敷物
【課題】
本発明では、高い吸水性を確保しつつ、肌触りもよく、さらに衛生的に使用できる敷物の提供を目的とする。
【解決手段】
織編物、或いは、不織布により面状に構成した敷物10であって、表裏いずれか一方の面(X面)側における複数の各部位に、撥水性の高い部位より吸水性の高い部位を主体的に配するとともに、該吸水性の高い部位の間に撥水性の高い部位を補助的に配して構成し、他方の面(Y面)側における複数の各部位に、吸水性の高い部位より撥水性の高い部位を主体的に配するとともに、該撥水性の高い部位の間に吸水性の高い部位を補助的に配して構成した敷物10。
本発明では、高い吸水性を確保しつつ、肌触りもよく、さらに衛生的に使用できる敷物の提供を目的とする。
【解決手段】
織編物、或いは、不織布により面状に構成した敷物10であって、表裏いずれか一方の面(X面)側における複数の各部位に、撥水性の高い部位より吸水性の高い部位を主体的に配するとともに、該吸水性の高い部位の間に撥水性の高い部位を補助的に配して構成し、他方の面(Y面)側における複数の各部位に、吸水性の高い部位より撥水性の高い部位を主体的に配するとともに、該撥水性の高い部位の間に吸水性の高い部位を補助的に配して構成した敷物10。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、台所、或いは洗面台周辺などの水回り設備周辺に敷設して用いる場合において、良好な吸水性を確保しつつ、肌にまとわりつかず良好な肌触りも確保することのできる敷物に関する。
【背景技術】
【0002】
敷物は、水回り設備周辺に敷設して用いられることが多く、高い吸水性が要求される。このため、敷物自体を吸水性の高い繊維を主原料として形成すると、水分を直ちに吸水するが、繰り返し使用し続けると、吸水により湿った敷物が直接、人体に接するため、人体にまとわりつくなどして不快な肌触りを伴う。
【0003】
その他にも、吸水性の高い素材のみで形成した場合、敷物自体の張り、腰がなくなり、形態安定性がなるなどの問題を有していた。
これに対して、下記特許文献1に記載の敷物が提案されている。
【0004】
上記敷物は、吸水性繊維のみならず高い撥水性を有する撥水性繊維を用いて形成している。その構成は、外側に撥水性繊維を用いて矩形状の表裏面層を形成し、その内部の空間部に吸水性の有する不織布を充填して一体として構成する。
【0005】
上記構成により、外側の表裏面層を通じて内部の不織布が不要な水分を積極的に吸収し、しかも直接、人体が接触する表裏面層は撥水性を有するため、べとつかず、良好な肌触りを保つことができる。
【0006】
しかし、上記敷物においても、以下のような改善点を有する。
内部に充填された不織布は、表裏面層により被覆されているため、水分を吸収すると同時に浸透した汚れなどを除去することが困難になり、さらに乾燥し難いため衛生面においても問題を有する。
【0007】
その他、敷物は、3層構造であるなど、複雑な構成であるため、製造コストが高くなってしまうという改善点も有する。
【0008】
【特許文献1】実用新案登録3091640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明では、高い吸水性を確保しつつ、肌触りもよく、さらに衛生的に使用できる敷物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る敷物は、織編物、或いは、不織布により面状に構成した敷物であって、表裏いずれか一方の面側における複数の各部位に、撥水性の高い部位より吸水性の高い部位を主体的に配するとともに、該吸水性の高い部位の間に撥水性の高い部位を補助的に配して構成し、他方の面側における複数の各部位に、吸水性の高い部位より撥水性の高い部位を主体的に配するとともに、該撥水性の高い部位の間に吸水性の高い部位を補助的に配して構成したことを特徴とする。
【0011】
上記敷物には、マット、カーペットは勿論、シートカバー、テーブルクロスなども含む。
上記敷物は、上述した構成を織物により一体に形成することが好ましい。
【0012】
上記敷物を織物により形成することで、丈夫な構成とすることができる。しかも、通気性も確保できるため、衛生的であり、良好な肌触りも得ることができる。
【0013】
さらに、上記敷物は、織物において、その縦糸、横糸のいずれか一方に吸水性の高い糸を用いるとともに、他方に撥水性の高い糸を用いて形成するとよい。
【0014】
上記吸水性の高い糸の中でも特にレーヨン素材を用いれば、非常に良好な吸水性を確保することができるとともに、上記撥水性の高い糸の中でも特に、アクリル合成繊維を用いれば、非常に良好な撥水性を得ることができる。
【0015】
上記敷物は、ドビー織物、或いは、該ドビー織物の組織を基に組織変形させた織物で構成してもよい。
【0016】
上記吸水性の高い糸に面状の不織布を用い、該不織布を、線幅を構成する幅に折り重ねて糸状に形成するとよい。
【0017】
上記構成を採る糸は、長さ方向において撚った部位が存在しないため、長さ方向の全ての部位において吸水性を確保することができる。特に、レーヨン素材により形成した不織布を用いれば、非常に良好な吸水性を確保することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る敷物は、一方の面を、吸水性を有した構成とし、他方の面を、撥水性を有した構成である。このため、特に、撥水性の有する面が上面側になるよう敷物を敷設した場合において、敷物の上面側では付着した水分を直接、吸収せず、吸水性の有する他方の面側、或いは内部側へと上面側から浸透していき、これらの部位で水分を吸収することができる。
【0019】
よって、敷物を繰り返し使用しても、敷物の表面は、常に乾燥した肌触りの良好な状態に維持できるため、快適に使用できる。
【0020】
さらに、縦糸、横糸のいずれか一方に吸水性の高い糸を用いるとともに、他方に撥水性の高い糸を用いて上記敷物を織物により一体に形成した場合、上記敷物は、吸水性を確保するだけでなく、撥水性の高い糸により、敷物自体の形態を維持することができる。
【0021】
特に、上記織物を、ドビー織物、或いは、該ドビー織物の組織を基に組織変形させた構成であるとすれば、例えば、袋状に構成した織編物の内部に不織布を充填して三層構造で構成するなどといった複雑な構成を要することなしに、上述したように表面が乾燥した吸水性を有する敷物を構成できる。よって、製造コストも低減することができる。
【0022】
しかも、このような織物で構成した敷物は、吸水性の有する面状に凹凸形状を有して構成できるため、通気性を確保できる。このため、撥水性の有する面が上面側になるよう敷物を敷設した場合、水分は積極的に吸収するが、保水し続けることがなく、床に敷いているだけでも直ぐに乾燥し、衛生的である。
【0023】
このように、上記織物で構成した敷物は、用途に応じて適宜、使用する面を選択して用いることができる。
【0024】
また、敷物を上記吸水性の高い糸にレーヨン素材を用い、上記撥水性の高い糸にアクリル合成繊維を用いて上記織物を形成した場合、吸水性と撥水性の両方を兼ね備えた特に良質な敷物を構成できる。
【0025】
前記吸水性の高い糸に面状の不織布を用い、該不織布を、線幅を構成する幅に折り重ねて糸状に整形した場合、撚り糸のように糸を捩じることがないため、糸の長さ方向の各部位において吸水性に斑が生じることなく、糸全体において良好な吸水性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
この発明の一実施形態を、以下図面を用いて説明する。
本実施形態におけるマットは、一方の面を、高い吸水性を有して形成し、他方の面を、高い撥水性を有して形成している。
ここで、マットの両面における高い撥水性を有する側の面をX面と設定し、高い吸水性を有する側の面をY面と設定して以下、説明する。
【0027】
図1、及び図2は、それぞれX面側、Y面側を上面側にして示した図である。
また、上記マット10を構成する横糸には、主原料に撥水性の高いアクリル合成繊維を用いて単糸を形成し、該単糸を撚った撚糸(締糸)を形成し、強度が高く、且つ、高い撥水性を有して構成している。
【0028】
一方、縦糸には、主原材に吸水性の高いレーヨン素材からなる帯状の不織布を用いている。さらに、該帯状の不織布を、蛇腹状に縦糸を構成する幅を確保して折り畳んでいき、その断面が横糸の断面の約10倍程度になるよう重合させてボリューム感がでるよう糸状に整形している。このように、縦糸は吸水性の高い素材を用いて形成し、締め糸のように長さ方向の各部位にねじり部位を形成していないため、長さ方向の全ての部位において非常に良好な吸収性を確保することができる。
【0029】
そして、本実施形態におけるマット10は、上述した横糸と縦糸とを用いて形成しているが、ドビー織物と称する織物組織を基にして、その組織を変化させた変化織りにより構成している。
【0030】
なお、上記矩形に構成したマット10の周縁部4においては、タック耳を構成する、或いは、縁取り加工を施すなどして縦糸、及び、横糸が解れないよう構成している。
【0031】
また、上述のように構成した織物は、織物組織を構成するが、簡略化のため、仮に同一太さ、同一材質の縦糸3、及び横糸2を用いて本実施形態と同様の織物を構成した場合におけるマット10の構成について図3、図4を用いて説明する。
【0032】
なお、図3(a)は、X面の1部位における組織図、図4(a)はY面の1部位における組織図を示す。
【0033】
ちなみに、この組織図は、織物を形成したとき、縦糸3と横糸2との交差部分において、縦糸3が横糸2よりも外側、つまり、各面側に現れるよう配される部分にハッチングを付して示したものである。すなわち、ハッチングを付した部位は、吸水性の高い部位を示し、無地の部位は、撥水性の高い部位を模式的に示している。
【0034】
上記織物の具体的な構成、或いはその製造方法として、数千本に並べて整えた縦糸3のうち、奇数番目(奇数行目)に並べた縦糸3aについては、横糸2を横入れ可能とすべく上下各側に振り分けるよう長さ方向における所定の各部位をドビー織機により開口させて波状に構成する(図3(e)、図4(d)参照)。
【0035】
さらに、奇数番目において整列する波状をした上記縦糸3aは、位相を1つとばしごとに半周期分同一方向にずらして平面視ジグザグに形成している(図3(d)における3a、又は図4(e)における3a参照)。
【0036】
これに対して、偶数番目の縦糸3bは、直線状のまま、且つ、その両側に並ぶ上記奇数番目に有する縦糸3aと平行に整列させておく。
【0037】
