敷石舗装
【課題】敷石舗装を有効に冷却することができるようにすること。
【解決手段】敷石舗装10を構成するパネル14の表面には窪み部14aが形成されている。窪み部14aの底部には配水口15を設けて、配水口15から窪み部14aに水が供給されて溜められる。
【解決手段】敷石舗装10を構成するパネル14の表面には窪み部14aが形成されている。窪み部14aの底部には配水口15を設けて、配水口15から窪み部14aに水が供給されて溜められる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装用パネルが敷設された敷石舗装に係り、詳しくは、表面付近を冷却することができる敷石舗装に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、夏季における都市部でのヒートアイランド現象による異常気温上昇が問題となっている。この異常気温上昇下では、街路の歩道や広場等を歩く歩行者にとって、路面からの輻射熱を受けることは耐え難いものである。この輻射熱による不快感を抑えるために、歩道等の路面の温度を降下させる技術が種々提案されている。
【0003】
特許文献1では、図20に示すように、透水性を有するポーラス状の舗装用パネル63の側面間に、周壁に複数の通孔65を有すると共に、不織布66が巻回された導水管64が配設されている。そして、この導水管64の通孔65から不織布66を介して舗装用パネル63に水を浸透させれば、舗装用パネル63の表面で水が気化されるので、その気化熱により舗装用パネル63の温度が下げられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−169285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のパネル舗装構造は、導水管64から流出された水を毛細管現象により舗装用パネル63の表層部まで浸透させる構成である。このため、冷却のために十分な量の水を舗装用パネル63の表層部に供給することが難しく、冷却能力が不足する。また、ポーラスな舗装用パネル63は、透水性と共に保水性を有するため、雨水により舗装用パネル63の湿潤状態が持続することがある。そして、湿潤状態が長引くと、表面にバクテリアが繁殖したり、苔が繁茂したりし易く、不潔な外観を呈する虞がある。これを取り除く場合、通常の洗浄では困難で、例えば高圧洗浄機が必要になって、手間や費用がかかる。
【0006】
本発明は、このような問題に着目してなされたものであり、その目的とするところは、敷石舗装の表面及び表面付近を有効に冷却することができるとともに、表面を清潔の維持できる敷石舗装を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために請求項1に記載の敷石舗装の発明は、路盤上に舗装パネルを敷設した敷石舗装において、前記舗装パネルの表面に水を溜めるための窪み部を形成するとともに、配水口を設け、前記舗装パネルと路盤との間に導水路を形成して、その導水路と前記配水口とを連通させ、水が導水路及び配水口から前記窪み部に供給されるようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
上記構成によれば、配水口から供給された水が舗装パネルの窪み部に多量に溜められる。このため、敷石舗装の表面及びその表面付近を有効に冷却できる。また、舗装パネルをポーラスに構成する必要がないため、冷却が不要なときには表面を乾燥させることができて、バクテリアや苔の発生を抑制できる。
【0009】
請求項2においては、前記配水口を窪み部の底部に設けたことを特徴とする。
請求項3においては、前記導水路を、前記舗装パネルの裏面に形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項4においては、前記導水路を、前記舗装パネルの裏面に設けられた管状の導水部材によって形成したことを特徴とする。
請求項5においては、前記導水路の下面開口を閉鎖する底板を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項6においては、前記導水路には、隣接する他の舗装パネルの導水路と接続するためのジョイントを設けたことを特徴とする。
請求項7においては、前記導水部材には、前記配水口に接続される接続管を一体形成したことを特徴とする。
【0012】
請求項8においては、前記配水口に排水系を接続したことを特徴とする。
請求項9においては、前記配水口にストレーナを設けたことを特徴とする。
請求項10においては、前記窪み部における水位を保持するための水位保持手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、配水口から供給された水が舗装パネルの窪み部に多量に溜められるため、敷石舗装の表面及びその表面付近を有効に冷却できるとともに、表面のバクテリア発生等を抑制して、表面を清潔に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態の敷石舗装を示す斜視図。
【図2】(a)は図1のA−A矢視断面図と詳細図を示し、(b)は詳細図の変形例を示す。
【図3】第1実施形態の舗装パネルを示す斜視図。
【図4】(a)は配水口部分の断面図、(b)は配水口の口金の平面図。
【図5】敷石舗装に対する給排水を行うシステムの簡略図。
【図6】第2実施形態を示す斜視図。
【図7】第2実施形態を示す断面図。
【図8】第3実施形態を示す分解斜視図。
【図9】第3実施形態を示す断面図。
【図10】第3実施形態の口金を示す断面図。
【図11】(a)は第4実施形態を示す斜視図、(b)は同第4実施形態における別例を示す斜視図、(c)は鞘管により連結された状態の舗装パネルの一部を示す断面図、(d)は別例の端部が鞘管により連結された状態の舗装パネルの一部を示す断面図。
【図12】(a)(b)は第5実施形態を示す斜視図。
【図13】第5実施形態を示す平面図。
【図14】第6実施形態を示す分解斜視図。
【図15】第7実施形態を示す平面図。
【図16】第8実施形態を示す平面図。
【図17】第8実施形態の図16とは異なる例を示す平面図。
【図18】(a)は第9実施形態を示す断面図、(b)は(a)のB−B矢視断面図。
【図19】(a)は第9実施形態の図18とは異なる例を示す断面図、(b)は(a)のC−C矢視断面図。
【図20】従来技術を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図1〜5に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、路床11上にモルタル製の路盤12が形成されている。この路盤12の上面には、PCコンクリートやRCコンクリートよりなる四角形平板状の複数の舗装パネル(以下、単にパネルという)14が碁盤目状に敷設されると共に、パネル14間の目地16には目地材16aとしてモルタルが充填されている。このようにして舗道等の敷石舗装10が構成されている。
【0016】
