説明

整列搬送装置

【課題】固形物の事前位置決めの必要が無く、かつ不定形で粘着性のある固形物が投入された順序で、固形物を整列搬送できる整列搬送装置を提供する。
【解決手段】整列搬送装置1は、貫通孔2Aが形成されると共に貫通孔2Aの内面に複数の凹凸部が形成された円筒容器2を備える。整列搬送装置1は、貫通孔2Aの中心軸線を中心として円筒容器2を回転運動させる回転駆動モータ6を備える。回転駆動モータ6から回転伝達ベルト5を介して、一定方向に回転する力が円筒容器2に伝達され、円筒容器2は回転する。整列搬送装置1は、貫通孔2Aの中心軸線に沿って円筒容器2を往復運動させる振動駆動モータ12を備える。架台9によって支持されたテーブル14やテーブル14上に設置された円筒容器2も、整列搬送装置1の接地面に対して傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は整列搬送装置に関する。詳しくは、粘着性を有する固形物などを搬送する整列搬送装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
不定形で軟質であり、さらに場合によっては水分の多い固形物を自動整列搬送することの困難さにより、加工食品の生産技術において、工程内の装置化もしくは無人化が進んでいない。
また、自動整列搬送することは、冷凍食品などの新商品開発においても頻出する課題である。特に、近年での食品加工業界では具材として様々な海産物や農産物を、調理済の有無を問わず用いる必要性がある。
しかし、これら具材のほとんどが柔軟質で不定形であるため、機械処理により傷つきやすく、さらに張り付きなども生じやすく、機械による整列搬送や正確な個数の把握が困難なものになっている。そのため、危険を伴うが人手に頼らざるを得ないことが多い。
【0003】
従来、搬送物を問わず、多量に供給される対象固形物の中から自動整列搬送する技術としては、回転式フィーダーなどの装置により対象物を搬送過程で分離整列させるもの(例えば、特許文献1参照。)や、光電管センサーや画像センサーなどで通過個数を検知させるもの(例えば、特許文献2参照。)が一般的である。これらの技術は、電子部品や工業用部品の搬送など幅広い分野で使用されており、食品分野においては、特に菓子類などの自動整列搬送工程で用いられている。
【0004】
しかし、上記の搬送技術では、重量や形状が均一でない固形物を搬送する場合、固形物が一個ずつ分離せず、複数個が重なって搬送されたり、閉塞による間欠状態が発生したりするなどの問題が多発する。特に少数個の搬送には不向きなうえ、個別の搬送時間にバラツキが生じるという問題もある。さらに、対象となる固形物が濡れていたり、粘性を有していたりする場合、フィーダーに固形物が張り付いたり、固形物同士が張り付いたりして安定した搬送は到底望めない。
【0005】
これらを解決するために、様々な技術が提案されている。例えば、回転ドラムに設けた吸着孔により食品固形物を1個ずつ吸着し、さらにドラム内外に対向設置されたジェットエアノズルおよび吸い込みノズルにより、剥離、吸引および計数し、数量が規定値に達すると、ジェットエアを停止する発明(例えば、特許文献3参照。)や、同様に回転ドラムに設けた吸着パッドにより、食品固形物を1個ずつ吸着し、ジェットエアによる吸着解除後、シュート部で計数してその数量が規定値に達するとシャッターが開く発明(例えば、特許文献4参照。)などが挙げられる。
【0006】
これらの発明は、ランダムに搬送されてくる不定形な固形物に対し、一個ずつ分離し計数搬送するのに有効である。しかし、ドラムに設けられた各吸着孔に、固形物が毎回決まって吸着されるとは限らず、0から計数して設定数まで数え上げていく手法である以上、最終的に必要数が搬送されるまで所要時間にバラツキが生じる。そのため、次工程が、決められた時間間隔で稼働している場合、次工程との同調がとれない場合がある。
【0007】
一方、同様に対象物を吸着し、計数して移送させる手法として、単数もしくは複数の真空吸着口を備えたアームにより対象物を吸着計数および搬送する方法がある。これは、壊れやすいものを、決められた時間内に計数して、然るべき場所へ充填もしくは固定させることに関しては秀でているものの、対象物が定形で乾燥しており、かつ吸着時の位置決めがなされていることが前提である。そのため、不定形で粘着性を有し、かつ事前の分離位置決めが困難な固形物を搬送する場合では、吸着ミスの可能性が大きいため、そのまま適用することができない。