上記形態を採る複数の縦糸3a,3b…に対して、基本的に1本の横糸2を往復させながら横入れする。この際、横糸2は、往路側の横糸2a,2cに対して復路側の横糸2b,2dがY面側に位置するよう横入れするとともに(図3(d),図4(b)中の矢印参照)、マット面が構成されるよう横糸2を徐々にスライドさせながら横入れしていく。
【0038】
そして、上記奇数番目の縦糸3aに対しては、往路側1本の横糸2aと復路側1本の横糸2b,2dの合計3本の横糸2を、X面側に向けて開口させた所定のひ口Aに横入れし、次に通過する4本目の横糸2cを、Y面側で開口させたひ口Bに横入れする。これ以降においても上記操作を周期的に繰り返す(図3(e)、図4(d)参照)。
【0039】
一方、往路側の横糸2a,2cは、偶数番目の縦糸3bに対して全てX面側に位置するよう配し、復路側の横糸2b,2dは、全てY面側に位置するよう横入れしている(図3(b)、図3(d)参照)。
【0040】
すなわち、上記織り方により構成するマット10は、図3(a)、図4(a)に示した上記組織図からも、X面と、Y面とが互いに逆の組織となるよう構成されることがわかる。つまり、X面側は、Y面側と比較して、撥水性の高い横糸2の占める割合が大きくなり、反対に、Y面側は、X面側と比較して、吸水性の高い縦糸3の占める割合が大きくなることが分かる。
しかも、いずれの面においても特定の部位に吸水性の高い部位、或いは、撥水性の高い部位が偏ることもない。
【0041】
以上が、縦糸3と横糸2とが同一材質、同一太さであると仮定した場合におけるマット10の構成である。
【0042】
さらに、実際には、横糸2と縦糸3とは、上述したように互いに異なる材質、異なる太さで形成し、しかも、織物の製造過程においては、縦糸3に対する横糸2の横入れ操作の度に、先に横入れした横糸2の側へ横入れした直後の横糸2を詰めていくというおさ打ち工程が行われる。
【0043】
ここで、X面側に着目すると、マット10に配した横糸に対して奇数番目の縦糸が係合している。その両側に隙間なく偶数番目の縦糸を配した形態となる。
一方、図5(d),(c)に示したように、Y面側に着目すると、横糸2b,2dは、偶数番目に配した縦糸3bにおける、ひ口Aに係合された状態で、平面視すると波状の形態とすることができる。
ここで、マット10のX面についての具体的な形態について図5、図6を用いて説明する。
まず、図5(b),図6(b)に示したようにマット10に配した横糸2a,2cに対して奇数番目に配した縦糸3aが係合している。該奇数番目に配した縦糸3aにより、図5(a),図6(a)に示したように、マット10のX面には複数の複数の凸状部位15が離散状に整列した形態となる。すなわち、マット10のX面には、適度な空間(凹凸)を有した形態となる。
【0044】
そして、奇数番目の縦糸3aの両側には、隙間なく偶数番目の縦糸3bを配した形態となり、しかも、該偶数番目の縦糸3bは、図5(c)、図6(b)に示したように、奇数番目の縦糸3aに対して相対的にマット10の厚み方向の中間部に有した形態となる。
【0045】
次にマット10のY面における具体的な形態についても上記図5、図6を用いて説明する。
図5(b)、図6(b)に示したようにX面側に配した横糸2b,2dに対して奇数番目に配した縦糸3aが係合している。
【0046】
これにより、Y面表面には、図5(c)、図6(c)に示したように複数の凸状部位16が離散状に整列した形態となるが、上記X面表面における凸状部位15よりも大きく、凸状部位16どうしの間隔は、互いに狭く表面に蜜に現れた形態となる。
【0047】
しかし、奇数番目における縦糸3aと偶数番目における縦糸3bは、隣接する部位どうしが互いに上下方向にずらした形態を採るため(図5(b),(c)参照)、マット10面に複数の空間(凹凸)を確保することができる。
【0048】
以上により、マット10のX面、Y面は、それぞれ図7、図8に示したように一体に形成することができるとともに、意匠的にも優れた美観に形成することができる。
【0049】
次に、上記構成を採るX面側が上面側になるよう敷設したマット10に、例えば、濡れた足裏を接地した場合におけるマット10の作用・効果について説明する。
【0050】
撥水性の有する素材は、X面上に配した横糸2a,2cは、直接、水分を吸収しないため、足裏を接地したとき、殆どの水分は、内部へと浸透していく。そして、浸透した水は、マットの内部、及び、Y面側に配した縦糸3a,3bにより積極的に吸収される。
【0051】
そして、ある程度、足裏に残留した水分は補助的に表れた縦糸3aにおける複数の凸状部位15によって、完全に吸収することができる。このため、使用者の足裏に付着した余分な水分を完全に除去することができる。
【0052】
しかも、マットのX面は撥水性の有する横糸2a,2cが多くの割合を占めるため、常に乾燥したサラサラした状態に保つことができる。たとえ、凸状部位15に水分が吸収されてもX面表面は、通気性を有するため、短時間で乾燥することができる。
【0053】
逆に、Y面を上面にして敷設したマット10に濡れた足裏を接地した場合は、足裏に付着した水分をY面側に有する凸状部位16によって積極的に吸収することができる。それと同時に足裏に付着した水分は、マット10内部に配した偶数番目の縦糸3bへ吸収される。或いは、凸状部位16を介して間接的に浸透していく。このため、マット10のY面表面が過度に湿ることがない。
【0054】
さらに、Y面表面の凹凸形態により、通気性を確保できるため、Y面表面も乾燥した状態を保つことができるとともに、肌触りもよい状態で使用できる。
【0055】
このように、マット10は、X面、或いはY面のいずれの面を上面にしても用いることができる。
【0056】
また、マット10全体には、撥水性の有する横糸2が配されているため、縦糸3が充分、水分を吸収してもマット10は、その形態を維持することができる。
【0057】
また、上記構成を採るマット10は、内部に他の繊維を充填したりするなど複雑な構成としていない。よって、内部に汚れが蓄積することがなく、通気性も確保することができるため、衛生的であり、快適に使用することができる。さらに、構成もシンプルであるため、製造コストを要しない。
【0058】
その他にも、マット10は、X面、Y面のいずれの面を下面にして敷設しても複数の凸状部位が接地面に接触するため、水回り設備周辺で用いてもマット10が滑ることがない。
【0059】
また、マット10は、二重織り、斜子織り、或いは、シャガール織りなど基本的にX面とY面とが同一組織にならない織り方であれば他の織り方により形成してもよいが、上述したように、ドビー織りを変化させた変化織りにより形成し、さらに吸水性の有する縦糸3と、撥水性の有する横糸2とを用いて構成することで、上述した様々な効果を最も発揮することができる。
【0060】
また、本実施形態におけるマット10は、吸水性の有する糸、撥水性の有する糸とをそれぞれ縦糸3として、或いは横糸2としてにかかわらず混合させて構成してもよい。
【0061】
さらに、吸水性の有する糸、或いは撥水性の有する糸としてそれぞれ上述した素材とは別の素材を用いてもよい。
【0062】
例えば、吸水性の有する上記縦糸3の場合は、レーヨンと比較して多少、吸水性が劣るものの綿、ウール、麻などの他の高い吸水性を有する吸水性繊維を用いてもよい。その他、吸水性のよくない素材に対して、親和性を持たせる吸水処理を行うことにより吸水性をもたせてもよい。
【0063】
一方、横糸2には、アクリル繊維を用いたが、勿論、ナイロン、ポリエステルなど他の撥水性を有する素材を用いてもよく、撥水性のよくない素材に対しては、例えば、フッ素など水をはじく薬剤をコーティングして撥水処理を行うのもよい。
【0064】
さらに、上記吸水加工、或いは、撥水加工については、マット10を構成した後において、マット10のX面、或いはY面に対して適宜、上記加工を施してもよい。
【0065】
上記構成を採る織物は、マット10として構成するに限定せず、カーペット、テーブルクロス、クッションカバー、シートカバーなどとして構成してもよい。
【0066】
また、上述の実施形態と、この発明の構成との対応において、この実施形態のマット10は、この発明の敷物に対応するも、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、上述したように多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】X面側が上面側になるよう敷設した状態を示すマットの外観図。
【図2】Y面側が上面側になるよう敷設した状態を示すマットの外観図。
【図3】マットのX面側における組織図(a)、及び、各組織における断面図(b),(c),(d),(e)。
【図4】マットのY面側における組織図(a)、及び、各組織における断面図(b),(c),(d),(e)。
【図5】マットのX面側における要部拡大図(a)、図5(a),(d)におけるA−A断面図(b)、図5(a)(d)におけるB−B断面図(c)、マットのY面側における要部拡大図(d)。
【図6】マットのX面側における要部拡大図(a)、図5(a),(c)におけるC−C断面図(b)、マットの裏地における要部拡大図(c)。
【図7】マットのX面側における一部位を拡大した平面図。
【図8】マットのY面側における一部位を拡大した平面図。
【符号の説明】
【0068】
10…マット
2…横糸
3…縦糸
X面…一方の面
Y面…他方の面
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、台所、或いは洗面台周辺などの水回り設備周辺に敷設して用いる場合において、良好な吸水性を確保しつつ、肌にまとわりつかず良好な肌触りも確保することのできる敷物に関する。
【背景技術】
【0002】
敷物は、水回り設備周辺に敷設して用いられることが多く、高い吸水性が要求される。このため、敷物自体を吸水性の高い繊維を主原料として形成すると、水分を直ちに吸水するが、繰り返し使用し続けると、吸水により湿った敷物が直接、人体に接するため、人体にまとわりつくなどして不快な肌触りを伴う。
【0003】
その他にも、吸水性の高い素材のみで形成した場合、敷物自体の張り、腰がなくなり、形態安定性がなるなどの問題を有していた。
【0004】
これに対して、下記特許文献1に記載の敷物が提案されている。
【0005】
上記敷物は、吸水性繊維のみならず高い撥水性を有する撥水性繊維を用いて形成している。その構成は、外側に撥水性繊維を用いて矩形状の表裏面層を形成し、その内部の空間部に吸水性の有する不織布を充填して一体として構成する。
【0006】
上記構成により、外側の表裏面層を通じて内部の不織布が不要な水分を積極的に吸収し、しかも直接、人体が接触する表裏面層は撥水性を有するため、べとつかず、良好な肌触りを保つことができる。
【0007】
