説明

文字処理装置、文字判別方法およびプログラム

【課題】編集対象となっている文字が欧文文字に変換可能か否かを簡単に把握することができる文字処理装置を提供する。
【解決手段】入力された英数字および記号のいずれかから成る入力文字を当該入力文字に類似する欧文文字73に変換する文字処理装置1において、入力文字にカーソルKを付して編集用文字として表示する表示手段5と、編集用文字が、欧文文字73に変換可能な状態か否かを判別する変換対象判別手段と、編集用文字が欧文文字73に変換可能な状態であると判別した場合、その旨を報知する報知手段18と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された文字を欧文文字に変換する文字処理装置、文字判別方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、入力したアルファベット(規定アルファベット)を対応する欧文文字(規定外アルファベット)に文字変換することが可能な文字処理装置が知られている。この文字処理装置では、アルファベットを入力し、変換用ボタンを押すことで、当該アルファベットに関連する(類似する)欧文文字の変換候補を表示し、ユーザはその変換候補の中から所望の欧文文字を選択する。例えば、アルファベット「e」を入力後に変換キーを押すことで、「e」に類似する欧文文字の候補が表示され、その中から所望の欧文文字(例えば、「ё」)を選択する(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−203032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述のような欧文文字への変換は、ローマ字入力によるかな漢字変換と違い、入力された全てのアルファベットが変換対象となるわけではない。しかしながら、上述の文字処理装置では、欧文文字に変換可能なアルファベットも変換不可能なアルファベットも区別することなく表示される。このため、欧文文字を熟知したユーザは、欧文文字に変換可能なアルファベットがどれかを把握しているため問題なく使いこなせるが(欧文文字に変換できるが)、欧文文字に慣れていないユーザは、入力したアルファベットが欧文文字に変換可能なのか否かを判別することは困難であるという問題がある。
【0004】
本発明は、このような問題点に鑑み、編集対象となっている文字が欧文文字に変換可能か否かを簡単に把握することができる文字処理装置、文字判別方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の文字処理装置は、入力された英数字および記号のいずれかから成る入力文字を当該入力文字に類似する欧文文字に変換する文字処理装置において、入力文字にカーソルを付して編集用文字として表示する表示手段と、編集用文字が、欧文文字に変換可能な状態か否かを判別する変換対象判別手段と、編集用文字が欧文文字に変換可能な状態であると判別した場合、その旨を報知する報知手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、本発明の文字判別方法は、入力された英数字および記号のいずれかから成る入力文字を当該入力文字に類似する欧文文字に変換する文字判別方法において、入力文字にカーソルを付して編集用文字として表示する表示工程と、編集用文字が、欧文文字に変換可能な状態か否かを判別する変換対象判別工程と、編集用文字が欧文文字に変換可能な状態であると判別した場合、その旨を報知する報知工程と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
これらの構成によれば、編集対象となる文字(編集用文字)が欧文文字に変換可能な状態であるか否かを判別する。そして、当該編集用文字が変換可能な状態であれば、その旨を報知する。これにより、欧文文字に慣れていないユーザ(欧文文字を熟知していないユーザ)でも、入力した文字が欧文文字に変換可能であるか否かを簡単に判別することができる。なお、欧文文字とは、フランス語などに見られる符号付きアルファベット(例えば、ダイアクリティカルマークを付したアルファベット)や特殊記号等である。
【0008】
この場合、変換対象判別手段は、編集用文字が、欧文文字への変換対象である変換対象文字の場合、当該編集用文字は欧文文字に変換可能な状態であると判別し、編集用文字が変換対象文字以外の文字の場合、当該編集用文字は欧文文字に変換不可能な状態であると判別することが好ましい。
【0009】
