説明

文字コード選択装置

【課題】手動操作で所望の文字コードを指定する際の操作回数の低減、操作の簡略化、操作性の向上が可能となる文字コード選択装置を提供すること。
【解決手段】ハンズフリー電話装置50は、選択候補としての文字コードの名称とこの文字コードを用いて入力データの一部に対して変換を行った後の文字列を有するプレビュー領域との組が含まれる文字コード選択画面を作成する選択画面作成部80と、文字コード選択画面を表示する選択画面表示処理部78および表示部66と、利用者の操作を受け付ける操作部60と、操作部60を用いた利用者の指示に応じて、表示中の文字コード選択画面に含まれる文字コードの選択を行う文字コード選択部84とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字列データの記述に用いた文字コードを手動で設定する文字コード選択装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、入力データに対して文字コードの自動判別を行い、判別した文字コードを用いて入力データを文字列に変換して出力するようにした文字コード自動判別システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この文字コード自動判別システムでは、入力データに対して複数の文字コードを用いてバイナリ値を文字列に変換した後に、各文字コードで変換した文字列を統計的に解析し、さらに解析結果に基づいて各文字コードに統計的評価値を付与することにより、入力データの記述に用いた文字コードの種類を判別している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−176237号公報(第5−10頁、図1−7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1に開示されたシステム等を用いることで入力データを記述した文字コードを自動判別することができるが、自動判別が不可能な場合や誤って判別した場合には、一般には手動操作による文字コードの指定が行われる。例えば、自動判別された文字コードを用いて誤った文字列(意味不明の文字列)が表示された画面が表示されている状態で、手動操作による文字コードの指定が利用者によって行われると、表示中の誤った文字列がこの新たに指定された文字コードを用いた文字列に変更される。この変更によって正しい文字列が表示された場合には、以後この文字コードを用いた変換処理が行われる。一方、変更後も誤った文字列が表示された場合には、手動操作による文字コードの再度の指定が利用者によって行われ、この動作が表示内容が正しくなるまで繰り返される。このように、従来は、手動操作による文字コードの指定とこの文字コードを用いた文字列の変換および変換後の文字列の表示が繰り返されることになり、操作回数が多くなって操作が煩雑であり操作性が悪いという問題があった。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、手動操作で所望の文字コードを指定する際の操作回数の低減、操作の簡略化、操作性の向上が可能となる文字コード選択装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の文字コード選択装置は、選択候補としての文字コードの名称と、この文字コードを用いて入力データの一部に対して変換を行った後の文字列を有するプレビュー領域との組が含まれる文字コード選択画面を作成する選択画面作成手段と、選択画面作成手段によって作成された文字コード選択画面を表示する選択画面表示手段と、利用者の操作を受け付ける操作手段と、操作手段を用いた利用者の指示に応じて、表示中の文字コード選択画面に含まれる文字コードの選択を行う文字コード選択手段とを備えている。
【0007】
文字コードを選択する文字コード選択画面に各文字コードを用いて変換した場合の結果としての文字列が含まれるため、実際に文字コードを選択して入力データに対して変換を行う前に文字コードの選択が適切か否かを知ることができ、手動操作で文字コードを指定する際の操作回数を低減することができ、操作の簡略化および操作性の向上が可能となる。
【0008】
また、上述した文字コード選択手段によって文字コードが選択される前に、いずれかの文字コードを用いて入力データに対して文字列への変換を行う文字列変換手段と、文字列変換手段によって変換された後の文字列を表示する文字列表示手段とさらにを備え、文字列表示手段によって文字列が表示されているときであって、操作手段を用いて利用者によって文字コード選択動作への移行が指示されたときに、文字コード選択画面の表示が行われることが望ましい。これにより、その時点の表示内容に基づいて文字コードの誤りが発見された場合に限って手動操作による文字コードの指定を行えばよいため、手動操作による文字コード指定の機会を減らして、さらなる操作回数の低減、操作の簡略化および操作性の向上が可能となる。
【0009】
