説明

数文字から成る特定の分野・テーマに関する単語や言葉・熟語を構成する1つ1つの漢字およびその漢字を構成する漢字内部に含まれる部首等を組み合わせ、元の特定の単語や言葉・熟語を完成させるパズル的要素を伴った漢字学習ゲーム

【課題】
漢字の部首等の漢字の構成要素を組み合わせることで漢字1文字を完成させるゲームに関する従来の特許において出来上がるのは漢字1文字のみであって、これだけでは言葉・単語・熟語の読み書きをマスターするには物足りず、また漢字の成り立ちから言葉の意味の理解を深めるにも不十分だった。
【解決手段】
部首等の漢字の構成要素を組み合わせ複数の漢字から構成される特定の分野・テーマに関する言葉や単語(固有名詞・呼称・通称・人名・地名・都道府県名・市区町村名・名所名産名・生き物の名称・植物の名称・食べ物の名称等に広く含む)や熟語(四字熟語や三字熟語に限らない)を完成させることにより、遊びながら言葉や単語・熟語の漢字の読み書きのみならず漢字の成り立ちからその意味の理解を深めるのに役立つゲームを発明した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームを通じて言葉・漢字の学習に役立てようというゲームの要素を取り入れた学習教材に関するものである
【背景技術】
【0002】
従来、記号を用い記号を組み合わせるなどして遊ぶゲームの代表例としてトランプや麻雀、花札、ウノ(UNO)などが存在する。また、言葉同士や言葉と絵柄を組み合わせるゲームとしては、いろはカルタや百人一首カルタなどが存在する。
【0003】
特許の中にも、漢字の部首や偏(へん)・旁(つくり)・冠(かんむり)・脚(あし)・構(かまえ)・垂(たれ)・繞(にょう)等に着目しこれらを組み合わせるゲームに関する特許が存在する(特許文献1〜特許文献3)。
これらの特許はいずれも漢字の部首や偏・旁・冠・脚・構・垂・繞等の漢字の構成要素を組み合わせ、基本的に1個の漢字を完成させようという点で共通する。
【0004】
その他、漢字の部首に着目したカードゲームもすでに販売されている(非特許文献1〜非特許文献3)。これらのすでに販売されているカードゲームも、1個の漢字を完成させるゲームである点で共通する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】漢字パズルゲーム装置及び漢字パズルゲームプログラム特開2007―190252(P2007−190252A)
【特許文献2】漢字トランプゲーム特開2009−183675(P2009−183675A)
【特許文献3】漢字トランプ特開2009−291571(P2009−291571A)
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】漢字部首カード+部首でおぼえる漢字プリント 小学校1〜6年 深谷圭助著 小学館インターネット<http://prigu.jp/archive/003/index.html>
【非特許文献2】98部首カルタ 宮下久夫著 太郎次郎社インターネット<http://www.tarojiro.co.jp/cgi-bin/SearchMain.cgi?operation=3&ISBN=4-8118-0515-1>
【非特許文献3】部首トランプ 伊東信夫著 太郎次郎社インターネット<http://www.tarojiro.co.jp/search/kanji/cards/index.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
背景技術で述べたように、これまでも無数にある漢字の内部に存在する共通項としての部首あるいは偏(へん)・旁(つくり)・冠(かんむり)・脚(あし)・構(かまえ)・垂(たれ)・繞(にょう)等に着目し、これらを組み合わせることで漢字1文字を完成させるゲームに関する特許や実際に商品化されている漢字カードゲーム(部首トランプなど)は存在する。
しかし、これらの特許や商品において完成されるのは基本的にいずれも漢字1文字のみであって、これだけでは言葉あるいは単語・熟語の習得にあたっては不十分であり、言葉や単語・熟語の漢字の書きをマスターするには効率的とは言い難かった。
【0008】
