説明

教材コンテンツ生成システム、教材コンテンツ生成方法、及びコンピュータプログラム

【課題】 質のばらつきが少ない教材コンテンツを生成することが可能な教材コンテンツ生成システム、教材コンテンツ生成方法、及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】
教材コンテンツ生成システムを構成するサーバ2は、事例報告書中の文を特定の構成項目に分類するための分類基準を示す分類基準情報を記憶する分類基準情報データベース200を具備しており、その分類基準情報に基づいて、事例報告書データに含まれる複数の文のそれぞれを構成項目別に分類し、それらの複数の文を分類先の構成項目と関連付けることにより教材コンテンツを生成し、その生成した教材コンテンツを教材コンテンツデータベース201に登録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、eラーニングで用いられる教材コンテンツを生成するための教材コンテンツ生成システム及び教材コンテンツ生成方法、並びにコンピュータに教材コンテンツを生成させるためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータ等の情報機器を使用したeラーニングシステムが普及してきている。このようなeラーニングシステムにおいては、教材コンテンツを記憶しておき、その教材コンテンツを学習者に対して適宜提示することによって学習が行われる。
【0003】
例えば、特許文献1には、業務処理に用いるデータを格納した業務処理用データベースから学習者が未学習の教育項目を抽出することによって教材コンテンツを作成し、その教材コンテンツを当該学習者に提示するシステムが開示されている。また、特許文献2には、教育システム上で管理されるカリキュラム情報と業務システム上で管理される業務情報とを関連付けることによって、学習者の担当業務に応じた内容の教材コンテンツを提示するシステムが開示されている。これらのシステムによれば、各学習者に対して適切な内容の教材コンテンツを提示することが可能になる。
【0004】
また、特許文献3には、故障事例を汎化した汎化事例を具体化してその結果を記憶しておき、その故障事例の統計処理結果に基づいて、記憶されている汎化事例の具体化結果より、設備を構成する機器に関する特定の故障を選択して学習者に提示するシステムが開示されている。このシステムによれば、設備内容の変更及び故障特徴の時系列的な変化に対応することができる。
【0005】
上記の特許文献1乃至3に係るシステムは、特定の機器の構成及びその機器の保守履歴等、並びに機器の故障と原因との因果関係が明確である故障事例等のように、言語によって容易に表現できる知識(所謂「形式知」)を学習対象としている。しかしながら、学習対象には、言語による表現が困難な知識(所謂「暗黙知」)が含まれることもあり、そのような場合は特許文献1乃至3に係るシステムでは対応することができない。
【0006】
他方、暗黙知を学習対象とすることが可能なeラーニングシステムとして、例えば特許文献4に開示されているシステムを挙げることができる。このシステムは、コールセンタで実行された対話型業務の記録(音声及び画像データ等)とその業務に対する評価とで構成される教材コンテンツを学習者に提示する。このコンテンツには、コールセンタにおける応対担当オペレータのノウハウ等のような暗黙知が含まれていると考えられるため、学習者は、形式知のみではなく暗黙知をも獲得することが可能になると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−28389号公報
【特許文献2】特開2005−222427号公報
【特許文献3】特開平7−271757号公報
【特許文献4】特開2004−219779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献4に係るシステムでは、業務の記録をそのまま学習者に提示することになるため、学習者が教材コンテンツから暗黙知を獲得することは容易ではない。また、業務の記録の質は応対担当オペレータのスキルに大きく依存するため、教材コンテンツの質に相当なばらつきが生じ得るという問題もある。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、上記課題を解決することができる教材コンテンツ生成システム、教材コンテンツ生成方法、及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の教材コンテンツ生成システムは、複数の文を含む事例報告書を電子化した事例報告書データを取得する事例報告書データ取得手段と、事例報告書中の文を特定の構成項目に分類するための分類基準を示す分類基準情報を記憶する分類基準情報記憶部と、前記分類基準情報記憶部に記憶されている分類基準情報に基づいて、前記事例報告書データ取得手段によって取得された事例報告書データに含まれる複数の文のそれぞれを構成項目別に分類する分類手段と、前記複数の文を、前記分類手段によって分類された構成項目と関連付けることにより教材コンテンツを生成するコンテンツ生成手段とを備える。
【0011】
上記態様において、前記分類基準情報記憶部が、各構成項目における特定の単語の出現頻度に基づいて規定された前記分類基準を示す分類基準情報を記憶しており、前記分類手段が、前記分類基準情報に示される前記特定の単語の出現頻度に基づいて、前記事例報告書データに含まれる複数の文のそれぞれを構成項目別に分類するように構成されていてもよい。
【0012】
また、上記態様において、前記分類手段による分類結果に基づいて、前記単語の出現頻度を更新することによって、前記分類基準情報記憶部に記憶されている分類基準情報を更新する分類基準情報更新手段をさらに備えていてもよい。
【0013】
また、上記態様において、前記分類基準情報記憶部が、事例報告書中の文を、少なくとも、事例の発生状況、対処、原因、及び対策の各構成項目に分類するための分類基準情報を記憶しており、前記分類手段が、前記分類基準情報に基づいて、事例報告書データに含まれる複数の文のそれぞれを、事例の発生状況、対処、原因、及び対策の何れかの構成項目に分類するように構成されていてもよい。
【0014】
また、上記態様において、前記分類手段による分類結果を示す分類結果情報を出力する出力部と、前記出力部に出力された分類結果情報に示されている分類結果の修正を示す修正情報を入力するための入力部と、前記入力部によって入力された修正情報に基づいて、前記コンテンツ生成手段によって生成された教材コンテンツにおける前記複数の文と前記構成項目との関連付けを修正するコンテンツ修正手段とをさらに備えていてもよい。
【0015】
また、上記態様において、前記入力部によって入力された修正情報に基づいて、前記分類基準情報記憶部に記憶されている分類基準情報を修正する分類基準情報修正手段をさらに備えていてもよい。
【0016】
本発明の一の態様の教材コンテンツ生成方法は、複数の文を含む事例報告書を電子化した事例報告書データを取得するステップと、事例報告書中の文を特定の構成項目に分類するための分類基準を示す分類基準情報に基づいて、前記事例報告書データを取得するステップにおいて取得した事例報告書データに含まれる複数の文のそれぞれを構成項目別に分類するステップと、前記複数の文を、前記構成項目別に分類するステップにおいて分類した構成項目と関連付けることにより教材コンテンツを生成するステップとを有する。
【0017】
