説明

整形外科用創外固定装置のためのクランプ

【課題】従来技術に関する欠点を克服するクランプを提供する。
【解決手段】クランプ1において、第1アタッチメント2は、第1接続バー101を収容するための横ハウジング20を協働して定める内側アーム22及び外側アーム21と、外側アーム21に枢動可能に取り付けられた可動顎5とを有するる。第2アタッチメント3は、クランプ1を第2の構成部品102へと接続可能にする。締め付け要素4は、ねじ山を有しており、第1及び第2アタッチメント2,3を横切って、第1及び第2のアタッチメント2,3を接続する。可動顎5が、締め付け要素4に従属し、締め付け要素4を締め込むことで、クランプ1が、2つのアタッチメント2,3が緩んだ状態から締め付けられた状態へと移行し、可動顎5が内側アーム22の方向に第1接続バー101へと押し付けられて、第1接続バー101を横ハウジング20に拘束する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整形外科用のクランプに関し、さらに詳しくは、創外固定システムの構成要素を特には一時的に拘束する目的のクランプに関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、整形外科用創外固定具のためのクランプであって、
‐2つのアームを備えており、該2つのアームが、当該クランプの全体構造に関して外側および内側のアームであり、協働して整形外科用創外固定具の第1の接続バーを収容するために適したC字形の断面を有する横ハウジングを定めている第1のアタッチメントと、
‐当該クランプを前記整形外科用創外固定具の前記第1の接続バー以外の第2の構成部品へと接続できるように設計された第2のアタッチメントと、
‐少なくとも一部分にねじ山を有しており、前記外側および内側のアームの延在の方向を横切る回転軸に沿って前記第1および第2のアタッチメントを横切って該第1および第2のアタッチメントを接続する締め付け要素と、
を備えており、
前記締め付け要素を締め込むことで、前記2つのアタッチメントが前記回転軸を中心にして互いに回転することができる緩んだ状態から、前記アタッチメントの相対的な向きが固定される締め付けられた状態へと移行するクランプに関する。
【背景技術】
【0003】
整形外科において、骨の断片の骨接合術のための創外固定の技法が、普通に使用されている。これらの技法は、最も単純な形態においては専用のクランプによって互いに関節接続される1式のバーで構成され、骨内ねじまたはワイヤによって患者の骨格に組み合わせられる剛な外骨格の外科的な応用を提供する。全体として、採用される機械的なシステムが、創外固定具という名称で呼ばれる。
【0004】
今日の医療環境における治療上のニーズの多様性が、各々が意図される用途に適した技術的および形態的な特徴を有しているさまざまな種類の固定具の分化の一因となっている。したがって、大部分が外傷的であって急を要する性質である特定の用途のために、いわゆる素早い固定具が開発されてきており、そのような固定具は、単純さおよび素早い締め付けを特徴としている。
【0005】
素早い固定具は、構造バーをさまざまな種類のクランプへと接続して備えている。例えば、バーを構造の関節の地点において互いに接続するように意図されたバー対バーのクランプが知られている。バー対スクリュのクランプが、バーを患者の骨に固定された非貫通のねじに組み合わせるように設計されている。バーとワイヤとを拘束するように設計されたバー対ワイヤのクランプも、同様に知られている。
【0006】
これらすべてのクランプが、使用の容易さおよび締め付けの安定性という正反対のニーズを調和させなければならないきわめて重大な設計の構成要素である。
【0007】
従来技術に存在する上述の形式のクランプのいくつかは、どちらも1対のアームを備えている2つのアタッチメントまたはモジュールを含んでおり、1対のアームがC字形のハウジングを定めるとともに、それらの接合点において弾性変形可能である。この弾性接合のおかげで、固定具の接続バー(あるいは、骨用ねじまたはワイヤ)を、各アタッチメントのアームの間へとスナップ式にて挿入することができる。
【0008】
さらに、2つのアタッチメントを締め付けねじのための穴が貫いており、そのような穴が、上記接合点とバーまたはスクリュのハウジングとの間の中間位置においてアームを直角に貫いている。クランプが組み立てられた状態にあるとき、これらのアタッチメントは、一方が他方に重なるように設定され、前記接合穴に挿入されて2番目のアタッチメントの穴の最後のねじ山部分に螺合する締め付けねじによって一体化されている。ねじを締め込む前は、2つのアタッチメントが緩んだ状態で重なっており、回転軸を中心にして自由に回転して、互いの向きを互いの角度がずらされた平面上に設定することができる2連C字の構成をクランプにもたらしている。
