説明

文書処理装置及び文書処理方法

【課題】目次ページを自動生成すると共に、その体裁を指定する余地を持たせる。
【解決手段】目次ページの自動生成の際に参照される設定として、目次ページの原稿サイズ1402,原稿向き1403、ドキュメント全体の設定の無効化1404、先頭の記号の選択1407,採用するページ番号1408,リード線の有無1409,目次として表示する章の選択1411等が設定可能である。目次ページ作成時にはこれら設定値が参照され、設定値に従って目次ページが生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書処理装置および文書処理方法に関するもので、特にパーソナルコンピュータ等の情報処理とプリンタ等の印刷装置を有するシステムにおける文書処理装置および文書処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、文書を作成するためのアプリケーションにおいて、見出しとなる行や文字の特徴(文字サイズ、文字装飾等)が他の文書とは異なる行の文字を抜き出して並べることにより、目次を作成する機能があった(たとえば特許文献1等参照)。目次を作成する機能では、作成される目次ページのサイズはその他の原稿のページと同一のサイズとなっていた。例えば、原稿ページのサイズをA4として作成した場合には目次ページのサイズもA4として作成されていた。なお文書の内容を本文と呼ぶことにする。
【0003】
また、印刷時に複数(N)ページの原稿ページを用紙の一面に印刷するNアップ印刷と呼ばれる印刷方法がある。このとき、シートの一面に配置するページ数に応じて原稿ページのサイズは縮小される。例えば、A4の用紙に2ページの原稿ページを印刷する場合(2アップでは、各原稿ページのサイズはA4の2分の1であるA5サイズになる。この場合、作成される目次ページもその他の原稿ページと同様に縮小されていた。
【特許文献1】特開2005−209087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、目次ページは本文のページとは異なり、必ずしも本文のページと同じサイズやレイアウトで印刷する必要はない。目次ページは、本文の見出しとそれが記載されてページ番号とを関連づけて表示することで、本文の内容およびその所在を一覧に示したページである。そのため、一覧として閲覧者にとって見やすいことが望ましく、むしろ本文の内容のページと異なるサイズやレイアウトで印刷することが望ましい場合もある。
【0005】
ところが上述した従来技術では目次ページのサイズやレイアウトは本文の原稿ページと同一のものとなり、選択の余地がなかった。
【0006】
本発明は上記従来例に鑑みて成されたもので、目次ページを本文とは異なるサイズやレイアウトで作成可能な文書処理装置及び文書処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために以下の構成を備えている。すなわち、文書データを構成する原稿ページを、1枚のシート上に1あるいは複数ページずつ配置する面付け機能を有する文書処理装置であって、文書データから、指定された条件に適合する部分を抽出して、抽出した部分とそれが存在するページ番号とを列挙した目次データを作成し、指定サイズのページに前記目次データを配置して目次ページを作成する作成手段と、前記目次ページを前記文書データに挿入する挿入手段とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、本文とは異なるサイズやレイアウトで目次ページを作成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の第1の実施形態である文書処理システムの概要を、図1〜図13を参照して説明する。この文書処理システムでは、一般アプリケーションにより作成されたデータファイルが、電子原稿ライタによって電子原稿ファイルに変換される。製本アプリケーションはその電子原稿ファイルを編集する機能を提供している。なお、本例では、それぞれの機能が明瞭になるように、一般アプリケーション、電子原稿ライタ、製本アプリケーション、電子原稿デスプーラと分離して示している。しかしユーザに提供されるパッケージはこれらに限定されず、これらを組み合わせたアプリケーションやグラフィックエンジンとして提供されてもよい。以下、その詳細は説明する。
【0010】
<本実施形態の文書処理システムのソフトウェア構成例>
図1は、本実施形態の文書処理システムのソフトウェア構成を示す図である。文書処理システムは、本発明の文書処理装置(情報処理装置)の好適な実施形態であるデジタルコンピュータ100(以下、ホストコンピュータとも呼ばれる)によって実現されている。文書処理システムは1台のコンピュータにより実現することもでき、この場合には文書処理装置ということができる。一般アプリケーション101は、ワードプロセシングやスプレッドシート、フォトレタッチ、ドローあるいはペイント、プレゼンテーション、テキスト編集などの機能を提供するアプリケーションプログラムであり、OSに対する印刷機能を有している。これらアプリケーションは、作成された文書データや画像データなどのアプリケーションデータを印刷するにあたって、オペレーティングシステム(OS)により提供される所定のインタフェース(一般に、GDIと呼ばれる)を利用する。すなわち、アプリケーション101は、作成したデータを印刷するために、前記インタフェースを提供するOSの出力モジュールに対して、あらかじめ定められる、OSに依存する形式の出力コマンド(GDI関数と呼ばれる)を送信する。出力コマンドを受けた出力モジュールは、プリンタ等の出力デバイスが処理可能な形式にそのコマンドを変換し、変換されたコマンド(DDI関数と呼ばれる)を出力する。出力デバイスが処理可能な形式はデバイスの種類やメーカ、機種などによって異なる。そのために、デバイスごとにデバイスドライバが提供されており、OSではそのデバイスドライバを利用してコマンドの変換を行い、印刷データを生成し、JL(Job Language)でくくることにより印刷ジョブが生成される。OSとしてマイクロソフト社のウィンドウズ(登録商標)を利用する場合には、前述した出力モジュールとしてはGDI(Graphic Device Interface)と呼ばれるモジュールが相当する。
【0011】
電子原稿ライタ102は、前述のデバイスドライバを改良したものであり、本文書処理システム実現のために提供されるソフトウェアモジュールである。ただし、電子原稿ライタ102は特定の出力デバイスを目的としておらず、後述の製本アプリケーション104やプリンタドライバ106により処理可能な形式に出力コマンドを変換する。この電子原稿ライタ102による変換後の形式(以後、「電子原稿形式」と呼ぶ。)は、ページ単位の原稿を詳細な書式をもって表現可能であれば特に問わない。実質的な標準形式のうちでは、例えばアドビシステムズによるPDF形式や、SVG形式などが電子原稿形式として採用できる。
【0012】
アプリケーション101により電子原稿ライタ102を利用させる場合には、出力に使用するデバイスドライバとして電子原稿ライタ102を指定してから印刷を実行させる。ただし、電子原稿ライタ102によって作成されたままの電子原稿ファイルは、電子原稿ファイルとして完全な形式を備えていない。そのため、デバイスドライバとして電子原稿ライタ102を指定するのは製本アプリケーション104であり、その管理下でアプリケーションデータの電子原稿ファイルへの変換が実行される。製本アプリケーション104は、電子原稿ライタ102が生成した新規の不完全な電子原稿ファイルを後述する形式を備えた電子原稿ファイルとして完成させる。以下では、この点を明瞭に識別する必要がある際には、電子原稿ライタ102によって作成されたファイルを電子原稿ファイルと呼び、製本アプリケーションによって構造を与えられた電子原稿ファイルをブックファイルと呼ぶ。また、特に区別する必要がない場合は、アプリケーションにより生成されるドキュメントファイル、電子原稿ファイル、及びブックファイルをいずれも文書ファイル(または文書データ)と呼ぶ。