この構成によれば、編集用文字が変換対象文字の場合、当該編集用文字は欧文文字に変換可能な状態であると判別し、変換対象文字以外の場合、欧文文字に変換不可能な状態であると判別する。つまり、編集用文字に対応する欧文文字が存在するか否かにより、変換の可否を判別することができる。なお、変換対象文字とは、欧文文字(例えば、「ё」)に類似した(対応した)アルファベット(例えば、「e」)を意味する。
【0010】
この場合、欧文文字への変換対象となる編集用文字を変換対象文字とし、変換対象文字からカーソルが移動した場合、および変換対象文字が欧文文字に変換された場合のいずれかの変換対象文字を確定文字とした場合、変換対象判別手段は、編集用文字が変換対象文字以外の文字および確定文字のいずれかである場合、当該編集用文字は欧文文字に変換不可能な状態であると判別することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、一旦変換対象から外れた変換対象文字(例えば、一旦欧文文字に変換して確定した変換対象文字、あるいは一旦カーソルが離れた変換対象文字等)を確定文字とする。そして、編集用文字が変換対象文字以外の文字または確定文字の場合は、欧文文字に変換不可能な状態であると判別する。これらの文字を欧文文字への変換ができない文字と見なすことで、ユーザの利便性を向上することができる。
【0012】
これらの場合、変換対象判別手段により、編集用文字が変換可能な状態であると判別した場合、変換操作に基づいて、当該編集用文字を欧文文字に変換する変換手段をさらに備えたことが好ましい。
【0013】
この構成によれば、編集用文字が変換可能な状態の場合、変換操作に基づいて欧文文字に変換する。つまり、編集用文字が変換不可能な状態の場合は、変換操作は無効になるため、ユーザの誤操作による装置の誤動作を防止できる。
【0014】
これらの場合、報知手段は、インジケータで構成され、インジケータは、編集用文字が欧文文字に変換可能な状態の場合は点灯し、変換不可能な状態の場合は消灯することが好ましい。
【0015】
この構成によれば、編集用文字が変換可能な状態の場合はインジケータを点灯し、編集用文字が変換不可能な状態(変換対象から外れた)の場合はインジケータを消灯する。これにより、ユーザは対象となる文字が欧文文字に変換できる文字なのか否かを視覚的に認識でき、当該文字が欧文文字に変換可能か否かを容易に判別することができる。
【0016】
これらの場合、変換対象文字の変換候補となる1以上の欧文文字を表示する変換候補表示手段をさらに備え、変換候補表示手段は、変換対象文字に対する変換候補として、小文字および大文字の両方の欧文文字を表示することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、変換対象文字の属性(大文字や小文字)に関係なく、変換対象文字に対する変換候補として、大文字および小文字の両方の欧文文字を表示する。これにより、ユーザにとって利用し易い環境を提供することができる。
【0018】
この場合、変換候補表示手段は、変換対象文字が小文字の場合、小文字の変換候補を大文字の変換候補に対して優先して表示し、変換対象文字が大文字の場合、大文字の変換候補を小文字の変換候補に対して優先して表示することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、変換対象文字が小文字の場合は小文字の欧文文字の変換候補を優先して表示し、変換対象文字が大文字の場合は大文字の欧文文字の変換候補を優先して表示する。一般的に、ユーザの心理として、小文字で入力した変換対象文字を欧文文字に変換する場合、小文字の欧文文字に変換することを期待し、大文字で入力した変換対象文字を欧文文字に変換する場合、大文字の欧文文字に変換することを期待する。このため、入力した変換対象文字の属性(小文字や大文字)と同じ属性の欧文文字の変換候補を優先して表示することで、ユーザにとって利用し易い環境を提供することができる。
【0020】
本発明のプログラムは、コンピュータに、上記に記載の文字判別方法における各工程を実行させるためのものであることを特徴とする。
【0021】
このプログラムを用いることにより、入力された文字が欧文文字に変換可能な状態であることを報知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、文字処理装置として、テープ状媒体に印刷を行うことによってラベルを作成するテープ印刷装置を例に挙げて説明する。
【0023】
