整形外科用器械滅菌容器
第1滅菌容器および第2滅菌容器を有する複数の滅菌容器を含む滅菌容器アセンブリである。第2滅菌容器は第1滅菌容器上に垂直方向に積重される。第2滅菌容器は第1滅菌容器から垂直方向に対して横方向に段違いとされ、別の実施形態においては、第2滅菌容器は第1滅菌容器から垂直方向に対して横方向に段違いにも、第1滅菌容器から垂直方向に対して横方向に直列積重もするように構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滅菌容器に関し、より具体的には、整形外科用器械滅菌容器に関する。
【背景技術】
【0002】
滅菌容器は、外科用器械および器具の編成、保管および滅菌機能を与えるものとして知られる。そのような器械が使用される患者への感染を回避するため、同器械は医術処置後、および使用前に洗浄し且つ滅菌しなければならない。
【0003】
外科的処置は、予め選択された外科器械の「セット」を使用して整然と遂行され、各セットは、経験から確立され且つ所定の外科的処置において有用とされる設計の器械の集まりとされる。特定の処置において使用されることが予想される外科器械は、仕分けされてセットを形成し、セットとして、滅菌され、皿状器具もしくはトレーに保管され、且つ最後に、その使用が必要とされるときに皿状器具もしくはトレーに載せて手術室に運ばれる。複雑な処置は、一般的に多数の器械を伴う。したがって、一般に、所要の外科器械をすべて収容するには数個の器械トレーが必要とされよう。したがって、滅菌容器は、外科的処置が多くは既定の手順で進行するにつれトレーにアクセス可能とするように器械がトレーに配置された複数のトレーを収容するように設計されることが多い。
【0004】
洗浄処置の例としては、器械を、まず水および多分は溶剤を入れたタンク内に置き、超音波を掛けて流体を攪拌することにより、前回の使用から器械に残っているバイオマター等、破片を洗い落とす。器械は次いで何らかの方法で滅菌され、手動器械に着いた微生物、ウイルスもしくは他の汚染物を破壊する。2つの滅菌方法は、器械が例えば少なくとも摂氏185度(華氏365度)の高温で一定時間加熱される乾熱の使用、もしくはオートクレーブシステムにおける加圧蒸気の使用を含む。蒸気オートクレーブシステムを使用して滅菌する時間は、熱と圧力および器械が包装されているか否かによる。幾つかの滅菌工程においては、手動器械に化学物質が、超音波バスと加熱処理の間の中間段階として、適用される。第3の滅菌方法は化学的オートクレーブとされ、これにおいては様々な気体の調節された雰囲気が、ときには熱および湿気と共に、使用されて、密封滅菌包装内に保持された器械を滅菌する。照射も、器械の滅菌に使用することが可能である。器械が滅菌容器内にある状態では、滅菌ラップで容器を被覆することによって、滅菌後の容器内の滅菌範囲を維持することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
股関節もしくは膝関節置換のような大手術には、器械の多重容器およびトレーを必要とする大型器械がある。引出し式に構成された多重トレーを有する滅菌システムが知られているが、器械にアクセスするためにトレーを引き出したときに、重心が前方に移動することによってシステムが不安定となり前に傾く可能性がある。前方に回動してそのような滅菌容器を安定させる補強材が知られている。そのような補強材は、安定化状態時には、手術室内のテーブル上における滅菌容器のフットプリントを増す。
【0006】
当技術分野で必要とされているのは、器械にアクセス時に不安定にならず、大型および複雑な器械セットを収容可能な、且つ滅菌容器フットプリントを極小化し同時に器械へのアクセスを極大化する、容易に構成可能な滅菌システムである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、外科用器械および器具を滅菌、編成、収納および運搬するための、多段、段違いおよび/または直列積重式、自己充足且つ自立型の器械容器として構成可能な滅菌容器を提供する。
【0008】
本発明は、その1つの形式においては、第1滅菌容器および第2滅菌容器を有する複数の滅菌容器を含む滅菌容器アセンブリを備える。第2滅菌容器は第1滅菌容器上に垂直方向に積重される。第2滅菌容器は、第1滅菌容器から垂直方向に対して横方向に段違いとされる。
【0009】
本発明は、その別の形式においては、第1滅菌容器および第2滅菌容器を有する複数の滅菌容器を含む滅菌容器アセンブリを備える。第2滅菌容器は第1滅菌容器上に垂直方向に積重される。第2滅菌容器は第1滅菌容器から垂直方向に対して横方向に段違いにも、第1滅菌容器から垂直方向に対して横方向に直列積重もするように構成される。
【0010】
本発明は、また別の形式においては、第1の蓋を有する第1滅菌容器と、第2の蓋を有する第2滅菌容器とを有する複数の滅菌容器を含む滅菌容器アセンブリを備える。第2滅菌容器は第1滅菌容器上に垂直方向に積重される。第1滅菌容器および第2滅菌容器の両方が、第1の蓋および第2の蓋の少なくとも一方と共に積重されるように、または、第1の蓋および第2の蓋の少なくとも一方の無い状態でも積重されるように構成される。
【0011】
本発明は、なお別の形式においては、ラッチ機構を有する引出しを含む滅菌容器を備える。蓋は引出しに接続される。蓋は、蓋が閉じた状態のときも引出しが閉じた状態のときもラッチ機構を受けるラッチ受けを有する。
【0012】
本発明は、また別の形式においては、内面輪郭を有する少なくとも1つのエンドキャップを含む滅菌容器を備える。少なくとも1つの内面輪郭は錠止ブラケットを有する。引出しがエンドキャップに摺動可能に接続される。引出しは、穴付きの少なくとも1つの弾性レバーを含む。少なくとも1つの錠止ブラケットは、引出しが閉じた状態のときに、対応する穴内に受けられる。
【0013】
本発明の長所は、器械にアクセス時に不安定にならない滅菌システムを容易に構成可能とすることにある。
本発明の別の長所は、大型且つ複雑な器械セットを収容可能とし、且つ滅菌システム・フットプリントを極小化すると同時に器械へのアクセスを極大化する滅菌システムにある。
【0014】
本発明のまた別の長所は、個々の容器の段違い積重の作用により、器械にアクセス時に容器の傾倒を防止するように重心が移動することにある。
本発明の更に別の長所は、トレーを引出しから取外し可能とする摺動可能なモジュール式装着法にある。
【0015】
本発明のまた別の長所は、4重から6重の滅菌トレーを垂直に積重し、なお従前より少数のトレーにより使用されたのと同じスペースを必要/占有するのみとされることにある。
【0016】