【0008】
こうしたなか、決められた時間間隔にて稼働している次工程との同調をとることを可能とし、設定した個数を正確に搬送できる技術があり、これは不定形の食品固形物を、設定個数より多い数の吸着ノズルにて吸着した後、圧力センサーにて吸着検知を行い、規定数以上の投入があった吸着ノズルから食品固形物を分離して一定の時間間隔で、最終的に規定数を搬送させるというものである(例えば、特許文献5参照。)。
すなわち特許文献5には、図6に示した装置が記載されており、この装置において、食品固形物としてのバラ凍結きぬさや101は、電磁式振動機103を備えたホッパー102よりテーブル部104へ随時供給される。定位置で降下する6本の吸着ノズル114の先端に凍結きぬさや101が存在するようにしてある。吸着ノズル114は、エアシリンダー111により上下方向に稼働する。各ノズル上方には吸着確認のための圧力センサー112、フレキシブルな負圧経路109が設置され、ヘッター107を介して真空ポンプ116に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−347578号公報
【特許文献2】特開平10−120149号公報
【特許文献3】特開平9−12143号公報
【特許文献4】特開昭53−51874号公報
【特許文献5】特開2002−173103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献5の技術は、対象物の事前位置決めの必要が無く、軟質で表面に水分があり、粘着性を有する物に対しても有効であるが、食品固形物を一度吸着させるために隙間なきように並べておく必要があり、吸着ノズル付近の食品固形物から吸着していくので必ず投入した順序で排出されるわけではない。また、一度に多量の食品固形物を搬送させたい場合などには、設定個数の正確な計数搬送が難しくなると同時に、真空吸着ノズルの必要本数が増加し、機械の大きさも増大する。
【0011】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、固形物の事前位置決めの必要が無く、かつ不定形で粘着性のある固形物が投入された順序で、固形物を整列搬送できる整列搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明の整列搬送装置は、貫通孔が形成されると共に該貫通孔の内面に複数の凹凸部が形成された容器と、前記貫通孔の中心軸線を中心として前記容器を運動させる第1の運動付与部と、前記貫通孔の中心軸線に沿って前記容器を往復運動させる第2の運動付与部とを備える。
【0013】
ここで、凹凸部によって、搬送される固形物が粘着性を有していても、貫通孔の内面に張り付きにくくなると共に、抵抗のバラツキにより、固形物同士が分離しやすく、多数の同時搬送を防ぐことができる。
また、第1の運動付与部と第2の運動付与部とによって、互いに異なるベクトルの力を、容器の貫通孔の内面に形成された凹凸部上で、固形物の塊に与えるので、固形物の塊を個別に分離することができると共に、固形物の送り出しを助けることができる。
【0014】
また、本発明の整列搬送装置において、第1の運動付与部は、容器を回転運動させることが好ましい。
【0015】
さらに、本発明の整列搬送装置において、往復運動のうち、往運動の移動速度と復運動の移動速度が異なる場合、容器が、整列搬送装置の接地面に対して平行である場合でも、固形物を一定方向に搬送させやすくなる。
【0016】
また、本発明の整列搬送装置において、容器は、円筒形状を有する場合、円の最下部に近い所を固形物が一列に通るので、分離した固形物を整列させやすい。
【0017】
また、本発明の整列搬送装置が、整列搬送装置の接地面に対して容器を所定の角度に傾斜させる傾斜部を備える場合、整列搬送装置の接地面に対して容器が平行である場合よりも、分離した固形物を一定方向に搬送させやすい。
【0018】
また、本発明の整列搬送装置において、凹凸部は、貫通孔の中心軸線と略直交する断面に沿って位置する場合、円滑に固形物を搬送しやすくなり、投入から排出までの時間を短縮できる。
【0019】
また、本発明の整列搬送装置において、凸部の全面積の割合は、貫通孔の内面の全面積の30〜70%である場合、粘着性を有する固形物が貫通孔の内面に特に張り付きにくい。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る整列搬送装置は、固形物の事前位置決めの必要が無く、かつ不定形で粘着性のある固形物が投入された順序で、固形物を整列搬送できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の整列搬送装置の一例を示す概略側面図である。