図3に示すように、パネル14の表面には窪み部14aが形成されている。この窪み部14aは、パネル14の外縁を底辺とした4枚の三角形状の面により形成されている。なお、この窪み部14aの深さは、舗装パネル14の外形が、例えば(300)×(300)mmの場合、5〜10mm程度でよい。パネル14の中央部には、給水及び排水の機能を有する配水口15が設けられている。パネル14の裏面には、断面半円状の導水路20がパネル14の中央で交差する平面十字状に形成されている。隣接するパネル14の各導水路20は、ジョイントとしての鞘管17によって連結されている。図2(a)の円S内に示すように、鞘管17は、外周に形成されたボス状の突起17aが目地16の開口幅を規制した状態で、目地材16aに埋設される。なお、図2(b)の円S内に示すように、ボス状の突起17aに替わり、一対のリブ17bを設けるようにしてもよい。導水路20が交差する部分と前記配水口15とは連通されている。
【0017】
図4(a)(b)に示すように、前記配水口15は以下のように構成されている。すなわち、パネル14の中央に、外周にフランジ部42を有すると共に、内面に雌ネジが形成された中空円筒状の雌ネジ体41が埋設されている。口金25は、前記雌ネジに螺合する雄ネジが形成された円筒状基体26とフランジ部27とより構成されている。口金25のフランジ部27の凹部27aには、ステンレス製のストレーナ28が取り付けられている。また、フランジ部27の外縁部の4ヶ所には凹部29が形成されている。この凹部29に図示しない工具を掛けることにより、口金25を回動させることができる。そして、導水路20の水が、配水口15の口金25を介してパネル14の窪み部14aに供給される。
【0018】
次に、本実施形態の敷石舗装10に水を供給するとともに、窪み部14aの水を排出するための構成を説明する。
図5に示すように、敷石舗装10の近傍には調整槽30と貯水槽31とが設けられている。前記導水路20と調整槽30とは配管S1で連結されている。
【0019】
そして、貯水槽31の水位センサ34により同槽31内の水位が所定値よりも下がっていることが検出された時、開閉弁V3が開かれて、配管S5を介して図示しない水源からの水が貯水槽31内に供給される。また、水位センサ34により貯水槽31の水位が所定値よりも上がっていることが検出された時、開閉弁V2が開かれて、配管S6を介して貯水槽31内の水が排水施設へ排出される。
【0020】
なお、貯水槽31の水位センサ34や開閉弁V2の故障等が生じた場合は、貯水槽31内のオーバーフロー水を、前記水位センサ34による設定水位よりやや上方に位置する排水口36から配管S7を介して図示しない公共雨水管渠等の排水施設に流すことができる。
【0021】
調整槽30には、貯水槽31の水が、ポンプP1の作動により配管S2を通じて供給される。この水の供給は、水位保持手段としての水位センサ33により検知される水位W1が設定された高さとなるまで継続される。そして、窪み部14a内の水位は、水位センサ33の検出によって維持される。
【0022】
すなわち、調整槽30内の水は、導水路20及び配水口15を介して窪み部14aに供給されて溜まり、所定の水位W1に保たれる。このため、パネル14は、水との接触によって温度降下されるとともに、水面からの蒸発による潜熱により温度降下される。
【0023】
ここで、調整槽30の水位センサ33は複数のセンサ33A〜33Cよって構成されている。そして、図示しないスイッチ等の切換え手段によって、ひとつのセンサ33A〜33Cの機能が有効化される。これらのセンサ33A〜33Cは、上下位置が相違し、この上下位置の相違により、それぞれ設定水位W1が異なる。例えば、センサ33Aは前記窪み部14aの最高位に水位W1を設定して、窪み部14a内の水深を深くし、センサ33Bは、窪み部14aの上下中間位置に水位W1を設定して、窪み部14a内の水深を浅くし、センサ33Cは窪み部14a内に水が貯留されない高さまで水位W1を低く設定する。
【0024】
配水口15から窪み部14aの水を排出する場合や、同窪み部14aの雨水を排出する場合には、開閉弁V1の開放により調整槽30内の水位が下げられることによって達成される。
【0025】
この排水時には、パネル14上の塵や砂、落ち葉等を伴った水が口金25の方向に流れる。この際、落ち葉等の大きなものは、口金25のストレーナ28において捕集されるが、ストレーナ28の目よりも小さな塵は、配管S1を介して貯水槽31内に至ることになる。ここで、ストレーナ28上面に捕集されたものは、通常の清掃作業で容易に除去される。ストレーナ28を通り抜けた塵等を含む水は貯水槽31内に送られ、ポンプP2の作動により濾過装置32へ送られて、濾過装置32で塵や砂等が除去された後、貯水槽31へ戻される。従って、ポンプP1により調整槽30へ供給される水は濾過された水となる。
【0026】
なお、調整槽30内の水位センサ33(センサ33A〜33C)や開閉弁V1の故障等が生じて、水位W1が排水口35の位置よりも上昇した場合は、調整槽30内のオーバーフロー水は配管S3を介して図示しない公共雨水管渠等の排水施設に流すことができる。また、故障がないときであっても、雨等により水位W1が上昇した場合、大量の雨水を排出することができる。その結果として、水位W1が維持される。従って、配管S3は水位保持手段を構成する。なお、舗装10の縁部や中間位置等の適当位置に、排水溝を設けて、豪雨時の雨水を前記槽30,31を経ることなく、この排水溝を介して公共雨水管渠等の排水施設に直接流すこともできる。
【0027】
従って、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、配水口15よりパネル14の窪み部14aに供給された水が常に十分な水量として溜められるので、その水によりパネル14が効果的に冷却される。すなわち、パネル14は、窪み部14aにおける蒸発潜熱と、窪み部14a及び導水路20における水との間の熱交換とにより熱を奪われて冷却される。従って、パネル14及びその表面付近の温度を効率よく下げることができる。また、パネル14の窪み部14aに貯留された水により敷石舗装10全体として水面が広がった景色を呈することができる。
【0028】
(2) 上記実施形態によれば、センサ33A〜33Cにより、窪み部14aの水位W1を調整できる。例えば、夏期の休日は、窪み部14aの最高位に水位W1を設定することにより、窪み部14a内の水深を深くして涼感を高め、夏期の平日は、窪み部14aの上下中間位置に水位W1を設定して歩行者が水たまりを気にせずに歩くことができるようにし、冬期は窪み部14a内に水が貯留されないようにする。このようにして、季節や状況に応じて適切な水位を得ることができる。
【0029】
(3)上記実施形態では、配水口15へ水を供給するための導水路20がパネル14の裏面に形成されている。このため、パネル14を路盤12上に配置するだけで、パネル14と路盤12との間に導水路20よりなる水路を形成することができる。従って、水路のための配管を巡らすことが不要になり、冷却機能を有する敷石舗装10を容易に施工することができる。
【0030】
(4)上記実施形態では、パネル14は窪み部14aや導水路20が形成されるように成形されれば良いため、その製造は簡単で、大量生産に適する。
(5)上記実施形態においては、窪み部14aに充分な量の水を溜めることができるため、パネル14としてポーラスなものを使用する必要がない。このため、苔等の発生を抑制でき、敷石舗装10の表面を清潔に維持できる。