また、本発明の一の態様のコンピュータプログラムは、eラーニングで用いられる教材コンテンツをコンピュータに生成させるためのコンピュータプログラムにおいて、複数の文を含む事例報告書を電子化した事例報告書データを取得するステップと、事例報告書中の文を特定の構成項目に分類するための分類基準を示す分類基準情報に基づいて、前記事例報告書データを取得するステップにおいて取得した事例報告書データに含まれる複数の文のそれぞれを構成項目別に分類するステップと、前記複数の文を、前記構成項目別に分類するステップにおいて分類した構成項目と関連付けることにより教材コンテンツを生成するステップとを前記コンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る教材コンテンツ生成システム、教材コンテンツ生成方法、及びコンピュータプログラムによれば、質のばらつきが少ない教材コンテンツを容易に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1に係る教材コンテンツ生成システム及びその教材コンテンツ生成システムを含むeラーニングシステムの全体構成を示す模式図。
【図2】本発明の実施の形態1に係る教材コンテンツ生成システムが備えるサーバの構成を示すブロック図。
【図3】分類基準情報データベースの構造を示す模式図。
【図4】教材コンテンツデータベースの構造を示す模式図。
【図5】本発明の実施の形態1に係る教材コンテンツ生成システムが備える教材作成用クライアントの構成を示すブロック図。
【図6】eラーニングシステムが備える学習用クライアントの構成を示すブロック図。
【図7】本発明の実施の形態1の教材コンテンツ生成システムが実行する教材コンテンツ生成処理の手順を示すフローチャート。
【図8】文の特徴ベクトル及び類似度の概念を示す図。
【図9】本発明の実施の形態1の教材コンテンツ生成システムが実行する教材コンテンツ修正処理の手順を示すフローチャート。
【図10】教材作成用クライアントの画像表示部に表示される教材コンテンツの編集用画面の一例を示す図。
【図11A】学習用クライアントの画像表示部に表示される画面の一例を示す図。
【図11B】学習用クライアントの画像表示部に表示される画面の一例を示す図。
【図12】本発明の実施の形態2に係る教材コンテンツ生成システムが備えるサーバの構成を示すブロック図。
【図13】事例報告書データベースの構造を示す模式図。
【図14】事例報告書入力用のインタフェース画面の一例を示す図。
【図15】本発明の実施の形態1の教材コンテンツ生成システムが実行する教材コンテンツ生成処理の手順を示すフローチャート。
【図16】教材作成用クライアントの画像表示部に表示される事例報告書データの編集用画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の教材コンテンツ生成システムは、eラーニングシステムで用いられる教材コンテンツを生成するためのシステムである。この教材コンテンツ生成システムは、eラーニングシステムの一部として設けられる場合もあれば、eラーニングシステムとは別に設けられる場合もある。以下では、eラーニングシステムの一部として設けられる場合の本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0021】
(実施の形態1)
実施の形態1に係る教材コンテンツ生成システムは、所謂ヒヤリハット及び各種事故の報告書等の紙媒体の事例報告書を用いて教材コンテンツを生成するシステムである。
【0022】
[教材コンテンツ生成システム及びeラーニングシステムの構成]
図1は、本実施の形態に係る教材コンテンツ生成システム及びその教材コンテンツ生成システムを含むeラーニングシステムの全体構成を示す模式図である。教材コンテンツ生成システム1は、インターネット又はイントラネット等の情報ネットワークを使用したクライアント・サーバシステムであり、サーバ2と、教材作成者が使用する教材作成用クライアント3とを備えている。これらのサーバ2及び教材作成用クライアント3は、情報ネットワーク5によりデータ通信可能に接続されている。eラーニングシステムSは、これらのサーバ2及び教材作成用クライアント3に加えて、学習者が使用する学習用クライアント4を備えている。この学習用クライアント4も情報ネットワーク5に接続されており、情報ネットワーク5を介してサーバ2とデータ通信を行うことができる。
以下、これらのサーバ2、教材作成用クライアント3、及び学習用クライアント4の構成の詳細について説明する。
【0023】
<サーバ2の構成>
図2は、サーバ2の構成を示すブロック図である。サーバ2は、コンピュータ2aによって実現される。図2に示すように、コンピュータ2aは、本体21と、画像表示部22と、入力部23とを備えている。本体21は、CPU21a、ROM21b、RAM21c、ハードディスク21d、読出装置21e、入出力インタフェース21f、通信インタフェース21g、及び画像出力インタフェース21hを備えており、CPU21a、ROM21b、RAM21c、ハードディスク21d、読出装置21e、入出力インタフェース21f、通信インタフェース21g、及び画像出力インタフェース21hは、バス21jによって接続されている。
【0024】
CPU21aは、RAM21cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、教材コンテンツ生成システム1及びeラーニングシステムSのサーバ用のコンピュータプログラム24aを当該CPU21aが実行することにより、コンピュータ2aがサーバ2として機能する。
【0025】
ROM21bは、マスクROM、PROM、EPROM、又はEEPROM等によって構成されており、CPU21aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0026】
RAM21cは、SRAMまたはDRAM等によって構成されている。このRAM21cは、ハードディスク21dに記録されているコンピュータプログラム24aの読み出しに用いられる。また、CPU21aがコンピュータプログラムを実行するときに、CPU21aの作業領域として利用される。
【0027】
ハードディスク21dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU21aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータ等がインストールされている。サーバ用のコンピュータプログラム24aも、このハードディスク21dにインストールされている。
【0028】
読出装置21eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体24に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体24には、コンピュータ2aをサーバ2として機能させるためのコンピュータプログラム24aが格納されており、コンピュータ2aが当該可搬型記録媒体24からコンピュータプログラム24aを読み出し、当該コンピュータプログラム24aをハードディスク21dにインストールすることが可能である。
【0029】
なお、コンピュータプログラム24aは、可搬型記録媒体24によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ2aと通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、前記コンピュータプログラム24aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ2aがアクセスして、当該コンピュータプログラム24aをダウンロードし、これをハードディスク21dにインストールすることも可能である。