【0013】
このようにデバイスドライバとして電子原稿ライタ102を指定し、一般アプリケーション101によりそのデータを印刷させることで、アプリケーションデータはアプリケーション101によって定義されたページを単位とする電子原稿形式に変換される。変化されたアプリケーションデータは、電子原稿ファイル103としてハードディスクなどの記憶媒体に格納される。なお、アプリケーション101によって定義されたデータを、以後、「論理ページ」あるいは「原稿ページ」と呼ぶ。すなわち、本実施形態の電子原稿ファイルすなわち文書データは、原稿ページにより構成されている。また、ハードディスクは、本実施形態の文書処理システムを実現するコンピュータが備えているローカルドライブであってもよいし、ネットワークに接続されている場合にはネットワーク上に提供されるドライブであっても良い。
【0014】
製本アプリケーション104は、電子原稿ファイルあるいはブックファイル103を読み込み、それを編集するための機能を利用者に提供する。製本アプリケーション104によって編集されたブックファイル103を印刷する際には、製本アプリケーション104によって電子原稿デスプーラ105が起動される。電子原稿デスプーラ105は、製本アプリケーションと共にコンピュータ内にインストールされるプログラムモジュールである。電子原稿デスプーラ105は、製本アプリケーションで利用するドキュメント(ブックファイル)を印刷する際に、プリンタドライバへ描画データを出力するために使用されるモジュールである。電子原稿デスプーラ105は、指定されたブックファイルをハードディスクから読み出し、ブックファイルに記述された形式で各ページを印刷するために、前述したOSの出力モジュールに適合する出力コマンドを生成し、不図示の出力モジュールに出力する。その際に、出力デバイスとして使用されるプリンタ107のドライバ106がデバイスドライバとして指定される。出力モジュールは、指定されたプリンタ107のプリンタドライバ106を用いて受信した出力コマンドを、プリンタ107で解釈実行可能なデバイスコマンドに変換する。そしてデバイスコマンドはプリンタ107に送信され、プリンタ107によってコマンドに応じた画像が印刷される。
【0015】
<本実施形態の文書処理システムのハードウェア構成例>
図2は、本実施形態の文書処理システムのハードウェア構成を示す図である。図2において、ホストコンピュータ100は、ROM203内のプログラム用ROMあるいは外部メモリ211に記憶された文書処理プログラム等に基づいて図形、イメージ、文字、表(表計算等を含む)等が混在した文書処理を実行するCPU201を備える。ホストコンピュータ100では、システムバス204に接続される各デバイスをCPU201が総括的に制御する。また、このROM203内のプログラム用ROMあるいは外部メモリ211には、CPU201の制御プログラムであるオペレーティングシステムプログラム等が記憶される。ROM203内のフォント用ROMあるいは外部メモリ211には上記文書処理の際に使用するフォントデータ等が記憶され、ROM203内のデータ用ROMあるいは外部メモリ211には上記文書処理等を行う際に使用する各種データが記憶される。RAM202は、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。
【0016】
キーボードコントローラ(KBC)205は、キーボード209や不図示のポインティングデバイスからのキー入力を制御する。CRTコントローラ(CRTC)206は、CRTディスプレイ(CRT)210の表示を制御する。ディスクコントローラ(DKC)207は、ファイルを記憶するハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)等の外部メモリ211とのアクセスを制御する。記憶されるファイルには、ブートプログラム、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、プリンタ制御コマンド生成プログラム(以下プリンタドライバ)等がある。プリンタコントローラ(PRTC)208は、双方向性インタフェース(インタフェース)21を介してプリンタ107に接続されて、プリンタ107との通信制御処理を実行する。NC212はネットワークに接続されて、ネットワークに接続された他の機器との通信制御処理を実行する。
【0017】
なお、CPU201は、例えばRAM202上に設定された表示情報RAMへのアウトラインフォントの展開(ラスタライズ)処理を実行し、CRT210上でのWYSIWYGを可能としている。また、CPU201は、CRT210上の不図示のマウスカーソル等で指示されたコマンドに基づいて登録された種々のウィンドウを開き、種々のデータ処理を実行する。ユーザは印刷を実行する際、印刷の設定に関するウィンドウを開き、プリンタの設定や、印刷モードの選択を含むプリンタドライバに対する印刷処理方法の設定を行える。
【0018】
プリンタ107は、CPU312により制御される。CPU312は、ROM313内のプログラム用ROMに記憶された制御プログラムあるいは外部メモリ314に記憶された制御プログラムに基づいてシステムバス315に接続される印刷部(プリンタエンジン)317に出力情報としての画像信号を出力する。また、このROM313内のプログラムROMには、CPU312の制御プログラム等を記憶する。ROM313内のフォント用ROMには上記出力情報を生成する際に使用するフォントデータ等が記憶されている。ROM313内のデータ用ROMには、ハードディスク等の外部メモリ314がないプリンタの場合には、ホストコンピュータ上で利用される情報等が記憶されている。
【0019】
CPU312は入力部318を介してホストコンピュータとの通信処理が可能となっており、プリンタ内の情報等をホストコンピュータ100に通知できる。RAM319は、CPU312の主メモリや、ワークエリア等として機能するRAMで、図示しない増設ポートに接続されるオプションRAMによりメモリ容量を拡張することができるように構成されている。なお、RAM319は、出力情報展開領域、環境データ格納領域、NVRAM等に用いられる。前述したハードディスク(HD)、ICカード等の外部メモリ314は、メモリコントローラ(MC)20によりアクセスを制御される。外部メモリ314は、オプションとして接続され、フォントデータ、エミュレーションプログラム、フォームデータ等を記憶する。また、321は前述した操作パネルで、操作のためのスイッチ及びLED表示器等が配されている。
【0020】
また、前述した外部メモリ314は1個に限らず、複数個備えられ、内蔵フォントに加えてオプションカード、言語系の異なるプリンタ制御言語を解釈するプログラムを格納した外部メモリを複数接続できるように構成されていてもよい。さらに、図示しないNVRAMを有し、操作パネル321からのプリンタモード設定情報を記憶するようにしてもよい。
【0021】
<電子原稿データの形式例>
編集アプリケーション104の詳細を言及する前に、ブックファイルのデータ形式を説明する。ブックファイルは紙媒体の書物を模した3層の層構造を有する。上位層は「ブック」と呼ばれ、1冊の本を模しており、その本全般に係る属性(あるいは設定とも呼ぶ。)が定義されている。その下の中間層は、本でいう章に相当し、やはり「章」と呼ばれる。各章についても、章ごとの属性が定義できる。下位層は「ページ」であり、アプリケーションプログラムで定義された各ページに相当する。各ページついてもページごとの属性が定義できる。ひとつのブックは複数の章を含んでいてよく、また、ひとつの章は複数のページを含むことができる。
【0022】