図1は、本実施形態に係るテープ印刷装置1の開閉蓋4を開いた状態の外観斜視図である。図1に示すようにテープ印刷装置1は、装置ケース2により外郭が形成され、装置ケース2の前部上面には各種入力キーを備えたキーボード3(入力手段)が配置されると共に、後部上面には、その左部に開閉蓋4が取り付けられ、その右部には表示画面5(表示手段)が配設されている。開閉蓋4の内側にはテープカートリッジCを装着するためのカートリッジ装着部6が窪入形成されており、テープカートリッジCは、開閉蓋4を開放した状態でカートリッジ装着部6に着脱可能に装着される。また、開閉蓋4にはこれを閉じた状態でテープカートリッジCの装着/非装着を視認するための覗き窓7が形成されている。
【0024】
キーボード3には、文字キー群3a、および各種動作モード等を指定するための機能キー群3bが配列されている。文字キー群3aは、JIS配列に基づいたフルキー構成であり、操作するキー数の増加を抑えるためのシフトキーを備えるなど、一般のワードプロセッサ等と同様である。また、機能キー群3bには、印刷を指示するための[印刷]キー11、文字を削除する[削除]キー12、電源のON/OFFを操作する[電源]キー13、文字(アルファベット)を後述する欧文文字73に変換するための[欧文変換]キー14、カーソル移動やスクロール操作を行うためのカーソルキー([↓],[↑],[←],[→])15、メニューの選択や文字の確定などを行うための[選択]キー16などが含まれる。
【0025】
表示画面5は、液晶ディスプレイであり、ユーザがキーボード3からデータを入力して、文字列(テキスト)や画像などの印刷データを作成・編集したり、その結果等を確認したりする際に用いられる。また、表示画面5の下部には、編集対象となる文字(編集用文字,カーソルKが付されている文字)が欧文文字73に変換可能か否かを識別するためのインジケータ(以下、「欧文変換インジケータ18(報知手段)」と称す。)を表示する領域が設けられており、当該文字が欧文文字73に変換可能な変換対象文字71であれば点灯し、変換不可能な非変換対象文字72であれば消灯する(変換対象文字71、非変換対象文字72および変換対象文字71に対応する欧文文字73の詳細は図7参照)。
【0026】
装置ケース2の左側部には、カートリッジ装着部6と外部とを連通するテープ排出口21が形成され、このテープ排出口21には、送り出した印刷テープT(テープ状部材)を切断するためのテープカッタ22が臨んでいる。そして、テープ排出口21から印刷済みの印刷テープTが所定長さだけ送り出され、送りを一旦停止させた状態で、この印刷済みの印刷テープTをテープカッタ22により切断してラベルを作成する。なお、切断処理については、自動カットと手動カットとを切り替え可能であり、定長印刷などの場合には自動(オート)で、任意長印刷などの場合にはキーボード3に含まれるカットキーの操作により手動(マニュアル)で、カッタモータ23(図2参照)を駆動する。
【0027】
一方、カートリッジ装着部6には、ヘッドカバー25内にサーマルヘッドから成る印刷ヘッド26(印刷手段)が内蔵されたヘッドユニット24と、印刷ヘッド26に対峙するプラテン駆動軸27と、後述のインクリボンRを巻き取る巻き取り駆動軸28と、後述のテープリール32の位置決め突起29とを備えている。また、カートリッジ装着部6の下側には、プラテン駆動軸27および巻き取り駆動軸28を回転させるテープ送りモータ30(図2参照)が内蔵されている。
【0028】
テープカートリッジCは、カートリッジケース31内部の上部中央部に、一定の幅(4.5mm〜48mm程度)の印刷テープTを巻回したテープリール32と、右下部にインクリボンRを巻回したリボンリール33とを収容して構成されており、印刷テープTとインクリボンRは同じ幅で構成されている。また、テープリール32の左下部には前記ヘッドユニット24を覆うヘッドカバー25に差し込むための貫通孔34が形成されており、印刷テープTとインクリボンRとが重なる部分に対応して、前記プラテン駆動軸27に嵌合されて回転駆動するプラテンローラ35が配置されている。一方、前記リボンリール33に近接してリボン巻き取りリール36が配置され、リボンリール33から繰り出されたインクリボンRは、ヘッドカバー25を周回するように配置されたリボン巻き取りリール36に巻き取られるようになっている。
【0029】