【図2】図1の整列搬送装置の概略斜視図である。
【図3】本発明の整列搬送装置を構成する円筒容器の一例を示す概略斜視図である。
【図4】図3のA−A線に沿って切断したときの概略断面図である。
【図5】本発明の整列搬送装置を構成する、ホッパー付き送り出し機の概略拡大図である。
【図6】従来の食品固形物の計数充填装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は、本発明の整列搬送装置の一例を示す概略側面図である。また、図2は、図1の整列搬送装置の概略斜視図である。また、図3は、本発明の整列搬送装置を構成する円筒容器の一例を示す概略斜視図である。
本発明の整列搬送装置1は、貫通孔2Aが形成されると共に貫通孔2Aの内面に複数の凹凸部が形成された円筒容器2を備える。また、円筒容器2には、円筒容器2の長手方向と略直交する方向への位置ずれを防ぐための回転ガイド3と、円筒容器2の長手方向への位置ずれを防ぐためのストッパー4が取付けられている。また、円筒容器2は、テーブル14上に設置されている。
また、本発明の整列搬送装置1は、貫通孔2Aの中心軸線を中心として円筒容器2を回転運動させる回転駆動モータ(第1の運動付与部の一例である。)6を備える。回転駆動モータ6から回転伝達ベルト5を介して、一定方向に回転する力が円筒容器2に伝達され、円筒容器2は回転する。
また、本発明の整列搬送装置1は、貫通孔2Aの中心軸線に沿って円筒容器2を往復運動させる振動駆動モータ(第2の運動付与部の一例である。)12を備える。
また、テーブル14の下側には、振動ガイド7と振動ガイドレール8が取付けられている。振動駆動モータ12から振動伝達部材13および振動伝達シャフト11を介して伝えられる所定のふり幅の力を、振動ガイド7と振動ガイドレール8によって、円筒容器2の長手方向に沿った往復(前後)運動に変換して円筒容器2に伝達され、円筒容器2は往復運動する。
すなわち、図3に示すように、回転駆動モータ6によって回転方向21に回転する力と、振動駆動モータ12によって振動方向22に往復運動する力が、円筒容器2に加えられ、円筒容器2は回転および往復運動する。
また、回転伝達ベルト5は、円筒容器2に直接、力を伝達しているが、振動伝達部材13および振動伝達シャフト11は、テーブル14に往復運動する力を直接伝達し、テーブル14上に設置された円筒容器2を往復運動させる。
【0023】
ここで、貫通孔の中心軸線を中心として容器を運動させることができれば、必ずしも回転させるものでなくてもよく、例えば、容器の中心軸線を中心に0°の位置から一方に90°動かし、また0°の位置に戻った後、他方に90°動かし、さらに0°の位置に戻るという振り子運動をさせてもよい。
【0024】
また、図3に示すように、凹部23と凸部24は、螺旋状ではなく、貫通孔2Aの中心軸線と略直交する断面に沿って交互に位置する。
また、図4は、図3のA−A線に沿って切断したときの概略断面図であるが、図4に示すように、円筒容器2の最下部に近い所を、処理済みのタコ(固形物の一例である。)25が一列に通る。
【0025】
また、円筒容器2の一端には、送り出し機16が連結されている。また、円筒容器2の他端は、ベルト帯20を有する搬送機19上に位置している。
【0026】
送り出し機16は、ホッパー15と、一対の補助ローラ17と、ベルト帯18を有し、円筒容器2と共にテーブル14上に設置されている。
ここで、送り出し機16は、処理済みのタコなどの固形物を、円筒容器2に連続的に供給する。ベルト帯18は、センサー等によって速度および回転方向がコントロールされた搬送機構である。補助ローラ17は、円筒容器2に一度に多量の不定形固形物を送り出さないよう、補助ローラ17の中心軸線がベルト帯18に対して略垂直に、かつ補助ローラ17の先端面がベルト帯18に対して略平行に、そして不定形固形物を挟むよう設置されている。
またさらに、補助ローラ17の中心軸線がベルト帯18と略平行になるように、かつベルト帯18との間に所定の空間を形成するように補助ローラ17を設置する方が好ましい。
