特許文献1参照)。また、この種の蛍光灯が装着される照明器具は、蛍光灯に供給する電流を安定させるための電子式安定器、いわゆるインバータを備えている。
【特許文献1】特開2006−100253号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したハイマウント方式の蛍光灯は、他方のマウント部よりもフレアステムの高さ寸法が大きくされた一方のマウント部、つまりハイマウント部側のリード線が比較的長くなってしまう。このため、マウント部の製造工程では、図11に示すように、一対のリード線111における外部に引き出される側の端部(以下、外部リード線と称する)が互いに干渉し、短絡してしまうおそれがある。
【0006】
このように外部リード線が短絡した場合、蛍光灯では、リード線によるフィラメントへの通電が正常に行われなくなり、過電流が電子式安定器のトランジスタ等に流れることになる。電子式安定器は、電力損失が少なく蛍光灯のチラツキを抑えることができる等の利点が多い反面、電流供給能力が高い。このため、蛍光灯の口金に設けられた端子とフィラメントとを連結する一対のリード線間で短絡が発生した場合に、過電流が電子式安定器のトランジスタ等に流れることで異常に過熱させる問題がある。
【0007】
また、特に円環状の蛍光灯の場合には、照明器具に装着するときに、端子が配置されている口金をガラス管の管軸周りに回転させながら、口金の端子と照明器具側のソケットとを電気的に接続させている。このため、外部リード線は、口金を回転させるときに必要な遊び分の長さを余分に有している。したがって、照明器具に蛍光灯を装着する際に、一対の外部リード線が互いに干渉して短絡するおそれがあり、このような短絡の発生を防ぐことが求められている。
【0008】
そこで、本発明は、上述した課題を解決し、放電灯のマウント部の製造工程で一対のリード線の相互の干渉を防ぐと共に、一対のリード線間のショートによる短絡の発生を防止することができる放電灯及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するため、本発明に係る放電灯は、放電管と、放電管の端部に設けられたマウント部と、を備える。また、マウント部は、フィラメントを支持する一対のリード線と、放電管内部を排気するための排気管と、排気管の外周を覆って形成されリード線を支持するステムと、ステムの内周と排気管の外周との間に設けられリード線の位置を規制するリード規制部材とを有する。そして、リード規制部材は、絶縁材料によって筒状に形成され、排気管の外周とリード規制部材の内周との間に、一対のリード線を分離させる2つの空間を構成する。
【0010】
また、本発明に係る放電灯の製造方法は、放電管と、放電管の端部に設けられたマウント部とを備え、マウント部は、フィラメントを支持する一対のリード線と、放電管内部を排気するための排気管と、排気管の外周を覆って形成されリード線を支持するステムとを有する放電灯の製造方法であって、
マウント部のステムの内周と排気管の外周との間に、絶縁材料によって筒状に形成されリード線の位置を規制するリード規制部材を、排気管の外周とリード規制部材の内周との間に一対のリード線を分離させる2つの空間を構成するように取り付ける工程を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、リード規制部材によってリード線の引き回し範囲を制限することによって、放電灯のマウント部の製造工程で一対のリード線の相互の干渉を防ぐと共に、一対のリード線間のショートによる短絡の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1及び図2に示すように、実施形態の蛍光灯1は、内周部に蛍光体(不図示)が設けられた放電管としてのガラス管6と、電極を構成するマウント部7と、電極に電力を供給するための端子9を有する口金8とを備えており、高周波点灯専用の蛍光灯として構成されている。
【0014】
ガラス管6は、円環状に構成されており、管径が14mm〜18mm程度に形成されている。
【0015】
マウント部7は、ガラス管6の両端部にそれぞれ設けられている。このマウント部7は、図3及び図4に示すように、電極としてのフィラメント12を支持する一対のリード線11と、ガラス管6内部を排気するための排気管14と、この排気管14の外周を覆って形成されリード線11を支持するフレアステム13と有している。そして、マウント部7には、フレアステム13の内周と排気管14の外周との間に、一対のリード線11の位置を規制するリード規制部材15が設けられている。
【0016】
図5に示すように、リード規制部材15は、絶縁材料によって断面楕円形をなす筒状に形成され、短径が円筒状の排気管14の外径とほぼ等しく形成されている。厳密には、リード規制部材15の内周部に排気管14が円滑に挿入可能にするように、リード規制部材15の短径が排気管14の外径よりもやや大きく形成されている。なお、本実施形態におけるリード規制部材15は、ガラス材によって形成されているが、他のセラミックによって形成されてもよい。
