説明

整理券発行機

【目的】情報媒体としての整理券の有効利用を図った整理券発行機を提供する。
【構成】
本発明による整理券発行機は、受付順を示す順番情報を表示する整理券を受付毎に発行する整理券発行機であり、前記受付毎に選択操作される少なくとも1つの受付選択部と、少なくとも1つの広告データ片を保持する広告データ保持手段と、前記受付選択部の選択操作に応じて、前記順番情報の表示と共に前記広告データ片を前記整理券に印字する広告データ印字手段とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行等の受付窓口で客の受付順を約束したことを示す整理券を発行する整理券発行機に関する。
【背景技術】
【0002】
整理券発行機は、受付窓口や施設入場口において人の順番待ちの混乱を避けるために広く用いられている。整理券は、通常、発行毎に受付順番を表す番号が付される。整理券の発行を受けた人は、この整理券を持って通常しばらくの間は待ち続け、番号の呼び出しに応じて順次、受付窓口や施設入場口に赴くことになる。
【0003】
ところで、銀行ATMによる現金出納において画面又は通帳に広告を表示する形態(特許文献1参照)のように、人に情報を伝達する情報媒体において主目的となる情報と共に、該情報媒体の余白を利用して他の情報を人に伝えることで情報媒体の有効利用を行う試みがなされている。
【特許文献1】特開平11−283080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来、整理券発行機の整理券においては、かかる情報媒体の有効利用がなされていなかった。本発明の目的は、情報媒体としての整理券の有効利用を図った整理券発行機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による整理券発行機は、受付順を示す順番情報を表示する整理券を受付毎に発行する整理券発行機であり、前記受付毎に選択操作される少なくとも1つの受付選択部と、少なくとも1つの広告データ片を保持する広告データ保持手段と、前記受付選択部の選択操作に応じて、前記順番情報の表示と共に前記広告データ片を前記整理券に印字する広告データ印字手段とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明による整理券発行機によれば、受付順を示す順番情報の表示に併せて客の目的とする取引に応じた広告を印字した整理券を受付毎に人に提供し得る構成が与えられる。これにより、整理券発行機により発行される整理券の有効利用を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の実施例について添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0008】
図1は、本発明の実施例を示し、整理券発行機の外形を示している。本実施例は、銀行で行われる整理券発行に際して金融商品広告印字を行う例を説明する。
【0009】
整理券発行機10の外形は、各取引に対応する複数のボタン11a〜11cを表示したタッチパネル状の入力部11を備え、客が前記ボタンに触れることにより、当該ボタンがOFF状態からON状態となり、それによって客の所望の取引を受付け、整理券30がその吐出口から外部に吐出するようになっている。なお、前記ボタンは押し下げ操作により電気的にON/OFFスイッチするスイッチであってもよい。複数のボタン11a〜11cは、各々が1つの受付選択部として3つの受付選択部を構成し、「ご新規窓口」、「お預け・お支払窓口」及び「ご融資窓口」の如く3つの窓口識別に対応している。好ましくは、整理券発行機10の表面パネル上で複数のボタン11a〜11cの各々のボタン面上又はその近傍に「ご新規窓口」、「お預け・お支払窓口」及び「ご融資窓口」の如く窓口識別を表示する。銀行に来店した客は、その目的に従った窓口を選び、複数のボタン11a〜11cの何れかに触れることにより選択操作を行い、受付をなす。整理券発行機10は、通常、スタンドアロン型において設置され得るが、銀行等における業務システムとのインタフェースを持つオンライン端末として設置されても良い。整理券発行機10をオンライン端末とすることにより、後述する広告データの登録及び更新を外部の業務システムからの遠隔処理により行うことも可能である。
【0010】
図2は、整理券発行機の構成を示している。整理券発行機10は、入力部11と、制御部12と、印字部13と、カウンタ14と、データ部20とから構成される。入力部11は、図1に示された複数のボタン11a〜11cからなり、その各々からのON状態及び何れのボタン選択操作であるかを示す窓口識別情報を含む検知信号を制御部12に出力する機能を有する。カウンタ14は、読み出し毎に1ずつインクリメントされる番号(例えば、1〜999の繰り返し)を保持するカウンタである。制御部12は、入力部11からの検知信号に応じて、カウンタ14から番号を読み込むと共に、データ部20から当該窓口識別に対応するデータセット21〜23の何れかの広告データを読み込み、これを該番号と共に整理券に印字するように印字部13に対して印字指令を行う機能を有する。印字部13は、該指令に応じて、番号及び該広告データを印字して外部に出力する機能を有する。
【0011】
データ部20は、広告データの保持手段を提供し、ハードディスク等の記憶装置により実現される。データ部20は、3つの窓口識別に対応して「新規」データセット21、「お預け・お支払」データセット22及び「融資」データセット23の3つのデータセットに区分される。各データセット21〜23は、複数の広告データから構成される。各広告データは、各窓口識別すなわち取引内容に対応した内容のものが登録されている。例えば、データセット21は、△△割引券広告データ211と、〇〇コーヒー引換券広告データ212等の複数の広告データからなる。各広告データは、予めデータ部20に記憶蓄積されるか、整理券発行機10をオンライン端末として接続す外部システムからの遠隔処理により登録又は更新されるようにしても良い。
【0012】
図3は、整理券発行機が実行する処理手順を示している。該処理手順について、図2に示される構成要素を適宜参照して説明する。尚、整理券の広告印字処理のみを記述し、順番情報である番号の印字についての説明は省略して以下説明する。
【0013】
整理券発行機10は、入力部11のボタン選択操作に応じて、発行しようとする整理券の窓口識別を取得する(ステップS1)。次いで、制御部12において、該窓口識別が「ご新規」であるか否かを判定する(ステップS2)。「ご新規」なら、制御部12にて、データ部20にある「ご新規」データセット21の中から乱数を使用した無作為抽出により1つの広告データを抽出し、これを印字部13に出力して整理券の広告欄に印字するように命令する。整理券発行機10は、印字部13により順番情報と共に整理券に該広告データを印字する(ステップS3)。図4Aにおいて、該窓口識別が「ご新規」である場合の整理券30の印字例が参照される。
【0014】
一方、ステップS2において窓口識別が「ご新規」でないと判定されたなら、整理券発行機10は、制御部12において、該窓口情報が「お預け・お支払」であるか否かを判定する(ステップS4)。「お預け・お支払」なら、制御部12にて、データ部20にある「お預り・お支払」データセット22の中から乱数を使用した無作為抽出により1つの広告データを抽出し、これを印字部13に出力して整理券の広告欄に印字するように命令する。整理券発行機10は、印字部13により順番情報と共に整理券に該広告データを印字する(ステップS5)。図4Bにおいて、該窓口識別が「お預り・お支払」である場合の整理券30の印字例が参照される。
【0015】
一方、ステップS4において窓口識別が「お預り・お支払」でないと判定されたなら、整理券発行機10は、制御部12において、該窓口情報が「ご融資」であるか否かを判定する(ステップS6)。「ご融資」なら、制御部12にて、データ部20にある「ご融資」データセット23の中から乱数を使用した無作為抽出により1つの広告データを抽出し、これを印字部13に出力して整理券の広告欄に印字するように命令する。整理券発行機10は、印字部13により順番情報と共に整理券に該広告データを印字する(ステップS7)。図4Cにおいて、該窓口識別が「ご融資」である場合の整理券30の印字例が参照される。
【0016】
以上の実施例において、本発明による整理券発行機は、整理券を発行する際に客が選んだ窓口の窓口識別に合わせた金融商品の広告を印字することができる。整理券を受け取った客は、通常、当該取引を行う窓口から呼び出されるまでこれを手元に置いて待機していることから、印字された広告に目を向ける機会が多いと想定され、本発明の実施により整理券の利用と共に広告効果の高い整理券発行が可能となる。尚、本実施例は、例として3つの窓口識別として広告内容を3つに分ける構成が示されたが、本発明はかかる数に限定されず、窓口識別を4つ以上とする構成も可能である。
【0017】
図5は、本発明の変形例を示し、金融広告以外の広告を整理券に印字した印字例を示している。これは、将来、広告に関する規制が緩和され、金融広告以外の広告を整理券に印字することができるようになると想定されることに基づく。本図の例は、「ご新規」窓口で整理券を発行して貰った場合に、当該整理券を広告主の店舗における割引券や引換券として再利用する形態を示している。このように、広告データには、単純な商品宣伝情報のみならず、客に対して価格割引や商品贈与を提供する特典情報を含ませることができる。本変形例における整理券発行機は、整理券の有効利用の範囲をさらに拡大している。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明による整理券発行機は、銀行等の窓口業務において整理券を発行する形態のみならず、バス等の交通手段の搭乗口等の人の流れを円滑にする要請のある多様な施設で整理券を発行する形態にも適用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例を示し、整理整理券発行機の外形を示す斜視図である。
【図2】整理券発行機の構成を示しているブロック図である。
【図3】整理券発行機が実行する処理手順を示しているフローチャートである。
【図4A】1つの窓口識別に対応する整理券の広告の印字例を示している図である。
【図4B】他の窓口識別に対応する整理券の広告の印字例を示している図である。
【図4C】さらなる他の窓口識別に対応する整理券の広告の印字例を示している図である。
【図5】本発明の変形例を示し、金融広告以外の広告を整理券に印字した印字例を示している図である。
【符号の説明】
【0020】
10 整理券発行機
11 入力部
11a〜11c ボタン
12 制御部
13 印字部
14 カウンタ
20 データ部
21〜23 データセット
30 整理券

