整畦機
【課題】給水部材からの水は繊維材からなる水塗布部材を伝って流下し、水塗布部材を伝って流下してくる水は水塗布部材の遊離下部と圧締板体の表面との接触により塗り付けられるように塗布され、少量の水で回転整畦体の表面を好ましい状態に多湿状態に濡らすことができる。
【解決手段】貯水タンク28及び貯水タンク内の水Qを回転整畦体16に供給する放出口部29bをもつ給水部材29を設け、給水部材に放出口部からの水が伝って流下する繊維材Hからなる水塗布部材35を垂下配設し、水塗布部材の遊離下部35aを圧締板体Eの表面に接触させてなる。
【解決手段】貯水タンク28及び貯水タンク内の水Qを回転整畦体16に供給する放出口部29bをもつ給水部材29を設け、給水部材に放出口部からの水が伝って流下する繊維材Hからなる水塗布部材35を垂下配設し、水塗布部材の遊離下部35aを圧締板体Eの表面に接触させてなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば畦の造成作業や修復作業等に用いられる整畦機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の整畦機として、走行機体に連結機構により機枠を連結し、該機枠に旧畦上に土を盛り上げる盛土機構を設け、該盛土機構の進行方向後方位置に畦面を圧接回転により回転整畦可能な回転整畦体からなる整畦機構を設け、回転整畦体に散水ノズルを臨ませて水タンク内の水を回転整畦体に散水する散水手段を備えた構造のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4154545号
【特許文献2】特許第2972527号
【特許文献3】実開平5−21604号
【特許文献4】実開昭52−50916号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来構造の散水手段においては、回転整畦体に散水ノズルを臨ませて水タンク内の水を回転整畦体に直接的にまき散らし散水する構造となっているから、水が多量に外方に飛散して水撒き効率が低下し、回転整畦体の表面を好ましい状態に多湿状態に濡らすには水を大量に消費し易く、好ましい多湿状態が得られないことで、旧畦上の盛土を堅牢に締め付けることができないことがあり、また、回転整畦体の外周面部分に可撓弾性をもつ圧締板体を複数個配設してなる整畦構造の場合には、圧締板体として好ましい可撓弾性を発揮する必要があるため、板厚の厚い圧締板体を選択することに一定の制約があり、好ましい多湿状態が得られないことで、圧接板体の摩耗損傷が激しく起きることがあり、それだけ、整畦作業能率を低下させることがあるという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうちで、請求項1記載の発明は、走行機体に連結機構により機枠を連結し、該機枠に旧畦上に土を盛り上げる盛土機構を設け、該盛土機構の進行方向後方位置に畦面を圧接回転により回転整畦可能な回転整畦体からなる整畦機構を設け、該回転整畦体の外周面部分に可撓弾性をもつ圧締板体を複数個配設してなり、上記機枠に貯水タンク及び該貯水タンク内の水を上記回転整畦体に供給する放出口部をもつ給水部材を設け、該給水部材に該放出口部からの水が伝って流下する繊維材からなる水塗布部材を垂下配設し、該水塗布部材の遊離下部を該圧締板体の表面に接触させてなることを特徴とする整畦機にある。
【0006】
又、請求項2記載の発明は、上記水塗布部材は繊維材を束ねた複数個の繊維束を並べてモップ状に形成されていることを特徴とするものであり、又、請求項3記載の発明は、上記給水部材は管材からなり、該管材の内穴は上記貯水タンクに接続管を介して連通する通水路に形成され、該管材の管壁に上記放出口部を形成してなることを特徴とするものである。
【0007】
又、請求項4記載の発明は、上記回転整畦体の外周面部分に圧締面部を間隔を置いて複数個形成し、該回転整畦体の回転方向前方位置の圧締面部側から隣る後方位置の圧締面部の圧締面に至る可撓弾性をもつ圧締板体を配設し、該水塗布部材の遊離下部を該圧締板体の表面に接触させてなることを特徴とするものであり、又、請求項5記載の発明は、上記回転整畦体は畦の一方側面を整畦可能な側面整畦部及び畦の上面を整畦可能な上面整畦部からなり、該側面整畦部及び上面整畦部の各外周面部分にそれぞれ可撓弾性をもつ圧締板体を複数個配設し、上記水塗布部材の遊離下部を該各圧締板体の表面に接触させてなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、走行機体を旧畦に沿って走行すると一方では盛土ロータが畦際の圃場泥土を旧畦上に連続的に跳ね上げて盛り上げ、他方では整畦機構が駆動され、回転整畦体は回転し、回転整畦体の外周面部分に可撓弾性をもつ圧締板体を配設しているので、回転整畦体の回転に伴い圧締板体により畦は断続的に締圧され、それだけ強固に畦を締め付けることができ、圧締板体は可撓弾性を有しているので、圧締板体は平ら状から撓み動作しつつ盛土を徐々に締圧することができ、盛土を確実に締圧することができ、一層堅牢な畦を得ることができ、この際、上記機枠に貯水タンク及び貯水タンク内の水を上記回転整畦体に供給する放出口部をもつ給水部材を設け、給水部材に放出口部からの水が伝って流下する繊維材からなる水塗布部材を垂下配設し、水塗布部材の遊離下部を圧締板体の表面に接触させているから、給水部材からの水は繊維材からなる水塗布部材を伝って流下し、水塗布部材を伝って流下してくる水は水塗布部材の遊離下部と圧締板体の表面との接触により塗り付けられるように塗布され、従来構造と対比して、回転整畦体に散水ノズルを臨ませて水タンク内の水を回転整畦体に直接的にまき散らし散水する構造でないから、水が多量に外方に飛散して水撒き効率を低下させることがなくなり、少量の水で回転整畦体の表面を好ましい状態に多湿状態に濡らすことができ、好ましい多湿状態が得られることで、旧畦上の盛土を堅牢に締め付けることができ、回転整畦体の外周面部分に可撓弾性をもつ配設された複数個の圧締板体の摩耗損傷を抑制することができ、圧締板体として好ましい可撓弾性を発揮することができ、それだけ、整畦作業能率を向上することができる。
【0009】