しかし、上記敷物においても、以下のような改善点を有する。
内部に充填された不織布は、表裏面層により被覆されているため、水分を吸収すると同時に浸透した汚れなどを除去することが困難になり、さらに乾燥し難いため衛生面においても問題を有する。
【0008】
その他、敷物は、3層構造であるなど、複雑な構成であるため、製造コストが高くなってしまうという改善点も有する。
【0009】
【特許文献1】実用新案登録3091640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明では、高い吸水性を確保しつつ、肌触りもよく、さらに衛生的に使用できる敷物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る敷物は、織編物、或いは、不織布により面状に構成した敷物であって、表裏両面に、吸水性の高い部位を、離散状に複数、構成し、上記表裏両面における一方の側の面を、他方の側の面よりも面全体に対する上記吸水性の高い部位の占める割合が高くなるよう構成し、上記表裏両面における上記吸水性の高い部位以外の部位を、上記吸水性の高い部位よりも吸水性の低い撥水性の高い部位で構成したことを特徴とする。
【0012】
上記敷物には、マット、カーペットは勿論、シートカバー、テーブルクロスなども含む。
【0013】
さらに、上記敷物は、敷物本体を織物で形成し、該敷物本体の縦糸、横糸のいずれか一方に吸水性の高い糸を用いるとともに、他方に撥水性の高い糸を用いて形成するとよい。
【0014】
上記敷物を織物により形成することで、丈夫な構成とすることができる。しかも、通気性も確保できるため、衛生的であり、良好な肌触りも得ることができる。
【0015】
上記敷物は、ドビー織物、或いは、該ドビー織物の組織を基に組織変形させた織物で構成してもよい。
【0016】
上記敷物は、上記縦糸を、吸水性の高い糸を用いて形成するとともに、上記横糸を、撥水性の高い糸を用いて形成し、上記敷物本体の厚み方向において上記横糸を横入れ可能に波状に配されて厚み方向の各側に上記吸水性の高い部位を形成する縦糸と、上記横糸が横入れされずに直線状に配された縦糸とを一方向に交互に並べた構成であるとともに、上記波状に配された縦糸には、その長さ方向にかけて三本の横糸と、一本の横糸とが周期的に横入れされ、一方向に並べられた複数の上記波状に配した縦糸は、1つとばしごとに半周期分、長さ方向の一方の側へずらした構成であることを特徴とする。
【0017】
上記吸水性の高い糸の中でも特にレーヨン素材を用いれば、非常に良好な吸水性を確保することができる。その他にも上記吸水性の高い糸には、例えば、綿、ウール、麻などの他の吸水性繊維を用いて形成した糸を挙げることができる。さらに、上記吸水性の高い糸は、吸水性のよくない素材に対して、親和性を持たせる吸水処理を行うことにより吸水性をもたせた糸であってもよい。
【0018】
また、上記撥水性の高い糸の中でも特に、アクリル合成繊維を用いれば、非常に良好な撥水性を得ることができる。その他の撥水性の高い糸としては、ナイロン、ポリエステルなど他の撥水性を有する素材を用いてもよく、撥水性のよくない素材に対しては、例えば、フッ素など水をはじく薬剤をコーティングして撥水処理を行うのもよい。
【0019】
上記吸水性の高い糸に面状の不織布を用い、該不織布を、線幅を構成する幅に折り重ねて糸状に形成するとよい。
【0020】
上記構成を採る糸は、長さ方向において撚った部位が存在しないため、長さ方向の全ての部位において吸水性を確保することができる。特に、レーヨン素材により形成した不織布を用いれば、非常に良好な吸水性を確保することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る敷物は、一方の面を、吸水性を有した構成とし、他方の面を、撥水性を有した構成である。このため、特に、撥水性の有する面が上面側になるよう敷物を敷設した場合において、敷物の上面側では付着した水分を直接、吸収せず、吸水性の有する他方の面側、或いは内部側へと上面側から浸透していき、これらの部位で水分を吸収することができる。
【0022】
よって、敷物を繰り返し使用しても、敷物の表面は、常に乾燥した肌触りの良好な状態に維持できるため、快適に使用できる。
【0023】
さらに、縦糸、横糸のいずれか一方に吸水性の高い糸を用いるとともに、他方に撥水性の高い糸を用いて上記敷物を織物により一体に形成した場合、上記敷物は、吸水性を確保するだけでなく、撥水性の高い糸により、敷物自体の形態を維持することができる。
【0024】
特に、上記織物を、ドビー織物、或いは、該ドビー織物の組織を基に組織変形させた構成であるとすれば、例えば、袋状に構成した織編物の内部に不織布を充填して三層構造で構成するなどといった複雑な構成を要することなしに、上述したように表面が乾燥した吸水性を有する敷物を構成できる。よって、製造コストも低減することができる。
【0025】
しかも、このような織物で構成した敷物は、吸水性の有する面状に凹凸形状を有して構成できるため、通気性を確保できる。このため、撥水性の有する面が上面側になるよう敷物を敷設した場合、水分は積極的に吸収するが、保水し続けることがなく、床に敷いているだけでも直ぐに乾燥し、衛生的である。
【0026】
このように、上記織物で構成した敷物は、用途に応じて適宜、使用する面を選択して用いることができる。
【0027】
また、敷物を上記吸水性の高い糸にレーヨン素材を用い、上記撥水性の高い糸にアクリル合成繊維を用いて上記織物を形成した場合、吸水性と撥水性の両方を兼ね備えた特に良質な敷物を構成できる。
【0028】
前記吸水性の高い糸に面状の不織布を用い、該不織布を、線幅を構成する幅に折り重ねて糸状に整形した場合、撚り糸のように糸を捩じることがないため、糸の長さ方向の各部位において吸水性に斑が生じることなく、糸全体において良好な吸水性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
この発明の一実施形態を、以下図面を用いて説明する。
【0030】
本実施形態におけるマットは、一方の面を、高い吸水性を有して形成し、他方の面を、高い撥水性を有して形成している。
ここで、マットの両面における高い撥水性を有する側の面をX面と設定し、高い吸水性を有する側の面をY面と設定して以下、説明する。
【0031】
図1、及び図2は、それぞれX面側、Y面側を上面側にして示した図である。
また、上記マット10を構成する横糸には、主原料に撥水性の高いアクリル合成繊維を用いて単糸を形成し、該単糸を撚った撚糸(締糸)を形成し、強度が高く、且つ、高い撥水性を有して構成している。
【0032】
一方、縦糸には、主原材に吸水性の高いレーヨン素材からなる帯状の不織布を用いている。さらに、該帯状の不織布を、蛇腹状に縦糸を構成する幅を確保して折り畳んでいき、その断面が横糸の断面の約10倍程度になるよう重合させてボリューム感がでるよう糸状に整形している。このように、縦糸は吸水性の高い素材を用いて形成し、締め糸のように長さ方向の各部位にねじり部位を形成していないため、長さ方向の全ての部位において非常に良好な吸収性を確保することができる。
【0033】
そして、本実施形態におけるマット10は、上述した横糸と縦糸とを用いて形成しているが、ドビー織物と称する織物組織を基にして、その組織を変化させた変化織りにより構成している。
【0034】
なお、上記矩形に構成したマット10の周縁部4においては、タック耳を構成する、或いは、縁取り加工を施すなどして縦糸、及び、横糸が解れないよう構成している。
【0035】
また、上述のように構成した織物は、織物組織を構成するが、簡略化のため、仮に同一太さ、同一材質の縦糸3、及び横糸2を用いて本実施形態と同様の織物を構成した場合におけるマット10の構成について図3、図4を用いて説明する。
【0036】
なお、図3(a)は、X面の1部位における組織図、図4(a)はY面の1部位における組織図を示す。
【0037】
ちなみに、この組織図は、織物を形成したとき、縦糸3と横糸2との交差部分において、縦糸3が横糸2よりも外側、つまり、各面側に現れるよう配される部分にハッチングを付して示したものである。すなわち、ハッチングを付した部位は、吸水性の高い部位を示し、無地の部位は、撥水性の高い部位を模式的に示している。
【0038】
上記織物の具体的な構成、或いはその製造方法として、数千本に並べて整えた縦糸3のうち、奇数番目(奇数行目)に並べた縦糸3aについては、横糸2を横入れ可能とすべく上下各側に振り分けるよう長さ方向における所定の各部位をドビー織機により開口させて波状に構成する(図3(e)、図4(d)参照)。
【0039】
さらに、奇数番目において整列する波状をした上記縦糸3aは、位相を1つとばしごとに半周期分同一方向にずらして平面視ジグザグに形成している(図3(d)における3a、又は図4(e)における3a参照)。
【0040】
これに対して、偶数番目の縦糸3bは、直線状のまま、且つ、その両側に並ぶ上記奇数番目に有する縦糸3aと平行に整列させておく。
【0041】
上記形態を採る複数の縦糸3a,3b…に対して、基本的に1本の横糸2を往復させながら横入れする。この際、横糸2は、往路側の横糸2a,2cに対して復路側の横糸2b,2dがY面側に位置するよう横入れするとともに(図3(d),図4(b)中の矢印参照)、マット面が構成されるよう横糸2を徐々にスライドさせながら横入れしていく。
【0042】
そして、上記奇数番目の縦糸3aに対しては、往路側1本の横糸2aと復路側2本の横糸2b,2dの合計3本の横糸2を、X面側に向けて開口させた所定のひ口Aに横入れし、次に通過する4本目の横糸2cを、Y面側で開口させたひ口Bに横入れする。これ以降においても上記操作を周期的に繰り返す(図3(e)、図4(d)参照)。
【0043】
一方、往路側の横糸2a,2cは、偶数番目の縦糸3bに対して全てX面側に位置するよう配し、復路側の横糸2b,2dは、全てY面側に位置するよう横入れしている(図3(b)、図3(d)参照)。
【0044】
すなわち、上記織り方により構成するマット10は、図3(a)、図4(a)に示した上記組織図からも、X面と、Y面とが互いに逆の組織となるよう構成されることがわかる。つまり、X面側は、Y面側と比較して、撥水性の高い横糸2の占める割合が大きくなり、反対に、Y面側は、X面側と比較して、吸水性の高い縦糸3の占める割合が大きくなることが分かる。
しかも、いずれの面においても特定の部位に吸水性の高い部位、或いは、撥水性の高い部位が偏ることもない。
【0045】
以上が、縦糸3と横糸2とが同一材質、同一太さであると仮定した場合におけるマット10の構成である。
【0046】
