説明

放電灯装置、光源装置及び液晶表示装置

【課題】点灯時の暗部位置を制御できる放電灯装置およびそれを用いた均斉度の高い光源装置を提供する。
【解決手段】複数の内部電極(21)と外部電極(22)との間に単一の点灯回路(13)より電圧を印加して点灯する放電灯装置(10)において、電圧変換手段(13F)により複数の内部電極(21)の各々に印加する電圧(V2、V3)を異ならせることで、発光管(20)の点灯時に生じる暗部の位置を所望の位置に制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電媒体が封入された発光管とその放電媒体を励起するための電極とを備える放電灯装置、およびそれを用いた光源装置、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶技術の発達と共にテレビやモニタ等の表示装置として液晶ディスプレイが一般的に普及している。液晶ディスプレイは、液晶の背面に平面状に発光する光源装置(以下「バックライト」という。)を配置し、このバックライトからの光を透過させて画面を表示する構造を有する。
【0003】
バックライトの主な光源として、水銀を用いた放電灯の研究に加え、水銀を用いずに希ガスを用いた放電灯を用いたバックライト(以下「水銀レスバックライト」という。)の研究がさかんに行われている。水銀レスバックライトは、水銀を使用しないことから、水銀温度の上昇に伴う発光効率の低下を招くことがないので光束の立ち上がりが早い。また、水銀レスバックライトは環境上好ましい。
【0004】
水銀レスバックライトは細管構造を有しており、発光輝度及び発光効率を高めることが必要なことから、発光管の内部と発光管の外部形成した電極間に電圧を印加させて点灯する構造の希ガスを用いた放電灯装置が研究されている。
【0005】
希ガスを用いた放電灯装置としては、図15に示すように、希ガスが封入された放電容器1と、その放電容器1の両端に封装された一対の内部電極2と、放電容器1外面の長手方向に沿って延在する外部電極3を有する放電ランプDLが開示されている(特許文献1参照)。この放電ランプは両端に封装された内部電極2と外部電極3との間に高周波電源6から電圧を印加させて放電ランプDLを点灯した際に発生するランプ中心部の暗部(以下「中心暗部」という。)を、外部電極の形状・面積を任意に変化させて緩和させ、配光分布を改善するものである。
【0006】
また、図16に示すように、希ガスが封入された発光管1と、発光管の外面に螺旋状にかつ互いに絶縁関係に形成された複数の外部電極7a、7bと、互いに絶縁関係に配置され、発光管1の内部に各々の外部電極7a、7bと対応するように形成された内部電極8a、8bとを備える希ガス放電灯が開示されている(特許文献2参照)。この放電灯装置は、複数の点灯回路9a、9bを用いて、複数の内部電極8a、8bおよび外部電極7a、7b間に電圧を印加し、それぞれ独立に放電させることで、輝度低下や短寿命を改善させるものである。
【0007】
【特許文献1】特開2000−40494号公報
【特許文献2】特開2001−313002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図15のような構成では中央暗部を少なくするためには、規定の電流密度に設計しなくてはならない。また、その場合でも中央暗部の度合いがある程度改善されるのみで、完全には中央暗部を無くすことができない。また、暗部が必ずランプ中央に位置するという問題があった。
【0009】
さらに、この放電ランプを複数本配置し、光源装置(バックライト)とした場合、ランプの中央暗部が集中するため、均一な発光が得られないという問題があった。
【0010】
また、図16に示すように、一つの発光管において電極および点灯回路を完全に分離して複数設けた場合、中央暗部は外部電極7a、7bの配置により決定できるが、点灯回路が一つの発光管に対して複数必要となるという問題がある。さらに、暗部の位置を変える場合は、新たに別の放電灯を製造する必要があり、工数が必要であった。