又、請求項2記載の発明は、上記機枠に貯水タンク及び貯水タンク内の水を上記回転整畦体に供給する放出口部をもつ給水部材を設け、給水部材に放出口部からの水が伝って流下する繊維材からなる水塗布部材を垂下配設し、水塗布部材の遊離下部を圧締板体の表面に接触させているから、給水部材からの水は繊維材からなる水塗布部材を伝って流下し、水塗布部材を伝って流下してくる水は水塗布部材の遊離下部と圧締板体の表面との接触により塗りつけられるように塗布され、従来構造と対比して、回転整畦体に散水ノズルを臨ませて水タンク内の水を回転整畦体に直接的にまき散らし散水する構造でないから、水が多量に外方に飛散して水撒き効率を低下させることがなくなり、少量の水で回転整畦体の表面を好ましい状態に多湿状態に濡らすことができ、好ましい多湿状態が得られることで、旧畦上の盛土を堅牢に締め付けることができ、かつ、回転整畦体の外周面部分に可撓弾性をもつ配設された複数個の圧締板体の摩耗損傷を抑制することができ、圧締板体として好ましい可撓弾性を発揮することができ、それだけ、整畦作業能率を向上することができ、又、請求項3記載の発明にあっては、上記水塗布部材は繊維材を束ねた複数個の繊維束を並べてモップ状に形成されているから、給水部材からの水は良好に伝って流下することになると共に圧締板体の表面に対する水の接触塗り付けを良好に行うことができ、圧締板体の表面を整畦に好ましい多湿状態を得ることができ、又、この場合、上記給水部材は管材からなり、管材の内穴は上記貯水タンクに接続管を介して連通する通水路に形成され、管材の管壁に上記放出口部を形成してなるから、貯水タンク内の水を水塗布部材に良好に伝わらせることができる。
【0010】
又、請求項4記載の発明にあっては、上記回転整畦体の外周面部分に圧締面部を間隔を置いて複数個形成し、回転整畦体の回転方向前方位置の圧締面部側から隣る後方位置の圧締面部の圧締面に至る可撓弾性をもつ圧締板体を配設し、水塗布部材の遊離下部を圧締板体の表面に接触させてなるから、回転整畦体の回転に伴い圧締板体は徐々に盛土を締圧すると共に圧締面部により圧締板体を介して強く締圧され、この複数個の圧締面部の存在により断続的に締圧され、複数個の圧締面部の存在により、回転整畦体の全外周面で締圧する構造に比べて締圧面積が小さくなることにより締圧力を大きくすることができ、それだけ強固に畦を締め付けることができ、走行機体の走行速度に対して回転整畦体の回転速度を高めることにより回転整畦体の圧締板体は畦面に回転滑り接触し、この回転すべり接触により畦の一方側面及び畦の上面を円滑かつ強固に締圧整畦することができ、かつ、圧締板体は可撓弾性を有しているので、圧締板体は平ら状から撓み動作しつつ盛土を徐々に締圧することができ、盛土を確実に締圧することができ、一層堅牢な畦を得ることができ、又、請求項5記載の発明にあっては、上記回転整畦体は畦の一方側面を整畦可能な側面整畦部及び畦の上面を整畦可能な上面整畦部からなり、側面整畦部及び上面整畦部の各外周面部分にそれぞれ可撓弾性をもつ圧締板体を複数個配設し、水塗布部材の遊離下部を各圧締板体の表面に接触させてなるから、側面整畦部及び上面整畦部のそれぞれの可撓弾性をもつ圧締板体の表面を少量の水で整畦に好ましい状態に多湿状態に濡らすことができ、好ましい多湿状態を得ることで、旧畦上の盛土を堅牢に締め付けることができ、かつ、側面整畦部及び上面整畦部の複数個の圧締板体の摩耗損傷を抑制することができ、圧締板体として好ましい可撓弾性を発揮することができ、それだけ、整畦作業能率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態例の全体側面図である。
【図2】本発明の実施の形態例の平面図である。
【図3】本発明の実施の形態例の側断面図である。
【図4】本発明の実施の形態例の平断面図である。
【図5】本発明の実施の形態例の後面図である。
【図6】本発明の実施の形態例の前面図である。
【図7】本発明の実施の形態例の部分拡大断面図である。
【図8】本発明の実施の形態例の部分拡大断面図である。
【図9】本発明の実施の形態例の後断面図である。
【図10】本発明の実施の形態例の部分説明後面図である。
【図11】本発明の実施の形態例の部分拡大断面図である。
【図12】本発明の実施の形態例の部分拡大横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1乃至図12は本発明の実施の形態例を示し、1は走行機体であって、この場合トラクタが用いられ、図1の如く、走行機体1の後部に三点リンク式の連結機構2により機枠3を上下動可能に連結している。
【0013】
4は盛土機構であって、この場合、図1、図9の如く、回転する盛土ロータ5から構成され、この盛土ロータ5はロータ胴5aの外周に複数個の掻上刃5b・5bを突設すると共にロータ胴5aに取付軸5cを突設してなり、上記機枠3に駆動主軸6を回転軸線を畦造成方向と平行にして回転自在に取付け、駆動主軸6に盛土ロータ5の取付軸5cを連結し、機枠3に走行機体1に設けられた動力取出軸7により回転する伝達軸8及び中間軸9を軸受し、伝達軸8と中間軸9との間に変向用ギヤ列10を介装し、盛土ロータ5をチェーン機構11及び駆動主軸6を介して回転させ、この盛土ロータ5の回転により畦W際の圃場面Mの土を削出軌跡Nをもって削出して旧畦に向けて跳ね上げて盛り上げるように構成している。
【0014】
12はカバー部材であって、この場合、図6の如く、上記機枠3に取り付けられ、上記盛土ロータ5の上方及び畦Wの上方を覆う形状に形成され、カバー部材12の畦W側に側部カバー部材13をヒンジ軸14により跳ね上げ回動自在に取り付けられている。
【0015】
15は整畦機構であって、この場合、図1、図7の如く、畦W面を外周面部分の圧接回転により回転整畦可能な回転整畦体16と回転機構17とからなり、回転整畦体16は畦Wの一方側面W2を整畦可能な側面整畦部16a及び畦Wの上面W1を整畦可能な上面整畦部16bとを着脱自在に設け、回転整畦体16の回転軸線P1を水平方向に配置し、この回転整畦体16を回転機構17により回転軸線P1を中心として図中矢印方向Cに強制回転させるように構成している。
【0016】
この場合、図4、図7の如く、回転整畦体16としての枠ロータ状の側面整畦部16a及び枠ロータ状の上面整畦部16bの外周面部分にそれぞれ圧締面部G・Gを間隔を置いて複数個、この場合八個形成すると共に回転整畦体16の回転方向前方位置の圧締面部G側から隣る後方位置の圧締面部Gの外面に至る圧締板体Eを配設し、隣る圧締面部G・Gの間に通穴Fを形成している。
【0017】