また、上述した選択画面作成手段は、プレビュー領域に対応する一部の入力データとして、文字コード選択画面を表示する直前に文字列表示手段に表示されていた文字列に対応する入力データを用いることが望ましい。表示内容の誤りが発見された場合の入力データを用いてプレビュー領域を作成することができるため、各文字コードを用いた結果正しい変換がなされるか否かを確実に知ることができる。
【0010】
また、上述したプレビュー領域における表示対象となり得る文字コードの値の範囲を示すプレビュー対象範囲と、プレビュー領域における表示対象から除外される文字コードの値の範囲を示すプレビュー対象除外範囲とがあらかじめ設定されており、選択画面作成手段は、文字コード選択画面を表示する直前に文字列表示手段に表示されていた文字列に対応する入力データであって、プレビュー対象範囲に含まれる入力データを、プレビュー領域に対応する一部の入力データとして用いることが望ましい。具体的には、上述したプレビュー対象除外範囲には、数字とアルファベットに対応する文字コードの値が含まれていることが望ましい。あるいは、上述したプレビュー対象除外範囲には、数字とアルファベットに対応する文字コードの値に加えて、あらかじめ複数の文字コードの共通の値に同じ記号が対応していることが確かめられている一部の記号に対応する文字コードの値が含まれていることが望ましい。これにより、表示中の入力データの中から、各文字コードに対応してプレビュー領域の表示内容が異なるものを抽出することが可能になるため、各文字コードを用いた結果正しい変換がなされるか否かをさらに確実に知ることができる。
【0011】
また、上述した文字列表示手段による文字列の表示は、操作手段を用いた利用者の指示に応じた表示内容のスクロール動作を伴いながら行われ、選択画面作成手段は、操作手段を用いた利用者の指示に応じて文字コード選択動作への移行が指示されたときに、文字列表示手段によって表示対象の文字列として最後に加わった文字列に対応する入力データを、プレビュー領域に対応する一部の入力データとして用いることが望ましい。これにより、表示内容をスクロールさせることによって新たに変換誤りが生じた入力データに対して各文字コードによる変換を行った結果をプレビュー領域に表示させることができるため、所望の文字コードを容易に見つけることができる。
【0012】
また、上述した文字コード選択手段によって文字コードが選択された後に、この選択された文字コードを用いて入力データに対して文字列への変換を行う文字列変換手段と、文字列変換手段によって変換された後の文字列を表示する文字列表示手段とをさらに備えることが望ましい。これにより、少ない操作回数で適切な文字コードを指定した後に、この文字コードを用いて入力データに対して再度正しい変換を行って、この入力データに対応する正しい文字列を表示させることができる。
【0013】
また、上述した操作手段を用いて利用者によって文字コード選択動作への移行が指示されたときに、文字コード選択画面の表示が行われることが望ましい。これにより、必要な場合に限って、しかも、利用者が希望した場合に限って文字コードの手動設定を実施することが可能となる。
【0014】
また、上述した文字コード選択画面には、文字コードの名称とプレビュー領域との組が複数含まれており、文字コード選択手段は、操作手段を用いた利用者の指示に応じて、これら複数の組の中から、変換後の文字列の内容が正しい文字コードを選択することが望ましい。これにより、複数の文字コードのそれぞれに対応して変換が正しくなされるか否かを実際に文字コードを指定する前に比較、検証することができるため、複数の文字コードの中から適切な文字コードを選択する場合の操作回数を大幅に低減することができる。
【0015】
また、上述した文字コード選択画面には、文字コードの名称とプレビュー領域との組が1つ含まれており、選択画面作成手段は、操作手段を用いた利用者の指示に応じて、異なる文字コードに対応する文字コード選択画面を次々に作成し、文字コード選択手段は、操作手段を用いた利用者の指示に応じて、いずれかの文字コード選択画面に含まれる変換後の文字列の内容が正しい文字コードを選択することが望ましい。これにより、表示面積が少ない機器において文字コードを選択する際についても、選択候補となる文字コードを表示させるだけで変換後の文字列の正誤確認を行うことができ、最終的に適切な文字コードを選択するまでの操作回数の大幅な低減が可能になる。
【0016】
また、上述した選択画面作成手段は、所定の順番で切り替えて表示する複数の文字コード選択画面を作成し、優先順位が高い言語に対応する文字コードが、表示順番が早い文字コード選択画面に含まれることが望ましい。具体的には、上述した優先順位が高い言語は、入力データが入力される装置において設定されている使用言語であることが望ましい。あるいは、上述した優先順位が高い言語は、入力データが入力される装置の使用場所において使用される可能性が最も高い言語であることが望ましい。あるいは、上述した優先順位が高い言語は、過去に文字コード選択手段によって選択されたことがある文字コードに対応する言語であることが望ましい。これにより、表示順番が早い時点で所望の文字コードを選択する可能性を高めることができ、それまでの操作回数を減らすことができる。