印刷テープTは、裏面に粘着剤層が形成された記録テープTa(基材テープ)と、この粘着剤層により記録テープTaに貼付けられた剥離テープTbとから構成されている(図1参照)。印刷テープTは、記録テープTaを外側にし、かつ剥離テープTbを内側にしてロール状に巻回されてカートリッジケース31内に収容されている。また、印刷テープTは、テープ種別(テープ幅、テープ色、インク色など)が異なる複数種のものが用意されており、カートリッジケース31の裏側には、この種別を特定する複数の孔(図示省略)が設けられている。また、複数の孔に対応してカートリッジ装着部6には、これらを識別するテープ識別センサ(マイクロスイッチ)37(図2参照)が、複数設けられており、このテープ識別センサ37により複数の孔の状態を検出することで、テープ種別を判別できるようになっている。
【0030】
次に、図2の制御ブロック図を参照し、テープ印刷装置1の制御構成について説明する。テープ印刷装置1は、中央処理装置であるCPU(Central Processing Unit)61、RAM(Random Access Memory)62、ROM(Read Only Memory)63、キーボード3、表示画面5、欧文変換インジケータ18、カッタモータ23、テープカッタ22、テープ送りモータ30、印刷ヘッド26およびテープ識別センサ37を備えている。また、これらのうち、ROM63、キーボード3、表示画面5、欧文変換インジケータ18、カッタモータ23、テープ送りモータ30および印刷ヘッド26はバス64を介してCPU61と接続されている。また、CPU61は、RAM62と直接接続されており、当該RAM62を、各種制御を行う際のワークエリアとして用いる。
【0031】
ROM63は、CPU61が各種制御を行うための制御プログラムを記憶している。また、ROM63は、欧文文字73に変換可能な変換対象文字71に対応する欧文文字73を記憶する欧文文字記憶領域65を有している。制御プログラムとしては、編集用文字(カーソルKが示す文字)が欧文文字73に変換可能か否かを判別し、その判別結果に基づいて欧文変換インジケータ18を制御する欧文変換プログラムが含まれる。
【0032】
欧文変換インジケータ18は、表示画面5の一部が点灯または消灯することで編集用文字が変換可能か否かを報知する。また、欧文変換インジケータ18は、表示画面5の一部を点灯させるのではなく、LED等を用いて単独で表示するようにしても良い。
【0033】
カッタモータ23は、テープカッタ22と接続され、切断手段として機能する。また、テープ送りモータ30および印刷ヘッド26は、印刷テープT上に印刷を行うための印刷手段として機能する。印刷ヘッド26およびテープ識別センサ37は、上記のとおり、カートリッジ装着部6に設けられ、テープ識別センサ37は、テープカートリッジCに収容された印刷テープTの種別を検出する。
【0034】
ここで、図3および図4を参照し、対象となる文字を欧文文字73に変換する一連の流れ(文字判別方法)について説明する。なお、図中の欧文変換インジケータ18において、白四角は欧文変換インジケータ18が消灯していることを示し、黒四角は欧文変換インジケータ18が点灯していることを示す。また、後述する図5および図6においても同様とする。
【0035】
この欧文変換インジケータ18は、上述の欧文変換プログラムにより編集用文字が変換対象文字71であり欧文文字73に変換可能な状態であると判別した場合に点灯する。一方、欧文変換プログラムにより当該文字は欧文文字73への変換対象文字ではない(非変換対象文字72)と判別された場合や、変換対象文字71が確定文字(例えば、カーソルKの移動により編集対象から外れた変換対象文字71、あるいは一旦欧文文字73に変換して確定した変換対象文字71)であると判別された場合、欧文変換インジケータ18は消灯する。このように、非変換対象文字72や、変換対象文字71であっても一旦編集対象から外れた確定文字は、欧文文字73への変換ができない文字と見なすことにより、ユーザの利便性を向上することができる。
【0036】
図3に示すように、ユーザによりテープ印刷装置1の電源がONされると、文字入力画面5a(表示画面5)を表示する(D01)。この場合、欧文変換インジケータ18は消灯している。この状態(D01)で、文字「T」が入力されると(入力文字)、テープ印刷装置1は文字入力画面5aに文字「T」にカーソルKを付した状態(編集用文字)で表示する(D02)。この場合、テープ印刷装置1は、図7に示す欧文文字73の一覧に基づいて、文字「T」は非変換対象文字72(変換対象文字71以外の文字)であると判別し(変換対象判別手段)、欧文変換インジケータ18を点灯しない。
【0037】
次に、文字「e」が入力されると、テープ印刷装置1は、文字「e」は変換対象文字71であると判別し、欧文変換インジケータ18を点灯する(D03)。ここでは、文字「e」は、一度も欧文文字73に変換されておらず、且つ一度も文字「e」からカーソルKが離れていないため、テープ印刷装置1は、文字「e」は欧文文字73に変換可能な状態の変換対象文字71であると判別する(変換対象判別手段)。