【0030】
また、ハードディスク21dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明において、本実施の形態に係るコンピュータプログラム24aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとする。
【0031】
さらにハードディスク21dには、後述する文の分類処理を行うときに用いられる分類基準情報を格納する分類基準情報データベース(DB)200と、教材コンテンツを格納する教材コンテンツデータベース(DB)201とが設けられている。これらの各データベースの詳細について後述する。
【0032】
入出力インタフェース21fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又はIEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース21fには、キーボード及びマウスからなる入力部23が接続されており、ユーザが当該入力部23を使用することにより、コンピュータ2aにデータを入力することが可能である。
【0033】
通信インタフェース21gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース21gはLAN等の情報ネットワーク5を介して教材作成用クライアント3及び学習用クライアント4に接続されている。コンピュータ2aは、通信インタフェース21gにより、所定の通信プロトコルを使用して情報ネットワーク5に接続された教材作成用クライアント3及び学習用クライアント4との間でデータの送受信が可能である。
【0034】
画像出力インタフェース21hは、LCDまたはCRT等で構成された画像表示部22に接続されており、CPU21aから与えられた画像データに応じた映像信号を画像表示部22に出力するようになっている。画像表示部22は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0035】
図3は、上述した分類基準情報DB200の構造を示す模式図である。図3に示すとおり、分類基準情報DB200は、構成項目領域200aと、単語領域200b,200d,200f及び200hと、各単語領域と対で設けられている出現頻度領域200c,200e,200g及び200iとを有している。ここで、構成項目領域200aには、事例報告書の構成項目が格納され、各単語領域200b,200d,200f及び200hには各構成項目において頻出する単語が、各出現頻度領域200c,200e,200g及び200iにはそれらの単語が当該構成項目において出現する頻度が、それぞれ格納されている。
【0036】
図3に示すとおり、本実施の形態では、事例報告書の構成項目として“発生状況”,“対処”,“原因”及び“対策”の4つを例示している。ヒヤリハット及び各種事故の報告書等の事例報告書の場合、これらの4つの構成項目で整理できることが多い。また、これらの4つの構成項目で整理された教材コンテンツを用いることによって、例えば“発生状況”及び“対処”を学習者に提示することによりその状況を当該学習者に疑似体験(想定)させ、どこに問題があったのか(“原因”)及びどうすべきであるか(“対策”)を想起させる等の学習効果の高いeラーニングを実現することができる。そのため、本実施の形態では、“発生状況”,“対処”,“原因”及び“対策”の4つを事例報告書の構成項目として設定している。勿論、本発明で用いられる事例報告書の構成項目はこれらの4つに限定されるわけではなく、これらの構成項目に代えて、またはこれらの構成項目と共に、他の構成項目を用いてもよい。
【0037】
図3に示す例では、“発生状況”において頻出する単語として、“し忘れた”,“気がついた”,“渡し忘れた”及び“問い合わせがあった”等が単語領域200bに格納されており、それらの単語の出現頻度が出現頻度領域200cに格納されている。なお、この出現頻度の値は当該構成項目において当該単語が出現する回数を示しており、例えば単語“し忘れた”と対応付けられている出現頻度“7”は、“し忘れた”という単語が構成項目“発生状況”において“7”回出現することを意味している。
【0038】
“発生状況”と同様に、他の構成項目である“対処”,“原因”及び“対策”についても、“調整を行った”,“完全ではなかった”及び“思い込まない”等が単語領域200d,200f及び200hにそれぞれ格納されており、それらの単語の出現頻度が出現頻度領域200e,200g及び200iにそれぞれ格納されている。
【0039】
図4は、上述した教材コンテンツDB201の構造を示す模式図である。図4に示すとおり、教材コンテンツDB201は、構成項目領域201aと、教材コンテンツID領域201bと、コンテンツ文領域201c,201d,201e及び201fとを有している。ここで、構成項目領域201aには、分類基準情報DB200の場合と同様の事例報告書の構成項目が格納される。また、教材コンテンツID領域201bには、各教材コンテンツの識別子である教材コンテンツIDが格納され、コンテンツ文領域201c,201d,201e及び201fには、後述するようにして各構成項目に分類された事例報告書中の文がそれぞれ格納される。
【0040】
<教材作成用クライアント3の構成>
図5は、本実施の形態に係る教材作成用クライアント3の構成を示すブロック図である。教材作成用クライアント3は、コンピュータ3aによって実現される。図5に示すように、コンピュータ3aは、本体31と、画像表示部32と、入力部33とを備えている。本体31は、CPU31a、ROM31b、RAM31c、ハードディスク31d、読出装置31e、入出力インタフェース31f、通信インタフェース31g、及び画像出力インタフェース31hを備えており、CPU31a、ROM31b、RAM31c、ハードディスク31d、読出装置31e、入出力インタフェース31f、通信インタフェース31g、及び画像出力インタフェース31hは、バス31jによって接続されている。
【0041】
ハードディスク31dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU31aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータ等がインストールされている。教材作成クライアント用のコンピュータプログラム35aも、このハードディスク31dにインストールされている。
【0042】
読出装置31eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体35に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体35には、コンピュータを教材作成用クライアント3として機能させるためのコンピュータプログラム35aが格納されており、コンピュータ3aが当該可搬型記録媒体35からコンピュータプログラム35aを読み出し、当該コンピュータプログラム35aをハードディスク31dにインストールすることが可能である。
【0043】