【0017】
リード規制部材15は、図4に示すように、排気管14の外周とリード規制部材15の長径方向の内周との間に、一対のリード線11を分離させる2つの空間17を構成している。一対のリード線11は、これら空間17内に収容されて移動範囲が規制されることで、排気管14を間に挟んで対向する位置に互いに平行な状態に保持されるので、リード線11間のショートによる短絡が防止されている。
【0018】
また、本実施形態の蛍光灯1において、ガラス管6の一方の端部側のマウント部7は、ガラス管6の長さ方向に対するフレアステム13の高さが、他方の端部側のマウント部7のフレアステム13の高さよりも大きく形成されており、いわゆるハイマウント方式が採用されている。すなわち、本実施形態の蛍光灯1は、一端側にハイマウント部が構成され、他端側にローマウント部が構成されており、一対のリード線11の長さが比較的長いハイマウント部に、リード規制部材15が設けられている。なお、本実施形態では、ハイマウント部のフレアステム13の高さが30mm以上に形成されており、ローマウント部のフレアステム13の高さが19mm以下に形成されている。
【0019】
口金8の内部には、各マウント部7から一対のリード線11が引き出され、これら一対のリード線11の端部が端子9に電気的に接続されている。口金8は、ガラス管6の両端部を連結するように設けられており、ガラス管6の管軸周りに遊動可能にガラス管6に支持されている。口金8がガラス管6の管軸周りに遊動可能に構成されているため、リード線11は、長さ寸法に対して所定の遊び量が確保されている。
【0020】
以上のように構成された実施形態の蛍光灯1は、一対のリード線11を介してフィラメント12に通電されることによって、各マウント部7のフィラメント12で加熱された電子放出物質が熱電子を放出し、熱電子がガラス管6内の水銀と衝突して紫外線を発生させ、この紫外線が蛍光体を励起し可視光を発生する。
【0021】
次に、実施形態の蛍光灯1の製造方法について、マウント部7の製造工程を説明する。
【0022】
実施形態の蛍光灯1の製造方法では、図6(a)に示すように、一対のリード線11を支持するフレアステム13の内周部に、排気管14を挿入して接合することで、ハイマウント部及びローマウント部である各マウント部7を組み立てる。続いて、蛍光体1の製造方法では、図6(b)及び図6(c)に示すように、ハイマウント部のフレアステム13の内周と排気管14の外周との間にリード規制部材15を挿入し、このリード規制部材15を、排気管14の外周とリード規制部材15の長径方向の内周との間に一対のリード線11を分離させる2つの空間17を構成するように取り付ける。これによって、一対のリード線11は、2つの空間17内に収容され、互いに平行な状態で分離される。
【0023】
そして、リード規制部材15が設けられたマウント部7、及び他方のマウント部7は、図7に示すように、ガラス管6の各端部にそれぞれ封着される。次に、各マウント部7のリード線11は口金8の端子9に電気的に接続され、ガラス管6の各端部を覆うように口金8が取り付けられる。
【0024】
上述したように、実施形態の蛍光灯1によれば、筒状のリード規制部材15を備えることによって、蛍光灯1のマウント部7の製造工程で、一対のリード線11の相互の干渉を防ぐと共に、リード規制部材15によってリード線11の引き回し範囲を制限することによって、リード線11のショートによる短絡の発生を防止することができる。
【0025】
また、本実施形態のように、特に円環状の蛍光灯1の場合には、照明器具(不図示)に蛍光灯1を装着するときに口金8の端子9の位置をガラス管6の管軸周りに調整するためにリード線11の長さの遊び量が比較的大きく確保されている。このため、リード規制部材15によって一対のリード線11の位置を規制する効果が大きく、照明器具に円環状の蛍光灯1を装着する際にマウント部7のリード線11間で短絡が生じることを防止することができる。
【0026】
上述した実施形態では、楕円形をなす筒状のリード規制部材15が用いられたが、排気管の外周とリード規制部材の内周との間に、一対のリード線を分離させる2つの空間を形成する形状であれば、リード規制部材が他の形状をなす筒状に形成されてもよい。
【0027】
例えば図8に示すように、リード規制部材25は、排気管14に外接するような平行四辺形をなす筒状に形成されてもよい。このリード規制部材25によっても、上述のリード規制部材15と同様に、排気管14の外周とリード規制部材15の内周との間に構成された2つの空間27内に各リード線11を収容することで、一対のリード線11間のショートを防ぐことができる。
【0028】