また、例えば「さんずい」を含む言葉や単語・熟語は水や海に関連する可能性が高いことを子供たちに学ばせることができるにもかかわらず、部首等を組み合わせても漢字1文字しか完成しないならばその言葉や単語・熟語がもつ意味をその個々の漢字から学ぶのに不十分であるばかりか、語彙力を豊かにする観点からも物足りないものがあった。
【0009】
本発明の目的は、複数の漢字から構成される特定の言葉や単語(固有名詞・呼称・通称・人名・地名・都道府県名・市区町村名・名所名産名・生き物の名称・植物の名称・食べ物の名称等に広く含む)や熟語(四字熟語や三字熟語に限らず広い意味での熟語)を完成させることにより、このような従来の特許のもつ不十分さ・物足りなさを解消するとともに、それらの言葉・単語・熟語の書きや読みをマスターし、漢字1文字ではなく言葉・単語・熟語単位で部首等からその言葉・単語・熟語の成り立ちを学ぶことでその言葉・単語・熟語の意味の理解に役立てることができるようにし、特定の分野・テーマごとに語彙力を豊かにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明が解決しようとする課題で述べたように、無数にある漢字の内部に存在する共通項としての部首あるいは偏(へん)・旁(つくり)・冠(かんむり)・脚(あし)・構(かまえ)・垂(たれ)・繞(にょう)等を組み合わせ、漢字1文字を完成させるゲームに関する特許はすでに存在する。
これら従来の特許は、国語の教科書に掲載されているような部首あるいは偏・旁・冠・脚・構・垂・繞等にまず着目し(特許文献1のようにさらに細かく分類する特許もある)、これら漢字の構成要素である部首等を記載したカード等を組み合わせて1文字の漢字を作るゲームである。また、中にはカードという紙媒体ではなく、コンピュータゲームの形式をとる特許も存在する(特許文献1)。
【0011】
これに対し本発明は、着目する出発点が部首あるいは偏・旁・冠・脚・構・垂・繞等ではない。すなわち、特定の分野・テーマに関する言葉や単語(固有名詞・呼称・通称・人名・地名・都道府県名・市区町村名・名所名産名・生き物の名称・植物の名称・食べ物の名称等に広く含む)や熟語(四字熟語や三字熟語に限らず広い意味での熟語)にまず着目する。そして、その分野・テーマに関する言葉・単語・熟語を1文字1文字の漢字に分解するとともに、必要に応じ適宜それら個々の漢字をさらにその内部に存在する部首あるいは偏・旁・冠・脚・構・垂・繞等に分解する。また、部首あるいは偏・旁・冠・脚・構・垂・繞等にこだわらずさらに細かく分解することもある。
そのうえで、ゲームの参加者がそれら分解された1個1個の漢字やこれらの漢字の内部に存在する部首等の構成要素を組み合わせ、元の単語・言葉・熟語を完成させるゲームである点で従来から存在する特許とは着目する出発点あるいは着眼点が異なる。
【0012】
あらゆる分野・テーマの中から具体例として都道府県を挙げて説明する。
着目する出発点を部首あるいは偏・旁・冠・脚・構・垂・繞等におくと、例えば冠(かんむり)では「うかんむり」・「草冠」・「鍋冠」・「竹冠」・「ワ冠」などを網羅的に取り上げるのが通例となる。しかし、都道府県名で取り上げられる冠は、うかんむり(宮城県や宮崎県の「宮」・富山県の「富」)・草冠(茨城県の「茨」)・鍋冠(高知県の「高」)に限られる。
また、構えには国構え(「国」や「固」など)や門構え(「問」や「間」など)があるが、都道府県では国構えも門構えも出てこない。
出発点あるいは着眼点が異なる以上、取り上げる部首あるいは偏・旁・冠・脚・構・垂・繞等はおのずと網羅的なものとならず、その特定の分野・テーマごとに取り上げた言葉・単語・熟語の中で出てきたものに限られる点も従来の特許と異なる。
【0013】
このように、この発明では従来の特許のように部首あるいは偏・旁・冠・脚・構・垂・繞等をデータベース化するなどして網羅的に取り上げる意図はないとともに、出来上がる漢字もかなり限定的となる。
表現を変えていうと、従来の特許では自由な発想により部首等の組み合わせをおこなうことで相当数の漢字を作り出しうるのに対し、本発明では一定の分野・テーマごとに絞りがかけられた単語・言葉・熟語等が予め決まっており、完成される単語・言葉・熟語がそれ以上広がることがない点が従来の特許と異なる。