なお、前記コンピュータプログラム35aは、可搬型記録媒体35によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ3aと通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、前記コンピュータプログラム35aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ3aがアクセスして、当該コンピュータプログラム35aをダウンロードし、これをハードディスク31dにインストールすることも可能である。
【0044】
また、ハードディスク31dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明において、本実施の形態に係るコンピュータプログラム35aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0045】
入出力インタフェース31fには、キーボード及びマウスからなる入力部33の他に、スキャナ34が接続されている。ユーザが当該スキャナ34を使用することにより、紙媒体の事例報告書の電子化を行うことができる。
【0046】
なお、教材作成用クライアント3のその他の構成は、上述したサーバ2の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0047】
<学習用クライアント4の構成>
図6は、本実施の形態に係る学習用クライアント4の構成を示すブロック図である。学習用クライアント4は、コンピュータ4aによって実現される。図6に示すように、コンピュータ4aは、本体41と、画像表示部42と、入力部43とを備えている。本体41は、CPU41a、ROM41b、RAM41c、ハードディスク41d、読出装置41e、入出力インタフェース41f、通信インタフェース41g、及び画像出力インタフェース41hを備えており、CPU41a、ROM41b、RAM41c、ハードディスク41d、読出装置41e、入出力インタフェース41f、通信インタフェース41g、及び画像出力インタフェース41hは、バス41jによって接続されている。
【0048】
ハードディスク41dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU41aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータ等がインストールされている。学習用クライアント用のコンピュータプログラム44aも、このハードディスク41dにインストールされている。
【0049】
読出装置41eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体44に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体44には、コンピュータを学習用クライアント4として機能させるためのコンピュータプログラム44aが格納されており、コンピュータ4aが当該可搬型記録媒体44からコンピュータプログラム44aを読み出し、当該コンピュータプログラム44aをハードディスク41dにインストールすることが可能である。
【0050】
なお、前記コンピュータプログラム44aは、可搬型記録媒体44によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ4aと通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、前記コンピュータプログラム44aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ4aがアクセスして、当該コンピュータプログラム44aをダウンロードし、これをハードディスク41dにインストールすることも可能である。
【0051】
また、ハードディスク41dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明において、本実施の形態に係るコンピュータプログラム44aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0052】
なお、学習用クライアント4のその他の構成は、上述したサーバ2の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0053】
[教材コンテンツ生成システムの動作]
次に、上述したように構成された本実施の形態の教材コンテンツ生成システム1の動作について、フローチャート等を参照しながら説明する。なお、本実施の形態の教材コンテンツ生成システム1が実行する主な処理には、(1)教材コンテンツを生成するための教材コンテンツ生成処理、及び(2)教材コンテンツを修正するための教材コンテンツ修正処理がある。以下では、これらの各処理の詳細について説明する。
【0054】
(1)教材コンテンツ生成処理
図7は、本実施の形態の教材コンテンツ生成システム1が実行する教材コンテンツ生成処理の手順を示すフローチャートである。
まず、教材コンテンツの作成を行う教材作成者は、教材作成用クライアント3を用いて、紙媒体の事例報告書(手書きのものでも、ワープロソフト等で作成されてプリントアウトされたものでもよい)の電子化を行う。この電子化には様々な態様が考えられる。例えば、スキャナ34を用いて事例報告書を画像データ化した後、OCR(Optical Character Reader)ソフトを用いて文字認識を実行することにより電子化を行ってもよく、また、教材作成者が、入力部33を用いて事例報告書に記載されている文字を入力することによって電子化を行ってもよい。
【0055】
教材作成用クライアント3は、入力部33又はスキャナ34等を介して、上記の事例報告書の電子化によって作成された事例報告書データを取得する(S101)。そして、教材作成用クライアント3は、教材作成者の指示にしたがって、取得した事例報告書データをサーバ2に対して送信する(S102)。
【0056】
サーバ2は、教材作成用クライアント3から送信された事例報告書データを受信した場合(S201)、その事例報告書データ中の文章を一文単位に分解し、その結果得られた複数の文の中から特定の文を処理対象として特定する(S202)。なお、この一文単位の分解は、例えば句点“。”及び改行等を区切りとして一文を切り出す等の処理によって行われる。
【0057】
次に、サーバ2は、処理対象として特定された文(以下「処理対象文」という)の特徴ベクトルを算出する(S203)。以下、この特徴ベクトルの概念について説明する。本実施の形態において、各文の特徴ベクトルPは、次の式1によって算出される。
P=(Wa1,…,Wan, Ws1,…,Wsn, Wc1,…,Wcn, Wac1,…,Wacn) …式1
この式1において、Wxnは各構成項目において単語が出現する頻度を示しており、Wanは“発生状況(appearance)”において現れる単語の頻度を、Wsnは“対処(support)”において現れる単語の頻度を、Wcnは“原因(cause)”において現れる単語の頻度を、Wacnは“対策(action)”において現れる単語の頻度を、それぞれ示している。
【0058】
ステップS203における処理を詳述すると、サーバ2はまず、分類基準情報DB200の各単語領域200b,200d,200f及び200hに格納されている各単語のうち、処理対象文に含まれている単語を特定する。そして、サーバ2は、特定した単語の出現頻度を分類基準情報DB200から取得し、その出現頻度を式1に適用することによって、処理対象文の特徴ベクトルを算出する。なお、処理対象文に、各単語領域200b,200d,200f及び200hに格納されている単語が一つも含まれていない場合、その処理対象文は何れの構成項目にも分類されない文であると判断し、後述するステップS206に進む。