【0009】
結果として、ねじを締め込むことによって、C字形の2つのモジュールの相対位置を固定できると同時に、これらのモジュールをバー(あるいは、上述の代案によれば、骨用ねじまたはワイヤ)の周囲へと締め付け、軸方向の滑りおよび回転を適切に防止することができる。
【0010】
上述の形式のクランプは、例えば、特許公開US2008/0065068およびUS2009/0088751に開示されている。
【0011】
上述の形式のクランプは、その設計の意図する機能を充分に果たすことができるが、ねじの締め付けの力の固定対象の構成要素、すなわち、バー(あるいは骨用ねじまたはワイヤ)への伝達が不利であるがゆえの欠点を抱えている。実際、この伝達は、外側のアームが上述の弾性ジョイントに位置する支点に当接することによって形成される第3種のてこによって行われる。この結果として、構成要素へと伝達される力が小さくなり、最終的な分析において、構造の充分な締め付けを保証するために、外科医が締め付けねじに大きなトルクを加える必要がある。
【0012】
他方で、上述の欠点を回避するように構造付けられたクランプが、特許出願WO03/068082において提案されている。
【0013】
このクランプは、固定すべき2つの接続バーのための拘束要素として、適切に形作られたアタッチメントの溝の内部を平行移動し、上述した形式の締め付けねじへと直接的に拘束されるナットおよびワッシャを使用している。これらの拘束要素には、適切なねじを締め付けたときにバーに係合してバーをハウジング内に拘束するように意図された端部の突起が設けられている。
【0014】
US2006/0177263も、同様の構成を特徴とするクランプを開示している。
【0015】
したがって、この場合には、好都合なことに、ねじの締め込みの荷重が、不利なてこを用いることなく直接的に伝えられる。
【0016】
しかしながら、ここに記載されているクランプは、従来技術に関するほかの欠点を有している。
【0017】
第1には、5つもの別々の構成要素で構成されており、すなわち2つのアタッチメントと、締め付けねじと、拘束要素とで構成されている。この構造は、小さな寸法であるナットおよびワッシャ要素が容易に失われてしまい、装置全体が使用できなくなる可能性があり、あるいは落下してしまい、再組み立てが複雑になる可能性があるため、最終ユーザにとって困難を生じさせる可能性がある。
【0018】
さらに、拘束機能を有する端部の突起が、固定すべき接続バーへと荷重を局所的に分布させ、そのような局所的な分布によって、このバーに変形が生じ、生じうる疲労応力に関して接合部の耐久性が低下する。
【0019】
特許公開US2002/0177754が、圧縮ばねによって閉鎖位置に保たれる枢動顎を特徴とするクランプを開示している。しかしながら、このような構成は、バーへの保持力が比較的小さく、調節することができないという欠点を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、本発明の根底にある技術的課題は、上述の従来技術に関する上述のすべての欠点を克服するクランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上述の技術的課題が、上述した形式のクランプによって解決される。クランプは、前記第1のアタッチメントが、該第1のアタッチメントの前記外側のアームの自由端において、前記横ハウジングの前記C字形の断面の平面に垂直なヒンジ軸によって枢動可能に取り付けられた可動顎を備えており、前記締め付け要素を締め込むことで該可動顎が前記内側のアームの方向に前記第1の接続バーへと押し付けられ、該第1の接続バーを前記横ハウジングに拘束する作用を果たすように、前記締め付け要素に従属することを特徴とする。
【0022】
このようにして、以下の利点が得られる。すなわち、締め付けの力の接続バーへの伝達が、独立した可動顎によって得られる。
【0023】
好都合には、可動顎が、接触によって第1の接続バーを横ハウジングの内部に拘束するように設計された歯を備える凹面を有しており、この凹面が、この凹面と接触する第1の接続バーの部位に対して反対に形作られている。
【0024】
第1のアタッチメントの外側のアームが、間に上述の可動顎が枢動可能に取り付けられる2つの横ウイングを備えている。
【0025】
外側のアームおよび顎要素のこの構成が、バーへの荷重の優秀かつ良好な分布を可能にする。