【0011】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、単一の点灯回路にて中央暗部の位置を制御可能な放電灯装置およびそれを用いた光源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る第1の光源装置は、対向して設けられた少なくとも2つの内部電極と、外部電極とを有し放電媒体が封入された複数の発光管と、複数の発光管からの光を入光して伝播させる導光板と、発光管の内部電極と外部電極に電圧を印加する電圧を生成する点灯回路と、点灯回路からの出力電圧を変換して各発光管の内部電極及び外部電極に印加する電圧変換手段とを備える。複数の発光管は並列して配置されている。電圧変換手段は、各発光管において、内部電極と外部電極には異極性の電圧を印加し、内部電極のそれぞれには同極性であってそれぞれ異なる大きさの電圧を印加する。電圧変換手段は、複数の発光管に生じる暗部の位置が散在して分布するように各発光管のそれぞれの内部電極に印加する電圧の差を制御する。
【0013】
本発明に係る第2の光源装置は、対向して設けられた少なくとも2つの内部電極と、外部電極とを有し放電媒体が封入された複数の発光管と、複数の発光管からの光を入光して伝播させる導光板と、発光管の内部電極と外部電極に電圧を印加する電圧を生成する点灯回路と、点灯回路からの出力電圧を変換して各発光管の内部電極及び外部電極に印加する電圧変換手段とを備える。発光管は曲折部を有し、曲折部が導光板の角部近傍に位置するように導光板横側に配置されている。電圧変換手段は、各発光管において、内部電極と外部電極には異極性の電圧を印加し、内部電極のそれぞれには同極性であってそれぞれ異なる大きさの電圧を印加し、発光管の暗部がその曲折部に生じるように発光管のそれぞれの内部電極に印加する電圧の差を制御する。
【0014】
上記光源装置において、電圧変換手段は、点灯回路と内部電極との間に直列に接続されるコンデンサを含んでもよい。
【0015】
また、上記光源装置において、少なくとも2つの内部電極は発光管の両端に設けられてもよい。
【0016】
また、上記光源装置において、外部電極は接地されていてもよい。
【0017】
本発明に係る液晶表示装置は、液晶パネルと、液晶パネルへ照明光を供給する上記の光源装置とを備える。
【0018】
本発明に係る放電灯装置は、対向して設けられた少なくとも2つの内部電極と、外部電極とを有し放電媒体が封入された発光管と、発光管の内部電極と外部電極に電圧を印加する電圧を生成する点灯回路と、点灯回路からの出力電圧を変換して各発光管の内部電極及び外部電極に印加する電圧変換手段とを備える。電圧変換手段は、発光管において、内部電極と外部電極には異極性の電圧を印加し、内部電極のそれぞれには同極性であってそれぞれ異なる大きさの電圧を印加する。電圧変換手段は、発光管のそれぞれの内部電極に印加する電圧間の差を制御することにより発光管発光時に生じる暗部の位置を所望の位置に調整する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、内部電極と外部電極間のみに単一の高周波電源より電圧を印加して点灯させる際に、ランプ中央部に発生する中央暗部の位置を容易に制御することを可能とする。このことから、例えば、本発明の思想を適用した放電装置をバックライト等の平面状の光源装置として利用した場合、発光時に生じる暗部を平面的に分散できるため、光出力ムラを大幅に低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照して本発明の放電灯装置等の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、同様の部分には同一の参照番号を付して重複する説明を省略する場合がある。
【0021】
(実施の形態1)
まず、本発明に係る放電灯装置の一例について説明する。図1(a)に本実施形態の放電灯装置の構成を示す。図1(b)は、図1(a)の線I−Iにおける断面図である。
【0022】
光源装置10は、点灯回路13と、電圧変換手段13Fと、発光管20とを備える。発光管20は、その内部に配置された複数の内部電極21と、外部に配置された外部電極22とを備える。内部電極21にはリード24が接続されている。
【0023】
発光管20内において、複数の内部電極21が互いに離間して封装される。図1(a)は一例として内部電極を2つ封装する場合を示している。同図のように発光管20の両端部に内部電極21を配置すると、最も少ない数の内部電極で発光管全域を点灯できるため好ましい。なお、以下では、説明の便宜上、内部電極数が2の場合の例を説明する。
【0024】