図3は、ブックファイルの形式の一例を模式的に示す図である。この例のブックファイルにおける、ブック、章、ページは、それぞれに相当するノードにより示されている。ひとつのブックファイルはひとつのブックを含む。ブック、章は、ブックとしての構造を定義するための概念であるから、定義された属性値(設定値とも呼ぶ。)と下位層へのリンクとをその実体として含む。ページは、アプリケーションプログラムによって出力されたページごとのデータを実体として有する。そのため、ページは、その属性値のほか、原稿ページの実体(原稿ページデータ)と各原稿ページデータへのリンクを含む。なお、紙媒体等に出力する際の印刷ページは複数の原稿ページを含む場合がある。この構造に関してはリンクによって表示されず、ブック、章、ページ各階層における属性として表示される。
【0023】
図3では、ブックファイルが1つの完結したブックである必要はないので、「ブック」を「文書」として一般化して記載している。まず最上位に文書情報401を持つ。文書情報401は402〜404の3つのパートに大別できる。文書制御情報402は、文書ファイルのファイルシステムにおけるパス名などの情報を保持する。文書設定情報403は、ページレイアウトなどのレイアウト情報とステイプル、製本バインディングなど印刷装置の機能設定情報を保持し、ブックの属性に相当する。章情報リスト404は、文書を構成している章の集合をリスト形式で保持する。リストが保持するのは章情報405である。
【0024】
章情報405も406〜408の3つのパートに大別できる。章制御情報406は、章の名称などの情報を保持する。章設定情報407は、その章特有のページレイアウトやステイプルの情報を保持し、章の属性に相当する。章ごとに設定情報をもつことで最初の章は2UPのレイアウトその他の章は4UPのレイアウトのように複雑なレイアウトを持った文書を作成することが可能である。ページ情報リスト408は各章を構成する原稿ページの集合リスト形式で保持している。ページ情報リスト408が指示するのは、ページ情報データ409である。
【0025】
ページ情報データ409も410〜412の3つのパートに大別される。ページ制御情報410は、ツリー上に表示するページ番号などの情報を保持する。ページ設定情報411は、ページ回転角やページの配置位置情報などの情報を保持し、原稿ページの属性に相当する。ページリンク情報412は、ページに対応する原稿データである。この例では、ページ情報409が直接原稿データを持つのではなく、リンク情報412だけをもち、実際の原稿データは、ページデータリスト413で保持する構成としている。
【0026】
図4は、ブック属性(文書設定情報403を指し、ブック設定あるいはブック設定情報とも呼ぶ。)の例を示すリストである。通常、下位層と重複して定義可能な項目に関しては、下位層の属性値が優先採用される。そのため、ブック属性にのみ含まれる項目に関しては、ブック属性に定義された値はブック全体を通して有効な値となる。しかし、下位層と重複する項目については、下位層において定義されていない場合における既定値としての意味を有する。しかし、本例では、後述するように、下位層の属性値を優先するか否かが選択可能となっている。なお、図示された各項目は具体的に1項目に対応するのではなく、関連する複数の項目を含むものもある。
【0027】
また、目次ページの作成において説明する通り、目次ページに限定してブック属性を無視するという設定もある、
ブック属性に固有の項目は、印刷方法、仕上がりサイズ、面付け方法、トンボ・ドブ、製本詳細、表紙/裏表紙、インデックス紙、合紙、章区切り、目次設定である。これらは、ブックを通して定義される項目である。印刷方法属性としては、片面印刷、両面印刷の値を指定できる。面付け方法属性は、出力用紙を、インラインフィニッシャまたはオフラインフィニッシャにより断裁、製本することを前提として、1枚の出力用紙上に印刷ページを複数ページ面付けして印刷したいときに、その面付け方法を指定するための項目である。指定可能な面付け方法としては、「ペラ、中とじ、くるみ、4つ折り」などがある。「中とじ」とは、別途指定する枚数の用紙を束にして2つ折りにし、その束をつづり合わせることで製本が可能となる形式で面付けを行い、印刷する方法である。「くるみ」とは、インラインフィニッシャまたは、オフラインフィニッシャによるくるみ製本が可能となる形式で、くるみ表紙、中紙を面付けし、印刷する方法である。「4つ折り」とは、出力用紙を4つ折りにして、束にすると、無線とじ製本が可能となる形式で、印刷ページを面付けし、印刷する方法である。
【0028】
トンボ・ドブ属性は、電子原稿ファイルを印刷する際に、印刷ページに対しトンボの印字、および、裁ち落としを指定したい場合に指定するための項目である。N−up(Nアップ)印刷指定属性は、1印刷ページに含まれる原稿ページ数を指定するための項目である。指定可能な配置としては、1×1や1×2、2×2、3×3、4×4などがある。Nアップのことを単に印刷レイアウトと呼ぶ場合もある。また片面や両面、Nアップ、製本設定等を含めて、原稿ページを印刷用のシートの面上に配置する機能を面付け機能と呼ぶこともある。Nアップ設定されると、Nページの原稿ページがシートの1面に配置される。2アップでは、2原稿ページが1面に配置されることになる。
【0029】
製本詳細属性としては、「中とじ、くるみ、4つ折り」などの面付け方法が指定されている場合に、見開き方向や、束になる枚数、とじ幅、ガターシフト等が指定できる。フィニッシング属性は、排出した用紙を、中とじ製本やくるみ製本(バインディング)あるいは三方断裁等の処理を施すか否かを指定するための項目であり、この属性の有効性は使用する印刷装置がその機能を有するか否かに依存する。
【0030】
表紙/裏表紙属性は、ブックとしてまとめられる電子原稿ファイルを印刷する際に、表紙及び裏表紙となる用紙を付加することの指定、及び付加した用紙への印刷内容の指定を含む。インデックス紙属性は、章の区切りとして、印刷装置に別途用意される耳付きのインデックス紙を挿入する指定及びインデックス(耳)部分への印刷内容の指定を含む。この属性は、印刷用紙とは別に用意された用紙を所望の位置に挿入するインサート機能を持ったインサータが使用する印刷装置に備えられている場合か、あるいは、複数の給紙カセットを使用可能である場合に有効となる。これは合紙属性についても同様である。
【0031】
合紙属性は、章の区切りとして、インサータからあるいは給紙カセットから供給される用紙の挿入の指定、及び、合紙を挿入する場合には、給紙元の指定などを含む。
【0032】
章区切り属性は、章の区切り目において、新たな用紙を使用するか、新たな印刷ページを使用するか、特に何もしないか等の指定を含む。片面印刷時には新たな用紙の使用と新たな印刷ページの使用とは同じ意味を持つ。両面印刷時には、「新たな用紙の使用」を指定すれば連続する章が1枚の用紙に印刷されることはないが、「新たな印刷ページの使用」を指定すれば、連続する章が1枚の用紙の表裏に印刷されることがあり得る。
【0033】
目次設定4001は、目次を自動作成する際の設定値および自動更新の指定を含む。目次設定4001には、図30に示す詳細な設定項目を含む。図30の目次ページを生成するために必要な設定情報は、図14等に示すUIを通して設定され、保存される。これは図14の説明でさらに詳しく説明する。なお、目次設定4001はブック属性とは別個の属性として保存されても良い。
【0034】
図5は、章属性(章設定情報407)の、図6はページ属性(ページ設定情報411)の例を示すリストである。章属性とページ属性との関係もブック属性と下位層の属性との関係と同様である。章属性に関しては、そのほとんどがブック属性と重複する。したがって、通常は、章属性における定義とブック属性における定義とが異なれば、章属性で定義された値が優先する。しかし、本実施例では、後述するように、下位層の属性値を優先するか否かが選択可能となっている。
【0035】
