説明

散気体ホルダーおよびその固定に用いる金属バンド製固定金具

【課題】 散気体を配管に取り付ける際に、配管材質による部材の調整が不要で、設置後の運転中の破損による交換がない、簡易で且つ信頼性の高い散気体用ホルダーを提供すること。
【解決手段】 散気体を空気供給配管に取り付けるためのホルダーであって、筒状部分、半円筒部分および凸部状空気供給口からなり、筒状部分の一端が半円筒部分の外面に半円筒部分の径方向に接続されており、凸部状空気供給口が半円筒部分の内面に、前記筒状部分の軸方向と凸部状空気供給口の軸方向が同一になるように取り付けられており、筒状部分の他端に散気体が取り付けられ、半円筒部分の内面に空気供給用配管の外表面が密着し、空気供給用配管に開けられた穴に凸部状空気供給口が差し込まれ密着するようにした、散気体ホルダー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散気装置用ホルダーに関するものである。また、ホルダーを用いて散気体を配管に固定する金属バンド製固定金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
気体供給用配管に散気体を取付ける方法としては、オス又はメス型のネジ込み方式や、樹脂製のホルダーを用いて配管の両側から挟みこむ方式、更には樹脂製のホルダーを空気供給用配管の軸に対して垂直方向にボルトで固定し、ホルダーの両側に散気体を取り付け方法があるが、片側のみに散気体を取り付ける場合は、ホルダーの片側を無駄にするか、不可能な場合があった。
【0003】
配管が塩ビの場合とステンレスの場合は外形が少し異なるため、案件により樹脂製ホルダーを取付けるシール用0−リング、リング状パッキンの厚みを配管外形により調整するか、配管の外周部を削り外径寸法を調整する必要があった。
【0004】
また、樹脂製ホルダーを樹脂製のクランプで固定した場合、散気体が1000mm程度と長い場合、曝気中の振動でホルダーそのものが破壊したり、緩みが発生することがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−200256
【特許文献2】特開2007−038198
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
散気装置を安定して運転するには、最適な設置状態が必要であるが、従来の方法では設置のための配管の材質により部材の調整や、設置後の運転中の破損による交換等に余分なコストが生じ、散気装置自体の効率的運転に問題が生じていた。
【0007】
そこで、簡易で且つ信頼性の高いシステムの開発が要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、散気装置、特に散気体用ホルダーの新規な構造を提供するものである。また、その取り付け・固定に用いる金属バンド製固定金具を提供する。
【0009】
第1の発明は、散気体を空気供給配管に取り付けるためのホルダーであって、筒状部分、半円筒部分および凸部状空気供給口からなり、筒状部分の一端が半円筒部分の外面に半円筒部分の径方向に接続されており、凸部状空気供給口が半円筒部分の内面に、前記筒状部分の軸方向と凸部状空気供給口の軸方向が同一になるように取り付けられており、筒状部分の他端に散気体が取り付けられ、半円筒部分の内面に空気供給用配管の外表面が密着し、空気供給用配管に開けられた穴に凸部状空気供給口が差し込まれ密着するようにした、散気体ホルダーである。
第2の発明は、前記凸部状空気供給口と、空気供給用配管に開けられた穴の間の密着性が、凸部状空気供給口に取り付けられた0―リング又はリング状パッキンにより保たれる、発明1記載の、散気体ホルダーである。
第3の発明は、半円筒部分の軸方向両端部において、空気供給用配管および半円筒部分の外面を、金属バンド製固定金具で締め付けて、前記半円筒部分の内面と空気供給用配管の外表面が密着されている、前記発明の散気体ホルダーである。
第4の発明は、取り付けられる散気体が、チューブ型メンブレンディフューザー、多孔体チューブ型ディフューザー、平板式メンブレンディフューザー、平板式多孔体型ディフュ−ザーのいずれかである、発明1の散気体用ホルダー。
第5の発明は、金属バンド製固定金具の材質が、ステンレス、鉄、鋼、カーボン繊維およびガラス繊維で補強された物質のいずれかであることを特徴とする、発明3記載の散気体用ホルダーである。
第6の発明は、発明1記載の散気体ホルダー1つを、空気供給用配管に固定するための金属バンド製固定金具であって、その長さが空気供給用配管および半円筒部分の外面を囲むのに充分なものであり、金属バンドの両端に配置されたボルトとナットを締め付けて固定できる 金属バンド製固定金具である。
