説明

教材処理装置、教材処理方法および教材処理プログラム

【課題】教育用教材についての採点集計処理の省力化を図る場合に、その教育用教材の識別特定を精度良く、しかも大きな負担を強いることなく行えるようにする。
【解決手段】教育用教材から画像データを得る第1画像読取手段31と、その教育用教材についての採点集計を行う算出・演算手段36,37と、前記画像データの画像特徴量を算出する第1特徴量算出手段38と、前記採点集計の結果と前記画像特徴量を対応付けて記憶するデータベース手段40と、前記採点集計の結果を印刷出力するプリント手段46と、印刷出力対象となる教育用教材から画像データを得る第2画像読取手段41と、その画像データの画像特徴量を算出する第2特徴量算出手段44と、算出した画像特徴量に対応する前記採点集計の結果を前記データベース手段40から取り出して印刷出力させる演算情報取得手段45とを備えて、教材処理装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、教育機関で用いられる教育用教材を取り扱う教材処理装置、教材処理方法および教材処理プログラムに関し、特にその教育用教材についての採点処理を行う教材処理装置、教材処理方法および教材処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、学校や塾等の教育機関では、例えばテストの答案用紙や練習問題シートのような教育用教材を用いることが多い。すなわち、問題およびその解答欄を有した教育用教材を用いて、その教育用教材上に生徒に解答を記入させ、その記入された解答に対して教師が採点を行う、といったことが広く行われている。
【0003】
このような教育機関で用いられる教育用教材については、その採点集計処理の省力化が強く求められている。これに応えるべく、採点集計処理の省力化を実現するものとしては、例えば、生徒による解答の記入および教師による当該解答に対する得点の追記が問題別にされた答案用紙について、これをスキャンして問題別得点の記入内容の文字認識を行い、その文字認識結果から全問題についての合計得点やこれに付随する他の情報(例えば総合順位や平均点)を集計し、その集計結果を答案用紙にプリントアウトすることで、その集計の能率を向上させるシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−245207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、教育用教材についての採点集計処理の結果をその教育用教材上にプリントアウトするにあたっては、その教育用教材の識別特定が必要となる。採点集計結果は、その結果を得る元になった教育用教材上に的確にプリントアウトされなければならないからである。
教育用教材の識別特定は、例えば教育用教材の1枚々々のそれぞれに個別にID番号等の識別情報を付与しておき、プリントアウトの際にその識別情報を認識することによって行うことが考えられる。しかしながら、各教育用教材に個別の識別情報を付与しておくことや、識別情報が付与された教育用教材をその識別情報と対応させながら生徒に配布すること等は、非現実的であり、その運用等に大きな負担を強いる可能性がある。
この点については、例えば、各教育用教材に個別の識別情報を付与しておくのではなく、生徒が教育用教材上に記入した情報、具体的には解答者である生徒の氏名、出席番号または受験番号等の手書き文字を読み取って文字認識することで、教育用教材に対する識別特定を行うことも考えられる。しかしながら、手書き文字に対する文字認識精度は必ずしも良好であるとはいえず、誤認識が発生し、その結果識別特定ミスが生じてしまう可能性もある。
【0006】
そこで、本発明は、教育用教材についての採点集計処理の省力化を図る場合であっても、教育用教材の識別特定を精度良く良好に行い得るとともに、そのために大きな負担を強いることもなく、採点集計処理の結果をその結果を得る元になった教育用教材上に的確に出力することのできる、教材処理装置、教材処理方法および教材処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために案出された教材処理装置で、解答欄への解答の記入および当該解答に対する正誤判定の記入がされた教育用教材に対する画像読み取りを行って当該教育用教材から画像データを得る第1画像読取手段と、前記第1画像読取手段で得た画像データから前記正誤判定の記入内容を抽出する抽出手段と、前記抽出手段による抽出結果に基づき前記第1画像読取手段が画像読み取りを行った教育用教材について当該教育用教材に記入された正誤判定の採点集計を行う算出・演算手段と、前記第1画像読取手段で得た画像データについての画像特徴量を算出する第1特徴量算出手段と、前記算出・演算手段による正誤判定の採点集計結果と前記第1特徴量算出手段による画像特徴量の算出結果とを互いに対応付けて記憶保持するデータベース手段と、前記算出・演算手段による正誤判定の採点集計結果を前記教育用教材上に印刷出力するプリント手段と、前記プリント手段での印刷出力の対象となる教育用教材に対する画像読み取りを行って当該教育用教材から画像データを得る第2画像読取手段と、前記第2画像読取手段で得た画像データについての画像特徴量を算出する第2特徴量算出手段と、前記第2特徴量算出手段による画像特徴量の算出結果をキーとして当該画像特徴量に対応する前記正誤判定の採点集計結果を前記データベース手段から取り出して前記プリント手段に印刷出力させる演算情報取得手段とを備えることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明は、上記目的を達成するために案出された教材処理方法で、解答欄への解答の記入および当該解答に対する正誤判定の記入がされた教育用教材に対する画像読み取りを行って当該教育用教材から画像データを得る第1画像読取ステップと、前記第1画像読取ステップで得た画像データから前記正誤判定の記入内容を抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップでの抽出結果に基づき前記第1画像読取ステップで画像読み取りを行った教育用教材について当該教育用教材に記入された正誤判定の採点集計を行う算出・演算ステップと、前記第1画像読取ステップで得た画像データについての画像特徴量を算出する第1特徴量算出ステップと、前記算出・演算ステップでの正誤判定の採点集計結果と前記第1特徴量算出ステップでの画像特徴量の算出結果とを互いに対応付けて記憶保持するデータベースステップと、前記算出・演算ステップでの正誤判定の採点集計結果を前記教育用教材上に印刷出力するプリントステップと、前記プリントステップでの印刷出力の対象となる教育用教材に対する画像読み取りを行って当該教育用教材から画像データを得る第2画像読取ステップと、前記第2画像読取ステップで得た画像データについての画像特徴量を算出する第2特徴量算出ステップと、前記第2特徴量算出ステップでの画像特徴量の算出結果をキーとして当該画像特徴量に対応する前記正誤判定の採点集計結果を前記データベースステップで記憶保持した中から取り出して前記プリントステップでの印刷出力に供する演算情報取得ステップとを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記目的を達成するために案出された教材処理プログラムで、画像読み取りを行う画像読取装置および印刷出力を行う印刷装置と接続するコンピュータを、解答欄への解答の記入および当該解答に対する正誤判定の記入がされた教育用教材に対する画像読み取りの結果である画像データを得る第1画像読取手段と、前記第1画像読取手段で得た画像データから前記正誤判定の記入内容を抽出する抽出手段と、前記抽出手段による抽出結果に基づき前記第1画像読取手段が画像読み取りを行った教育用教材について当該教育用教材に記入された正誤判定の採点集計を行う算出・演算手段と、前記第1画像読取手段で得た画像データについての画像特徴量を算出する第1特徴量算出手段と、前記算出・演算手段による正誤判定の採点集計結果と前記第1特徴量算出手段による画像特徴量の算出結果とを互いに対応付けて記憶保持するデータベース手段と、前記算出・演算手段による正誤判定の採点集計結果を前記印刷装置に印刷出力させるプリント手段と、前記印刷装置での印刷出力の対象となる教育用教材に対する画像読み取りの結果である画像データを得る第2画像読取手段と、前記第2画像読取手段で得た画像データについての画像特徴量を算出する第2特徴量算出手段と、前記第2特徴量算出手段による画像特徴量の算出結果をキーとして当該画像特徴量に対応する前記正誤判定の採点集計結果を前記データベース手段から取り出して前記プリント手段による印刷出力に供する演算情報取得手段として機能させることを特徴とするものである。
【0010】