【0038】
この状態(D03)で、[欧文変換]キー14を押さずに、文字「l」が入力されるとカーソルKが移動して、テープ印刷装置1は、「e」は確定文字と判別し、且つ入力された文字「l」が非変換対象文字72であると判別して、欧文変換インジケータ18を消灯する(D04)。さらに続けて、文字「e」が入力されると、テープ印刷装置1は、当該文字「e」は変換対象文字71(変換可能な状態の変換対象文字71)であると判別し、欧文変換インジケータ18を点灯する(D05)。
【0039】
この状態(D05)で、[欧文変換]キー14が押されると、テープ印刷装置1は、欧文文字記憶領域65から文字「e」に関する変換候補81を呼び出して、変換候補選択画面5b(表示画面5)に表示する(D06,変換候補表示手段)。この時、変換対象となる文字「e」は小文字で入力されているため、テープ印刷装置1は、小文字の変換候補81を優先して表示し(小文字の変換候補81を大文字の変換候補81よりも先に表示し)、最初の変換候補81aを反転表示する。また、欧文変換インジケータ18は点灯した状態で維持される。
【0040】
次に、この状態(D06)で、カーソルキー15([→]または[↓])または[欧文変換]キー14が押されることにより、テープ印刷装置1は、他の変換候補81を順次表示する。この時、小文字の変換候補81に続いて大文字の変換候補81が表示される(D07,D08)。つまり、変換対象となる文字の属性(大文字または小文字)に関わらず、当該変換対象の文字に対して、大文字および小文字の両方の変換候補81を表示する。この時も、欧文変換インジケータ18は点灯している。このように、変換対象となる文字の属性(小文字や大文字)を混在して変換候補81を表示すると共に、変換対象となる文字の属性と同じ属性の欧文文字73の変換候補81を優先して表示することで、ユーザにとって利用し易い環境を提供することができる。
【0041】
続いて、上記のキー操作により変換候補81の最後を示す「_(スペースSP)」が反転表示され(D09)、この状態で[選択]キー16が押されると、テープ印刷装置1は、ユーザに対して画面を反転させて警告し(D10)、直前の画面D09に戻る。一方、「_(スペースSP)」が反転表示された状態で、カーソルキー15([→]または[↓])または[欧文変換]キー14が押されると、変換候補81の先頭(81a)に戻る(D11)。
【0042】
この状態(D11)で、[選択]キー16が押されると、テープ印刷装置1は、選択された(反転表示された)変換候補81aを確定し、文字入力画面5aに文字「e」に代わる文字82を表示する(D12,変換手段)。この時、テープ印刷装置1は、文字「e」は確定文字であると判別し、欧文変換インジケータ18を消灯する。この画面D12で、再度[欧文変換]キー14が押された場合、対象となる文字82は確定文字であると判別されているため、テープ印刷装置1は、画面を反転表示させて対象となる文字82は変換対象外(変換不可能な状態)である旨を示す警告をユーザに通知し(D13)、直前の画面D12に戻る。
【0043】
なお、画面D06の状態で、[削除]キー12が押されると、テープ印刷装置1は、変換候補81の表示をキャンセルし、直前の文書入力画面(D05)に戻る。また、画面D11の状態で、[選択]キー16の代わりに他の文字(例えば、文字「A」)が入力された場合、テープ印刷装置1は、文字入力画面5aに文字「e」に代わる文字82を表示すると共に続けて文字「A」を表示する(D14)。この場合、文字「A」は変換可能な状態の変換対象文字71と判別されるため、欧文変換インジケータ18は点灯している。また、文字「A」の代わりに非変換対象文字72(例えば、文字「P」)が入力された場合は、欧文変換インジケータ18は消灯する。
【0044】
次に、図5を参照し、カーソルKの移動による欧文変換インジケータ18の状態変化(点灯/消灯)について説明する。まず、ユーザにより入力された文字列「Tel」を表示している状態(D21)で、文字「e」が入力されると、テープ印刷装置1は、文字入力画面5aに「Tele」を表示すると共に、文字「e」は変換可能な状態の変換対象文字71であると判別し、欧文変換インジケータ18を点灯する(D22)。この時、カーソルKは文字「e」を示している。
【0045】
次に、カーソルキー15([←])が押されると、テープ印刷装置1は、カーソルKを左に1文字分移動して文字「l」を示す(D23)。この時、テープ印刷装置1は、文字「l」は非変換対象文字72であると判別し、欧文変換インジケータ18を消灯する。