本発明の更に別の長所は、手術室において滅菌容器およびトレーのために要するスペースの量が減少することにある。
本発明のまた別の長所は、各個トレーの器械の確実なモジュール式配置が可能であることにより、器械の編成、提示、アクセスおよび展開が向上されることにある。
【0017】
本発明の実施形態の更に別の長所は、開いた状態で錠止する蝶着前面カバーにより、一段と安定化され傾倒防止されることにある。
本発明のまた別の長所は、滅菌容器は直列にも段違いにも積重可能であることにある。
【0018】
本発明の更に別の長所は、滅菌容器はその対応する蓋付きでも無しでも積重可能であることにある。
本発明のまた別の長所は、滅菌容器の蓋および引出しとも確実に掛止され、適切なときにはそれぞれしっかりと閉じられることにある。
【0019】
本発明の更に別の長所は、滅菌容器の引出しは蓋を閉じ、開いた、或いは取り外した状態でも確実に掛止されることにある。
本発明のまた別の長所は、滅菌容器は手術に使用のために段違い積重して引出しの開いたときに傾倒を防止し、次いで保管、洗浄および/または滅菌のために直列積重可能であることにある。
【0020】
本発明の長所に関する上述および他の特徴、並びにそれを達成する方法は、本発明の実施形態に関する以下の説明を添付の図面と共に参照することによって、一層明らかになり且つよりよく理解されよう。
【0021】
幾つかの図を通して対応する参照符号は、対応する部分を示す。本明細書に示す例示は本発明の1つの好ましい実施形態の1つの形式を表し、そのような例示は本発明の保護範囲を制限するものと解してはならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図面に関して、とりわけ図1に積重滅菌容器アセンブリもしくはシステム10を示し、これに概ね複数の滅菌容器12を、尚図示の実施形態においては、具体的に3つの滅菌容器12を含む。各滅菌容器12は、容器内に少なくとも1つの引出し14を含み、該引出しは摺動機構16を使用して滅菌容器12に取り付けられる。各滅菌容器12は、図示のように回動開蓋可能な蓋18を含む。詳細には後述するように、所定の滅菌容器12について引出し14もしくは蓋18の一方のみを開くことが可能である。トレーは、同トレーの両側に位置付け可能な少なくとも1つの把手20を使用して相互係合される。少なくとも1つの滅菌容器12は、別の滅菌容器12から図示のように垂直方向に対して横方向に、前方方向から後方方向に段違いとされる。
【0023】
図2は、段違い積重特徴によって背面側テーブルスペースが保たれ、且つ引出し出し入れ時の傾倒防止に役立つことを示す。図示のように、蓋18は回動可能であり、一方引出し14は並進動可能である。
【0024】
人間工学的な把手握持部22は、手触りを柔らか且つ快適とすることができる。把手支持材24の固有形状によって、把手を容器上部に寝せること、或いは立ち上げて閉じた容器システムから適切に取り外すことができる。弾性の把手握持部22は、手のひらで平坦に転動して持ち上げるのに都合よく、エンドキャップ26中央内に転入し、積重容器を共に錠止する。
【0025】
セーフティ・キャッチ28により、滅菌容器12の上に別の滅菌容器12が積重しない限り、引出し14は開かない。積重の1つの容器もしくは最上段の容器の中身には、蓋18を開くことによってアクセスできる。セーフティ・キャッチ28により、別の滅菌容器12が積重した滅菌容器12内の引出しがセーフティ・キャッチ28を作動時に解放可能である。ラッチ29は、蓋18および引出し14を相互係合させ、滅菌容器12の背後側に(引出し前面から離隔して)摺動時に、セーフティ・キャッチ28の状態および別の容器が蓋18上にあるかどうかにより、引出し14もしくは蓋18の一方が開く。
【0026】
本発明により、下方積重容器の引出し14、または個別容器もしくは積重の最上段容器の蓋18を僅かに開く補助ばね30を含むことができる。補助ばね30は引出し14用を示し、蓋用の補助ばね30も図示のものに同様とし得るが、蓋18を作動させるために異なる位置に付けられる。補助ばね30は、他のばねタイプ(コイルばねほか)、ゴム製品および圧縮性液体を納めた可撓性容器等、様々な弾性部材とすることが可能である。補助ばね30は、引出し14および蓋18を容易に開けることができるようにする。引出し14は、そのリムおよびドロップインとしての金属製インサートによってプラスチックトレーを保持可能とし、そのようなトレーおよびインサートによって器械のセットを保持する(いずれも図示せず)。
【0027】
滅菌容器12のサイズおよび形状は、包装および容器に使いやすく且つ弾性の担持把手20およびエンドパネル26の窪んだ担持ポケット32を特徴として備える。丸みを付けた隅34は、鋭角の隅より滅菌包装に穴を開けるおそれが少ない。
【0028】
取出しヒンジ36によって、アクセスもしくは洗浄目的のための蓋の取外しが可能である。エンドパネル26は、アルミニウム、チタンもしくは他の適切な金属から鋳造、或いはRadel、PEEKもしくは他の適切なプラスチックまたは材料から射出成形が可能である。
【0029】
摺動機構16は、ステンレススチールもしくは他の適切な材料製とし、対毎に約18.12kg(40ポンド)を保持するように構成されるが、滅菌システム10の予想される使用に基づいた別の荷重担持容量も考えられる。引出し前面38は、アルミニウムから引抜き加工、もしくはRadelから真空成形、もしくは他の適切な材料製とすることが可能である。引出し底部が広く高度に穴開けされた設計とし、上部からもしくは開いた引出しを介する中身へのアクセスを可能とすることにより、卓越した洗浄可能性および滅菌および中身への安全なアクセスが保証される。
【0030】
滅菌容器12の上部、もしくは蓋18は、少なくとも1つの上部整合要素40を含む。滅菌容器12の底部46は、少なくとも1つの底部整合要素42を含む。少なくとも1つの上部整合要素40は少なくとも1つの底部整合要素42から底部46、或いは閉じたときの蓋18と平行な方向にずらされる。例えば、滅菌容器12は対向し合う側部、即ち底部46に結合された第1側部48および第2側部50を含む。少なくとも1つの底部整合要素42は、少なくとも1つの上部整合要素40より一方の対向する側部に近い。
【0031】
別の実施形態(図5)においては、滅菌容器60は複数の引出し14および蝶着された前面カバー62を含む。蝶着前面カバー62は、ロック式とすることもできる。滅菌容器60は、滅菌容器12と同様に段違い積重可能である。他の特徴は既に述べたものと同様であり、同じ参照符号を付してある。滅菌容器60は股関節もしくは膝関節置換手術用に、一方滅菌容器12は脊椎もしくは体肢手術用により適切とされよう。