上記構成の教材処理装置、上記手順の教材処理方法、および、上記構成の教材処理プログラムでは、教育用教材から読み取った画像データを基にして、正誤判定の記入内容(例えば、「○」または「×」の図形形状)を認識し、その認識結果に基づき教育用教材に記入された正誤判定の採点集計(例えば、合計得点の算出、総合順位や平均点等の集計)を行うとともに、教育用教材から読み取った画像データについての画像特徴量(例えば、画素分布の特徴を定量的に表現したもの)を算出し、その採点集計結果と画像特徴量の算出結果とを互いに対応付けて記憶保持しておく。そして、その採点集計結果を印刷出力する際には、その印刷出力の対象となる教育用教材から読み取った画像データについての画像特徴量を算出し、その画像特徴量をキーとして、対応する正誤判定の採点集計結果を既に記憶保持している中から取り出す。すなわち、教育用教材上における画像特徴量により、その教育用教材についての識別特定を行うのである。したがって、正誤判定の採点集計結果は、その結果を得る元になった教育用教材上に的確に印刷出力されることになる。しかも、画像特徴量をキーとして教育用教材の識別特定を行うので、その識別特定のために、教育用教材に個別の識別情報を付与しておく必要がなく、また誤認識が発生し得る手書き文字の文字認識等を要することもない。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明の教材処理装置、教材処理方法および教材処理プログラムでは、教育機関で用いられる教育用教材について、その採点集計処理の省力化を図る場合であっても、教育用教材の識別特定を精度良く良好に行い得るとともに、そのために大きな負担を強いることもなく、採点集計処理の結果をその結果を得る元になった教育用教材上に的確に出力することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に基づき本発明に係る教材処理装置、教材処理方法および教材処理プログラムについて説明する。
【0013】
〔システム全体の概略構成の説明〕
先ず、教材処理装置を実現するシステム構成について説明する。図1は、本発明に係る教材処理装置の具体的なシステム構成例を示すブロック図である。図例のように、ここで説明するシステムは、大別すると、スキャナ部1と、データ処理部2と、プリンタ部3と、これらを互いに接続する有線または無線の通信回線(ただし不図示)と、から構成されている。
【0014】
スキャナ部1は、処理対象となる教育用教材4に対して、公知の光学的画像読み取り技術を用いた画像読み取りを行って、その教育用教材4から画像データを得るものである。ただし、スキャナ部1では、ADF(Automatic Document Feeder)を有しており、複数の教育用教材4から連続的に画像データを読み取り得るようになっている。
【0015】
ここで、処理対象となる教育用教材について簡単に説明する。図2は、教育用教材の一具体例を示す説明図である。図例のように、教育用教材4は、問題およびその解答欄4aを有したもので、具体的には教育機関で用いられるテストの答案用紙や練習問題シート等がこれに相当する。ただし、教育用教材4は、少なくとも解答欄4aを有していればよく、問題文については必ずしも記載されていなくともよい。
また、教育用教材4は、その教育用教材4を識別特定するための識別情報欄4bと、解答欄4aへの解答記入者に関する解答者情報欄4cと、を有している。識別情報欄4bには、例えば教育用教材4の科目、タイトル、適用学年等が予め記載されるものとする。ただし、これらの記載に加えて、またはこれらの記載とは別に、教育用教材4を識別するためのコード情報が埋め込まれていてもよい。コード情報の埋め込みは、公知技術を利用して実現すればよいが、その一つの具体例として、例えば「iTone(登録商標)」と呼ばれるもののように、階調表現としての万線スクリーンまたはドットスクリーンを構成する画素の形態(位置、形状等)を変化させることで、ハーフトーン画像の中にデジタル情報を埋め込むようにする、といった技術を用いることが考えられる。一方、解答者情報欄4cには、解答記入者の学級、出席番号、氏名等が記入され得るようになっている。
さらに、教育用教材4は、情報出力欄4dを有している。情報出力欄4dは、解答欄4aに記入された解答に対する合計得点、およびその合計得点に付随する他の情報、例えばクラス単位または学年単位での平均点、総合順位、偏差値等といった情報を記入するためのものである。
【0016】
また図1において、データ処理部2は、情報記憶処理機能、画像処理機能、演算処理機能等を実現するコンピュータ機器としての機能を利用して、スキャナ部1が得た画像データの対するデータ処理およびそのデータ処理結果に基づく採点集計処理を行うものである。そのために、データ処理部2は、原本情報保持蓄積部11と、画像データ解析部12と、教材判別部13と、歪み補正部14と、比較抽出部15と、所定色抽出部16と、画素群分割部17と、形状認識部18と、記入位置認識部19と、情報算出部20と、演算部21と、第1特徴量算出部22と、対応付け部23と、データベース部24と、第2特徴量処理部25と、演算情報取得部26と、を有している。
【0017】
原本情報保持蓄積部11は、処理対象となる教育用教材4についての電子データで、その解答欄等が未記入であるものについての電子データを、当該教育用教材4の原本についての電子データとして保持蓄積しているものである。
このような教育用教材4についての電子データは、原本情報保持蓄積部11にて保持蓄積可能なものであれば、そのデータ形式を問わない。例えば、ビットマップ形式の画像データであっても、文書作成ソフトウェアで作成したアプリケーション文書データであっても良い。
ただし、教育用教材4の電子データは、その教育用教材4における解答欄4aや識別情報欄4b等のレイアウトを特定し得るデータ(以下「元画像データ」という)の他に、その教育用教材4の属性(科目、タイトル、適用学年等)やその教育用教材4における各解答欄4aについての配点を特定するための情報(以下「元画像情報」という)を含んでいるものとする。この元画像情報によって、教育用教材4上における各解答欄4aについて、どの位置の存在する解答欄4aへの配点が何点であるかが特定されることになる。配点は、各解答欄4a毎に異なっていても、あるいは一律であっても構わない。
【0018】
画像データ解析部12は、スキャナ部1で得られた画像データについて、その解析処理を行うものである。解析処理としては、レイアウト解析、文字図形分離、文字認識、コード情報認識、図形処理、色成分認識等が挙げられるが、いずれも公知の画像処理技術を利用して実現すればよいため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0019】
教材判別部13は、タイトル解析部とコード情報解析部との少なくとも一方からなるもので、画像データ解析部12での解析処理の結果、特に識別情報欄4bについてのタイトル解析部によるタイトル解析またはコード情報解析部によるコード解析の少なくとも一方の結果を基にして、スキャナ部1で得られた画像データの元となった教育用教材4を識別特定するものである。このとき、教材判別部13では、原本情報保持蓄積部11が電子データを保持蓄積している教育用教材4と照らし合わせ、該当する電子データが原本情報保持蓄積部11に保持蓄積されていなければ、教育用教材の識別特定エラーと判定するようになっている。すなわち、教材判別部13は、画像データ解析部12での解析結果から、スキャナ部1で得られた画像データとの比較対象となる電子データを特定するものである。
【0020】
歪み補正部14は、スキャナ部1で得られた画像データに対して、その画像データにおける画像歪みの補正を行うものである。画像歪みの補正としては、傾き補正や主走査方向または副走査方向の拡縮補正等が挙げられる。さらに、スキャナ部1で得られた画像データと、比較対象となる原本情報保持蓄積部11内の電子データとを比較照合し、その画像歪み(傾き、拡縮等)を補正するものであってもよい。なお、いずれの補正も、公知の画像処理技術を利用して実現すればよいため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0021】
比較抽出部15は、教材判別部13での教育用教材4の識別特定の結果に基づいて、スキャナ部1で得られた画像データで、歪み補正部14での画像歪みの補正処理後のものと、その比較対象となる原本情報保持蓄積部11内の電子データとを比較して、それぞれの間の差分を抽出するものである。
【0022】
所定色抽出部16は、画像データ解析部12での解析処理の結果を基にしつつ、比較抽出部15に抽出された差分から、さらに所定色成分(例えば赤色成分)についてのものを抽出することで、正誤判定の記入内容を抽出するものである。所定色成分についての抽出を行うのは、一般に正誤判定の記入は所定色(例えば赤色)で行われるからである。
【0023】
画素群分割部17は、所定色抽出部16での抽出結果に対し、互いに関連する画素データ同士(例えば近接位置にあるもの同士)を一つの画素群として纏めて、当該抽出結果を複数の画素群に分割し、これにより一つの図形形状(「○」または「×」)を構成するであろう画素群を得るものである。
また、画素群分割部17では、画素群分割に際し、詳細を後述するように、途切れ補正処理を行うようになっている。途切れ補正処理とは、抽出された線分同士を接続して、その抽出線分間の途切れを解消するための処理である。
【0024】
形状認識部18は、所定色抽出部16で抽出され、画素群分割部17で画素群分割がされた正誤判定の記入内容に対して、その形状認識を行って、その正誤判定の記入内容を認識するものである。形状認識は、例えば「○」または「×」の図形形状とのパターンマッチングによって行えばよい。あるいは、認識対象図形の特徴量を算出し、その特徴量から形状を認識してもよい。特徴量としては、例えば、穴の個数、外接矩形に占める対象図形の面積率、等があげられる。
