説明

数値表示装置

【課題】操作手順を容易に覚えることができ、操作ミスの発生を効果的に防止して作業性の向上を図る上で有利な数値表示装置を提供する。
【解決手段】基準点データSおよびプリセットデータPを入力するに際しては、基準点設定キー306またはプリセットキー308を操作し、次いで、テンキー332により数値を入力し、次いで、エンターキー330を操作する。言い換えると、基準点設定キー306またはプリセットキー308という機能を選択するキーを操作し、次いで数値を入力し、最後に数値を確定するエンターキー330を操作するといった同一の手順で操作を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は数値表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、旋盤やボール盤などの工作機械において刃物に対する被加工物の移動量あるいは被加工物に対する刃物の移動量を検出して表示する測長システムが用いられている。
多くの場合、このような測長システムは、移動体、すなわち刃物あるいは被加工物の移動量を検出して計数信号を生成する測長ユニットと、前記計数信号に基づいて移動体の移動量を表示する数値表示装置(デジタル表示ユニット)で構成されている(特許文献1参照)。
このような数値表示装置には、例えば、移動体の移動方向であるX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に対応して設けられた各測長ユニットから送信される計数信号に基づいて移動量を表示する各軸毎に設けられた表示手段と、軸を選択するための軸選択キーと、数値を入力するためのテンキーと、基準点設定キーと、プリセットキーと、記憶手段とが設けられている。
そして、移動体の移動量を、所望の基準点を基準として表示させるために基準点設定機能が提供されている。
この場合、移動体を基準点に移動させた状態で、基準点を設定すべき軸に対応する軸選択キーを操作し、基準点として設定すべき数値をテンキーにより入力して表示手段に表示させ、基準点設定キーを操作することで設定した数値を基準点として数値表示装置に設定する。
基準点の設定後は、移動体の移動に伴い、前記設定された基準点に対しての移動量が表示手段に表示されることになる。
【0003】
一方、被加工物に対して複数の孔を直線状に一定の間隔をおいて形成するといった場合には、前記間隔の寸法に対応した数値を予めプリセットデータとして数値表示装置に記憶させておき、必要に応じてプリセットデータをリコール(読み出し)して数値表示装置に設定する、いわゆるプリセット機能が提供されている。
この場合には、プリセットデータを設定すべき軸を選択するために軸選択キーを操作し、次いで、プリセットキーを操作することで記憶手段から読み出されたプリセットデータを表示手段に表示させ、次いで、プリセットキーを操作することで、設定した数値をプリセットデータとして数値表示装置に設定している。
したがって、表示手段に表示されているプリセットデータが「0」になるまで移動体を移動させることで、移動体をプリセットデータ分だけ正確に移動させることができる。
また、新たなプリセットデータを設定する場合には、プリセットデータを設定すべき軸に対応する軸選択キーを操作し、次いで、プリセットキーを操作することで記憶手段から読み出されたプリセットデータを表示手段に表示させ、ここで、テンキーを操作することで新たな数値を表示手段に表示させ、さらに、プリセットキーを操作することで表示されていた数値が新たなプリセットデータとして数値表示装置に設定されるとともに、記憶手段に記憶される。
【特許文献1】実公昭61−19896号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来装置では、基準点設定キーは表示手段に表示されている数値を基準点として設定する役割が割り当てられており、プリセットキーは、プリセットデータを読み出す役割と、表示手段に表示されている数値をプリセットデータとして設定する役割が割り当てられている。
すなわち、基準点設定キーには単に数値を設定する機能が割り当てられているに過ぎないのに対し、プリセットキーには、数値の呼び出しと数値の設定の2つの機能が割り当てられている。
したがって、基準点設定操作とプリセットデータ設定操作は、共に数値を設定するという点で同一の操作であるにも拘わらず、利用する機能に応じてそれぞれの操作手順が異なっている。
また、多くの場合、数値表示装置には、上述した基準点設定機能とプリセット機能の他にも多くの機能が用意されており、それらの機能毎に操作手順が異なっているのが実状であった。
そのため、数値表示装置が多機能となるに従って操作手順が極めて繁雑なものとなるため、作業者が数値表示装置の操作手順を覚えることが容易ではないことから、操作ミスの発生を防止する上で不利があり、作業性を向上させる上で不利があった。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、操作手順を容易に覚えることができ、操作ミスの発生を効果的に防止して作業性の向上を図る上で有利な数値表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明の数値表示装置は、数値が表示可能に構成された表示手段と、移動体の移動量に応じて生成される計数信号を計数して基準移動量データを生成する基準移動量データ計数手段と、前記移動体の特定の位置を基準点とした場合にその基準点の位置を示す基準点データに対応した第1オフセットデータを生成する第1オフセットデータ生成手段と、前記基準点を除く前記移動体の特定の位置を示すプリセットデータに対応した第2オフセットデータを生成する第2オフセットデータ生成手段と、前記第1オフセットデータを前記基準移動量データに加算することで第1移動量データを生成する第1計数手段と、前記第2オフセットデータを前記第1移動量データに加算することで第2移動量データを生成する第2計数手段と、前記基準点データおよび前記プリセットデータを格納する記憶手段と、前記基準点データおよび前記プリセットデータの何れか一方の入力を行う機能を特定する機能キーと、数値を入力し前記表示手段に表示させる数値入力キーと、前記表示手段に表示された数値を確定するエンターキーと、前記基準点データまたは前記プリセットデータのうち前記機能キーで選択された機能に対応する前記基準点データおよび前記プリセットデータの何れか一方を前記記憶手段から読み出して前記表示手段に表示させる第1制御手段と、前記第1制御手段により前記表示手段に前記基準点データまたは前記プリセットデータが表示されている状態で前記エンターキーが操作されることにより前記表示手段に表示されている