【0032】
使用時には、第2滅菌容器12は第1滅菌容器12の上に垂直方向に積重され、且つ同時に第2滅菌容器12は第1滅菌容器12から垂直方向に対して横方向に段違いとされる。第2滅菌容器12は、把手20および対応する窪み付きポケット32を使用して相互係合可能である。
【0033】
次いで図6から12に関し、且つとりわけ図6および7に積重滅菌容器アセンブリもしくはシステム70を示し、これに概ね複数の滅菌容器72を含む。滅菌容器アセンブリもしくはシステム70および滅菌容器72は、1つまたは複数の外科器械(図示せず)もしくはそのセットもしくはそのトレー、とりわけ整形外科用器械を外科的、洗浄、滅菌もしくは保管環境において収納し、編成し且つ滅菌するのに全体として使用することが可能である。滅菌容器アセンブリもしくはシステム70および滅菌容器72は、上述し且つ図1から5に示した諸要素を概ね含むことが可能であり、また図1から5に示すように段違い積重されるのに加えて、滅菌容器アセンブリ70および滅菌容器72は、図7に示すように垂直方向に対して横方向に直列積重可能である。
【0034】
滅菌容器72は基部74、および同内に少なくとも1つの引出し76を含み、該引出しは摺動機構78を使用して基部74に取り付けられる。滅菌容器12は、回動開蓋可能、且つ更に取外し可能な蓋80を含む。したがって、滅菌容器12は、全ての対応する蓋80をそれぞれの滅菌容器12に設置した状態、或いは、いずれかまたは全ての蓋80をそれぞれの滅菌容器12から取り外した状態で、段違いまたは直列積重可能である。滅菌容器12は把手82を含み、滅菌容器12を上述のように段違い積重時にそれらを相互係合させるのに使用可能であるが、しかしそれらを直列積重時には、誤用を防止するため、把手は滅菌容器12同士を相互係合させない。滅菌容器12は、少なくとも1つの別の滅菌容器12と段違いにも直列にも垂直方向に対して横方向に積重するように構成される。
【0035】
基部74は、概ね背部84、エンドキャップ86および底部88を含む。背部84は、蓋80の取出しヒンジ90の少なくとも1つのヒンジポスト92を含み、蓋80の対応するヒンジ受け94と適合する2つのヒンジポスト92を概ね含む。背部84はまた、引出し76を付勢するのに使用可能な弾性部材96を含み、それによって引出し76は錠止解放時に僅かに開く。各エンドキャップ86は、対応する摺動機構78の基部レール98に結合される。エンドキャップ86は、錠止ブラケット104を伴う内側輪郭もしくは内面102を含む。把手82は、エンドキャップ86のそれぞれに取付け可能である。把手82は、予備成形されたワイヤもしくは支持材を中心に嵌合する2つの半体の射出成形により製作できる。把手82は、容器72を段違い積重時に容器72を持上げ/取扱いおよび錠止するための人間工学的設計を提示する。
【0036】
引出し76は、摺動機構78を介して引出し76の側部がエンドキャップ86に摺動可能に接続され、特に、引出し76は摺動機構78の引出しレール100に接続する。引出し76の少なくとも一方の側部には、穴108付きの弾性レバー106が含まれる。引出し76ラッチ機構は、主に少なくとも1つの錠止ブラケット104を含み、同ブラケットは引出し76が閉じた状態のときに対応する穴108内に受けられる。引出しラッチは、したがって単動式であり、容器72の両側に示す。弾性レバー106を親指もしくは他の付属物により押し下げることにより、弾性レバー106は錠止ブラケット104から解放され、それによって引出し76は前方に移動可能となり、その移動は弾性部材96によって助勢可能となる。
【0037】
摺動機構78の2つのレール98、100は、例えば、ステンレススチールボール軸受付き且つ滅菌および洗浄用蒸気穴を付加した無潤滑のアルミニウム製とすることができる。
【0038】
蓋ラッチ機構は、引出し76のラッチ機構110および蓋80の少なくとも1つのラッチ受け112を含む。ラッチ機構110は、蓋80および引出し76が共に閉じた状態のときにラッチ受け112内に受けられる。更に特段に、引出し76は前部パネル116付きの引出し前面114を含む。ラッチ機構110は、前部パネル116に摺動可能に接続される。少なくとも1つの弾性部材118により、ラッチ機構110は前部パネル116に対して閉じた状態に付勢される。図示の実施形態においては、ラッチ機構110は前部パネル116にほぼ平行な方向に摺動可能である。ラッチ受け112は、少なくとも1つの溝状棚部120を含む。ラッチ機構110は、その摺動方向に対して横向き状態とされ且つ蓋80および引出し76が共に閉じた状態のときに対応する溝状棚部内に受けられる少なくとも1つの係止部112を含む。ラッチ機構タブ124はラッチ機構110に結合され、前部パネルタブ126は前部パネル116に結合される。ラッチ機構110はファスナ128を介して前部パネル116に接続され、それによってラッチ機構110は前部パネル116に対しラッチ機構110のスロット130内で摺動可能である。この固有の蓋ラッチ式により、片手による操作が可能である。タブ124および126を摘むか押圧して寄せることによって蓋80が係合解除され、蓋80は回動開蓋可能とされ、且つ所望の場合には、蓋80を横に摺動させ、それによってヒンジ受け94をヒンジポスト92から解放することにより取外し可能である。爪134は、蓋80を上向き回動させ、蓋80のラッチ解放時に蓋を取り外すのに使用できる。引出し76は、蓋80を閉じた状態、開いた状態或いは完全に取り外した状態で開閉可能である。
【0039】
リブ132は、多重容器72の確実な位置付け、および積重と収まりの感知を可能にさせる。リブ132により、容器72同士は保管、洗浄および/または滅菌のために直列積重可能とされ、且つ/或いは外科用ほかに使用時に、引出し76を開いたときには、段違い積重して傾倒防止することが可能である。
【0040】
以上に本発明を好ましい設計のものについて説明したが、本発明はこの開示の理念と保護範囲内において更に変更することが可能である。本願は、したがって、本発明の普遍的原理を使用するいずれの変形、利用、もしくは改変にも適用されるものである。更に、本願は、本願の開示から隔たるとしても本願の関わる技術分野で知られ或いは慣行とされる範囲に属し且つ付属の請求範囲の制限内に属するものにも適用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の多段滅菌システムの実施形態の、3つの積重容器を含む斜視図である。
【図2】図1の多段滅菌容器の側面図である。
【図3】図2の3−3線切欠断面図である。