【0025】
記入位置認識部19は、形状認識部18に形状が認識された正誤判定の記入内容について、その教育用教材4上における記入位置を認識するものである。記入位置の認識は、例えば教育用教材4上における座標解析によって行えばよい。
【0026】
情報算出部20は、形状認識部18による正誤判定の記入内容の認識結果と、記入位置認識部19による正誤判定の記入位置の認識結果と、原本情報保持蓄積部11が保持蓄積している教育用教材4の電子データに含まれる当該教育用教材4の各解答欄4aについての配点情報とを基にして、スキャナ部12が画像読み取りを行った教育用教材4について、その教育用教材4に記入された正誤判定を採点集計して、その合計得点を算出するものである。
【0027】
演算部21は、情報算出部20による算出結果を基に、その算出結果である合計得点に付随する他の情報、例えばクラス単位または学年単位での平均点、総合順位、偏差値等といった情報について、これらを得るための演算を行うものである。なお、どのような情報のについて演算を行うかは、予め定められているものとする。
【0028】
第1特徴量算出部22は、スキャナ部1で得られた画像データについての画像特徴量を算出するものである。画像特徴量とは、画像の特徴を定量的に表現したものをいい、具体的には当該画像における画素分布をヒストグラム化したものや、当該画像における画素分布をランレングスによって表したもの等が挙げられる。
ただし、第1特徴量算出部22では、比較抽出部15での差分抽出結果に基づいて画像特徴量を算出するようになっている。また、スキャナ部1で得られた全画像データ、すなわち読み取り対象となった教育用教材4の全領域について画像特徴量を算出するのではなく、特定の部分から得られた画像データ、具体的には教育用教材4の解答者情報欄4cから得られた画像データについての画像特徴量を算出するようになっている。
【0029】
対応付け部23は、情報算出部20による採点集計結果および演算部21による演算結果と、第1特徴量算出部22による画像特徴量の算出結果とを、互いに対応付けるものである。これにより、同じ教育用教材4から得られた採点集計結果および演算結果と画像特徴量の算出結果とが対応付けられることになる。
【0030】
データベース部24は、対応付け部23による対応付けの結果に従いつつ、情報算出部20による採点集計結果および演算部21による演算結果と、第1特徴量算出部22による画像特徴量の算出結果とを、互いに対応付けた状態で記憶保持するものである。
【0031】
第2特徴量処理部25は、プリンタ部3での印刷出力の対象となる教育用教材4に対して、その印刷出力に先立って、公知の光学的画像読み取り技術を用いた画像読み取りを行って、その教育用教材4から画像データを得るとともに、その画像データについての画像特徴量を算出するものである。この第2特徴量処理部25が算出する画像特徴量は、第1特徴量算出部22が算出する画像特徴量と同種であるものとする。
ただし、第2特徴量処理部25では、教育用教材4からの画像データの読み取りおよびその画像データについての画像特徴量の算出を、必ずしも教育用教材4の全領域について行う必要はなく、少なくとも第1特徴量算出部22が画像特徴量を算出した特定の部分、具体的には教育用教材4の解答者情報欄4cについてのみ行えばよい。
【0032】
演算情報取得部26は、第2特徴量処理部25による画像特徴量の算出結果をキーとして、その画像特徴量(第2特徴量処理部25による算出結果)と同じあるいはほぼ同じ画像特徴量(第1特徴量算出部22による算出結果)に対応する正誤判定の採点集計結果、すなわち情報算出部20による採点集計結果および演算部21による演算結果を、データベース部24内から取り出して、これをプリンタ部3に印刷出力させるものである。
【0033】
プリンタ部3は、演算情報取得部26からの指示に従いつつ、情報算出部20による採点集計結果および演算部21による演算結果を、その採点集計結果および演算結果を得た教育用教材4上に、公知の電子写真技術を用いて印刷出力するものである。
【0034】
ところで、プリンタ部3では、給紙トレイ内から1枚ずつ取り出した媒体に対して印刷出力を行うようになっている。したがって、プリンタ部3が印刷出力を行うのに先立ち、そのプリンタ部3の給紙トレイ内には、印刷出力の対象となる教育用教材4、すなわちスキャナ部1での画像読み取りが行われた後の教育用教材4がセットされているものとする。
その場合に、画像読み取り後の教育用教材4については、スキャナ部1とプリンタ部3との間を結ぶ搬送路(ただし不図示)を経て、プリンタ部3の給紙トレイ内に給送することが考えられる。すなわち、スキャナ部1とプリンタ部3との間に教育用教材4を搬送する搬送路を設けておき、スキャナ部1での画像読み取り後の教育用教材4が、自動的にプリンタ部3の給紙トレイ内へ搬送されるようにする。
一方、教育用教材4については、必ずしも自動的な搬送を行う必要はなく、例えばスキャナ部1からプリンタ部3への移送を人手によって行うようにしても構わない。
自動搬送、人手搬送のいずれの場合であっても、プリンタ部3の給紙トレイとプリンタエンジン部との間には、印刷出力の対象とする教育用教材4を識別特定するために、上述した第2特徴量処理部25が画像読み取りを行うのに用いるCCD(Charge Coupled Device)センサ等の読み取り手段が配設されているものとする。
【0035】
なお、以上のようなスキャナ部1、データ処理部2およびプリンタ部3からなるシステム構成の教材処理装置のうち、データ処理部2を構成する各部11〜26については、例えばコンピュータ機器に予め所定プログラムをインストールしておき、その所定プログラムを実行させることで実現することが考えられる。ただし、その場合に、各部11〜26を実現するための所定プログラムは、予めインストールされているのではなく、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納されて提供されるものであっても、または有線若しくは無線による通信手段を介して配信されるものであってもよい。つまり、上述した構成の教材処理装置は、スキャナ部(画像読取装置)1およびプリンタ部(印刷装置)3と接続するコンピュータを教材処理装置として機能させる教材処理プログラムによっても実現することが可能である。
【0036】
〔教材処理装置の特徴的な機能構成の説明〕
次に、以上のようなシステム構成によって実現される教材処理装置(教材処理プログラムによって実現される場合を含む)の特徴的な機能構成について、さらに詳しく説明する。
【0037】
図3は、本発明に係る教材処理装置の機能構成例を示すブロック図である。図例のように、教材処理装置は、第1画像読取手段31と、原本情報蓄積手段32と、第1原本探索手段33と、第1追記データ抽出手段34と、正誤判定抽出手段35と、情報算出手段36と、演算手段37と、第1特徴量算出手段38と、特徴量・情報対応付け手段39と、データベース手段40と、第2画像読取手段41と、第2原本探索手段42と、第2追記データ抽出手段43と、第2特徴量算出手段44と、演算情報取得手段45と、プリント手段46としての機能を備えて構成されている。
【0038】
第1画像読取手段31は、スキャナ部1によって実現される機能で、解答欄4aへの解答の記入および当該解答に対する正誤判定の記入がされた教育用教材4に対する画像読み取りを行って当該教育用教材4から画像データを得るためのものである。
【0039】
原本情報蓄積手段32は、原本情報保持蓄積部11によって実現される機能で、教育用教材4の原本についての電子データとして保持蓄積するためのものである。
【0040】
第1原本探索手段33は、画像データ解析部12および教材判別部13によって実現される機能で、第1画像読取手段31で得られた画像データとの比較対象となる電子データを特定し、その特定した電子データを原本情報蓄積手段32内から探索するものである。
【0041】
第1追記データ抽出手段34は、画像データ解析部12、歪み補正部14および比較抽出部15によって実現される機能で、第1画像読取手段31で得られた画像データを、原本情報蓄積手段32が保持蓄積する電子データで、第1原本探索手段33が探索して当該原本情報蓄積手段32から取り出したものと比較して、その差分を抽出するものである。この差分抽出によって、教育用教材4上への生徒および教師による追記内容が抽出されることになる。
【0042】
正誤判定抽出手段35は、所定色抽出部16、画素群分割部17、形状認識部18および記入位置認識部19によって実現される機能で、第1追記データ抽出手段34での差分抽出結果に基づいて、教育用教材4上への正誤判定の記入内容を抽出・認識するものである。
【0043】
情報算出手段36は、情報算出部20によって実現される機能で、正誤判定抽出手段35による抽出・認識結果に基づき、教育用教材4に記入された正誤判定を採点集計して、その合計得点を算出するものである。
【0044】
演算手段37は、演算部21によって実現される機能で、情報算出手段36による算出結果を基に、その算出結果に付随する他の情報を得るための演算を行うものである。
【0045】
第1特徴量算出手段38は、第1特徴量算出部22によって実現される機能で、第1画像読取手段31で得られた画像データについて、第1追記データ抽出手段34での差分抽出結果に基づき、その画像データの画像特徴量を算出するものである。ただし、第1特徴量算出手段38では、教育用教材4が有する解答者情報欄4cから得た画像データについての画像特徴量を算出するようになっている。