【0031】
(6)上記実施形態においては、導水路20が舗装パネル14の裏面に形成されているため、舗装パネル14を路盤12上に敷設するのみで、水路が形成される。このため工事が簡単になる。
【0032】
(7)上記実施形態では、導水路20と調整槽30との間で配管S1を通じて水の給水や排水を行うことができるようにした。そして、調整槽30の水位センサ33により、敷石舗装10上の水の水位W1を所定の高さに調整できるようにした。このため、水が蒸発しても、窪み部14aの水位W1を所定値に保つことができて、冷却に支障をきたすことを防止できる。
【0033】
(8)上記実施形態では、配水口15が排水口を兼用する。従って、窪み部14aを形成したとしても、雨水等の不要な水を適切に排出できる。
(9)上記実施形態では、パネル14に配水口15の口金25にストレーナ28が設けられているので、そのストレーナ28により配水口15に流入する水から大きなゴミ等を分離することができる。また、ストレーナ28が目詰まりした場合には、口金25を螺退させて雌ネジ体41から取り外すことにより、ストレーナ28の洗浄を容易に行うことができる。従って、配水口15の清掃において、高圧洗浄機を用いるような、手間やコストは不要となる。
【0034】
(10)上記実施形態では、窪み部14aは深く形成する必要はなく、従って窪み部14aの傾斜は緩やかとなって、歩きやすい舗装10を実現できる。
(11)上記実施形態では、口金25の上端にストレーナ28が設けられているため、ハイヒールの踵が口金25内に嵌り込んでしまうこと防止できて、歩きやすい舗装10を実現できる。
【0035】
(12)上記実施形態では、鞘管17の外周に目地16の開口幅を規制するためのボス状の突起17aやリブ17bを設けるようにした。このようにすれば、突起17aやリブ17bを基準にして舗装パネル14を配置できるので、舗装パネル14の施工の容易性が向上するとともに、舗装パネル14を所要の位置に正確に敷設できる。従って、目地16の開口幅が一定になるようにパネル14の位置が規制されるため、敷石舗装10の外観を向上することができる。
【0036】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を、第1実施形態と異なる部分を中心に図6及び図7を用いて説明する。なお、第2実施形態以降の各実施形態及び変形例においては、それらの実施形態及び変形例の説明以前に述べた他の実施形態及び変形例と異なる部分を中心に説明する。
【0037】
第2実施形態においては、パネル14の導水路20に対応する位置において路盤12上に、PVC(ポリ塩化ビニール)等の合成樹脂よりなる底板21が設置される。底板21は、導水路20の下面の開口幅より広い幅に形成されている。底板21は、パネル14の敷設に先立って、路盤12となる未硬化モルタル上に設置される。
【0038】
従って、本実施形態においては、以下の効果がある。
(13) 上記実施形態では、底板21により、導水路20の開口部分が覆われるので、導水路20の内部へのモルタルの侵入を防止することができる。このため、導水路20の断面積が減少することなく、所定の流路断面積の導水路20を得ることができる。
【0039】
(第3の実施形態)
次に、この発明を具体化した第3の実施形態を図8〜図10に基づいて説明する。
本実施形態のパネル14は、導水路20を形成するために導水部材としての水路形成板18をパネル14の下面に埋設している。この水路形成板18は、PVC製の断面円弧状をなす円筒割体が平面十字状に形成されたものである。水路形成板18の中央には、内部に雌ネジが形成された接続管19が一体に形成されている。そして、接続管19の雌ネジに配水口15としてのステンレス製の口金25(図10参照)が螺合される。本実施形態においても、底板21が用いられる。
【0040】
本実施形態においても、第2実施形態と同様な効果を得ることができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明を具体化した第4の実施形態を図11に基づいて説明する。
【0041】
本実施形態においては、図6に示す実施形態と同様な導水路20を構成するように、パネル14の下面に埋設されたPVC製の導水管48は、平面十字状に形成されたPVC製の断面円弧状をなす円筒割部40aと、その円筒割部40aの弦のところに位置する底板40bとを一体形成して、導水管48を中空管状にしたものである。
【0042】
図11(a)に示すように、導水管48の底板40bの先端部には切欠き部40cが形成されている。この切欠き部40cにより、図11(c)に示すように、隣合う舗装パネル14を鞘管17で連結する場合、鞘管17の底板17cと底板40bとが段差を生じることなく、同一高さに配置される。
【0043】
更に、図11(b)に示すように、導水管48の端部に切欠き部40cを設けないようにすることもできる。この場合、隣合う舗装パネル14の導水管48の鞘管17による連結は、導水管48を短くして、その端部を後退させることにより、図11(d)に示すように、導水管48の先端面と、鞘管17の端面とが当接する状態となる。従って、この場合も、鞘管17の底板17cと導水管48の底板40bとが段差を生じることなく、同一高さに配置される。
【0044】
従って、本実施形態においては、以下の効果がある。
(14) 本実施形態においては、導水管48の円筒割部40aと、底板40bとが一体形成されたものであるため、別体に成形された場合と異なり、路盤12を形成するモルタルの導水管48内への侵入を防ぐことができる。また、鞘管17の底板17cと導水管48の底板40bとが同一高さに配置される。このため、導水管48内の水の流れをスムーズにすることができる。
【0045】
(15) 本実施形態においては、導水管48が舗装パネル14に固定され、かつ円筒割部40aと、底板40bとが一体であるため、舗装パネル14の敷設に際して、第3実施形態と比較して底板21を配置する工数を省くことができて、施工工数の削減ができ、しかも部品点数を少なくすることができる。
【0046】
(16) 本実施形態においては、導水管48の底板40bに切欠き部40cが形成されたり、導水管48の先端が後退したりしているため、図11(c)(d)から明らかなように、鞘管17を路盤12上に設置した後に、舗装パネル14の導水管48を被せれば、鞘管17を介して隣り合う導水管48を接続できる。従って、施工が極めて容易である。
【0047】
(第5の実施形態)
次に、本発明を具体化した第5の実施形態を図12及び図13を用いて説明する。
本実施形態では、二種類のパネル14、45が用いられる。一方のパネル14は第1実施形態のパネル14と同じ構成である。他方のパネル45には、導水路20が1条のみ形成されている。そして、複数のパネル14が並んだ列と、複数のパネル45が並んだ列とが交互に配置されて敷石舗装10が形成されている。
【0048】
各パネル14、45の導水路20どうしの連結には、鞘管17が用いられるが、図13から明らかなように、第1実施形態と同じ構成のパネル14のみを配置する場合と異なり、本実施形態では鞘管17の数が少ない。
【0049】
そして、本実施形態においては、以下の効果を得ることができる。
