説明

散水システム、散水方法

【課題】散水にかかるエネルギーを削減できる散水システム等を提供する。
【解決手段】空冷チラー50の周辺に、温度計31および風向計33と、複数の散水ノズル60(60a〜60f)を設置する。制御部40は、温度計31および風向計33からのデータを得て、温度データが所定の温度を超えた場合、風向データを方角データに変換し、方角データに応じて電磁弁20を制御し、空冷チラー50の風上側の散水領域に、該散水領域に対応する散水ノズル60から散水を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散水システム、散水方法に関する。より詳しくは、空冷式熱交換器に適用される散水システム、散水方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空冷式の熱交換器の一種である空冷チラーは、周囲から外気を取り込んで、外気と冷媒の熱交換により水を冷却する冷凍機である。空冷チラーは、例えば、印刷工場等において印刷機に用いる冷却水の冷却に用いられる。
【0003】
空冷チラーは、取り込む外気の温度が低いと熱効率が向上するが、夏季等に外気の温度が上昇すると熱効率が低下し、消費電力が増大する。これを防ぐための方法として、空冷チラーへの散水を行うことが知られている。
【0004】
特許文献1には、空冷式の熱交換器である室外機の周囲を循環する給水ラインを設けて、室外機に対して散水し、これを冷却する方法について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−243144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、夏季等に工場等でヒートアイランド現象が発生すると、工場敷地内のコンクリート表面が50℃程度まで上昇し、それ以外の箇所、例えば敷地中心部より3℃程度高くなることがある。
【0007】
そして、ヒートアイランド現象のように広範囲で温度が上昇した場合では、空冷チラーの熱効率向上のために散水を行う際、水や電気等のエネルギーを必要以上に消費するケースが考えられる。
例えば、空冷チラーは周囲の外気を取り込んで熱交換を行うが、この際、風上側の外気が主に取り込まれる。従って、風下側への散水を行ってもそれほど効果がなく、このような場合には散水の際にエネルギーを無駄に消費していることになる。
【0008】
従来の散水方法は、熱交換器に対し散水を行いこれを冷却するものであるが、このように広範囲に温度が上昇した場合に、効率よく散水を行い熱交換器の熱効率を向上させるものではなかった。
【0009】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、散水にかかるエネルギーを削減できる散水システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達するために第1の発明は、空冷式熱交換器に適用される散水システムであって、散水ノズルと、風向計測装置と、前記風向計測装置により計測された風向に応じて、前記空冷式熱交換器の風上側の領域に前記散水ノズルから散水を行うように制御する制御部と、を有することを特徴とする散水システムである。
【0011】
かかる構成により、風向に応じて、空冷チラーなどの空冷式熱交換器の風上側の領域に散水が行われるので、空冷式熱交換器が主に取り込む風上側の外気のみ、温度を低下させることが可能になり、散水に使用するエネルギーを削減しつつ、空冷式熱交換器の熱効率を向上させることができる。また、空冷式熱交換器の周辺で主に散水を行い、空冷式熱交換器が取り込む外気の温度を低下させるので、ヒートアイランド現象のように広範囲に温度が上昇した場合に、効果的に空冷式熱交換器の熱効率を向上させることができる。
【0012】
また、前記散水ノズルが前記空冷式熱交換器を取り囲むように複数設けられ、前記制御部は、複数の前記散水ノズルのうち、前記風向に応じた前記散水ノズルから、前記空冷式熱交換器の風上側の領域に散水を行うように制御することが望ましい。
かかる構成により、複数の散水ノズルを設置することで、空冷式熱交換器の周辺の大規模な範囲で散水の制御が行えるようになり、ヒートアイランド現象のように、広範囲で気温が上昇するケースに特に適したものとなる。
【0013】
また、第1の発明の散水システムは、温度計測装置を更に有し、前記制御部は、前記温度計測装置により計測された温度が所定の温度よりも高い場合に、散水を行うように制御することが好ましい。
これにより、外気の温度が所定の温度より高い場合にのみ散水を行い、散水に使用するエネルギーを削減しつつ、効果的に空冷式熱交換器の熱効率を向上させることができる。
【0014】
また、前記制御部は、前記空冷式熱交換器が稼働していることが検出される場合に、散水を行うように制御するようにしてもよい。