【0046】
特徴量・情報対応付け手段39は、対応付け部23によって実現される機能で、情報算出手段36による採点集計結果および演算手段37による演算結果と、第1特徴量算出手段38による画像特徴量の算出結果とを、互いに対応付けるものである。
【0047】
データベース手段40は、データベース部24によって実現される機能で、特徴量・情報対応付け手段39での対応付けの結果に従いつつ、情報算出手段36による採点集計結果および演算手段37による演算結果と、第1特徴量算出手段38による画像特徴量の算出結果とを、互いに対応付けた状態で記憶保持するものである。
【0048】
第2画像読取手段41は、第2特徴量処理部25によって実現される機能で、プリンタ部3での印刷出力の対象となる教育用教材4に対する画像読み取りを行って、その教育用教材4から画像データを得るためのものである。なお、第2画像読取手段41は、教育用教材4の全域について画像読み取りを行うものである必要はなく、少なくとも教育用教材4が有する解答者情報欄4cについてのみ画像読み取りを行うものであればよい。
【0049】
第2原本探索手段42は、第2特徴量処理部25によって実現される機能で、第2画像読取手段41で得られた画像データとの比較対象となる電子データを特定し、その特定した電子データを原本情報蓄積手段32内から探索するものである。
【0050】
第2追記データ抽出手段43は、第2特徴量処理部25によって実現される機能で、第2画像読取手段41で得られた画像データを、原本情報蓄積手段32が保持蓄積する電子データで、第2原本探索手段42が探索して当該原本情報蓄積手段32から取り出したものと比較して、その差分を抽出するものである。この差分抽出によって、教育用教材4が有する解答者情報欄4cへの生徒による追記内容が抽出されることになる。
【0051】
第2特徴量算出手段44は、第2特徴量処理部25によって実現される機能で、第2画像読取手段41で得られた画像データについて、その画像データの画像特徴量を算出するものである。このとき、第2特徴量算出手段44では、第2追記データ抽出手段43での差分抽出結果に基づき、画像特徴量を算出するようになっている。したがって、第2特徴量算出手段44においても、第1特徴量算出手段38と同様に、教育用教材4が有する解答者情報欄4cから得た画像データについての画像特徴量を算出することになる。
【0052】
演算情報取得手段45は、演算情報取得部26によって実現される機能で、第2特徴量算出手段44による画像特徴量の算出結果をキーとして、その画像特徴量(第2特徴量算出手段44による算出結果)と同じあるいはほぼ同じ画像特徴量(第1特徴量算出手段38による算出結果)に対応する正誤判定の採点集計結果を、データベース手段40により記憶保持されている中から取り出して、これを印刷出力させるものである。
【0053】
プリント手段46は、プリンタ部3によって実現される機能で、演算情報取得手段45がデータベース手段40内から取り出した正誤判定の採点集計結果、すなわち情報算出手段36による採点集計結果および演算手段37による演算結果を、その採点集計結果および演算結果を得た教育用教材4上に印刷出力するためのものである。
【0054】
〔処理動作例の概要の説明〕
次に、以上のように構成された教材処理装置(教材処理プログラムによっても実現される場合を含む)における処理動作例、すなわち本発明に係る教材処理方法の手順について説明する。図4は、本発明に係る教材処理装置における基本的な処理動作例の概要を示す説明図である。
【0055】
教材処理装置を利用する場合には、先ず、生徒等によって解答者情報欄4cへの氏名等の記入および解答欄4aへの解答記入がされ、さらに教師等によって各解答欄4aに記入された解答に対する「○」や「×」等の正誤判定の図形記入がされた教育用教材4について、スキャナ部1が画像読み取りを行って、その教育用教材4からの画像データを得る(ステップ101、以下ステップを「S」と略す)。このとき、ADFを用いることで、例えば同一学級のような一つのグループに纏めて処理すべき複数の教育用教材4について、一括して画像読み取りを行って、各教育用教材4から連続的に画像データを得ることができる。
【0056】
このスキャナ部1での画像読み取りによって得られた画像データについては、データ処理部2へ送られて、一旦、そのデータ処理部2のワークエリアとして用いられるメモリ等に保持しておく。また、画像読み取り後の教育用教材4については、自動搬送路または教師等の人手によって、その全てがプリンタ部3の給紙トレイ内へ給送されるものとする。このとき、給紙トレイ内への教育用教材4のセットは、スキャナ部1での画像読み取り順の通りに行われることが望ましい。
【0057】
その後、データ処理部2では、各教育用教材4から得られたそれぞれの画像データに対して、順次、詳細を後述する自動採点処理および集計演算処理を行う(S102)。
その一方で、データ処理部2では、各教育用教材4から得られたそれぞれの画像データに対して、順次、詳細を後述する特徴量算出処理を行う。そして、その特徴量算出処理によって得られる画像特徴量の算出結果と、自動採点処理および集計演算処理によって得られる採点集計結果および演算結果とを、各教育用教材4別に互いに対応付けた状態で記憶保持しておく(S103)。
【0058】
データ処理部2での自動採点処理および集計演算処理並びに特徴量算出処理が終了した後は、次いで、プリンタ部3が、給紙トレイ内にセットされている各教育用教材4に対して、順次、自動採点処理での算出結果および集計演算処理での演算結果についての印刷出力を行う(S104)。この印刷出力処理では、プリンタ部3での印刷出力の対象となる各教育用教材4のそれぞれに対して特徴量算出処理を行い、その特徴量算出処理によって得られる画像特徴量の算出結果をキーにして、印刷出力すべき採点集計結果および演算結果についての探索を行う。このような印刷出力処理によって、自動採点処理および集計演算処理での処理結果が、その算出結果および演算結果を得た教育用教材4上の情報出力欄4dに、追記されて出力されるのである。
【0059】
続いて、以上のような処理動作例における自動採点処理および集計演算処理、特徴量算出処理並びに印刷出力処理について、さらに詳細に説明する。
【0060】
〔自動採点処理および集計演算処理の説明〕
自動採点処理および集計演算処理は、以下のような手順で行われる。
先ず、データ処理部2では、自動採点処理にあたり、ある一つの教育用教材4から得られた画像データについて、画像データ解析部12がその解析処理を行い、その解析処理の結果に基づいて教材判別部13が教育用教材4の識別特定を行う。この識別特定は、例えば「理科」「5年」「1.天気と気温の変化」といったタイトル解析または識別情報欄4bに埋め込まれたコード情報についてのコード解析を通じて行えばよい。この識別特定を経ることで、教材判別部13では、スキャナ部1で得られた画像データとの比較対象となる電子データを特定することが可能となる。そして、教材判別部13が電子データを特定すると、原本情報保持蓄積部11は、その特定結果に従いつつ、保持蓄積している中から該当する電子データを取り出して、これを比較抽出部15へ受け渡す。
つまり、第1画像読取手段31としての機能により得られた画像データについて、第1原本探索手段33としての機能がその比較対象となる電子データを識別特定し、その識別特定した電子データを原本情報蓄積手段32内から探索するのである。
なお、この識別特定は、画像読み取りを行った複数の教育用教材4のそれぞれについて順次行うことも考えられるが、一般に一つのグループに纏めて処理される教育用教材4は全て同一のものであるため、その纏めて処理される中で最初に処理される教育用教材4についてのみ行えばよい。
【0061】
また、ある一つの教育用教材4から得られた画像データについては、歪み補正部14がその画像データにおける画像歪みの補正を行う。この画像歪みの補正は、スキャナ部1での画像読み取りの際に生じ得る画像歪みを補正するために行うものであり、その後に行う電子データとの比較や差分抽出等の精度向上を図るためのものである。
【0062】
そして、比較抽出部15は、原本情報保持蓄積部11から受け渡された電子データと、スキャナ部1で得られ、歪み補正部14で画像歪みが補正された後の画像データとを、それぞれ比較して、その差分を抽出する。さらに、この比較抽出部15による差分抽出結果に対しては、各解答欄4aへの正誤判定の記入内容を抽出するために、所定色抽出部16がその差分抽出結果から所定色成分についてのもの、具体的には例えば赤色成分のものを抽出する。所定色成分の抽出は、例えば差分抽出結果が画素データからなる場合であれば、その画素データを構成する色成分データに着目することで行うことができる。
つまり、第1画像読取手段31で得られた画像データについて、第1原本探索手段33がその比較対象となる電子データを識別特定すると、第1追記データ抽出手段34としての機能がそれぞれを比較して差分を抽出し、さらに正誤判定抽出手段35としての機能が正誤判定の記入内容を抽出するのである。
【0063】
ところで、一般に、教育用教材4上には複数の解答欄4aが存在しており、正誤判定の記入も教育用教材4上の複数箇所に行われている。したがって、正誤判定の記入内容を認識するためには、複数存在するものをそれぞれ別に取り扱う必要がある。