【0017】
また、上述した入力データは、携帯電話に備わったメモリに格納された電話帳データであり、携帯電話から送られてくる電話帳データの内容を車載機器において表示する際に、車載機器に備わった選択画面作成手段、選択画面表示手段、操作手段、文字コード選択手段によって、使用する文字コードを手動で選択することが望ましい。これにより、各社から製造、販売された携帯電話を接続して電話帳データを読み込んで表示させた時点で文字化けにより正しく表示されない内容を正しく表示させるまでの操作の簡略化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一実施形態のハンズフリー電話システムの構成を示す図である。
【図2】ハンズフリー電話装置内の制御部の詳細構成を示す図である。
【図3】文字コード設定に関連するハンズフリー電話装置内の制御部の動作手順を示す流れ図である。
【図4】電話帳画面の具体例を示す図である。
【図5】文字コード選択画面の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の文字コード選択装置を適用した一実施形態のハンズフリー電話システムについて、図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態のハンズフリー電話システムの構成を示す図である。このシステムは、車両に搭載されており、利用者が携帯電話を手に持つことなく通話を行うためのものである。
【0020】
図1に示すハンズフリー電話システムは、ブルーツースによって相互に接続された携帯電話機10とハンズフリー電話装置50とを備えている。
【0021】
携帯電話機10は、アンテナ12、送話器14、受話器16、送受信部18、制御部20、着信音出力部22、操作部24、電話帳メモリ26、表示部28、インタフェース部(IF)30を備えている。
【0022】
アンテナ12は、基地局から無線で送られてくる信号を受信するとともに、携帯電話機10から基地局に向けて信号を無線で送信する。
【0023】
送話器14は、利用者(話者)の音声を入力する。受話器16は、通話相手の音声を出力する。
【0024】
送受信部18は、電源スイッチ(図示せず)がオンされたときに動作し、受信時に、アンテナ12を介して受信した無線信号をベースバンド信号に変換し、受信信号に含まれる制御データを制御部20に入力し、音声データを受話器16に入力する。
【0025】
また、送受信部18は、送信時に、制御部20から入力される制御データや送話器14から入力される音声データを無線信号に変換してアンテナ12から基地局に向けて送信する。
【0026】
制御部20は、携帯電話機10全体の制御を行うとともに、ハンズフリー電話装置50との間でのブルーツースを介して電話帳データ等の各種データの送受信を行う。
【0027】
着信音出力部22は、着信があると所定の着信メロディを出力して着信を利用者に知らせる。操作部24は、各種の設定や入力を行うためのものであり、テンキーや機能キーを有する。電話帳メモリ26は、個人名や会社名に対応させて電話番号を格納しており、電話番号を入力する代わりに通話相手の個人名や会社名を選択することにより通話相手に電話をかけることができるようにするためのものである。インタフェース部(IF)30は、ブルーツースによってハンズフリー電話装置50との間で各種データの送受信を行う通信装置(ブルーツース機器)である。
【0028】
また、ハンズフリー電話装置50は、インタフェース部(IF)52、送話回路54、受話回路56、増幅器58、操作部60、電話帳記憶部62、文字コード記憶部64、表示部66、制御部68を備えている。
【0029】
インタフェース部(IF)52は、ブルーツースによって携帯電話機10との間で各種データの送受信を行う通信装置(ブルーツース機器)である。
【0030】
送話回路54は、ハンズフリー機能で通話を行うときにマイクロホン90から入力される音声信号を携帯電話機10に送る。受話回路56は、着信した通話相手の音声信号を増幅器58を介してスピーカ92に入力する。
【0031】
操作部60は、ハンズフリー電話装置50の各種設定を行う機能キーと数字や文字入力用のキーを有している。また、操作部60は、表示部66の画面に取り付けられたタッチパネルを含んでおり、画面上の一部を直接利用者が指等で指し示すことにより、操作指示を行うことができるようになっている。
【0032】
電話帳記憶部62は、携帯電話機10が接続された後に携帯電話機10内の電話帳メモリ26に格納された電話帳データを取り込んで保持する。
【0033】