【0059】
次に、サーバ2は、ステップS203にて算出された処理対象文の特徴ベクトルと各構成項目の基準ベクトルとの余弦をとることによって、処理対象文と各基準文との類似度を算出する(S204)。ここで、各構成項目の基準ベクトルとは、構成項目毎に予め用意された基準文の特徴ベクトルを意味する。この基準文は、各構成項目において現れる典型的な文であり、“発生状況”であれば例えば「処方箋を確認し忘れた」等が、“対処”であれば例えば「正しい薬に取り替える」等が、“原因”であれば例えば「いつもの薬と思い込みがあった」等が、“対策”であれば例えば「処方箋と薬とが合っているかを確認するようマニュアルを作成する」等が、それぞれ挙げられる。これらの基準文の特徴ベクトル(即ち、基準ベクトル)が、上記のステップS203と同様の手順で算出され、ハードディスク21dに記憶されている。ステップS204では、このようにして用意されている基準ベクトルと、ステップS203にて算出された処理対象文の特徴ベクトルとがなす角の余弦値を算出し、これを処理対象文と基準文との類似度とする。なお、本実施の形態では、構成項目として“発生状況”,“対処”,“原因”及び“対策”の4つが設定されているため、基準文も4つ用意され、それらの各基準文と処理対象文との類似度が求められることになる。
【0060】
図8は、文の特徴ベクトル及び類似度の概念を示す図である。図8において、符号Pは処理対象文の特徴ベクトルを、符号Pは基準文の特徴ベクトル(基準ベクトル)を、それぞれ表している。ここで、ベクトルPとベクトルPとがなす角θの余弦cosθが、処理対象文と基準文との類似度RABとなる(式2)。
【数1】

【0061】
次に、サーバ2は、処理対象文との類似度が最も高い基準文を特定し、その基準文に係る構成項目に処理対象文を分類する(S205)。具体的には、例えば“発生状況”,“対処”及び“対策”の基準文と比べて“原因”の基準文と処理対象文との類似度が高い場合、その処理対象文を“原因”に分類する。これにより、処理対象文は、何れかの対象項目に分類されることになる。
【0062】
次に、サーバ2は、事例報告書データ中のすべての文を処理対象文に設定したか否かを判定する(S206)。ここで、まだ処理対象文に設定されていない文があると判定した場合(S206でNO)、サーバ2は、ステップS202に戻り、それ以降の処理を繰り返す。他方、すべての文を処理対象に設定した、即ちすべての文が分類されたと判定した場合(S206でYES)、サーバ2は、事例報告書データ中の各文を分類先の構成項目と関連付けたデータを生成し、そのデータに教材コンテンツIDを付与することによって、教材コンテンツを生成する(S207)。そして、サーバ2は、生成した教材コンテンツを教材コンテンツDB201に登録する(S208)。
【0063】
最後に、サーバ2は、登録した教材コンテンツの内容に基づいて、分類基準情報DB200を更新する(S209)。具体的には、登録した教材コンテンツに含まれている文のうちの“発生状況”に分類された文の中から、分類基準情報DB200に格納されている単語を抽出し、その単語の出現頻度の更新を行う。ここで、分類基準情報DB200において、当該単語が“発生状況”に係る単語領域200bに格納されている場合、その単語領域200bと対になっている出現頻度領域200cの出現頻度の値を増大させる。このような処理を、構成項目“対処”、“原因”及び“対策”についても同様にして行うことにより、分類基準情報DB200の更新処理が行われる。このような分類基準情報DB200の更新処理を実行することによって、今回行われた分類結果を次回以降の分類に利用することができる。
【0064】
上述したように、本実施の形態では、客観的な分類基準を用いて事例報告書中の文の分類を実行し、その分類結果が反映された教材コンテンツを生成する。これにより、質のばらつきが少ない教材コンテンツを得ることができる。
【0065】
以上の教材コンテンツ生成処理の結果、教材コンテンツDB201には、事例報告書データ毎に生成された教材コンテンツが記憶されることになる。この教材コンテンツを利用してeラーニングを実行してもよいが、教材コンテンツの質を高めるために、下記の教材コンテンツ修正処理を行った上でeラーニングを実行するようにしてもよい。
【0066】
(2)教材コンテンツ修正処理
図9は、本実施の形態の教材コンテンツ生成システム1が実行する教材コンテンツ修正処理の手順を示すフローチャートである。
教材作成者は、教材作成用クライアント3の入力部33を用いて、教材コンテンツIDを指定した上で教材コンテンツの編集を行う旨を指示する。この指示を受け付けた教材作成用クライアント3は、当該教材コンテンツの編集の開始を指示するための編集開始指示をサーバ2に対して送信する(S301)。
【0067】
サーバ2は、教材作成用クライアント3から送信された編集開始指示を受信すると(S401)、教材作成者によって指定された教材コンテンツIDをキーとして教材コンテンツDB201を検索する(S402)。そして、サーバ2は、検索された教材コンテンツを編集するための編集用画面を示す編集用画面情報を生成し(S403)、その生成した編集用画面情報を教材作成用クライアント3に対して送信する(S404)。
【0068】
教材作成用クライアント3は、サーバ2から送信された編集用画面情報を受信すると(S302)、その受信した編集用画面情報で示される編集用画面を画像表示部32にて表示する(S303)。
【0069】
図10は、教材作成用クライアント3の画像表示部32に表示される教材コンテンツの編集用画面の一例を示す図である。編集用画面51は、教材コンテンツを構成する文をすべて同一の色(例えば黒色等)で表示する編集画面領域511と、当該文を構成項目毎に異なる色(例えば、“発生状況”に分類されている文は赤色、“対処”に分類されている文は青色、“原因”に分類されている文は緑色、“対策”に分類されている文は黄色等)で表示する分類結果表示領域512とを有している。さらに、編集用画面51は、これらの編集画面領域511及び分類結果表示領域512の下方に、編集画面領域511中の文を“発生状況”に再分類するための発生状況ボタン513と、同じく“対処”に再分類するための対処ボタン514と、同じく“原因”に再分類するための原因ボタン515と、同じく“対策”に再分類するための対策ボタン516と、編集結果を保存するための保存ボタン517と、編集作業を終了するための終了ボタン518とを有している。
【0070】
教材作成者は、分類結果表示領域512内に示されている各構成項目への分類結果を参照し、この分類結果が適切であるか否かを検討する。その結果、適切であると判断した場合、教材作成者は入力部33を用いて終了ボタン518をクリックする。この場合、教材コンテンツの修正が不要であると判断されたことになるため、教材コンテンツ修正処理は終了する。これに対し、分類結果が適切ではないと判断した場合、教材作成者は、入力部33を用いて、適切に分類されていないと考えられる文を編集画面領域511内で選択し、その選択した文の適切な分類先であると考えられる構成項目のボタン(発生状況ボタン513、対処ボタン514、原因ボタン515及び対策ボタン516の何れかのボタン)をクリックする。このとき、選択された文の文字の色を再分類先となる構成項目に対応した色に変更する処理を実行することによって、再分類の結果を視覚的に確認できるようにすることが望ましい。このような再分類のための操作を行った後、教材作成者は、入力部33を用いて保存ボタン517をクリックすることにより編集結果を保存し、その後終了ボタン518をクリックすることによって編集作業を終了させる。