第7の発明は、発明1記載の散気体ホルダー2つを、空気供給用配管に固定するための2つの金属バンド製固定金具であって、1つのバンドの長さが空気供給用配管および半円筒部分の外面の半分を囲むのに充分なものであり、2つの金属バンドの両端それぞれにナットが配置され、両金属バンドの片端のナット2つを1つのボルトで締め付け、多端のナット2つをもう1つのナットで締め付けて固定できる、金属バンド製固定金具である。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、配管の片側又は両側の所定の穴を開け、凸部状空気供給口を有する散気体ホルダーを差込み、ホルダーを配管表面に金属バンド製固定金具で固定することができる。
本発明によると、散気体用ホルダーの配管への取り付けは、配管に穴を開けるのみで、特殊な固定のための加工(ねじ込みソケットやニップルの溶接固定等)が不要で、簡便である。
散気体用ホルダー2つを配管の両側に取り付ける場合も、金属バンド製固定金具2枚を両側から取り付け配管の上下部分で直線状ボルトで絞め付け固定することができる。
【0011】
また、配管材質による制約もなく同時に材質による外径の微妙な寸法の違いものボルトの締め付け寸法の調節で可能である。
【0012】
更に、所定の口径の外周にあわせて曲線形状を決定した散気体用ホルダーであっても、配管の外周と、散気体用ホルダーの接続内面にアダプターとなるスペーサーを装着することで別寸法の配管にも容易に装着が行える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は本発明の散気体用ホルダーを配管の片側に固定した形態の断面図である。
【図2】図2は本発明の散気体用ホルダーを配管の両側に固定した形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】

以下に、本発明を図を参考にしながら具体的に説明する。
【0015】
図1の形態において、散気体ホルダー1は、水平方向右方向に伸びた筒状部分を有する。この筒状部分の右側に、図示しない散気体がホルダーと接続される。散気体ホルダー1は、筒状部分の下方(図では左側)に半円筒部分(断面図では、半円周状)が一体に形成されている。半円筒部分の外面に半円筒部分の径方向に接続(一体に形成)されている。半円筒部分の内面(断面図では左側)は空気供給用配管と接している。
【0016】
半円筒部分の内面には、凸部状空気供給口3が半円筒部分と一体に形成されており、凸部状空気供給口3の軸方向と、筒状部分の軸方向とが同一方向になるように形成されている。凸部状空気供給口3の径は、空気供給用配管4に設けられた穴とほぼ同じ径であり、散気体ホルダー1を空気供給用配管4に取り付ける際には、凸部状空気供給口3が配管の穴に差し込まれ、密着するようにする。供給される空気は、配管から、配管と連通している凸部状空気供給口3に入り、図1の右方向に流れ、散気装置に供給されることになる。
【0017】
凸部状空気供給口3が配管の穴に差し込まれる時、凸部状空気供給口3の外面には、0―リング又はリング状パッキン2が取り付けられている。散気体ホルダー1が空気供給用配管4に取り付けられる時、図1のように、0―リング又はリング状パッキン2が、空気供給用配管4と散気体ホルダー1の間の機密性を保つ位置にある。
【0018】
そして、散気体用ホルダー1を空気供給用配管4に密着させるために、配管固定用金属ベルト5が使用される。ベルト5は金属製平板からなり、そのほぼ中央に穴を開け、かつ、その両端を折り曲げ・溶接し、棒状ナット7が挟み込まれている。金属製平板の大きさは、空気供給用配管4を取り巻く時に、半円筒部分および空気供給用配管4の外面を囲むのに充分な、大きさおよび周方向の長さを有するものである。配管固定用金属ベルト5のほぼ中央の穴は、散気体用ホルダー1の筒状部分の軸方向から見た面積(円の面積)より大きい。
【0019】
組み立ての際には、まず、空気供給用配管4の穴に、凸部状空気供給口3が嵌るように差し込まれた後、散気体用ホルダー1の上部(図1の右側)から、平板状の配管固定用金属ベルト5の穴に散気体用ホルダー1の筒状部分が入るようにして、配管固定用金属ベルト5が、空気供給用配管4および半円筒状部分を同時に取り巻く様に取り付ける。その後、配管固定用金属ベルト5を半円筒状部分と空気供給用配管4の外面を覆うように、円状に折り曲げ、端部に取り付けた2つの棒状ナット7を、直線状ボルト6を締め付けることで、散気体様ホルダー1を空気供給用配管4に固定する。