ブック属性と章属性とにのみ共通する項目は、用紙サイズ、用紙方向、N−up印刷指定、拡大縮小、排紙方法の5項目である。このうち、N−up印刷指定属性は、1印刷ページに含まれる原稿ページ数を指定するための項目である。指定可能な配置としては、1×1や1×2、2×2、3×3、4×4などがある。排紙方法属性は、排出した用紙にステイプル処理を施すか否かを指定するための項目であり、この属性の有効性は使用する印刷装置がステイプル機能を有するか否かに依存する。
【0036】
目次章属性5001は、目次の自動生成が指示された際に、作成された目次の章について製本アプリケーション104によってオンに設定される。本文についてはオフとされる。そのため、製本アプリケーション104は、目次章属性5001を参照することで、目次の章か本文の章かを判断できる。
【0037】
ページ属性に固有の項目には、ページ回転属性、ズーム、配置指定、アノテーション、ページ分割などがある。ページ回転属性は、原稿ページを印刷ページに配置する際の回転角度を指定するための項目である。ズーム属性は、原稿ページの変倍率を指定するための項目である。変倍率は、仮想論理ページ領域のサイズを100%として指定される。仮想論理ページ領域とは、原稿ページを、N−up等の指定に応じて配置した場合に、1原稿ページが占める領域である。例えば1×1であれば、仮想論理ページ領域は1印刷ページに相当する領域となり、1×2であれば、1印刷ページの各辺を約70パーセントに縮小した領域となる。
【0038】
ブック、章、ページについて共通な属性として、ウォーターマーク属性及びヘッダ・フッタ属性がある。ウォーターマークとは、アプリケーションで作成されたデータに重ねて印刷される、別途指定される画像や文字列などである。ヘッダ・フッタは、それぞれ各ページの上余白及び下余白に印刷されるウォーターマークである。ただし、ヘッダ・フッタには、ページ番号や日時など、変数により指定可能な項目が用意されている。なお、ウォーターマーク属性およびヘッダ・フッタ属性において指定可能な内容は、章とページとは共通であるが、ブックはそれらと異なっている。ブックにおいてはウォーターマークやヘッダ・フッタの内容を設定できるし、また、ブック全体を通してどのようにウォーターマークやヘッダ・フッタを印刷するかを指定することができる。一方、章やページでは、その章やページにおいて、ブックで設定されたウォーターマークやヘッダ・フッタを印刷するか否かを指定できる。
【0039】
目次ページ属性6001は、目次の自動生成が指示された際に、作成された目次のページについて製本アプリケーション104によってオンに設定される。本文についてはオフとされる。そのため、製本アプリケーション104は、目次ページ属性5001を参照することで、目次ページか本文ページかを判断できる。
【0040】
<本実施形態の文書処理システムの操作手順例>
(ブックファイルの生成手順例)
ブックファイルは、上述したような構造及び内容を有している。次に、製本アプリケーション104及び電子原稿ライタ102によってブックファイルを作成する手順を説明する。ブックファイルの作成は、製本アプリケーション104によるブックファイルの編集操作の一環として実現される。
【0041】
図7は、製本アプリケーション104によりブックファイルを開く際の手順を示すフローチャートである。なお、本願のフローチャートの各ステップは、図2のホストコンピュータ(文書処理装置)のCPU201によって実行される。まず、開こうとするブックファイルが、新規作成すべきものであるか、それとも既存のものであるか判定する(ステップS701)。新規作成の場合には、章を含まないブックファイルを新規に作成する(ステップS702)。新規に作成されるブックファイルは、図3の例で示せば、ブックノード301のみ有し、章のノードに対するリンクが存在しないブックのノードとなる。ブック属性は、新規作成用としてあらかじめ用意された属性のセットが適用される。そして、新規ブックファイルを編集するためのユーザインタフェース(UI)画面を表示する(ステップS704)。図8は、新規にブックファイルが作成された際のUI画面の一例である。この場合には、ブックファイルは実質的な内容を持たないために、UI画面800には何も表示されない。
【0042】
一方、既存のブックファイルがあれば、指定されたブックファイルを開き(ステップS703)、そのブックファイルの構造、属性、内容に従ってユーザインタフェース(UI)画面を表示する。図9は、このUI画面の一例である。UI画面900は、ブックの構造を示すツリー部901と、印刷された状態を表示するプレビュー部902とを含む。ツリー部901には、ブックに含まれる章、各章に含まれるページが、図3のような木構造が分かるように表示される。ツリー部901に表示されるページは原稿ページである。プレビュー部902には、印刷ページの内容が縮小されて表示される。その表示順序は、ブックの構造を反映したものとなっている。
【0043】
さて、開かれたブックファイルには、電子原稿ライタ102によって電子原稿ファイルに変換されたアプリケーションデータを、新たな章として追加することができる。この機能を電子原稿インポート機能と呼ぶ。図7の手順によって新規に作成されたブックファイルに電子原稿インポートすることで、そのブックファイルには実体が与えられる。この機能は、図8あるいは図9の画面にアプリケーションデータをドラッグアンドドロップ操作することで起動される。
【0044】
図10は電子原稿インポートの手順例を示すフローチャートである。まず、指定されたアプリケーションデータを生成したアプリケーションプログラムを起動し、デバイスドライバとして電子原稿ライタ102を指定してアプリケーションデータを印刷出力させることで、電子原稿データに変換する(ステップS801)。変換を終えたなら、変換されたデータが画像データであるか否かを判定する(ステップS802)。この判定は、ウィンドウズ(登録商標)OSの下であれば、アプリケーションデータのファイル拡張子に基づいて行うことができる。例えば、拡張子が「bmp」であればウィンドウズ(登録商標)ビットマップデータであり、「jpg」であればJPEG圧縮された画像データ、「tiff」であればtiff形式の画像データであると判定できる。また、このような画像データの場合はS8010のようにアプリケーションを起動せずに、画像データから直接電子原稿ファイルを生成することが可能であるため、S8010の処理を省略することも可能である。
【0045】
画像データでなかった場合には、ステップS801で生成された電子原稿ファイルを、現在開かれているブックファイルのブックに、新たな章として追加する(ステップS803)。通常、章属性としては、ブック属性と共通するものについてはブック属性の値がコピーされ、そうでないものについては、あらかじめ用意された規定値に設定されるが、本例では、後述するように、下位層の属性値を優先するか否かが選択可能となっている。
画像データである場合には、原則として新たな章は追加されず、指定されている章に、ステップS801で生成された電子原稿ファイルに含まれる各原稿ページが追加される(ステップS804)。ただし、ブックファイルが新規作成されたファイルであれば、新たな章が作成されて、その章に属するページとして電子原稿ファイルの各ページが追加される。通常、ページ属性は、上位層の属性と共通のものについてはその属性値が与えられ、アプリケーションデータにおいて定義された属性を電子原稿ファイルに引き継いでいるものについてはその値が与えられる。例えば、N−up指定などがアプリケーションデータにおいてされていた場合には、その属性値が引き継がれる。このようにして、新規なブックファイルが作成され、あるいは、新規な章が追加される。しかし、本例では、後述するように、下位層の属性値を優先するか否かが選択可能となっている。
【0046】