【0071】
上述したようにして保存ボタン517がクリックされた場合、教材作成用クライアント3に対して、どの文の分類が変更されたのかを示す修正情報が入力されることになる。教材作成用クライアント3は、この修正情報の入力を受け付けた場合(S304)、その修正情報をサーバ2に対して送信する(S305)。
【0072】
サーバ2は、教材作成用クライアント3から送信された修正情報を受信すると(S405)、その修正情報の内容に基づいて、教材コンテンツDB201に記憶されている教材コンテンツを修正する(S406)。具体的には、修正情報に示されている文の新しい分類先の構成項目と当該文とを関連付けたデータを生成し、そのデータを用いて元の教材コンテンツを書き換えることにより、教材コンテンツの修正が行われる。
【0073】
次に、サーバ2は、修正情報の内容に基づいて、分類基準情報DB200に記憶されている分類基準情報を修正する(S407)。この処理について詳述すると、修正情報に示されている文、即ち再分類が行われた文の中から、分類基準情報DB200に格納されている単語を抽出する。そして、その単語の出現頻度の値を増大させる。このようにして分類基準情報を修正することにより、次回以降の分類の精度を高めることができる。
【0074】
特定の単語については、複数の異なる構成項目のそれぞれにおいて頻出する場合がある。換言すれば、複数の構成項目において頻出する単語が重なることがある。このような場合、処理対象文と各基準文との類似度に有意な差が認められない等の現象が生じ得るため、上述したようなサーバ2による自動的な処理のみでは、適切な分類が実現できないことがある。上述したようにして、教材作成者による編集に基づいた再分類を行うことによって、より適切な分類を実現し、教材コンテンツの質を高めることが可能になる。
【0075】
なお、教材コンテンツの中に個人を識別することができる個人情報が含まれている場合、これを別の単語に置き換える必要が生じ得る。そのため、サーバ2が、個人情報に関する単語を記憶した辞書データを用意しておき、辞書データ中の単語と教材コンテンツ中の単語とを照合することによって当該単語が個人情報に該当するか否かを判定し、個人情報であると判定した場合に適当な単語に置き換える等の処理を行うことが望ましい。また、このようなサーバ2による処理のみでは教材コンテンツの中から個人情報を完全に取り除くことが難しい場合があるため、上述した編集用画面51を用いた編集の際に、教材作成者の判断で個人情報を適当な単語に置き換えるようにすることが望ましい。
【0076】
また、教材コンテンツ中の表現・言い回しが適切ではない場合に、上述した編集用画面51を用いた編集の際に、教材作成者の判断で適切な表現・言い回しに置き換えるようにしてもよい。この場合、サーバ2が、例えば特徴ベクトルを用いることによって内容が類似している教材コンテンツを教材コンテンツDB201から抽出し、その教材コンテンツを教材作成者に提示することが望ましい。これにより、教材作成者は、類似している教材コンテンツを参考にしながら、編集対象の教材コンテンツ中に不適切な表現・言い回しが存在しないかどうか、存在する場合にどのような表現・言い回しに置き換えるのがよいか等を検討することができる。
【0077】
なお、本実施の形態では、教材コンテンツ生成処理及び教材コンテンツ修正処理を別々の処理として説明したが、これらの処理を組み合わせて一つの教材コンテンツ生成処理としてもよい。具体的には、例えば、事例報告書データ中の各文の分類を行った後に、上記の編集作業を実行し、それにより内容が修正されたものを教材コンテンツとして教材コンテンツDB201に登録する等の処理を行うようにしてもよい。
【0078】
[eラーニングシステムの動作]
eラーニングシステムSでは、上述したようにして生成された教材コンテンツを用いて学習が行われる。即ち、サーバ2が、教材コンテンツDB201に記憶されている教材コンテンツを学習用クライアント4に対して送信し、それを受信した学習用クライアント4が当該教材コンテンツを画像表示部42に表示する等して学習が行われる。
【0079】
図11A及び図11Bは、学習用クライアント4の画像表示部42に表示される画面の一例を示す図である。学習者はまず、図11Aに示す第1学習画面52を参照する。この第1学習画面52は、教材コンテンツ中の文のうち“発生状況”に係る文を表示する発生状況表示領域521と、同じく“対処”に係る文を表示する対処表示領域522と、次の画面に進むための前進ボタン523とを有している。学習者は、“発生状況”に係る文及び“対処”に係る文を確認し、その状況を疑似体験する。そして、学習者は、この事例において、どこに問題があったのか(“原因”)及びどうすべきであるか(“対策”)を検討した後、入力部43を用いて前進ボタン523をクリックする。
【0080】
このように前進ボタン523がクリックされると、画像表示部42には図11Bに示す第2学習画面53が表示される。第2学習画面53は、教材コンテンツ中の文のうち“原因”に係る文を表示する原因表示領域531と、同じく“対策”に係る文を表示する対策表示領域532と、前の画面に戻るための後退ボタン533とを有している。学習者は、“原因”に係る文及び“対策”に係る文を確認し、それらの内容と自己が先に検討した内容とを比較する等して、自己の知識の確認及び新たな知識の習得等を行う。ここで、再度“発生状況”に係る文及び“対処”に係る文を確認したい場合、学習者は後退ボタン533をクリックする。これにより、第1学習画面53が再度表示され、“発生状況” に係る文及び“対処”に係る文を確認することができる。
【0081】
上述したとおり、本実施の形態の教材コンテンツ生成システム1により生成された教材コンテンツを用いることによって、事例報告書の内容をそのまま学習者に提示するのではなく、その内容を構成項目毎に整理した上で提示することができるため、暗黙知と考えられるような知識の獲得を容易にすることができる。
【0082】
(実施の形態2)
実施の形態1では、上述したとおり、紙媒体の事例報告書を用いて教材コンテンツを生成する。これに対し、実施の形態2に係る教材コンテンツ生成システムは、紙媒体の事例報告書に加えて、既に電子化された事例報告書データを用いて教材コンテンツを生成するシステムである。
【0083】
図12は、実施の形態2に係る教材コンテンツ生成システムが備えるサーバの構成を示すブロック図である。図12に示すとおり、サーバ6は、コンピュータ6aによって実現される。このコンピュータ6aは、実施の形態1の場合と同様にハードディスク21dを備えており、このハードディスク21dには、可搬型記録媒体64から読み出されたコンピュータ6aをサーバ6として機能させるためのコンピュータプログラム64aがインストールされている。また、ハードディスク21dには、実施の形態1における分類基準情報DB200及び教材コンテンツDB201に加えて、事例報告書データベース(DB)600が設けられている。なお、サーバ6のその他の構成については、実施の形態1の場合と同様であるので、同一符号を付して説明を省略する。また、本実施の形態の教材コンテンツ生成システムが備える教材作成用クライアント、及びその教材コンテンツ生成システムを含むeラーニングシステムが備える学習用クライアントの構成についても、実施の形態1の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0084】
