説明

散光体及び散光装置

【課題】 例えば幽玄状の光が得られる散光体及び散光装置を得ること。
【解決手段】 本発明の散光体1は、少なくとも前面2aと下面2bを透明とした函体2内に、セロファン3をまとめて充填したものであり、本発明散光装置10は内部に発光体11を設けるとともに、前記散光体1を挿入設置しうる構造をもつ発光器12を用い、前記散光体1の透明箇所を前記発光体11に面して発光器12に挿入設置したもので、本発明の散光体によれば、これに光を当てたとき充填したセロファンによって光が複雑に透過乃至反射して全体として幽玄状の光を発散させることが出来、しかも価格的に安価である。又、本発明の散光装置によれば、前記発光器により散光体に多様な光を照射することが出来、これにより散光体内部に充填したセロファンを介し、全体として幽玄状の光を発散させることが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば仏像等の背後に設置して幽玄状に光を散らすための散光体及び散光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明散光装置に類似するものの例として、例えば特許文献1に示すごとき、高輝度面発光体があり、これは透光性の蛍光板(1)と、該蛍光板(1)の側端面に沿って配設した冷陰極管(2)とを、ハウジング(3)に収納するとともに、蛍光板の前面をハウジング(3)の前面開口に露出させ、ハウジング内面(3c)又は蛍光板の後面(1b)を光反射面としたもので、高輝度でムラのない面発光を行なおうとする。なお、括弧内の符号は特許文献1において使用された符号を示すものである。
【0003】
また、特許文献2に示すものは立体的照明反射表示板で、所定の厚みの透明なアクリル板からなる表示板本体(2a)と、表示板本体(2a)の表示面(21)に文字など所定の表示要素が彫り込まれた刻字部(3)と、発光ダイオード(41)を光源とし、表示板本体(2a)内に向けて光を照射する照射部(4a)とを有し、刻字部(3)に分散性光物質(5)を充填したもので、表示板本体(2a)の表示面(21)に彫り込まれた表示要素をより鮮明かつ立体的に表示させることができる。なお、括弧内の符号は特許文献2において使用された符号を示すものである。
【0004】
なお、前記分散性光物質乃至光拡散性物質としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタ二ア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウムなどからなる金属酸化物系微粒子、金属粒子その他の無機系微粒子のほか、ポリマー等からなる有機系微粒子などが用いられる。
【特許文献1】特開平9−120706号公報
【特許文献2】実用新案登録第3096708号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示された高輝度面発光体は、ムラのない均一な光を発光させようとするもので、当然光は一様で高輝度であり、幽玄状の光は望むべくもない。
【0006】
また、特許文献2に示された立体的照明反射表示板は、表示板本体(2a)の表示面(21)に彫り込まれた表示要素をより鮮明かつ立体的に表示させる作用効果はあっても、前記分散性光物質乃至光拡散性物質による光の分散乃至は拡散は、表示板本体(2a)の表示面(21)に彫り込まれた表示要素、即ち刻字された字体等に限られ、これもまた幽玄状の光は得られない、
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために案出されたもので、少なくとも前面と下面を透明とした函体内に、セロファンをまとめて充填したことを特徴とする散光体に関する発明と、内部に発光体を設けるとともに、前記散光体を挿入設置しうる構造をもつ発光器を用い、前記散光体の透明箇所を前記発光体に面して発光器に挿入設置したことを特徴とする散光装置に関する発明とからなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の散光体は、少なくとも前面と下面を透明とした函体内に、セロファンをまとめて充填したことを特徴とするので、これに光を当てたときは充填したセロファンによって光が複雑に透過乃至反射して、全体として幽玄状の光を発散させることが出来、しかも価格的に安価である。
【0009】
また、本発明の散光装置は、内部に発光体を設けるとともに、前記散光体を挿入設置しうる構造をもつ発光器を用い、前記散光体の透明箇所を前記発光体に面して発光器に挿入設置したことを特徴とするので、前記発光器により散光体に多様な光を照射することが出来、これにより散光体内部に充填したセロファンを介し、全体として幽玄状の光を発散させることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の散光体1は、少なくとも前面2aと下面2bを透明とした函体2内に、セロファン3をまとめて充填したものであり、本発明の散光装置10は、内部に発光体11を設けるとともに、前記散光体1を挿入設置しうる構造をもつ発光器12を用い、前記散光体1の透明箇所を前記発光体11に面して発光器12に挿入設置したものである。
【実施例1】
【0011】
以下、斜視図の図面で示す実施例により本発明を詳細に説明すると、図1は本発明の散光体1を、図2は本発明の発光器12を、また図3は前記散光体1を発光器12に挿入設置して構成した散光装置10をそれぞれ示すものである。
【0012】
散光体1は、図1、図3の例では、例えば全体を透明なアクリル板で函体2を構成し、この中に透明のセロファン3を無作為にまとめて封入したものである。
【0013】
この散光体1は、前記発光体12に後述のように挿入設置するものであるから、発光器12に形成された開口12aに合わせた大きさにする必要があるが、更に図示の例のように全面でもよいが、発生する光を有効に散光する前面2a及び散光装置10内で発光体11に面する下面2bのみを透明とし、函体2の後面2c、側面2dを不透明又は反射部とすることでもよい。
【0014】
又、散光体1は、アクリル板に限らずガラス板にて構成することも可能である。
【0015】