さらに、実際には、横糸2と縦糸3とは、上述したように互いに異なる材質、異なる太さで形成し、しかも、織物の製造過程においては、縦糸3に対する横糸2の横入れ操作の度に、先に横入れした横糸2の側へ横入れした直後の横糸2を詰めていくというおさ打ち工程が行われる。
【0047】
ここで、X面側に着目すると、マット10に配した横糸に対して奇数番目の縦糸が係合している。その両側に隙間なく偶数番目の縦糸を配した形態となる。
一方、図5(d),(c)に示したように、Y面側に着目すると、横糸2b,2dは、偶数番目に配した縦糸3bにおける、ひ口Aに係合された状態で、平面視すると波状の形態とすることができる。
ここで、マット10のX面についての具体的な形態について図5、図6を用いて説明する。
まず、図5(b),図6(b)に示したようにマット10に配した横糸2a,2cに対して奇数番目に配した縦糸3aが係合している。該奇数番目に配した縦糸3aにより、図5(a),図6(a)に示したように、マット10のX面には複数の複数の凸状部位15が離散状に整列した形態となる。すなわち、マット10のX面には、適度な空間(凹凸)を有した形態となる。
【0048】
そして、奇数番目の縦糸3aの両側には、隙間なく偶数番目の縦糸3bを配した形態となり、しかも、該偶数番目の縦糸3bは、図5(c)、図6(b)に示したように、奇数番目の縦糸3aに対して相対的にマット10の厚み方向の中間部に有した形態となる。
【0049】
次にマット10のY面における具体的な形態についても上記図5、図6を用いて説明する。
図5(b)、図6(b)に示したようにX面側に配した横糸2b,2dに対して奇数番目に配した縦糸3aが係合している。
【0050】
これにより、Y面表面には、図5(c)、図6(c)に示したように複数の凸状部位16が離散状に整列した形態となるが、上記X面表面における凸状部位15よりも大きく、凸状部位16どうしの間隔は、互いに狭く表面に蜜に現れた形態となる。
【0051】
しかし、奇数番目における縦糸3aと偶数番目における縦糸3bは、隣接する部位どうしが互いに上下方向にずらした形態を採るため(図5(b),(c)参照)、マット10面に複数の空間(凹凸)を確保することができる。
【0052】
以上により、マット10のX面、Y面は、それぞれ図7、図8に示したように一体に形成することができるとともに、意匠的にも優れた美観に形成することができる。
【0053】
次に、上記構成を採るX面側が上面側になるよう敷設したマット10に、例えば、濡れた足裏を接地した場合におけるマット10の作用・効果について説明する。
【0054】
撥水性の有する素材は、X面上に配した横糸2a,2cは、直接、水分を吸収しないため、足裏を接地したとき、殆どの水分は、内部へと浸透していく。そして、浸透した水は、マットの内部、及び、Y面側に配した縦糸3a,3bにより積極的に吸収される。
【0055】
そして、ある程度、足裏に残留した水分は補助的に表れた縦糸3aにおける複数の凸状部位15によって、完全に吸収することができる。このため、使用者の足裏に付着した余分な水分を完全に除去することができる。
【0056】
しかも、マットのX面は撥水性の有する横糸2a,2cが多くの割合を占めるため、常に乾燥したサラサラした状態に保つことができる。たとえ、凸状部位15に水分が吸収されてもX面表面は、通気性を有するため、短時間で乾燥することができる。
【0057】
逆に、Y面を上面にして敷設したマット10に濡れた足裏を接地した場合は、足裏に付着した水分をY面側に有する凸状部位16によって積極的に吸収することができる。それと同時に足裏に付着した水分は、マット10内部に配した偶数番目の縦糸3bへ吸収される。或いは、凸状部位16を介して間接的に浸透していく。このため、マット10のY面表面が過度に湿ることがない。
【0058】
さらに、Y面表面の凹凸形態により、通気性を確保できるため、Y面表面も乾燥した状態を保つことができるとともに、肌触りもよい状態で使用できる。
【0059】
このように、マット10は、X面、或いはY面のいずれの面を上面にしても用いることができる。
【0060】
また、マット10全体には、撥水性の有する横糸2が配されているため、縦糸3が充分、水分を吸収してもマット10は、その形態を維持することができる。
【0061】
また、上記構成を採るマット10は、内部に他の繊維を充填したりするなど複雑な構成としていない。よって、内部に汚れが蓄積することがなく、通気性も確保することができるため、衛生的であり、快適に使用することができる。さらに、構成もシンプルであるため、製造コストを要しない。
【0062】
その他にも、マット10は、X面、Y面のいずれの面を下面にして敷設しても複数の凸状部位が接地面に接触するため、水回り設備周辺で用いてもマット10が滑ることがない。
【0063】
また、マット10は、二重織り、斜子織り、或いは、シャガール織りなど基本的にX面とY面とが同一組織にならない織り方であれば他の織り方により形成してもよいが、上述したように、ドビー織りを変化させた変化織りにより形成し、さらに吸水性の有する縦糸3と、撥水性の有する横糸2とを用いて構成することで、上述した様々な効果を最も発揮することができる。
【0064】
また、本実施形態におけるマット10は、吸水性の有する糸、撥水性の有する糸とをそれぞれ縦糸3として、或いは横糸2としてにかかわらず混合させて構成してもよい。
【0065】
さらに、吸水性の有する糸、或いは撥水性の有する糸としてそれぞれ上述した素材とは別の素材を用いてもよい。
【0066】
例えば、吸水性の有する上記縦糸3の場合は、レーヨンと比較して多少、吸水性が劣るものの綿、ウール、麻などの他の高い吸水性を有する吸水性繊維を用いてもよい。その他、吸水性のよくない素材に対して、親和性を持たせる吸水処理を行うことにより吸水性をもたせてもよい。
【0067】
一方、横糸2には、アクリル繊維を用いたが、勿論、ナイロン、ポリエステルなど他の撥水性を有する素材を用いてもよく、撥水性のよくない素材に対しては、例えば、フッ素など水をはじく薬剤をコーティングして撥水処理を行うのもよい。
【0068】
さらに、上記吸水加工、或いは、撥水加工については、マット10を構成した後において、マット10のX面、或いはY面に対して適宜、上記加工を施してもよい。
【0069】
上記構成を採る織物は、マット10として構成するに限定せず、カーペット、テーブルクロス、クッションカバー、シートカバーなどとして構成してもよい。
【0070】
また、上述の実施形態と、この発明の構成との対応において、この実施形態のマット10は、この発明の敷物に対応するも、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、上述したように多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】X面側が上面側になるよう敷設した状態を示すマットの外観図。
【図2】Y面側が上面側になるよう敷設した状態を示すマットの外観図。
【図3】マットのX面側における組織図(a)、及び、各組織における断面図(b),(c),(d),(e)。
【図4】マットのY面側における組織図(a)、及び、各組織における断面図(b),(c),(d),(e)。
【図5】マットのX面側における要部拡大図(a)、図5(a),(d)におけるA−A断面図(b)、図5(a)(d)におけるB−B断面図(c)、マットのY面側における要部拡大図(d)。
【図6】マットのX面側における要部拡大図(a)、図5(a),(c)におけるC−C断面図(b)、マットの裏地における要部拡大図(c)。
【図7】マットのX面側における一部位を拡大した平面図。
【図8】マットのY面側における一部位を拡大した平面図。
【符号の説明】
【0072】
10…マット
2…横糸
3…縦糸
X面…一方の面
Y面…他方の面
【技術分野】
【0001】
この発明は、台所、或いは洗面台周辺などの水回り設備周辺に敷設して用いる場合において、良好な吸水性を確保しつつ、肌にまとわりつかず良好な肌触りも確保することのできる敷物に関する。
【背景技術】
【0002】
敷物は、水回り設備周辺に敷設して用いられることが多く、高い吸水性が要求される。このため、敷物自体を吸水性の高い繊維を主原料として形成すると、水分を直ちに吸水するが、繰り返し使用し続けると、吸水により湿った敷物が直接、人体に接するため、人体にまとわりつくなどして不快な肌触りを伴う。
【0003】
その他にも、吸水性の高い素材のみで形成した場合、敷物自体の張り、腰がなくなり、形態安定性がなるなどの問題を有していた。
これに対して、下記特許文献1に記載の敷物が提案されている。
【0004】
上記敷物は、吸水性繊維のみならず高い撥水性を有する撥水性繊維を用いて形成している。その構成は、外側に撥水性繊維を用いて矩形状の表裏面層を形成し、その内部の空間部に吸水性の有する不織布を充填して一体として構成する。
【0005】
上記構成により、外側の表裏面層を通じて内部の不織布が不要な水分を積極的に吸収し、しかも直接、人体が接触する表裏面層は撥水性を有するため、べとつかず、良好な肌触りを保つことができる。
【0006】
しかし、上記敷物においても、以下のような改善点を有する。
内部に充填された不織布は、表裏面層により被覆されているため、水分を吸収すると同時に浸透した汚れなどを除去することが困難になり、さらに乾燥し難いため衛生面においても問題を有する。
【0007】
その他、敷物は、3層構造であるなど、複雑な構成であるため、製造コストが高くなってしまうという改善点も有する。
【0008】
【特許文献1】実用新案登録3091640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明では、高い吸水性を確保しつつ、肌触りもよく、さらに衛生的に使用できる敷物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る敷物は、織編物、或いは、不織布により面状に構成した敷物であって、表裏いずれか一方の面側における複数の各部位に、撥水性の高い部位より吸水性の高い部位を主体的に配するとともに、該吸水性の高い部位の間に撥水性の高い部位を補助的に配して構成し、他方の面側における複数の各部位に、吸水性の高い部位より撥水性の高い部位を主体的に配するとともに、該撥水性の高い部位の間に吸水性の高い部位を補助的に配して構成したことを特徴とする。
【0011】
上記敷物には、マット、カーペットは勿論、シートカバー、テーブルクロスなども含む。
上記敷物は、上述した構成を織物により一体に形成することが好ましい。
【0012】
上記敷物を織物により形成することで、丈夫な構成とすることができる。しかも、通気性も確保できるため、衛生的であり、良好な肌触りも得ることができる。
【0013】