【0026】
本発明によるクランプの特徴および利点が、添付の図面を参照しつつあくまでも本発明を限定するものではない例として提示される、本発明の実施形態のうちの1つについての以下の説明によって、さらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の状態にある本発明による整形外科用創外固定具のためのクランプについて、中心平面に沿って切断した側面図を示している。
【図2】第2の状態にある図1のクランプの斜視図を示している。
【図2A】本発明のクランプの別の実施形態の斜視図を示している。
【図3】図1に示したクランプの分解図を示している。
【図4】第1の実施形態による整形外科用創外固定具のためのクランプの分解図を示している。
【図5】第2の実施形態による整形外科用創外固定具のためのクランプの分解図を示している。
【図6】図1および4の実施形態による複数のクランプを取り入れてなる整形外科用創外固定具の斜視図を示している。
【図7】図2Aに示した別の実施形態における本発明によるクランプの細部の斜視図を示している。
【図8】図2Aに示した別の実施形態における本発明によるクランプの細部の斜視図を示している。
【図9】図4のクランプについて、図2Aと同様の別の実施形態における斜視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
添付の図面を参照すると、本発明によるクランプが、参照される実施形態に応じて、参照番号1,1’,および1’’によって指し示されている。
【0029】
このクランプ1;1’;1’’は、従来技術についての上述の検討において説明したように、整形外科用の創外固定具100(さらに詳しくは、図6に示した形式の素早い固定具)の接続要素として機能するように構造付けられている。クランプ1,1’,1’’のこの機能を、一時的に実行することも可能である。
【0030】
クランプ1;1’;1’’は、例えば図6に示すように、固定具100の第1の接続バー101と第2の構成部品102;102’との間の一時的な剛な接続を、迅速かつ効果的な様相で生成するように意図されている。この場合において、クランプが第1の接続バー101を異なる種類の第2の構成部品へと接続するように設計されている本発明の3つの異なる実施形態が、詳しく説明される。第1の実施形態(バー対バーのクランプ1)においては、第2の構成部品が、第1の接続バーと同様の第2の接続バー102であり、第2の実施形態(バー対スクリュのクランプ1’)においては、第2の構成部品が、骨用ねじ102’であり、最後に、第3の実施形態(バー対ワイヤのクランプ1’’)においては、接続される要素がワイヤ(図示せず)である。
【0031】
それらの機能を果たすことができるよう、クランプ1;1’;1’’は、好都合には、締め付け要素4によって適切に一体化される第1のアタッチメント2および第2のアタッチメント3;3’;3’’を備えている。
【0032】
添付の図面に見ることができるとおり、3つのクランプの構造は、実質的に類似かつモジュール式であり、それらの間の唯一の相違は、第2のアタッチメント3;3’;3’’に関係している。したがって、バー対バーのクランプ1の全体の説明を続けた後で、残りの実施形態を構成する第2のアタッチメント3’;3’’の顕著な特徴だけを概説する。バー対スクリュのクランプ1’およびバー対ワイヤのクランプ1’’の構成部品のうちで、バー対バーのクランプ1の構成部品と同様の構成部品は、同じ参照番号によって適宜に指し示される。
【0033】
第1のアタッチメント2は、2つのアームを備えており、そのような2つのアームを、装着時のクランプ1の全体構造を基準にして外側のアーム21および内側のアーム22とする。アーム21,22が協働して、第1の接続バー101を受け入れるために適したC字形の断面を有する横ハウジング20を定めている。
【0034】
さらに図1は、さまざまな公差を有するバー101の直径との適切な接触を保証するために、中央において解放されたハウジング20の部位20aを明瞭に示している。
【0035】
第2の接続バー102への接続を可能にするように設計されたバー対バーのクランプ1の第2のアタッチメント3は、第2のアタッチメント3と第1のアタッチメント2との相補性を得るために必要ないくつかの特別な特徴(本明細書において後述される)を除いて、第1のアタッチメント2と実質的に同じ構造を有している。
【0036】
締め付け要素4が、上述のアーム21,22の延在の方向を横切る回転軸xに沿って、第1および第2のアタッチメント2,3を横切り、第1および第2のアタッチメント2,3を接続する。