前記基準点データまたは前記プリセットデータに対応した前記第1オフセットデータまたは前記第2オフセットデータを前記第1計数手段または前記第2計数手段に設定する第2制御手段と、前記第1制御手段により前記表示手段に前記基準点データまたは前記プリセットデータが表示されている状態で前記数値入力キーが操作されることにより入力された数値を既に表示されている前記基準点データまたは前記プリセットデータに代えて前記表示手段に表示させ、さらに、前記エンターキーが操作されることにより前記表示手段に表示されている前記数値を新たな基準点データまたは新たなプリセットデータとして前記記憶手段に格納するとともに、前記新たな基準点データまたは前記新たなプリセットデータを前記第1オフセットデータ生成手段または第2前記オフセットデータ生成手段に与える第3制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、基準点データおよびプリセットデータを入力するに際しては、機能キーを操作し、次いで、数値入力キーにより数値を入力し、次いで、エンターキーを操作するといった同一の手順で操作を行うことができる。
したがって、作業者は実行したい機能を選択すれば、その後は、機械的に数値を入力し、エンターキーで数値を確定すればよく、基準点データおよびプリセットデータという異なる種類のデータを入力するにも拘わらず操作が同一であるため、操作手順を容易に覚えることができ、操作ミスの発生を効果的に防止して作業性の向上を図る上で有利となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(第1の実施の形態)
次に本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は第1の実施の形態の数値表示装置10の構成を示すブロック図である。
図2は第1の実施の形態の数値表示装置10のフロントパネル11を示す正面図である。
まず、図1、図2を参照して数値表示装置10の構成について説明する。
図1に示すように、数値表示装置10は、例えば、旋盤やボール盤などの工作機械などに取り付けられる測長ユニット2に接続されることで、工作機械の刃物(特許請求の範囲の加工手段に相当)に対する被加工物の移動量あるいは被加工物に対する刃物の移動量、言い換えると、移動体の移動量を示す移動量データを表示するものである。
本実施の形態では、数値表示装置10は、移動体の移動方向を互いに直交する3つの軸(X軸、Y軸、Z軸)に対応した移動量を検出する3つの測長ユニット2が接続可能に構成されており、3つの移動量データを表示するために3つの数値表示部28:28X,28Y,28Zが設けられている。
なお、図1では、説明の簡略化を図るため、3つの軸のうち1つの軸に対応する構成のみを示し、残りの2つの軸に対応する構成を省略し、以下の説明でも1つの軸についてのみ説明する。
図1に示すように、数値表示装置10は、計数回路12、基準移動量データメモリ14、第1移動量データメモリ16、第2移動量データメモリ18、基準点データメモリ20、プリセットデータメモリ22、表示データメモリ24、編集メモリ26、数値表示部28、操作部30、制御部32、ガイダンス表示部34、加工寸法メモリ36、プログラムデータメモリ38などを備えている。
【0008】
計数回路12は、測長ユニット2から前記移動体の移動量に応じて生成される計数信号Scを計数して移動体の移動量に対応する移動量データを生成するものであり、従来公知の様々な回路構成が採用可能である。
また、計数信号Scは方形波、サイン波などであり、計数回路12は、計数信号Scを従来公知の分割回路によって分割し、その分割された計数信号を計数するなどその構成は任意である。
なお、測長ユニット2は計数信号Scを生成するものであればよく、例えば、所定ピッチで形成された格子を光学的に読み取ることで計数信号Scを生成する光学式のエンコーダ、あるいは、所定ピッチでN極とS極が形成された磁気目盛りの磁界強度を磁気センサで読み取ることで計数信号Scを生成する磁気式のエンコーダなど従来公知の様々なエンコーダを採用可能である。
【0009】
基準移動量データメモリ14は、計数回路12で計数された移動量データDが制御部32を介して基準移動量データD0として格納されるメモリである。
基準移動量データメモリ14に格納される基準移動量データD0は、計数回路12の計数動作に応じて増減されるものである。
詳細に説明すると、測長ユニット2に設けられている原点センサ(不図示)から出力される原点検出信号が制御部32で検出された際に、計数回路12の移動量データが原点としての「0」にセットされるように構成されている。なお、測長ユニット2に原点センサが設けられていない場合には、この数値表示装置10の電源がオンされた時点で計数回路12の移動量データが原点としての「0」にセットされるように構成されている。
したがって、基準移動量データD0は、上述のようにして決定された原点を基準として計数されている。
なお、このように原点センサを用いて移動量データの原点を設定することは従来公知である。
【0010】
第1移動量データメモリ16は第1移動量データD1を格納するものである。
第1移動量データD1とは、前記原点とは別の基準点を設定し、その基準点を基準として計数される移動体の移動量である。基準点に対応する移動量データは通常「0」であるが、任意の移動量データを設定することもでき、基準点に設定した数値(移動量)を基準点データSとする。
すなわち、基準点データSは、工作機械のテーブル上に載置された被加工物の基準点の位置データであり、基準点データSは後述するように、作業者が操作部30を操作することで設定されるものである。
したがって、基準点データSと、その基準点データSに対応する基準移動量データD0との差分を第1オフセットデータΔD1とした場合、第1移動量データD1は、基準移動量データD0に第1オフセットデータΔD1を加算した値となる。
【0011】
第2移動量データメモリ18は第2移動量データD2を格納するものである。
第2移動量データD2とは、前記基準点とは別にプリセットデータPを設定し、そのプリセットデータPを基準として計数される移動体の移動量である。
すなわち、プリセットデータPは、被加工物に対して加工を行う際に設定する加工寸法、言い換えると、被加工物に対する工作機械の刃物の移動量(あるいは、工作機械の刃物に対する被加工物の移動量)であり、後述するように、作業者が操作部30を操作することで設定されるものである。
したがって、プリセットデータPと、そのプリセットデータPに対応する第1移動量データD1の差分を第2オフセットデータΔD2とした場合、第2移動量データD2は、第1移動量データD1に第2オフセットデータΔD2を加算した値となる。