また、例えば図9に示すように、リード規制部材35は、内径が排気管14の外径よりもやや大きい円形状に形成されており、一対のリード線11をそれぞれ分離して保持する凹部37が対向する位置に形成されている。このリード規制部材35によっても、上述のリード規制部材15と同様に、2つの凹部37内に各リード線11を収容することで、一対のリード線11間のショートを防ぐことができる。
【0029】
なお、本発明に係る放電灯は、上述した実施形態の蛍光灯に適用されたが、蛍光灯に限定されるものではなく、例えば冷陰極放電灯や水銀灯等の他の放電灯に適用されて好適である。
【0030】
また、本発明に係る放電灯は、上述した円環状の蛍光灯に適用されたが、例えば直管状の放電灯や、直管の長さ方向の中途部で折り返された形状の放電灯等に適用されてもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施形態の蛍光灯を示す平面図である。
【図2】前記蛍光灯のマウント部を示す縦断面図である。
【図3】前記マウント部を拡大して示す縦断面図である。
【図4】前記マウント部を拡大して示す横断面図である。
【図5】リード規制部材を示す図である。
【図6】マウント部の製造工程を説明するための側面図である。
【図7】ガラス管とマウント部の封着工程を示す側面図である。
【図8】他のリード規制部材を示す横断面図である。
【図9】更に他のリード規制部材を示す横断面図である。
【図10】本発明に関連する蛍光灯のマウント部を示す横断面図である。
【図11】本発明に関連する蛍光灯のマウント部におけるリード線間のショートを示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 蛍光灯
6 ガラス管
7 マウント部
11 リード線
12 フィラメント
13 フレアステム
14 排気管
15 リード規制部材
17 空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば蛍光灯や水銀灯等の放電灯及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光灯は、内面の蛍光体が塗布されたガラス管の両端部に、フィラメントを支持する一対のリード線を有するマウント部がそれぞれ設けられている。図10に示すように、一般的なマウント部107は、一対のリード線111を支持するフレアステム113と、このフレアステム113の内周部に配置されガラス管106の内部を排気するための排気管114とを有している。
【0003】
以上のように構成された蛍光灯では、一対のリード線111を介してフィラメントに通電されることによって、フィラメントで加熱された電子放出物質が熱電子を放出し、熱電子がガラス管106内の水銀と衝突して紫外線を発生させ、この紫外線が蛍光体を励起し可視光を発生する。
【0004】
また、本発明に関連する蛍光灯としては、ガラス管の両端部の一方のマウント部における、ガラス管の長さ方向に対するフレアステムの高さ寸法が、他方のマウント部のフレアステムの高さ寸法よりも大きく形成されることで、蛍光灯の周囲温度の上昇に伴う効率の低下の改善が図られた、いわゆるハイマウント方式が採られた構成が開示されている(例えば特許文献1参照)。また、この種の蛍光灯が装着される照明器具は、蛍光灯に供給する電流を安定させるための電子式安定器、いわゆるインバータを備えている。
【特許文献1】特開2006−100253号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したハイマウント方式の蛍光灯は、他方のマウント部よりもフレアステムの高さ寸法が大きくされた一方のマウント部、つまりハイマウント部側のリード線が比較的長くなってしまう。このため、マウント部の製造工程では、図11に示すように、一対のリード線111における外部に引き出される側の端部(以下、外部リード線と称する)が互いに干渉し、短絡してしまうおそれがある。
【0006】
このように外部リード線が短絡した場合、蛍光灯では、リード線によるフィラメントへの通電が正常に行われなくなり、過電流が電子式安定器のトランジスタ等に流れることになる。電子式安定器は、電力損失が少なく蛍光灯のチラツキを抑えることができる等の利点が多い反面、電流供給能力が高い。このため、蛍光灯の口金に設けられた端子とフィラメントとを連結する一対のリード線間で短絡が発生した場合に、過電流が電子式安定器のトランジスタ等に流れることで異常に過熱させる問題がある。
【0007】
また、特に円環状の蛍光灯の場合には、照明器具に装着するときに、端子が配置されている口金をガラス管の管軸周りに回転させながら、口金の端子と照明器具側のソケットとを電気的に接続させている。このため、外部リード線は、口金を回転させるときに必要な遊び分の長さを余分に有している。したがって、照明器具に蛍光灯を装着する際に、一対の外部リード線が互いに干渉して短絡するおそれがあり、このような短絡の発生を防ぐことが求められている。
【0008】