【0037】
締め付け要素4は、頭部または近位端40と先端または遠位端41とを有するねじのように構成されており、頭部または近位端40が、第1のアタッチメント2に形成されたばか穴の周囲の斜めのアクセスハウジングを有する表面に当接して係合するように設計された球面の外形を有する当接部を備えており、先端または遠位端41が、ねじ山を有しており、第2のアタッチメント3の穴の内側にねじ込まれて係合する。
【0038】
ねじと穴との間に、わずかな遊びが存在している。
【0039】
締め付け要素4を締め付けることで、クランプが、2つのアタッチメント2,3が回転軸xを中心にして互いに回転することができる緩んだ状態から、クランプの相対的な姿勢が固定される締め付けられた状態へと移行する。
【0040】
したがって、クランプ1が緩んだ状態にあるとき、外科医が、2つのアタッチメントを必要とされる位置に向けることができる。これに関して、2つのアタッチメントが整列した位置に示されている図1を、2つのアタッチメントが直角に設定されている図2と比較されたい。
【0041】
図1の断面に見ることができるとおり、第1のアタッチメント2の外側のアーム21および内側のアーム22は、自由端にC字形の横ハウジング20の狭隘部を定める一方で、反対側の端部において弾性ブリッジ24によって互いに接続されるように形作られており、第1の接続バー101を前記狭隘部を通って横ハウジング20へとスナップ式で挿入できるようにしている。
【0042】
内側のアーム22は、締め付け要素4が挿入されるばか穴によって貫かれた中央部26を備えている。この中央部26から、横ハウジング20の画定に貢献する片持ち梁状部27が一方向に延びている一方で、上述の弾性ブリッジ24が、反対方向から延びている。
【0043】
さらに、第1のアタッチメント2は、アタッチメント2の外側のアーム21の自由端に位置するヒンジ軸y(横ハウジング20のC字形の断面の平面に垂直である)によって枢動可能に取り付けられた可動顎5を備えている。
【0044】
この外側のアーム21は、アーム21の少なくとも端部(好ましくは、アーム21の延在の全体)を構成するフォークを形成している平行に延びる2つの横ウイング23を備えており、これら2つの横ウイング23の間に、例えば該当の構成要素の専用の穴を横切るピン25によって、可動顎5が枢動可能に取り付けられる。
【0045】
したがって、可動顎5は、本明細書において後述される態様の1つによれば、前もって導入される締め付け要素4に従属し、この要素を締め込むことによって可動顎5が内側のアーム21の方向に第1の接続バー101へと押し付けられ、第1の接続バー101を横ハウジング20に拘束する作用を果たす。
【0046】
可動顎5は、部分的には、対向する内側のアームの構造を繰り返している。実際に、可動顎5は、端部の枢支部52に加えて、実質的に対称な様相で内側のアーム22の片持ち梁状部27に対向する把持部53と、アーム22の中央部26に対応する穴有り部54とを備えている。この穴有り部54に、顎5の長手方向の延在およびヒンジ軸yの両方に対して直角かつ上記中央部26の穴の軸に実質的に整列した軸を有する締め付け要素4を導入するための穴55が設けられている。
【0047】
内側のアーム22の片持ち梁状部27の形状および対向する可動顎5の把持部53の形状に、とくに注意をはらうべきである。これらの部位の内表面が、実際のところ、第1のアタッチメント2の横ハウジング20のC字形を定めている。したがって、第1の接続バー101との接触面積を広げることができるよう、上述の部位が、これらの部位と接触する接続バー101の部位に対して反対に形作られた凹面を有している。
【0048】
より詳しくは、接触によって第1の接続バー101を横ハウジング20の内部に拘束するように設計された可動顎5の凹面50が、円柱形の傾向に従い、好ましくは90°よりもわずかに大きく、いずれにせよ90°〜180°の間である角度によって定められる円弧を画定している。
【0049】
さらに、可動顎5の凹面50が、顎5の第1の接続バー101の把持を改善するように設計された好ましくは横方向かつヒンジ軸yに平行なくぼみ51を有している。
【0050】
例えば図7に示す好ましい実施形態においては、互いに離れた関係で凹面50の横方向の縁に位置するくぼみ65,66によって形作られた2つの外形を有している可動顎5’を採用することが好ましい。これにより、バー101との摩擦を大きくできるほか、支持を2箇所に分けることで、安定性の向上がもたらされる。
【0051】
可動顎の穴有り部54の穴55は、締め付け要素4の導入の方向に応じて、ばか穴またはねじ穴であってよい。