【0012】
基準点データメモリ20は、互いに独立した複数の基準点データSが格納される。
プリセットデータメモリ22は、互いに独立した複数のプリセットデータPが格納される。
表示データメモリ24は、数値表示部28に表示される第1移動量データD1または第2移動量データD2が制御部32を介して格納されるメモリである。
編集メモリ26は、基準点データメモリ20から制御部32によって読み出された基準点データSあるいはプリセットデータメモリ22から制御部32によって読み出されたプリセットデータPが一時的に格納されるメモリであり、編集メモリ26に格納された基準点データSあるいはプリセットデータPは、操作部30および制御部32によって編集されるものである。
なお、本明細書において、編集とは、データを変更、あるいは、修正することをいう。
【0013】
ガイダンス表示部34は、後述する固定サイクル機能あるいはプログラム機能を実行する際に、次に操作すべきキーを表示するものであり、ガイダンス表示部34の構成については後で詳述する。
加工寸法メモリ36は、プログラムまたは固定サイクルモードを実行する際に必要となる複数の加工寸法データを格納するものである。
【0014】
図2に示すように、フロントパネル11には数値表示部28が設けられており、本実施の形態では、数値表示部28は前記3つの軸に応じて3つ設けられ、各数値表示部28は1行の表示領域を有し、その表示領域には数字、文字、記号を表示する複数の表示桁が設けられている。
【0015】
図2に示すように、操作部30はフロントパネル11に設けられている。
操作部30は、各数値表示部28に対応してそれぞれ設けられたリセットキー302(302X、302Y,302Z)および軸選択キー304(304X、304Y、304Z)とを有している。
リセットキー302は、各軸の数値表示部28に表示されている移動量データをリセット、すなわち、ゼロに設定する際に操作されるものである。
軸選択キー304は、基準点データSあるいはプリセットデータPの設定を行う軸を選択する際に操作されるものである。また、軸選択キー304は、編集モードにおいて編集(変更)すべき対象となる数値の桁を移動させるために操作されるものである。
【0016】
図2に示すように、操作部30は、基準点設定キー306、プリセットキー308、REFキー310、ABS/INCキー312、SETUPキー314、プログラムキー316、固定サイクルキー318,RUN/NESTキー320、EDITキー322、1/2キー324、矢印キー326、クリアキー328、エンターキー330、テンキー332を有している。
基準点設定キー306は、基準点データSを入力し設定する際に操作するものである。
プリセットキー308は、プリセットデータPを入力し設定する際に操作するものである。
REFキー310は、測長ユニット2の原点検出を行う際に操作するものである。
ABS/INCキー312は、数値表示部28に表示する移動量データとして、第1移動量データD1を表示するか(ABSモード)、第2移動量データD2を表示するか(INCモード)を選択する際に操作するものである。
SETUPキー314は、初期設定を行う際に操作するものであるが、初期設定は本発明の要旨とは直接関係しないため詳細な説明は省略する。
プログラムキー316は、複数の加工寸法を設定するためのプログラムの作成、実行の際に操作するものである。
固定サイクルキー318は、後述する固定サイクルモードを実行する際に操作するものである。
RUN/NEXTキー320は、予め設定されている複数の加工寸法を呼び出して数値表示部28に表示させる場合に操作するものである。
EDITキー322は、数値表示部28に表示されている数値(基準点データS、プリセットデータPを含む)の編集を行う際に操作するものである。
【0017】
1/2キー324は、数値表示部28に表示されている数値を1/2にして表示させる際に操作されるものである。
矢印キー326は、後述するように複数のデータを格納している基準点データメモリ20、プリセットデータメモリ22、加工寸法メモリ36などからデータを1つずつ読み出して数値表示部28に表示させる際に操作されるものである。
クリアキー328は、テンキー332による数値入力のキャンセル、各種設定操作のキャンセルを行う際に操作されるものである。
エンターキー330は、基準点データSやプリセットデータPなどの数値をテンキー332によって入力した際に、その数値を決定する際に(設定する際に)操作するものである。
テンキー332は、数値、小数点、+、−を入力するためのキーであり、種々の数値を入力、設定する際に操作するものである。
なお、基準点設定キー306、プリセットキー308、REFキー310、プログラムキー316の近傍箇所には、それぞれのキー操作によって機能が選択されているか否かを点灯、滅灯によって示すランプ334が設けられている。
また、数値表示部28の上部近傍箇所のそれぞれには、数値表示部28に第1移動量データD1が表示されている際(ABSモード)に点灯し、第2移動量データD2が表示されている際(INCモード)に滅灯するランプ336と、数値表示部28に直径が表示されている際に点灯するランプ338とが設けられている。
これらランプ334、336,338の制御は制御部32によってなされる。
なお、図2において符号340は電源スイッチ、符号342は電源のオン/オフを示すランプである。
【0018】
図1に示すように、制御部32は、計数回路12、基準移動量データメモリ14、第1移動量データメモリ16、第2移動量データメモリ18、基準点データメモリ20、プリセットデータメモリ22、表示データメモリ24、編集メモリ26、数値表示部28、操作部30、ガイダンス表示部34、加工寸法メモリ36に接続され、それら各部の制御を司るものである。
制御部32は、具体的には、CPUと、制御プログラムを格納するROMと、ワーキングエリアを提供するRAMと、CPU、ROMおよびRAMを接続するバスと、前記各部とバスの間に設けられたインターフェースなどを含んで構成され、前記制御プログラムをCPUが実行することで種々の制御動作を実行するように構成されている。
【0019】
次に、基準点データSの設定操作について図3のフローチャートを参照して説明する。
予め、加工機械上にセットした被加工物、あるいは、刃物を基準点に位置させておく。
作業者は基準点設定キー306を操作して基準点設定のモードに移行する(ステップS10)。
次いで、作業者は3つの軸のうちから1つの軸に対応する軸選択キー304を操作して軸を選択する(ステップS12)。
すると、制御部32は、軸に対応する基準点データSを基準点データメモリ20から読み出して表示データメモリ24に格納して数値表示部28に表示させる(ステップS14)。