【0064】
このことから、所定色抽出部16での抽出結果に対しては、画素群分割部17が画素群分割を行う。画素群分割は、近接位置にある画素群を一つに纏めて取り扱うことによって行えばよい。すなわち、予め設定された距離よりも近い位置にある画素同士は一つの図形形状を構成するものである判定し、その近接位置にある連続画素群に対して、一般的な画像処理技術であるラベリング処理を行って他の連続画素群との識別を可能にする。このようなラベリング処理の結果を利用することで、画素群分割の後は、一つの図形形状(「○」または「×」)を構成するであろう連続画素群を一つの纏まりとして取り扱い得るようになる。
【0065】
また、画素群分割部17では、所定色抽出部16での抽出結果に対し、ラベリング処理を利用した画素群分割に加えて、望ましくは画像群分割処理の前に、途切れ補正処理をも行う。教育用教材4上での「○」や「×」等の正誤判定の図形記入は、問題文、各解答欄4aを特定する枠、各解答欄4aへの解答記入内容等に重ねて行われることが多く、所定色抽出部16による所定色成分の抽出結果が、その重なり部分が除かれたもの、すなわち「○」や「×」等の図形に途切れ部分が生じたものとなる可能性が高いからである。
【0066】
ここで、画素群分割部17が行う途切れ補正処理について詳しく説明する。
【0067】
図5は、途切れ補正処理の一例を示す説明図である。
途切れ補正処理にあたっては、図5(a)に示すように、所定色抽出部16による所定色成分の抽出結果、すなわち「○」や「×」等の図形であるはずの抽出結果に対して、細線化処理を実行し(S201)、さらに端点抽出処理を実行する(S202)。これにより、「○」や「×」等の図形に途切れ部分が生じている場合に、その途切れ部分における端点が抽出されることになる。なお、このときに行う細線化処理および端点抽出処理は、公知技術を利用して行えばよいため、ここではその詳細な説明を省略する。
そして、端点を抽出したら、その抽出した全ての端点に対して、以下のような処理を実行する(S203)。すなわち、先ず、未処理の端点を一つ選択し(S204)、その選択した端点(以下「第一端点」という)から、予め設定されている所定距離内にあって、かつ、最も近傍にある未処理の端点(以下「第二端点」という)をさらに選択する(S205)。そして、第二端点があれば(S206)、第一端点と第二端点とを互いに接続するとともに(S207)、第一端点および第二端点をいずれも処理済みにする(S208)。一方、第二端点が存在しない場合には(S206)、端点間の接続は行わずに、第一端点を処理済みにする(S209)。このような処理を、未処理の端点がなくなるまで、全ての端点に対して行う(S203〜S209)。
これにより、例えば図5(b)に示す図形が抽出された場合には、端点Aに対して、所定距離内に端点B,Cが存在していても、その中で最も近傍の端点Bが端点Aと接続されることとなり、「○」の図形における途切れ部分が補正されることになる。
【0068】
図6は、途切れ補正処理の他の例を示す説明図である。
途切れ補正処理の他の例では、所定色抽出部16による所定色成分の抽出結果の他に、歪み補正部14による画像歪み補正後の画像データをも用いて、途切れ補正処理の精度向上を図っている。すなわち、途切れ補正処理の他の例では、図6(a)に示すように、歪み補正部14による画像歪み補正後の画像データに対して二値化処理を行う(S301)。ただし、比較抽出部15による差分抽出または所定色抽出部16による所定色成分の抽出の際に二値化処理をしていれば、その二値化処理後の画像データを使用しても構わない。
また、所定色抽出部16による所定色成分の抽出結果に対しては、細線化処理を実行し(S302)、さらに端点抽出処理を実行する(S303)。そして、端点を抽出したら、その抽出した全ての端点に対して、以下のような処理を実行する(S304)。
先ず、未処理の端点を一つ選択し(S305)、その選択した第一端点から、予め設定されている所定距離内にあって、かつ、最も近傍にある未処理の端点を第二端点として選択する(S306)。そして、第二端点があれば(S307)、第一端点と第二端点とを連結するような画素群が、二値化処理後の画像データ中にあるか否かを判断する(S308)。つまり、途切れの発生要因となった画像の重なり部分があるか否かを判断するのである。その結果、重なり部分があれば、第一端点と第二端点とを互いに接続するとともに(S309)、第一端点および第二端点をいずれも処理済みにする(S310)。一方、重なり部分がなければ、上述したステップ(S306)に戻り、第一端点から所定距離内にあって、かつ、最も近傍の端点の次に近距離にある端点を第二端点として選択する。このとき、選択すべき端点がなければ、端点間の接続は行わずに、第一端点を処理済みにする(S311)。このような処理を、未処理の端点がなくなるまで、全ての端点に対して行う(S304〜S311)。
これにより、例えば図6(b)に示す図形が抽出された場合に、端点Aに対して、所定距離内に端点B,Cが存在していると、その中で最も近傍の端点Cが選択されるが、二値化処理後の画像データ中に端点A,C間を連結する画素群がないので、端点A,C間は接続しない。そして、端点Cの次に距離の近い端点Bを選択されるが、その端点Bと端点Aとの間には二値化処理後の画像データ中に画素群が存在するので、端点Bが端点Aと接続されることになる。つまり、「○」と「×」とが誤って接続されてしまうことなく、「○」の図形における途切れ部分が補正されるのである。
【0069】
以上のような画素群分割部17による画素群分割処理および途切れ補正処理後は、形状認識部18が正誤判定の記入内容に対する形状認識、すなわち「○」または「×」の図形形状とのパターンマッチングを行って、その正誤判定の記入内容が「正解」であるか、あるいは「不正解」であるかを認識する。このときに行うパターンマッチングは、公知技術を利用して実現すればよいため、ここではその説明を省略する。
あるいは、認識対象図形の特徴量を算出し、その特徴量から形状を認識してもよい。特徴量としては、例えば、穴の個数、外接矩形に占める対象図形の面積率、など公知のものを使用すればよく、ここではその説明を省略する。
【0070】
そして、形状認識部18が正誤判定の記入内容に対する形状認識を行うと、続いて、記入位置認識部19は、正誤判定の記入内容について、その教育用教材4上における記入位置を認識する。
【0071】
ここで、記入位置認識部19による正誤判定記入位置の認識処理について詳しく説明する。図7は、正誤判定記入位置の認識処理手順の一例を示すフローチャートである。
正誤判定記入位置の認識処理にあたっては、教育用教材4上に複数の正誤判定が記入されていることから、先ず、その正誤判定についてのカウント数Kを「1」に設定する(S401)。これにより、カウント数Kが教育用教材4上に存在し得る正誤判定の数、すなわち解答欄4aの数を超えるまでは(S402)、予め定められた走査順で検出される正誤判定(「○」または「×」の図形)について、一つ目から順にその位置が認識されることとなる。
位置認識は、例えば「○」または「×」の図形の外接矩形情報を算出し(S403)、さらにその外接矩形の中心座標を算出することによって行うことが考えられる(S404)。具体的には、認識対象となる図形(連続画素群)に対して外接矩形を抽出するとともに、その外接矩形の所定点(例えば左上頂点)のxy座標、並びに、その外接矩形の幅(W)および高さ(h)を算出する。そして、これらの算出結果から、中心x座標=x+w/2、中心y座標=y+h/2を算出し、その算出結果を連続画素群の位置、すなわち正誤判定記入位置の認識結果とする。
このような処理を、カウント数Kの値をインクリメントしつつ(S405)、教育用教材4上に存在する全ての正誤判定について認識するまで繰り返して行う(S402〜S405)。
【0072】
このようにして、記入位置認識部19が正誤判定記入位置を認識した後は、情報算出部20が正誤判定の採点集計を行う。このとき、情報算出部20は、その採点集計を、形状認識部18による正誤判定の記入内容の認識結果と、記入位置認識部19による正誤判定の記入位置の認識結果と、原本情報保持蓄積部11が保持蓄積している教育用教材4の電子データに含まれる当該教育用教材4の各解答欄4aについての配点情報と、を基にして行う。
【0073】
ただし、正誤判定の記入は、一般に教育用教材4上の各解答欄4aに対応して行われるが、教師等によって手書きでされるため、各解答欄4aに対する記入位置が必ずしも一義的に定まっている訳ではない。
その一方で、正誤判定の採点集計にあたっては、各解答欄4aと正誤判定の記入位置との対応を明確にする必要がある。正誤判定の採点集計は、各解答欄4aに対応する正誤判定を記入結果を明確にした上で、正誤判定の内容(正解か不正解か)および各解答欄4aについての配点に基づいて行われるからである。
【0074】