さらに、上記敷物は、織物において、その縦糸、横糸のいずれか一方に吸水性の高い糸を用いるとともに、他方に撥水性の高い糸を用いて形成するとよい。
【0014】
上記吸水性の高い糸の中でも特にレーヨン素材を用いれば、非常に良好な吸水性を確保することができるとともに、上記撥水性の高い糸の中でも特に、アクリル合成繊維を用いれば、非常に良好な撥水性を得ることができる。
【0015】
上記敷物は、ドビー織物、或いは、該ドビー織物の組織を基に組織変形させた織物で構成してもよい。
【0016】
上記吸水性の高い糸に面状の不織布を用い、該不織布を、線幅を構成する幅に折り重ねて糸状に形成するとよい。
【0017】
上記構成を採る糸は、長さ方向において撚った部位が存在しないため、長さ方向の全ての部位において吸水性を確保することができる。特に、レーヨン素材により形成した不織布を用いれば、非常に良好な吸水性を確保することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る敷物は、一方の面を、吸水性を有した構成とし、他方の面を、撥水性を有した構成である。このため、特に、撥水性の有する面が上面側になるよう敷物を敷設した場合において、敷物の上面側では付着した水分を直接、吸収せず、吸水性の有する他方の面側、或いは内部側へと上面側から浸透していき、これらの部位で水分を吸収することができる。
【0019】
よって、敷物を繰り返し使用しても、敷物の表面は、常に乾燥した肌触りの良好な状態に維持できるため、快適に使用できる。
【0020】
さらに、縦糸、横糸のいずれか一方に吸水性の高い糸を用いるとともに、他方に撥水性の高い糸を用いて上記敷物を織物により一体に形成した場合、上記敷物は、吸水性を確保するだけでなく、撥水性の高い糸により、敷物自体の形態を維持することができる。
【0021】
特に、上記織物を、ドビー織物、或いは、該ドビー織物の組織を基に組織変形させた構成であるとすれば、例えば、袋状に構成した織編物の内部に不織布を充填して三層構造で構成するなどといった複雑な構成を要することなしに、上述したように表面が乾燥した吸水性を有する敷物を構成できる。よって、製造コストも低減することができる。
【0022】
しかも、このような織物で構成した敷物は、吸水性の有する面状に凹凸形状を有して構成できるため、通気性を確保できる。このため、撥水性の有する面が上面側になるよう敷物を敷設した場合、水分は積極的に吸収するが、保水し続けることがなく、床に敷いているだけでも直ぐに乾燥し、衛生的である。
【0023】
このように、上記織物で構成した敷物は、用途に応じて適宜、使用する面を選択して用いることができる。
【0024】
また、敷物を上記吸水性の高い糸にレーヨン素材を用い、上記撥水性の高い糸にアクリル合成繊維を用いて上記織物を形成した場合、吸水性と撥水性の両方を兼ね備えた特に良質な敷物を構成できる。
【0025】
前記吸水性の高い糸に面状の不織布を用い、該不織布を、線幅を構成する幅に折り重ねて糸状に整形した場合、撚り糸のように糸を捩じることがないため、糸の長さ方向の各部位において吸水性に斑が生じることなく、糸全体において良好な吸水性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
この発明の一実施形態を、以下図面を用いて説明する。
本実施形態におけるマットは、一方の面を、高い吸水性を有して形成し、他方の面を、高い撥水性を有して形成している。
ここで、マットの両面における高い撥水性を有する側の面をX面と設定し、高い吸水性を有する側の面をY面と設定して以下、説明する。
【0027】
図1、及び図2は、それぞれX面側、Y面側を上面側にして示した図である。
また、上記マット10を構成する横糸には、主原料に撥水性の高いアクリル合成繊維を用いて単糸を形成し、該単糸を撚った撚糸(締糸)を形成し、強度が高く、且つ、高い撥水性を有して構成している。
【0028】
一方、縦糸には、主原材に吸水性の高いレーヨン素材からなる帯状の不織布を用いている。さらに、該帯状の不織布を、蛇腹状に縦糸を構成する幅を確保して折り畳んでいき、その断面が横糸の断面の約10倍程度になるよう重合させてボリューム感がでるよう糸状に整形している。このように、縦糸は吸水性の高い素材を用いて形成し、締め糸のように長さ方向の各部位にねじり部位を形成していないため、長さ方向の全ての部位において非常に良好な吸収性を確保することができる。
【0029】
そして、本実施形態におけるマット10は、上述した横糸と縦糸とを用いて形成しているが、ドビー織物と称する織物組織を基にして、その組織を変化させた変化織りにより構成している。
【0030】
なお、上記矩形に構成したマット10の周縁部4においては、タック耳を構成する、或いは、縁取り加工を施すなどして縦糸、及び、横糸が解れないよう構成している。
【0031】
また、上述のように構成した織物は、織物組織を構成するが、簡略化のため、仮に同一太さ、同一材質の縦糸3、及び横糸2を用いて本実施形態と同様の織物を構成した場合におけるマット10の構成について図3、図4を用いて説明する。
【0032】
なお、図3(a)は、X面の1部位における組織図、図4(a)はY面の1部位における組織図を示す。
【0033】
ちなみに、この組織図は、織物を形成したとき、縦糸3と横糸2との交差部分において、縦糸3が横糸2よりも外側、つまり、各面側に現れるよう配される部分にハッチングを付して示したものである。すなわち、ハッチングを付した部位は、吸水性の高い部位を示し、無地の部位は、撥水性の高い部位を模式的に示している。
【0034】
上記織物の具体的な構成、或いはその製造方法として、数千本に並べて整えた縦糸3のうち、奇数番目(奇数行目)に並べた縦糸3aについては、横糸2を横入れ可能とすべく上下各側に振り分けるよう長さ方向における所定の各部位をドビー織機により開口させて波状に構成する(図3(e)、図4(d)参照)。
【0035】
さらに、奇数番目において整列する波状をした上記縦糸3aは、位相を1つとばしごとに半周期分同一方向にずらして平面視ジグザグに形成している(図3(d)における3a、又は図4(e)における3a参照)。
【0036】
これに対して、偶数番目の縦糸3bは、直線状のまま、且つ、その両側に並ぶ上記奇数番目に有する縦糸3aと平行に整列させておく。
【0037】
上記形態を採る複数の縦糸3a,3b…に対して、基本的に1本の横糸2を往復させながら横入れする。この際、横糸2は、往路側の横糸2a,2cに対して復路側の横糸2b,2dがY面側に位置するよう横入れするとともに(図3(d),図4(b)中の矢印参照)、マット面が構成されるよう横糸2を徐々にスライドさせながら横入れしていく。
【0038】
そして、上記奇数番目の縦糸3aに対しては、往路側1本の横糸2aと復路側1本の横糸2b,2dの合計3本の横糸2を、X面側に向けて開口させた所定のひ口Aに横入れし、次に通過する4本目の横糸2cを、Y面側で開口させたひ口Bに横入れする。これ以降においても上記操作を周期的に繰り返す(図3(e)、図4(d)参照)。
【0039】
一方、往路側の横糸2a,2cは、偶数番目の縦糸3bに対して全てX面側に位置するよう配し、復路側の横糸2b,2dは、全てY面側に位置するよう横入れしている(図3(b)、図3(d)参照)。
【0040】
すなわち、上記織り方により構成するマット10は、図3(a)、図4(a)に示した上記組織図からも、X面と、Y面とが互いに逆の組織となるよう構成されることがわかる。つまり、X面側は、Y面側と比較して、撥水性の高い横糸2の占める割合が大きくなり、反対に、Y面側は、X面側と比較して、吸水性の高い縦糸3の占める割合が大きくなることが分かる。
しかも、いずれの面においても特定の部位に吸水性の高い部位、或いは、撥水性の高い部位が偏ることもない。
【0041】
以上が、縦糸3と横糸2とが同一材質、同一太さであると仮定した場合におけるマット10の構成である。
【0042】
さらに、実際には、横糸2と縦糸3とは、上述したように互いに異なる材質、異なる太さで形成し、しかも、織物の製造過程においては、縦糸3に対する横糸2の横入れ操作の度に、先に横入れした横糸2の側へ横入れした直後の横糸2を詰めていくというおさ打ち工程が行われる。
【0043】
ここで、X面側に着目すると、マット10に配した横糸に対して奇数番目の縦糸が係合している。その両側に隙間なく偶数番目の縦糸を配した形態となる。
一方、図5(d),(c)に示したように、Y面側に着目すると、横糸2b,2dは、偶数番目に配した縦糸3bにおける、ひ口Aに係合された状態で、平面視すると波状の形態とすることができる。
ここで、マット10のX面についての具体的な形態について図5、図6を用いて説明する。
まず、図5(b),図6(b)に示したようにマット10に配した横糸2a,2cに対して奇数番目に配した縦糸3aが係合している。該奇数番目に配した縦糸3aにより、図5(a),図6(a)に示したように、マット10のX面には複数の複数の凸状部位15が離散状に整列した形態となる。すなわち、マット10のX面には、適度な空間(凹凸)を有した形態となる。
【0044】
そして、奇数番目の縦糸3aの両側には、隙間なく偶数番目の縦糸3bを配した形態となり、しかも、該偶数番目の縦糸3bは、図5(c)、図6(b)に示したように、奇数番目の縦糸3aに対して相対的にマット10の厚み方向の中間部に有した形態となる。
【0045】
次にマット10のY面における具体的な形態についても上記図5、図6を用いて説明する。
図5(b)、図6(b)に示したようにX面側に配した横糸2b,2dに対して奇数番目に配した縦糸3aが係合している。
【0046】
これにより、Y面表面には、図5(c)、図6(c)に示したように複数の凸状部位16が離散状に整列した形態となるが、上記X面表面における凸状部位15よりも大きく、凸状部位16どうしの間隔は、互いに狭く表面に蜜に現れた形態となる。
【0047】
しかし、奇数番目における縦糸3aと偶数番目における縦糸3bは、隣接する部位どうしが互いに上下方向にずらした形態を採るため(図5(b),(c)参照)、マット10面に複数の空間(凹凸)を確保することができる。
【0048】
以上により、マット10のX面、Y面は、それぞれ図7、図8に示したように一体に形成することができるとともに、意匠的にも優れた美観に形成することができる。
【0049】
次に、上記構成を採るX面側が上面側になるよう敷設したマット10に、例えば、濡れた足裏を接地した場合におけるマット10の作用・効果について説明する。
【0050】
撥水性の有する素材は、X面上に配した横糸2a,2cは、直接、水分を吸収しないため、足裏を接地したとき、殆どの水分は、内部へと浸透していく。そして、浸透した水は、マットの内部、及び、Y面側に配した縦糸3a,3bにより積極的に吸収される。