(17)上記実施形態では、導水路20どうしの連結には、少ない数の鞘管17を用いれば足りるので、敷石舗装10を形成する施工工数を低減することができる。
【0050】
(第6の実施形態)
次に、本発明を具体化した第5実施形態を図14に基づいて説明する。
本実施形態においては、パネル14と導水路20とが別体に構成されている。導水路20を形成するために、図11に示す第4実施形態と同様な構成の導水管48が用いられる。このため、本実施形態においては、パネル14の敷設に先立って、路盤12を形成する未硬化のモルタル上に、鞘管17を介して連結した状態で複数の導水管48が配置される。そして、それぞれの導水管48に対して各パネル14の導水路20が嵌め合わされるように、路盤12上に各パネル14が載置される。
【0051】
導水管48の中央部には接続管19が立設しているので、この接続管19の内挿を可能とする孔43がパネル14の中央部に穿設されている。そして、孔43に内挿された接続管19に口金25が螺合される。
【0052】
そして、本実施形態においては以下の効果を得ることができる。
(18)上記実施形態では、パネル14には、成形型により導水管48のための凹部と、配水口15のための孔43とが形成されているだけである。このため、パネル14の製造が簡単である。
【0053】
(第7の実施形態)
次に、本発明を具体化した第7実施形態を図15を用いて説明する。
本実施形態の敷石舗装10を形成するとともに、窪み部37aを有するパネル37は、その裏面の導水路20が蛇行されている。従って、本実施形態では、以下の効果を得ることができる。
【0054】
(19)上記実施形態では、蛇行する形状の導水路20をパネル37の裏面に形成した。このため、導水路20が長くなって、パネル37を効果的に冷却することができる。
(第8の実施形態)
次に、本発明を具体化した第8実施形態を図16及び図17に基づいて説明する。
【0055】
本実施形態はパネルが四角形以外の形状に形成されたものである。
図16に示す窪み部46aを有するパネル46は、平面視正三角形に形成されている。そして、各パネル46において、3条の導水路20が中心から外方に向かって各辺に直交する方向に延びている。各パネル46のそれぞれの導水路20は、隣接するパネル46の導水路20に鞘管17を介して連結している。
【0056】
図17に示す窪み部47aを有するパネル47は、平面視正六角形に形成されている。そして、各パネル47において、1条の直線状の導水路20が六角の中心を通り、互いに対向する二辺に直交する方向に形成されている。また、導水路20が鞘管17を介して連結されている。
【0057】
なお、図16及び図17に示すパネル46、47の窪み部46a、47aはそれぞれ3枚、6枚の三角形状の面により構成されている。
そして、本実施形態においては、以下の効果を得ることができる。
【0058】
(20) 上記実施形態では、敷石舗装10を形成するために、平面視正三角形のパネル46や平面視正六角形のパネル47を用いたため、敷石舗装10のデザイン性を高めることができる。
【0059】
(第9の実施形態)
次に、本発明を具体化した第9実施形態を図18(a)(b)及び図19(a)(b)に基づいて説明する。
【0060】
図18(a)(b)に示す導水路20を構成する導水管51は、丸パイプよりなる。導水管51の上半分はパネル14に固定され、下半分は路盤12内に埋め込まれる。
図19(a)(b)に示す導水路20を構成する導水管53は、角パイプよりなる。そして、導水管53はその下面を残して全体がパネル14内に埋設されている。
【0061】
従って、本実施形態は以下の効果がある。
(21)上記実施形態では、導水路20が丸パイプあるいは角パイプによって構成されているため、導水路20の断面積を確保でき、所要の水量を得ることができる。
【0062】
(変更例)
なお、上記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記各実施形態の構成を適宜に組み合わせること。例えば、図12、図13、図15〜図17に示す実施形態において、図6に示す底板21や、図8に示す水路形成板18や、図11に示す導水管48を設けること。
【0063】
・ 目地16が形成されないように、パネル14を辺どうしが接合された状態で敷設すること。
・ 路盤12に溝を形成し、その溝を導水路20とすること。
【0064】
・ 窪み部14aの底部をパネル14の中央に位置させることなく、中央から外れたところに位置させること。
・ 配水口15を窪み部14aの底部以外のところに配置すること。
【0065】
・ 配水口15を窪み部14aへの給水専用とし、それとは別にパネル14に排水専用の排水口を設けること。
・ 配水口15を窪み部14aへの給水専用とするとともに、目地16に目地材16aを充填することなく、目地16を溝状をなすように開放し、その目地16に対して排水するように構成すること。このようにすれば、目地16が水位保持手段を構成し、センサ等に構成が不要になる。
【0066】
・ 窪み部14aを、略三角形状面により形成したが、球面等の曲面により窪み部14aを形成すること。
【符号の説明】
【0067】
W1…水位、10…敷石舗装、12…路盤、14…舗装パネル、14a,37a,46a,47a…窪み部、15…配水口、19…接続管、20…導水路、21,40b…底板、28…ストレーナ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装用パネルが敷設された敷石舗装に係り、詳しくは、表面付近を冷却することができる敷石舗装に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、夏季における都市部でのヒートアイランド現象による異常気温上昇が問題となっている。この異常気温上昇下では、街路の歩道や広場等を歩く歩行者にとって、路面からの輻射熱を受けることは耐え難いものである。この輻射熱による不快感を抑えるために、歩道等の路面の温度を降下させる技術が種々提案されている。
【0003】
特許文献1では、図20に示すように、透水性を有するポーラス状の舗装用パネル63の側面間に、周壁に複数の通孔65を有すると共に、不織布66が巻回された導水管64が配設されている。そして、この導水管64の通孔65から不織布66を介して舗装用パネル63に水を浸透させれば、舗装用パネル63の表面で水が気化されるので、その気化熱により舗装用パネル63の温度が下げられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−169285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のパネル舗装構造は、導水管64から流出された水を毛細管現象により舗装用パネル63の表層部まで浸透させる構成である。このため、冷却のために十分な量の水を舗装用パネル63の表層部に供給することが難しく、冷却能力が不足する。また、ポーラスな舗装用パネル63は、透水性と共に保水性を有するため、雨水により舗装用パネル63の湿潤状態が持続することがある。そして、湿潤状態が長引くと、表面にバクテリアが繁殖したり、苔が繁茂したりし易く、不潔な外観を呈する虞がある。これを取り除く場合、通常の洗浄では困難で、例えば高圧洗浄機が必要になって、手間や費用がかかる。