【図4】図1の4−4線断面部分切欠側面図である。
【図5】多重トレーを有する積重可能な滅菌容器の別の実施形態の斜視図である。
【図6】積重可能な滅菌容器の別の実施形態の斜視図である。
【図7】図6の滅菌容器の直列積重を示す滅菌容器アセンブリの別実施形態の側面図、および滅菌容器から取り外した蓋の斜視図である。
【図8】図6の滅菌容器の後部隅の一部分解切欠図で、蓋の滅菌容器からの容易な取外しを可能とする取出しヒンジを示す図である。
【図9】図6の滅菌容器の側面の切欠斜視図で、引出しラッチ機構を特に示す図である。
【図10】図6の滅菌容器の引出しの側面の切欠斜視図で、引出しラッチ機構、および特に、引出しラッチ機構の弾性レバーを示す図である。
【図11】図6の滅菌容器の基部(エンドキャップ)の側面の切欠斜視図で、引出しラッチ機構、および特に、図10の引出しラッチ機構に対応する引出しラッチ機構の錠止ブラケットを示す図である。
【図12】図6の滅菌容器の引出しおよび蓋の前部の一部分解切欠図で、蓋ラッチ機構を特に示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、滅菌容器に関し、より具体的には、整形外科用器械滅菌容器に関する。
【背景技術】
【0002】
滅菌容器は、外科用器械および器具の編成、保管および滅菌機能を与えるものとして知られる。そのような器械が使用される患者への感染を回避するため、同器械は医術処置後、および使用前に洗浄し且つ滅菌しなければならない。
【0003】
外科的処置は、予め選択された外科器械の「セット」を使用して整然と遂行され、各セットは、経験から確立され且つ所定の外科的処置において有用とされる設計の器械の集まりとされる。特定の処置において使用されることが予想される外科器械は、仕分けされてセットを形成し、セットとして、滅菌され、皿状器具もしくはトレーに保管され、且つ最後に、その使用が必要とされるときに皿状器具もしくはトレーに載せて手術室に運ばれる。複雑な処置は、一般的に多数の器械を伴う。したがって、一般に、所要の外科器械をすべて収容するには数個の器械トレーが必要とされよう。したがって、滅菌容器は、外科的処置が多くは既定の手順で進行するにつれトレーにアクセス可能とするように器械がトレーに配置された複数のトレーを収容するように設計されることが多い。
【0004】
洗浄処置の例としては、器械を、まず水および多分は溶剤を入れたタンク内に置き、超音波を掛けて流体を攪拌することにより、前回の使用から器械に残っているバイオマター等、破片を洗い落とす。器械は次いで何らかの方法で滅菌され、手動器械に着いた微生物、ウイルスもしくは他の汚染物を破壊する。2つの滅菌方法は、器械が例えば少なくとも摂氏185度(華氏365度)の高温で一定時間加熱される乾熱の使用、もしくはオートクレーブシステムにおける加圧蒸気の使用を含む。蒸気オートクレーブシステムを使用して滅菌する時間は、熱と圧力および器械が包装されているか否かによる。幾つかの滅菌工程においては、手動器械に化学物質が、超音波バスと加熱処理の間の中間段階として、適用される。第3の滅菌方法は化学的オートクレーブとされ、これにおいては様々な気体の調節された雰囲気が、ときには熱および湿気と共に、使用されて、密封滅菌包装内に保持された器械を滅菌する。照射も、器械の滅菌に使用することが可能である。器械が滅菌容器内にある状態では、滅菌ラップで容器を被覆することによって、滅菌後の容器内の滅菌範囲を維持することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
股関節もしくは膝関節置換のような大手術には、器械の多重容器およびトレーを必要とする大型器械がある。引出し式に構成された多重トレーを有する滅菌システムが知られているが、器械にアクセスするためにトレーを引き出したときに、重心が前方に移動することによってシステムが不安定となり前に傾く可能性がある。前方に回動してそのような滅菌容器を安定させる補強材が知られている。そのような補強材は、安定化状態時には、手術室内のテーブル上における滅菌容器のフットプリントを増す。
【0006】
当技術分野で必要とされているのは、器械にアクセス時に不安定にならず、大型および複雑な器械セットを収容可能な、且つ滅菌容器フットプリントを極小化し同時に器械へのアクセスを極大化する、容易に構成可能な滅菌システムである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、外科用器械および器具を滅菌、編成、収納および運搬するための、多段、段違いおよび/または直列積重式、自己充足且つ自立型の器械容器として構成可能な滅菌容器を提供する。
【0008】
本発明は、その1つの形式においては、第1滅菌容器および第2滅菌容器を有する複数の滅菌容器を含む滅菌容器アセンブリを備える。第2滅菌容器は第1滅菌容器上に垂直方向に積重される。第2滅菌容器は、第1滅菌容器から垂直方向に対して横方向に段違いとされる。
【0009】
本発明は、その別の形式においては、第1滅菌容器および第2滅菌容器を有する複数の滅菌容器を含む滅菌容器アセンブリを備える。第2滅菌容器は第1滅菌容器上に垂直方向に積重される。第2滅菌容器は第1滅菌容器から垂直方向に対して横方向に段違いにも、第1滅菌容器から垂直方向に対して横方向に直列積重もするように構成される。
【0010】
本発明は、また別の形式においては、第1の蓋を有する第1滅菌容器と、第2の蓋を有する第2滅菌容器とを有する複数の滅菌容器を含む滅菌容器アセンブリを備える。第2滅菌容器は第1滅菌容器上に垂直方向に積重される。第1滅菌容器および第2滅菌容器の両方が、第1の蓋および第2の蓋の少なくとも一方と共に積重されるように、または、第1の蓋および第2の蓋の少なくとも一方の無い状態でも積重されるように構成される。
【0011】
本発明は、なお別の形式においては、ラッチ機構を有する引出しを含む滅菌容器を備える。蓋は引出しに接続される。蓋は、蓋が閉じた状態のときも引出しが閉じた状態のときもラッチ機構を受けるラッチ受けを有する。
【0012】
本発明は、また別の形式においては、内面輪郭を有する少なくとも1つのエンドキャップを含む滅菌容器を備える。少なくとも1つの内面輪郭は錠止ブラケットを有する。引出しがエンドキャップに摺動可能に接続される。引出しは、穴付きの少なくとも1つの弾性レバーを含む。少なくとも1つの錠止ブラケットは、引出しが閉じた状態のときに、対応する穴内に受けられる。
【0013】
本発明の長所は、器械にアクセス時に不安定にならない滅菌システムを容易に構成可能とすることにある。