基準点データメモリ20に複数の基準点データSが格納されている場合には、作業者が矢印キー326を操作する毎に基準点データSを1つずつ読み出して表示データメモリ24に格納して数値表示部28に表示する、言い換えると、複数の基準点データSをスクロールして表示する。
制御部32は、エンターキー330が操作されたか否かを監視する(ステップS16)。
所望の基準点データSが表示されたならば、作業者は、エンターキー330を操作する(ステップS16で“Y”)。
これにより、制御部32は、基準移動量データD0に加算すべき第1オフセットデータΔD1を、その時点における基準移動量データD0と基準点データSの差分に基づいて求めて設定する(ステップS20)。
そして、これ以降、制御部32は、第1オフセットデータΔD1を基準移動量データD0に加算することで第1移動量データD1を生成して第1移動量データメモリ16に格納し、第1移動量データメモリ16から読み出した第1移動量データD1を表示データメモリ24に格納し、表示データメモリ24から読み出した第1移動量データD1を数値表示部28に表示させることで、移動体の移動量を表示する(ステップS22)。
【0020】
一方、ステップS14で表示された基準点データSが所望の値でない場合には、作業者は、基準点データSの編集あるいは新たな入力を行う。
すなわち、ステップS18でエンターキー330が操作されない場合は、制御部32は、EDITキー322が操作されたか否かを監視し(ステップS24)、EDITキー322が操作されたならば、編集モードに移行して編集を行う(ステップS26)。
具体的には、数値表示部28に表示されている基準点データSを編集メモリ26に格納し、テンキー332や軸選択キー304(桁送りキー)を操作して編集メモリ26および表示データメモリ24上において基準点データSの編集を行う。
編集が完了したならば、ステップS16に移行し、エンターキー330が操作されることで編集された基準点データSが新たな基準点データSとして設定され、以下ステップS18以降の処理が実行される。
また、ステップS24でEDITキー322が操作されない場合には、制御部32は、テンキー332が操作されたか否かを監視し(ステップS28)、テンキー332が操作されたならば、テンキー332で入力された数値が編集メモリ26および表示データメモリ24に格納され、数値表示部28に表示される(ステップS30)。
次いで、ステップS16に移行し、エンターキー330が操作されることで新たに入力された数値が新たな基準点データSとして設定され、以下ステップS18以降の処理が実行される。
【0021】
次に、プリセットデータPの設定操作について図4のフローチャートを参照して説明する。
作業者はプリセットキー308を操作してプリセットデータ設定のモードに移行する(ステップS50)。
次いで、作業者は3つの軸のうちから1つの軸に対応する軸選択キー304を操作して軸を選択する(ステップS52)。
すると、制御部32は、軸に対応するプリセットデータPをプリセットデータメモリ22から読み出して表示データメモリ24に格納して数値表示部28に表示させる(ステップS54)。
プリセットデータメモリ22に複数のプリセットデータPが格納されている場合には、作業者が矢印キー326を操作する毎にプリセットデータPを1つずつ読み出して表示データメモリ24に格納して数値表示部28に表示する、言い換えると、複数のプリセットデータPをスクロールして表示する。
制御部32は、エンターキー330が操作されたか否かを監視する(ステップS56)。
所望のプリセットデータPが表示されたならば、作業者は、エンターキー330を操作する(ステップS56で“Y”)。
これにより、制御部32は、第1移動量データD1に加算すべき第2オフセットデータΔD2を、その時点における第1移動量データD1とプリセットデータPの差分に基づいて求めて設定する(ステップS60)。
そして、これ以降、制御部32は、第2オフセットデータΔD2を第1移動量データD1に加算することで第2移動量データD2を生成して第2移動量データメモリ18に格納し、第2移動量データメモリ18から読み出した第2移動量データD2を表示データメモリ24に格納し、表示データメモリ24から読み出した第2移動量データD2を数値表示部28に表示させることで、移動体の移動量を表示する(ステップS62)。
【0022】
一方、ステップS54で表示されたプリセットデータPが所望の値でない場合には、作業者は、プリセットデータPの編集あるいは新たな入力を行う。
すなわち、ステップS58でエンターキー330が操作されない場合は、制御部32は、EDITキー322が操作されたか否かを監視し(ステップS64)、EDITキー322が操作されたならば、編集モードに移行して編集を行う(ステップS66)。
具体的には、数値表示部28に表示されているプリセットデータPを編集メモリ26に格納し、テンキー332や軸選択キー304(桁送りキー)を操作して編集メモリ26および表示データメモリ24上においてプリセットデータPの編集を行う。
編集が完了したならば、ステップS56に移行し、エンターキー330が操作されることで編集されたプリセットデータPが新たなプリセットデータPとして設定され、以下ステップS58以降の処理が実行される。
また、ステップS24でEDITキー322が操作されない場合には、制御部32は、テンキー332が操作されたか否かを監視し(ステップS68)、テンキー332が操作されたならば、テンキー332で入力された数値が編集メモリ26および表示データメモリ24に格納され、数値表示部28に表示される(ステップS70)。
次いで、ステップS56に移行し、エンターキー330が操作されることで新たに入力された数値が新たなプリセットデータPとして設定され、以下ステップS58以降の処理が実行される。
【0023】
上述のようにして基準点データSとプリセットデータPを設定することにより、第1、第2移動量データD1、D2の何れかを数値表示部28に表示される。数値表示部28に表示される第1、第2移動量データD1、D2の選択は、ABS/INCキー312を操作することでなされる。
【0024】
なお、本実施の形態では、数値表示部28によって特許請求の範囲の表示手段が構成され、計数回路12によって特許請求の範囲の基準移動量データ計数手段が構成され、
制御部32によって特許請求の範囲の第1オフセットデータ生成手段、第2オフセットデータ生成手段、第1計数手段、第2計数手段が構成されている。
また、基準データメモリ20、プリセットデータメモリ22により特許請求の範囲の記憶手段が構成されている。