この場合、図4、図8の如く、上記機枠3に軸受筒部18を取付け、この軸受筒部18に駆動軸19を回転自在に横設し、上記駆動主軸6と駆動軸19との間に歯車機構20を介装し、駆動軸19に回転整畦体16を取り付け、駆動主軸6の回転により回転整畦体16を図中矢印方向に回転させ、回転整畦体16の外周面部分の回転接触により畦Wの一方側面W2を締圧整畦すると共に畦Wの上面W1を締圧整畦するように構成している。
【0018】
この場合、図7の如く、圧締板体Eは可撓弾性を有するナイロン樹脂や塩化ビニール樹脂等の合成樹脂板により製作され、無負荷時には板状に略平らとなり、外的負荷により弧状に撓み得ると共に負荷解除により自己弾性により略平らに復元変形する材質が用いられている。尚、圧締板体Eは板バネに用いられるバネ鋼製等の金属板材や他の樹脂板材を用いることもある。
【0019】
21は削土機構であって、この場合、図6の如く、駆動主軸6に保持枠22を同心上に上下揺動自在に枢着し、保持枠22を吊下鎖23によりヒンジ軸14から吊下保持し、保持枠22の先端部に従動軸24を回転自在に取付け、保持枠22の先端部にロータ軸25を回転自在に取り付け、ロータ軸25に複数個のナギナタ状の刃体をもつ削土ロータ26を取付け、駆動主軸6と従動軸24との間にチェーン機構27を掛回すると共にロータ軸25をチェーン機構27により駆動主軸6と反対向きに回転させ、上記盛土機構4の盛土ロータ5の進行方向前方位置の旧畦の上面部分を削土ロータ26によって削出軌跡Sをもって回転削土するように構成したものである。
【0020】
28は貯水タンク、29は給水部材であって、図2、図3の如く、上記機枠3に貯水タンク28を載置する載置台30を配設し、機枠3にパイプ状の支持枠体31を取り付け、支持枠体31に給水部材29を取付金具32により取り付け、図11、図12の如く、給水部材29は貯水タンク28内の水Qを上記回転整畦体16に供給する合成樹脂製の管材Dからなり、管材Dの内穴は上記貯水タンク28に接続管33を介して連通する通水路29aに形成され、管材Dの先端に栓体29cが設けられ、接続管33の途中に電磁式又は手動式の開閉弁34を設け、管材Dの管壁の上部位置に水Qの放出口部29bを形成している。
【0021】
35は水塗布部材であって、図10の如く、上記給水部材29に垂下配設され、この場合、上記放出口部29bからの水Qが伝って流下する繊維材Hにより形成され、この繊維材Hからなる水塗布部材35の遊離下部35aを上記圧締板体Eの表面に接触させて構成している。尚、繊維材Hとしては、綿などの天然繊維、ナイロン、アクリル、レーヨン等の化学繊維、並びに混紡糸等が用いられる。
【0022】
この場合、図11、図12の如く、水塗布部材35は繊維材Hを束ねた複数個の繊維束R・R・・からなり、上記給水部材29に複数個の繊維束R・R・・を管材Dの上面部分で折り返して並列状に配置すると共に合成樹脂製の弾性を有するC形状のクリップ36で繊維束Rを介して給水部材29を挟着することにより位置固定して全体として床面等の払拭に用いられるモップ状に形成され、この繊維材Hを束ねた複数個の繊維束R・R・・からなる水塗布部材35の遊離下部35aを圧締板体Eの表面に接触させて構成している。
【0023】
この実施の形態例は上記構成であるから、図1の如く、走行機体1を旧畦に沿って走行し、動力取出軸7を回転すると一方では盛土ロータ5が畦W際の圃場泥土を旧畦上に連続的に跳ね上げて盛り上げ、カバー部材12及び側部カバー部材13は盛土ロータ5の上方及び畦W側方への泥土飛散を防止し、跳ね上げられた泥土は外方飛散を防がれて自重落下し、他方では走行機体1の動力取出軸7を駆動源として整畦機構15が駆動され、回転整畦体16は回転機構17により回転し、回転整畦体16の外周面部分に可撓弾性をもつ圧締板体Eを配設しているので、回転整畦体16の図中矢印方向としての走行機体1の前進を助長する方向の回転に伴い圧締板体Eにより畦Wは断続的に締圧され、それだけ強固に畦Wを締め付けることができ、走行機体1の走行速度に対して回転整畦体16の回転速度を高めることにより回転整畦体16の圧締板体Eは畦面に回転滑り接触し、この回転すべり接触により畦Wの一方側面W2及び畦Wの上面W1を円滑かつ強固に締圧整畦することができ、かつ、圧締板体Eは可撓弾性を有しているので、圧締板体Eは平ら状から撓み動作しつつ盛土を徐々に締圧することができ、盛土を確実に締圧することができ、一層堅牢な畦Wを得ることができる。
【0024】
この際、上記機枠3に貯水タンク28及び貯水タンク28内の水Qを上記回転整畦体16に供給する放出口部29bをもつ給水部材29を設け、給水部材29に放出口部29bからの水Qが伝って流下する繊維材Hからなる水塗布部材35を垂下配設し、水塗布部材35の遊離下部35aを圧締板体Eの表面に接触させているから、図8の如く、給水部材29からの水Qは繊維材Hからなる水塗布部材35を伝って流下し、水塗布部材35を伝って流下してくる水Qは水塗布部材35の遊離下部35aと圧締板体Eの表面との接触により塗りつけられるように塗布され、従来構造と対比して、回転整畦体16に散水ノズルを臨ませて水タンク内の水Qを回転整畦体16に直接的にまき散らし散水する構造でないから、水Qが多量に外方に飛散して水撒き効率を低下させることがなくなり、少量の水Qで回転整畦体16の表面を好ましい状態に多湿状態に濡らすことができ、好ましい多湿状態が得られることで、旧畦上の盛土を堅牢に締め付けることができ、かつ、回転整畦体16の外周面部分に可撓弾性をもつ配設された複数個の圧締板体E・Eの摩耗損傷を抑制することができ、圧締板体Eとして好ましい可撓弾性を発揮することができ、それだけ、整畦作業能率を向上することができる。
【0025】
又、この場合、上記水塗布部材35は繊維材Hを束ねた複数個の繊維束R・R・・を並べてモップ状に形成されているから、給水部材29からの水Qは良好に伝って流下することになると共に圧締板体Eの表面に対する水Qの接触塗り付けを良好に行うことができ、圧締板体Eの表面を整畦に好ましい多湿状態を得ることができ、又、この場合、上記給水部材29は管材Dからなり、管材Dの内穴は上記貯水タンク28に接続管33を介して連通する通水路29aに形成され、管材Dの管壁の上部に上記放出口部29bを形成してなるから、貯水タンク28内の水Qは上方に迂回したのち水塗布部材35に良好に伝わって流下することもあって、水塗布部材35に良好に伝わらせることができる。
【0026】