本発明の別の長所は、大型且つ複雑な器械セットを収容可能とし、且つ滅菌システム・フットプリントを極小化すると同時に器械へのアクセスを極大化する滅菌システムにある。
【0014】
本発明のまた別の長所は、個々の容器の段違い積重の作用により、器械にアクセス時に容器の傾倒を防止するように重心が移動することにある。
本発明の更に別の長所は、トレーを引出しから取外し可能とする摺動可能なモジュール式装着法にある。
【0015】
本発明のまた別の長所は、4重から6重の滅菌トレーを垂直に積重し、なお従前より少数のトレーにより使用されたのと同じスペースを必要/占有するのみとされることにある。
【0016】
本発明の更に別の長所は、手術室において滅菌容器およびトレーのために要するスペースの量が減少することにある。
本発明のまた別の長所は、各個トレーの器械の確実なモジュール式配置が可能であることにより、器械の編成、提示、アクセスおよび展開が向上されることにある。
【0017】
本発明の実施形態の更に別の長所は、開いた状態で錠止する蝶着前面カバーにより、一段と安定化され傾倒防止されることにある。
本発明のまた別の長所は、滅菌容器は直列にも段違いにも積重可能であることにある。
【0018】
本発明の更に別の長所は、滅菌容器はその対応する蓋付きでも無しでも積重可能であることにある。
本発明のまた別の長所は、滅菌容器の蓋および引出しとも確実に掛止され、適切なときにはそれぞれしっかりと閉じられることにある。
【0019】
本発明の更に別の長所は、滅菌容器の引出しは蓋を閉じ、開いた、或いは取り外した状態でも確実に掛止されることにある。
本発明のまた別の長所は、滅菌容器は手術に使用のために段違い積重して引出しの開いたときに傾倒を防止し、次いで保管、洗浄および/または滅菌のために直列積重可能であることにある。
【0020】
本発明の長所に関する上述および他の特徴、並びにそれを達成する方法は、本発明の実施形態に関する以下の説明を添付の図面と共に参照することによって、一層明らかになり且つよりよく理解されよう。
【0021】
幾つかの図を通して対応する参照符号は、対応する部分を示す。本明細書に示す例示は本発明の1つの好ましい実施形態の1つの形式を表し、そのような例示は本発明の保護範囲を制限するものと解してはならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図面に関して、とりわけ図1に積重滅菌容器アセンブリもしくはシステム10を示し、これに概ね複数の滅菌容器12を、尚図示の実施形態においては、具体的に3つの滅菌容器12を含む。各滅菌容器12は、容器内に少なくとも1つの引出し14を含み、該引出しは摺動機構16を使用して滅菌容器12に取り付けられる。各滅菌容器12は、図示のように回動開蓋可能な蓋18を含む。詳細には後述するように、所定の滅菌容器12について引出し14もしくは蓋18の一方のみを開くことが可能である。トレーは、同トレーの両側に位置付け可能な少なくとも1つの把手20を使用して相互係合される。少なくとも1つの滅菌容器12は、別の滅菌容器12から図示のように垂直方向に対して横方向に、前方方向から後方方向に段違いとされる。
【0023】
図2は、段違い積重特徴によって背面側テーブルスペースが保たれ、且つ引出し出し入れ時の傾倒防止に役立つことを示す。図示のように、蓋18は回動可能であり、一方引出し14は並進動可能である。
【0024】
人間工学的な把手握持部22は、手触りを柔らか且つ快適とすることができる。把手支持材24の固有形状によって、把手を容器上部に寝せること、或いは立ち上げて閉じた容器システムから適切に取り外すことができる。弾性の把手握持部22は、手のひらで平坦に転動して持ち上げるのに都合よく、エンドキャップ26中央内に転入し、積重容器を共に錠止する。
【0025】
セーフティ・キャッチ28により、滅菌容器12の上に別の滅菌容器12が積重しない限り、引出し14は開かない。積重の1つの容器もしくは最上段の容器の中身には、蓋18を開くことによってアクセスできる。セーフティ・キャッチ28により、別の滅菌容器12が積重した滅菌容器12内の引出しがセーフティ・キャッチ28を作動時に解放可能である。ラッチ29は、蓋18および引出し14を相互係合させ、滅菌容器12の背後側に(引出し前面から離隔して)摺動時に、セーフティ・キャッチ28の状態および別の容器が蓋18上にあるかどうかにより、引出し14もしくは蓋18の一方が開く。
【0026】
本発明により、下方積重容器の引出し14、または個別容器もしくは積重の最上段容器の蓋18を僅かに開く補助ばね30を含むことができる。補助ばね30は引出し14用を示し、蓋用の補助ばね30も図示のものに同様とし得るが、蓋18を作動させるために異なる位置に付けられる。補助ばね30は、他のばねタイプ(コイルばねほか)、ゴム製品および圧縮性液体を納めた可撓性容器等、様々な弾性部材とすることが可能である。補助ばね30は、引出し14および蓋18を容易に開けることができるようにする。引出し14は、そのリムおよびドロップインとしての金属製インサートによってプラスチックトレーを保持可能とし、そのようなトレーおよびインサートによって器械のセットを保持する(いずれも図示せず)。
【0027】
滅菌容器12のサイズおよび形状は、包装および容器に使いやすく且つ弾性の担持把手20およびエンドパネル26の窪んだ担持ポケット32を特徴として備える。丸みを付けた隅34は、鋭角の隅より滅菌包装に穴を開けるおそれが少ない。
【0028】
取出しヒンジ36によって、アクセスもしくは洗浄目的のための蓋の取外しが可能である。エンドパネル26は、アルミニウム、チタンもしくは他の適切な金属から鋳造、或いはRadel、PEEKもしくは他の適切なプラスチックまたは材料から射出成形が可能である。
【0029】
摺動機構16は、ステンレススチールもしくは他の適切な材料製とし、対毎に約18.12kg(40ポンド)を保持するように構成されるが、滅菌システム10の予想される使用に基づいた別の荷重担持容量も考えられる。引出し前面38は、アルミニウムから引抜き加工、もしくはRadelから真空成形、もしくは他の適切な材料製とすることが可能である。引出し底部が広く高度に穴開けされた設計とし、上部からもしくは開いた引出しを介する中身へのアクセスを可能とすることにより、卓越した洗浄可能性および滅菌および中身への安全なアクセスが保証される。
【0030】
滅菌容器12の上部、もしくは蓋18は、少なくとも1つの上部整合要素40を含む。滅菌容器12の底部46は、少なくとも1つの底部整合要素42を含む。少なくとも1つの上部整合要素40は少なくとも1つの底部整合要素42から底部46、或いは閉じたときの蓋18と平行な方向にずらされる。例えば、滅菌容器12は対向し合う側部、即ち底部46に結合された第1側部48および第2側部50を含む。少なくとも1つの底部整合要素42は、少なくとも1つの上部整合要素40より一方の対向する側部に近い。