【0051】
そして、ある程度、足裏に残留した水分は補助的に表れた縦糸3aにおける複数の凸状部位15によって、完全に吸収することができる。このため、使用者の足裏に付着した余分な水分を完全に除去することができる。
【0052】
しかも、マットのX面は撥水性の有する横糸2a,2cが多くの割合を占めるため、常に乾燥したサラサラした状態に保つことができる。たとえ、凸状部位15に水分が吸収されてもX面表面は、通気性を有するため、短時間で乾燥することができる。
【0053】
逆に、Y面を上面にして敷設したマット10に濡れた足裏を接地した場合は、足裏に付着した水分をY面側に有する凸状部位16によって積極的に吸収することができる。それと同時に足裏に付着した水分は、マット10内部に配した偶数番目の縦糸3bへ吸収される。或いは、凸状部位16を介して間接的に浸透していく。このため、マット10のY面表面が過度に湿ることがない。
【0054】
さらに、Y面表面の凹凸形態により、通気性を確保できるため、Y面表面も乾燥した状態を保つことができるとともに、肌触りもよい状態で使用できる。
【0055】
このように、マット10は、X面、或いはY面のいずれの面を上面にしても用いることができる。
【0056】
また、マット10全体には、撥水性の有する横糸2が配されているため、縦糸3が充分、水分を吸収してもマット10は、その形態を維持することができる。
【0057】
また、上記構成を採るマット10は、内部に他の繊維を充填したりするなど複雑な構成としていない。よって、内部に汚れが蓄積することがなく、通気性も確保することができるため、衛生的であり、快適に使用することができる。さらに、構成もシンプルであるため、製造コストを要しない。
【0058】
その他にも、マット10は、X面、Y面のいずれの面を下面にして敷設しても複数の凸状部位が接地面に接触するため、水回り設備周辺で用いてもマット10が滑ることがない。
【0059】
また、マット10は、二重織り、斜子織り、或いは、シャガール織りなど基本的にX面とY面とが同一組織にならない織り方であれば他の織り方により形成してもよいが、上述したように、ドビー織りを変化させた変化織りにより形成し、さらに吸水性の有する縦糸3と、撥水性の有する横糸2とを用いて構成することで、上述した様々な効果を最も発揮することができる。
【0060】
また、本実施形態におけるマット10は、吸水性の有する糸、撥水性の有する糸とをそれぞれ縦糸3として、或いは横糸2としてにかかわらず混合させて構成してもよい。
【0061】
さらに、吸水性の有する糸、或いは撥水性の有する糸としてそれぞれ上述した素材とは別の素材を用いてもよい。
【0062】
例えば、吸水性の有する上記縦糸3の場合は、レーヨンと比較して多少、吸水性が劣るものの綿、ウール、麻などの他の高い吸水性を有する吸水性繊維を用いてもよい。その他、吸水性のよくない素材に対して、親和性を持たせる吸水処理を行うことにより吸水性をもたせてもよい。
【0063】
一方、横糸2には、アクリル繊維を用いたが、勿論、ナイロン、ポリエステルなど他の撥水性を有する素材を用いてもよく、撥水性のよくない素材に対しては、例えば、フッ素など水をはじく薬剤をコーティングして撥水処理を行うのもよい。
【0064】
さらに、上記吸水加工、或いは、撥水加工については、マット10を構成した後において、マット10のX面、或いはY面に対して適宜、上記加工を施してもよい。
【0065】
上記構成を採る織物は、マット10として構成するに限定せず、カーペット、テーブルクロス、クッションカバー、シートカバーなどとして構成してもよい。
【0066】
また、上述の実施形態と、この発明の構成との対応において、この実施形態のマット10は、この発明の敷物に対応するも、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、上述したように多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】X面側が上面側になるよう敷設した状態を示すマットの外観図。
【図2】Y面側が上面側になるよう敷設した状態を示すマットの外観図。
【図3】マットのX面側における組織図(a)、及び、各組織における断面図(b),(c),(d),(e)。
【図4】マットのY面側における組織図(a)、及び、各組織における断面図(b),(c),(d),(e)。
【図5】マットのX面側における要部拡大図(a)、図5(a),(d)におけるA−A断面図(b)、図5(a)(d)におけるB−B断面図(c)、マットのY面側における要部拡大図(d)。
【図6】マットのX面側における要部拡大図(a)、図5(a),(c)におけるC−C断面図(b)、マットの裏地における要部拡大図(c)。
【図7】マットのX面側における一部位を拡大した平面図。
【図8】マットのY面側における一部位を拡大した平面図。
【符号の説明】
【0068】
10…マット
2…横糸
3…縦糸
X面…一方の面
Y面…他方の面
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、台所、或いは洗面台周辺などの水回り設備周辺に敷設して用いる場合において、良好な吸水性を確保しつつ、肌にまとわりつかず良好な肌触りも確保することのできる敷物に関する。
【背景技術】
【0002】
敷物は、水回り設備周辺に敷設して用いられることが多く、高い吸水性が要求される。このため、敷物自体を吸水性の高い繊維を主原料として形成すると、水分を直ちに吸水するが、繰り返し使用し続けると、吸水により湿った敷物が直接、人体に接するため、人体にまとわりつくなどして不快な肌触りを伴う。
【0003】
その他にも、吸水性の高い素材のみで形成した場合、敷物自体の張り、腰がなくなり、形態安定性がなるなどの問題を有していた。
【0004】
これに対して、下記特許文献1に記載の敷物が提案されている。
【0005】
上記敷物は、吸水性繊維のみならず高い撥水性を有する撥水性繊維を用いて形成している。その構成は、外側に撥水性繊維を用いて矩形状の表裏面層を形成し、その内部の空間部に吸水性の有する不織布を充填して一体として構成する。
【0006】
上記構成により、外側の表裏面層を通じて内部の不織布が不要な水分を積極的に吸収し、しかも直接、人体が接触する表裏面層は撥水性を有するため、べとつかず、良好な肌触りを保つことができる。
【0007】
しかし、上記敷物においても、以下のような改善点を有する。
内部に充填された不織布は、表裏面層により被覆されているため、水分を吸収すると同時に浸透した汚れなどを除去することが困難になり、さらに乾燥し難いため衛生面においても問題を有する。
【0008】
その他、敷物は、3層構造であるなど、複雑な構成であるため、製造コストが高くなってしまうという改善点も有する。
【0009】
【特許文献1】実用新案登録3091640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明では、高い吸水性を確保しつつ、肌触りもよく、さらに衛生的に使用できる敷物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る敷物は、織編物、或いは、不織布により面状に構成した敷物であって、表裏両面に、吸水性の高い部位を、離散状に複数、構成し、上記表裏両面における一方の側の面を、他方の側の面よりも面全体に対する上記吸水性の高い部位の占める割合が高くなるよう構成し、上記表裏両面における上記吸水性の高い部位以外の部位を、上記吸水性の高い部位よりも吸水性の低い撥水性の高い部位で構成したことを特徴とする。
【0012】
上記敷物には、マット、カーペットは勿論、シートカバー、テーブルクロスなども含む。
【0013】
さらに、上記敷物は、敷物本体を織物で形成し、該敷物本体の縦糸、横糸のいずれか一方に吸水性の高い糸を用いるとともに、他方に撥水性の高い糸を用いて形成するとよい。
【0014】
上記敷物を織物により形成することで、丈夫な構成とすることができる。しかも、通気性も確保できるため、衛生的であり、良好な肌触りも得ることができる。
【0015】
上記敷物は、ドビー織物、或いは、該ドビー織物の組織を基に組織変形させた織物で構成してもよい。
【0016】
上記敷物は、上記縦糸を、吸水性の高い糸を用いて形成するとともに、上記横糸を、撥水性の高い糸を用いて形成し、上記敷物本体の厚み方向において上記横糸を横入れ可能に波状に配されて厚み方向の各側に上記吸水性の高い部位を形成する縦糸と、上記横糸が横入れされずに直線状に配された縦糸とを一方向に交互に並べた構成であるとともに、上記波状に配された縦糸には、その長さ方向にかけて三本の横糸と、一本の横糸とが周期的に横入れされ、一方向に並べられた複数の上記波状に配した縦糸は、1つとばしごとに半周期分、長さ方向の一方の側へずらした構成であることを特徴とする。
【0017】
上記吸水性の高い糸の中でも特にレーヨン素材を用いれば、非常に良好な吸水性を確保することができる。その他にも上記吸水性の高い糸には、例えば、綿、ウール、麻などの他の吸水性繊維を用いて形成した糸を挙げることができる。さらに、上記吸水性の高い糸は、吸水性のよくない素材に対して、親和性を持たせる吸水処理を行うことにより吸水性をもたせた糸であってもよい。
【0018】
また、上記撥水性の高い糸の中でも特に、アクリル合成繊維を用いれば、非常に良好な撥水性を得ることができる。その他の撥水性の高い糸としては、ナイロン、ポリエステルなど他の撥水性を有する素材を用いてもよく、撥水性のよくない素材に対しては、例えば、フッ素など水をはじく薬剤をコーティングして撥水処理を行うのもよい。
【0019】
上記吸水性の高い糸に面状の不織布を用い、該不織布を、線幅を構成する幅に折り重ねて糸状に形成するとよい。
【0020】
上記構成を採る糸は、長さ方向において撚った部位が存在しないため、長さ方向の全ての部位において吸水性を確保することができる。特に、レーヨン素材により形成した不織布を用いれば、非常に良好な吸水性を確保することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る敷物は、一方の面を、吸水性を有した構成とし、他方の面を、撥水性を有した構成である。このため、特に、撥水性の有する面が上面側になるよう敷物を敷設した場合において、敷物の上面側では付着した水分を直接、吸収せず、吸水性の有する他方の面側、或いは内部側へと上面側から浸透していき、これらの部位で水分を吸収することができる。
【0022】
よって、敷物を繰り返し使用しても、敷物の表面は、常に乾燥した肌触りの良好な状態に維持できるため、快適に使用できる。
【0023】