そのかわり、その分野・テーマに関する単語・言葉・熟語の漢字の書きやその漢字の成り立ちと分野・テーマとの関わりを学ぶことが可能となる。
【0014】
従来の特許は無数に存在する漢字の共通要素として抽出された部首あるいは偏・旁・冠・脚・構・垂・繞等の漢字の構成要素にまず着目し(特許文献1のようにさらに細かく分類する特許もある)、そこからこれらを組み合わせることで多くの1文字の漢字を作りだすという発想に立つ。
これに対し本発明は、まずある特定の分野・テーマにおける単語・言葉・熟語ありきで、それらの単語・言葉・熟語を構成する1文字1文字の漢字にまず分解し、さらにそこから部首あるいは偏・旁・冠・脚・構・垂・繞等の漢字の構成要素のレベルに分解してカード化する。そして、ゲームの参加者はこれらの分解された漢字や部首あるいは偏・旁・冠・脚・構・垂・繞等のカード類を組み合わせてある特定の分野・テーマにおける単語・言葉・熟語を完成させる。
その点で、まず完成された特定の分野・テーマにおける単語・言葉・熟語から出発する点で発想の順序が従来の特許とは正反対となる。
【0015】
従来の特許の中には、部首等の漢字の構成要素を組み合わせて出来上がった漢字1文字をさらに組み合わせて人名や四字熟語を作ることに言及するものがある(特許文献1。但し、この点については「請求項」でも「課題を解決するための手段」でも記載はなく、「発明を実施するための最良の形態」の中でひとこと触れられているにすぎない)。
しかし、この従来の特許の方式のもとで出来上がった人名や四字熟語は予めゲームの方式を決めた段階で想定されていた人名・四字熟語ではなく、予め人名や四字熟語の内容・範囲を決めておく本発明とは発想および方式の出発点あるいは着眼点が異なる。
そもそも予め分野・テーマを決めることなく部首等の漢字の構成要素から人名を作り出すとなると、「鈴木一朗」という人名は有名人にいるものの(元オリックスでその後米大リーグに移ってからも大活躍したイチローのこと)、鈴木一「朗」という人名を完成させたら正解になるとしても鈴木一「郎」ならどうなるか、さらに鈴木「二郎」ならどうなるかなどゲームとしてのルールを予め詳細に決めておかないと収拾がつかなくなるおそれがある。
【0016】
ここでいう特定の分野・テーマに関して不特定または多数の者に知られている言葉・単語・熟語等とは、代表的には固有名詞・呼称・通称・人名(特に歴史上の人物の名称)・都道府県名・市区町村名・名所名産名・生き物の名称・植物の名称・食べ物の名称、および四字熟語や三字熟語に限らず広い意味での熟語等をいうものとする。必ずしも正式な学術名どおりとは限らず、一般の呼称・通称でもよい。不特定または多数の者に知られているような事情があれば略称でも構わない。
【0017】
特定の漢字をその部首あるいは偏・旁・冠・脚・構・垂・繞等の構成要素に分解する場合、厳密に細かく分解するとは限らない。
例えば、「崎」という漢字の場合、細かく分解すると「山」・「大」・「可」の3枚のカード類に分けることも可能となる。しかし、ゲームとしての面白さやスピーディなゲームの進行の観点から、全体の枚数を予め策定しその枚数内の収まることを優先する。つまり、「崎」という漢字の場合、3枚のカードに分解するとは限らず「山」と「奇」の2枚に分解したり、時には一切分解することなく「崎」で1枚ということもありうる。
【0018】
漢字1字1字への分解に留めるか、漢字1字をさらに部首あるいは偏・旁・冠・脚・構・垂・繞等の漢字の構成要素にまで分解するかは、その特定の分野・テーマごとに異なる。また、ときにはさらに細かく分解することもありうる。
図1で取り上げた都道府県という分野・テーマでは部首あるいは偏・旁・冠・脚・構・垂・繞等の漢字の構成要素にまで分解するが、図2で取り上げた戦国武将の人名では漢字1字1字への分解に留めるを適切とする。漢字1字への分解に留めるか、それ以上分解するかは、ゲームとしての面白さ、学習効果、難易度、ゲーム進行の際のスピーディさ等の判断材料をもとに総合的に判断して決する。
【0019】
カードに描く内容は、特定の漢字またはその部首あるいは偏・旁・冠・脚・構・垂・繞等に限らない。