【0031】
別の実施形態(図5)においては、滅菌容器60は複数の引出し14および蝶着された前面カバー62を含む。蝶着前面カバー62は、ロック式とすることもできる。滅菌容器60は、滅菌容器12と同様に段違い積重可能である。他の特徴は既に述べたものと同様であり、同じ参照符号を付してある。滅菌容器60は股関節もしくは膝関節置換手術用に、一方滅菌容器12は脊椎もしくは体肢手術用により適切とされよう。
【0032】
使用時には、第2滅菌容器12は第1滅菌容器12の上に垂直方向に積重され、且つ同時に第2滅菌容器12は第1滅菌容器12から垂直方向に対して横方向に段違いとされる。第2滅菌容器12は、把手20および対応する窪み付きポケット32を使用して相互係合可能である。
【0033】
次いで図6から12に関し、且つとりわけ図6および7に積重滅菌容器アセンブリもしくはシステム70を示し、これに概ね複数の滅菌容器72を含む。滅菌容器アセンブリもしくはシステム70および滅菌容器72は、1つまたは複数の外科器械(図示せず)もしくはそのセットもしくはそのトレー、とりわけ整形外科用器械を外科的、洗浄、滅菌もしくは保管環境において収納し、編成し且つ滅菌するのに全体として使用することが可能である。滅菌容器アセンブリもしくはシステム70および滅菌容器72は、上述し且つ図1から5に示した諸要素を概ね含むことが可能であり、また図1から5に示すように段違い積重されるのに加えて、滅菌容器アセンブリ70および滅菌容器72は、図7に示すように垂直方向に対して横方向に直列積重可能である。
【0034】
滅菌容器72は基部74、および同内に少なくとも1つの引出し76を含み、該引出しは摺動機構78を使用して基部74に取り付けられる。滅菌容器12は、回動開蓋可能、且つ更に取外し可能な蓋80を含む。したがって、滅菌容器12は、全ての対応する蓋80をそれぞれの滅菌容器12に設置した状態、或いは、いずれかまたは全ての蓋80をそれぞれの滅菌容器12から取り外した状態で、段違いまたは直列積重可能である。滅菌容器12は把手82を含み、滅菌容器12を上述のように段違い積重時にそれらを相互係合させるのに使用可能であるが、しかしそれらを直列積重時には、誤用を防止するため、把手は滅菌容器12同士を相互係合させない。滅菌容器12は、少なくとも1つの別の滅菌容器12と段違いにも直列にも垂直方向に対して横方向に積重するように構成される。
【0035】
基部74は、概ね背部84、エンドキャップ86および底部88を含む。背部84は、蓋80の取出しヒンジ90の少なくとも1つのヒンジポスト92を含み、蓋80の対応するヒンジ受け94と適合する2つのヒンジポスト92を概ね含む。背部84はまた、引出し76を付勢するのに使用可能な弾性部材96を含み、それによって引出し76は錠止解放時に僅かに開く。各エンドキャップ86は、対応する摺動機構78の基部レール98に結合される。エンドキャップ86は、錠止ブラケット104を伴う内側輪郭もしくは内面102を含む。把手82は、エンドキャップ86のそれぞれに取付け可能である。把手82は、予備成形されたワイヤもしくは支持材を中心に嵌合する2つの半体の射出成形により製作できる。把手82は、容器72を段違い積重時に容器72を持上げ/取扱いおよび錠止するための人間工学的設計を提示する。
【0036】
引出し76は、摺動機構78を介して引出し76の側部がエンドキャップ86に摺動可能に接続され、特に、引出し76は摺動機構78の引出しレール100に接続する。引出し76の少なくとも一方の側部には、穴108付きの弾性レバー106が含まれる。引出し76ラッチ機構は、主に少なくとも1つの錠止ブラケット104を含み、同ブラケットは引出し76が閉じた状態のときに対応する穴108内に受けられる。引出しラッチは、したがって単動式であり、容器72の両側に示す。弾性レバー106を親指もしくは他の付属物により押し下げることにより、弾性レバー106は錠止ブラケット104から解放され、それによって引出し76は前方に移動可能となり、その移動は弾性部材96によって助勢可能となる。
【0037】
摺動機構78の2つのレール98、100は、例えば、ステンレススチールボール軸受付き且つ滅菌および洗浄用蒸気穴を付加した無潤滑のアルミニウム製とすることができる。
【0038】
蓋ラッチ機構は、引出し76のラッチ機構110および蓋80の少なくとも1つのラッチ受け112を含む。ラッチ機構110は、蓋80および引出し76が共に閉じた状態のときにラッチ受け112内に受けられる。更に特段に、引出し76は前部パネル116付きの引出し前面114を含む。ラッチ機構110は、前部パネル116に摺動可能に接続される。少なくとも1つの弾性部材118により、ラッチ機構110は前部パネル116に対して閉じた状態に付勢される。図示の実施形態においては、ラッチ機構110は前部パネル116にほぼ平行な方向に摺動可能である。ラッチ受け112は、少なくとも1つの溝状棚部120を含む。ラッチ機構110は、その摺動方向に対して横向き状態とされ且つ蓋80および引出し76が共に閉じた状態のときに対応する溝状棚部内に受けられる少なくとも1つの係止部112を含む。ラッチ機構タブ124はラッチ機構110に結合され、前部パネルタブ126は前部パネル116に結合される。ラッチ機構110はファスナ128を介して前部パネル116に接続され、それによってラッチ機構110は前部パネル116に対しラッチ機構110のスロット130内で摺動可能である。この固有の蓋ラッチ式により、片手による操作が可能である。タブ124および126を摘むか押圧して寄せることによって蓋80が係合解除され、蓋80は回動開蓋可能とされ、且つ所望の場合には、蓋80を横に摺動させ、それによってヒンジ受け94をヒンジポスト92から解放することにより取外し可能である。爪134は、蓋80を上向き回動させ、蓋80のラッチ解放時に蓋を取り外すのに使用できる。引出し76は、蓋80を閉じた状態、開いた状態或いは完全に取り外した状態で開閉可能である。
【0039】
リブ132は、多重容器72の確実な位置付け、および積重と収まりの感知を可能にさせる。リブ132により、容器72同士は保管、洗浄および/または滅菌のために直列積重可能とされ、且つ/或いは外科用ほかに使用時に、引出し76を開いたときには、段違い積重して傾倒防止することが可能である。
【0040】