さらに、縦糸、横糸のいずれか一方に吸水性の高い糸を用いるとともに、他方に撥水性の高い糸を用いて上記敷物を織物により一体に形成した場合、上記敷物は、吸水性を確保するだけでなく、撥水性の高い糸により、敷物自体の形態を維持することができる。
【0024】
特に、上記織物を、ドビー織物、或いは、該ドビー織物の組織を基に組織変形させた構成であるとすれば、例えば、袋状に構成した織編物の内部に不織布を充填して三層構造で構成するなどといった複雑な構成を要することなしに、上述したように表面が乾燥した吸水性を有する敷物を構成できる。よって、製造コストも低減することができる。
【0025】
しかも、このような織物で構成した敷物は、吸水性の有する面状に凹凸形状を有して構成できるため、通気性を確保できる。このため、撥水性の有する面が上面側になるよう敷物を敷設した場合、水分は積極的に吸収するが、保水し続けることがなく、床に敷いているだけでも直ぐに乾燥し、衛生的である。
【0026】
このように、上記織物で構成した敷物は、用途に応じて適宜、使用する面を選択して用いることができる。
【0027】
また、敷物を上記吸水性の高い糸にレーヨン素材を用い、上記撥水性の高い糸にアクリル合成繊維を用いて上記織物を形成した場合、吸水性と撥水性の両方を兼ね備えた特に良質な敷物を構成できる。
【0028】
前記吸水性の高い糸に面状の不織布を用い、該不織布を、線幅を構成する幅に折り重ねて糸状に整形した場合、撚り糸のように糸を捩じることがないため、糸の長さ方向の各部位において吸水性に斑が生じることなく、糸全体において良好な吸水性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
この発明の一実施形態を、以下図面を用いて説明する。
【0030】
本実施形態におけるマットは、一方の面を、高い吸水性を有して形成し、他方の面を、高い撥水性を有して形成している。
ここで、マットの両面における高い撥水性を有する側の面をX面と設定し、高い吸水性を有する側の面をY面と設定して以下、説明する。
【0031】
図1、及び図2は、それぞれX面側、Y面側を上面側にして示した図である。
また、上記マット10を構成する横糸には、主原料に撥水性の高いアクリル合成繊維を用いて単糸を形成し、該単糸を撚った撚糸(締糸)を形成し、強度が高く、且つ、高い撥水性を有して構成している。
【0032】
一方、縦糸には、主原材に吸水性の高いレーヨン素材からなる帯状の不織布を用いている。さらに、該帯状の不織布を、蛇腹状に縦糸を構成する幅を確保して折り畳んでいき、その断面が横糸の断面の約10倍程度になるよう重合させてボリューム感がでるよう糸状に整形している。このように、縦糸は吸水性の高い素材を用いて形成し、締め糸のように長さ方向の各部位にねじり部位を形成していないため、長さ方向の全ての部位において非常に良好な吸収性を確保することができる。
【0033】
そして、本実施形態におけるマット10は、上述した横糸と縦糸とを用いて形成しているが、ドビー織物と称する織物組織を基にして、その組織を変化させた変化織りにより構成している。
【0034】
なお、上記矩形に構成したマット10の周縁部4においては、タック耳を構成する、或いは、縁取り加工を施すなどして縦糸、及び、横糸が解れないよう構成している。
【0035】
また、上述のように構成した織物は、織物組織を構成するが、簡略化のため、仮に同一太さ、同一材質の縦糸3、及び横糸2を用いて本実施形態と同様の織物を構成した場合におけるマット10の構成について図3、図4を用いて説明する。
【0036】
なお、図3(a)は、X面の1部位における組織図、図4(a)はY面の1部位における組織図を示す。
【0037】
ちなみに、この組織図は、織物を形成したとき、縦糸3と横糸2との交差部分において、縦糸3が横糸2よりも外側、つまり、各面側に現れるよう配される部分にハッチングを付して示したものである。すなわち、ハッチングを付した部位は、吸水性の高い部位を示し、無地の部位は、撥水性の高い部位を模式的に示している。
【0038】
上記織物の具体的な構成、或いはその製造方法として、数千本に並べて整えた縦糸3のうち、奇数番目(奇数行目)に並べた縦糸3aについては、横糸2を横入れ可能とすべく上下各側に振り分けるよう長さ方向における所定の各部位をドビー織機により開口させて波状に構成する(図3(e)、図4(d)参照)。
【0039】
さらに、奇数番目において整列する波状をした上記縦糸3aは、位相を1つとばしごとに半周期分同一方向にずらして平面視ジグザグに形成している(図3(d)における3a、又は図4(e)における3a参照)。
【0040】
これに対して、偶数番目の縦糸3bは、直線状のまま、且つ、その両側に並ぶ上記奇数番目に有する縦糸3aと平行に整列させておく。
【0041】
上記形態を採る複数の縦糸3a,3b…に対して、基本的に1本の横糸2を往復させながら横入れする。この際、横糸2は、往路側の横糸2a,2cに対して復路側の横糸2b,2dがY面側に位置するよう横入れするとともに(図3(d),図4(b)中の矢印参照)、マット面が構成されるよう横糸2を徐々にスライドさせながら横入れしていく。
【0042】
そして、上記奇数番目の縦糸3aに対しては、往路側1本の横糸2aと復路側2本の横糸2b,2dの合計3本の横糸2を、X面側に向けて開口させた所定のひ口Aに横入れし、次に通過する4本目の横糸2cを、Y面側で開口させたひ口Bに横入れする。これ以降においても上記操作を周期的に繰り返す(図3(e)、図4(d)参照)。
【0043】
一方、往路側の横糸2a,2cは、偶数番目の縦糸3bに対して全てX面側に位置するよう配し、復路側の横糸2b,2dは、全てY面側に位置するよう横入れしている(図3(b)、図3(d)参照)。
【0044】
すなわち、上記織り方により構成するマット10は、図3(a)、図4(a)に示した上記組織図からも、X面と、Y面とが互いに逆の組織となるよう構成されることがわかる。つまり、X面側は、Y面側と比較して、撥水性の高い横糸2の占める割合が大きくなり、反対に、Y面側は、X面側と比較して、吸水性の高い縦糸3の占める割合が大きくなることが分かる。
しかも、いずれの面においても特定の部位に吸水性の高い部位、或いは、撥水性の高い部位が偏ることもない。
【0045】
以上が、縦糸3と横糸2とが同一材質、同一太さであると仮定した場合におけるマット10の構成である。
【0046】
さらに、実際には、横糸2と縦糸3とは、上述したように互いに異なる材質、異なる太さで形成し、しかも、織物の製造過程においては、縦糸3に対する横糸2の横入れ操作の度に、先に横入れした横糸2の側へ横入れした直後の横糸2を詰めていくというおさ打ち工程が行われる。
【0047】
ここで、X面側に着目すると、マット10に配した横糸に対して奇数番目の縦糸が係合している。その両側に隙間なく偶数番目の縦糸を配した形態となる。
一方、図5(d),(c)に示したように、Y面側に着目すると、横糸2b,2dは、偶数番目に配した縦糸3bにおける、ひ口Aに係合された状態で、平面視すると波状の形態とすることができる。
ここで、マット10のX面についての具体的な形態について図5、図6を用いて説明する。
まず、図5(b),図6(b)に示したようにマット10に配した横糸2a,2cに対して奇数番目に配した縦糸3aが係合している。該奇数番目に配した縦糸3aにより、図5(a),図6(a)に示したように、マット10のX面には複数の複数の凸状部位15が離散状に整列した形態となる。すなわち、マット10のX面には、適度な空間(凹凸)を有した形態となる。
【0048】
そして、奇数番目の縦糸3aの両側には、隙間なく偶数番目の縦糸3bを配した形態となり、しかも、該偶数番目の縦糸3bは、図5(c)、図6(b)に示したように、奇数番目の縦糸3aに対して相対的にマット10の厚み方向の中間部に有した形態となる。
【0049】
次にマット10のY面における具体的な形態についても上記図5、図6を用いて説明する。
図5(b)、図6(b)に示したようにX面側に配した横糸2b,2dに対して奇数番目に配した縦糸3aが係合している。
【0050】
これにより、Y面表面には、図5(c)、図6(c)に示したように複数の凸状部位16が離散状に整列した形態となるが、上記X面表面における凸状部位15よりも大きく、凸状部位16どうしの間隔は、互いに狭く表面に蜜に現れた形態となる。
【0051】
しかし、奇数番目における縦糸3aと偶数番目における縦糸3bは、隣接する部位どうしが互いに上下方向にずらした形態を採るため(図5(b),(c)参照)、マット10面に複数の空間(凹凸)を確保することができる。
【0052】
以上により、マット10のX面、Y面は、それぞれ図7、図8に示したように一体に形成することができるとともに、意匠的にも優れた美観に形成することができる。
【0053】
次に、上記構成を採るX面側が上面側になるよう敷設したマット10に、例えば、濡れた足裏を接地した場合におけるマット10の作用・効果について説明する。
【0054】
撥水性の有する素材は、X面上に配した横糸2a,2cは、直接、水分を吸収しないため、足裏を接地したとき、殆どの水分は、内部へと浸透していく。そして、浸透した水は、マットの内部、及び、Y面側に配した縦糸3a,3bにより積極的に吸収される。
【0055】
そして、ある程度、足裏に残留した水分は補助的に表れた縦糸3aにおける複数の凸状部位15によって、完全に吸収することができる。このため、使用者の足裏に付着した余分な水分を完全に除去することができる。
【0056】
しかも、マットのX面は撥水性の有する横糸2a,2cが多くの割合を占めるため、常に乾燥したサラサラした状態に保つことができる。たとえ、凸状部位15に水分が吸収されてもX面表面は、通気性を有するため、短時間で乾燥することができる。
【0057】
逆に、Y面を上面にして敷設したマット10に濡れた足裏を接地した場合は、足裏に付着した水分をY面側に有する凸状部位16によって積極的に吸収することができる。それと同時に足裏に付着した水分は、マット10内部に配した偶数番目の縦糸3bへ吸収される。或いは、凸状部位16を介して間接的に浸透していく。このため、マット10のY面表面が過度に湿ることがない。
【0058】
さらに、Y面表面の凹凸形態により、通気性を確保できるため、Y面表面も乾燥した状態を保つことができるとともに、肌触りもよい状態で使用できる。
【0059】
このように、マット10は、X面、或いはY面のいずれの面を上面にしても用いることができる。
【0060】
また、マット10全体には、撥水性の有する横糸2が配されているため、縦糸3が充分、水分を吸収してもマット10は、その形態を維持することができる。
【0061】