そこで、本発明は、上述した課題を解決し、放電灯のマウント部の製造工程で一対のリード線の相互の干渉を防ぐと共に、一対のリード線間のショートによる短絡の発生を防止することができる放電灯及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するため、本発明に係る放電灯は、放電管と、放電管の端部に設けられたマウント部と、を備える。また、マウント部は、フィラメントを支持する一対のリード線と、放電管内部を排気するための排気管と、排気管の外周を覆って形成されリード線を支持するステムと、ステムの内周と排気管の外周との間に設けられリード線の位置を規制するリード規制部材とを有する。そして、リード規制部材は、絶縁材料によって筒状に形成され、排気管の外周とリード規制部材の内周との間に、一対のリード線を分離させる2つの空間を構成する。
【0010】
また、本発明に係る放電灯の製造方法は、放電管と、放電管の端部に設けられたマウント部とを備え、マウント部は、フィラメントを支持する一対のリード線と、放電管内部を排気するための排気管と、排気管の外周を覆って形成されリード線を支持するステムとを有する放電灯の製造方法であって、
マウント部のステムの内周と排気管の外周との間に、絶縁材料によって筒状に形成されリード線の位置を規制するリード規制部材を、排気管の外周とリード規制部材の内周との間に一対のリード線を分離させる2つの空間を構成するように取り付ける工程を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、リード規制部材によってリード線の引き回し範囲を制限することによって、放電灯のマウント部の製造工程で一対のリード線の相互の干渉を防ぐと共に、一対のリード線間のショートによる短絡の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1及び図2に示すように、実施形態の蛍光灯1は、内周部に蛍光体(不図示)が設けられた放電管としてのガラス管6と、電極を構成するマウント部7と、電極に電力を供給するための端子9を有する口金8とを備えており、高周波点灯専用の蛍光灯として構成されている。
【0014】
ガラス管6は、円環状に構成されており、管径が14mm〜18mm程度に形成されている。
【0015】
マウント部7は、ガラス管6の両端部にそれぞれ設けられている。このマウント部7は、図3及び図4に示すように、電極としてのフィラメント12を支持する一対のリード線11と、ガラス管6内部を排気するための排気管14と、この排気管14の外周を覆って形成されリード線11を支持するフレアステム13と有している。そして、マウント部7には、フレアステム13の内周と排気管14の外周との間に、一対のリード線11の位置を規制するリード規制部材15が設けられている。
【0016】
図5に示すように、リード規制部材15は、絶縁材料によって断面楕円形をなす筒状に形成され、短径が円筒状の排気管14の外径とほぼ等しく形成されている。厳密には、リード規制部材15の内周部に排気管14が円滑に挿入可能にするように、リード規制部材15の短径が排気管14の外径よりもやや大きく形成されている。なお、本実施形態におけるリード規制部材15は、ガラス材によって形成されているが、他のセラミックによって形成されてもよい。
【0017】
リード規制部材15は、図4に示すように、排気管14の外周とリード規制部材15の長径方向の内周との間に、一対のリード線11を分離させる2つの空間17を構成している。一対のリード線11は、これら空間17内に収容されて移動範囲が規制されることで、排気管14を間に挟んで対向する位置に互いに平行な状態に保持されるので、リード線11間のショートによる短絡が防止されている。
【0018】
また、本実施形態の蛍光灯1において、ガラス管6の一方の端部側のマウント部7は、ガラス管6の長さ方向に対するフレアステム13の高さが、他方の端部側のマウント部7のフレアステム13の高さよりも大きく形成されており、いわゆるハイマウント方式が採用されている。すなわち、本実施形態の蛍光灯1は、一端側にハイマウント部が構成され、他端側にローマウント部が構成されており、一対のリード線11の長さが比較的長いハイマウント部に、リード規制部材15が設けられている。なお、本実施形態では、ハイマウント部のフレアステム13の高さが30mm以上に形成されており、ローマウント部のフレアステム13の高さが19mm以下に形成されている。
【0019】
口金8の内部には、各マウント部7から一対のリード線11が引き出され、これら一対のリード線11の端部が端子9に電気的に接続されている。口金8は、ガラス管6の両端部を連結するように設けられており、ガラス管6の管軸周りに遊動可能にガラス管6に支持されている。口金8がガラス管6の管軸周りに遊動可能に構成されているため、リード線11は、長さ寸法に対して所定の遊び量が確保されている。
【0020】