発光管20は、透光性の材料で形成され、たとえばホウケイ酸ガラスで形成される。また、発光管20は、石英ガラス、ソーダガラスまたは鉛ガラスで形成してもよい。発光管20に用いられるガラス管の外径は、通常、1.2mm〜15mm程度である。また、ガラス管の外面と内面との距離すなわちガラス管の厚さは、通常、0.2mm〜1.0mm程度である。なお、発光管20は、直線状の形状に限らず、他の形状であってもよい。たとえば、L字状、U字状または矩形状であってもよい。
【0025】
発光管20は封止されており、その内部には、放電媒体が封入されている(以下の実施形態においても同様である)。放電灯装置10で用いられる放電媒体としては、希ガスを用いることができる。希ガスとしては、クリプトンガス、アルゴンガス、ヘリウムガスおよびキセノンガスから選ばれる少なくとも1つのガスを用いることができる。特に、キセノンガスから放出される紫外線の波長は、水銀から放出される紫外線の波長と近接している。このため、希ガスとしてキセノンガスを用いることによって、水銀を用いた蛍光ランプと同じ蛍光体を利用できるという利点があるため好ましい。この放電媒体は、希ガスに加えてさらに水銀を含んでもよい。ただし、放電媒体が水銀を含まない場合、周囲温度の変化に伴う水銀蒸気圧の変化によって発光効率が変化することを防止できる。なお、上述した放電媒体は、以下の実施形態の放電媒体としても適用できる。
【0026】
図1(b)に示すように、発光管20の内面には、蛍光体層23が形成されている。蛍光体層23は、放電媒体から発せられた光の波長を変換するために形成される。蛍光体層23の材料を変化させることによって、さまざまな波長の光が得られる。たとえば、白色光や、赤、緑および青(RGB)の光が得られる。蛍光体層23は、放電灯に一般的に用いられる材料で形成できる。
【0027】
なお、発光管20は、その外部表面に配置された誘電体層(たとえば樹脂層)を含んでもよい。そのような発光管20の一例を図2(a)に示す。発光管20は、管20aと、管20aの外面に形成された誘電体層20bとを含む。管20aは、たとえばホウケイ酸ガラスからなる。誘電体層20bには、たとえばポリエステル系樹脂からなる多層膜や、酸化チタンや酸化ケイ素からなる薄膜を用いることができる。ガラス管の表面に誘電体層を形成する場合、その厚さは、通常、0.5μm〜100μm程度にするのが好ましい。
【0028】
内部電極21は発光管20の内部において、その両端に形成されている。内部電極21は、たとえばタングステンやニッケルなどの金属で形成できる。内部電極21の表面は、酸化セシウム、酸化マグネシウムまたは酸化バリウムといった金属酸化物層で覆われていてもよい。このような金属酸化物層を用いることによって、点灯開始電圧を低減でき、イオン衝撃による電極の劣化を防止できる。また、内部電極21の表面は、誘電体層(たとえばガラス層)で覆われていてもよい。図2(b)に、金属電極21aと、それを覆うように形成された誘電体層21bとを備える内部電極21の断面図を示す。このような誘電体層を用いることによって、放電時の電流を抑制できる。その結果、放電時に継続的に電流が流れることを抑制でき、放電を安定化することができる。
【0029】
外部電極22は発光管20の外部に形成されている。外部電極22は、導電性の材料で形成できる。たとえば、外部電極22は、銅やアルミニウムやリン青銅といった金属で形成してもよいし、金属粉末(たとえば銀粉末)と樹脂とを含む金属ペーストで形成してもよい。
【0030】
外部電極22は発光管20の外部に形成されており、かつ放電が行えればよく、その位置や面積は限定されない。言い換えれば、発光管の外面に直接接触していても、接触していなくてもよい。図2(c)に、発光管20と外部電極22を空隙を介して離間配置した際の断面図を示す。このように、空隙を設け、発光管20と外部電極22の間隔を、この空隙にかかる電界強度が空気の絶縁破壊を生じない距離にすることにより、発光管20と外部電極22間にできた微小空間でのコロナ放電を防止し、オゾンの発生を防ぐことができる。また、接触させる場合でも、外部電極を発光管20の周方向に螺旋状に旋回配置しても良いことはもちろんである。
【0031】
外部電極22はリード線等で電気的に接続され、かつ同電位であれば配置や数量は限定されない。図3(a)に外部電極22を管軸方向に2分割した例を、図3(b)に外部電極22を複数分割、離間配置した際の一例を示す。外部電極22を複数分割した際は、外部電極22近傍の発光管内壁に放電が収縮するのを抑制することができるため、発光効率を向上させることが可能となる。