これにより、空冷式熱交換器が稼働している場合にのみ散水を行い、散水に使用するエネルギーを削減することができる。
【0015】
第2の発明は、空冷式熱交換器に適用される散水方法であって、風向計測装置により風向を計測する風向計測ステップと、制御部により、前記風向計測ステップで計測された風向に応じて、前記空冷式熱交換器の風上側の領域に散水ノズルから散水を行うように制御する散水制御ステップと、を有することを特徴とする散水方法である。
【0016】
前記散水ノズルが前記空冷式熱交換器を取り囲むように複数設けられ、前記散水制御ステップでは、複数の前記散水ノズルのうち、前記風向に応じた前記散水ノズルから、前記空冷式熱交換器の風上側の領域に散水を行うように制御することが望ましい。
また、第2の発明の散水方法は、温度計測装置により温度を計測する温度計測ステップを更に有し、前記制御部は、前記温度計測ステップで計測された温度が所定の温度よりも高い場合に、前記散水制御ステップで散水を行うように制御することが望ましい。
さらに、前記制御部は、前記空冷式熱交換器が稼働していることが検出される場合に、前記散水制御ステップで散水を行うように制御するようにしてもよい。
【0017】
第2の発明は、第1の発明の散水システムにおける散水方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、散水にかかるエネルギーを削減できる散水システム等を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る散水システム1の概略構成図
【図2】散水システム1の処理の流れを示すフローチャート
【図3】散水システム1による散水を説明する図
【図4】本発明の第2の実施形態に係る散水システム1aの概略構成図
【図5】散水システム1aによる散水を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
[第1の実施形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る散水システム1について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る散水システム1の概略構成図である。
【0022】
本実施形態の散水システム1は、散水を行うことにより、空冷チラー50が取り込む外気の温度を低下させ、空冷チラー50の熱効率を向上するものである。
空冷チラー50は、空冷式(空気冷却式)の熱交換器であり、例えば、印刷工場等の印刷機等で使用される冷却水を外気と冷媒の熱交換により冷却する。
【0023】
図に示すように、この散水システム1は、給水部10、電磁弁20、温度計31、風向計33、制御部40、複数の散水ノズル60(60a〜60f)、流路70、75(75a〜75f)等で構成される。
【0024】
給水部10は、散水に用いる水を給水するものであり、配管等の流路70を介して電磁弁20に接続する。
【0025】
電磁弁20は、配管等の流路75a〜75fのそれぞれに接続し、制御部40の制御に従って、流路70から各流路75a〜75fへ至る流路を個々に開閉する。
【0026】
散水ノズル60(60a〜60f)は、空冷チラー50の周辺に、空冷チラー50を取り囲むように複数設置される。各散水ノズル60a〜60fは、それぞれ、流路75a〜75fを介して電磁弁20と接続され、空冷チラー50の周辺の所定の散水領域に散水して、空冷チラー50が取り込む外気の温度を低下させる。
散水ノズル60は、所定の散水領域への散水が可能なものであればよく、シャワーヘッドタイプのもののように周囲の領域を同時に散水するものや、スプリンクラーのような回転式ノズルタイプのものであって周囲の領域を回転しながら順番に散水するものなど、種々のものが考えられる。
【0027】
温度計31は、空冷チラー50の周辺の温度を計測するための温度計測装置である。また、風向計33は、空冷チラー50の周辺の風向を計測するための風向計測装置である。風向計33や温度計31としては、従来のものを適宜使用することができる。
温度計31と風向計33は制御部40に接続され、温度計31や風向計33で測定された温度データや風向データが、制御部40に入力される。
【0028】
制御部40は、PLC(Programmable Logic Controller)等であり、温度計31や風向計33から取得した外気の温度や風向に基づき、電磁弁20の開閉制御を前記したように行う。
これにより、各散水ノズル60a〜60fへの水の供給が個々に制御され、給水部10から送られる水が、風向に応じた所定の散水ノズル60から散水される。
なお、空冷チラー50が太陽光にさらされて熱せられる場合には、前記風向に応じた散水に加えて更に空冷チラー50自体を散水ノズル60にて散水し、冷却するようにしてもよい。