図面では特定の漢字またはその部首あるいは偏・旁・冠・脚・構・垂・繞のみを記載しているが、例えば都道府県トランプの場合、「北海道」という文字を形成するカード内に北海道の切り抜き地図を描いたり、北海道の「海」の文字を分解した際にでてくる「さんずい」のカードの中に「さんずい」と部首名を書き込むようなことも可能とする。これは、単に漢字1文字や部首あるいは偏・旁・冠・脚・構・垂・繞等のみをカードに記載するだけではヒントが少なく、また子供たちの興味をひきにくい面もあるため、なるべく子供たちに面白くゲームしてもらえるような工夫を施すためのものである。
【0020】
基本的には、複数の者が参加する対戦型ゲームである(1人でも可能であるが、複数人が参加し勝敗を決する仕組みのほうがゲーム性が増し楽しく学べる)。
【0021】
ゲームを行う媒体はカードゲームのような紙媒体に限らず、カードゲームにボードゲームを加えた形式でもよく、またコンピュータゲームのように必要情報を電磁的記録として保存した電子計算機を用いる場合でもよい。
すなわち、媒体は問わないものとする。便宜的に「カード」や「カード類」・「カード化」との記載を用いているが、ここでいう「カード」や「カード類」・「カード化」とは紙媒体を想定したものに限られるものではなく、電磁的記録がコンピュータ画面上にあらわれた画面に本来カードに描かれる内容が映しだされた場合等を広く含むものとする。
【発明の効果】
【0022】
現代のようなパソコン社会・コンピュータ社会の下、漢字が読めない、読めても書けない漢字が増えてきている昨今において、漢字を書ける力・漢字の構造を理解する力を養う。
漢字の構造を理解する力については、漢字1文字を勉強するよりも漢字数文字で構成される単語・言葉・熟語で勉強したほうが理解しやすい面があるため、本特許は個々の漢字や漢字を構成する部首等を組み合わせ単語・言葉・熟語を完成させようとする点に主眼がある。
【0023】
部首あるいは偏・旁・冠・脚・構・垂・繞等の漢字の構成要素を組み合わせ漢字1文字を完成させる従来の特許と異なり、数文字からなる単語・言葉・熟語をその漢字の成り立ちから学ぶことができる。すなわち、その意味を部首あるいは偏・旁・冠・脚・構・垂・繞等の漢字の構成要素や成り立ちから根底に遡って深く学ぶことが可能となり、言葉・単語・熟語等の意味を深く理解できるようにもなる。
また、ある特定の分野・テーマごとに語彙力を豊かにすることができる。
【0024】
例えば、都道府県名では「地理」、歴史上の人物名では「歴史」、生き物や植物・花の名称では「生物」、四字熟語・三字熟語・二字熟語等の熟語では「国語」というように、漢字だけでなく子どもだけでなく大人でもゲームを通じて「地理」や「歴史」・「生物」・「国語」などの様々な科目・学科についても楽しく学べるようになる。
【0025】
ゲーム性を持たせゲーム参加者の中で勝敗を決する仕組みを導入したことで、子供のほうから進んでこのゲームをやりたがるようにし、その分野・テーマに関する単語・言葉・熟語のマスターをより促進できる。また、ゲーム形式により数名で楽しめるようにしたことで、大人と子どもが一緒になってコミュニケーションを図ることができる。
【0026】
ある特定の分野・テーマに関する言葉・単語・熟語に限られるとはいえ、その言葉や単語・熟語を構成する漢字やその部首あるいは偏・旁・冠・脚・構・垂・繞等を組み合わせもとの単語・言葉・熟語等を完成させることで複合的な思考力が要求され、柔軟な思考力や自由な発想力・考える力を養うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(1)「山口」県の場合「山」と「口」といったように、単語・言葉・熟語を分解した後の文字がすべて漢字のみで構成されている場合の典型例。これ以上分解しがたい漢字はそれ以上分解しない。このような漢字には「山」や「口」以外に「人」や「丁」のように画数の少ない漢字が多い。(2)「静岡」県の場合単語を構成する漢字の一部または全部を部首あるいは偏・旁・冠・脚・構・垂・繞等に分解するも、それぞれが漢字として存在する場合の典型例。つまり「静岡」場合、「静」を分解しても「青」と「争」というようにともに漢字1字として成立する。(3)「秋田」県の場合単語を構成する漢字の一部または全部を部首あるいは偏・旁・冠・脚・構・垂・繞等に分解すると、これら偏・旁・冠・脚・構・垂・繞等が漢字として成立しない場合の典型例。つまり、「秋田」の「秋」を分解すると「禾」(禾偏)というそれ一部分では漢字として成立しない場合を含む点が(2)と異なる。(4)「香川」県の場合(3)と同様の形態であるが、「香川」県の「禾」は偏ではない。つまり、この「禾」は横に「火」を配置すれば「禾偏」となって「秋田」県の「秋」となるが、「禾」の下に「日」配置すれば「香川」県の「香」となる。このようにこのゲームでは、ある漢字の構成要素が偏だけでなく、旁や冠・脚・構・垂・繞のどれにもなりうるため、これにより柔軟な思考力や自由な発想力・考える力を養うことができるという効果がある。