【0032】
放電灯装置10のより具体的な構成例について説明する。ここでは、発光管20は、たとえば外径が3.0mm、内径が2.0mm、長さが350mmとする。発光管20の内部には、蛍光体層として、一般の蛍光ランプに用いられる3波長発光形の希土類蛍光体が塗布されている。内部電極21は発光管の両端に1つずつ内封されており、たとえば外形が1.5mm、内径が1.3mm、長さが5mmである。外部電極22の幅は1.5mmであり、発光管の外面に管軸方向全体に直線状に配置している。発光管の内部には、圧力が約21kPaとなるようにキセノンガスとアルゴンガスとの混合ガスが封入される。
【0033】
放電灯装置10では、点灯回路13からの電圧を電圧変換手段13Fを通じて、内部電極21と外部電極22との間に電圧を印加することによって放電が生じ、放電媒体が励起される。励起された放電媒体は、基底状態に移行する際に紫外線を発する。この紫外線は、蛍光体層23で可視光に変換され、発光管20から放射される。
【0034】
以下、内部電極21と外部電極22との間に印加する電圧について説明する。
電圧変換手段13Fは、複数の内部電極21のそれぞれに対し同じ極性の電圧を印加するが、内部電極21と外部電極22には互いに異なる極性の電圧を印加する。これは、内部電極21間どうしでの放電を防止し、外部電極22と各内部電極21との間においてのみ放電が生じるようにするためである。なお、本実施例では、外部電極22の電位を基準電位としている。
【0035】
さらに、電圧変換手段13Fは、1つの発光管20において各内部電極21に印加する電圧の大きさを互いに異ならせる。そして、電圧変換手段13Fは、各内部電極21に印加する電圧間の差を調整することにより、発光管20において生じる暗部の位置を所望の位置に制御する。
【0036】
内部電極21と外部電極22の間に印加する電圧は、正弦波でも矩形波でもよく、極性が変化してもしなくてもよい。発光管20の内部に水銀が含まれない場合、すなわち放電媒体が希ガスのみである場合には、外部電極22を接地し、内部電極21に対して電圧の極性が変化しない矩形波電圧を印加することが好ましい。
【0037】
今、点灯回路13が図4(a)に示すような出力電圧V1を出力する場合を検討する。図4(a)に示す例では、内部電極21に対する印加電圧は、0ボルトと正の電圧V1との間で変調されている。電圧V1を印加する時間T1と矩形波の周期T2との比(T1/T2)の値は、0.15〜0.5程度であることが好ましい。また、矩形波の周波数は、たとえば10kHz〜60kHzの範囲である。図4(b)に、図4(a)に示す電圧を印加した場合に2つの電極21、22間を流れる電流を示す。同図のように内部電極21と外部電極22との間には、印加電圧の微分波形に対応する電流が流れる。
【0038】
点灯回路13の構成例を図5(a)に示す。内部電極21と外部電極22との間には、電圧変換手段13Fを通じて点灯回路13が接続されている。外部電極22は、通常、グランド(基準電位点)に接続される。点灯回路13は、交流電源13aと、整流回路13bと、平滑回路13cと、昇圧回路13dと、スイッチング回路13eとを備える。これらの回路には、一般的な回路を用いることができる。交流電源13aで生成された交流電圧は、整流回路13bによって直流の正電圧へ変換される。そして、整流された電圧は、平滑回路13cで平滑化され、昇圧回路13dで昇圧される。昇圧された電圧は、スイッチング回路13eによって、所定の時間T1だけ印加される。このようにして、矩形波電圧が点灯回路13から出力される。
【0039】
点灯回路13から出力された矩形波電圧V1は、図5(b)に示すように電圧変換手段13Fを通して電圧のピーク値のみ変調される。すなわち、0ボルトを基準として正の電圧V1を正の電圧V2及び電圧V3に変換するが、電圧V2及びV3を印加する時間T1と矩形波の周期T2との比(T1/T2)の値は元の電圧V1と変わらない。このようにして、矩形波電圧V2、V3が電圧変換手段13Fから各内部電極21に印加される。この際、電圧V2もしくは電圧V3のどちらか一方が電圧V1と同じであっても良い。
【0040】
