説明

放電灯点灯装置

【課題】 コモンモードフィルタ2と接地用コンデンサ7で決まる直列共振周波数をインバータ形点灯回路3の動作周波数よりも小さくする。これにより不所望なノイズ帰還を防止する。
【解決手段】 交流電源1とその後段のコモンモードフィルタ2とその後段の高周波電圧を発生するインバータ形点灯回路3とを備える。前記高周波電圧を受ける放電灯4を備える。前記放電灯4とその光を反射する反射板6間に浮遊容量5が形成される。前記反射板3との間にその間の接地配線に基づくインダクタンス8が形成される。前記コモンモードフィルタ2の後段の配線と前記反射板6との間に接続される接地用コンデンサ7を備える。前記コモンモードフィルタ2と接地用コンデンサ7とによる直列共振周波数を前記インバータ形点灯回路3の動作周波数よりも小さくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高周波電圧を発生するインバータ形点灯回路の出力で放電灯を点灯させる放電灯点灯装置に関するものである。特にそのコモンモードノイズを外部に出力することを防止するものである。
【背景技術】
【0002】
交流電源後段のコモンモードフィルタと前記交流電源の一線と反射板との間に接続された接地用コンデンサが付属する放電灯点灯装置は周知である。そのような多くの製品事例が存在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明においては、コモンモードフィルタと接地用コンデンサで決まる直列共振周波数をインバータ形点灯回路の動作周波数よりも小さくする。これにより不所望なノイズ帰還を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明においては、交流電源とその後段のコモンモードフィルタとその後段の高周波電圧を発生するインバータ形点灯回路とを備える。前記高周波電圧を受ける放電灯を備える。前記放電灯とその光を反射する反射板間に浮遊容量が形成される。前記反射板との間にその間の接地配線に基づくインダクタンスが形成される。前記コモンモードフィルタの後段の配線と前記反射板との間に接続される接地用コンデンサを備える。前記コモンモードフィルタと接地用コンデンサとによる直列共振周波数を前記インバータ形点灯回路の動作周波数よりも小さくする。
【発明の効果】
【0005】
本発明においては、接地配線が長くなり、その間の接地配線に基づくインダクタンスが大きい場合であっても、コモンモードフィルタのインダクタンスおよび前記接地配線によるインダクタンス等に基づく実質の直列共振周波数がインバータ形点灯回路の動作周波数よりも乖離する傾向となり、直列共振の影響が相対的に軽微となるために、交流電源あるいは接地配線に基づくインダクタンスに帰還する動作周波数成分電圧の帰還が軽微となり、他機器の誤動作を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1を用いて本発明の実施形態について説明する。図1装置は、交流電源1とその後段のコモンモードフィルタ2とその後段の高周波電圧を発生するインバータ形点灯回路3とを備える。前記高周波電圧を受ける放電灯4を備える。前記放電灯4とその光を反射する反射板6間に浮遊容量5が形成される。前記反射板3との間にその間の接地配線に基づくインダクタンス8が形成される。前記コモンモードフィルタ2の後段の配線と前記反射板6との間に接続される接地用コンデンサ7を備える。前記コモンモードフィルタ2と接地用コンデンサ7とによる直列共振周波数を前記インバータ形点灯回路3の動作周波数よりも小さくする。
【0007】
説明を補足する。コモンモードフィルタ2は共通鉄心上に巻回された一対のコイルを具備し、夫々のコイルが交流電源1の各ラインに配置される。コモンモードフィルタ2はコモンモードのノイズをカットする。高周波電圧を発生するインバータ形点灯回路3の動作周波数の例は45kHzである。インバータ形点灯回路3は図外の全波整流回路、平滑用コンデンサ、インバータ、バラスト用インダクタ、予熱用コンデンサを具備する。放電灯4の例は蛍光ランプである。浮遊容量5は意図して接続するものではなく、必然的に形成されるものである。反射板6がない場合は本発明の対象にならない。接地配線に基づくインダクタンス8も意図して接続するものではなく、必然的に形成されるものである。特に建屋内に這わされる長い接地線の場合は相対的に大きなインダクタンス8となり、その影響が無視できなくなる。
【0008】
接地用コンデンサ7はインバータ形点灯回路3に付属する。その接続端は前記全波整流回路における一方の直流端子側であっても構わない。要はコモンモードフィルタ2後段の低周波側前記高周波電圧の電位が形成されない部位であればよい。接地用コンデンサ7の他端は反射板6に接続される。接地用コンデンサ7の他端および反射板6が接地配線に共に接続されるためである。反射板6が図外の器具本体と電気的に接続されている場合は反射板6に代えて前記器具本体を接地しても同効である。実用上は後者となることが多い。
【0009】
図2(a)は本発明実施例に係り、(b)は従来例に係る。横軸は周波数、縦軸は共振電圧である。共振電圧は接地配線に基づくインダクタンス8電圧である。従来例(b)ではコモンモードフィルタ2のインダクタンスとフィルタ用コンデンサ7の容量で決まる直列共振周波数f0がインバータ形点灯回路3の動作周波数f1よりも大きい。接地配線によるインダクタンス8とにより実質の直列共振周波数は前記F0よりも小さくなることがある。また、浮遊容量5によっても同様となる。接地配線によるインダクタンス8はコモンモードフィルタ2のインダクタンスに足し増しされ、浮遊容量5は接地用コンデンサ7の容量に足し増しされ、その分だけ実質の直列共振周波数は前記F0よりも小さくなる。
【0010】
これにより、実質の直列共振周波数が前記F0よりも小さくなり、動作周波数F1に近づくと、直列共振現象を生ずる。放電灯4電圧は動作周波数f1電圧であり、それが浮遊容量5に印加する。浮遊容量5はフィルタ用コンデンサ7と実質的に並列であり、その両端の動作周波数f1電圧が直列共振により増幅され、交流電源1配線に帰還する。同じ交流電源1に接続される図外の他機器とくに接地配線によるインダクタンス8を共用することとなる他機器に高周波ノイズが重畳し、他機器を誤動作させる。
【0011】
本発明に係る図2(a)の場合はコモンモードフィルタ2のインダクタンスと接地用コンデンサ7の容量で決まる直列共振周波数f0をインバータ形点灯回路3の動作周波数f1よりも小さくする。この場合は、接地配線によるインダクタンス8あるいは浮遊容量5の影響で実質の直列共振周波数は前記f0よりも小さくなり、動作周波数f1からさらに遠ざかる。このため、直列共振による影響は軽微となり、他機器に高周波ノイズが重畳せず、他機器を誤動作させることがない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発装置の回路図である。
【図2】その動作説明図である。
【符号の説明】
【0013】
1:交流電源
2:コモンモードフィルタ
3:インバータ形点灯回路
4:放電灯
5:浮遊容量
6:反射板
7:接地用コンデンサ
8:接地配線によるインダクタンス
9:対地アース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源(1)とその後段のコモンモードフィルタ(2)とその後段の高周波電圧を発生するインバータ形点灯回路(3)とを備え、前記高周波電圧を受ける放電灯(4)を備え、前記放電灯(4)とその光を反射する反射板(6)間に浮遊容量(5)が形成され、前記反射板(3)と対地アース(9)との間にその間の接地配線に基づくインダクタンス(8)が形成され、前記コモンモードフィルタ(2)の後段の配線と前記反射板(6)との間に接続される接地用コンデンサ(7)を備え、前記コモンモードフィルタ(2)と前記接地用コンデンサ(7)とによる直列共振周波数を前記インバータ形点灯回路(3)の動作周波数よりも小さくしたことを特徴とする放電灯点灯装置。

【図1】
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【図2】
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