【0029】
次に、散水時の散水システム1の動作について、図2を参照しながら説明する。図2は、散水時の制御部40の処理の流れを示すフローチャートである。
【0030】
図に示すように、制御部40は、まず、温度計31から温度データを取得し、予め定めた所定の温度と比較する(S101)。この所定の温度は予め設定しておき、例えば、30℃とする。
【0031】
制御部40は、温度データが所定の温度を上回ると(S101;No)、次に、風向計33から風向データを取得する(S102)。風向データは、基準に対する角度(0〜360°)のデータとして、風向計33から制御部40に入力される。
【0032】
次に、制御部40は、風向データを方角データに変換する(S103)。例えば、基準となる角度0°を方角データ「西」として、風向データの角度が240°であった場合、これを方角データ「南南東」に変換するなど、データ間の変換関係は予め定めておく。即ち、この場合は風向データの角度が210°から270°の範囲であった場合、これを方角データ「南南東」に変換する。なお、この方角データは、個々の散水ノズル60に対応するように、各散水ノズル60の(空冷チラー50に対する)配置に近いものを便宜的に定めているもので、必ずしも実際の方角と一致するものとは限らない。
【0033】
そして、制御部40は、S103で変換された方角データに応じて、所定の散水ノズル60(60a〜60f)で散水されるよう、電磁弁20を開放する(S104)。
これに伴い、開放された電磁弁20を経て、所定の散水ノズル60へと給水部10からの水が供給され、この散水ノズル60からの散水が実施される。
【0034】
本実施形態では、空冷チラー50に対して風上側に設置された散水ノズル60で散水が行われるように、方角データと散水ノズル60(60a〜60f)との対応関係を予め設定しておく。
これに基づく電磁弁20の制御により、S104において、空冷チラー50の風上側に設置された散水ノズル60の流路75に水が流れ、この散水ノズル60から、空冷チラー50の風上側の散水領域に散水が行われる。
なお、上記の処理では、各散水ノズル60(60a〜60f)は、それぞれ対応する風向データの一定の範囲を受け持つようにして、一度の散水をどれか1つの散水ノズル60から行うようにしているが、風向に応じて、これに対応する複数の散水ノズル60から、必要に応じて異なる散水量で、散水を行うようにしてもよい。具体的には、電磁弁20により各散水ノズル60へ供給する水の量を個別に調整可能なものを使用して、例えば、風向計33により計測される風向が、2つの散水ノズル60d、60fに対応する風向の間で、散水ノズル60dに対応する風向寄りの向きにある場合、散水ノズル60dから大量の水を散水し、同時に散水ノズル60fからは少量の水を散水するようにして、風向が2つの散水ノズル60の間にある場合に対応させるようにしてもよい。
【0035】
制御部40は、このようにしてS104で散水を行った後、またはS101で温度データが所定の温度以下であった場合(S101;Yes)、引き続き、S101〜S104の処理を繰り返す。
【0036】
図3は、散水システム1による散水の例について説明する図である。
図3は、2つの建物(工場の建屋等)80a、80bの間に空冷チラー50(50a〜50c)が南北に一列に設置されている場合を示している。この列の南側(図の下側)に温度計31、風向計33、および散水ノズル60bが設けられ、北側(図の上側)に散水ノズル60aが設けられている。なお、図3では、給水部10、電磁弁20、制御部40、流路70、75等の図示は省略した。
【0037】
散水ノズル60aは、空冷チラー50a〜50cの北側の散水領域65aに散水し、散水ノズル60bは、空冷チラー50a〜50cの南側の散水領域65bに散水する。
【0038】
この例では、温度計31で計測される温度が所定の温度を上回り、かつ風向計33により南からの風が吹いていることが計測される場合には、前記のS104で、空冷チラー50a〜50cの南側の散水領域65bに、散水ノズル60bからの散水を行う。
南から風が吹いている場合、空冷チラー50a〜50cは南側の外気を多く吸い込むことになるので、このように南側の散水領域65bに散水して温度を下げておく。北側の外気は空冷チラー50a〜50cにそれほど吸い込まれないので、散水領域65aには散水しない。
【0039】
一方、温度計31で計測される温度が所定の温度を上回り、かつ風向計33により北からの風が吹いていることが計測される場合には、前記のS104で、散水ノズル60aから北側の散水領域65aに散水することになる。
なお、前記したように、これらの散水領域に空冷チラー50も含まれるようにし、空冷チラー50にも散水するようにしてもよい。
【0040】