【図2】図2で取り上げた(1)「武田信玄」・(2)「上杉謙信」・(3)「織田信長」・(4)「豊臣秀吉」・(5)「石田三成」をもとに説明する。このように漢字4文字を超えるような人物名の場合、ここの漢字をさらに部首あるいは偏・旁・冠・脚・構・垂・繞レベルにまで分解すると、カードがあまりにも多くなりすぎてカードを組み合わせてもなかなか人名が完成しない可能性が高い。そこで、このような場合は部首あるいは偏・旁・冠・脚・構・垂・繞レベルにまで分解せず、漢字1文字のみの分解に留める場合もありうる。つまり、(1)「武田信玄」は「武」「田」「信」「玄」、(2)「上杉謙信」は「上」「杉」「謙」「信」、(3)「織田信長」は「織」「田」「信」「長」、(4)「豊臣秀吉」は「豊」「臣」「秀」「吉」、(5)「石田三成」は「石」「田」「三」「成」といった具合に分解してカード化する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
実施例1と実施例2に分けて説明する。実施例1は図1に対応し、実施例2は図2に対応する。
【実施例1】
【0029】
ゲームで用いる単語・言葉・熟語等はあらかじめ分野・テーマごとに絞りをかけておく。
具体的には、固有名詞・呼称・通称・人名(特に歴史上の人物の名称)・都道府県名・市区町村名・名所名産名・生き物の名称・植物の名称・食べ物の名称、および四字熟語や三字熟語に限らず広い意味での熟語等の中からまず特定の分野・テーマを決める。そして、これら特定の分野・テーマに関連する単語・言葉・熟語等を選び出す。
この分野・テーマごとにゲームを作成する。
【0030】
具体例として図1で取り上げた都道府県名をもとに説明する(あえてネーミングすると「都道府県漢字部首トランプ」)。
例えば「山口」県の場合、この単語を分解すると「山」と「口」に分解できる。
また、「静岡」県の場合は、「青」「争」と「岡」に分解できる。「秋田」県の場合は、「禾(のぎ偏)」「火」と「田」に分解できる。
紙媒体のカード式ゲームの場合は、カード1枚1枚にこれら「山」・「口」・「青」・「争」・「岡」・「禾(のぎ偏)」・「火」・「田」等の漢字や部首あるいは偏(へん)・旁(つくり)・冠(かんむり)・脚(あし)・構(かまえ)・垂(たれ)・繞(にょう)等をひとつずつ記載する。
【0031】
都道府県ゲームの場合、例えば「山」が含まれる都道府県は1つではない。
「山」が含まれる都道府県には、「山口」県のほか「和歌山」県・「山梨」県「富山」県や「山形」県がある。また、「長崎」県の「崎」の中には「山偏」が含まれており、「岩手」県の中には「山かんむり」が含まれている。さらに、「福島」県・「広島」県・「島根」県の「島」の中にも「山」が含まれている。このように都道府県ゲームの場合は、同じ「山」というカードが複数枚含まれることになる。
但し、「山」を含む都道府県の数だけ「山」のカードを用意すると、「山」を含む都道府県の成立可能性が非常に高くなりゲームとしては面白みを欠く。そこで、ゲーム性の観点から「山」のカードの枚数を予め減らしておくことが望ましい。つまり、どの漢字の構成要素を何枚用意しておくかでゲームの面白さが左右される。
【0032】
カードゲームの場合、全部のカードの枚数(例えば60枚)の中から予めゲーム参加者全員に均等にカードを配布(例えば1人ずつに10枚を配布)するところからスタートする。トランプ・麻雀・花札・ウノなどのカードゲームと類似する。
例えば、2人で対戦する場合は、参加者それぞれまず10枚のカードの配布を受ける。その後、残った40枚を相手にカードの内容がわからない形で1枚ずつ交互に引いていき、増えた分だけ不要なカードを捨てていく。