又、この場合、上記回転整畦体16の外周面部分に圧締面部G・Gを間隔を置いて複数個形成し、回転整畦体16の回転方向前方位置の圧締面部G側から隣る後方位置の圧締面部Gの圧締面に至る可撓弾性をもつ圧締板体Eを配設し、水塗布部材35の遊離下部35aを圧締板体Eの表面に接触させてなるから、図8の如く、回転整畦体16の図中矢印方向としての走行機体1の前進を助長する方向の回転に伴い圧締板体Eは徐々に盛土を締圧すると共に圧締面部Gにより圧締板体Eを介して強く締圧され、この複数個の圧締面部G・Gの存在により断続的に締圧され、複数個の圧締面部G・Gの存在により、回転整畦体16の全外周面で締圧する構造に比べて締圧面積が小さくなることにより締圧力を大きくすることができ、それだけ強固に畦Wを締め付けることができ、走行機体1の走行速度に対して回転整畦体16の回転速度を高めることにより回転整畦体16の圧締板体Eは畦面に回転滑り接触し、この回転すべり接触により畦Wの一方側面W2及び畦Wの上面W1を円滑かつ強固に締圧整畦することができ、かつ、圧締板体Eは可撓弾性を有しているので、圧締板体Eは平ら状から撓み動作しつつ盛土を徐々に締圧することができ、盛土を確実に締圧することができ、一層堅牢な畦Wを得ることができ、又、この場合、上記回転整畦体16は畦Wの一方側面W2を整畦可能な側面整畦部16a及び畦Wの上面W1を整畦可能な上面整畦部16bからなり、側面整畦部16a及び上面整畦部16bの各外周面部分にそれぞれ可撓弾性をもつ圧締板体E・Eを複数個配設し、水塗布部材35の遊離下部35aを各圧締板体E・Eの表面に接触させてなるから、図8の如く、側面整畦部16a及び上面整畦部16bのそれぞれの可撓弾性をもつ圧締板体E・Eの表面を少量の水Qで整畦に好ましい状態に多湿状態に濡らすことができ、好ましい多湿状態を得ることで、旧畦上の盛土を堅牢に締め付けることができ、かつ、側面整畦部16a及び上面整畦部16bの複数個の圧締板体E・Eの摩耗損傷を抑制することができ、圧締板体Eとして好ましい可撓弾性を発揮することができ、それだけ、整畦作業能率を向上することができる。
【0027】
この場合、回転整畦体16は畦Wの一方側面W2を回転整畦可能な側面整畦部16a及び畦Wの上面W1を回転整畦可能な上面整畦部16bからなり、この上面整畦部16bを上記側面整畦部16aに対して着脱自在に設けて構成しているから、上面整畦部16bを取り外すことにより高い畦Wの側面、道路や堤防の法面を締圧することができ、用途の融通性を高めることができ、又、この場合、削土機構21により旧畦面を予め削土でき、この削土された畦面上に盛土機構4により盛土することになるから、旧畦土と盛土との結着性を高めることができ、それだけ強固な畦Wを得ることができる。
【0028】
又、この際、上記隣る圧締面部G・Gの間に通穴Fを形成しているので、通穴Fにより一層断続的に畦面を締圧することになり、それだけ強固に締圧することができると共に通穴Fの存在により回転整畦体16の外周面部分への土の付着現象を抑制することができ、良好な整畦作業を行うことができる。
【0029】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、例えば盛土機構4として、畦造成方向に対して交差する方向の回転軸線をもつ回転ロータを採用することもでき、又、上記実施の形態例における回転整畦体16を油圧式や偏心ウエイト方式の振動機構により振動させたり、又、クランク方式や油圧方式からなる畦叩き機構により畦叩き運動させる付加構造を採用することもあり、その他、圧締面部G及び通穴Fの個数や形状、圧締板体Eの大きさや材質等は適宜変更して設計される。
【0030】
又、上記実施の形態例においては、上記回転整畦体16の回転軸線P1は水平方向となって、側面整畦部16aは略円錐状、上面整畦部16bを略円筒状に形成されているが、上記回転整畦体16の回転軸線P1を畦Wの一方側面W2の側方から畦W側へ斜め上方に向かう所定角度の上向き方向に配置し、側面整畦部16a及び上面整畦部16bをいずれも略円錐状に形成し、回転機構17により回転軸線P1を中心として図中矢印方向に強制回転させるように構成することもできる。
【0031】
以上の如く、所期の目的を充分達成することができる。
【符号の説明】
【0032】
W 畦
W1 上面
W2 一方側面
G 圧締面部
E 圧締板体
Q 水
D 管材
H 繊維材
R 繊維束
1 走行機体
2 連結機構
3 機枠
4 盛土機構
15 整畦機構
16 回転整畦体
16a 側面整畦部
16b 上面整畦部
28 貯水タンク
29 給水部材
29a 通水路
29b 放出口部
33 接続管
35 水塗布部材
35a 遊離下部
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば畦の造成作業や修復作業等に用いられる整畦機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の整畦機として、走行機体に連結機構により機枠を連結し、該機枠に旧畦上に土を盛り上げる盛土機構を設け、該盛土機構の進行方向後方位置に畦面を圧接回転により回転整畦可能な回転整畦体からなる整畦機構を設け、回転整畦体に散水ノズルを臨ませて水タンク内の水を回転整畦体に散水する散水手段を備えた構造のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4154545号
【特許文献2】特許第2972527号
【特許文献3】実開平5−21604号
【特許文献4】実開昭52−50916号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来構造の散水手段においては、回転整畦体に散水ノズルを臨ませて水タンク内の水を回転整畦体に直接的にまき散らし散水する構造となっているから、水が多量に外方に飛散して水撒き効率が低下し、回転整畦体の表面を好ましい状態に多湿状態に濡らすには水を大量に消費し易く、好ましい多湿状態が得られないことで、旧畦上の盛土を堅牢に締め付けることができないことがあり、また、回転整畦体の外周面部分に可撓弾性をもつ圧締板体を複数個配設してなる整畦構造の場合には、圧締板体として好ましい可撓弾性を発揮する必要があるため、板厚の厚い圧締板体を選択することに一定の制約があり、好ましい多湿状態が得られないことで、圧接板体の摩耗損傷が激しく起きることがあり、それだけ、整畦作業能率を低下させることがあるという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうちで、請求項1記載の発明は、走行機体に連結機構により機枠を連結し、該機枠に旧畦上に土を盛り上げる盛土機構を設け、該盛土機構の進行方向後方位置に畦面を圧接回転により回転整畦可能な回転整畦体からなる整畦機構を設け、該回転整畦体の外周面部分に可撓弾性をもつ圧締板体を複数個配設してなり、上記機枠に貯水タンク及び該貯水タンク内の水を上記回転整畦体に供給する放出口部をもつ給水部材を設け、該給水部材に該放出口部からの水が伝って流下する繊維材からなる水塗布部材を垂下配設し、該水塗布部材の遊離下部を該圧締板体の表面に接触させてなることを特徴とする整畦機にある。
