説明

敷ふとん形態の家庭用電気治療器

【課題】電位・温熱組合せ家庭用医療機器において、温熱治療温度域帯と、治療効果のない加温温度域帯とを分離させ、加温温度域帯には、時間の制約なしに電位治療使用時にも温められる機能を持たせることにより、就寝用として使用可能な敷ふとん形態の家庭用電気治療器を提供する。
【解決手段】直流マイナス電圧を印加する電床板と、電気加熱する発熱体を装置して電位治療及び温熱治療を行う敷ふとん形態の電位・温熱組合せ家庭用医療機器において、発熱体の制御により、敷ふとん表面が40℃〜60℃の温熱治療温度域帯と、温熱治療効果の得られない40℃未満の加温温度域帯とに分離し、切替ボタンにより、温熱治療と電位治療は8時間以内の治療時間定格で強制切状態となり、温熱治療と電位治療は同時に治療不可能とする機能を有し、加温温度域帯では加温時間の制約がなく、単独での使用、電位治療と同時使用を自在とした敷ふとん形態の家庭用電気治療器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電位治療及び温熱治療を行うことができる電位・温熱組合せ家庭用医療機器において、加温機能を備えて加温しながら電位治療を行える敷ふとん形態の家庭用電気治療器である。
【技術の背景】
【0002】
家庭用医療機器は安全の観点から、二種類の治療機能を同時に使用してはならないこと、また、治療時間定格を設定しなければならないことなど基本的な制約を設けている。
【0003】
然しながら、この種電位・温熱組合せ家庭用医療機器は寝ながら使用することから、就寝用敷ふとんとして使用されることが多い。温熱治療しながら就寝すると高温のため低温火傷をする虞がある。そこで治療時間に制限を設けて最長時間でも8時間で強制的に治療を止める構造としなければならない。
【0004】
しかし、このように、時間で止められると、寝たきり老人のような人が使用したとき、冬季は途中で寒くなり使い勝手が悪く、また、冬季に電位治療を使用したとき冷たく使い勝手が悪い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、電位治療と温熱治療の2つの機能をもつ電位・温熱の組合せ家庭用医療機器において、温熱治療の効能を発揮する規制された温熱治療温度域帯(40℃〜60℃)と、治療効果のない40℃未満の加温温度域帯とを分離させることにより、加温温度域帯には、8時間の制約もなく、電位治療使用時にも温められるなどの機能を持たせることにより、家庭用医療機器としての機能の基本的な制約を損なうことがなく、就寝用として使用しても上述のごとき使い勝手の不具合のない敷ふとん形態の家庭用電気治療器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、発熱体に感熱線などの温度センサーを装置して、該温度センサーから送られてくる温度に応じて変化するインピーダンス変化で生じる電気信号をコントローラー側で受け止めて、コントローラーに装置したマイコンのソフトで、敷ふとんの表面が40℃以上60℃未満の温熱治療温度域帯と、40℃未満の加温温度域帯とになるように発熱体の温度を分離制御することにより、加温温度域帯の40℃未満の場合は、使用時間は無制限に使用でき、かつ、電位治療使用時にも加温できるようにしたものである。 すなわち、家庭用電位治療器として、また家庭用温熱治療器としての両機能を1個の敷ふとんに備えながら、就寝用として使用しても、上述の使い勝手の不具合がない敷ふとん形態の家庭用電気治療器を提供しようとするものである。
【実施例】
【0007】
本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。図1は敷ふとん形態の家庭用電気治療器の全体外観を示す斜視図で、1m幅の2m長さ、厚さ30mmないし50mmの敷ふとん部1と、電気的制御をするコントローラー部2からなっている。
【0008】
敷ふとん部1は図2に示す内部構成を示すもので、この内部構成は外皮としてのポリエステル生地からなる表外皮3と、裏外皮4に被包されている。表外皮の内側にはクッション材としのポリエステル硬綿5が設置され、このポリエステル硬綿5に保護されて、電床板6、面センサー7、発熱体8、感熱線9などの電気部品一式が装置されている。
【0009】
電床板6は、例えば塩化ビニールフイルムにカーボン塗料のごとき導電塗料をコーティングしたもので、電床板6に例えばマイナス600V或いはマイナス300Vの直流電圧を印加することで、電位治療が行われる。
【0010】
また、面センサー7は使用中に誤って針などの金属製の鋭利なものが刺さり、発熱体8の電気絶縁が損なわれたときなどに、コントローラー部2)に設けた安全回路が作動して、発熱体8への通電を遮断して感電、ショートなどの事故を防止する。
【0011】
発熱体8は図3に示されるように、両側に電極線10,10を織り込んだ布に、カーボン塗料のごとき導電塗料を含浸塗布して、塩化ビニールフイルムのごとき電気絶縁フイルムで導電部を被包密着してなる面状発熱体を用いている。この発熱体8には面に蛇行して感熱線9が配線されている。感熱線9は芯線の周りに塩化ビニールを主材とする感温樹脂を配し、感温樹脂の外周に外線を設けて、塩化ビニールで電気絶縁して形成される。しかして、芯線もしくは外線の一方に交流電気の一方を接続することにより、発熱体8の温度変化により変化するインピーダンスの変化で得られる感温樹脂を介して他方線への漏れ電流のごとき電気信号をコントローラーで受信して、任意の設定温度をコントロールする。発熱体8の裏面には断熱材として、ポリエステル硬綿11が設置されている。
【0012】