また、基準点設定キー306とプリセットキー308により特許請求の範囲の機能キーが構成され、テンキー332により特許請求の範囲の数値入力キーが構成されている。
また、制御部32によって、第1制御手段、第2制御手段、第3制御手段が構成されている。
【0025】
以上説明したように本実施の形態によれば、基準点データSおよびプリセットデータPを入力するに際しては、基準点設定キー306またはプリセットキー308を操作し、次いで、テンキー332により数値を入力し、次いで、エンターキー330を操作すればよい。
言い換えると、基準点設定キー306またはプリセットキー308という機能を選択するキーを操作し、次いで数値を入力し、最後に数値を確定するエンターキー330を操作するといった同一の手順で操作を行うことができる。
したがって、作業者は実行したい機能を選択すれば、その後は、数値を入力し、エンターキーで数値を確定すればよく、基準点データSおよびプリセットデータPという異なる種類のデータを入力するにも拘わらず操作が同一であるため、操作手順を容易に覚えることができ、操作ミスの発生を効果的に防止して作業性の向上を図る上で有利となる。
【0026】
次に、固定サイクル機能について説明する。
固定サイクル機能は、数値表示装置10が予め定められた加工方法に基づいて複数の加工寸法を自動的に設定し数値表示部28に表示するとともに、ガイダンス表示部34の表示により作業者が次に行うべき操作を案内するものである。
図5はガイダンス表示部34の説明図である。
ガイダンス表示部34は、ボルトホールサークル機能用のBOLTランプ3402、ラインホール機能用のLINEランプ3404、簡易R加工機能用のARCランプ3406、RUNランプ3408、NEXTランプ3410、編集モード表示用のEDITランプ3412を有している。
BOLTランプ3402、LINEランプ3404、ARCランプ3406は、制御部32の制御により、各機能の使用、不使用に対応して点灯、滅灯される。
RUNランプ3408、NEXTランプ3410は、制御部32の制御により、RUN/NEXTキー320の操作を促す際に点灯され、RUN/NEXTキー320の操作がなされることで滅灯される。
編集モード表示用のEDITランプ3412が設けられている。
【0027】
本実施の形態では、固定サイクル機能として、ボルトホールサークル機能と、ラインホール機能の2つについて説明し、簡易R加工機能については説明を省略する。
図6はボルトホールサークル機能の説明図、図7はボルトホールサークル機能を用いた場合の動作フローチャートである。
図6に示すように、ボルトホールサークル機能では、指定した直径dの円Cの円周上に等間隔に穴hを開けるために必要な加工寸法データ、具体的には、各穴hの座標に相当する2軸(X軸、Y軸)のプリセットデータを制御部32が算出する。
制御部32にプリセットデータを算出させるために必要なパラメータは、図6に示した加工手順に基づいて定められるものであり、円Cの直径d、穴の数n、開始角度As、終了角度Aeである。なお、開始角度Asは、円Cの中心O1を通る基準線と、円Cの中心O1および最初に加工する穴hの中心点とを結んだ直線とがなす角度であり、終了角度Aeは、前記基準線と、円Cの中心O1および最後に加工する穴hの中心点とを結んだ直線とがなす角度である。
図7のフローチャートに沿って説明する。
まず、作業者は、工作機械上に載置した被加工物に対して刃物の位置が円Cの中心O1(スタート位置)に位置するように被加工物あるいは刃物を移動させる。
次いで、作業者が固定サイクルキー318を操作してボルトホールサークル機能を選択すると(ステップS100)、制御部32はガイダンス表示部34のBOLTランプ3402を点灯させる(ステップS102)。
次に、作業者はパラメータの入力を行う(ステップS104)。
パラメータの入力を具体的に説明する。
制御部32は、ボルトホールサークル機能による各加工寸法データを算出するために必要なパラメータの入力を促す表示を数値表示部28に表示させる。
まず、円Cの直径dの入力を促す表示「DIA」が数値表示部28に表示される。
作業者がテンキー332により数値を入力し、エンターキー330を操作することで直径dが制御部32に設定される。
次に、穴の数nの入力を促す表示「NO HOLE」が数値表示部28に表示される。
作業者がテンキー332により数値を入力し、エンターキー330を操作することで穴の数nが制御部32に設定される。
次に、開始角度Asの入力を促す表示「ST ANG」が数値表示部28に表示される。
作業者がテンキー332により数値を入力し、エンターキー330を操作することで開始角度Asが制御部32に設定される。
次に、終了角度Aeの入力を促す表示「END ANG」が数値表示部28に表示される。
作業者がテンキー332により数値を入力し、エンターキー330を操作することで終了角度Aeが制御部32に設定される。
パラメータの入力が終了すると、制御部32は、入力されたパラメータを所定の計算式に基づいて計算することで各加工寸法データを算出して加工寸法データメモリ36に格納する。
【0028】
そして、制御部32は、RUNランプ3408を点滅させ(ステップS106)、RUN/NEXTキー320の操作がなされたか否かを判定する(ステップS108)。
RUN/NEXTキー320の操作がなされなければ(ステップS108で“N”)、ステップS106に戻りRUN/NEXTキー320の操作を待機する。
RUN/NEXTキー320の操作がなされたならば(ステップS108で“Y”)、制御部32はRUNランプ3408を滅灯させる(ステップS110)。
そして、加工寸法データメモリ36に格納されていた加工寸法データ(プリセットデータ)から次に加工すべき穴の加工寸法データを読み出して数値表示部28に表示させる(ステップS112)。
作業者は表示されたプリセットデータに基づいて被加工物あるいは刃物を移動させ、穴開け加工を行う(ステップS114)。
制御部32は、表示されたプリセットデータ分の移動がなされると(数値表示部28に表示されている数値が「0」になると)、全てのプリセットデータに基づく移動が終了したか否かを判定する(ステップS116)。
全てのプリセットデータに基づく移動が終了したならば(ステップS116で“Y”)、BOLTランプ3402を滅灯させて(ステップS118)、動作を終了する。
全てのプリセットデータに基づく移動が終了していないならば、すなわち、表示すべきプリセットデータが残っているならば(ステップS116で“N”)、次の穴の加工寸法データを数値表示部28に表示させる(ステップS120)。