散光体1函体2中に充填するセロファン3は、図示の例では透明のものを用い、これを無作為にまとめて函体2中に挿入したものであるが、セロファン3は着色セロファンでもよく、これら透明又は着色セロファンを無作為にまとめるか、所定の手順で折って重点してもよく、更にセロファン3は一枚に限らず、複数枚を個々に充填したり、複数枚重ねて充填することも考えられる。このようにすれば、一層多様な光の散光が得られ、幽玄性を増すことが出来る。
【0016】
散光装置10は内部に発光体11を設けるとともに、前記散光体1を挿入設置しうる構造を持つ発光器12を用い、前記散光体1の透明箇所、例えばその下面2bを前記発光体11に面して発光器12に挿入設置したものであり、発光体11には、その上面に散光体1を挿入するための開口12aとそれに連続する穴12bが形成され、且つ底部に発光体11が設置され、前記穴12bにおける発光体11の少し上には、その内周に棚部12cを設けて散光体1を受けるようにしている。
【0017】
前記発光体11は各種の色、例えば赤、緑、黄、白等を発色するLEDランプ11a、11b、11c、−−を適宜配列し、発光方向を、発光器12に挿入設置されたときの散光体1の下面2bに向けて直角に配置されている。
【0018】
これらのLEDランプ11a、11b、11c、−−は、これらを交互にまたは一斉に点灯するコントローラ(図示せず)を介してリード線13によってスイッチ14に接続され、該スイッチ14から例えば家庭用電気コンセント(図示せず)に配線15されている。
【0019】
次に、上記実施例に係る散光体及び散光装置の作用について説明すると、この実施例において散光体1は、アクリル製の函体2の6面全てを透明としており、この中に透明のセロファン3を無作為にまとめて充填したものを用い、これを図3に示すように、発光体11の開口12aからそれに連続する穴12bに挿入し、棚部12cに載せるように設置する。
【0020】
この状態でスイッチ14をオンすれば、LEDランプ11a、11b、11c、−−は前記コントローラにより交互又は一斉に点灯し、その光は散光体1にその下面2bより進入してセロファン3を照射し、透過乃至反射する。この場合、セロファン3におけるLEDランプ11a、11b、11c、−−からの光に面する斜面等では透過と同時に反射が行なわれ、比較的強い光が散光体1の前面2a等から放出されるとともに、前記の透過した光は次の斜面等から放出され、光の進行方向にある他の斜面等で反射して弱い光として散光体1の前面等2aから放出される。
【0021】
図示の例では、セロファン3には種々の方向に大小さまざまな凹凸があるから、LEDランプ11a、11b、11c、−−からの光による反射と透過が無数に生じ、これらの光が散光体1の前面、上面、側面等から強弱を伴って発散され、情趣に富む将に幽玄状の雰囲気を醸し出す。従って、本発明散光装置を仏像や位牌の後ろに設置するときは、簡単で安価な装置でありながら、そのご威光、ご遺徳を偲ぶにふさわしい雰囲気を醸し出すことができる。
【0022】
また、前記セロファン3を着色セロファンとした場合には、一転して華やかな雰囲気を醸し出す散光が得られ、イルミネーション装置として機能することが期待される。
【0023】
更に、前記セロファン3を所定の手順で折りたたんで函体2内に充填したものでは、散光が例えば段階状に行なわれ、セロファン3を無作為にまとめて充填したものとは異なる抽象画的な雰囲気を発する。
【0024】
更にまた、前記セロファン3を複数枚個々に充填し、或いは複数枚重ねて充填したものでは、各々複雑な散光または色彩が混合した散光が得られ、それらの組み合わせによっては高貴な雰囲気を呈することが期待される。
【0025】
なお、上記実施例では散光体1と発光体11とは別体に構成されているが、これを一体に構成してもよい。この場合は、例えば函体2の上面を開閉可能として、ここからセロファン3を充填又は交換すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】は本発明の散光体1を示す斜視図である。
【図2】は本発明の発光器12を示す斜視図である。
【図3】は散光体1を発光器12に挿入設置して構成した散光装置10を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1 散光体 2函体 3 セロファン 11 発光体
11a、11b、11c、−− LEDランプ 12 発光器
13 リード線 14 スイッチ 15 配線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも前面と下面を透明とした函体内に、セロファンをまとめて充填したことを特徴とする散光体。
【請求項2】
内部に発光体を設けるとともに、前記散光体を挿入設置しうる構造をもつ発光器を用い、前記散光体の透明箇所を前記発光体に面して発光器に挿入設置したことを特徴とする散光装置。
【請求項3】
前記セロファンを着色セロファンとしたことを特徴とする請求項1記載の散光体。
【請求項4】
前記セロファンを無作為にまとめて充填したことを特徴とする請求項1又は請求項3記載の散光体。
【請求項5】
前記セロファンを所定の手順で折って充填したことを特徴とする請求項1又は請求項3記載の散光体。
【請求項6】
前記セロファンを複数枚充填したことを特徴とする請求項1又は請求項3又は請求項4又は請求項5記載の散光体。
【請求項7】
前記セロファンを複数枚重ねて充填したことを特徴とする請求項1又は請求項3又は請求項4又は請求項5又は請求項6記載の散光体。
【請求項8】
前記発光器がLED発光器であることを特徴とする請求項2記載の散光装置。
【請求項9】
前記発光器が多色であることを特徴とする請求項2又は請求項8記載の散光装置。
【請求項10】
前記発光器が多重点滅式であることを特徴とする請求項2又は請求項8又は請求項9記載の散光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−99900(P2010−99900A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−272560(P2008−272560)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(508317206)
【Fターム(参考)】