【0020】
図2の形態は、図1の形態と同様に空気供給用配管4に散気体用ホルダー1を取り付けたものである。基本的な構成は図1のものと類似しているので、異なる点についてのみ説明する。
図2の形態は、配管4の直径方向の両側に、計2つの散気体用ホルダー1が取り付けられている点で、図1の形態とは異なっている。この実施形態では、2つの散気体用ホルダー1を取り付けるために、配管固定用金属ベルト5を2つ用いる。ここで用いるベルト5は、その長さが散気体用ホルダー1の半円筒部分の周方向の長さを囲むのに充分なものであり、また、その大きさ(面積)は前記半円筒部分を覆うのに充分なものである。
この形態では、図1の形態と同様に、散気体用ホルダー1の筒状部分に、両端から配管固定用金属ベルト5をそれぞれ1つずつ、計2つを、ベルト5が半円筒部分に接するように配置した後、ベルト5の両端に挟み込まれている棒状ナット7の2つ(2つの配管固定用金属ベルト5の各一端にあるもの)を、1つの直線状ボルト6で締め付けて固定する。多端の2つの棒状ナット7についても、同様に1つの直線状ボルト6で締め付けて固定する。
【0021】
図2の2つの散気体用ホルダー1が水平状態になるように取り付けるには、空気供給用配管4に開けた空気供給穴と凸部状空気供給口3とのクリアランス範囲内で、位置調整をしながら棒状ナット7と直線状のボルト6を締め付けることで水平状態に固定することが可能である。
【符号の説明】
【0022】
1 散気体ホルダー
2 O-リング
3 凸部状空気供給口
4 空気供給用配管
5 配管固定用金属ベルト
6 直線状ボルト
7 棒状ナット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
散気体を空気供給配管に取り付けるためのホルダーであって、筒状部分、半円筒部分および凸部状空気供給口からなり、筒状部分の一端が半円筒部分の外面に半円筒部分の径方向に接続されており、凸部状空気供給口が半円筒部分の内面に、前記筒状部分の軸方向と凸部状空気供給口の軸方向が同一になるように取り付けられており、筒状部分の他端に散気体が取り付けられ、半円筒部分の内面に空気供給用配管の外表面が密着し、空気供給用配管に開けられた穴に凸部状空気供給口が差し込まれ密着するようにした、散気体ホルダー。
【請求項2】
前記凸部状空気供給口と、空気供給用配管に開けられた穴の間の密着性が、凸部状空気供給口に取り付けられた0―リング又はリング状パッキンにより保たれる、請求項1記載の、散気体ホルダー。
【請求項3】
半円筒部分の軸方向両端部において、空気供給用配管および半円筒部分の外面を、金属バンド製固定金具で締め付けて、前記半円筒部分の内面と空気供給用配管の外表面が密着されている、請求項1または2の散気体ホルダー。
【請求項4】
取り付けられる散気体が、チューブ型メンブレンディフューザー、多孔体チューブ型ディフューザー、平板式メンブレンディフューザー、平板式多孔体型ディフュ−ザーのいずれかである、請求項1の散気体用ホルダー。
【請求項5】
金属バンド製固定金具の材質が、ステンレス、鉄、鋼、カーボン繊維およびガラス繊維で補強された物質のいずれかであることを特徴とする、請求項3記載の散気体用ホルダー。
【請求項6】
請求項1記載の散気体ホルダー1つを、空気供給用配管に固定するための金属バンド製固定金具であって、その長さが空気供給用配管および半円筒部分の外面を囲むのに充分なものであり、金属バンドの両端に配置されたボルトとナットを締め付けて固定できる 金属バンド製固定金具。
【請求項7】
請求項1記載の散気体ホルダー2つを、空気供給用配管に固定するための2つの金属バンド製固定金具であって、1つのバンドの長さが空気供給用配管および半円筒部分の外面の半分を囲むのに充分なものであり、2つの金属バンドの両端それぞれにナットが配置され、両金属バンドの片端のナット2つを1つのボルトで締め付け、多端のナット2つをもう1つのナットで締め付けて固定できる、金属バンド製固定金具。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−50836(P2011−50836A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−201260(P2009−201260)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(594152620)ダイセン・メンブレン・システムズ株式会社 (104)
【Fターム(参考)】