次いで、制御部32は、ステップS106に移行して同様の動作を、全てのプリセットデータに基づく移動が終了するまで繰り返して行う。なお、本実施の形態では、1回目のステップS106ではRUNランプ3408が点滅し、ステップS110ではRUNランプ3408が滅灯するが、それ以降は、ステップS106ではNEXTランプ3410が点滅し、ステップS110ではNEXTランプ3410が滅灯する。
以上でボルトホールサークル機能を用いた穴開け加工が完了する。
【0029】
図8はラインホール機能の説明図、図9はラインホール機能を用いた場合の動作フローチャートである。
図8に示すように、ラインホール機能では、指定した直線L上に等間隔に孔hを開けるために必要な加工寸法データ、具体的には、各穴hの座標に相当する2軸(X軸、Y軸)のプリセットデータを制御部32が算出する。
制御部32にプリセットデータを算出させるために必要なパラメータは、図8に示した加工手順に基づいて定められるものであり、直線Lが基準線に対してなす角度A、穴の数n、穴の間隔Wである。
図9のフローチャートに沿って説明する。
まず、作業者は、工作機械上に載置した被加工物に対して刃物の位置が最初に加工すべき穴hの中心O2(スタート位置)に位置するように被加工物あるいは刃物を移動させる。
次いで、作業者が固定サイクルキー318を操作してラインホール機能を選択すると(ステップS200)、制御部32はガイダンス表示部34のLINEランプ3404を点灯させる(ステップS202)。
次に、作業者はパラメータの入力を行う(ステップS204)。
パラメータの入力を具体的に説明する。
制御部32は、ラインホール機能による各加工寸法データを算出するために必要なパラメータの入力を促す表示を数値表示部28に表示させる。
まず、角度Aの入力を促す表示「LIN ANG」が数値表示部28に表示される。
作業者がテンキー332により数値を入力し、エンターキー330を操作することで角度Aが制御部32に設定される。
次に、穴の数nの入力を促す表示「NO HOLE」が数値表示部28に表示される。
作業者がテンキー332により数値を入力し、エンターキー330を操作することで穴の数nが制御部32に設定される。
次に、穴の間隔Wの入力を促す表示「LIN DIS」が数値表示部28に表示される。
作業者がテンキー332により数値を入力し、エンターキー330を操作することで穴の間隔Wが制御部32に設定される。
パラメータの入力が終了すると、制御部32は、入力されたパラメータを所定の計算式に基づいて計算することで各加工寸法データを算出して加工寸法データメモリ36に格納する。
【0030】
そして、制御部32は、RUN/NEXTランプ3410を点滅させ(ステップS206)、RUN/NEXTキー320の操作がなされたか否かを判定する(ステップS208)。
RUN/NEXTキー320の操作がなされなければ(ステップS208で“N”)、ステップS206に戻りRUN/NEXTキー320の操作を待機する。
RUN/NEXTキー320の操作がなされたならば(ステップS208で“Y”)、制御部32はRUN/NEXTランプ3410を滅灯させる(ステップS210)。
そして、加工寸法データメモリ36に格納されていた加工寸法データ(プリセットデータ)から次に加工すべき穴の加工寸法データを読み出して数値表示部28に表示させる(ステップS212)。
作業者は表示されたプリセットデータに基づいて被加工物あるいは刃物を移動させ、穴開け加工を行う(ステップS214)。
制御部32は、表示されたプリセットデータ分の移動がなされると数値表示部28に表示されている数値が「0」になると)、全てのプリセットデータに基づく移動が終了したか否かを判定する(ステップS216)。
全てのプリセットデータに基づく移動が終了したならば(ステップS216で“Y”)、LINEランプ3404を滅灯させて(ステップS218)、動作を終了する。
全てのプリセットデータに基づく移動が終了していないならば、すなわち、表示すべきプリセットデータが残っているならば(ステップS216で“N”)、次の穴の加工寸法データを数値表示部28に表示させる(ステップS220)。
次いで、制御部32は、ステップS206に移行して同様の動作を、全てのプリセットデータに基づく移動が終了するまで繰り返して行う。なお、本実施の形態では、1回目のステップS206ではRUNランプ3408が点滅し、ステップS210ではRUNランプ3408が滅灯するが、それ以降は、ステップS206ではNEXTランプ3410が点滅し、ステップS210ではNEXTランプ3410が滅灯する。
以上でラインホール機能を用いた穴開け加工が完了する。
【0031】
次に、プログラム機能について説明する。
前述した固定サイクル機能が各プリセットデータを自動的に算出し表示するものであるのに対して、プログラム機能は、予め加工手順に沿って複数のプリセットデータをテンキー332を用いて入力しておき、作業時には一連のプリセットデータを順番に読み出して数値表示部28に表示させる機能である。
図10はプログラム機能を用いた場合の動作フローチャートである。
まず、作業者は、工作機械上に載置した被加工物に対して刃物の位置が最初に加工すべき穴hの中心O2(スタート位置)に位置するように被加工物あるいは刃物を移動させる。
次いで、作業者がプログラムキー316を操作してプログラム機能を選択すると(ステップS300)、制御部32はPROGランプ334を点灯させる(ステップS302)。
次に、作業者はプリセットデータ(加工寸法データ)の入力を行う(ステップS304)。
プリセットデータの入力を具体的に説明する。
作業者はEDITキー322を操作してプログラム機能における入力モードにする。
そして、テンキー332によりプリセットデータを入力し、エンターキー330を操作することでプリセットデータが制御部32を介して加工寸法データメモリ36に格納される。この操作をプリセットデータの数だけ繰り返して行うことで全てのプリセットデータの入力が終わったら、CEキー328を操作すると、数値表示部28にENDと表示されるので、エンターキー330を操作し、これによりプリセットデータ(プログラム)の入力が完了する。
【0032】
引き続き加工作業を行う場合には、プログラムキー326を操作してプログラム機能を選択すると(ステップS306)、制御部32はPROGランプ334を点灯させる(ステップS308)。
次いで、制御部32は、RUN/NEXTランプ3410を点滅させ(ステップS310)、RUN/NEXTキー320の操作がなされたか否かを判定する(ステップS312)。
RUN/NEXTキー320の操作がなされなければ(ステップS312で“N”)、ステップS310に戻りRUN/NEXTキー320の操作を待機する。
RUN/NEXTキー320の操作がなされたならば(ステップS312で“Y”)、制御部32はRUN/NEXTランプ3410を滅灯させる(ステップS314)。