【0046】
次に、カーソルキー15([→])が押されると、テープ印刷装置1は、カーソルKを右に1文字分移動して文字「e」を示す(D24)。この場合、文字「e」は、カーソルKの移動により、一旦編集対象(変換対象)から外れているため、テープ印刷装置1は、文字「e」は確定文字であると判別する(変換対象から外れた変換対象文字71であると判別する)。このため、テープ印刷装置1は、欧文変換インジケータ18を点灯しない(消灯した状態を維持する)。
【0047】
次に、図6を参照して、文字入力作業の途中でテープ印刷装置1の電源がOFF状態になった場合の欧文変換インジケータ18の状態変化について説明する。まず、ユーザにより文字「T」「e」「l」「e」が順次入力されると、テープ印刷装置1は、文字入力画面5aに文字列「Tele」を表示すると共に、最後に入力された文字「e」は変換可能な状態の変換対象文字71であると判別し、欧文変換インジケータ18を点灯する(D31)。ここで、[電源]キー13が押され、テープ印刷装置1の電源がOFF状態となると、テープ印刷装置1は、文字「e」を確定した後、電源OFFの処理を行う(D32)。
【0048】
続いて、再度[電源]キー13が押され、テープ印刷装置1の電源がON状態となった場合、テープ印刷装置1は、電源OFF直前の文字入力画面5aを表示する(D33)。この時、文字「e」は既に確定されているため、テープ印刷装置1は、文字「e」は変換対象外であると判別し、欧文変換インジケータ18を消灯する。なお文字「e」に対する変換候補81を表示している最中(欧文変換インジケータ18は点灯)に電源OFF状態になり、再度電源がON状態になった場合も、上述と同様に、テープ印刷装置1は、文字「e」は変換対象外であると判別し、欧文変換インジケータ18を消灯する。
【0049】
以上のように、本実施形態によれば、編集対象となる文字(編集用文字)が欧文文字73に変換可能な状態であれば、欧文変換インジケータ18を点灯してその旨を報知し、変換操作に基づいて当該文字を欧文文字73に変換する。これにより、欧文文字73に慣れていないユーザ(欧文文字73を熟知していないユーザ)でも、対象となる文字が欧文文字73に変換可能であるか否か(欧文文字73に変換できる文字なのか否か)を簡単に判別することができる。
【0050】
なお、本実施形態では、対象となる文字が変換対象文字71であったとしても、一旦編集対象から外れた場合(確定文字)には(例えば、欧文文字73に変換して確定した場合、あるいはカーソルKが離れた場合等)、その文字に関しては二度と欧文文字73に変換できないようにしているが、これに限らず、対象となる文字が変換対象文字71であれば何度でも欧文文字73に変換できるようにしても良い。また、一旦欧文文字73に変換して確定した場合、カーソルKを移動させるまでは、再度欧文文字73に変換できるようにしても良い。いずれの場合においても、欧文文字73に変換できる状態であれば、欧文変換インジケータ18は点灯することになる。
【0051】
また、本実施形態では、欧文文字73の変換候補81の表示順序は常に同じであり、変換候補81の先頭から表示するようにしているが、例えば、欧文文字73への変換結果を学習する学習機能を持たせ、この学習結果に基づいて変換候補81を表示するようにしても良い。
【0052】
また、本実施形態では、欧文変換インジケータ18の点灯/消灯により、対象となる文字が欧文文字73に変換可能であるか否かを視覚的に報知しているが、これに限らず、対象となる文字に装飾を施して報知したり、あるいは電子音により聴覚的に報知するようにしても良い。
【0053】
また、図7に示す変換対象文字71、非変換対象文字72および欧文文字73は一例であり、これに限定されるものではない。
【0054】
また、上記の例に示した、テープ印刷装置1の文字判別方法における各工程をコンピュータに実行させるためのプログラムとして提供することも可能である。また、そのプログラムを記憶媒体(図示省略)に格納して提供することも可能である。記録媒体としては、CD−ROM、フラッシュROM、メモリカード(コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、メモリースティック等)、コンパクトディスク、光磁気ディスク、デジタルバーサタイルディスクおよびフレキシブルディスク等を利用することができる。
【0055】
また、上述した実施例によらず、テープ印刷装置1の装置構成や欧文文字73への変換の方式を含む処理工程等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本実施形態に係るテープ印刷装置のシステム構成図である。