このように、本実施形態によれば、温度計31により計測した温度が所定の温度を超えた場合に、風向計33で計測した風向に応じて空冷チラー50の風上側の領域に散水を行うことで、空冷チラー50が主に取り込む風上側の外気のみ、温度を低下させることが可能になり、散水に使用する水や電気などのエネルギーを削減しつつ、空冷チラー50の熱効率を向上させることができる。
また、空冷チラー50の周辺で主に散水を行い、空冷チラー50が取り込む外気の温度を低下させるので、ヒートアイランド現象のように広範囲に温度が上昇した場合に、効果的に空冷チラー50の熱効率を向上させることができる。
【0041】
また、本実施形態では、散水ノズル60を複数設け、このうち、風向に応じた散水ノズル60から、空冷チラー50の風上側の領域に散水を行うので、空冷チラー50の周辺の大規模な範囲で散水の制御が行えるようになり、ヒートアイランド現象のように、広範囲で温度が上昇するケースに特に適している。
【0042】
なお、以上に説明した処理の流れでは、S103で風向データを方角データに変換して制御を行ったが、方角データは、個々の散水ノズル60に対応しこれらを識別可能なものであれば他のデータでもよい。さらに、S103の処理を省略して、風向データに基づき電磁弁20の制御を行うことも可能である。
また、S101により温度が所定の温度を超えた場合に散水を行ったが、温度による散水の制御はこれに限るものではなく、さまざまな方法が考えられる。例えば、空冷チラー50周辺の温度と、工場外部など別の箇所の温度を測定し、その差が所定の値を超えている場合にS102以降の散水の制御を行うようにしてもよい。あるいは、空冷チラー50周辺の温度と、空冷チラー50内の水温との差が所定の値よりも小さくなった場合に、S102以降の散水の制御を行うようにしてもよい。
【0043】
また、空冷チラー50の稼働状況に応じて、散水の制御を行うようにしてもよい。この場合、S101に先だって、空冷チラー50の稼働状況のデータを制御部40が取得し、これにより空冷チラー50が稼働していると判定される場合に、S101以降の処理を行うようにすればよい。空冷チラー50が稼働している場合にのみ散水を行うことで、散水にかかるエネルギーを削減することができる。
例えば、空冷チラー50の電源部に電力計を設け、使用電力量が所定の値を超えた場合や、空冷チラー50の制御部から、空冷チラー50が稼働中であることを示す信号が取得できる場合に、制御部40によって、S101以降の処理を行って散水を行うようにすればよい。
【0044】
また、本実施形態では温度計31と風向計33を1個ずつ設け、温度計31で計測した温度が所定の温度以上である場合に、風向計33で計測した風向に応じた散水領域に散水したが、複数の散水領域のそれぞれに対応するように、温度計31と風向計33を複数設けてもよい。
【0045】
この場合では、個々の散水領域に対応する温度計31と風向計33で計測した温度データと風向データから、個々の散水領域への散水を制御することも可能である。
例えば図3の例で、北側の散水領域65aに対応する位置に温度計31、風向計33を設け、温度計31で計測した温度が所定の温度以上であり、かつ風向計33で北から風が吹いていることが計測される場合に、該散水領域65aに散水を行うようにすることが可能である。南側の散水領域65bについても同様の散水制御が可能である。このように、個々の散水領域において、温度と風向に応じて散水の可否を判定することで、より細かい散水の制御が行えるようになる。
【0046】
さらに、本実施形態の散水システム1では、複数の散水ノズル60(60a〜60f)のうち、風向に応じた散水ノズル60から散水を行うようにしたが、風向に応じた散水方法はこれに限ることはない。以下、散水方法の別の例について、第2の実施形態として説明する。
【0047】
[第2の実施形態]
図4は、本発明の第2の実施形態に係る散水システム1aの概略構成図である。この散水システム1aが第1の実施形態と異なる点は、制御部40と散水ノズル60を接続し、風向に合わせて散水ノズル60の散水方向を制御する点である。ここで用いる散水ノズル60は回転式ノズルであり、制御部40からの方角データに応じてパルスモーターにより所望の方角に回転可能になっている。その他の構成は、第1の実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0048】
第2の実施形態に係る散水システム1aでは、前記のS104で、制御部40が、風向データから変換した方角データに応じて、散水ノズル60の散水方向を制御するとともに、電磁弁20を開き散水ノズル60へ水を供給する。
【0049】
図5は、散水システム1aによる散水の例について説明する図である。