【0052】
添付の図面に示すように、締め付け要素4の頭部40(球面)が可動顎5に位置する場合、面取りされた穴55が、ねじ山のない貫通穴であり、要素4が、頭部の当接部をこの穴の周囲の外表面に当接させることによって顎へと拘束される。この場合、穴は、可動顎をヒンジ軸yを中心にして容易に回転させることができるよう、締め付け要素4と顎との間にわずかな遊びを許すような直径を有する。
【0053】
他方で、締め付け要素4の先端41を穴55に進入させなければならない場合には、当然ながら、穴55に、2つの構成要素の間の螺合を可能にするためにねじ山が設けられる。
【0054】
バー対バーのクランプ1の第2のアタッチメント3は、すでに述べたように、ハウジング30も含めて第1のアタッチメント2のすべての特徴を繰り返している。
【0055】
さらに図1は、さまざまな公差を有するバー102’の直径との適切な接触を保証するために、中央において解放されたハウジング30の部位30aをきわめて明瞭に示している。
【0056】
このアタッチメント3も、1対のアーム31,32を有しており、アームの最も外側に、第2の可動顎6がヒンジ軸y’を中心にして枢動可能に取り付けられている。
【0057】
第2のアタッチメント3の可動顎6は、第1のアタッチメント2の可動顎5に対して反対側の締め付け要素4の端部と係合するが、可動顎5がばか穴を有する場合にはねじ穴を有し、可動顎5がねじ穴を有する場合にはばか穴を有する。
【0058】
しかしながら、そのほかの点では、可動顎6は、可動顎5の構造に一致する。
【0059】
例えば図2Aに示す好ましい実施形態においては、可動顎5および6が、ただ1つの中央の外形51ではなくて、くぼみ65,66からなる2つの側方の外形を有している可動顎5’および6’で置き換えられている。
【0060】
また、可動顎5’および6’の一方または両方を、例えば図9に示す実施形態の形態など、本明細書において後述される種々の実施形態のうちの任意の1つにおいて採用することもできる。
【0061】
第1および第2のアタッチメント2,3は、それらの内側のアーム22,32において組み合わせられる。アーム22,32の互いの接触面に、実質的に円錐台形状であり、締め付け要素4のための通過穴を囲んでおり、締め付け要素4のための通過穴と同軸である突起38および収容部28が、それぞれ成形されている。収容部28および突起38は、2つの部品の穴の良好な整列を保証し、締め付け要素4の導入時の相対的な滑りを防止し、摩擦のくさびによって締め付けトルクを増加させるために、反対に形作られている。
【0062】
バー対スクリュのクランプおよびバー対ワイヤのクランプに関しても、突起38’;38’’が好ましくは第2のアタッチメント3’;3’’に配置される同様の技法を、図4および図5に見ることができる。
【0063】
図4および図5に示すバー対スクリュのクランプ1’およびバー対ワイヤのクランプ1’’の実施形態においては、第2のアタッチメント3’;3’’が、骨用ねじ102’またはワイヤをそれぞれ拘束するための異なる構成をとっている。さらに、これらの実施形態に関する第2のアタッチメント3’;3’’は、同じ形状を有しており、ねじ102’またはワイヤをそれぞれ収容するように意図された横ハウジング30’;30’’の直径によってのみ相違している。
【0064】
この横ハウジング30’;30’’は、収容されるべき要素と同様の円柱形の形状であり、対称的に対向しつつ弾性ブリッジ34’;34’’によって互いに接続されている2つの異形アーム31’;31’’によって定められている。これらのアームは、第1のアタッチメント2の内側のアーム22と同様に、締め付け要素4を導入するように意図された穴によって貫かれている厚さの大きい中央部36’;36’’を備えている。要素4は、穴へとねじ込まれ、あるいは穴の周囲の外表面に頭部40を当接させることによって、これらのアームのうちの最も外側のアームへと拘束される。
【0065】
したがって、締め付け要素4を締め込むと、2つのアタッチメントが結合し、可動顎5または5’が第1の接続バー101に対して固定されるほかに、第2のアタッチメント2’;2’’の最も外側のアームが、ねじ102’またはワイヤへと、この要素を動かぬように固定するように押し付けられる。
【0066】
本発明によるクランプの主たる利点は、締め付けの力が独立した可動顎によって接続バーへと好都合に伝達されることにある。
【0067】
さらなる利点が、バーへの荷重の優秀かつ効果的な分布を可能にする顎要素の好都合な構成からもたらされる。
【0068】