図13は、上述した事例報告書DB600の構造を示す模式図である。図13に示すとおり、事例報告書DB600は、構成項目領域600aと、事例報告書ID領域600bと、文領域600c,600d,600e及び600fとを有している。ここで、構成項目領域600aには、実施の形態1の場合と同様の事例報告書の構成項目が格納される。また、事例報告書ID領域600bには、各事例報告書データの識別子である事例報告書IDが格納され、文領域600c,600d,600e及び600fには、事例報告書の作成者によって各構成項目に分類された事例報告書中の文がそれぞれ格納される。
【0085】
この事例報告書DB600に格納される事例報告書データは、事例報告書の作成者(以下、「報告作成者」という)によって入力されたものである。報告作成者は、教材作成用クライアント3を用いて、事例報告書データの入力を行う。この教材作成用クライアント3には事例報告書入力用のインタフェース画面が用意されており、そのインタフェース画面を用いて作成者が事例報告書の内容を入力することにより、構成項目への分類を行うことができる。
【0086】
図14は、上述した事例報告書入力用のインタフェース画面の一例を示す図である。図14に示すように、このインタフェース画面71は、“発生状況”に係る文を入力するための発生状況入力領域711と、“対処”に係る文を入力するための対処入力領域712と、“原因”に係る文を入力するための原因入力領域713と、“対策”に係る文を入力するための対策入力領域714と、入力内容を保存するための保存ボタン715と、入力作業を終了するための終了ボタン716とを有している。報告作成者は、事例報告書の内容を、発生状況入力領域711,対処入力領域712,原因入力領域713,及び対策入力領域714の各入力領域に入力する。このとき、報告作成者は、自らの判断に基づいて、事例報告書の内容を各構成項目に分類し、入力する。その後、報告作成者は、保存ボタン715をクリックして入力内容(事例報告書データ)を保存した後、終了ボタン716をクリックして入力作業を終了する。保存された事例報告書データは、教材作成用クライアント3からサーバ6に対して送信され、サーバ6において事例報告書DB600に登録される。
【0087】
本実施の形態は、実施の形態1の場合と同様の教材コンテンツ生成処理及び教材コンテンツ修正処理を実行するが、それに加えて、独自の教材コンテンツ生成処理も行う。この独自の教材コンテンツ生成処理では、報告作成者とは別人である教材作成者によって事例報告書データの内容が編集され、その編集結果に基づいて教材コンテンツが生成される。以下、この動作について説明する。
【0088】
図15は、本実施の形態の教材コンテンツ生成システムが実行する教材コンテンツ生成処理の手順を示すフローチャートである。
教材作成者は、教材作成用クライアント3の入力部33を用いて、事例報告書IDを指定した上で事例報告書データの編集を行う旨を指示する。この指示を受け付けた教材作成用クライアント3は、当該事例報告書データの編集の開始を指示するための編集開始指示をサーバ6に対して送信する(S501)。
【0089】
サーバ6は、教材作成用クライアント3から送信された編集開始指示を受信すると(S601)、教材作成者によって指定された事例報告書IDをキーとして事例報告書DB600を検索する(S602)。そして、サーバ6は、検索された事例報告書データを編集するための編集用画面を示す編集用画面情報を生成し(S603)、その生成した編集用画面情報を教材作成用クライアント3に対して送信する(S604)。
【0090】
教材作成用クライアント3は、サーバ6から送信された編集用画面情報を受信すると(S502)、その受信した編集用画面情報で示される編集用画面を画像表示部32にて表示する(S503)。
【0091】
図16は、教材作成用クライアント3の画像表示部32に表示される事例報告書データの編集用画面の一例を示す図である。編集用画面72は、事例報告書データを構成する文のうち“発生状況”に係る文を表示するための発生状況表示領域721と、同じく“対処”に係る文を表示するための対処表示領域722と、同じく“原因”に係る文を表示するための原因表示領域723と、同じく“対策”に係る文を表示するための対策表示領域724とを有している。さらに、編集用画面72は、これらの各表示領域721乃至724の下方に、各表示領域721乃至724中の文を“発生状況”に再分類するための発生状況ボタン725と、同じく“対処”に再分類するための対処ボタン726と、同じく“原因”に再分類するための原因ボタン727と、同じく“対策”に再分類するための対策ボタン728と、編集結果を保存するための保存ボタン729と、編集作業を終了するための終了ボタン730とを有している。
【0092】
教材作成者は、各表示領域721乃至724内に示されている各構成項目の内容を確認し、報告作成者が行った分類が適切であるか否かを検討する。その結果、適切であると判断した場合、教材作成者は入力部33を用いて終了ボタン730をクリックする。この場合、事例報告書データの修正が不要であると判断されたことになるため、この事例報告書データがそのまま教材コンテンツとなる。サーバ6は、事例報告書データを修正せずに教材コンテンツDB201に登録することにより、教材コンテンツ生成処理は終了する。これに対し、分類結果が適切ではないと判断した場合、教材作成者は、入力部33を用いて、適切に分類されていないと考えられる文を各表示領域721乃至724内で選択し、その選択した文の適切な分類先であると考えられる構成項目のボタン(発生状況ボタン725、対処ボタン726、原因ボタン727及び対策ボタン728の何れかのボタン)をクリックする。このとき、選択された文の文字の色を所定の色に変更する処理を実行することによって、再分類の結果を視覚的に確認できるようにすることが望ましい。このような再分類のための操作を行った後、教材作成者は、入力部33を用いて保存ボタン729をクリックすることにより編集結果を保存し、その後終了ボタン730をクリックすることによって編集作業を終了させる。
【0093】
上述したようにして保存ボタン729がクリックされた場合、教材作成用クライアント3に対して、どの文の分類が変更されたのかを示す修正情報が入力されることになる。教材作成用クライアント3は、この修正情報の入力を受け付けた場合(S504)、その修正情報をサーバ6に対して送信する(S505)。
【0094】
サーバ6は、教材作成用クライアント3から送信された修正情報を受信すると(S605)、その修正情報に示されている文の新しい分類先の構成項目と当該文とを関連付けたデータを生成し、そのデータを用いて事例報告書データを書き換えることにより、教材コンテンツを生成する(S606)。そして、サーバ6は、その生成した教材コンテンツを教材コンテンツDB201に登録し(S607)、処理を終了する。
【0095】
以上の処理により、教材作成者によって行われた再分類の結果が反映された教材コンテンツを生成することができる。事例報告書データにおける各構成項目の分類は、報告作成者のスキル等によってはその結果が適切ではない場合があるため、教材コンテンツの質のばらつきが生じ得る。本実施の形態のように、教材作成者の編集を経ることによって、質のばらつきの少ない教材コンテンツを実現することができる。
【0096】
(その他の実施の形態)