また、送り出し機16の、円筒容器2への供給口付近に、広範囲タイプの光電センサーを設けて同時に多量の不定形固形物を円筒容器2へ供給することがないよう確認を行うことにより、センサーの検知に応じてベルト帯18の制御を行うことが好ましい。
【0027】
図5は、本発明の整列搬送装置を構成する、ホッパー付き送り出し機の概略拡大図である。図5に示すように、タコ25は、ベルト帯18を有する送り出し機16のホッパー15に随時供給される。
また、タコ25は処理される際に解凍されており、タコ25の有する水分によりタコ25同士の張り付きが生じ、多数のタコ25が張り付くと分離困難となる。よって、送り出し機16は、補助ローラ17とベルト帯18とによって、円滑に円筒容器2へ順次、タコ25を一定量送り出すことができる機構になっている。
【0028】
また、テーブル14は、傾斜調節脚部(傾斜部の一例である。)10を有する架台9によって支持されている。また、架台9には、振動駆動モータ12が取付けられている。また、架台9は、傾斜調節脚部10によって、整列搬送装置1の接地面に対して傾斜しており、よって、架台9によって支持されたテーブル14やテーブル14上に設置された円筒容器2も、整列搬送装置1の接地面に対して傾斜している。なお、送り出し機16と連結した円筒容器2の一端側を上にし、円筒容器2の他端側を下にした状態で、円筒容器2は傾斜している。
【0029】
ここで、貫通孔が形成されると共に貫通孔の内面に複数の凹凸部が形成された容器であれば、必ずしも容器は、円筒形状を有していなくてもよく、例えば断面が多角形(三角形、四角形)または楕円形の容器であってもよい。
また、本発明の整列搬送装置が、貫通孔が形成されると共に貫通孔の内面に複数の凹凸部が形成された容器と、貫通孔の中心軸線を中心として容器を運動させる第1の運動付与部と、貫通孔の中心軸線に沿って容器を往復運動させる第2の運動付与部とを備えるのであれば、必ずしも傾斜調節脚部によって容器を、整列搬送装置の接地面に対して所定の角度に傾斜させなくてもよい。しかし、整列搬送装置の接地面に対して容器を所定の角度に傾斜させることによって、整列搬送装置の接地面に対して容器が平行である場合よりも、分離した固形物を一定方向に搬送させやすいので好ましい。
また、整列搬送装置の接地面に対して容器が平行である場合でも、第2の運動付与部が、往運動の移動速度と復運動の移動速度が異なるように、例えば送りを速くし、戻りを遅くするように容器を往復運動させることで、固形物を一定方向に搬送させやすくなる。
【0030】
また、円筒容器2の管径は30〜70mm、長さは500〜1000mmであることが好ましく、円筒容器2は樹脂製もしくは金属製であることが好ましい。
また、凸部24の全面積の割合は、貫通孔2Aの内面の全面積の30〜70%であることが好ましい。また、貫通孔2Aの内面に複数の凹凸部が形成されていれば、円筒容器2の貫通孔2Aの内面に直接凹凸部を形成してもよいし、貫通孔の内面に直接凹凸部が形成された別の円筒容器を、貫通孔2Aの内面に凹凸部が形成されていない円筒容器2の貫通孔2A内に挿入してもよい。
別の円筒容器の管径は40〜60mm、長さは600〜900mmであることが好ましく、別の円筒容器の材質はステンレス鋼であることが好ましい。また、別の円筒容器の凸部の全面積の割合は、別の円筒容器の貫通孔内面の全面積の40〜60%であることが好ましい。
【0031】
また、例えば円筒容器2の管径が20mmである場合、搬送できる固形物が限られてしまう可能性があり、また、管径が80mmである場合、固形物が小さいと搬送できない可能性があるので好ましくない。
また、円筒容器2の長さが400mmである場合、充分に固形物に回転力を与えることができない可能性があり、また、長さが1100mmである場合、搬出までに時間がかかってしまう可能性があるので好ましくない。
また、凸部24の全面積の割合が、貫通孔2Aの内面の全面積の30%未満である場合、もしくは70%を超える場合、搬送される固形物が粘着性を有していると、円筒容器2の内部に張り付く可能性があるので好ましくない。
【0032】
また、円筒容器2の回転速度は1〜8回/秒であることが好ましく、2〜4回/秒であることがさらに好ましい。また、円筒容器2の往復運動速度は1〜8回/秒であり、ふり幅は3〜16mmであることが好ましく、2〜5回/秒であり、ふり幅は3〜10mmであることが好ましい。
【0033】
また、例えば円筒容器2の回転がない場合、固形物を個別に分離できず、回転速度が9回/秒以上である場合、固形物が遠心力によって円筒容器の内部に張り付く可能性があるので好ましくない。