文字コード記憶部64は、電話帳記憶部62に保持された電話帳データをハンズフリー電話装置50の内部処理や表示用の文字列に変換するための変換テーブルを格納する。通常、携帯電話機10から送られてくる電話帳データは、所定の文字コードを用いて記述されている。この文字コードは、携帯電話機10の利用者が使用する言語毎に対応した1つあるいは複数の文字コードの中のいずれかが用いられる。本実施形態では、電話帳データを記述した文字コードが既知の場合あるいは自動判別可能な場合についてはハンズフリー電話装置50内の処理においてその文字コードが用いられるが、用いられている文字コードが不明の場合には、利用者による手動操作によって文字コードが選択される。上記の変換テーブルは、用いられる可能性のある複数の文字コードのそれぞれに対応して用意されている。また、文字コード記憶部64には、この用いられる可能性のある複数の文字コードの情報も格納されている。
【0034】
表示部66は、携帯電話機10から読み込んだ電話帳データの表示や、ハンズフリー電話装置50を用いて行われる操作内容や動作状態の表示を行う。
【0035】
制御部68は、ハンズフリー電話装置50全体を制御するとともに、携帯電話機10との間でのブルーツースを介して電話帳データ等の各種データの送受信を行う。また、制御部68は、表示部66に表示された電話帳データの内容が正しくなかった場合(誤った文字コードを用いたために文字化けした場合)に、利用者の指示に応じて文字コードを手動設定する処理を行う。
【0036】
次に、制御部68の詳細構成について説明する。図2は、制御部68の詳細構成を示す図であり、主に文字コードの手動設定に必要が構成が示されている。図2に示すように、制御部68は、電話帳データ取得部70、文字コード判別部74、変換処理部76、電話帳表示処理部78、選択画面作成部80、選択画面表示処理部82、文字コード選択部84を備えている。
【0037】
電話帳データ取得部70は、携帯電話機10が接続されたときに携帯電話機10内の電話帳メモリ26に格納された電話帳データを取得する。取得した電話帳データは、電話帳記憶部62に格納される。
【0038】
文字コード判別部74は、電話帳データを記述した文字コードを判別する。例えば、取得した電話帳データ内に文字コードを特定する識別情報が含まれている場合にはこの識別情報を抽出することにより、電話帳データを記述した文字コードを判別する。あるいは、特許文献1(特開2010−176237号公報)に記載された方法等を用いて文字コードを自動判別するようにしてもよい。
【0039】
変換処理部76は、電話帳記憶部62に格納された電話帳データに対して、文字コード判別部74によって判別された文字コード(あるいは、後述する手動設定によって選択された文字コード)を用いてエンコード処理を行って文字列への変換を行う。
【0040】
電話帳表示処理部78は、変換処理部76によって変換された後の文字列を含む電話帳を表示部66に表示する処理を行う。
【0041】
選択画面作成部80は、操作部60を用いて利用者によって手動による文字コード選択動作への移行が指示されたときに文字コード選択画面を作成する。この文字コード選択画面には、選択候補としての文字コードの名称と、この文字コードを用いて電話帳データの一部に対して変換を行った後の文字列を有するプレビュー領域との組が含まれる。文字コード選択画面の具体例については後述する。
【0042】
選択画面表示処理部82は、選択画面作成部80によって作成された文字コード選択画面を表示部66に表示する処理を行う。
【0043】
文字コード選択部84は、操作部60を用いた利用者の指示に応じて、表示中の文字コード選択画面に含まれるいずれかの文字コードの選択を行う。
【0044】
上述した選択画面作成部80が選択画面作成手段に、選択画面表示処理部82、表示部66が選択画面表示手段に、操作部60が操作手段に、文字コード選択部84が文字コード選択手段に、変換処理部76が文字列変換手段に、電話帳表示処理部78、表示部66が文字列表示手段にそれぞれ対応する。
【0045】
本実施形態のハンズフリー電話システムはこのような構成を有しており、次に文字コード設定に関連する動作を説明する。図3は、文字コード設定に関連するハンズフリー電話装置50内の制御部68の動作手順を示す流れ図である。
【0046】
電話帳データ所得部70は、携帯電話機10が接続されたか否か(ブルーツース通信によって電話帳データを取得可能な状態になったか否か)を判定し(ステップ100)、未接続の場合には否定判断を行ってこの判定を繰り返す。また、携帯電話機10が接続された場合にはステップ100の判定において肯定判断が行われ、電話帳データ取得部70は携帯電話機10から電話帳データを取得する(ステップ102)。取得した電話帳データは電話帳記憶部62に格納される。
【0047】