以上のように構成された実施形態の蛍光灯1は、一対のリード線11を介してフィラメント12に通電されることによって、各マウント部7のフィラメント12で加熱された電子放出物質が熱電子を放出し、熱電子がガラス管6内の水銀と衝突して紫外線を発生させ、この紫外線が蛍光体を励起し可視光を発生する。
【0021】
次に、実施形態の蛍光灯1の製造方法について、マウント部7の製造工程を説明する。
【0022】
実施形態の蛍光灯1の製造方法では、図6(a)に示すように、一対のリード線11を支持するフレアステム13の内周部に、排気管14を挿入して接合することで、ハイマウント部及びローマウント部である各マウント部7を組み立てる。続いて、蛍光体1の製造方法では、図6(b)及び図6(c)に示すように、ハイマウント部のフレアステム13の内周と排気管14の外周との間にリード規制部材15を挿入し、このリード規制部材15を、排気管14の外周とリード規制部材15の長径方向の内周との間に一対のリード線11を分離させる2つの空間17を構成するように取り付ける。これによって、一対のリード線11は、2つの空間17内に収容され、互いに平行な状態で分離される。
【0023】
そして、リード規制部材15が設けられたマウント部7、及び他方のマウント部7は、図7に示すように、ガラス管6の各端部にそれぞれ封着される。次に、各マウント部7のリード線11は口金8の端子9に電気的に接続され、ガラス管6の各端部を覆うように口金8が取り付けられる。
【0024】
上述したように、実施形態の蛍光灯1によれば、筒状のリード規制部材15を備えることによって、蛍光灯1のマウント部7の製造工程で、一対のリード線11の相互の干渉を防ぐと共に、リード規制部材15によってリード線11の引き回し範囲を制限することによって、リード線11のショートによる短絡の発生を防止することができる。
【0025】
また、本実施形態のように、特に円環状の蛍光灯1の場合には、照明器具(不図示)に蛍光灯1を装着するときに口金8の端子9の位置をガラス管6の管軸周りに調整するためにリード線11の長さの遊び量が比較的大きく確保されている。このため、リード規制部材15によって一対のリード線11の位置を規制する効果が大きく、照明器具に円環状の蛍光灯1を装着する際にマウント部7のリード線11間で短絡が生じることを防止することができる。
【0026】
上述した実施形態では、楕円形をなす筒状のリード規制部材15が用いられたが、排気管の外周とリード規制部材の内周との間に、一対のリード線を分離させる2つの空間を形成する形状であれば、リード規制部材が他の形状をなす筒状に形成されてもよい。
【0027】
例えば図8に示すように、リード規制部材25は、排気管14に外接するような平行四辺形をなす筒状に形成されてもよい。このリード規制部材25によっても、上述のリード規制部材15と同様に、排気管14の外周とリード規制部材15の内周との間に構成された2つの空間27内に各リード線11を収容することで、一対のリード線11間のショートを防ぐことができる。
【0028】
また、例えば図9に示すように、リード規制部材35は、内径が排気管14の外径よりもやや大きい円形状に形成されており、一対のリード線11をそれぞれ分離して保持する凹部37が対向する位置に形成されている。このリード規制部材35によっても、上述のリード規制部材15と同様に、2つの凹部37内に各リード線11を収容することで、一対のリード線11間のショートを防ぐことができる。
【0029】
なお、本発明に係る放電灯は、上述した実施形態の蛍光灯に適用されたが、蛍光灯に限定されるものではなく、例えば冷陰極放電灯や水銀灯等の他の放電灯に適用されて好適である。
【0030】
また、本発明に係る放電灯は、上述した円環状の蛍光灯に適用されたが、例えば直管状の放電灯や、直管の長さ方向の中途部で折り返された形状の放電灯等に適用されてもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施形態の蛍光灯を示す平面図である。
【図2】前記蛍光灯のマウント部を示す縦断面図である。
【図3】前記マウント部を拡大して示す縦断面図である。
【図4】前記マウント部を拡大して示す横断面図である。
【図5】リード規制部材を示す図である。
【図6】マウント部の製造工程を説明するための側面図である。
【図7】ガラス管とマウント部の封着工程を示す側面図である。
【図8】他のリード規制部材を示す横断面図である。
【図9】更に他のリード規制部材を示す横断面図である。
【図10】本発明に関連する蛍光灯のマウント部を示す横断面図である。
【図11】本発明に関連する蛍光灯のマウント部におけるリード線間のショートを示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 蛍光灯
6 ガラス管
7 マウント部
11 リード線
12 フィラメント
13 フレアステム
14 排気管
15 リード規制部材
17 空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電管と、前記放電管の端部に設けられたマウント部と、を備え、