このことから、情報算出部20では、以下に述べるような手順で、正誤判定の採点集計を行う。すなわち、情報算出部20は、「○」または「×」といった正誤判定図形の外接矩形と、教育用教材4上で解答欄4aとなる領域との重なり面積を求め、その面積(外接矩形に対する面積比でも同様)が最も大きくなる正誤判定図形と解答欄4aとを互いに対応付け、その正誤判定図形を当該解答欄4a対して記入された正誤判定結果とする。ただし、重なり面積の外接矩形に対する比が所定閾値未満の場合には、重なる部分が小さいことから、対応付けについての判定が不能であると判断する。そして、対応付けを行った後は、正誤判定図形が「○」であれば、これに対応する解答欄4aについての配点情報から特定される配点を加算し、また正誤判定図形が「×」であれば、これに対応する解答欄4aについての配点加算を行わず、このような採点集計を教育用教材4上の全ての解答欄4aについて行う。
【0075】
教育用教材4上で解答欄4aとなる領域は、各解答欄4aについての配点情報として、または当該配点情報と同様に、教育用教材4の電子データに含まれる解答欄位置領域情報によって特定されるものとする。図8は、解答欄位置領域情報の一具体例を示す説明図である。解答欄位置領域情報は、教育用教材4上に存在する問題の番号と、その問題の解答に対する配点と、その問題の解答を記入する解答欄4aとして扱われる領域の所定点(例えば左上頂点)のxy座標、並びに、その外接矩形の幅(W)および高さ(h)とからなる情報で、図例のように、これらを互いに関連付けるテーブル形式で、原本情報保持蓄積部11内に予め保持蓄積されているものである。
情報算出部28における正誤判定の採点集計は、以下のような方法でも良い。算出された正誤判定図形(「○」または「×」)の外接矩形中心座標を、解答欄位置領域情報と比較し、解答欄位置領域情報に記述されている領域の所定点(例えば左上頂点)のxy座標、並びに、その外接矩形の幅(W)および高さ(h)で示される矩形領域内に、正誤判定図形の外接矩形中心座標が含まれている時、それらの対応付けをおこなう。
【0076】
ここで、情報算出部20による正誤判定の採点集計についさらに詳しく説明する。図9は、正誤判定の採点集計の処理手順の一例を示すフローチャートである。
正誤判定の採点集計にあたっては、教育用教材4上に複数の正誤判定が記入されていることから、先ず、その正誤判定についてのカウント数Kを「1」に設定する(S501)。これにより、カウント数Kが教育用教材4上に存在し得る正誤判定の数、すなわち解答欄4aの数を超えるまでは(S502)、予め定められた走査順で検出される正誤判定(「○」または「×」の図形)について、一つ目から順に採点集計のための処理が行われることになる。
すなわち、K番目の「○」または「×」の図形についてその外接矩形の面積を算出して、これを「L」とする(S503)。また、解答欄4aの数(=問題数)についてのカウント数Pを「1」に設定し(S504)、そのカウント数Pが教育用教材4上に存在する問題数以下であれば(S505)、その解答欄4aについての解答欄位置領域情報と取り出す。そして、K番目の外接矩形とP番目の領域との重なり面積を算出し、その算出結果を「S(P)」とする(S506)。さらには、その重なり面積S(P)と外接矩形面積Lとの比を算出し、これを「R(P)」とする(S507)。このような処理を、カウント数Pの値をインクリメントしつつ(S508)、全ての解答欄位置領域情報について終了するまで繰り返して行う(S505〜S508)。
その後は、比R(P)の最大値を求め、これを「Max」とするとともに(S509)、重なり面積S(P)が最大となるカウント数Pの値を求め、これを「Pmax」とする(S510)。そして、最大値Maxの値が所定閾値Th未満の場合には(S511)、正誤判定図形と解答欄4aとの対応付けが不能であり、その正誤判定図形に対応する問題番号が不明であると判断する(S512)。これに対して、最大値Maxの値が所定閾値Th以上であれば(S511)、続いて、K番目の正誤判定図形が「○」であるか、あるいは「×」であるかを判定する(S513)。その結果、「○」であれば、後述する「問題別採点結果」において、カウント数Pmaxの問題の解答に対する配点を加算する(S514)。また、「×」であれば、カウント数Pmaxの問題の解答に対する配点加算を行わずに、「0点」とする(S515)。
そして、このような処理を、カウント数Kの値をインクリメントしつつ(S516)、教育用教材4上における全ての正誤判定について終了するまで繰り返して行う(S502〜S515)。
【0077】
図10は、問題別採点結果の一具体例を示す説明図である。問題別採点結果は、教育用教材4上に存在する問題の番号と、その問題の解答に対する正誤判定と、その正誤判定に基づくそれぞれの得点と、合計得点とからなる情報で、図例のように、これらを互いに関連付けるテーブル形式で、情報算出部20から教育用教材4別に出力されるものである。
【0078】
このような一連の自動採点処理を経ることで、情報算出部20は、教育用教材4に記入された正誤判定を採点集計して、その合計得点を得ることができる。
つまり、情報算出手段36としての機能が、正誤判定を採点集計して、その合計得点を算出するのである。
【0079】
以上のような自動採点処理の後は、続いて、集計演算処理が行われる。すなわち、データ処理部2では、情報算出部20による採点集計結果である各教育用教材4についての合計得点を利用しつつ、演算部21が例えばクラス単位または学年単位での平均点、総合順位、偏差値等といった情報についての演算を行う。演算部21がどのような項目(情報)についての演算を行うかは、予め設定されているものとする。なお、演算部21が行う演算処理自体については、公知技術を利用して行えばよいため、ここではその詳細な説明を省略する。
つまり、演算手段37としての機能が、情報算出手段36による算出結果を基に、その算出結果に付随する他の情報を得るための演算を行うのである。
【0080】
〔特徴量算出処理の説明〕
次に、以上に説明した自動採点処理および集計演算処理とは別に、あるいは並行して行われる特徴量算出処理について説明する。
特徴量算出処理にあたり、データ処理部2では、上述した自動採点処理の過程で得た比較抽出部15による差分抽出結果に基づき、第1特徴量算出部22がスキャナ部1で得られた画像データのうち、解答者情報欄4cから得られた部分について、その画像特徴量を算出する。つまり、第1特徴量算出手段38としての機能が、第1追記データ抽出手段34での差分抽出結果に基づき、第1画像読取手段31で得られた画像データについての画像特徴量を算出するのである。
【0081】
画像特徴量の算出は、以下に述べるようにして行うことが考えられる。
例えば、処理対象となる画像データの解答者情報欄4cの部分について、縦軸・横軸への投影ヒストグラムを採取する。これにより、解答者情報欄4cにおける画素分布をヒストグラム化したものが得られる。
解答者情報欄4cには解答記入者(生徒)の手書き文字が記入されるが、その記入内容は各教育用教材4によって異なる。したがって、その解答者情報欄4cにおける画素分布についても、各教育用教材4によって特徴的なものとなる。このことから、解答者情報欄4cにおける画素分布をヒストグラム化したものは、その画素分布の特徴を定量的に表現したものであることから、画像特徴量として取り扱うのに適切なものである。
この場合において、処理対象となる画像データは、歪み補正部14で画像歪みが補正された後のものであるが、さらには2値化がされていることが望ましい。2値化によってヒストグラム化のための処理の容易化や精度向上等が図れるからである。
なお、画像特徴量は、必ずしも解答者情報欄4cにおける画素分布をヒストグラム化したものに限定されることはなく、例えば画素分布をランレングスによって表したもののように、画像特徴量として取り扱うのに適切なものであれば、他の公知技術を利用したものであっても構わない。
【0082】
このようにして、第1特徴量算出部22が各教育用教材4から得られる画像特徴量を算出すると、その後は、その画像特徴量の算出結果と、情報算出部20による採点集計結果および演算部21による演算結果とについて、対応付け部23が互いの対応付けを行う。このとき、同一の教育用教材4から得られた各結果が互いに対応付けられる。そして、対応付け部23が対応付けを行うと、各結果が互いに対応付けられた状態を、データベース部24が記憶保持する。
つまり、特徴量・情報対応付け手段39としての機能が、情報算出手段36による採点集計結果および演算手段37による演算結果と、第1特徴量算出手段38による画像特徴量の算出結果とを、互いに対応付けるとともに、データベース手段40としての機能が、その採点集計結果および演算結果と画像特徴量の算出結果とを互いに対応付けた状態で記憶保持するのである。
【0083】
以上のような特徴量算出処理を経ることで、スキャナ部1で画像読み取りがされた各教育用教材4については、正誤判定の記入内容の採点集計結果および演算結果が、解答者情報欄4cにおける画像特徴量と個別に対応付けられて、データベース部24内に記憶保持されることになる。
【0084】
〔印刷出力処理の説明〕
印刷出力処理では、上述した自動採点処理での算出結果および集計演算処理での演算結果について、その算出結果および演算結果を得た教育用教材4上への印刷出力を行う。
このとき、教育用教材4上への印刷出力は、自動採点処理での算出結果および集計演算処理での演算結果(以下、単に「印刷出力内容」という)と各教育用教材4との関連性を正しく維持したまま、すなわち印刷出力内容が各教育用教材4上に適切に印刷出力されるように行う必要がある。
このことから、印刷出力処理にあたっては、先ず、印刷出力の対象とする教育用教材4について、第2特徴量処理部25による当該教育用教材4の識別特定を行う
【0085】