以上に本発明を好ましい設計のものについて説明したが、本発明はこの開示の理念と保護範囲内において更に変更することが可能である。本願は、したがって、本発明の普遍的原理を使用するいずれの変形、利用、もしくは改変にも適用されるものである。更に、本願は、本願の開示から隔たるとしても本願の関わる技術分野で知られ或いは慣行とされる範囲に属し且つ付属の請求範囲の制限内に属するものにも適用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の多段滅菌システムの実施形態の、3つの積重容器を含む斜視図である。
【図2】図1の多段滅菌容器の側面図である。
【図3】図2の3−3線切欠断面図である。
【図4】図1の4−4線断面部分切欠側面図である。
【図5】多重トレーを有する積重可能な滅菌容器の別の実施形態の斜視図である。
【図6】積重可能な滅菌容器の別の実施形態の斜視図である。
【図7】図6の滅菌容器の直列積重を示す滅菌容器アセンブリの別実施形態の側面図、および滅菌容器から取り外した蓋の斜視図である。
【図8】図6の滅菌容器の後部隅の一部分解切欠図で、蓋の滅菌容器からの容易な取外しを可能とする取出しヒンジを示す図である。
【図9】図6の滅菌容器の側面の切欠斜視図で、引出しラッチ機構を特に示す図である。
【図10】図6の滅菌容器の引出しの側面の切欠斜視図で、引出しラッチ機構、および特に、引出しラッチ機構の弾性レバーを示す図である。
【図11】図6の滅菌容器の基部(エンドキャップ)の側面の切欠斜視図で、引出しラッチ機構、および特に、図10の引出しラッチ機構に対応する引出しラッチ機構の錠止ブラケットを示す図である。
【図12】図6の滅菌容器の引出しおよび蓋の前部の一部分解切欠図で、蓋ラッチ機構を特に示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
滅菌容器アセンブリであって、前記滅菌容器アセンブリは、第1滅菌容器と第2滅菌容器とを含む複数の滅菌容器を備え、前記第2滅菌容器は前記第1滅菌容器上に垂直方向に積重され、前記第2滅菌容器は前記第1滅菌容器から前記垂直方向に対して横方向に段違い積重し且つ前記第1滅菌容器から前記垂直方向に対して横方向に直列積重するように構成される、滅菌容器アセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の滅菌容器アセンブリであって、前記第2滅菌容器は、前記第1滅菌容器から前方から後方方向に段違いとされる、滅菌容器アセンブリ。
【請求項3】
請求項1に記載の滅菌容器アセンブリであって、少なくとも1つの前記容器は、複数の引出しを含む、滅菌容器アセンブリ。
【請求項4】
請求項3に記載の滅菌容器アセンブリであって、前記複数の引出しの少なくとも1つは、蝶着前面カバーを有する、滅菌容器アセンブリ。
【請求項5】
請求項1に記載の滅菌容器アセンブリであって、前記第1滅菌容器および前記第2滅菌容器の少なくとも一方は、蝶着蓋を含む、滅菌容器アセンブリ。
【請求項6】
請求項5に記載の滅菌容器アセンブリであって、前記蓋は取外し可能である、滅菌容器アセンブリ。
【請求項7】
滅菌容器アセンブリであって、前記滅菌容器アセンブリは、第1の蓋を有する第1滅菌容器と、第2の蓋を有する第2滅菌容器とを含む複数の滅菌容器を備え、前記第2滅菌容器は前記第1滅菌容器上に垂直方向に積重され、前記第1滅菌容器および前記第2滅菌容器の両方は、前記第1の蓋および前記第2の蓋の少なくとも一方とともに積重されるように、または前記第1の蓋および前記第2の蓋の少なくとも一方が無い状態で積重されるように構成される、滅菌容器アセンブリ。
【請求項8】
請求項7に記載の滅菌容器アセンブリであって、前記第1滅菌容器および前記第1の蓋の双方に接続された第1ヒンジと、前記第2滅菌容器および前記第2の蓋の双方に接続された第2ヒンジとを更に含み、前記第1ヒンジおよび前記第2ヒンジのそれぞれは対応する前記蓋の対応する前記滅菌容器からの取外しを可能とする、滅菌容器アセンブリ。
【請求項9】
滅菌容器であって、
ラッチ機構を有する引出しと、
前記引出しに接続された蓋であって、前記蓋は、同蓋が閉じた状態のときも前記引出しが閉じた状態のときも前記ラッチ機構を受けるラッチ受けを有する蓋とを備える、滅菌容器。
【請求項10】
請求項9に記載の滅菌容器であって、前記引出しは前部パネル付きの引出し前面を含み、前記ラッチ機構は前記前部パネルに摺動可能に接続される、滅菌容器。
【請求項11】
請求項10に記載の滅菌容器であって、前記ラッチ機構を前記前部パネルに対して付勢する弾性部材を更に含む、滅菌容器。
【請求項12】
請求項10に記載の滅菌容器であって、前記ラッチ機構は、前記前部パネルにほぼ平行な方向に摺動可能とされる、滅菌容器。
【請求項13】
請求項12に記載の滅菌容器であって、前記ラッチ受けは、少なくとも1つの溝状棚部を含む、滅菌容器。
【請求項14】
請求項13に記載の滅菌容器であって、前記ラッチ機構は、前記方向に対して横方向に位置付けされ且つ前記蓋が閉じた状態のときも前記引出しが閉じた状態のときも対応する前記少なくとも1つの溝状棚部内に受けられる少なくとも1つの係止部を含む、滅菌容器。
【請求項15】
請求項9に記載の滅菌容器であって、前記引出しは、前記滅菌容器に摺動可能に接続される、滅菌容器。
【請求項16】
請求項15に記載の滅菌容器であって、前記引出しは、無潤滑の摺動レールによって前記滅菌容器に摺動可能に接続される、滅菌容器。
【請求項17】
請求項9に記載の滅菌容器であって、前記蓋は、前記滅菌容器に回動可能に接続される、滅菌容器。
【請求項18】
滅菌容器であって、前記滅菌容器は、
錠止ブラケットを含む内面を有する少なくとも1つのエンドキャップと、
前記エンドキャップに摺動可能に接続される引出しであって、前記引出しが穴を有する少なくとも1つのレバーを含み、少なくとも1つの前記錠止ブラケットは、前記引出しが閉じた状態のときに、対応する前記穴内に受けられる引出しとを備える、滅菌容器。
【請求項19】
請求項18に記載の滅菌容器であって、前記少なくとも1つのレバーは、少なくとも1つの弾性レバーとされる、滅菌容器。
【請求項20】
請求項18に記載の滅菌容器であって、前記引出しは少なくとも1つのエンドパネルを含み、前記少なくとも1つのレバーは前記少なくとも1つのエンドパネルに位置する、滅菌容器。
【請求項21】
滅菌容器アセンブリを使用する方法であって、
第1滅菌容器および第2滅菌容器を、外科的環境において、前記第2滅菌容器を前記第1滅菌容器上に垂直方向に積重させるように積重するステップと、
前記第2滅菌容器を、前記垂直方向に対して横方向に、前記第1滅菌容器から段違いにするステップと、