図5(a)は電圧変換手段13Fの具体的な構成例も示している。放電灯装置10に接続されている発光管20は誘電体を介したバリア放電構造であり、いわばコンデンサと類似した構造となっている。そのため、図5(a)のように電圧変換手段13Fとして発光管20の内部電極21に対して直列に容量の異なるコンデンサC1およびC2を接続することで、分圧された電圧V2およびV3が各内部電極21に印加される。また、少なくとも1つの内部電極に対してのみコンデンサを接続し、分圧された電圧V2及び分圧されていない電圧V1とをそれぞれの内部電極に印加するようにしても良い。なお、電圧変換手段13Fは上述のごとく、コンデンサ用いるのが好ましいが、それぞれの内部電極21へ印加する電圧を異ならせることができれば、他の回路を用いてもよい。
【0041】
図6に、において一方の内部電極に対してのみコンデンサC1を直列に挿入した電圧変換手段13Fを用いた場合における、コンデンサC1の容量と発光管20に生じる暗部の位置との関係を示す。図6では、点灯回路10より出力される電圧波高値V1は2.0kVであり、印加する時間T1と矩形波の周期T2との比(T1/T2)の値は0.5、周期T2の周波数は40kHzとした。結果として、コンデンサC1の容量が小さくなるにつれ、コンデンサC1挿入側の内部電極に印加される電圧が低下するため、コンデンサC1挿入側の内部電極の方に暗部が移動していく。本実施形態では、暗部の移動量は、コンデンサC1の容量が2005pFの場合は発光管中心から5mm移動し、同様に998pFでは35mm、508pFでは61mm、252pFでは86mm、126pFでは105mm、64pFでは116mmであった。
【0042】
以下、上記の放電灯装置10を用いた光源装置について説明する。
図7に、上記の放電灯装置10を並列に複数本並べて平面のバックライトとした場合の光源装置11の構成例を示す。また、図8に、図7の線II−IIにおける断面図を示す。なお、図8には拡散板63および液晶パネル70も示している。図7および図8では、蛍光体層は省略している。液晶パネル70及び光源装置11は液晶表示装置を構成する。
【0043】
図7の光源装置11は、発光管20、内部電極21、外部電極22、点灯回路13および電圧変換手段13Fを備える。
【0044】
外部電極22は発光管20の外表面に形成されている。外部電極22は、金属ペーストや導電性樹脂で形成できる。複数の発光管20は、支持部材62で反射板25上に平行に支持されている。内部電極21は発光管20の両端に1つずつ内封されている。反射板25は、発光管20の周囲を箱状に囲い、発光管20から拡散板63への光の入射効率を高める機能をする。
【0045】
外部電極22は、必要な光学特性により、幅や長さ、面積を自由に変えても良い。外部電極22が同電位であれば、たとえば発光管の長さ方向軸方向に分割・離間配置してもよいし、螺旋状に旋回配置しても良いことはもちろんである。
【0046】
光源装置11では、点灯回路13からの電圧を、電圧変換手段13Fを通じて、内部電極21と外部電極22との間に電圧を印加することによって放電が生じ、放電媒体が励起される。励起された放電媒体は、基底状態に移行する際に紫外線を発する。この紫外線は、蛍光体層23で可視光に変換され、発光管20から放射される。
【0047】
図8に示すように、発光管20から出射された光は、拡散板63を介してその表面63aからほぼ均一に出射され、液晶パネル70を照射する。拡散板63は、たとえば乳白状の樹脂で形成できる。また、拡散板63の表面63a上には、使用状況に応じて、拡散シートやレンズシートを配置してもよい。
【0048】
電圧変換手段13Fは、例えば図5(a)に示すように、発光管両端の内部電極21および外部電極22と直列に接続したコンデンサより構成される。
【0049】
従来のような電圧変換手段13Fを用いない場合は、発光管20の各内部電極には同じ電圧が印加されるため、それぞれにおいて図9(a)に示すように発光管の長さ方向の中央部分に暗部Xが発生する。この暗部Xの位置が重なることにより、拡散板63の表面63aから映し出された光出力は線状に暗部が発生した不均一な光出力となる。
【0050】
この問題を解決するため、本実施形態では、点灯回路13と発光管20の間に直列挿入するコンデンサによって、各発光管20において一の内部電極に印加する電圧と他の内部電極に印加する電圧とを異ならせ、かつ、その電圧差を適宜調整する。これにより、各発光管20において発生する暗部Xの位置を制御している。すなわち、隣接する発光管間において生じる暗部の位置を異ならせるようにすることにより、図9(b)に示すように面全体として暗部Xの位置が分散されるため、拡散板63を介してその表面63aから映し出された光出力は均一なものとなる。