図11は、図10のステップS801において、電子原稿ライタ102により電子原稿ファイルを生成させる手順を示すフローチャートである。まず、新たな電子原稿ファイルを作成してそれを開く(ステップS901)。指定したアプリケーションデータに対応するアプリケーションを起動し、電子原稿ライタ102をデバイスドライバとして、OSの出力モジュールに対して出力コマンドを送信させる。出力モジュールは、受信した出力コマンドを電子原稿ライタによって電子原稿形式のデータに変換し、出力する(ステップS902)。出力先はステップS901で開いた電子原稿ファイルである。指定されたデータすべてについて変換が終了したか判定し(ステップS903)、終了していれば電子原稿ファイルを閉じる(ステップS904)。電子原稿ライタ102によって生成される電子原稿ファイルは、図3に示した、原稿ページデータの実体を含むファイルである。
【0047】
(ブックファイルの編集例)
以上のようにして、アプリケーションデータからブックファイルを作成することができる。生成されたブックファイルについては、章及びページに対して次のような編集操作が可能である。
(1)新規追加
(2)削除
(3)コピー
(4)切り取り
(5)貼り付け
(6)移動
(7)章名称変更
(8)ページ番号名称振り直し
(9)表紙挿入
(10)合紙挿入
(11)インデックス紙挿入
(12)各原稿ページに対するページレイアウト。
【0048】
このほか、一旦行った編集操作を取り消す操作や、さらに取り消した操作をやり直す操作が可能である。これら編集機能により、例えば複数のブックファイルの統合、ブックファイル内で章やページの再配置、ブックファイル内で章やページの削除、原稿ページのレイアウト変更、合紙やインデックス紙の挿入などといった編集操作が可能となる。これらの操作を行うと、図4乃至図6に示す属性に操作結果が反映されたり、あるいはブックファイルの構造に反映されたりする。例えば、ブランクページの新規追加操作を行えば、指定された箇所にブランクページが挿入される。このブランクページは原稿ページとして扱われる。また、原稿ページに対するレイアウトを変更すれば、その変更内容は、印刷方法やN−up印刷、表紙/裏表紙、インデックス紙、合紙、章区切りといった属性に反映される。本例における、編集時の表示及び操作例については、以下で詳細に示す。
【0049】
(ブックファイルの出力例)
以上のように作成・編集されるブックファイルは印刷出力を最終目的としている。利用者が図9に示す製本アプリケーションのUI画面900からファイルを選択し、そこから印刷を選択すると、指定した出力デバイスにより印刷出力される。この際、まず製本アプリケーション104は、現在開かれているブックファイルからジョブチケットを作成して電子原稿デスプーラ105に渡す。電子原稿デスプーラ105は、ジョブチケットをOSの出力コマンド、例えばウィンドウズのGDIコマンドに変換し、それを出力モジュール、例えばGDIに送信する。出力モジュールは、指定されたプリンタドライバ106によってデバイスに適したコマンドを生成し、そのデバイスに送信する。
【0050】
すなわち、図示しない出力モジュールのグラフィックエンジンは、印刷装置ごとに用意されたプリンタドライバ106を外部メモリ211からRAM202にロードし、出力をプリンタドライバ106に設定する。そして、出力モジュールは、受け取ったGDI(Graphic Device Interface)関数からDDI(Device Driver Interface)関数に変換して、プリンタドライバ106へDDI関数を出力する。プリンタドライバ106は、出力モジュールから受け取ったDDI関数に基づいて、プリンタが認識可能な制御コマンド、例えばPDL(Page Description Language)に変換する。変換されたプリンタ制御コマンドは、OSによってRAM202にロードされたシステムスプーラを経てインタフェース21経由でプリンタ107へ印刷データとして出力される仕組みとなっている。
【0051】
ここで、上記ジョブチケットは、原稿ページを最小単位とする構造を有するデータである。ジョブチケットにおける構造は、用紙上における原稿ページのレイアウトを定義している。ジョブチケットは1ジョブにつき1つ発行される。そのため、まず最上位にドキュメントというノードがあり、文書全体の属性、例えば両面印刷/片面印刷などが定義されている。その下には、用紙ノードが属し、用いるべき用紙の識別子や、プリンタにおける給紙口の指定などの属性が含まれる。各用紙ノードには、その用紙で印刷されるシートのノードが属する。1シートは1枚の用紙に相当する。各シートには、印刷ページ(物理ページ)が属する。片面印刷ならば1シートには1物理ページが属し、両面印刷ならば1シートに2物理ページが属する。各物理ページには、その上に配置される原稿ページが属する。また物理ページの属性として、原稿ページのレイアウトが含まれる。
【0052】
ジョブチケットのデータ構造の例を図12に示す。印刷用のデータでは、文書は用紙の集合で構成されており、各用紙は表、裏の2面で構成されており、各面は原稿をレイアウトする領域(物理ページ)を持ち、各物理ページには、最小単位である原稿ページの集合から構成される。1101は文書に相当するデータで、文書全体に関係するデータと、文書を構成する用紙情報のリストから構成される。用紙情報1102は用紙サイズなど用紙に関する情報と用紙上に配置される面情報のリストから構成される。面情報1103は、面に固有のデータと、面上に配置される物理ページのリストから構成される。物理ページ情報1104は、物理ページのサイズやヘッダ・フッタなどの情報と、物理ページを構成する原稿ページのリストから構成される。電子原稿デスプーラ105は、上述のジョブチケットを、出力モジュールへの出力コマンドに変換する。
【0053】
(プレビュー表示の内容例)
すでに説明したとおり、ブックファイルが製本アプリケーションによって開かれると、図9に示すユーザインタフェース画面900が表示される。ツリー部901には、開いているブック(以下、「注目ブック」と呼ぶ。)の構造を示すツリーが表示される。プレビュー部には、利用者の指定に応じて、3通りの表示方法が用意されている。第1は原稿ページをそのまま表示する原稿ビューと呼ばれるモードである。原稿ビューモードでは、注目ブックに属する原稿ページの内容が縮小されて表示される。プレビュー部の表示にレイアウトは反映されない。第2は印刷ビューモードである。印刷ビューモードでは、プレビュー部902には、原稿ページのレイアウトが反映された形で原稿ページが表示される。第3は簡易印刷ビューモードである。簡易印刷ビューモードでは、各原稿ページの内容はプレビュー部の表示には反映されず、レイアウトのみが反映される。
【0054】
<他の文書処理システムの構成例>
上記実施形態の文書処理システムはスタンドアロン型のシステムであるが、これを拡張したサーバクライアントシステムでもほぼ同様の構成・手順でブックファイルが作成・編集される。ただし、ブックファイルや印刷処理はサーバによって管理される。
【0055】
図13はサーバクライアント型文書処理システムの構成を示すブロック図である。クライアント文書処理システムは、スタンドアロン型システムに、クライアントモジュールであるDOMSドライバ109及びDOMSプリントサービスモジュール110、DS(文書サービス)クライアントモジュール108を加えた構成を有する。DOMSとは、文書出力管理サービス(Document Output Management Service)の略称である。このクライアント文書処理システム1200に、文書管理サーバ1201及び印刷集中管理サーバ1202及びプリントサーバ1203が接続されている。これらサーバは、通常ネットワークによってクライアント文書処理システムと接続されるが、サーバが同時にクライアントとしても機能する場合には、ネットワーク間の通信をシミュレートするプロセス間通信によって接続される。なお、図13では文書管理サーバ1201と印刷集中管理サーバ1202の両サーバがクライアントに接続されているが、いずれか一方のみがネットワーク上に存在する場合もあり得る。接続されているサーバが文書管理サーバであれば、そのクライアントモジュールを含む文書管理サーバクライアントシステム1201SCがスタンドアロン型文書管理システムに追加される。また、印刷集中管理サーバ1202であれば、そのクライアントモジュールを含む印刷管理サーバクライアントシステム1202SCが、スタンドアロン型文書管理システムに追加される。