また、上記構成を採るマット10は、内部に他の繊維を充填したりするなど複雑な構成としていない。よって、内部に汚れが蓄積することがなく、通気性も確保することができるため、衛生的であり、快適に使用することができる。さらに、構成もシンプルであるため、製造コストを要しない。
【0062】
その他にも、マット10は、X面、Y面のいずれの面を下面にして敷設しても複数の凸状部位が接地面に接触するため、水回り設備周辺で用いてもマット10が滑ることがない。
【0063】
また、マット10は、二重織り、斜子織り、或いは、シャガール織りなど基本的にX面とY面とが同一組織にならない織り方であれば他の織り方により形成してもよいが、上述したように、ドビー織りを変化させた変化織りにより形成し、さらに吸水性の有する縦糸3と、撥水性の有する横糸2とを用いて構成することで、上述した様々な効果を最も発揮することができる。
【0064】
また、本実施形態におけるマット10は、吸水性の有する糸、撥水性の有する糸とをそれぞれ縦糸3として、或いは横糸2としてにかかわらず混合させて構成してもよい。
【0065】
さらに、吸水性の有する糸、或いは撥水性の有する糸としてそれぞれ上述した素材とは別の素材を用いてもよい。
【0066】
例えば、吸水性の有する上記縦糸3の場合は、レーヨンと比較して多少、吸水性が劣るものの綿、ウール、麻などの他の高い吸水性を有する吸水性繊維を用いてもよい。その他、吸水性のよくない素材に対して、親和性を持たせる吸水処理を行うことにより吸水性をもたせてもよい。
【0067】
一方、横糸2には、アクリル繊維を用いたが、勿論、ナイロン、ポリエステルなど他の撥水性を有する素材を用いてもよく、撥水性のよくない素材に対しては、例えば、フッ素など水をはじく薬剤をコーティングして撥水処理を行うのもよい。
【0068】
さらに、上記吸水加工、或いは、撥水加工については、マット10を構成した後において、マット10のX面、或いはY面に対して適宜、上記加工を施してもよい。
【0069】
上記構成を採る織物は、マット10として構成するに限定せず、カーペット、テーブルクロス、クッションカバー、シートカバーなどとして構成してもよい。
【0070】
また、上述の実施形態と、この発明の構成との対応において、この実施形態のマット10は、この発明の敷物に対応するも、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、上述したように多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】X面側が上面側になるよう敷設した状態を示すマットの外観図。
【図2】Y面側が上面側になるよう敷設した状態を示すマットの外観図。
【図3】マットのX面側における組織図(a)、及び、各組織における断面図(b),(c),(d),(e)。
【図4】マットのY面側における組織図(a)、及び、各組織における断面図(b),(c),(d),(e)。
【図5】マットのX面側における要部拡大図(a)、図5(a),(d)におけるA−A断面図(b)、図5(a)(d)におけるB−B断面図(c)、マットのY面側における要部拡大図(d)。
【図6】マットのX面側における要部拡大図(a)、図5(a),(c)におけるC−C断面図(b)、マットの裏地における要部拡大図(c)。
【図7】マットのX面側における一部位を拡大した平面図。
【図8】マットのY面側における一部位を拡大した平面図。
【符号の説明】
【0072】
10…マット
2…横糸
3…縦糸
X面…一方の面
Y面…他方の面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
織編物、或いは、不織布により面状に構成した敷物であって、
表裏いずれか一方の面側における複数の各部位に、撥水性の高い部位より吸水性の高い部位を主体的に配するとともに、該吸水性の高い部位の間に撥水性の高い部位を補助的に配して構成し、
他方の面側における複数の各部位に、吸水性の高い部位より撥水性の高い部位を主体的に配するとともに、該撥水性の高い部位の間に吸水性の高い部位を補助的に配して構成した
敷物。
【請求項2】
請求項1に記載の構成を織物により一体に形成した
敷物。
【請求項3】
織物において、その縦糸、横糸のいずれか一方に吸水性の高い糸を用いるとともに、他方に撥水性の高い糸を用いて形成した
請求項2に記載の敷物。
【請求項4】
前記織物を、ドビー織物、或いは、該ドビー織物の組織を基に組織変形させた織物であるとする
請求項2、又は請求項3に記載の敷物。
【請求項5】
前記吸水性の高い糸にレーヨン素材を用い、前記撥水性の高い糸にアクリル合成繊維を用いて形成した
請求項3、又は請求項4に記載の敷物。
【請求項6】
前記吸水性の高い糸に面状の不織布を用い、該不織布を、線幅を構成する幅に折り重ねて糸状に整形した
請求項3、請求項4又は請求項5に記載の敷物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
織編物、或いは、不織布により面状に構成した敷物であって、
表裏両面に、吸水性の高い部位を、離散状に複数、構成し、
上記表裏両面における一方の側の面を、他方の側の面よりも面全体に対する上記吸水性の高い部位の占める割合が高くなるよう構成し、
上記表裏両面における上記吸水性の高い部位以外の部位を、上記吸水性の高い部位よりも吸水性の低い撥水性の高い部位で構成した
敷物。
【請求項2】
敷物本体を織物で形成し、該敷物本体の縦糸、横糸のいずれか一方に吸水性の高い糸を用いて形成するとともに、他方に撥水性の高い糸を用いて形成した
請求項1に記載の敷物。
【請求項3】
上記敷物本体を、ドビー織物、或いは、該ドビー織物の組織を基に組織変形させた織物で形成した
請求項2に記載の敷物。
【請求項4】
上記縦糸を、吸水性の高い糸を用いて形成するとともに、上記横糸を、撥水性の高い糸を用いて形成し、
上記敷物本体の厚み方向において上記横糸を横入れ可能に波状に配されて厚み方向の各側に上記吸水性の高い部位を形成する縦糸と、
上記横糸が横入れされずに直線状に配された縦糸とを一方向に交互に並べた構成であるとともに、
上記波状に配された縦糸には、その長さ方向にかけて三本の横糸と、一本の横糸とが周期的に横入れされ、
一方向に並べられた複数の上記波状に配した縦糸は、1つとばしごとに半周期分、長さ方向の一方の側へずらした構成であることを特徴とする
請求項2、又は、請求項3に記載の敷物。
【請求項5】
前記吸水性の高い糸にレーヨン素材を用い、前記撥水性の高い糸にアクリル合成繊維を用いて形成した
請求項3、又は請求項4に記載の敷物。
【請求項6】
前記吸水性の高い糸に面状の不織布を用い、該不織布を、線幅を構成する幅に折り重ねて糸状に整形した
請求項3、請求項4又は請求項5に記載の敷物。
【請求項1】
織編物、或いは、不織布により面状に構成した敷物であって、
表裏いずれか一方の面側における複数の各部位に、撥水性の高い部位より吸水性の高い部位を主体的に配するとともに、該吸水性の高い部位の間に撥水性の高い部位を補助的に配して構成し、
他方の面側における複数の各部位に、吸水性の高い部位より撥水性の高い部位を主体的に配するとともに、該撥水性の高い部位の間に吸水性の高い部位を補助的に配して構成した
敷物。
【請求項2】
請求項1に記載の構成を織物により一体に形成した
敷物。
【請求項3】
織物において、その縦糸、横糸のいずれか一方に吸水性の高い糸を用いるとともに、他方に撥水性の高い糸を用いて形成した
請求項2に記載の敷物。
【請求項4】
前記織物を、ドビー織物、或いは、該ドビー織物の組織を基に組織変形させた織物であるとする
請求項2、又は請求項3に記載の敷物。
【請求項5】
前記吸水性の高い糸にレーヨン素材を用い、前記撥水性の高い糸にアクリル合成繊維を用いて形成した
請求項3、又は請求項4に記載の敷物。
【請求項6】
前記吸水性の高い糸に面状の不織布を用い、該不織布を、線幅を構成する幅に折り重ねて糸状に整形した
請求項3、請求項4又は請求項5に記載の敷物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
織編物、或いは、不織布により面状に構成した敷物であって、
表裏両面に、吸水性の高い部位を、離散状に複数、構成し、
上記表裏両面における一方の側の面を、他方の側の面よりも面全体に対する上記吸水性の高い部位の占める割合が高くなるよう構成し、
上記表裏両面における上記吸水性の高い部位以外の部位を、上記吸水性の高い部位よりも吸水性の低い撥水性の高い部位で構成した
敷物。
【請求項2】
敷物本体を織物で形成し、該敷物本体の縦糸、横糸のいずれか一方に吸水性の高い糸を用いて形成するとともに、他方に撥水性の高い糸を用いて形成した
請求項1に記載の敷物。
【請求項3】
上記敷物本体を、ドビー織物、或いは、該ドビー織物の組織を基に組織変形させた織物で形成した
請求項2に記載の敷物。
【請求項4】
上記縦糸を、吸水性の高い糸を用いて形成するとともに、上記横糸を、撥水性の高い糸を用いて形成し、
上記敷物本体の厚み方向において上記横糸を横入れ可能に波状に配されて厚み方向の各側に上記吸水性の高い部位を形成する縦糸と、
上記横糸が横入れされずに直線状に配された縦糸とを一方向に交互に並べた構成であるとともに、
上記波状に配された縦糸には、その長さ方向にかけて三本の横糸と、一本の横糸とが周期的に横入れされ、
一方向に並べられた複数の上記波状に配した縦糸は、1つとばしごとに半周期分、長さ方向の一方の側へずらした構成であることを特徴とする
請求項2、又は、請求項3に記載の敷物。
【請求項5】
前記吸水性の高い糸にレーヨン素材を用い、前記撥水性の高い糸にアクリル合成繊維を用いて形成した
請求項3、又は請求項4に記載の敷物。
【請求項6】
前記吸水性の高い糸に面状の不織布を用い、該不織布を、線幅を構成する幅に折り重ねて糸状に整形した
請求項3、請求項4又は請求項5に記載の敷物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2006−167153(P2006−167153A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−363846(P2004−363846)
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(503210773)シンコールリビング株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(503210773)シンコールリビング株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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