さらに、2つの異なる実施形態にて顎に設けられるくぼみが、クランプによって保持される要素の把持の改善に寄与する。
【0069】
さらに、クランプへのバーおよびスクリュの挿入が、閉じねじの軸に対して垂直である。
【0070】
閉じねじは、球面の収容部を備える支持面を有している。穴の面取りの表面との接触が、クランプの顎の偏向を補償し、正しい接触面を維持する。
【0071】
さらなる利点は、クランプが、構成要素をなくす恐れなく取り扱うことができる単一の部品であり、実用的かつ安全に使用できる点にある。
【0072】
当然ながら、当業者であれば、個々の具体的なニーズを満たすために、上述のクランプに対して多数の変更または変化を加えることができ、それらはすべて、以下の特許請求の範囲によって定められる本発明の保護の範囲に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
整形外科用創外固定具(100)のためのクランプ(1;1’;1’’)であって、
‐2つのアームを備えており、該2つのアームが、当該クランプ(1;1’;1’’)の全体構造に関して外側のアーム(21)および内側のアーム(22)であり、該2つのアームの間に整形外科用創外固定具(100)の第1の接続バー(101)を収容するために適したC字形の断面を有する横ハウジング(20)が定められている第1のアタッチメント(2)と、
‐当該クランプ(1;1’;1’’)を前記整形外科用創外固定具(100)の前記第1の接続バー(101)以外の第2の構成部品(102;102’)へと接続できるように設計された第2のアタッチメント(3;3’;3’’)と、
‐少なくとも一部分にねじ山を有しており、前記外側および内側のアーム(21,22)の延在の方向を横切る回転軸(x)に沿って前記第1および第2のアタッチメント(2,3;3’;3’’)を横切って該第1および第2のアタッチメント(2,3;3’;3’’)を接続する締め付け要素(4)と、
を備えており、
前記締め付け要素(4)を締め込むことで、前記2つのアタッチメント(2,3;3’;3’’)が前記回転軸(x)を中心にして互いに回転することができる緩んだ状態から、前記アタッチメント(2,3;3’;3’’)の相対的な向きが固定される締め付けられた状態へと移行するクランプ(1;1’;1’’)であり、
前記第1のアタッチメント(2;3;3’;3’’)が、該アタッチメント(2)の前記外側のアーム(21)の自由端において前記横ハウジング(20)の前記C字形の断面の平面に垂直なヒンジ軸(y)によって枢動可能に取り付けられた可動顎(5)を備えており、該可動顎(5)が、該顎(5)の長手方向の延在および前記ヒンジ軸(y)の両方に対して垂直な、前記締め付け要素(4)が横切る穴(55)を備えており、該可動顎(5)の穴(55)において前記締め付け要素(4)を締め込むことで、前記第1の接続バー(101)を前記横ハウジング(20)に拘束する作用を果たす前記可動顎(5)の前記内側のアーム(22)へと向かう動きが決定されることを特徴とするクランプ(1;1’;1’’)。
【請求項2】
前記穴(55)が、ばか穴であり、前記締め付け要素(4)が、前記穴(55)の周囲の前記可動顎(5)の表面に当接して係合するように設計された頭部(40)を有している請求項1に記載のクランプ(1;1’;1’’)。
【請求項3】
前記穴(55)が、ねじ穴であり、前記締め付け要素(4)が、前記穴(55)にねじ込まれるねじ山付きの先端(41)を有している請求項1に記載のクランプ(1;1’;1’’)。
【請求項4】
前記可動顎(5)が、接触によって前記第1の接続バー(101)を前記横ハウジング(20)内に拘束するように設計された凹面(50)を有しており、該凹面(50)が、該凹面(50)と接触する前記第1の接続バー(101)の部位に対して反対の形状にされている請求項1〜3のいずれか一項に記載のクランプ(1;1’;1’’)。
【請求項5】
前記凹面(50)が、円柱形の傾向に従い、90°〜180°の間の角度によって定められる円弧を定めている請求項4に記載のクランプ(1;1’;1’’)。
【請求項6】
前記凹面(50)が、前記可動顎(5)の前記第1の接続バー(101)の把持を改善するように設計されたくぼみ(51)を有している請求項1〜5のいずれか一項に記載のクランプ(1;1’;1’’)。
【請求項7】
前記凹面(50)の前記くぼみ(51)が、前記ヒンジ軸(y)に平行に延びている請求項6に記載のクランプ(1;1’;1’’)。
【請求項8】
前記凹面(50)が、互いに離れた関係で横方向の縁に位置するくぼみ(65,66)を有している請求項6に記載のクランプ(1;1’;1’’)。
【請求項9】