【0006】
又、請求項2記載の発明は、上記水塗布部材は繊維材を束ねた複数個の繊維束を並べてモップ状に形成されていることを特徴とするものであり、又、請求項3記載の発明は、上記給水部材は管材からなり、該管材の内穴は上記貯水タンクに接続管を介して連通する通水路に形成され、該管材の管壁に上記放出口部を形成してなることを特徴とするものである。
【0007】
又、請求項4記載の発明は、上記回転整畦体の外周面部分に圧締面部を間隔を置いて複数個形成し、該回転整畦体の回転方向前方位置の圧締面部側から隣る後方位置の圧締面部の圧締面に至る可撓弾性をもつ圧締板体を配設し、該水塗布部材の遊離下部を該圧締板体の表面に接触させてなることを特徴とするものであり、又、請求項5記載の発明は、上記回転整畦体は畦の一方側面を整畦可能な側面整畦部及び畦の上面を整畦可能な上面整畦部からなり、該側面整畦部及び上面整畦部の各外周面部分にそれぞれ可撓弾性をもつ圧締板体を複数個配設し、上記水塗布部材の遊離下部を該各圧締板体の表面に接触させてなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、走行機体を旧畦に沿って走行すると一方では盛土ロータが畦際の圃場泥土を旧畦上に連続的に跳ね上げて盛り上げ、他方では整畦機構が駆動され、回転整畦体は回転し、回転整畦体の外周面部分に可撓弾性をもつ圧締板体を配設しているので、回転整畦体の回転に伴い圧締板体により畦は断続的に締圧され、それだけ強固に畦を締め付けることができ、圧締板体は可撓弾性を有しているので、圧締板体は平ら状から撓み動作しつつ盛土を徐々に締圧することができ、盛土を確実に締圧することができ、一層堅牢な畦を得ることができ、この際、上記機枠に貯水タンク及び貯水タンク内の水を上記回転整畦体に供給する放出口部をもつ給水部材を設け、給水部材に放出口部からの水が伝って流下する繊維材からなる水塗布部材を垂下配設し、水塗布部材の遊離下部を圧締板体の表面に接触させているから、給水部材からの水は繊維材からなる水塗布部材を伝って流下し、水塗布部材を伝って流下してくる水は水塗布部材の遊離下部と圧締板体の表面との接触により塗り付けられるように塗布され、従来構造と対比して、回転整畦体に散水ノズルを臨ませて水タンク内の水を回転整畦体に直接的にまき散らし散水する構造でないから、水が多量に外方に飛散して水撒き効率を低下させることがなくなり、少量の水で回転整畦体の表面を好ましい状態に多湿状態に濡らすことができ、好ましい多湿状態が得られることで、旧畦上の盛土を堅牢に締め付けることができ、回転整畦体の外周面部分に可撓弾性をもつ配設された複数個の圧締板体の摩耗損傷を抑制することができ、圧締板体として好ましい可撓弾性を発揮することができ、それだけ、整畦作業能率を向上することができる。
【0009】
又、請求項2記載の発明は、上記機枠に貯水タンク及び貯水タンク内の水を上記回転整畦体に供給する放出口部をもつ給水部材を設け、給水部材に放出口部からの水が伝って流下する繊維材からなる水塗布部材を垂下配設し、水塗布部材の遊離下部を圧締板体の表面に接触させているから、給水部材からの水は繊維材からなる水塗布部材を伝って流下し、水塗布部材を伝って流下してくる水は水塗布部材の遊離下部と圧締板体の表面との接触により塗りつけられるように塗布され、従来構造と対比して、回転整畦体に散水ノズルを臨ませて水タンク内の水を回転整畦体に直接的にまき散らし散水する構造でないから、水が多量に外方に飛散して水撒き効率を低下させることがなくなり、少量の水で回転整畦体の表面を好ましい状態に多湿状態に濡らすことができ、好ましい多湿状態が得られることで、旧畦上の盛土を堅牢に締め付けることができ、かつ、回転整畦体の外周面部分に可撓弾性をもつ配設された複数個の圧締板体の摩耗損傷を抑制することができ、圧締板体として好ましい可撓弾性を発揮することができ、それだけ、整畦作業能率を向上することができ、又、請求項3記載の発明にあっては、上記水塗布部材は繊維材を束ねた複数個の繊維束を並べてモップ状に形成されているから、給水部材からの水は良好に伝って流下することになると共に圧締板体の表面に対する水の接触塗り付けを良好に行うことができ、圧締板体の表面を整畦に好ましい多湿状態を得ることができ、又、この場合、上記給水部材は管材からなり、管材の内穴は上記貯水タンクに接続管を介して連通する通水路に形成され、管材の管壁に上記放出口部を形成してなるから、貯水タンク内の水を水塗布部材に良好に伝わらせることができる。
【0010】
又、請求項4記載の発明にあっては、上記回転整畦体の外周面部分に圧締面部を間隔を置いて複数個形成し、回転整畦体の回転方向前方位置の圧締面部側から隣る後方位置の圧締面部の圧締面に至る可撓弾性をもつ圧締板体を配設し、水塗布部材の遊離下部を圧締板体の表面に接触させてなるから、回転整畦体の回転に伴い圧締板体は徐々に盛土を締圧すると共に圧締面部により圧締板体を介して強く締圧され、この複数個の圧締面部の存在により断続的に締圧され、複数個の圧締面部の存在により、回転整畦体の全外周面で締圧する構造に比べて締圧面積が小さくなることにより締圧力を大きくすることができ、それだけ強固に畦を締め付けることができ、走行機体の走行速度に対して回転整畦体の回転速度を高めることにより回転整畦体の圧締板体は畦面に回転滑り接触し、この回転すべり接触により畦の一方側面及び畦の上面を円滑かつ強固に締圧整畦することができ、かつ、圧締板体は可撓弾性を有しているので、圧締板体は平ら状から撓み動作しつつ盛土を徐々に締圧することができ、盛土を確実に締圧することができ、一層堅牢な畦を得ることができ、又、請求項5記載の発明にあっては、上記回転整畦体は畦の一方側面を整畦可能な側面整畦部及び畦の上面を整畦可能な上面整畦部からなり、側面整畦部及び上面整畦部の各外周面部分にそれぞれ可撓弾性をもつ圧締板体を複数個配設し、水塗布部材の遊離下部を各圧締板体の表面に接触させてなるから、側面整畦部及び上面整畦部のそれぞれの可撓弾性をもつ圧締板体の表面を少量の水で整畦に好ましい状態に多湿状態に濡らすことができ、好ましい多湿状態を得ることで、旧畦上の盛土を堅牢に締め付けることができ、かつ、側面整畦部及び上面整畦部の複数個の圧締板体の摩耗損傷を抑制することができ、圧締板体として好ましい可撓弾性を発揮することができ、それだけ、整畦作業能率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態例の全体側面図である。