【0033】
「山」と「口」の組み合わせができて「山口」が完成したら得点付与。「青」と「争」と「岡」を組み合わせて「静岡」が完成したら点数付与。「禾(のぎへん)」と「火」と「田」を組み合わせて「秋田」が完成したら点数付与とする。
点数の付与の仕方については、「山口」のように2個の分解された漢字または漢字の部首等の構成要素を組み合わせるよりも、「静岡」のように3個の分解された漢字または漢字の部首等の構成要素を組み合わせたほうを付与する点数を高くすることも可能とする。
【0034】
上述の「山口」と「静岡」の組み合わせができた場合、「山」「口」・「静」「岡」が成立したものと見做したらこれと同時に「岡」「山」は成立しない。
どの都道府県が成立したかをはっきりさせるためにも、麻雀のチー・ポン・カンのように都道府県が成立したら参加者全員の前に公開するルールにすることもできる。
【0035】
ゲームの遊び方・ルールに関しては本発明の対象外とする。
従来から存在するトランプのポーカーや神経衰弱、花札、麻雀と類似したルールでの遊び方が考えられる。例えば、前述の都道府県を例に取ると、「山」と「口」、「青」と「争」と「岡」のように揃った都道府県を花札の役(猪鹿蝶や赤短・青短など)や麻雀の役にみたてて、最終的に得点計算をすることが考えられる。
仮にカード全体で60枚あるとして、まず参加者ひとりひとりに10枚ずつ交付する。その後、1枚ずつカードを引いていき、徐々に都道府県名を完成させていく。1枚引いたら要らないカードを1枚捨てていく。
また、麻雀の鳴き(チー、ポン、カン)のように相手の捨牌(捨てカード)を拾って都道府県名を完成させることもできるなどすると、よりゲーム性が高まる。
【0036】
ゲームの勝敗の決し方は、付与された得点を最終的に計算しその得点の多寡によって決するものとする。
【0037】
ボードゲームにする場合は、日本地図をボードに描く。こうすることで、その都道府県がどこにあるのかもマスターでき地理の理解がより一層深まる。併せて、その都道府県の人口や特産、代表的な産業が何なのかなどを地図の空いているスペースに記載することでさらなる理解につなげることも可能となる。
【実施例2】
【0038】
他の具体例として図2で取り上げた歴史上の人物名をもとに説明する。
ここでいう歴史上の人物名は、さらに「戦国武将」編・「幕末・明治維新」編・「江戸時代」編などさらに分野を細分化することも可能となる。
ここでは「戦国武将」編をもとに説明する(あえてネーミングすると「戦国武将名漢字トランプ」)。
【0039】
具体的に、「武田信玄」・「上杉謙信」・「織田信長」・「豊臣秀吉」・「石田三成」をもとに説明する。
このように漢字4文字を超えるような人物名の場合、ここの漢字をさらに部首あるいは偏・旁・冠・脚・構・垂・繞レベルにまで分解すると、カードがあまりにも多くなりすぎてカードを組み合わせてもなかなか人名が完成しない可能性が高い。そこで、このような場合は部首あるいは偏・旁・冠・脚・構・垂・繞レベルにまで分解せず、漢字1文字への分解に留める場合もありうる。つまり、
「武田信玄」は「武」「田」「信」「玄」、
「上杉謙信」は「上」「杉」「謙」「信」、
「織田信長」は「織」「田」「信」「長」、
「豊臣秀吉」は「豊」「臣」「秀」「吉」、
「石田三成」は「石」「田」「三」「成」
といった形に人名を分解する。
【0040】
ここでもカードの枚数は60枚程度になるように戦国武将名を選び出す。但し、漢字4文字の武将名を15人分選び出すという意味ではない(4文字×15人分=カードは60枚とはしないということ)。
例えば、「武田信玄」・「上杉謙信」・「織田信長」・「豊臣秀吉」・「石田三成」の中だけでも、「田」が3回、「信」も3回でてくる。このように「田」や「信」のカードを人数分用意すると、逆に戦国武将名が簡単に成立する可能性がありゲームとしての面白みを欠く。
そこで、あえて「田」や「信」のカードを1枚か2枚に限定するなどの工夫を施す。つまり、参加者の一方が「武田信玄」を完成させたら他方が完成を狙う「田」や「信」を含んだ「織田信長」の完成を阻むことができ、これがゲームの面白さにつながる。
【0041】