【0051】
また、本実施形態の構成によれば、単一の点灯回路を用いたランプ設計の場合であっても、挿入するコンデンサの容量のみで電圧調整が可能なことから制御が容易であり、ランプ設計を変えることなく光出力が均一で、安価な光源装置を提供できる。
【0052】
(実施の形態2)
本実施形態では、本発明に係る光源装置の他の例について説明する。
図10に光源装置の別の構成を示す。また、図11に、図10の線X−Xにおける断面図を示す。なお、図11には液晶パネル70も示されている。さらに、図12に、別の例の光源装置の構成(構成断面図)を示す。図10、図11および図12では、蛍光体層の図示を省略している。
【0053】
図10に示す光源装置12は、導光板60、発光管20、内部電極21、外部電極22、点灯回路13および電圧変換手段13Fを備える。
【0054】
外部電極22は発光管20の外表面に形成されている。外部電極22は金属ペーストや導電性樹脂で形成できる。発光管20はL字形状を有し、支持部材62で支持されている。内部電極21は発光管20の両端に1つずつ内封されている。発光管20は、導光板60の側面に配置される。反射板25は、発光管20の周囲をコの字状に囲い、発光管20から導光板60への光の入射効率を高める機能をする。
【0055】
外部電極22は、必要な光学特性により、幅や長さ、面積を自由に変えても良い。外部電極22は同電位の複数に電極で構成されてよく、たとえば発光管の長さ方向軸方向に分割して、離間配置してもよいし、螺旋状に旋回配置しても良い。
【0056】
光源装置12では、点灯回路13からの電圧を、電圧変換手段13Fを通じて、内部電極21と外部電極22との間に電圧を印加することによって放電が生じ、放電媒体が励起される。励起された放電媒体は、基底状態に移行する際に紫外線を発する。この紫外線は、蛍光体層23で可視光に変換され、発光管20から放射される。
【0057】
発光管20から出射された光は、導光板60を介してその表面60aからほぼ均一に出射される。導光板60は、たとえば透明な樹脂で形成できる。導光板60の裏面60bには、出射される光を均一にするために、凹凸が形成されている。また、裏面60b上には、反射層61が形成されている。反射層61は、たとえば酸化チタンや金属、樹脂等で形成できる。また、導光板60の表面60aには、使用状況に応じて、拡散シートやレンズシートを配置してもよい。
【0058】
電圧変換手段13Fは例えば、図5(a)に示すように、発光管両端の内部電極21および外部電極22と直列に接続したコンデンサC1、C2より構成される。
【0059】
図10の光源装置12では、発光管20に生じる暗部Xが発光管20のL字形の曲折部に位置するように、電圧変換手段13FのコンデンサC1、C2の容量を設定する。L字形の発光管20の曲折部は、ちょうど導光板60の側面の角部近傍に位置している。導光板60の側面の角部では、導光板に入射する光量は最小となる(すなわち、入光効率が最小となる)。このことから、暗部Xの位置を発光管20のL字形の曲折部に位置するよう制御することにより、暗部Xによる光出力の影響が最小となり、導光板60の表面60aから映し出される光出力は均一となる。よって、光出力が均一な光源装置が可能となる。
【0060】
光源装置12について具体的な仕様の例を説明する。導光板60は、アクリル樹脂で形成でき、そのサイズは、160mm×93mmとすることができる。L字形の発光管20は、長さ252mm、外径2.6mm、内径2.0mmとすることができる。放電媒体には、キセノンガスとアルゴンガスとの混合ガス(圧力:約21kPa)を用いることができる。内部電極21は発光管の両端に1つずつ内封されており、たとえば外形が1.5mm、内径が1.3mm、長さが5mmとすることができる。発光管の内部には、蛍光体層として、一般の蛍光ランプに用いられる3波長発光形の希土類蛍光体を塗布することができる。外部電極の幅は1.5mmとし、発光管のほぼ全長に渡って配置することができる。電圧変換手段13FのコンデンサC1の容量値は75pFでありL字形の発光管20の短い辺側の内部電極21に挿入することができる。L字形の発光管20の長い辺側の内部電極21にはコンデンサは接続せず、点灯回路13の出力電圧をそのまま内部電極21に印加させることができる。