図5では、空冷チラー50の上方に散水ノズル60、温度計31、風向計33が設けられており、風向に応じて、散水ノズル60の散水方向が制御される。なお、図3と同様、給水部10、電磁弁20、制御部40、流路70、75等の図示は省略した。
【0050】
図では、上側が北、下側が南、右側が東、左側が西であり、風向計33で計測された風向に応じて、空冷チラー50の風上側の方角の散水領域65(65a〜65d)に散水が行われる。例えば、南から風が吹いている場合、S104で散水ノズル60の散水方向を南にして空冷チラー50の南側の散水領域65bに散水する。
【0051】
本実施形態でも、第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、少数の散水ノズルを用いて多数の散水領域に散水可能であるので、散水ノズル60の設置コストが低減可能である利点がある。
一方、第1の実施形態では、多くの散水ノズルを用いてより大規模な範囲で散水の制御が行える利点がある。どのように散水システムを構築するかは、制御する空冷チラーの規模等、散水を制御する範囲に応じて定めればよい。
【0052】
以上、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記の実施形態では、空冷式の熱交換器の例として、冷却水の冷却を行う空冷チラー50の例を示したが、同様の空冷式の熱交換器として、例えば、冷房時に工場内に吹き出す空気の冷却を行う室外機などにも適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1、1a………散水システム
10………給水部
20………電磁弁
31………温度計
33………風向計
40………制御部
50………空冷チラー
60………散水ノズル
70、75………流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空冷式熱交換器に適用される散水システムであって、
散水ノズルと、
風向計測装置と、
前記風向計測装置により計測された風向に応じて、前記空冷式熱交換器の風上側の領域に前記散水ノズルから散水を行うように制御する制御部と、
を有することを特徴とする散水システム。
【請求項2】
前記散水ノズルが前記空冷式熱交換器を取り囲むように複数設けられ、
前記制御部は、複数の前記散水ノズルのうち、前記風向に応じた前記散水ノズルから、前記空冷式熱交換器の風上側の領域に散水を行うように制御することを特徴とする請求項1記載の散水システム。
【請求項3】
温度計測装置を更に有し、
前記制御部は、前記温度計測装置により計測された温度が所定の温度よりも高い場合に、散水を行うように制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の散水システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記空冷式熱交換器が稼働していることが検出される場合に、散水を行うように制御することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の散水システム。
【請求項5】
空冷式熱交換器に適用される散水方法であって、
風向計測装置により風向を計測する風向計測ステップと、
制御部により、前記風向計測ステップで計測された風向に応じて、前記空冷式熱交換器の風上側の領域に散水ノズルから散水を行うように制御する散水制御ステップと、
を有することを特徴とする散水方法。
【請求項6】
前記散水ノズルが前記空冷式熱交換器を取り囲むように複数設けられ、
前記散水制御ステップでは、複数の前記散水ノズルのうち、前記風向に応じた前記散水ノズルから、前記空冷式熱交換器の風上側の領域に散水を行うように制御することを特徴とする請求項5記載の散水方法。
【請求項7】
温度計測装置により温度を計測する温度計測ステップを更に有し、
前記制御部は、前記温度計測ステップで計測された温度が所定の温度よりも高い場合に、前記散水制御ステップで散水を行うように制御することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の散水方法。
【請求項8】
前記制御部は、前記空冷式熱交換器が稼働していることが検出される場合に、前記散水制御ステップで散水を行うように制御することを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の散水方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−113539(P2013−113539A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261946(P2011−261946)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】