【0056】
文書管理サーバ1201は、製本アプリケーション104により作成・編集されたブックファイルを格納するサーバである。文書管理サーバ1201によってブックファイルを管理する場合、ブックファイルは、クライアントPCのローカルHDに代わって、あるいはそれに加えて、文書管理サーバ1201のデータベース1211に保存される。製本アプリケーション104と文書管理サーバ1201との間のブックファイルの保存及び読み出しは、DSクライアント108及びDSコア1212を介して行われる。
【0057】
印刷集中管理サーバ1202は、クライアント文書管理システム1200に格納された、あるいは文書管理サーバ1201に格納されたブックファイルの印刷を管理するサーバである。クライアントにおける印刷要求は、DOMSドライバ109及びDOMSプリントサービスモジュール110を介して印刷集中管理サーバ1202のDOMSWGサーバモジュール1221に送信される。集中印刷管理サーバ1202は、クライアントのプリンタで印刷する場合にはクライアントのDOMSプリントサービスモジュール110を介して電子原稿デスプーラ105に電子原稿データを渡す。また、プリントサーバ1203により印刷する場合には、プリントサーバ1203のDOMSプリントサービスモジュール1203に送信する。集中印刷管理サーバは、例えば保存されているブックファイルに対して印刷要求を発行した利用者の資格などについてセキュリティチェックを行ったり、印刷処理のログを保存したりする。このように、文書処理システムは、スタンドアロンとしても、クライアントサーバシステムとしても実現できる。
【0058】
<本実施形態の文書処理システムの目次作成処理>
次に、上述した文書処理システムにおける目次ページの作成処理について説明する。本実施形態の文書処理システムでは、たとえば製本アプリケーション104が提供する図9のUI900において、その処理メニュー欄から「目次の挿入」項目を利用者が選択することにより、目次挿入機能が実行される。目次挿入機能は、ブックファイルの章構成からブックファイル全体の構成を示す目次を作成する機能である。目次ページは、文書データすなわちブックファイルから抽出した章の名称およびそれが存在するページ番号すなわち章の開始のページ番号等、目次に印刷される目次情報を章の先頭から順に列挙することで作成される。以下、詳しく説明する。
【0059】
[目次挿入機能]
図14は、目次の挿入画面を示している。製本アプリケーションから、「目次の挿入」メニューを選択すると、目次の挿入画面1401が表示される。目次の挿入画面1401では、作成される目次の体裁を設定することができる。
【0060】
(サイズ設定)
目次の挿入画面1401において、作成される目次ページの原稿サイズは、目次ページ原稿サイズ設定欄1402により設定できる。すなわち目次ページは指定サイズで印刷することができる。「選択ページの原稿サイズ」を選択すると、目次ページは、ツリー部901及びプレビュー部902で選択状態となっているページの原稿サイズと同じサイズで作成される。選択されているページがない場合は、文書の先頭のページの原稿サイズが目次ページのサイズとして選択される。原稿ページが複数ページ選択されている場合は、選択された原稿ページのうちで一番先頭にある原稿ページの原稿サイズと同じサイズが選択される。一方、「仕上がりサイズ」が選択されると、目次ページは、ブック属性の仕上がりサイズと同じ大きさで作成される。なお、目次のサイズとして、このほかのサイズを選択あるいは指定可能に構成することもできる。
【0061】
UI1400を介してユーザにより入力されたサイズ設定は、図30に示す目次設定情報3000における原稿サイズ3001として保存される。これはこのほかの項目についても同様である。図30において、項目3001〜3009については、最も右側の欄が保存される値であり、その左側は項目の名称である。また項目3010〜3012は、保存される値を示している。
【0062】
(方向設定)
目次ページの原稿の向きは、目次ページ原稿向き設定欄1403により設定できる。この設定は、目次ページ原稿サイズ設定欄1402で「選択ページの原稿サイズ」を選択した場合に設定することができる。目次ページ原稿サイズ設定欄1402で「仕上がりサイズ」を選択した場合は、目次ページの向きとして、ブック属性の仕上がりの用紙方向が採用され、目次ページ原稿向き設定欄1403で方向を選択することはできない。入力された目次ページの方向設定は、目次設定情報3000の原稿の向き3002として保存される。設定できる方向は本実施形態では縦あるいは横のいずれかである。
【0063】
(設定無効化設定)
ブック設定無効欄1404を設定することにより特定のブック属性項目を目次ページには適用しないようにできる。すなわち、目次ページに限りブック属性の一部を無効化できる。無効化設定欄1404は、目次ページ原稿サイズ設定欄1402で仕上がりサイズを選択した場合には、初期状態で有効(すなわち無効化すること)となる。無効化設定欄1404がチェックされている(すなわち無効化する)場合、無効化項目として選択されたブック属性の項目が目次ページに適用されない。無効にする設定の項目(無効化項目)を選択するときは、詳細設定ボタン1405を押すと表示される無効設定選択欄から選択する。ボタン1405を選択すると、図15に示す無効設定選択欄1501が表示され、「Nアップ印刷指定」「ヘッダ」「フッタ」「ウオータマーク」それぞれについてチェックすることで各項目について無効化を設定できる。無効化設定は、目次情報3000の無効化設定3003にそれぞれ項目3003a〜3003dに無効化設定情報として保存される。なお、ブック属性全体を無効化する設定を設けても良い。その場合、ブック属性全体が無効化されていたとしても、当然ながら目次設定は例外的に目次ページに適用される。目次設定がブック設定とは別に保存されている場合には、このような例外扱いは不要である。
【0064】
(挿入箇所)
目次ページの挿入が指示されると、目次ページを含む目次章も作成されて、文書中に章単位で挿入される。その際、挿入箇所設定欄1406により、現在選択されているページの属する章の前に挿入するか、後ろに挿入するかを選択できる。この設定は目次の挿入箇所3008として保存される。
【0065】
(テキスト設定)
図16は、目次挿入機能によって作成される目次ページの内容の一例を示した図である。目次ページの形式は、先頭記号挿入設定欄1407、ページ番号設定欄1408、リード線挿入設定欄1409、目次テキスト設定欄1410、目次挿入章設定欄1411により、ユーザが設定できる。
【0066】
目次ページに挿入されるすべての情報は、目次テキスト設定欄1410により選択されたフォントを使用する。目次テキスト設定欄1410では、フォントの種類、サイズ、色、文字飾り等の設定が可能である。テキスト設定はテキストスタイル設定3008として保存される。
【0067】
(先頭記号設定)
先頭記号挿入設定欄1407では、先頭記号1601を挿入するか否か、および挿入する場合の記号を設定できる。たとえば1から始まる連番を、目次の各項目の先頭に付する指定ができる。もちろん、英語のアルファベットのaから始まる連番や、ギリシャ数字のiから始まる連番なども設定可能である。先頭記号設定は先頭記号設定3004として保存される。
【0068】
(ページ番号設定)
ページ番号設定欄1408では、ページ番号1602として、ブック属性のヘッダで使用されているページ表記を用いるか、もしくはフッタで使用されているページ表記を用いるかを設定できる。ページ番号設定はページ番号設定3005として保存される。
【0069】
(リード線設定)