【0006】
本発明は、このような問題に着目してなされたものであり、その目的とするところは、敷石舗装の表面及び表面付近を有効に冷却することができるとともに、表面を清潔の維持できる敷石舗装を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために請求項1に記載の敷石舗装の発明は、路盤上に舗装パネルを敷設した敷石舗装において、前記舗装パネルの表面に水を溜めるための窪み部を形成するとともに、配水口を設け、前記舗装パネルと路盤との間に導水路を形成して、その導水路と前記配水口とを連通させ、水が導水路及び配水口から前記窪み部に供給されるようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
上記構成によれば、配水口から供給された水が舗装パネルの窪み部に多量に溜められる。このため、敷石舗装の表面及びその表面付近を有効に冷却できる。また、舗装パネルをポーラスに構成する必要がないため、冷却が不要なときには表面を乾燥させることができて、バクテリアや苔の発生を抑制できる。
【0009】
請求項2においては、前記配水口を窪み部の底部に設けたことを特徴とする。
請求項3においては、前記導水路を、前記舗装パネルの裏面に形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項4においては、前記導水路を、前記舗装パネルの裏面に設けられた管状の導水部材によって形成したことを特徴とする。
請求項5においては、前記導水路の下面開口を閉鎖する底板を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項6においては、前記導水路には、隣接する他の舗装パネルの導水路と接続するためのジョイントを設けたことを特徴とする。
請求項7においては、前記導水部材には、前記配水口に接続される接続管を一体形成したことを特徴とする。
【0012】
請求項8においては、前記配水口に排水系を接続したことを特徴とする。
請求項9においては、前記配水口にストレーナを設けたことを特徴とする。
請求項10においては、前記窪み部における水位を保持するための水位保持手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、配水口から供給された水が舗装パネルの窪み部に多量に溜められるため、敷石舗装の表面及びその表面付近を有効に冷却できるとともに、表面のバクテリア発生等を抑制して、表面を清潔に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態の敷石舗装を示す斜視図。
【図2】(a)は図1のA−A矢視断面図と詳細図を示し、(b)は詳細図の変形例を示す。
【図3】第1実施形態の舗装パネルを示す斜視図。
【図4】(a)は配水口部分の断面図、(b)は配水口の口金の平面図。
【図5】敷石舗装に対する給排水を行うシステムの簡略図。
【図6】第2実施形態を示す斜視図。
【図7】第2実施形態を示す断面図。
【図8】第3実施形態を示す分解斜視図。
【図9】第3実施形態を示す断面図。
【図10】第3実施形態の口金を示す断面図。
【図11】(a)は第4実施形態を示す斜視図、(b)は同第4実施形態における別例を示す斜視図、(c)は鞘管により連結された状態の舗装パネルの一部を示す断面図、(d)は別例の端部が鞘管により連結された状態の舗装パネルの一部を示す断面図。
【図12】(a)(b)は第5実施形態を示す斜視図。
【図13】第5実施形態を示す平面図。
【図14】第6実施形態を示す分解斜視図。
【図15】第7実施形態を示す平面図。
【図16】第8実施形態を示す平面図。
【図17】第8実施形態の図16とは異なる例を示す平面図。
【図18】(a)は第9実施形態を示す断面図、(b)は(a)のB−B矢視断面図。
【図19】(a)は第9実施形態の図18とは異なる例を示す断面図、(b)は(a)のC−C矢視断面図。
【図20】従来技術を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図1〜5に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、路床11上にモルタル製の路盤12が形成されている。この路盤12の上面には、PCコンクリートやRCコンクリートよりなる四角形平板状の複数の舗装パネル(以下、単にパネルという)14が碁盤目状に敷設されると共に、パネル14間の目地16には目地材16aとしてモルタルが充填されている。このようにして舗道等の敷石舗装10が構成されている。
【0016】
図3に示すように、パネル14の表面には窪み部14aが形成されている。この窪み部14aは、パネル14の外縁を底辺とした4枚の三角形状の面により形成されている。なお、この窪み部14aの深さは、舗装パネル14の外形が、例えば(300)×(300)mmの場合、5〜10mm程度でよい。パネル14の中央部には、給水及び排水の機能を有する配水口15が設けられている。パネル14の裏面には、断面半円状の導水路20がパネル14の中央で交差する平面十字状に形成されている。隣接するパネル14の各導水路20は、ジョイントとしての鞘管17によって連結されている。図2(a)の円S内に示すように、鞘管17は、外周に形成されたボス状の突起17aが目地16の開口幅を規制した状態で、目地材16aに埋設される。なお、図2(b)の円S内に示すように、ボス状の突起17aに替わり、一対のリブ17bを設けるようにしてもよい。導水路20が交差する部分と前記配水口15とは連通されている。
【0017】
図4(a)(b)に示すように、前記配水口15は以下のように構成されている。すなわち、パネル14の中央に、外周にフランジ部42を有すると共に、内面に雌ネジが形成された中空円筒状の雌ネジ体41が埋設されている。口金25は、前記雌ネジに螺合する雄ネジが形成された円筒状基体26とフランジ部27とより構成されている。口金25のフランジ部27の凹部27aには、ステンレス製のストレーナ28が取り付けられている。また、フランジ部27の外縁部の4ヶ所には凹部29が形成されている。この凹部29に図示しない工具を掛けることにより、口金25を回動させることができる。そして、導水路20の水が、配水口15の口金25を介してパネル14の窪み部14aに供給される。
【0018】
次に、本実施形態の敷石舗装10に水を供給するとともに、窪み部14aの水を排出するための構成を説明する。
図5に示すように、敷石舗装10の近傍には調整槽30と貯水槽31とが設けられている。前記導水路20と調整槽30とは配管S1で連結されている。
【0019】
そして、貯水槽31の水位センサ34により同槽31内の水位が所定値よりも下がっていることが検出された時、開閉弁V3が開かれて、配管S5を介して図示しない水源からの水が貯水槽31内に供給される。また、水位センサ34により貯水槽31の水位が所定値よりも上がっていることが検出された時、開閉弁V2が開かれて、配管S6を介して貯水槽31内の水が排水施設へ排出される。
【0020】
なお、貯水槽31の水位センサ34や開閉弁V2の故障等が生じた場合は、貯水槽31内のオーバーフロー水を、前記水位センサ34による設定水位よりやや上方に位置する排水口36から配管S7を介して図示しない公共雨水管渠等の排水施設に流すことができる。