なお、上述した各実施の形態においては、教材コンテンツ生成システムがサーバ2,6及び教材作成用クライアント3で構成されている場合について述べたが、本発明はこのような構成に限定されるわけではなく、例えばサーバ2,6及び教材作成用クライアント3の機能を1台の装置に搭載した教材コンテンツ生成システムとしてもよい。その他にも、例えば学習用クライアント4が教材作成用クライアント3を兼ねるような構成であってもよい。
【0097】
また、上述した実施の形態1においては、出現頻度に基づいて算出された特徴ベクトルを用いて2つの文の類似度を算出しているが、他の方法によって類似度の算出を行うようにしてもよい。例えば、構文をツリー構造(構文木)とした上で構文木の類似度を測る手法として、構文木間の共通する部分木の数を類似度とするTree Kernel(TK)、構文木間の共通する導出規則の数を類似度とするTree Overlapping(TO)、構文木間の根から葉の間で共通する部分経路の数を類似度とするSubpath Set(SS)等が提案されており、これらの手法を用いて2つの文の類似度を算出するようにしてもよい。その他にも、例えば、単語の一致度を用いたり、単語の意味の一致度を用いたりすることにより、2つの文の類似度を算出するようにしてもよい。
【0098】
また、上述した実施の形態においては、学習用クライアント4がコンピュータ4aにより構成されている場合について述べたが、これに限定されるものではない。学習用クライアント4を、携帯型電話機、スマートフォン、PDA、携帯型ゲーム機等により構成してもよい。
【0099】
また、上述した実施の形態においては、単一のコンピュータ2a,6aによりコンピュータプログラム24a,64aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述したコンピュータプログラム24a,64aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。コンピュータ3a,4aについても同様である。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明の教材コンテンツ生成システム、教材コンテンツ生成方法、及びコンピュータプログラムは、eラーニングで用いられる教材コンテンツを生成するための教材コンテンツ生成システム、教材コンテンツ生成方法、及びコンピュータに当該教材コンテンツを生成させるためのコンピュータプログラムとして有用である。
【符号の説明】
【0101】
1 教材コンテンツ生成システム
2 サーバ
2a コンピュータ
21a CPU
21b ROM
21c RAM
21d ハードディスク
24a コンピュータプログラム
200 分類基準情報データベース
201 教材コンテンツデータベース
3 教材作成用クライアント
3a コンピュータ
31a CPU
31b ROM
31c RAM
31d ハードディスク
32 画像表示部
33 入力部
34 スキャナ
35a コンピュータプログラム
4 学習用クライアント
4a コンピュータ
5 情報ネットワーク
6 サーバ
6a コンピュータ
64a コンピュータプログラム
600 事例報告書データベース
51 編集用画面
52 第1学習画面
53 第2学習画面
71 インタフェース画面
72 編集用画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の文を含む事例報告書を電子化した事例報告書データを取得する事例報告書データ取得手段と、
事例報告書中の文を特定の構成項目に分類するための分類基準を示す分類基準情報を記憶する分類基準情報記憶部と、
前記分類基準情報記憶部に記憶されている分類基準情報に基づいて、前記事例報告書データ取得手段によって取得された事例報告書データに含まれる複数の文のそれぞれを構成項目別に分類する分類手段と、
前記複数の文を、前記分類手段によって分類された構成項目と関連付けることにより教材コンテンツを生成するコンテンツ生成手段と
を備える、教材コンテンツ生成システム。
【請求項2】
前記分類基準情報記憶部が、各構成項目における特定の単語の出現頻度に基づいて規定された前記分類基準を示す分類基準情報を記憶しており、
前記分類手段が、前記分類基準情報に示される前記特定の単語の出現頻度に基づいて、前記事例報告書データに含まれる複数の文のそれぞれを構成項目別に分類するように構成されている、請求項1に記載の教材コンテンツ生成システム。
【請求項3】
前記分類手段による分類結果に基づいて、前記単語の出現頻度を更新することによって、前記分類基準情報記憶部に記憶されている分類基準情報を更新する分類基準情報更新手段をさらに備える、請求項1又は2に記載の教材コンテンツ生成システム。
【請求項4】
前記分類基準情報記憶部が、事例報告書中の文を、少なくとも、事例の発生状況、対処、原因、及び対策の各構成項目に分類するための分類基準情報を記憶しており、
前記分類手段が、前記分類基準情報に基づいて、事例報告書データに含まれる複数の文のそれぞれを、事例の発生状況、対処、原因、及び対策の何れかの構成項目に分類するように構成されている、請求項1乃至3の何れかに記載の教材コンテンツ生成システム。
【請求項5】
前記分類手段による分類結果を示す分類結果情報を出力する出力部と、
前記出力部に出力された分類結果情報に示されている分類結果の修正を示す修正情報を入力するための入力部と、
前記入力部によって入力された修正情報に基づいて、前記コンテンツ生成手段によって生成された教材コンテンツにおける前記複数の文と前記構成項目との関連付けを修正するコンテンツ修正手段と
をさらに備える、請求項1乃至3の何れかに記載の教材コンテンツ生成システム。
【請求項6】
前記入力部によって入力された修正情報に基づいて、前記分類基準情報記憶部に記憶されている分類基準情報を修正する分類基準情報修正手段を
さらに備える、請求項5に記載の教材コンテンツ生成システム。
【請求項7】
複数の文を含む事例報告書を電子化した事例報告書データを取得するステップと、
事例報告書中の文を特定の構成項目に分類するための分類基準を示す分類基準情報に基づいて、前記事例報告書データを取得するステップにおいて取得した事例報告書データに含まれる複数の文のそれぞれを構成項目別に分類するステップと、
前記複数の文を、前記構成項目別に分類するステップにおいて分類した構成項目と関連付けることにより教材コンテンツを生成するステップと
を有する、教材コンテンツ生成方法。
【請求項8】
eラーニングで用いられる教材コンテンツをコンピュータに生成させるためのコンピュータプログラムにおいて、
複数の文を含む事例報告書を電子化した事例報告書データを取得するステップと、
事例報告書中の文を特定の構成項目に分類するための分類基準を示す分類基準情報に基づいて、前記事例報告書データを取得するステップにおいて取得した事例報告書データに含まれる複数の文のそれぞれを構成項目別に分類するステップと、
前記複数の文を、前記構成項目別に分類するステップにおいて分類した構成項目と関連付けることにより教材コンテンツを生成するステップと
を前記コンピュータに実行させる、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−118369(P2012−118369A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269084(P2010−269084)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】