【図2】本発明の実施の形態例の平面図である。
【図3】本発明の実施の形態例の側断面図である。
【図4】本発明の実施の形態例の平断面図である。
【図5】本発明の実施の形態例の後面図である。
【図6】本発明の実施の形態例の前面図である。
【図7】本発明の実施の形態例の部分拡大断面図である。
【図8】本発明の実施の形態例の部分拡大断面図である。
【図9】本発明の実施の形態例の後断面図である。
【図10】本発明の実施の形態例の部分説明後面図である。
【図11】本発明の実施の形態例の部分拡大断面図である。
【図12】本発明の実施の形態例の部分拡大横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1乃至図12は本発明の実施の形態例を示し、1は走行機体であって、この場合トラクタが用いられ、図1の如く、走行機体1の後部に三点リンク式の連結機構2により機枠3を上下動可能に連結している。
【0013】
4は盛土機構であって、この場合、図1、図9の如く、回転する盛土ロータ5から構成され、この盛土ロータ5はロータ胴5aの外周に複数個の掻上刃5b・5bを突設すると共にロータ胴5aに取付軸5cを突設してなり、上記機枠3に駆動主軸6を回転軸線を畦造成方向と平行にして回転自在に取付け、駆動主軸6に盛土ロータ5の取付軸5cを連結し、機枠3に走行機体1に設けられた動力取出軸7により回転する伝達軸8及び中間軸9を軸受し、伝達軸8と中間軸9との間に変向用ギヤ列10を介装し、盛土ロータ5をチェーン機構11及び駆動主軸6を介して回転させ、この盛土ロータ5の回転により畦W際の圃場面Mの土を削出軌跡Nをもって削出して旧畦に向けて跳ね上げて盛り上げるように構成している。
【0014】
12はカバー部材であって、この場合、図6の如く、上記機枠3に取り付けられ、上記盛土ロータ5の上方及び畦Wの上方を覆う形状に形成され、カバー部材12の畦W側に側部カバー部材13をヒンジ軸14により跳ね上げ回動自在に取り付けられている。
【0015】
15は整畦機構であって、この場合、図1、図7の如く、畦W面を外周面部分の圧接回転により回転整畦可能な回転整畦体16と回転機構17とからなり、回転整畦体16は畦Wの一方側面W2を整畦可能な側面整畦部16a及び畦Wの上面W1を整畦可能な上面整畦部16bとを着脱自在に設け、回転整畦体16の回転軸線P1を水平方向に配置し、この回転整畦体16を回転機構17により回転軸線P1を中心として図中矢印方向Cに強制回転させるように構成している。
【0016】
この場合、図4、図7の如く、回転整畦体16としての枠ロータ状の側面整畦部16a及び枠ロータ状の上面整畦部16bの外周面部分にそれぞれ圧締面部G・Gを間隔を置いて複数個、この場合八個形成すると共に回転整畦体16の回転方向前方位置の圧締面部G側から隣る後方位置の圧締面部Gの外面に至る圧締板体Eを配設し、隣る圧締面部G・Gの間に通穴Fを形成している。
【0017】
この場合、図4、図8の如く、上記機枠3に軸受筒部18を取付け、この軸受筒部18に駆動軸19を回転自在に横設し、上記駆動主軸6と駆動軸19との間に歯車機構20を介装し、駆動軸19に回転整畦体16を取り付け、駆動主軸6の回転により回転整畦体16を図中矢印方向に回転させ、回転整畦体16の外周面部分の回転接触により畦Wの一方側面W2を締圧整畦すると共に畦Wの上面W1を締圧整畦するように構成している。
【0018】
この場合、図7の如く、圧締板体Eは可撓弾性を有するナイロン樹脂や塩化ビニール樹脂等の合成樹脂板により製作され、無負荷時には板状に略平らとなり、外的負荷により弧状に撓み得ると共に負荷解除により自己弾性により略平らに復元変形する材質が用いられている。尚、圧締板体Eは板バネに用いられるバネ鋼製等の金属板材や他の樹脂板材を用いることもある。
【0019】
21は削土機構であって、この場合、図6の如く、駆動主軸6に保持枠22を同心上に上下揺動自在に枢着し、保持枠22を吊下鎖23によりヒンジ軸14から吊下保持し、保持枠22の先端部に従動軸24を回転自在に取付け、保持枠22の先端部にロータ軸25を回転自在に取り付け、ロータ軸25に複数個のナギナタ状の刃体をもつ削土ロータ26を取付け、駆動主軸6と従動軸24との間にチェーン機構27を掛回すると共にロータ軸25をチェーン機構27により駆動主軸6と反対向きに回転させ、上記盛土機構4の盛土ロータ5の進行方向前方位置の旧畦の上面部分を削土ロータ26によって削出軌跡Sをもって回転削土するように構成したものである。
【0020】
28は貯水タンク、29は給水部材であって、図2、図3の如く、上記機枠3に貯水タンク28を載置する載置台30を配設し、機枠3にパイプ状の支持枠体31を取り付け、支持枠体31に給水部材29を取付金具32により取り付け、図11、図12の如く、給水部材29は貯水タンク28内の水Qを上記回転整畦体16に供給する合成樹脂製の管材Dからなり、管材Dの内穴は上記貯水タンク28に接続管33を介して連通する通水路29aに形成され、管材Dの先端に栓体29cが設けられ、接続管33の途中に電磁式又は手動式の開閉弁34を設け、管材Dの管壁の上部位置に水Qの放出口部29bを形成している。
【0021】
35は水塗布部材であって、図10の如く、上記給水部材29に垂下配設され、この場合、上記放出口部29bからの水Qが伝って流下する繊維材Hにより形成され、この繊維材Hからなる水塗布部材35の遊離下部35aを上記圧締板体Eの表面に接触させて構成している。尚、繊維材Hとしては、綿などの天然繊維、ナイロン、アクリル、レーヨン等の化学繊維、並びに混紡糸等が用いられる。
【0022】