また、例えば円筒容器2の往復運動がない場合、固形物を個別に分離できず、往復運動速度が9回/秒以上である場合、固形物が回転をすることなく排出される可能性があるので好ましくない。また、往復運動のふり幅が3mm未満もしくは17mm以上である場合、小さすぎる、もしくは大きすぎることにより、搬出位置がまばらになる可能性があるので好ましくない。
【0034】
また、整列搬送装置1の接地面に対する円筒容器2の傾斜角度は、5〜18°が好ましく、9〜14°がさらに好ましい。例えば、整列搬送装置1の接地面に対する円筒容器2の傾斜角度が4°である場合、固形物の搬出に時間がかかり円滑に搬出できない可能性があり、19°である場合、固形物が回転しながら分離する前に搬出されてしまう可能性があるので好ましくない。
【0035】
また、本発明の整列搬送装置1の操作と制御には、任意の適切な方式例えば、光電センサーによる検知とパソコンによる制御を組み合わせた方式、マイクロコンピュータを使用した方式、あるいは予め各パーツの作動、停止、作動間隔などを入力してあるプログラマブルロジックコントローラ(Programmable Logic Controller=PLC)による制御方式が採用される。
【0036】
(実施例1)
管径50mm、長さ600mm、凸部24の全面積の割合が貫通孔2Aの内面の全面積の50%である円筒容器2に、ホッパー15付き送り出し機16から、不定形であるタコ25を一定量ずつ供給した。
また、円筒容器2を載せたテーブル14を、傾斜調節脚部10によって整列搬送装置1の接地面に対して、12°の角度で傾斜させた。
また、円筒容器2を、回転駆動モータ6によって回転方向21へ3回/秒の速度で回転させると共に、振動駆動モータ12によって振動方向22へ3回/秒の速度で往復運動させて(ふり幅5mm)、タコ25を個別に分離させて、円筒容器2から搬送機19へ排出した。
これらの工程の繰り返しを間欠的および自動的に行なった。
その結果、ホッパー15へのタコ25の投入時と円筒容器2からの排出時のタコ25の状態に変化がなく、ホッパー15への投入順に、1秒間に1.25個の速度で個別整列搬送することができた。
【0037】
(実施例2)
円筒容器2の長さを900mm、円筒容器2の回転速度を2回/秒とした点以外は、実施例1と同様にしてタコ25を搬送した。
その結果、ホッパー15へのタコ25の投入時と円筒容器2からの排出時のタコ25の状態に変化がなく、ホッパー15への投入順に、1秒間に1.1個の速度で個別整列搬送することができた。また、実施例1の場合よりもタコ同士の間隔が1.14倍に拡大された。
【0038】
(実施例3)
ふり幅を15mm、往復運動速度を4回/秒とした点以外は、実施例1と同様にしてタコ25を搬送した。
その結果、ホッパー15へのタコ25の投入時と円筒容器2からの排出時のタコ25の状態に変化がなく、ホッパー15への投入順に、1秒間に1.6個の速度で個別整列搬送することができた。また、実施例1の場合よりもタコ同士の間隔が0.78倍に縮小された。
【0039】
(実施例4)
円筒容器2を載せたテーブル14を、傾斜調節脚部10によって整列搬送装置1の接地面に対して、14°の角度で傾斜させた点以外は実施例1と同様にしてタコ25を搬送した。
その結果、ホッパー15へのタコ25の投入時と円筒容器2からの排出時のタコ25の状態に変化がなく、また、傾斜角を上げたので、タコ25が円筒容器2内で回転する時間が短くなり、投入されてから排出されるまでの時間が減少するため、ホッパー15への投入順に、1秒間に1.4個の速度で個別整列搬送することができた。また、実施例1の場合よりもタコ同士の間隔が0.89倍に縮小された。
【0040】
(比較例1)
貫通孔2Aの内面に凹凸部が形成されていない円筒容器2を用いた点以外は、実施例1と同様にしてタコ25を搬送した。
その結果、粘着性を有したタコ25が、円筒容器2の内部に張り付き、ホッパー15への投入順に安定した供給が見込めず、整列搬送されていないため、タコ25を投入順に搬送できなかった。
【0041】
(比較例2)
円筒容器2を往復運動させなかった点以外は、実施例1と同様にしてタコ25を搬送した。
その結果、円筒容器2内のタコ25に、搬送方向への力を加える手段が欠落していたために、タコ25が投入されてから排出されるまで長時間を要し、等間隔にかつ円滑に搬送できなかった。
【0042】
(比較例3)
円筒容器2を載せたテーブル14を傾斜させず、整列搬送装置1の接地面に対して略平行にした点以外は、実施例1と同様にしてタコ25を搬送した。