前記第2滅菌容器が前記第1滅菌容器に前記垂直方向に対して前記横方向に直列となるように前記第2滅菌容器を前記第1滅菌容器に対して積み直すことにより、前記外科的環境における使用後に前記第2滅菌容器および前記第1滅菌容器を保管するステップとを包含する方法。
【請求項1】
滅菌容器アセンブリであって、前記滅菌容器アセンブリは、第1滅菌容器と第2滅菌容器とを含む複数の滅菌容器を備え、前記第2滅菌容器は前記第1滅菌容器上に垂直方向に積重され、前記第2滅菌容器は前記第1滅菌容器から前記垂直方向に対して横方向に段違い積重し且つ前記第1滅菌容器から前記垂直方向に対して横方向に直列積重するように構成される、滅菌容器アセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の滅菌容器アセンブリであって、前記第2滅菌容器は、前記第1滅菌容器から前方から後方方向に段違いとされる、滅菌容器アセンブリ。
【請求項3】
請求項1に記載の滅菌容器アセンブリであって、少なくとも1つの前記容器は、複数の引出しを含む、滅菌容器アセンブリ。
【請求項4】
請求項3に記載の滅菌容器アセンブリであって、前記複数の引出しの少なくとも1つは、蝶着前面カバーを有する、滅菌容器アセンブリ。
【請求項5】
請求項1に記載の滅菌容器アセンブリであって、前記第1滅菌容器および前記第2滅菌容器の少なくとも一方は、蝶着蓋を含む、滅菌容器アセンブリ。
【請求項6】
請求項5に記載の滅菌容器アセンブリであって、前記蓋は取外し可能である、滅菌容器アセンブリ。
【請求項7】
滅菌容器アセンブリであって、前記滅菌容器アセンブリは、第1の蓋を有する第1滅菌容器と、第2の蓋を有する第2滅菌容器とを含む複数の滅菌容器を備え、前記第2滅菌容器は前記第1滅菌容器上に垂直方向に積重され、前記第1滅菌容器および前記第2滅菌容器の両方は、前記第1の蓋および前記第2の蓋の少なくとも一方とともに積重されるように、または前記第1の蓋および前記第2の蓋の少なくとも一方が無い状態で積重されるように構成される、滅菌容器アセンブリ。
【請求項8】
請求項7に記載の滅菌容器アセンブリであって、前記第1滅菌容器および前記第1の蓋の双方に接続された第1ヒンジと、前記第2滅菌容器および前記第2の蓋の双方に接続された第2ヒンジとを更に含み、前記第1ヒンジおよび前記第2ヒンジのそれぞれは対応する前記蓋の対応する前記滅菌容器からの取外しを可能とする、滅菌容器アセンブリ。
【請求項9】
滅菌容器であって、
ラッチ機構を有する引出しと、
前記引出しに接続された蓋であって、前記蓋は、同蓋が閉じた状態のときも前記引出しが閉じた状態のときも前記ラッチ機構を受けるラッチ受けを有する蓋とを備える、滅菌容器。
【請求項10】
請求項9に記載の滅菌容器であって、前記引出しは前部パネル付きの引出し前面を含み、前記ラッチ機構は前記前部パネルに摺動可能に接続される、滅菌容器。
【請求項11】
請求項10に記載の滅菌容器であって、前記ラッチ機構を前記前部パネルに対して付勢する弾性部材を更に含む、滅菌容器。
【請求項12】
請求項10に記載の滅菌容器であって、前記ラッチ機構は、前記前部パネルにほぼ平行な方向に摺動可能とされる、滅菌容器。
【請求項13】
請求項12に記載の滅菌容器であって、前記ラッチ受けは、少なくとも1つの溝状棚部を含む、滅菌容器。
【請求項14】
請求項13に記載の滅菌容器であって、前記ラッチ機構は、前記方向に対して横方向に位置付けされ且つ前記蓋が閉じた状態のときも前記引出しが閉じた状態のときも対応する前記少なくとも1つの溝状棚部内に受けられる少なくとも1つの係止部を含む、滅菌容器。
【請求項15】
請求項9に記載の滅菌容器であって、前記引出しは、前記滅菌容器に摺動可能に接続される、滅菌容器。
【請求項16】
請求項15に記載の滅菌容器であって、前記引出しは、無潤滑の摺動レールによって前記滅菌容器に摺動可能に接続される、滅菌容器。
【請求項17】
請求項9に記載の滅菌容器であって、前記蓋は、前記滅菌容器に回動可能に接続される、滅菌容器。
【請求項18】
滅菌容器であって、前記滅菌容器は、
錠止ブラケットを含む内面を有する少なくとも1つのエンドキャップと、
前記エンドキャップに摺動可能に接続される引出しであって、前記引出しが穴を有する少なくとも1つのレバーを含み、少なくとも1つの前記錠止ブラケットは、前記引出しが閉じた状態のときに、対応する前記穴内に受けられる引出しとを備える、滅菌容器。
【請求項19】
請求項18に記載の滅菌容器であって、前記少なくとも1つのレバーは、少なくとも1つの弾性レバーとされる、滅菌容器。
【請求項20】
請求項18に記載の滅菌容器であって、前記引出しは少なくとも1つのエンドパネルを含み、前記少なくとも1つのレバーは前記少なくとも1つのエンドパネルに位置する、滅菌容器。
【請求項21】
滅菌容器アセンブリを使用する方法であって、
第1滅菌容器および第2滅菌容器を、外科的環境において、前記第2滅菌容器を前記第1滅菌容器上に垂直方向に積重させるように積重するステップと、
前記第2滅菌容器を、前記垂直方向に対して横方向に、前記第1滅菌容器から段違いにするステップと、
前記第2滅菌容器が前記第1滅菌容器に前記垂直方向に対して前記横方向に直列となるように前記第2滅菌容器を前記第1滅菌容器に対して積み直すことにより、前記外科的環境における使用後に前記第2滅菌容器および前記第1滅菌容器を保管するステップとを包含する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2008−543364(P2008−543364A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515694(P2008−515694)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/014435
【国際公開番号】WO2006/135487
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(504035353)シンメトリー・メディカル・インコーポレーテッド (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/014435
【国際公開番号】WO2006/135487
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(504035353)シンメトリー・メディカル・インコーポレーテッド (6)
【Fターム(参考)】
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