【0061】
光源装置12を液晶表示装置として用いる場合には、図11のように液晶パネル70が導光板60上に配置される(以下の光源装置においても同様である)。
【0062】
なお、反射板25をアルミニウム等の導電性物質で形成し、外部電極機能と反射板機能とを合わせ持たせてもよい。図12に、そのような反射板機能を兼ね備えた電極を有した光源装置の構成例を示す。
【0063】
図12において、光源装置13は、導光板60、発光管20、内部電極21および反射板外部電極26を備える。
【0064】
反射板機能付外部電極26は、発光管20の外表面に形成されている。発光管20と反射板機能付外部電極26は、たとえば空隙等で間隔を空けて導光板60の側面に配置される。空隙等で発光管20と外部電極26の間隔を空けることにより、発光管20と外部電極26間の微小空間でのコロナ放電を防止し、オゾンの発生を防ぐことができる。
【0065】
図13に、光源装置のさらに別の例として、L字形の発光管20をコの字形の発光管に置換した光源装置の例を示す。図13の光源装置120において、発光管20の内部電極21は、コの字形の発光管20の両端に1つずつ内封されるとともに、発光管中央にも端部方向に向かうようにして1つだけ内封されている。
【0066】
図13の構成において、点灯回路13からの出力電圧は、電圧変換手段13Fを通じて各内部電極21に印加される。この状態で点灯すると、暗部は発光管の中央部で2分割したL字形の発光管と同じ状態で発生する。この際、電圧変換手段13Fのコンデンサの設定値を、コの字形の発光管20を2等分したL字形の発光管の場合の設定値と同じにし、発光管20の両端の内部電極21を同電位で点灯することで、暗部Xをコの字形状の発光管20の曲折部に位置するよう制御することが可能となり、暗部Xを導光板60の入光効率の最も低い位置近傍に位置させることができるため、導光板60の表面60aから均一性の高い光出力を得られる光源装置を実現することができる。
【0067】
図14に光源装置のさらに別の例を示す。図14の光源装置は、長手方向に垂直な面で切断したときの断面が楔型形状を有する導光板60を備えている。このような導光板60の側面に2つのL字形状の発光管20が配置されている。このような導光板60の幅方向側面の幅方向の中央は、最も入光効率の低い位置であることから、発光管20の暗部Xは、導光板60の幅方向側面の幅方向の中央部近傍に位置するように制御される。これにより、導光板60の表面60aからの光出力に対する暗部Xの影響を最小にでき、均一な光出力を得ることができる。
【0068】
以上、本発明の実施の形態について例を挙げて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されず本発明の技術的思想に基づき他の例にも適用することができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本願発明の光源装置は、放電媒体が封入された発光管とその放電媒体を励起するための電極とを備える放電灯装置および光源装置であって、バックライト光源として有用であり、特に液晶ディスプレイのバックライトに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】(a)本発明の放電灯装置の一例の側面図、および(b)本発明の放電灯装置の一例の断面図。
【図2】(a)は放電灯装置の他の例の断面図、(b)内部電極の他の例の断面図、及び(c)外部電極の他の例の断面図。
【図3】図1に示した放電灯装置の他の例の断面図。
【図4】(a)本発明の放電灯装置に印加する電圧の一例を示す図、および(b)(a)の場合に電極間を流れる電流を示す図。
【図5】(a)本発明の放電灯装置における電圧変換手段の具体的構成例を示す回路図、および(b)電圧変換手段の動作を示した図。
【図6】実施の形態1における電圧変換手段としてコンデンサを用いた場合の暗部位置変化を示すグラフ。
【図7】本発明の光源装置の一例の構成を示す図。
【図8】図7に示した光源装置の断面図。
【図9】(a)図7に示した光源装置において暗部が中央に集中して分布した様子を説明した図、および(b)図7に示した光源装置において暗部が分散して分布した様子を説明した図。
【図10】本発明の光源装置の他の例の構成を示す図(L字形状発光菅を含む)。