ボードゲームにする場合は、ボードにその戦国武将の姿を描いたり、その武将が治めた地域・地名などを描くなどする。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、カードゲーム、カードゲームにボードゲームを併用した形式のゲーム、さらにはモニター画面機材を伴なうコンピュータゲームの開発で利用される可能性がある。とともに、このようなゲームを通じて子供に対する学習的効果を期待できる学習教材として利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0043】
なし


【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の分野・テーマに関して不特定または多数の者に知られている言葉・単語・熟語等を1字1字の個々の漢字に分解するとともに、必要に応じて適宜それらの個々の漢字をさらに部首あるいは偏(へん)・旁(つくり)・冠(かんむり)・脚(あし)・構(かまえ)・垂(たれ)・繞(にょう)などの漢字の構成要素に分解してゲーム用のカード類を作成する。
そのうえで、ゲームの参加者はこれら分解された1字1字の個々の漢字やさらに分解された部首等の漢字の構成要素が記載されたカード類を組み合わせ、元の言葉・単語・熟語等させるゲームを発明した。
【請求項2】
本発明は、部首あるいは偏・旁・冠・脚・構・垂・繞などの漢字の構成要素をデータベース化するなど網羅的に取り上げてゲーム化するものではない。請求項1で述べたように、特定の分野・テーマごとに絞りがかけられた言葉・単語・熟語等の中に含まれる個々の漢字や部首あるいは偏・旁・冠・脚・構・垂・繞などの漢字の構成要素を組み合わせようというものである。
そのため、個々の漢字や部首あるいは偏・旁・冠・脚・構・垂・繞などの漢字の構成要素を組み合わせた結果でき上がる言葉・単語・熟語等は予め決まっており、でき上がる言葉・単語・熟語等がそれ以上広がることはない。元の言葉・単語・熟語等がうまく組み合わされば得点付与となる。
【請求項3】
請求項1でいう特定の分野・テーマに関して不特定または多数の者に知られている言葉・単語・熟語等とは、代表的には固有名詞・呼称・通称・人名(特に歴史上の人物の名称)・都道府県名・市区町村名・名所名産名・生き物の名称・植物の名称・食べ物の名称、および四字熟語や三字熟語に限らず広い意味での熟語等をいうものとする。
【請求項4】
特定の分野・テーマに関する言葉・単語・熟語等をどこまで分解するかは、必要に応じて適宜行うものとする。時には漢字1字1字への分解に留める場合もあれば、部首あるいは偏・旁・冠・脚・構・垂・繞などの漢字の構成要素に分解する場合もあれば、さらにそれより細かく分解することもある。
部首あるいは偏・旁・冠・脚・構・垂・繞などを理解していない小さい子供にも楽しんでもらえるようにするため、個々の漢字を分解した後の漢字の構成要素を記号類似のものと捉えるものとする。
予めカード類の枚数を決め、その枚数内でゲームとしての面白さや学習効果を最大限に発揮できるようにすると共に、ゲーム進行のスピーディさ、年齢を問わずに楽しめるようなシンプルさなども総合的に考慮して言葉・単語・熟語等をどこまで分解するかを決する。
【請求項5】
カード類に描く内容は、特定の漢字またはその部首あるいは偏・旁・冠・脚・構・垂・繞等に限らない。
図面では特定の漢字またはその部首あるいは偏・旁・冠・脚・構・垂・繞のみを記載しているが、例えば都道府県トランプの場合、「北海道」という文字を形成するカード内に北海道の切り抜き地図を描いたり、北海道の「海」の文字を分解した際にでてくる「さんずい」のカードの中に「さんずい」と部首名を書き込むようなことも可能とする。
【請求項6】
ゲームを行う媒体はカードゲームのような紙媒体に限らず、カードゲームにボードゲームを加えた形式でもよく、またコンピュータゲームのように必要情報を電磁的記録として保存した電子計算機を用いる場合でもよい。
すなわち、媒体は問わないものとする。請求項1乃至5において「カード類」との表現を用いているのはそのためである。


【図1】
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【図2】
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