この場合、図11、図12の如く、水塗布部材35は繊維材Hを束ねた複数個の繊維束R・R・・からなり、上記給水部材29に複数個の繊維束R・R・・を管材Dの上面部分で折り返して並列状に配置すると共に合成樹脂製の弾性を有するC形状のクリップ36で繊維束Rを介して給水部材29を挟着することにより位置固定して全体として床面等の払拭に用いられるモップ状に形成され、この繊維材Hを束ねた複数個の繊維束R・R・・からなる水塗布部材35の遊離下部35aを圧締板体Eの表面に接触させて構成している。
【0023】
この実施の形態例は上記構成であるから、図1の如く、走行機体1を旧畦に沿って走行し、動力取出軸7を回転すると一方では盛土ロータ5が畦W際の圃場泥土を旧畦上に連続的に跳ね上げて盛り上げ、カバー部材12及び側部カバー部材13は盛土ロータ5の上方及び畦W側方への泥土飛散を防止し、跳ね上げられた泥土は外方飛散を防がれて自重落下し、他方では走行機体1の動力取出軸7を駆動源として整畦機構15が駆動され、回転整畦体16は回転機構17により回転し、回転整畦体16の外周面部分に可撓弾性をもつ圧締板体Eを配設しているので、回転整畦体16の図中矢印方向としての走行機体1の前進を助長する方向の回転に伴い圧締板体Eにより畦Wは断続的に締圧され、それだけ強固に畦Wを締め付けることができ、走行機体1の走行速度に対して回転整畦体16の回転速度を高めることにより回転整畦体16の圧締板体Eは畦面に回転滑り接触し、この回転すべり接触により畦Wの一方側面W2及び畦Wの上面W1を円滑かつ強固に締圧整畦することができ、かつ、圧締板体Eは可撓弾性を有しているので、圧締板体Eは平ら状から撓み動作しつつ盛土を徐々に締圧することができ、盛土を確実に締圧することができ、一層堅牢な畦Wを得ることができる。
【0024】
この際、上記機枠3に貯水タンク28及び貯水タンク28内の水Qを上記回転整畦体16に供給する放出口部29bをもつ給水部材29を設け、給水部材29に放出口部29bからの水Qが伝って流下する繊維材Hからなる水塗布部材35を垂下配設し、水塗布部材35の遊離下部35aを圧締板体Eの表面に接触させているから、図8の如く、給水部材29からの水Qは繊維材Hからなる水塗布部材35を伝って流下し、水塗布部材35を伝って流下してくる水Qは水塗布部材35の遊離下部35aと圧締板体Eの表面との接触により塗りつけられるように塗布され、従来構造と対比して、回転整畦体16に散水ノズルを臨ませて水タンク内の水Qを回転整畦体16に直接的にまき散らし散水する構造でないから、水Qが多量に外方に飛散して水撒き効率を低下させることがなくなり、少量の水Qで回転整畦体16の表面を好ましい状態に多湿状態に濡らすことができ、好ましい多湿状態が得られることで、旧畦上の盛土を堅牢に締め付けることができ、かつ、回転整畦体16の外周面部分に可撓弾性をもつ配設された複数個の圧締板体E・Eの摩耗損傷を抑制することができ、圧締板体Eとして好ましい可撓弾性を発揮することができ、それだけ、整畦作業能率を向上することができる。
【0025】
又、この場合、上記水塗布部材35は繊維材Hを束ねた複数個の繊維束R・R・・を並べてモップ状に形成されているから、給水部材29からの水Qは良好に伝って流下することになると共に圧締板体Eの表面に対する水Qの接触塗り付けを良好に行うことができ、圧締板体Eの表面を整畦に好ましい多湿状態を得ることができ、又、この場合、上記給水部材29は管材Dからなり、管材Dの内穴は上記貯水タンク28に接続管33を介して連通する通水路29aに形成され、管材Dの管壁の上部に上記放出口部29bを形成してなるから、貯水タンク28内の水Qは上方に迂回したのち水塗布部材35に良好に伝わって流下することもあって、水塗布部材35に良好に伝わらせることができる。
【0026】
又、この場合、上記回転整畦体16の外周面部分に圧締面部G・Gを間隔を置いて複数個形成し、回転整畦体16の回転方向前方位置の圧締面部G側から隣る後方位置の圧締面部Gの圧締面に至る可撓弾性をもつ圧締板体Eを配設し、水塗布部材35の遊離下部35aを圧締板体Eの表面に接触させてなるから、図8の如く、回転整畦体16の図中矢印方向としての走行機体1の前進を助長する方向の回転に伴い圧締板体Eは徐々に盛土を締圧すると共に圧締面部Gにより圧締板体Eを介して強く締圧され、この複数個の圧締面部G・Gの存在により断続的に締圧され、複数個の圧締面部G・Gの存在により、回転整畦体16の全外周面で締圧する構造に比べて締圧面積が小さくなることにより締圧力を大きくすることができ、それだけ強固に畦Wを締め付けることができ、走行機体1の走行速度に対して回転整畦体16の回転速度を高めることにより回転整畦体16の圧締板体Eは畦面に回転滑り接触し、この回転すべり接触により畦Wの一方側面W2及び畦Wの上面W1を円滑かつ強固に締圧整畦することができ、かつ、圧締板体Eは可撓弾性を有しているので、圧締板体Eは平ら状から撓み動作しつつ盛土を徐々に締圧することができ、盛土を確実に締圧することができ、一層堅牢な畦Wを得ることができ、又、この場合、上記回転整畦体16は畦Wの一方側面W2を整畦可能な側面整畦部16a及び畦Wの上面W1を整畦可能な上面整畦部16bからなり、側面整畦部16a及び上面整畦部16bの各外周面部分にそれぞれ可撓弾性をもつ圧締板体E・Eを複数個配設し、水塗布部材35の遊離下部35aを各圧締板体E・Eの表面に接触させてなるから、図8の如く、側面整畦部16a及び上面整畦部16bのそれぞれの可撓弾性をもつ圧締板体E・Eの表面を少量の水Qで整畦に好ましい状態に多湿状態に濡らすことができ、好ましい多湿状態を得ることで、旧畦上の盛土を堅牢に締め付けることができ、かつ、側面整畦部16a及び上面整畦部16bの複数個の圧締板体E・Eの摩耗損傷を抑制することができ、圧締板体Eとして好ましい可撓弾性を発揮することができ、それだけ、整畦作業能率を向上することができる。
【0027】
この場合、回転整畦体16は畦Wの一方側面W2を回転整畦可能な側面整畦部16a及び畦Wの上面W1を回転整畦可能な上面整畦部16bからなり、この上面整畦部16bを上記側面整畦部16aに対して着脱自在に設けて構成しているから、上面整畦部16bを取り外すことにより高い畦Wの側面、道路や堤防の法面を締圧することができ、用途の融通性を高めることができ、又、この場合、削土機構21により旧畦面を予め削土でき、この削土された畦面上に盛土機構4により盛土することになるから、旧畦土と盛土との結着性を高めることができ、それだけ強固な畦Wを得ることができる。
【0028】
又、この際、上記隣る圧締面部G・Gの間に通穴Fを形成しているので、通穴Fにより一層断続的に畦面を締圧することになり、それだけ強固に締圧することができると共に通穴Fの存在により回転整畦体16の外周面部分への土の付着現象を抑制することができ、良好な整畦作業を行うことができる。