【図11】図10に示した光源装置の断面図。
【図12】本発明の光源装置のさらに他の例の構成を示す断面図(発光板機能付電極を含む)。
【図13】本発明の光源装置のさらに他の例の構成(コの字形状発光菅を含む)を示す図。
【図14】本発明の光源装置のさらに他の例の構成(楔断面形状導光板を含む)を示す図。
【図15】従来の放電ランプの構成図。
【図16】従来の放電ランプの別の一例の構成図。
【符号の説明】
【0071】
1 放電容器
4 導入線
6 高周波電源
10 放電灯装置
11、12、13、120 光源装置
9a、9b、13 点灯回路
13F 電圧変換手段
20 発光管
20a 管
20b 誘電体層
2、8a、8b、21 内部電極
21a 金属電極
21b 誘電体層
3、7a、7b、22 外部電極
23 蛍光体層
24 リード
25 反射板
26 反射板外部電極
60、60a、60b 導光板
61 反射層
62 支持部材
63、63a 拡散板
X 暗部
70 液晶パネル
DL 放電ランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して設けられた少なくとも2つの内部電極と、外部電極とを有し、放電媒体が封入された、複数の発光管と、
前記複数の発光管からの光を入光して伝播させる導光板と、
前記発光管の内部電極と外部電極に電圧を印加する電圧を生成する点灯回路と、
前記点灯回路からの出力電圧を変換して各発光管の内部電極及び外部電極に印加する電圧変換手段とを備え、
前記複数の発光管は並列して配置されており、
前記電圧変換手段は、各発光管において、内部電極と外部電極には異極性の電圧を印加し、内部電極のそれぞれには同極性であってそれぞれ異なる大きさの電圧を印加し、前記複数の発光管に生じる暗部の位置が散在して分布するように各発光管のそれぞれの内部電極に印加する電圧の差を制御する
ことを特徴とする光源装置。
【請求項2】
対向して設けられた少なくとも2つの内部電極と、外部電極とを有し、放電媒体が封入された、複数の発光管と、
前記複数の発光管からの光を入光して伝播させる導光板と、
前記発光管の内部電極と外部電極に電圧を印加する電圧を生成する点灯回路と、
前記点灯回路からの出力電圧を変換して各発光管の内部電極及び外部電極に印加する電圧変換手段とを備え、
前記発光管は曲折部を有し、該曲折部が前記導光板の角部近傍に位置するように前記導光板横側に配置されており、
前記電圧変換手段は、各発光管において、内部電極と外部電極には異極性の電圧を印加し、内部電極のそれぞれには同極性であってそれぞれ異なる大きさの電圧を印加し、前記発光管の暗部がその曲折部に生じるように発光管のそれぞれの内部電極に印加する電圧の差を制御する
ことを特徴とする光源装置。
【請求項3】
前記電圧変換手段は、前記点灯回路と前記内部電極との間に直列に接続されるコンデンサを含む、ことを特徴とする請求項1または2記載の光源装置。
【請求項4】
前記少なくとも2つの内部電極は発光管の両端に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の光源装置。
【請求項5】
前記外部電極が接地されている、ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の光源装置。
【請求項6】
液晶パネルと、
該液晶パネルへ照明光を供給する、請求項1ないし5のいずれかに記載の光源装置と
を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項7】
対向して設けられた少なくとも2つの内部電極と、外部電極とを有し、放電媒体が封入された発光管と、
前記発光管の内部電極と外部電極に電圧を印加する電圧を生成する点灯回路と、
前記点灯回路からの出力電圧を変換して各発光管の内部電極及び外部電極に印加する電圧変換手段とを備え、
該電圧変換手段は、発光管において、内部電極と外部電極には異極性の電圧を印加し、内部電極のそれぞれには同極性であってそれぞれ異なる大きさの電圧を印加し、
発光管のそれぞれの内部電極に印加する電圧間の差を制御することにより前記発光管の発光時に生じる暗部の位置を調整する
ことを特徴とする放電灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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