【0021】
調整槽30には、貯水槽31の水が、ポンプP1の作動により配管S2を通じて供給される。この水の供給は、水位保持手段としての水位センサ33により検知される水位W1が設定された高さとなるまで継続される。そして、窪み部14a内の水位は、水位センサ33の検出によって維持される。
【0022】
すなわち、調整槽30内の水は、導水路20及び配水口15を介して窪み部14aに供給されて溜まり、所定の水位W1に保たれる。このため、パネル14は、水との接触によって温度降下されるとともに、水面からの蒸発による潜熱により温度降下される。
【0023】
ここで、調整槽30の水位センサ33は複数のセンサ33A〜33Cよって構成されている。そして、図示しないスイッチ等の切換え手段によって、ひとつのセンサ33A〜33Cの機能が有効化される。これらのセンサ33A〜33Cは、上下位置が相違し、この上下位置の相違により、それぞれ設定水位W1が異なる。例えば、センサ33Aは前記窪み部14aの最高位に水位W1を設定して、窪み部14a内の水深を深くし、センサ33Bは、窪み部14aの上下中間位置に水位W1を設定して、窪み部14a内の水深を浅くし、センサ33Cは窪み部14a内に水が貯留されない高さまで水位W1を低く設定する。
【0024】
配水口15から窪み部14aの水を排出する場合や、同窪み部14aの雨水を排出する場合には、開閉弁V1の開放により調整槽30内の水位が下げられることによって達成される。
【0025】
この排水時には、パネル14上の塵や砂、落ち葉等を伴った水が口金25の方向に流れる。この際、落ち葉等の大きなものは、口金25のストレーナ28において捕集されるが、ストレーナ28の目よりも小さな塵は、配管S1を介して貯水槽31内に至ることになる。ここで、ストレーナ28上面に捕集されたものは、通常の清掃作業で容易に除去される。ストレーナ28を通り抜けた塵等を含む水は貯水槽31内に送られ、ポンプP2の作動により濾過装置32へ送られて、濾過装置32で塵や砂等が除去された後、貯水槽31へ戻される。従って、ポンプP1により調整槽30へ供給される水は濾過された水となる。
【0026】
なお、調整槽30内の水位センサ33(センサ33A〜33C)や開閉弁V1の故障等が生じて、水位W1が排水口35の位置よりも上昇した場合は、調整槽30内のオーバーフロー水は配管S3を介して図示しない公共雨水管渠等の排水施設に流すことができる。また、故障がないときであっても、雨等により水位W1が上昇した場合、大量の雨水を排出することができる。その結果として、水位W1が維持される。従って、配管S3は水位保持手段を構成する。なお、舗装10の縁部や中間位置等の適当位置に、排水溝を設けて、豪雨時の雨水を前記槽30,31を経ることなく、この排水溝を介して公共雨水管渠等の排水施設に直接流すこともできる。
【0027】
従って、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、配水口15よりパネル14の窪み部14aに供給された水が常に十分な水量として溜められるので、その水によりパネル14が効果的に冷却される。すなわち、パネル14は、窪み部14aにおける蒸発潜熱と、窪み部14a及び導水路20における水との間の熱交換とにより熱を奪われて冷却される。従って、パネル14及びその表面付近の温度を効率よく下げることができる。また、パネル14の窪み部14aに貯留された水により敷石舗装10全体として水面が広がった景色を呈することができる。
【0028】
(2) 上記実施形態によれば、センサ33A〜33Cにより、窪み部14aの水位W1を調整できる。例えば、夏期の休日は、窪み部14aの最高位に水位W1を設定することにより、窪み部14a内の水深を深くして涼感を高め、夏期の平日は、窪み部14aの上下中間位置に水位W1を設定して歩行者が水たまりを気にせずに歩くことができるようにし、冬期は窪み部14a内に水が貯留されないようにする。このようにして、季節や状況に応じて適切な水位を得ることができる。
【0029】
(3)上記実施形態では、配水口15へ水を供給するための導水路20がパネル14の裏面に形成されている。このため、パネル14を路盤12上に配置するだけで、パネル14と路盤12との間に導水路20よりなる水路を形成することができる。従って、水路のための配管を巡らすことが不要になり、冷却機能を有する敷石舗装10を容易に施工することができる。
【0030】
(4)上記実施形態では、パネル14は窪み部14aや導水路20が形成されるように成形されれば良いため、その製造は簡単で、大量生産に適する。
(5)上記実施形態においては、窪み部14aに充分な量の水を溜めることができるため、パネル14としてポーラスなものを使用する必要がない。このため、苔等の発生を抑制でき、敷石舗装10の表面を清潔に維持できる。
【0031】
(6)上記実施形態においては、導水路20が舗装パネル14の裏面に形成されているため、舗装パネル14を路盤12上に敷設するのみで、水路が形成される。このため工事が簡単になる。
【0032】
(7)上記実施形態では、導水路20と調整槽30との間で配管S1を通じて水の給水や排水を行うことができるようにした。そして、調整槽30の水位センサ33により、敷石舗装10上の水の水位W1を所定の高さに調整できるようにした。このため、水が蒸発しても、窪み部14aの水位W1を所定値に保つことができて、冷却に支障をきたすことを防止できる。
【0033】
(8)上記実施形態では、配水口15が排水口を兼用する。従って、窪み部14aを形成したとしても、雨水等の不要な水を適切に排出できる。
(9)上記実施形態では、パネル14に配水口15の口金25にストレーナ28が設けられているので、そのストレーナ28により配水口15に流入する水から大きなゴミ等を分離することができる。また、ストレーナ28が目詰まりした場合には、口金25を螺退させて雌ネジ体41から取り外すことにより、ストレーナ28の洗浄を容易に行うことができる。従って、配水口15の清掃において、高圧洗浄機を用いるような、手間やコストは不要となる。
【0034】
(10)上記実施形態では、窪み部14aは深く形成する必要はなく、従って窪み部14aの傾斜は緩やかとなって、歩きやすい舗装10を実現できる。
(11)上記実施形態では、口金25の上端にストレーナ28が設けられているため、ハイヒールの踵が口金25内に嵌り込んでしまうこと防止できて、歩きやすい舗装10を実現できる。
【0035】
(12)上記実施形態では、鞘管17の外周に目地16の開口幅を規制するためのボス状の突起17aやリブ17bを設けるようにした。このようにすれば、突起17aやリブ17bを基準にして舗装パネル14を配置できるので、舗装パネル14の施工の容易性が向上するとともに、舗装パネル14を所要の位置に正確に敷設できる。従って、目地16の開口幅が一定になるようにパネル14の位置が規制されるため、敷石舗装10の外観を向上することができる。
【0036】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を、第1実施形態と異なる部分を中心に図6及び図7を用いて説明する。なお、第2実施形態以降の各実施形態及び変形例においては、それらの実施形態及び変形例の説明以前に述べた他の実施形態及び変形例と異なる部分を中心に説明する。