次に、文字コード判別部74は、電話帳記憶部62に記憶された電話帳データに基づいてこのデータを記述する際に用いられた文字コードを判別する(ステップ104)。また、変換処理部76は、電話帳記憶部62に記憶された電話帳データを読み出して、判別された文字コードを用いて文字列に変換し(ステップ106)、電話帳表示処理部78は、変換後の文字列が含まれる電話帳を表示部66に表示する(ステップ108)。また、電話帳表示処理部78は、表示中の電話帳についてページの変更が指示されたか否かを判定し(ステップ110)、変更指示がなされた場合には肯定判断を行って、変更後のページの電話帳についてステップ108の表示動作以降が繰り返される。また、変更指示がなされなかった場合にはステップ110の判定において否定判断が行われ、選択画面作成部80は、文字コードの変更が指示されたか否かを判定する(ステップ112)。文字コードの変更が指示されなかった場合には否定判断が行われ、ステップ110に戻ってページ変更指示の有無判定以降の動作が繰り返される。なお、ステップ110、112における変更指示は、操作部60を用いて利用者によって行われる。
【0048】
図4は、電話帳画面の具体例を示す図である。図4(A)には電話帳の1ページ目の表示例が、図4(B)には電話帳の2ページ目の表示例が、図4(C)には電話帳データを除いた電話帳の表示例が示されている。
【0049】
図4(C)に示すように、電話帳画面には、電話帳画面であることを示す「電話帳」と、電話帳リストの通し番号である「1、2、3、4」と、電話帳リストの項目名としての「氏名・名所」および「電話番号」と、電話帳の表示ページの変更を指示するページ変更ボタン100、102と、電話帳リストの内容のスクロールを指示するスクロールボタン104、106と、その時点で変換に用いられている文字コードの変更を指示する文字コード変更ボタン110とが含まれている。なお、図4(C)に示す例は、図4(A)に示した電話帳の1ページ目に対応するものであり、それよりも前のページへの変更やスクロールができないため、これらを指示するために用いられるページ変更ボタン102やスクロールボタン106は非表示あるいは目立たない表示になっている。
【0050】
図4(A)に示すように、1ページ目の電話帳画面は、図4(C)に示した内容に、電話帳データの最初の4件分の氏名・名称と電話番号の具体的なデータが追加されたものである。この状態で、例えばページ変更ボタン104を利用者が指等で指し示すことにより、図4(B)に示す2ページ目の電話帳画面に表示が切り替わる。この2ページ目電話帳画面は、図4(C)に示した内容(但し、電話帳リストの通し番号は変更されている)に、電話帳データの次の4件分の氏名・名称と電話番号の具体的なデータが追加されたものである。
【0051】
このようにして、電話帳画面の各ページの表示が行われる。利用者は、この電話帳画面を見ながら、表示中の電話帳リストの中から通話相手を選択することにより、表示中の電話番号に電話をかけることができる。通話が終了すると、再びステップ108に戻って電話帳画面の表示が行われる。
【0052】
また、操作部60を操作して利用者によって文字コードの変更が指示されると、ステップ112の判定において肯定判断が行われる。次に、選択画面作成部80は文字コード選択画面を作成し、選択画面表示処理部82は作成された文字コード選択画面を表示部66に表示する(ステップ114)。
【0053】
図5は、文字コード選択画面の具体例を示す図である。図5に示すように、文字コード選択画面には、文字コード選択画面であることを示す「文字コード選択画面」と、選択対象としての5種類の文字コードの名称である「ASCII」、「Latin−1」、「Unicode UTF−8」、「Unicode UTF−16LE」、「Unicode UTF−16BE」と、これら5種類の文字コードを用いて電話帳データの一部に対して変換を行った後の文字列を含むプレビュー領域200〜208と、文字コード選択画面の表示ページの変更を指示するページ変更ボタン210、212と、文字コード選択画面の内容のスクロールを指示するスクロールボタン214、216とが含まれている。この例では、文字コードとこれに対応するプレビュー領域の組が5つ含まれており、各組に含まれる文字コードの名称とプレビュー領域の全体が矩形枠で囲まれており、いずれかの組に対応する矩形枠の内部領域を利用者が指等で指し示すことにより、この矩形枠内に含まれる文字コードの選択が行われる。
【0054】
このように、文字コードを選択するために表示される文字コード選択画面に、選択候補としての各文字コードの名称とともに、各文字コードを用いて電話帳データの一部に対して変換を行った結果としての文字列を含むプレビュー領域200〜208が含まれるため、実際に文字コードを選択して電話帳データに対して変換を行う前に文字コードの選択が正しいか否か(変換によって文字化けしていない文字列が得られるか否か)を知ることができる。
【0055】
次に、文字コード選択部84は、表示中の文字コード選択画面に含まれるいずれかの文字コードが、操作部60を用いた利用者の指示によって選択されたか否かを判定する(ステップ116)。文字コードの選択が行われない場合には否定判断が行われ、選択画面表示処理部82は、文字コード選択画面のページ変更が指示されたか否かを判定する(ステップ118)。ページ更新ボタン210、212やスクロールボタン214、216を用いたページ変更指示がなされない場合には否定判断が行われ、ステップ116に戻って文字コード選択指示の有無判定が繰り返される。
【0056】