そして、加工寸法データメモリ36に格納されていた加工寸法データ(プリセットデータ)から次に加工すべき箇所の加工寸法データを読み出して数値表示部28に表示させる(ステップS316)。
作業者は表示されたプリセットデータに基づいて被加工物あるいは刃物を移動させ、被加工物に対する加工を行う(ステップS318)。
制御部32は、表示されたプリセットデータ分の移動がなされると数値表示部28に表示されている数値が「0」になると)、全てのプリセットデータに基づく移動が終了したか否かを判定する(ステップS320)。
全てのプリセットデータに基づく移動が終了したならば(ステップS320で“Y”)、PROGランプ334滅灯させて(ステップS322)、動作を終了する。
全てのプリセットデータに基づく移動が終了していないならば、すなわち、表示すべきプリセットデータが残っているならば(ステップS320で“N”)、次の加工寸法データを数値表示部28に表示させる(ステップS324)。
次いで、制御部32は、ステップS310に移行して同様の動作を、全てのプリセットデータに基づく移動が終了するまで繰り返して行う。なお、本実施の形態では、1回目のステップS310ではRUNランプ3408が点滅し、ステップS314ではRUNランプ3408が滅灯するが、それ以降は、ステップS310ではNEXTランプ3410が点滅し、ステップS314ではNEXTランプ3410が滅灯する。
以上でプログラム機能を用いた加工が完了する。
【0033】
なお、本実施の形態では、制御部32により特許請求の範囲の第4制御手段が構成され、加工寸法メモリ36により特許請求の範囲の加工寸法データ記憶手段が構成され、RUN/NEXTキー320により特許請求の範囲の読み出しキーが構成され、RUNランプ3408、NEXTランプ3410によって特許請求の範囲の案内表示手段が構成され、制御部32により特許請求の範囲の加工寸法データ生成手段が構成されている。
【0034】
本実施の形態では、RUNランプ3408、NEXTランプ3410を設け、これらによってRUN/NEXTキー320の操作を促す表示を行うようにしたので、作業者は次にどのキーを操作すればよいかを考える必要がないため、作業ミスを確実に防止して作業性を向上する上で有利となる。
なお、RUN/NEXTキー320の操作を促す表示として、RUNランプ3408、NEXTランプ3410を点滅させる場合について説明したが、これらを点灯させることで表示してもよい。しかしながら、点滅させた場合には作業者の注意をより引きつけやすく作業性を向上させる上でより有利となる。
また、RUN/NEXTキー320の操作を促す表示としてはRUNランプ3408、NEXTランプ3410に限られるものではなく、従来公知の様々な形態の表示手段を用いることができることは無論である。
【0035】
次に、矢印キー324を用いた数値の表示について説明する。
図11(A)乃至(E)は数値表示部28に表示される数値の説明図である。
前述したように、数値表示装置10の数値表示部28は1行の表示領域を有し、その表示領域には数字、文字、記号を表示する複数の表示桁が設けられている。
一方、前述したように、基準点データSは基準データメモリ20に複数個格納され、プリセットデータPはプリセットデータメモリ22に複数個格納され、固定サイクル機能やプログラム機能におけるプリセットデータは、加工寸法メモリ36に複数個格納されている。
本実施の形態では、例えば、基準点設定キー306を操作し、次いで、矢印キー324を操作すると、図11(A)乃至(E)に示すように、制御部32が、基準点データメモリ20から1つの基準点データSを読み出して数値表示部28に表示させ、それ以降、矢印キー324を操作する毎に順番に1つずつ基準点データSを数値表示部28に表示させるように構成されている。
また、制御部32は、プリセットキー308を操作し矢印キー324を操作することで順番に1つずつ基準点データSを数値表示部28に表示させるように構成され、固定サイクルキー318またはプログラムキー334を操作し矢印キー324を操作することで順番に1つずつ固定サイクル機能やプログラム機能におけるプリセットデータを数値表示部28に表示させるように構成されている。
【0036】
なお、本実施の形態では、矢印キー324により特許請求の範囲の送りキーが構成され、制御部32により特許請求の範囲の表示制御手段が構成されている。
【0037】
本実施の形態では、単に矢印キー324を操作するだけで順番に複数の基準点データS、あるいは、複数のプリセットデータP、あるいは、固定サイクル機能やプログラム機能における複数のプリセットデータを表示させることができ操作性に優れている。
従来は、予め各データに識別番号を割り当てておき、テンキー332で前記識別番号を入力することでデータを特定してメモリから読み出し、表示させるようにしているため、操作が繁雑で使い勝手がよいものとはいえなかった。これに対して本実施の形態の数値表示装置は、単一の矢印キー324を操作するといった極めて簡単な操作で必要なデータを表示させることができ使い勝手が格段に優れている。
また、基準点データS、プリセットデータP、固定サイクル機能やプログラム機能におけるプリセットデータの全てを表示可能な表示領域、あるいは、大部分を表示可能な大きな表示領域を有する表示装置(CRTディスプレイや液晶ディスプレイ)を設けることも考えられるが、このような表示装置は高価であるだけでなく、数値表示装置10の設置環境が工場の現場などのように油や塵埃が付着したりする場合には不向きである。
これに対して本実施の形態の数値表示装置10では、数値表示装置10の数値表示部28が1行の表示領域を有していればよいので、コストを削減する上で有利となり、また、数値表示部28は小型のもので済むため防油対策や防塵対策を施すことが容易であり、工場の現場などの環境に設置するのに好適である。
【0038】
なお、本実施の形態では、被加工物に対して加工を行う加工手段が刃物である場合について説明したが、加工手段は、被加工物に対して加工を行うものであればよく、加工手段は、例えば、研磨を行う砥石、溶接を行う溶接機など従来公知の様々なものが採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】第1の実施の形態の数値表示装置10の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態の数値表示装置10のフロントパネル11を示す正面図である。
【図3】基準点データSの設定操作を説明するフローチャートである。
【図4】プリセットデータPの設定操作を説明するフローチャートである。
【図5】ガイダンス表示部34の説明図である。
【図6】ボルトホールサークル機能の説明図である。