以上のように構成された敷ふとん部1にはマイコンが組み込まれたコントローラー部2が本体コード12及び接続器13により電気的に接続される。
【0013】
コントローラー部2は感熱線9からの電気信号を受けて、マイコン制御により発熱体8の発熱温度を40℃〜60℃の温熱治療温度域帯と、40℃未満の加温温度域帯とに分離制御する。例えば、温熱治療温度域帯においては、50℃の「強」、45℃の「弱」に温度制御する。また、加温温度域帯においては、40℃未満において複数段階(本実施例では4段階)の高〜低の温度制御をする。
【0014】
これを図4のコントローラー部2の操作表面図に基づいて操作を説明する。温熱治療として使用するときは、電源スイッチaを操作して電源をオンする。電源のオン状態を表示する電源LED表示ランプbが点灯する。次に図の温熱治療ボタンcを1回押すと、「強」の電位LED表示ランプdが点灯して50℃の高温の温熱治療が実行される。また、2回押すと「弱」の電位LED表示ランプeが点灯して45℃の低温の温熱治療が実行される。これら温熱治療はマイコンソフトに組み込まれたタイマーで、治療開始から8時間経つと強制的に発熱体8への電源供給を停止する。8時間以内で治療を停止したいときはボタンを3回押す。この温熱治療使用時には、他の加温ボタンf及び電位治療ボタンgは作動不能となっている。
【0015】
また、電位治療として使用するときは、電源スイッチaを操作して電源をオンする。上述同様に電源LED表示ランプbが点灯する。次に電位治療ボタンgを1回押すと「強」の電位LED表示ランプhが点灯して、マイナス600Vの直流電圧が電床板6に印加されて電位「強」の電位治療が実行される。また、2回押すと「弱」の電位LED表示ランプiが点灯して、マイナス300Vの直流電圧が電床板6に印加されて電位「弱」の電位治療が実行される。これら電位治療は上述同様に、治療開始から「強」治療のときは4時間経つと強制的に電床板6への電圧印加は停止され、また、「弱」治療のときは8時間経つと強制的に電床板6への電圧印加は停止される。8時間以内または4時間以内で電位治療を停止したいときはボタンgを3回押す。
【0016】
温熱治療効果のない40℃未満の加温を実行するには、電源スイッチa
を操作して電源をオンする。上述同様に電源LED表示ランプbが点灯する。次に加温ボタンfを1回押すと任意の「低」温度(例えば26℃)で加温が実行され、「低」のLED表示ランプjが点灯する。2回押すと1ランク高い温度(例えば30℃)実行され、2番目のLED表示ランプkが点灯する。3回押すと2ランク高い温度(例えば34℃)が実行され、3番目のLED表示ランプlが点灯する。4回押すと3ランク高い温度(例えば38℃)「高」の温度が実行され、「高」のLED表示ランプmが点灯して、任意の温度が選択できる。5回押すと加温は「切」状態になる。
【0017】
以上のこれら操作ボタンc,f,gはトグルとなって操作される。上記加温実行中は電位治療も実行することが可能である。すなわち、電位治療のみ、また、加温のみ実行できるとともに、加温しながら電位治療を実行できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明によれば、イ、2種の治療を同時に使用することの禁止、ロ、治療時間の定格(強制停止)を規制しているこの種家庭用電気治療器において、温熱治療温度域帯(40℃〜60℃)と、加温温度域帯(40℃未満)とを分離制御するようにしたことから、電位・温熱組合せ家庭用医療機器のように2種の治療を1個の敷ふとんに装置したものにあって、就寝用として使用しても、冬季、温かい敷ふとんとして、また温かい電位治療器として使用に供することができる。すなわち、医療機器としての規格を維持する医療機器でありながら、加温で使用すれば寝たきり老人または病気の人が使用しても、低温火傷の心配がなく、長時間の使用が可能であり、また、電位治療を冬季に使用するときは、温まりながら使用することができる極めて使い勝手の良い製品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】敷ふとん形態の家庭用電気治療器の斜視図
【図2】敷ふとん部の内部構成図
【図3】発熱体の斜視図
【図4】コントローラー部の操作表面図
【符号の説明】
【0020】
1は敷ふとん部
2はコントローラー部
6は電床板
8は発熱体
9は感熱線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流マイナス電圧を印加する電床板と、電気加熱する発熱体を装置して電位治療及び温熱治療を行う敷ふとん形態の電位・温熱組合せ家庭用医療機器において、発熱体はコントローラーの制御により、敷ふとん表面が40℃〜60℃の温熱治療温度域帯と、温熱治療効果の得られない40℃未満の加温温度域帯とに分離して、切替ボタンの操作により、温熱治療と電位治療は8時間以内の治療時間定格で強制切状態となるとともに、温熱治療と電位治療は同時に治療不可能とする機能を有し、加温温度域帯の加温機能は加温時間の制約がなく、単独での使用、電位治療と同時使用を自在としたことを特徴とする敷ふとん形態の家庭用電気治療器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−268674(P2009−268674A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121258(P2008−121258)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(391014871)株式会社京都西川 (11)
【Fターム(参考)】