具体的には、第2画像読取手段41としての機能が、印刷出力の対象となる教育用教材4に対する画像読み取りを行って、その教育用教材4の解答者情報欄4cの部分から画像データを得る。
【0086】
第2画像読取手段41による画像読み取りの後は、第2原本探索手段42としての機能が、その画像読み取りによって得られた画像データとの比較対象となる電子データを識別特定し、その識別特定した電子データを原本情報蓄積手段32内から探索する。このときの識別特定および探索は、上述した自動採点処理における原本の識別特定および探索の場合と同様の手法で行えばよい。
【0087】
教育用教材4の識別特定およびその探索の後は、続いて、第2追記データ抽出手段43としての機能が、その探索結果である原本についての電子データと、第2画像読取手段41による画像読み取りで得られた画像データとを比較して、それぞれの間の差分を抽出する。この差分抽出によって、教育用教材4が有する解答者情報欄4cへの追記内容が抽出されることになる。
そして、解答者情報欄4cについての差分抽出後は、第2特徴量算出手段44としての機能が、その差分抽出結果に基づき、第2画像読取手段41で得られた画像データについての画像特徴量を算出する。このときの画像特徴量の算出は、上述した自動採点処理における第1特徴量算出手段38での画像特徴量算出の場合と同様の手法で行えばよい。
【0088】
このような教育用教材4の識別特定、その原本との差分抽出およびその差分抽出結果に基づく画像特徴量の算出といった、第2特徴量処理部25による一連の処理を経た後は、次いで、演算情報取得部26が、その第2特徴量処理部25による処理結果を基にしつつ、データベース部24内からの印刷出力内容の取り出しを行う。すなわち、演算情報取得部26では、演算情報取得手段45としての機能が、第2特徴量算出手段44での画像特徴量の算出結果をキーとして、その第2特徴量算出手段44による算出結果である画像特徴量と同じあるいはほぼ同じ画像特徴量(第1特徴量算出手段38による算出結果)に対応する印刷出力内容(自動採点処理での算出結果および集計演算処理での演算結果)を、データベース手段40により記憶保持されている中から探索する。そして、同じ画像特徴量に対応する印刷出力内容があれば、その印刷出力内容をプリンタ部3に印刷出力させる。一方、同じ画像特徴量に対応する印刷出力内容がなければ、適切な印刷出力が行えない可能性が高いことから、印刷出力処理を中断するとともに、その旨のアラーム出力を行う。
【0089】
プリンタ部3での教育用教材4上への印刷出力は、公知の電子写真技術を用いて行えばよい。すなわち、プリンタ部3は、演算情報取得部26がデータベース部24内から取り出した印刷出力内容を受け取ると、その印刷出力内容についてのデコンポーズを行って、その印刷出力内容をプリンタ部3で出力可能なデータ形式に変換し、教育用教材4上に印刷出力する。このときの印刷出力は、教育用教材4上の特定領域のみ、具体的には情報出力欄4dに対して行う。したがって、プリンタ部3では、デコンポーズを行う際に、その情報出力欄4dの位置を認識する必要がある。この情報出力欄4dの位置認識は、第2特徴量処理部25による教育用教材4の識別特定と、その識別特定結果に対応する原本情報保持蓄積部11内の電子データとに基づいて、様々な種類の教育用教材4について個別に行うことが考えられる。ただし、全種類の教育用教材4における情報出力欄4dが全て同じに設定されていれば、位置認識は省いてもよい。
【0090】
以上のようなプリンタ部3での処理を経ることで、自動採点処理での算出結果および集計演算処理での演算結果は、その算出結果および演算結果を得た教育用教材4上の情報出力欄4d内に印刷出力されるのである。
なお、このプリンタ部3での印刷出力処理は、必ずしも自動採点処理での算出結果および集計演算処理での演算結果の両方について行う必要はなく、少なくとも自動採点処理での算出結果について行えばよい。集計演算処理での演算結果は、自動採点処理での算出結果に付随する情報だからである。
【0091】
以上に説明したように、本実施形態における教材処理装置、教材処理方法および教材処理プログラムでは、教育用教材4から読み取った画像データを基にして、正誤判定の記入内容(例えば、「○」または「×」の図形形状)を認識し、その認識結果に基づき教育用教材4に記入された正誤判定の採点集計を行った後に、その採点集計結果(例えば、合計得点、総合順位や平均点等)を画像データの読み取り元である教育用教材4上へ印刷出力するようになっている。したがって、正誤判定が記入された教育用教材4であれば、その教育用教材4に対する画像読み取りを通じて、その記入された正誤判定についての自動集計が行われるので、結果として教育用教材4についての採点処理が省力化されることとなる。しかも、採点集計結果は教育用教材4上へ印刷出力されるので、採点集計後の教育用教材4を参照することで、解答記入者等がその採点集計結果を容易に認識し得るようになる。
【0092】
また、採点集計結果を印刷出力する際には、その印刷出力の対象となる教育用教材4から読み取った画像データについての画像特徴量を算出し、その画像特徴量をキーとして、対応する正誤判定の採点集計結果を既に記憶保持している中から取り出すようになっている。すなわち、教育用教材4上における画像特徴量により、その教育用教材4についての識別特定を行うのである。したがって、正誤判定の採点集計結果は、その結果を得る元になった教育用教材4上に的確に印刷出力されることになる。しかも、画像特徴量をキーとして教育用教材4の識別特定を行うので、その識別特定のために、教育用教材4に個別の識別情報を付与しておく必要がなく、また誤認識が発生し得る手書き文字の文字認識等を要することもない。
【0093】
つまり、本実施形態における教材処理装置、教材処理方法および教材処理プログラムによれば、教育機関で用いられる教育用教材4について、その採点集計処理の省力化を図る場合であっても、教育用教材4の識別特定を精度良く良好に行い得るとともに、そのために大きな負担を強いることもなく、採点集計処理の結果をその結果を得る元になった教育用教材4上に的確に出力することができるようになる。したがって、教育機関で用いるのにあたり非常に利便性の高いものとなり、信頼性の高い採点処理を円滑に行えるようになる。
【0094】
特に、本実施形態で説明したように、教育用教材4の識別特定の基となる画像特徴量の算出を、画像読み取り結果に対して直接行うのではなく、原本の電子データとの差分抽出結果に基づいて行うようにすれば、原本の画像部分、すなわち各教育用教材4に共通の画像部分は除かれて、解答記入者(生徒)の手書き文字等のように各教育用教材4によって異なる画像部分について画像特徴量が算出されることになるので、その算出結果に各教育用教材4の特徴が確実に反映されることになり、結果として精度および信頼性の高い教育用教材4の識別特定を実現することが可能となる。
【0095】
さらに、本実施形態で説明したように、教育用教材4の全域について画像特徴量の算出を行うのではなく、その教育用教材4が有する解答者情報欄4cの部分についてのみ、画像特徴量を算出すれば、教育用教材4の識別特定の精度および信頼性を高く維持しつつ、そのために要する処理負荷を極力低く抑えることができ、結果として処理の迅速化を実現することが可能となる。
【0096】
なお、本実施形態では、本発明の好適な実施具体例を説明したが、本発明はその内容に限定されるものではない。
【0097】
例えば、本実施形態では、正誤判定の記入内容を認識したり、あるいは画像特徴量を算出するのにあたり、画像読み取りによって得た画像データを、原本についての電子データ(元画像データ)と比較する場合を例に挙げている。これは、比較対象が元画像データであるが故に、正誤判定の記入内容抽出等の精度向上が期待できるからである。ただし、必ずしも元画像データとの比較において行うのではなく、例えば画像読み取りによって複数の教育用教材4から得た画像データを互いに比較し、その比較結果からそれぞれの間の一致点(すなわち、問題文等の部分)と相違点(すなわち、解答や正誤判定等の追記部分)とを抽出し、その相違点に基づいて行うことも考えられる。このように、複数の教育用教材4から得た画像データを互いに比較すれば、元画像データの記憶蓄積が不要となることから、装置構成の簡素化が期待できるようになる。
また、本実施形態では、画像特徴量を算出するのにあたり、画像読み取りによって得た画像データを原本についての電子データ(元画像データ)と比較し、差分抽出した結果の画像を用いているが、画像読み取りによって得た画像データから画像特徴量を算出しても構わない。また、画像読み取りによって得た画像データあるいは、差分抽出した結果の画像を複数の領域に分割し、複数の領域毎に特徴量を算出し、複数の特徴量と採点集計結果や演算結果を対応付けてデータベースに記憶保持させたり、複数の特徴量を用いてデータベースから採点集計結果や演算結果を探索してもよい。
【0098】
また、本実施形態では、所定色成分、具体的には例えば赤色成分の差分抽出結果を、正誤判定の記入内容として認識する場合を例に挙げている。これは、一般に、正誤判定の記入が赤色で行われることを考慮したものであり、所定色成分についての差分を正誤判定の記入内容とすることで、その認識処理の容易化を図るとともに、その認識精度に対する信頼性の向上を図るためである。ただし、正誤判定の記入内容抽出に代表される教育用教材4からの追記部分抽出は、必ずしも所定色成分、特に赤色成分についてのものに限定されず、他の公知の手法を利用して行っても構わない。