また、いずれかの文字コードが選択された場合にはステップ116の判定において肯定判断が行われ、文字コード選択部84は、電話帳データに対応する文字コードを変更する(ステップ120)。以後、ステップ102に戻って電話帳データの取得以降の動作が繰り返される。なお、文字コードを変更する毎に電話帳データを取得するのではなく、最初に取得して電話帳記憶部62に格納された電話帳データを用いるようにしてもよい。この場合には、ステップ120における文字コード変更が終了した後、ステップ106に戻って処理を行うようにすればよい。
【0057】
このように、本実施形態のハンズフリー電話システムでは、文字コードを選択する文字コード選択画面に各文字コードを用いて変換した場合の結果としての文字列がプレビュー領域に表示されるため、実際に文字コードを選択して電話帳データに対して変換を行う前に文字コードの選択が正しいか否かを知ることができ、手動操作で文字コードを指定する際の操作回数を低減することができ、操作の簡略化および操作性の向上が可能となる。
【0058】
また、文字コード選択画面には、文字コードの名称とプレビュー領域との組が複数含まれているため、複数の文字コードのそれぞれに対応して変換が正しくなされるか否かを実際に文字コードを指定する前に比較、検証することができるため、複数の文字コードの中から適切な文字コードを選択する場合の操作回数を大幅に低減することができる。
【0059】
ところで、図5に示した文字コード選択画面内のプレビュー領域200〜208に対応する電話帳データの一部は、各文字コードを用いて変換を行うことにより正しい結果が得られたか否かを判別可能なものである必要がある。次に、プレビュー領域200等に対応する一部の電話帳データの抽出例について説明する。
【0060】
(1)図3に示すステップ108において電話帳が表示されるが、この表示された電話帳の内容が正しい(文字化けしていない)ときには、ステップ104において判別された文字コードが適切であるといえる。反対に、表示された電話帳の内容が正しくない場合に文字コードの変更が指示されると考えることができるため、文字コードの変更が指示された時点で表示されていた電話帳に含まれる文字列に対応する電話帳データを抽出して、図5に示す文字コード選択画面内のプレビュー領域200〜208を作成すればよいことになる。
【0061】
(2)(1)の場合において、例えば、図4(B)に示した電話帳画面が表示されたときに文字コード変更が指示された場合を考える。この電話帳画面において、図4(C)に対応する内容については電話帳データとは関係なくハンズフリー電話装置50において用意されるものであり、表示が不自然になることはない。一方、それ以外の電話帳データに対応する内容において、通し番号5に対応する氏名・名称がアルファベットで構成されており、通し番号6〜8に対応する氏名・名称が漢字で構成されているものとする。また、電話番号は数字で構成されている。このような表示内容において、アルファベットや数字については、複数種類の文字コードのそれぞれに対応して共通の値が対応している可能性が高く、漢字については、複数種類の文字コードのそれぞれに対応して異なる値が対応していたり、対応する値が存在しない可能性が高い。
【0062】
本実施形態では、アルファベットや数字にのように複数種類の文字コードに対応して共通の値が対応している可能性が高いこの共通の値の範囲を示す「プレビュー対象除外範囲」と、漢字のように複数種類の文字コードのそれぞれに対応して異なる値が対応していたり対応する値が存在しないこの値の範囲を示す「プレビュー対象範囲」とが予め設定されている。そして、文字コードの変更が指示された時点で表示されていた電話帳に含まれる文字列に対応する電話帳データを抽出する際に、プレビュー対象範囲に含まれるものについてこの電話帳データの抽出が行われる。
【0063】
なお、プレビュー対象除外範囲には、アルファベットや数字に対応する文字コードの値の他に、異なる文字コードに対して互換性のある(同じ値が対応している)一部の記号を含めるようにしてもよい。一部の記号にどの記号が含まれるかは、選択対象となる複数の文字コードが決まった際に(製品設計を行う際に)、実際にこれら複数の文字コードのそれぞれについて値と記号との対応関係を調査し、共通の記号に同じ値が対応している場合にはこの値をその都度プレビュー対象除外範囲に含めるようにすればよい。
【0064】
(3)図4に示す電話帳画面が表示され、スクロールボタン104が指し示されて表示内容がスクロールされている場合には、新しく電話帳画面に表示された部分の表示が正しくないと(文字化けしていると)、その時点で文字コードの変更が指示されると考えることができる。したがって、文字コードの変更が指示されたときに、表示中の電話帳画面に最後に加わった文字列に対応する電話帳データを抽出して、図5に示す文字コード選択画面内のプレビュー領域200〜208を作成すればよいことになる。