【0037】
第2実施形態においては、パネル14の導水路20に対応する位置において路盤12上に、PVC(ポリ塩化ビニール)等の合成樹脂よりなる底板21が設置される。底板21は、導水路20の下面の開口幅より広い幅に形成されている。底板21は、パネル14の敷設に先立って、路盤12となる未硬化モルタル上に設置される。
【0038】
従って、本実施形態においては、以下の効果がある。
(13) 上記実施形態では、底板21により、導水路20の開口部分が覆われるので、導水路20の内部へのモルタルの侵入を防止することができる。このため、導水路20の断面積が減少することなく、所定の流路断面積の導水路20を得ることができる。
【0039】
(第3の実施形態)
次に、この発明を具体化した第3の実施形態を図8〜図10に基づいて説明する。
本実施形態のパネル14は、導水路20を形成するために導水部材としての水路形成板18をパネル14の下面に埋設している。この水路形成板18は、PVC製の断面円弧状をなす円筒割体が平面十字状に形成されたものである。水路形成板18の中央には、内部に雌ネジが形成された接続管19が一体に形成されている。そして、接続管19の雌ネジに配水口15としてのステンレス製の口金25(図10参照)が螺合される。本実施形態においても、底板21が用いられる。
【0040】
本実施形態においても、第2実施形態と同様な効果を得ることができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明を具体化した第4の実施形態を図11に基づいて説明する。
【0041】
本実施形態においては、図6に示す実施形態と同様な導水路20を構成するように、パネル14の下面に埋設されたPVC製の導水管48は、平面十字状に形成されたPVC製の断面円弧状をなす円筒割部40aと、その円筒割部40aの弦のところに位置する底板40bとを一体形成して、導水管48を中空管状にしたものである。
【0042】
図11(a)に示すように、導水管48の底板40bの先端部には切欠き部40cが形成されている。この切欠き部40cにより、図11(c)に示すように、隣合う舗装パネル14を鞘管17で連結する場合、鞘管17の底板17cと底板40bとが段差を生じることなく、同一高さに配置される。
【0043】
更に、図11(b)に示すように、導水管48の端部に切欠き部40cを設けないようにすることもできる。この場合、隣合う舗装パネル14の導水管48の鞘管17による連結は、導水管48を短くして、その端部を後退させることにより、図11(d)に示すように、導水管48の先端面と、鞘管17の端面とが当接する状態となる。従って、この場合も、鞘管17の底板17cと導水管48の底板40bとが段差を生じることなく、同一高さに配置される。
【0044】
従って、本実施形態においては、以下の効果がある。
(14) 本実施形態においては、導水管48の円筒割部40aと、底板40bとが一体形成されたものであるため、別体に成形された場合と異なり、路盤12を形成するモルタルの導水管48内への侵入を防ぐことができる。また、鞘管17の底板17cと導水管48の底板40bとが同一高さに配置される。このため、導水管48内の水の流れをスムーズにすることができる。
【0045】
(15) 本実施形態においては、導水管48が舗装パネル14に固定され、かつ円筒割部40aと、底板40bとが一体であるため、舗装パネル14の敷設に際して、第3実施形態と比較して底板21を配置する工数を省くことができて、施工工数の削減ができ、しかも部品点数を少なくすることができる。
【0046】
(16) 本実施形態においては、導水管48の底板40bに切欠き部40cが形成されたり、導水管48の先端が後退したりしているため、図11(c)(d)から明らかなように、鞘管17を路盤12上に設置した後に、舗装パネル14の導水管48を被せれば、鞘管17を介して隣り合う導水管48を接続できる。従って、施工が極めて容易である。
【0047】
(第5の実施形態)
次に、本発明を具体化した第5の実施形態を図12及び図13を用いて説明する。
本実施形態では、二種類のパネル14、45が用いられる。一方のパネル14は第1実施形態のパネル14と同じ構成である。他方のパネル45には、導水路20が1条のみ形成されている。そして、複数のパネル14が並んだ列と、複数のパネル45が並んだ列とが交互に配置されて敷石舗装10が形成されている。
【0048】
各パネル14、45の導水路20どうしの連結には、鞘管17が用いられるが、図13から明らかなように、第1実施形態と同じ構成のパネル14のみを配置する場合と異なり、本実施形態では鞘管17の数が少ない。
【0049】
そして、本実施形態においては、以下の効果を得ることができる。
(17)上記実施形態では、導水路20どうしの連結には、少ない数の鞘管17を用いれば足りるので、敷石舗装10を形成する施工工数を低減することができる。
【0050】
(第6の実施形態)
次に、本発明を具体化した第5実施形態を図14に基づいて説明する。
本実施形態においては、パネル14と導水路20とが別体に構成されている。導水路20を形成するために、図11に示す第4実施形態と同様な構成の導水管48が用いられる。このため、本実施形態においては、パネル14の敷設に先立って、路盤12を形成する未硬化のモルタル上に、鞘管17を介して連結した状態で複数の導水管48が配置される。そして、それぞれの導水管48に対して各パネル14の導水路20が嵌め合わされるように、路盤12上に各パネル14が載置される。
【0051】
導水管48の中央部には接続管19が立設しているので、この接続管19の内挿を可能とする孔43がパネル14の中央部に穿設されている。そして、孔43に内挿された接続管19に口金25が螺合される。
【0052】
そして、本実施形態においては以下の効果を得ることができる。
(18)上記実施形態では、パネル14には、成形型により導水管48のための凹部と、配水口15のための孔43とが形成されているだけである。このため、パネル14の製造が簡単である。
【0053】
(第7の実施形態)
次に、本発明を具体化した第7実施形態を図15を用いて説明する。
本実施形態の敷石舗装10を形成するとともに、窪み部37aを有するパネル37は、その裏面の導水路20が蛇行されている。従って、本実施形態では、以下の効果を得ることができる。
【0054】
(19)上記実施形態では、蛇行する形状の導水路20をパネル37の裏面に形成した。このため、導水路20が長くなって、パネル37を効果的に冷却することができる。
(第8の実施形態)
次に、本発明を具体化した第8実施形態を図16及び図17に基づいて説明する。
【0055】
本実施形態はパネルが四角形以外の形状に形成されたものである。
図16に示す窪み部46aを有するパネル46は、平面視正三角形に形成されている。そして、各パネル46において、3条の導水路20が中心から外方に向かって各辺に直交する方向に延びている。各パネル46のそれぞれの導水路20は、隣接するパネル46の導水路20に鞘管17を介して連結している。
【0056】