【0099】
また、本実施形態で説明した歪み補正処理や途切れ補正処理等は、認識精度向上のために行うものであるが、必ずしも必須ではない。
さらには、正誤判定の採点集計にあたって、各解答欄4aと正誤判定の記入位置とを対応付ける場合に、本実施形態で説明したような正誤判定図形の外接矩形と解答欄4aの領域との重なり面積を求めるのではなく、例えばそれぞれの中心座標の距離から対応付けを行ったり、あるいは単にそれぞれの間で重なる部分があるか否かによって対応付けを行うことも考えられる。
【0100】
このように、本発明は、本実施形態での説明に対し、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明に係る教材処理装置の具体的なシステム構成例を示すブロック図である。
【図2】教育用教材の一具体例を示す説明図である。
【図3】本発明に係る教材処理装置の機能略構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明に係る教材処理装置における基本的な処理動作例の概要を示す説明図である。
【図5】途切れ補正処理の一例を示す説明図である。
【図6】途切れ補正処理の他の例を示す説明図である。
【図7】正誤判定記入位置の認識処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】解答欄位置領域情報の一具体例を示す説明図である。
【図9】正誤判定の採点集計の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】問題別採点結果の一具体例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0102】
1…スキャナ部、2…データ処理部、3…プリンタ部、4…教育用教材、4a…解答欄、4b…識別情報欄、4c…解答者情報欄、4d…情報出力欄、11…原本情報保持蓄積部、12…画像データ解析部、13…教材判別部、14…歪み補正部、15…比較抽出部、16…所定色抽出部、17…画素群分割部、18…形状認識部、19…記入位置認識部、20…情報算出部、21…演算部、22…第1特徴量算出部、23…対応付け部、24…データベース部、25…第2特徴量処理部、26…演算情報取得部、31…第1画像読取手段、32…原本情報蓄積手段、33…第1原本探索手段、34…第1追記データ抽出手段、35…正誤判定抽出手段、36…情報算出手段、37…演算手段、38…第1特徴量算出手段、39…特徴量・情報対応付け手段、40…データベース手段、41…第2画像読取手段、42…第2原本探索手段、43…第2追記データ抽出手段、44…第2特徴量算出手段、45…演算情報取得手段、46…プリント手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
解答欄への解答の記入および当該解答に対する正誤判定の記入がされた教育用教材に対する画像読み取りを行って当該教育用教材から画像データを得る第1画像読取手段と、
前記第1画像読取手段で得た画像データから前記正誤判定の記入内容を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段による抽出結果に基づき前記第1画像読取手段が画像読み取りを行った教育用教材について当該教育用教材に記入された正誤判定の採点集計を行う算出・演算手段と、
前記第1画像読取手段で得た画像データについての画像特徴量を算出する第1特徴量算出手段と、
前記算出・演算手段による正誤判定の採点集計結果と前記第1特徴量算出手段による画像特徴量の算出結果とを互いに対応付けて記憶保持するデータベース手段と、
前記算出・演算手段による正誤判定の採点集計結果を前記教育用教材上に印刷出力するプリント手段と、
前記プリント手段での印刷出力の対象となる教育用教材に対する画像読み取りを行って当該教育用教材から画像データを得る第2画像読取手段と、
前記第2画像読取手段で得た画像データについての画像特徴量を算出する第2特徴量算出手段と、
前記第2特徴量算出手段による画像特徴量の算出結果をキーとして当該画像特徴量に対応する前記正誤判定の採点集計結果を前記データベース手段から取り出して前記プリント手段に印刷出力させる演算情報取得手段と
を備えることを特徴とする教材処理装置。
【請求項2】
前記第1特徴量算出手段は、前記第1画像読取手段で得た画像データを複数領域に分割し、分割領域毎に特徴量を算出し、領域毎に算出した複数の特徴量と前記算出・演算手段による正誤判定の採点集計結果を対応付けて、前記データベース手段に記憶保持させるものであり、
前記第2特徴量算出手段は、前記第2画像読取手段で得た画像データを前記分割領域と同一の複数領域に分割し、当該分割領域毎に特徴量を算出し、領域毎に算出した複数の特徴量をキーとして前記データベース手段から前記正誤判定の採点集計結果から取り出させるものである
ことを特徴とする請求項1記載の教材処理装置。
【請求項3】
前記教育用教材の原本についての画像データを保持蓄積する原本情報蓄積手段と、
前記第1画像読取手段で得た画像データを前記原本情報蓄積手段が保持蓄積する画像データと比較してその差分を抽出する第1追記データ抽出手段と、
前記第2画像読取手段で得た画像データを前記原本情報蓄積手段が保持蓄積する画像データと比較してその差分を抽出する第2追記データ抽出手段とを備えるとともに、
前記第1特徴量算出手段、前記第2特徴量算出手段は、各々前記第1追記データ抽出手段、第2追記データ抽出手段での差分抽出結果に基づいて前記画像特徴量を算出するものである
ことを特徴とする請求項1または2記載の教材処理装置。
【請求項4】
前記第1特徴量算出手段および前記第2特徴量算出手段は、前記教育用教材が有する解答者情報欄から得た画像データについての画像特徴量を算出するものである
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の教材処理装置。
【請求項5】
解答欄への解答の記入および当該解答に対する正誤判定の記入がされた教育用教材に対する画像読み取りを行って当該教育用教材から画像データを得る第1画像読取ステップと、
前記第1画像読取ステップで得た画像データから前記正誤判定の記入内容を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップでの抽出結果に基づき前記第1画像読取ステップで画像読み取りを行った教育用教材について当該教育用教材に記入された正誤判定の採点集計を行う算出・演算ステップと、
前記第1画像読取ステップで得た画像データについての画像特徴量を算出する第1特徴量算出ステップと、
前記算出・演算ステップでの正誤判定の採点集計結果と前記第1特徴量算出ステップでの画像特徴量の算出結果とを互いに対応付けて記憶保持するデータベースステップと、
前記算出・演算ステップでの正誤判定の採点集計結果を前記教育用教材上に印刷出力するプリントステップと、
前記プリントステップでの印刷出力の対象となる教育用教材に対する画像読み取りを行って当該教育用教材から画像データを得る第2画像読取ステップと、
前記第2画像読取ステップで得た画像データについての画像特徴量を算出する第2特徴量算出ステップと、
前記第2特徴量算出ステップでの画像特徴量の算出結果をキーとして当該画像特徴量に対応する前記正誤判定の採点集計結果を前記データベースステップで記憶保持した中から取り出して前記プリントステップでの印刷出力に供する演算情報取得ステップと
を備えることを特徴とする教材処理方法。
【請求項6】
画像読み取りを行う画像読取装置および印刷出力を行う印刷装置と接続するコンピュータを、
解答欄への解答の記入および当該解答に対する正誤判定の記入がされた教育用教材に対する画像読み取りの結果である画像データを得る第1画像読取手段と、
前記第1画像読取手段で得た画像データから前記正誤判定の記入内容を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段による抽出結果に基づき前記第1画像読取手段が画像読み取りを行った教育用教材について当該教育用教材に記入された正誤判定の採点集計を行う算出・演算手段と、
前記第1画像読取手段で得た画像データについての画像特徴量を算出する第1特徴量算出手段と、
前記算出・演算手段による正誤判定の採点集計結果と前記第1特徴量算出手段による画像特徴量の算出結果とを互いに対応付けて記憶保持するデータベース手段と、
前記算出・演算手段による正誤判定の採点集計結果を前記印刷装置に印刷出力させるプリント手段と、
前記印刷装置での印刷出力の対象となる教育用教材に対する画像読み取りの結果である画像データを得る第2画像読取手段と、
前記第2画像読取手段で得た画像データについての画像特徴量を算出する第2特徴量算出手段と、
前記第2特徴量算出手段による画像特徴量の算出結果をキーとして当該画像特徴量に対応する前記正誤判定の採点集計結果を前記データベース手段から取り出して前記プリント手段による印刷出力に供する演算情報取得手段
として機能させることを特徴とする教材処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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