【0065】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、上述した実施形態では、文字コード選択画面に文字コードの名称とプレビュー領域との組が複数含まれていたが、この組が1つだけ含まれている場合であっても本発明を適用することができる。この文字コードに対応するプレビュー領域の内容が文字化けしている場合には、異なる文字コードに対応する文字コード選択画面の各ページを次々に作成して表示することになる。この場合であっても、実際に文字コードを決定する前に正しく変換されるかどうかがわかるため、最終的に適切な文字コードを選択するまでの操作回数の大幅な低減が可能になる。
【0066】
また、上述した実施形態では、図5に示した文字コード選択画面に含ませる各文字コードの順番については特に言及しなかったが、この順番を優先順位が高い順に入れ替えて(例えば、優先順位が高い文字コードが文字コード選択画面の1ページ目あるいは1ページに近いページに含まれるように)文字コード選択画面を作成するようにしてもよい。優先順位が高い文字コードとしては、ハンズフリー電話装置50において設定されている使用言語(具体的には、操作案内等で用いられている言語)に対応する1つあるいは複数の文字コードや、ハンズフリー電話装置50の使用場所において使用される可能性が最も高い言語(具体的には、ハンズフリー電話装置50の販売先として設定された国の公用語)に対応する1つあるいは複数の文字コードや、過去に文字コード選択部84によって選択されたことがある文字コード(この文字コードと同じ言語に対応する他の文字コードがある場合にはこれらの文字コードも含めることが望ましい)などが該当する。
【0067】
また、上述した実施形態では、車載機器としてのハンズフリー電話システムに本発明を適用したが、CD(コンパクトディスク)等に含まれるテキストデータの内容やMP3データに含まれるタグ情報の内容を取得して表示を行うオーディオ装置などの車載機器についても本発明を適用することができる。あるいは、車載機器以外、例えばパーソナルコンピュータにおいて取得したデータのエンコードが正しく行われない場合などにおいて文字コードを変更する場合についても本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
上述したように、本発明によれば、文字コードを選択する文字コード選択画面に各文字コードを用いて変換した場合の結果としての文字列がプレビュー領域に表示されるため、実際に文字コードを選択して電話帳データに対して変換を行う前に文字コードの選択が適切であるか否かを知ることができ、手動操作で文字コードを指定する際の操作回数を低減することができ、操作の簡略化および操作性の向上が可能となる。
【符号の説明】
【0069】
10 携帯電話機
12 アンテナ
14 送話器
16 受話器
18 送受信部
20、68 制御部
22 着信音出力部
24、60 操作部
26 電話帳メモリ
28、66 表示部
30、52 インタフェース部(IF)
50 ハンズフリー電話装置
54 送話回路
56 受話回路
58 増幅器
62 電話帳記憶部
64 文字コード記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択候補としての文字コードの名称と、この文字コードを用いて入力データの一部に対して変換を行った後の文字列を有するプレビュー領域との組が含まれる文字コード選択画面を作成する選択画面作成手段と、
前記選択画面作成手段によって作成された前記文字コード選択画面を表示する選択画面表示手段と、
利用者の操作を受け付ける操作手段と、
前記操作手段を用いた利用者の指示に応じて、表示中の前記文字コード選択画面に含まれる前記文字コードの選択を行う文字コード選択手段と、
を備えることを特徴とする文字コード選択装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記文字コード選択手段によって文字コードが選択される前に、いずれかの文字コードを用いて前記入力データに対して文字列への変換を行う文字列変換手段と、
前記文字列変換手段によって変換された後の文字列を表示する文字列表示手段と、
をさらに備え、前記文字列表示手段によって文字列が表示されているときであって、前記操作手段を用いて利用者によって文字コード選択動作への移行が指示されたときに、前記文字コード選択画面の表示が行われることを特徴とする文字コード選択装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記選択画面作成手段は、前記プレビュー領域に対応する一部の入力データとして、前記文字コード選択画面を表示する直前に前記文字列表示手段に表示されていた文字列に対応する入力データを用いることを特徴とする文字コード選択装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記プレビュー領域における表示対象となり得る前記文字コードの値の範囲を示すプレビュー対象範囲と、前記プレビュー領域における表示対象から除外される前記文字コードの値の範囲を示すプレビュー対象除外範囲とがあらかじめ設定されており、