【0029】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、例えば盛土機構4として、畦造成方向に対して交差する方向の回転軸線をもつ回転ロータを採用することもでき、又、上記実施の形態例における回転整畦体16を油圧式や偏心ウエイト方式の振動機構により振動させたり、又、クランク方式や油圧方式からなる畦叩き機構により畦叩き運動させる付加構造を採用することもあり、その他、圧締面部G及び通穴Fの個数や形状、圧締板体Eの大きさや材質等は適宜変更して設計される。
【0030】
又、上記実施の形態例においては、上記回転整畦体16の回転軸線P1は水平方向となって、側面整畦部16aは略円錐状、上面整畦部16bを略円筒状に形成されているが、上記回転整畦体16の回転軸線P1を畦Wの一方側面W2の側方から畦W側へ斜め上方に向かう所定角度の上向き方向に配置し、側面整畦部16a及び上面整畦部16bをいずれも略円錐状に形成し、回転機構17により回転軸線P1を中心として図中矢印方向に強制回転させるように構成することもできる。
【0031】
以上の如く、所期の目的を充分達成することができる。
【符号の説明】
【0032】
W 畦
W1 上面
W2 一方側面
G 圧締面部
E 圧締板体
Q 水
D 管材
H 繊維材
R 繊維束
1 走行機体
2 連結機構
3 機枠
4 盛土機構
15 整畦機構
16 回転整畦体
16a 側面整畦部
16b 上面整畦部
28 貯水タンク
29 給水部材
29a 通水路
29b 放出口部
33 接続管
35 水塗布部材
35a 遊離下部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体に連結機構により機枠を連結し、該機枠に旧畦上に土を盛り上げる盛土機構を設け、該盛土機構の進行方向後方位置に畦面を圧接回転により回転整畦可能な回転整畦体からなる整畦機構を設け、該回転整畦体の外周面部分に可撓弾性をもつ圧締板体を複数個配設してなり、上記機枠に貯水タンク及び該貯水タンク内の水を上記回転整畦体に供給する放出口部をもつ給水部材を設け、該給水部材に該放出口部からの水が伝って流下する繊維材からなる水塗布部材を垂下配設し、該水塗布部材の遊離下部を該圧締板体の表面に接触させてなることを特徴とする整畦機。
【請求項2】
上記水塗布部材は繊維材を束ねた複数個の繊維束を並べてモップ状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の整畦機。
【請求項3】
上記給水部材は管材からなり、該管材の内穴は上記貯水タンクに接続管を介して連通する通水路に形成され、該管材の管壁に上記放出口部を形成してなることを特徴とする請求項1又は2記載の整畦機。
【請求項4】
上記回転整畦体の外周面部分に圧締面部を間隔を置いて複数個形成し、該回転整畦体の回転方向前方位置の圧締面部側から隣る後方位置の圧締面部の圧締面に至る可撓弾性をもつ圧締板体を配設し、該水塗布部材の遊離下部を該圧締板体の表面に接触させてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の整畦機。
【請求項5】
上記回転整畦体は畦の一方側面を整畦可能な側面整畦部及び畦の上面を整畦可能な上面整畦部からなり、該側面整畦部及び上面整畦部の各外周面部分にそれぞれ可撓弾性をもつ圧締板体を複数個配設し、上記水塗布部材の遊離下部を該各圧締板体の表面に接触させてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の整畦機。
【請求項1】
走行機体に連結機構により機枠を連結し、該機枠に旧畦上に土を盛り上げる盛土機構を設け、該盛土機構の進行方向後方位置に畦面を圧接回転により回転整畦可能な回転整畦体からなる整畦機構を設け、該回転整畦体の外周面部分に可撓弾性をもつ圧締板体を複数個配設してなり、上記機枠に貯水タンク及び該貯水タンク内の水を上記回転整畦体に供給する放出口部をもつ給水部材を設け、該給水部材に該放出口部からの水が伝って流下する繊維材からなる水塗布部材を垂下配設し、該水塗布部材の遊離下部を該圧締板体の表面に接触させてなることを特徴とする整畦機。
【請求項2】
上記水塗布部材は繊維材を束ねた複数個の繊維束を並べてモップ状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の整畦機。
【請求項3】
上記給水部材は管材からなり、該管材の内穴は上記貯水タンクに接続管を介して連通する通水路に形成され、該管材の管壁に上記放出口部を形成してなることを特徴とする請求項1又は2記載の整畦機。
【請求項4】
上記回転整畦体の外周面部分に圧締面部を間隔を置いて複数個形成し、該回転整畦体の回転方向前方位置の圧締面部側から隣る後方位置の圧締面部の圧締面に至る可撓弾性をもつ圧締板体を配設し、該水塗布部材の遊離下部を該圧締板体の表面に接触させてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の整畦機。
【請求項5】
上記回転整畦体は畦の一方側面を整畦可能な側面整畦部及び畦の上面を整畦可能な上面整畦部からなり、該側面整畦部及び上面整畦部の各外周面部分にそれぞれ可撓弾性をもつ圧締板体を複数個配設し、上記水塗布部材の遊離下部を該各圧締板体の表面に接触させてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の整畦機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−223164(P2012−223164A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95834(P2011−95834)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(395008849)株式会社富士トレーラー製作所 (32)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(395008849)株式会社富士トレーラー製作所 (32)
【Fターム(参考)】
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