【図2】テープ印刷装置の制御ブロック図である。
【図3】対象となる文字を欧文文字に変換する一連の流れについて説明する図である。
【図4】対象となる文字を欧文文字に変換する一連の流れについて説明する図である。
【図5】カーソルの移動による欧文変換インジケータの状態変化(点灯/消灯)について説明する図である。
【図6】テープ印刷装置の電源ON/OFFに伴う欧文変換インジケータの状態変化について説明する図である。
【図7】変換対象文字、非変換対象文字および変換対象文字に対応する欧文文字の例を説明する図である。
【符号の説明】
【0057】
1…テープ印刷装置 5…表示画面 5a…文字入力画面 5b…変換候補選択画面 18…インジケータ 71…変換対象文字 72…非変換対象文字 73…欧文文字 K…カーソル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された英数字および記号のいずれかから成る入力文字を当該入力文字に類似する欧文文字に変換する文字処理装置において、
前記入力文字にカーソルを付して編集用文字として表示する表示手段と、
前記編集用文字が、前記欧文文字に変換可能な状態か否かを判別する変換対象判別手段と、
前記編集用文字が前記欧文文字に変換可能な状態であると判別した場合、その旨を報知する報知手段と、を備えたことを特徴とする文字処理装置。
【請求項2】
前記変換対象判別手段は、
前記編集用文字が、前記欧文文字への変換対象である変換対象文字の場合、当該編集用文字は前記欧文文字に変換可能な状態であると判別し、前記編集用文字が前記変換対象文字以外の文字の場合、当該編集用文字は前記欧文文字に変換不可能な状態であると判別することを特徴とする請求項1に記載の文字処理装置。
【請求項3】
前記欧文文字への変換対象となる前記編集用文字を変換対象文字とし、
前記変換対象文字から前記カーソルが移動した場合、および前記変換対象文字が前記欧文文字に変換された場合のいずれかの前記変換対象文字を確定文字とした場合、
前記変換対象判別手段は、
前記編集用文字が前記変換対象文字以外の文字および前記確定文字のいずれかである場合、当該編集用文字は前記欧文文字に変換不可能な状態であると判別することを特徴とする請求項1に記載の文字処理装置。
【請求項4】
前記変換対象判別手段により、
前記編集用文字が変換可能な状態であると判別した場合、変換操作に基づいて、当該編集用文字を前記欧文文字に変換する変換手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の文字処理装置。
【請求項5】
前記報知手段は、インジケータで構成され、
前記インジケータは、
前記編集用文字が前記欧文文字に変換可能な状態の場合は点灯し、変換不可能な状態の場合は消灯することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の文字処理装置。
【請求項6】
前記変換対象文字の変換候補となる1以上の前記欧文文字を表示する変換候補表示手段をさらに備え、
前記変換候補表示手段は、
前記変換対象文字に対する前記変換候補として、小文字および大文字の両方の前記欧文文字を表示することを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1項に記載の文字処理装置。
【請求項7】
前記変換候補表示手段は、
前記変換対象文字が小文字の場合、小文字の前記変換候補を大文字の前記変換候補に対して優先して表示し、前記変換対象文字が大文字の場合、大文字の前記変換候補を小文字の前記変換候補に対して優先して表示することを特徴とする請求項6に記載の文字処理装置。
【請求項8】
入力された英数字および記号のいずれかから成る入力文字を当該入力文字に類似する欧文文字に変換する文字判別方法において、
前記入力文字にカーソルを付して編集用文字として表示する表示工程と、
前記編集用文字が、前記欧文文字に変換可能な状態か否かを判別する変換対象判別工程と、
前記編集用文字が前記欧文文字に変換可能な状態であると判別した場合、その旨を報知する報知工程と、を備えたことを特徴とする文字判別方法。
【請求項9】
コンピュータに、請求項8に記載の文字判別方法における各工程を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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