前記選択画面作成手段は、前記文字コード選択画面を表示する直前に前記文字列表示手段に表示されていた文字列に対応する入力データであって、前記プレビュー対象範囲に含まれる入力データを、前記プレビュー領域に対応する一部の入力データとして用いることを特徴とする文字コード選択装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記プレビュー対象除外範囲には、数字とアルファベットに対応する文字コードの値が含まれていることを特徴とする文字コード選択装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記プレビュー対象除外範囲には、数字とアルファベットに対応する文字コードの値に加えて、あらかじめ複数の文字コードの共通の値に同じ記号が対応していることが確かめられている一部の記号に対応する文字コードの値が含まれていることを特徴とする文字コード選択装置。
【請求項7】
請求項3において、
前記文字列表示手段による文字列の表示は、前記操作手段を用いた利用者の指示に応じた表示内容のスクロール動作を伴いながら行われ、
前記選択画面作成手段は、前記操作手段を用いた利用者の指示に応じて文字コード選択動作への移行が指示されたときに、前記文字列表示手段によって表示対象の文字列として最後に加わった文字列に対応する入力データを、前記プレビュー領域に対応する一部の入力データとして用いることを特徴とする文字コード選択装置。
【請求項8】
請求項1において、
前記文字コード選択手段によって文字コードが選択された後に、この選択された文字コードを用いて前記入力データに対して文字列への変換を行う文字列変換手段と、
前記文字列変換手段によって変換された後の文字列を表示する文字列表示手段と、
をさらに備えることを特徴とする文字コード選択装置。
【請求項9】
請求項1または8において、
前記操作手段を用いて利用者によって文字コード選択動作への移行が指示されたときに、前記文字コード選択画面の表示が行われることを特徴とする文字コード選択装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかにおいて、
前記文字コード選択画面には、前記文字コードの名称と前記プレビュー領域との組が複数含まれており、
前記文字コード選択手段は、前記操作手段を用いた利用者の指示に応じて、これら複数の組の中から、変換後の文字列の内容が正しい文字コードを選択することを特徴とする文字コード選択装置。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれかにおいて、
前記文字コード選択画面には、前記文字コードの名称と前記プレビュー領域との組が1つ含まれており、
前記選択画面作成手段は、前記操作手段を用いた利用者の指示に応じて、異なる文字コードに対応する文字コード選択画面を次々に作成し、
前記文字コード選択手段は、前記操作手段を用いた利用者の指示に応じて、いずれかの前記文字コード選択画面に含まれる変換後の文字列の内容が正しい文字コードを選択することを特徴とする文字コード選択装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかにおいて、
前記選択画面作成手段は、所定の順番で切り替えて表示する複数の前記文字コード選択画面を作成し、
優先順位が高い言語に対応する文字コードが、表示順番が早い前記文字コード選択画面に含まれることを特徴とする文字コード選択装置。
【請求項13】
請求項12において、
前記優先順位が高い言語は、前記入力データが入力される装置において設定されている使用言語であることを特徴とする文字コード選択装置。
【請求項14】
請求項12において、
前記優先順位が高い言語は、前記入力データが入力される装置の使用場所において使用される可能性が最も高い言語であることを特徴とする文字コード選択装置。
【請求項15】
請求項12において、
前記優先順位が高い言語は、過去に前記文字コード選択手段によって選択されたことがある文字コードに対応する言語であることを特徴とする文字コード選択装置。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかにおいて、
前記入力データは、携帯電話に備わったメモリに格納された電話帳データであり、
前記携帯電話から送られてくる前記電話帳データの内容を車載機器において表示する際に、車載機器に備わった前記選択画面作成手段、前記選択画面表示手段、前記操作手段、前記文字コード選択手段によって、使用する文字コードを手動で選択することを特徴とする文字コード選択装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−123737(P2012−123737A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275985(P2010−275985)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】