前記マウント部は、フィラメントを支持する一対のリード線と、前記放電管内部を排気するための排気管と、前記排気管の外周を覆って形成され前記リード線を支持するステムと、前記ステムの内周と前記排気管の外周との間に設けられ前記リード線の位置を規制するリード規制部材とを有し、
前記リード規制部材は、絶縁材料によって筒状に形成され、前記排気管の外周と前記リード規制部材の内周との間に、前記一対のリード線を分離させる2つの空間を構成している、放電灯。
【請求項2】
前記リード規制部材は、断面楕円形の筒状に形成されており、短径が円筒状の前記排気管の外径とほぼ等しく形成されている、請求項1に記載の放電灯。
【請求項3】
前記放電管の両端部の一方の前記マウント部は、前記放電管の長さ方向に対する前記ステムの高さが、他方の前記マウント部の前記ステムの高さよりも大きく形成され、前記一方の前記マウント部に前記リード規制部材が設けられている、請求項1または2に記載の放電灯。
【請求項4】
前記リード規制部材はセラミックからなる、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の放電灯。
【請求項5】
前記放電管は円環状に形成されている、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の放電灯。
【請求項6】
放電管と、前記放電管の端部に設けられたマウント部とを備え、前記マウント部は、フィラメントを支持する一対のリード線と、前記放電管内部を排気するための排気管と、前記排気管の外周を覆って形成され前記リード線を支持するステムとを有する放電灯の製造方法であって、
前記マウント部の前記ステムの内周と前記排気管の外周との間に、絶縁材料によって筒状に形成され前記リード線の位置を規制するリード規制部材を、前記排気管の外周と前記リード規制部材の内周との間に前記一対のリード線を分離させる2つの空間を構成するように取り付ける工程を有する、放電灯の製造方法。
【請求項1】
放電管と、前記放電管の端部に設けられたマウント部と、を備え、
前記マウント部は、フィラメントを支持する一対のリード線と、前記放電管内部を排気するための排気管と、前記排気管の外周を覆って形成され前記リード線を支持するステムと、前記ステムの内周と前記排気管の外周との間に設けられ前記リード線の位置を規制するリード規制部材とを有し、
前記リード規制部材は、絶縁材料によって筒状に形成され、前記排気管の外周と前記リード規制部材の内周との間に、前記一対のリード線を分離させる2つの空間を構成している、放電灯。
【請求項2】
前記リード規制部材は、断面楕円形の筒状に形成されており、短径が円筒状の前記排気管の外径とほぼ等しく形成されている、請求項1に記載の放電灯。
【請求項3】
前記放電管の両端部の一方の前記マウント部は、前記放電管の長さ方向に対する前記ステムの高さが、他方の前記マウント部の前記ステムの高さよりも大きく形成され、前記一方の前記マウント部に前記リード規制部材が設けられている、請求項1または2に記載の放電灯。
【請求項4】
前記リード規制部材はセラミックからなる、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の放電灯。
【請求項5】
前記放電管は円環状に形成されている、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の放電灯。
【請求項6】
放電管と、前記放電管の端部に設けられたマウント部とを備え、前記マウント部は、フィラメントを支持する一対のリード線と、前記放電管内部を排気するための排気管と、前記排気管の外周を覆って形成され前記リード線を支持するステムとを有する放電灯の製造方法であって、
前記マウント部の前記ステムの内周と前記排気管の外周との間に、絶縁材料によって筒状に形成され前記リード線の位置を規制するリード規制部材を、前記排気管の外周と前記リード規制部材の内周との間に前記一対のリード線を分離させる2つの空間を構成するように取り付ける工程を有する、放電灯の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−129569(P2009−129569A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−300377(P2007−300377)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(300022353)NECライティング株式会社 (483)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(300022353)NECライティング株式会社 (483)
【Fターム(参考)】
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