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受付順を示す順番情報を表示する整理券を受付毎に発行する整理券発行機であって、
前記受付毎に選択操作される少なくとも1つの受付選択部と、
少なくとも1つの広告データ片を保持する広告データ保持手段と、
前記受付選択部の選択操作に応じて、前記順番情報の表示と共に前記広告データ片を前記整理券に印字する広告データ印字手段と、
を含むことを特徴とする整理券発行機。
【請求項2】
前記受付選択部は複数であり、前記広告データ保持手段は、前記受付選択部の複数の各々に対応して、少なくとも1つの広告データ片からなるデータセットの複数を保持し、前記広告データ印字手段は、前記受付選択部のうちの選択操作された受付選択部に対応するデータセットの中から1つの広告データ片を抽出し、これを前記整理券に印字することを特徴とする請求項1記載の整理券発行機。
【請求項3】
前記広告データ印字手段は、前記データセットの中から無作為に1つの広告データ片を抽出して、これを前記整理券に印字することを特徴とする請求項2記載の整理券発行機。
【請求項4】
前記広告データ保持手段は、外部システムとオンライン接続し、前記外部システムからの入力により前記広告データ片を登録又は更新する手段を更に含むことを特徴とする請求項1記載の整理券発行機。
【請求項5】
前記広告データ片は、広告情報に加えて、特典付与情報を含むことを特徴とする先行する請求項の何れか1記載の整理券発行機。
【請求項6】
前記特典付与情報は、商品割引特典若しくは商品贈与特典であることを特徴とする請求項5記載の整理券発行機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−202073(P2006−202073A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−13535(P2005−13535)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】