リード線挿入設定手段1409では、章の表題とページ番号とを結ぶリード線1603を挿入するか否かを設定することができる。リード線を入れることが選択されていると、図16のリード線1603が付される。リード線設定はリード線設定3006として保存される。
【0070】
(目次挿入章設定)
目次挿入章設定欄1411では、目次として列挙する章の設定をすることができる。この設定で選択されている章のみが目次ページに反映される。本例では、選択肢として表紙、はじめに、本文、あとがき、資料から選択できる。もちろんこのほかの選択肢、たとえば「すべての章」などの選択肢を設けてもよい。なお、ここでは本文は、表紙、はじめに、あとがき、資料と並ぶ構成要素であるが、文書データから、それに挿入された目次を除いた部分を本文と呼ぶ場合もある。目次挿入章設定は目次挿入章設定3007として、チェックされた各章ごとに対応づけて項目3007a〜3007eに保存される。
【0071】
以上説明したような項目が、目次設定情報として設定可能である。そして、OKボタン1412を選択することにより、目次設定情報を反映した目次ページが作成され、文書データに挿入される。
【0072】
<目次ページの例>
次に、ある設定で目次の挿入を行った場合の出力ページの状態を図17から図19を用いて説明する。図17の文書データでは、ブック属性において、ウォーターマーク1701とフッタ1702が付加されている。そして現在、原稿ページ1703が選択されている。また、図17の体裁の文書データに対して、目次ページの原稿サイズ設定として「仕上がりサイズ」、ブック属性全体の無効化設定として「無効」、先頭の記号設定及びリード線設定として「挿入」、ページ番号設定として「フッタ」が選択されたとする。目次挿入設定として「選択章の前」が選択されているとする。この状態で目次を挿入した場合に、文書データは、図18に示す状態となる。目次ページは、仕上がりページのサイズで作成されるため、シートサイズ1801で作成される。目次ページに対するブック属性を無効にしているため、ウォーターマーク1701、フッタ1702、2in1は、目次ページに適用されない。そして、選択ページ1703の含まれる章1802の前に目次章1803は挿入される。
【0073】
一方、目次ページの原稿サイズ設定として「選択ページの原稿サイズ」が選択されている場合(他の設定は図18と同じ)、文書データは図19に示すものとなる。目次ページ1901は、選択ページ1703の原稿サイズと同じサイズで作成される。
【0074】
なお作成された目次ページの章属性及びページ属性においては、その章及びページが目次であることを示すための目次フラグ5001,6001(それぞれ図5,図6参照)が有効にされる。目次が更新される場合は、目次フラグを見て、更新するべき章を決定する。目次章は、章の位置を変更することは可能だが、目次章の目次ページに対して、ページの移動や削除等の編集操作を行うことは禁止されている。
【0075】
<目次挿入処理>
図20は、目次挿入における処理の一例を示したフローチャートである。この処理は、ユーザにより、目次の挿入画面で目次の設定を行い、ボタン1412が押されたときに、製本アプリケーション104により実行される。
【0076】
まず、ステップ2001において、目次章が文書データに挿入される。挿入位置は、目次挿入箇所設定欄1406で設定された値(目次挿入箇所設定3008)に応じた位置である。指定された位置に目次章の章ノードが挿入され、挿入された章属性の章フラグがセットされる。次に、ステップ2002において、作成する目次ページの数が何ページになるかを数える。この処理は、挿入するページ数を決定するために行う。計数方法は、まず、目次ページの原稿サイズの縦方向の大きさから、上下の余白部分と目次のタイトル(目次という文字)を減算し、その差を目次ページ有効縦サイズとする。そして、フォントのサイズと行間の余白を加算した値(行ピッチ)に、目次挿入章設定欄1411(目次挿入章設定3007)で設定された挿入する章の数を乗算し、その積を目次内容量とする。その後、目次内容量を目次ページ有効縦サイズで除算して、その商の少数点以下を切り上げた数字が目次ページのページ数となる。なお、本文が複数の章から構成される場合には、目次挿入章設定3008のみから目次に登録される章の数を特定できない。そこで、本文が選択されている場合には、ブック(すなわち文書データ)の本文の章ノードを数え、その章ノード数を目次に挿入する本文の章の数とする。本文の章ノードであることは、たとえば、「はじめに」「あとがき」「資料」といった見出し以外の見出しが、最初のページに記載されている章の章ノードであることをもって判断できる。なおすべての章が目次に挿入する章として選択されている場合には、文書データに含まれる章ノードの数を数え、その値を章の数とすればよい。
【0077】
次に、ステップ2003において、製本アプリケーション104は、目次ページの原稿サイズ設定欄1402で設定された値(原稿サイズ設定3001)を取得する。取得した設定値が、「選択された原稿ページ」であった場合は、ステップ2004に進み、「仕上がりページ」であった場合は、ステップ2008に進む。
【0078】
ステップ2004では、まず、選択されている原稿ページの情報(ページデータ)から原稿サイズを取得する。そして、目次ページ原稿向き設定欄1403の設定値(方向設定3002)を取得し、ステップ2005において、その設定値を判断する。用紙方向が横であった場合、ステップ2006に進み、縦であった場合は、ステップ2007に進む。ステップ2006において、製本アプリケーション104は、目次ページのページデータを、選択された原稿ページの原稿サイズの横方向で作成する。一方、ステップ2007において、製本アプリケーション104は、目次ページのページデータを、選択された原稿ページの原稿サイズの縦方向で作成する。なお、作成するページの数は、ステップ2006、2007どちらの場合も、ステップ2002で数えたページ数分作成する。
【0079】
一方ステップ2008では、まず、ブック属性の仕上がりサイズを取得する。そして、方向設定3002の設定値を取得し、ステップ2009において、その設定値を判断する。用紙方向が横であった場合、ステップ2010に進み、縦であった場合は、ステップ2011に進む。ステップ2010において、製本アプリケーション104は、目次ページを、仕上がりサイズの横方向で作成する。一方、、ステップ2011において、製本アプリケーション104は、目次ページを仕上がりサイズの縦方向で作成する。なお、作成するページの数は、ステップ2010、2011どちらの場合も、ステップ2002で確認したページ数分作成する。
【0080】
ここまでの処理で、挿入される目次章と目次ページのページデータが、目次の内容を除いて作成され、目次ページ挿入後の文書データのページ数が確定する。ここで製本アプリケーション104は、ページ番号を更新するために、ステップ2012において、ブック(文書データ)のヘッダ・フッタの更新を行う。
【0081】
次に、ステップ2013において、設定無効化設定欄1404(無効化設定3003)の値を参照する。設定無効化設定欄1404が有効(すなわち無効化すること)になっていた場合は、ステップ2014の処理を行う。ステップ2014において、製本アプリケーション104は、無効設定選択欄1501で設定されている、無効とする設定項目について、章属性の設定を行う。これは、ブック属性と重複する設定項目について章属性の設定をすることにより、ブック属性の方が無効となるためである。例えば、N−UP印刷指定を無効化する設定となっていた場合は、目次章の属性において、N−UP印刷指定を1UPとする。同時に、ヘッダ・フッタ、ウォーターマークについては、それらを付加しない設定をする。これ以外の設定であってもブック属性と章属性両方に存在する項目については、ブック属性を無効化する設定をすることができる。
【0082】
そして、ステップ2015において、目次ページの原稿内容を作成し、目次ページの挿入処理は終了する。ステップ2015の処理の詳細について説明する前に、図22を用いて目次ページの原稿内容の配置について説明する。