図17に示す窪み部47aを有するパネル47は、平面視正六角形に形成されている。そして、各パネル47において、1条の直線状の導水路20が六角の中心を通り、互いに対向する二辺に直交する方向に形成されている。また、導水路20が鞘管17を介して連結されている。
【0057】
なお、図16及び図17に示すパネル46、47の窪み部46a、47aはそれぞれ3枚、6枚の三角形状の面により構成されている。
そして、本実施形態においては、以下の効果を得ることができる。
【0058】
(20) 上記実施形態では、敷石舗装10を形成するために、平面視正三角形のパネル46や平面視正六角形のパネル47を用いたため、敷石舗装10のデザイン性を高めることができる。
【0059】
(第9の実施形態)
次に、本発明を具体化した第9実施形態を図18(a)(b)及び図19(a)(b)に基づいて説明する。
【0060】
図18(a)(b)に示す導水路20を構成する導水管51は、丸パイプよりなる。導水管51の上半分はパネル14に固定され、下半分は路盤12内に埋め込まれる。
図19(a)(b)に示す導水路20を構成する導水管53は、角パイプよりなる。そして、導水管53はその下面を残して全体がパネル14内に埋設されている。
【0061】
従って、本実施形態は以下の効果がある。
(21)上記実施形態では、導水路20が丸パイプあるいは角パイプによって構成されているため、導水路20の断面積を確保でき、所要の水量を得ることができる。
【0062】
(変更例)
なお、上記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記各実施形態の構成を適宜に組み合わせること。例えば、図12、図13、図15〜図17に示す実施形態において、図6に示す底板21や、図8に示す水路形成板18や、図11に示す導水管48を設けること。
【0063】
・ 目地16が形成されないように、パネル14を辺どうしが接合された状態で敷設すること。
・ 路盤12に溝を形成し、その溝を導水路20とすること。
【0064】
・ 窪み部14aの底部をパネル14の中央に位置させることなく、中央から外れたところに位置させること。
・ 配水口15を窪み部14aの底部以外のところに配置すること。
【0065】
・ 配水口15を窪み部14aへの給水専用とし、それとは別にパネル14に排水専用の排水口を設けること。
・ 配水口15を窪み部14aへの給水専用とするとともに、目地16に目地材16aを充填することなく、目地16を溝状をなすように開放し、その目地16に対して排水するように構成すること。このようにすれば、目地16が水位保持手段を構成し、センサ等に構成が不要になる。
【0066】
・ 窪み部14aを、略三角形状面により形成したが、球面等の曲面により窪み部14aを形成すること。
【符号の説明】
【0067】
W1…水位、10…敷石舗装、12…路盤、14…舗装パネル、14a,37a,46a,47a…窪み部、15…配水口、19…接続管、20…導水路、21,40b…底板、28…ストレーナ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路盤上に舗装パネルを敷設した敷石舗装において、
前記舗装パネルの表面に水を溜めるための窪み部を形成するとともに、配水口を設け、前記舗装パネルと路盤との間に導水路を形成して、その導水路と前記配水口とを連通させ、水が導水路及び配水口から前記窪み部に供給されるようにしたことを特徴とする敷石舗装。
【請求項2】
前記配水口を窪み部の底部に設けたことを特徴とする請求項1に記載の敷石舗装。
【請求項3】
前記導水路を、前記舗装パネルの裏面に形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の敷石舗装。
【請求項4】
前記導水路を、前記舗装パネルの裏面に設けられた管状の導水部材によって形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の敷石舗装。
【請求項5】
前記導水路の下面開口を閉鎖する底板を設けたことを特徴とする請求項3または4に記載の敷石舗装。
【請求項6】
前記導水路には、隣接する他の舗装パネルの導水路と接続するためのジョイントを設けたことを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の敷石舗装。
【請求項7】
前記導水部材には、前記配水口に接続される接続管を一体形成したことを特徴とする請求項4に記載の敷石舗装。
【請求項8】
前記配水口に排水系を接続したことを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の敷石舗装。
【請求項9】
前記配水口にストレーナを設けたことを特徴とする請求項7に記載の敷石舗装。
【請求項10】
前記窪み部における水位を保持するための水位保持手段を設けたことを特徴とする請求項1〜9のうちいずれか一項に記載の敷石舗装。
【請求項1】
路盤上に舗装パネルを敷設した敷石舗装において、
前記舗装パネルの表面に水を溜めるための窪み部を形成するとともに、配水口を設け、前記舗装パネルと路盤との間に導水路を形成して、その導水路と前記配水口とを連通させ、水が導水路及び配水口から前記窪み部に供給されるようにしたことを特徴とする敷石舗装。
【請求項2】
前記配水口を窪み部の底部に設けたことを特徴とする請求項1に記載の敷石舗装。
【請求項3】
前記導水路を、前記舗装パネルの裏面に形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の敷石舗装。
【請求項4】
前記導水路を、前記舗装パネルの裏面に設けられた管状の導水部材によって形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の敷石舗装。
【請求項5】
前記導水路の下面開口を閉鎖する底板を設けたことを特徴とする請求項3または4に記載の敷石舗装。
【請求項6】
前記導水路には、隣接する他の舗装パネルの導水路と接続するためのジョイントを設けたことを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の敷石舗装。
【請求項7】
前記導水部材には、前記配水口に接続される接続管を一体形成したことを特徴とする請求項4に記載の敷石舗装。
【請求項8】
前記配水口に排水系を接続したことを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の敷石舗装。
【請求項9】
前記配水口にストレーナを設けたことを特徴とする請求項7に記載の敷石舗装。
【請求項10】
前記窪み部における水位を保持するための水位保持手段を設けたことを特徴とする請求項1〜9のうちいずれか一項に記載の敷石舗装。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−226068(P2011−226068A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93968(P2010−93968)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】
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