その結果、タコ25を投入順に整列搬送できたものの、タコ25が投入されてから排出されるまで長時間を要した。
また、円筒容器2を載せたテーブル14を整列搬送装置1の接地面に対して略平行にすると共に、貫通孔2Aの内面の凹凸部を螺旋状に形成した点以外は実施例1と同様にしてタコ25を搬送してみたが、同様にタコ25を投入順に整列搬送できたものの、タコ25が投入されてから排出されるまで長時間を要した。
【0043】
(比較例4)
補助ローラ17と、ホッパー15付き送り出し機16を用いなかった点以外は、実施例1と同様にしてタコ25を搬送した。
その結果、一度に大量にタコ25を円筒容器2に投入してしまう場合もあり、安定した搬送を行ないにくかった。
【0044】
以上のように、本発明の整列搬送装置は、貫通孔の中心軸線を中心として円筒容器を回転運動させる回転駆動モータによって、円筒容器は回転し、また、貫通孔の中心軸線に沿って円筒容器を往復運動させる振動駆動モータによって、円筒容器は往復運動するので、互いに異なるベクトルの力を、円筒容器の貫通孔の内面に形成された凹凸部上で、固形物の塊に与え、固形物の塊を個別に分離することができると共に、固形物の送り出しを助けることができる。よって、固形物の事前位置決めの必要が無く、かつ不定形で粘着性のある固形物が投入された順序で、固形物を整列搬送できる。
また、固形物が投入された順序で固形物を整列搬送できるので、先に投入された固形物が、後から投入された固形物よりも長く整列搬送装置内に留まってしまうことがなく、衛生的である。
【0045】
また、凹部と凸部は、螺旋状ではなく、貫通孔の中心軸線と略直交する断面に沿って交互に位置するので、搬送される固形物が粘着性を有していても、貫通孔の内面に張り付きにくくなると共に、抵抗のバラツキにより、固形物同士が分離しやすく、多数の同時搬送を防ぐことができる。
【0046】
また、送り出し機によって、固形物を円筒容器に供給するので、所要時間のバラツキを抑えることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 整列搬送装置
2 円筒容器
2A 貫通孔
3 回転ガイド
4 ストッパー
5 回転伝達ベルト
6 回転駆動モータ
7 振動ガイド
8 振動ガイドレール
9 架台
10 傾斜調節脚部
11 振動伝達シャフト
12 振動駆動モータ
13 振動伝達部材
14 テーブル
15 ホッパー
16 送り出し機
17 補助ローラ
18 ベルト帯
19 搬送機
20 ベルト帯
21 回転方向
22 振動方向
23 凹部
24 凸部
25 タコ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔が形成されると共に該貫通孔の内面に複数の凹凸部が形成された容器と、
前記貫通孔の中心軸線を中心として前記容器を運動させる第1の運動付与部と、
前記貫通孔の中心軸線に沿って前記容器を往復運動させる第2の運動付与部とを備える
整列搬送装置。
【請求項2】
前記第1の運動付与部は、前記容器を回転運動させる
請求項1に記載の整列搬送装置。
【請求項3】
前記往復運動のうち、往運動の移動速度と復運動の移動速度が異なる
請求項1または請求項2に記載の整列搬送装置。
【請求項4】
前記容器は、円筒形状を有する
請求項1〜3のいずれか1つに記載の整列搬送装置。
【請求項5】
前記整列搬送装置の接地面に対して前記容器を所定の角度に傾斜させる傾斜部を備える
請求項1〜4のいずれか1つに記載の整列搬送装置。
【請求項6】
前記凹凸部は、前記貫通孔の中心軸線と略直交する断面に沿って位置する
請求項1〜5のいずれか1つに記載の整列搬送装置。
【請求項7】
前記凸部の全面積の割合は、前記貫通孔の内面の全面積の30〜70%である
請求項1〜6のいずれか1つに記載の整列搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−251778(P2011−251778A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124505(P2010−124505)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(592095734)株式会社八ちゃん堂 (12)
【出願人】(309023483)サンビット株式会社 (3)
【Fターム(参考)】