【図7】ボルトホールサークル機能を用いた場合の動作フローチャートである。
【図8】ラインホール機能の説明図である。
【図9】ラインホール機能を用いた場合の動作フローチャートである。
【図10】プログラム機能を用いた場合の動作フローチャートである。
【図11】(A)乃至(E)は数値表示部28に表示される数値の説明図である。
【符号の説明】
【0040】
10……計数回路、12……現在値用メモリ、14A……第1プリセットデータ用メモリ、14B……第2プリセットデータ用メモリ、14C……第3プリセットデータ用メモリ、16……表示データ用メモリ、18……編集操作用メモリ、20……表示部、22……制御部、30……操作部、100……数値表示装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
数値が表示可能に構成された表示手段と、
移動体の移動量に応じて生成される計数信号を計数して基準移動量データを生成する基準移動量データ計数手段と、
前記移動体の特定の位置を基準点とした場合にその基準点の位置を示す基準点データに対応した第1オフセットデータを生成する第1オフセットデータ生成手段と、
前記基準点を除く前記移動体の特定の位置を示すプリセットデータに対応した第2オフセットデータを生成する第2オフセットデータ生成手段と、
前記第1オフセットデータを前記基準移動量データに加算することで第1移動量データを生成する第1計数手段と、
前記第2オフセットデータを前記第1移動量データに加算することで第2移動量データを生成する第2計数手段と、
前記基準点データおよび前記プリセットデータを格納する記憶手段と、
前記基準点データおよび前記プリセットデータの何れか一方の入力を行う機能を特定する機能キーと、
数値を入力し前記表示手段に表示させる数値入力キーと、
前記表示手段に表示された数値を確定するエンターキーと、
前記基準点データまたは前記プリセットデータのうち前記機能キーで選択された機能に対応する前記基準点データおよび前記プリセットデータの何れか一方を前記記憶手段から読み出して前記表示手段に表示させる第1制御手段と、
前記第1制御手段により前記表示手段に前記基準点データまたは前記プリセットデータが表示されている状態で前記エンターキーが操作されることにより前記表示手段に表示されている前記基準点データまたは前記プリセットデータに対応した前記第1オフセットデータまたは前記第2オフセットデータを前記第1計数手段または前記第2計数手段に設定する第2制御手段と、
前記第1制御手段により前記表示手段に前記基準点データまたは前記プリセットデータが表示されている状態で前記数値入力キーが操作されることにより入力された数値を既に表示されている前記基準点データまたは前記プリセットデータに代えて前記表示手段に表示させ、さらに、前記エンターキーが操作されることにより前記表示手段に表示されている前記数値を新たな基準点データまたは新たなプリセットデータとして前記記憶手段に格納するとともに、前記新たな基準点データまたは前記新たなプリセットデータを前記第1オフセットデータ生成手段または第2前記オフセットデータ生成手段に与える第3制御手段と、
を備えることを特徴とする数値表示装置。
【請求項2】
前記移動体は、工作機械によって加工される被加工物、あるいは、前記被加工物に対して加工を行う加工手段であり、前記移動量は前記被加工物に対する前記加工手段の移動量、あるいは、前記加工手段に対する前記被加工物の移動量であることを特徴とする請求項1記載の数値表示装置。
【請求項3】
前記移動体は、工作機械によって加工される被加工物、あるいは、前記被加工物に対して加工を行う加工手段であり、
前記移動量は前記被加工物に対する前記加工手段の移動量、あるいは、前記加工手段に対する前記被加工物の移動量であり、
前記プリセットデータは、前記加工手段によって前記被加工物に加工を行う際に必要となる加工寸法を示す加工寸法データである、
ことを特徴とする請求項1記載の数値表示装置。
【請求項4】
前記加工寸法データとしてのプリセットデータを記憶する加工寸法データ記憶手段と、
前記プリセットデータを前記加工寸法データ記憶手段から読み出すための読み出しキーと、
前記読み出しキーの操作を促す表示を行う案内表示手段と、
前記読み出しキーが操作される毎に、前記加工寸法データ記憶手段から前記プリセットデータを1つ読み出し、そのプリセットデータを前記表示手段に表示させ、前記表示手段に表示されている前記プリセットデータが「0」となったならば、前記案内表示手段による前記表示を行わせる第4制御手段とを備え、
前記第2オフセットデータ生成手段は、前記読み出しキーが操作される毎に前記加工寸法データ記憶手段から読み出された前記プリセットデータに基づいて前記第2オフセットデータを生成する、
ことを特徴とする請求項3記載の数値表示装置。
【請求項5】
加工手順に基づいて定められたパラメータの数値が入力されることにより、前記パラメータに基づいて前記加工寸法データを算出し、算出した前記加工寸法データを前記加工寸法データ記憶手段に格納する加工寸法データ生成手段を備えることを特徴とする請求項3記載の数値表示装置。
【請求項6】
前記表示手段は1行の数値を表示する表示領域を有し、
前記記憶手段に格納されている前記第1オフセットデータおよび前記第2オフセットデータはそれぞれ複数個であり、
前記表示手段に前記第1オフセットデータまたは前記第2オフセットデータを表示させるために操作される送りキーと、
前記送りキーが操作される毎に、前記記憶手段から順番に1つずつ前記第1オフセットデータまたは前記第2オフセットデータを読み出して前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の数値表示装置。
【請求項7】
前記表示手段は1行の数値を表示する表示領域を有し、
前記加工寸法データ記憶手段に格納されている前記加工寸法データは複数個であり、
前記表示手段に前記加工寸法データを表示させるために操作される送りキーと、
前記送りキーが操作される毎に、前記加工寸法データ記憶手段から順番に1つずつ前記加工寸法データを読み出して前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項4記載の数値表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−86864(P2007−86864A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−271815(P2005−271815)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】