前記可動顎(5)が、端部の枢支部(52)と、前記凹面(50)を有する把持部(53)と、前記締め付け要素(4)を導入するための穴(55)を有している穴有り部(54)とを備えており、前記穴(55)の軸が、該顎(5)の長手方向の延在および前記ヒンジ軸(y)の両方に対して直角である請求項4〜8のいずれか一項に記載のクランプ(1;1’;1’’)。
【請求項10】
前記外側のアーム(21)が、間に前記可動顎(5)が枢動可能に取り付けられる2つの横ウイング(23)を備えている請求項9に記載のクランプ(1;1’;1’’)。
【請求項11】
前記第1のアタッチメント(2)の前記外側のアーム(21)および前記内側のアーム(22)が、自由端に前記C字形の横ハウジング(20)の狭隘部を定めるように形作られている一方で、前記第1の接続バー(101)を前記狭隘部を通って前記横ハウジング(20)へとスナップ式で挿入できるよう、反対側の端部において弾性ブリッジ(24)によって互いに接続されている請求項1〜10のいずれか一項に記載のクランプ(1;1’;1’’)。
【請求項12】
前記第2のアタッチメント(3)が、当該クランプ(1)を前記整形外科用創外固定具(100)の第2の接続バー(102)へと接続できるように設計され、この目的のために、間に前記第2の接続バー(102)を収容するために適したC字形の断面を有する横ハウジング(30)を定める2つのアーム、すなわち外側のアーム(31)および内側のアーム(32)を備えており、
さらに前記第2のアタッチメント(3)が、前記外側のアーム(31)の自由端において前記横ハウジング(30)の前記C字形の断面の平面に垂直なヒンジ軸(y’)によって枢動可能に取り付けられた可動顎(6)を備えており、前記締め付け要素(4)を締め込むことによって前記可動顎(6)が前記内側のアーム(31)の方向に前記第2の接続バー(102)へと押し付けられ、該第2の接続バー(102)を前記横ハウジング(30)に拘束する作用を果たすように、前記締め付け要素(4)に従属する請求項1〜11のいずれか一項に記載のクランプ(1)。
【請求項13】
前記第2のアタッチメント(3’)が、当該クランプ(1’)を前記整形外科用創外固定具(100)の骨用ねじ(102’)へと接続できるように設計され、この目的のために、前記骨用ねじ(102’)を収容するための横ハウジング(30’)を定めるように対称に対向した2つの異形アーム(31’)を備えており、
該2つのアーム(31’)が、弾性ブリッジ(34’)によって互いに接続されており、前記締め付け要素(4)が、該2つのアーム(31’)を横切って最も外側のアームへと拘束され、該締め付け要素(4)を締め込むことによって前記最も外側のアームが前記骨用ねじ(102’)へと保持され、該骨用ねじ(102’)を前記ハウジング(30’)に固定する請求項1〜12のいずれか一項に記載のクランプ(1’)。
【請求項14】
前記第2のアタッチメント(3’’)が、当該クランプ(1’’)を前記整形外科用創外固定具(100)のワイヤへと接続できるように設計され、この目的のために、前記ワイヤを収容するための横ハウジング(30’’)を定めるように対称に対向した2つの異形アーム(31’’)を備えており、
該2つのアーム(31’’)が、弾性ブリッジ(34’’)によって互いに接続されており、前記締め付け要素(4)が、該2つのアーム(31’’)を横切って最も外側のアームへと拘束され、該締め付け要素(4)を締め込むことによって前記最も外側のアームが前記ワイヤ(102’)へと保持され、該ワイヤを前記ハウジング(30’’)に固定する請求項1〜13のいずれか一項に記載のクランプ(1’’)。
【請求項15】
前記第1および第2のアタッチメント(2,3;3’;3’’)の互いの接触面が、前記回転軸(x)に沿った前記アタッチメントの正しい整列を保証するために、互いに組み合わせられる反対形状の突起(38,38’,38’’)および収容部(28)を有している請求項1〜14のいずれか一項に記載のクランプ(1;1’;1’’)。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−98201(P2011−98201A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−248374(P2010−248374)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(506329454)オルトフィックス ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (8)
【Fターム(参考)】