【0083】
図22は、目次ページの原稿内容の配置の一例について示した図である。目次ページに挿入される文字は、目次タイトル1605、先頭記号1601、章名称1604、リード線1603、ページ番号1602がある。
目次ページの原稿ページには、余白として原稿ページの上下左右部分に領域をとる。(図22の余白2201から2204)余白の量は任意でよいが、原稿サイズの短辺の10%程度が好ましい。
【0084】
目次タイトル1605は、縦方向については、原稿の上端から余白2203を空けた位置に、横方向については、中央揃えで挿入する。
【0085】
先頭記号1601は、縦方向については、原稿の上端から余白2203+目次タイトルのテキストの高さ+目次タイトル下の余白2205を空けた位置に、横方向については、原稿の左端から左の余白2201を空けた位置に挿入する。章名称1604は、先頭記号1601のうち一番横幅が長いものの右端の位置に揃えて挿入される。リード線1603は、各章の章名称1604の右端からページ番号1602の左端までにかけて挿入される。ページ番号1602は、原稿の右端から余白2202を開けた位置がページ番号の右端になるように挿入される。先頭記号1601、章名称1604、リード線1603、ページ番号1602は、挿入する順番に応じて、章ごとに、縦方向にテキストの高さ分下方向にずらした位置に挿入する。
【0086】
<目次内容作成処理>
次に、ステップ2015の目次ページの原稿内容(これを目次データとも呼ぶ)を作成する処理の詳細について、図21を用いて説明する。図21は、目次ページの原稿内容を作成する処理の一例を示したフローチャートである。また、目次データが配置されるページを目次ページと呼ぶ。
【0087】
まず、ステップ2101において、製本アプリケーション104は、目次テキスト設定欄1410で設定されたテキスト情報を取得する。目次ページの原稿内容は、すべてこのテキスト情報で指定されたテキストを使用する。
【0088】
次に、ステップ2102において、製本アプリケーション104は、先頭の章の情報を取得する(あるいは抽出する)。章の情報とは、章の番号、章の名称、章属性などである。ここでは抽出されるのは章の情報であるが、他の情報を指定することもできる。たとえば章情報に限らず、「文字列かつ名詞」などの条件を指定し、その条件に適合する部分とページ番号との対応表を作成すれば、目次に替えて索引を作成できる。もちろん文字列に限らず、「画像」や「図形」など他の条件を指定すれば、画像索引や図形索引を作成できる。本実施形態では、固定的に指定される条件が章の番号、章の名称、章属性等の章情報であり、その指定された部分が文書データから抽出される。
【0089】
次に、ステップ2103において、製本アプリケーション104は、目次のタイトルを挿入する。目次のタイトルとは、図16の文字列1605のことを示す。一例として、目次ページの上部中央に「目次」というテキストを挿入する。
【0090】
章の情報を取得した後、ステップ2104において、製本アプリケーション104は、その章が目次挿入章設定3007で挿入すると設定されているかどうかを判定する。挿入しないと設定されていた場合は、一連の章情報の挿入処理を飛ばし、ステップ2112の処理を行う。ちなみに、目次章は、目次に挿入しない章と設定される。
【0091】
次に、ステップ2105において、製本アプリケーション104は、先頭記号設定3004で先頭記号を挿入すると設定されているかを判断する。先頭記号を挿入する場合、製本アプリケーション104は、ステップ2106において先頭記号を挿入する。先頭記号は、目次に挿入する章の順番に1から1ずつ増やした数字である。挿入する位置は、上述したとおりである。次に、ステップ2107において、製本アプリケーション104は、章名称を挿入する。次に、ステップ2108において、製本アプリケーション104は、リード線設定3006でリード線を挿入すると設定されているかを判断する。リード線を挿入する場合、製本アプリケーション104は、ステップ2109において、リード線を挿入する。次に、ステップ2110において、製本アプリケーション104は、章名称を抽出したページのページ番号を取得する。取得するページ番号は、ページ番号設定3005の設定値に応じて、ヘッダもしくはフッタで設定されているページ番号の書式に合わせて取得する。そして、ステップ2111において、取得したページ番号を挿入する。
そして、ステップ2112において、情報を目次ページに挿入した章が、ブック全体の最後の章かどうか判断する。最後の章であった場合は、処理を終了する。最後の章でなかった場合、ステップ2113の処理を行う。
【0092】
ステップ2113において、製本アプリケーション104は、次の章の情報を挿入する位置を決定する。挿入する位置は、直前に挿入を行った章の位置から、テキストの高さ分、下の位置となる。そして、ステップ2114において、ステップ2113で決定した位置が、目次ページの下部の余白2204+テキストの高さより上にあるかどうかを判定する。目次ページの下部の余白2204+テキストの高さより決定した位置が上であった場合は、挿入の余地があるものとしてステップ2116の処理を行う。目次ページの下部の余白2204+テキストの高さより決定した位置が下であった場合は、次の章の情報を追加すると、余白が確保できなくなってしまう。ここで、製本アプリケーション104は、次のページに情報を追加するために、ステップ2115において、章の情報を追加するページを次の目次ページに変更し、ステップ2116の処理を行う。
【0093】
ステップ2116において、次の章の情報を取得し、その後、上述したステップ2104からステップ2115を最後の章になるまで繰り返す。
【0094】
以上の手順により、図14のUIで設定された目次設定情報にしたがって、目次ページを作成することができる。
【0095】
<目次更新機能>
作成された目次ページは、その後のユーザ操作により、ページの追加や削除などにより、ページ番号が変わった場合、目次ページ更新機能を使用することにより、目次の内容を更新することができる。目次ページ更新機能は、製本アプリケーション104のUIにおいて、「目次の更新」メニューを選択することにより、行うことができる。
【0096】
図23は、目次ページの更新処理の一例を示したフローチャートである。はじめに、ステップ2301において、目次章の探索を行う。目次章は、章属性で目次設定がオンになっている章である。そのため、ブック内の章で目次設定がオンになっている章を探す。そして、ステップ2302において、ステップ2301で探索された目次章を削除する。その後、ステップ2303で、図20で示した目次の挿入処理を行うことで、目次ページの更新を行う。
【0097】
また、製本アプリケーション104において、「目次の更新設定」メニューを選択することにより、目次の更新を自動で行うことができる。図24は、「目次の更新設定」メニューを選択したときに、表示される目次自動更新設定のユーザインタフェースの一例を示した図である。目次自動更新設定手段2401を有効にすることにより、目次の自動更新が行われるようになる。
【0098】
図25は、目次の自動更新を行う処理の一例を示したフローチャートである。この処理は、目次の内容が変わる可能性のある操作が行われるたびに実行される。例えば、ページの移動、ページの削除、章の移動、章の削除、章の追加、章名称変更、データファイルの取り込み、ブック属性の変更等の操作があげられる。これらの操作が行われると、まず、ステップ2501において、各章のページ番号、章名称、ページ番号の体裁が、操作によって変わったかどうかを判断する。判断方法は、操作前に各章の情報を記憶しておき、操作後の各章のページ番号、章名称、ページ番号が一致しない章があるかどうかを調べる。操作前と操作後の情報でひとつでも一致しない項目があった場合には、ステップ2502において、図23で示した目次の更新処理が行われる。
【0099】
<目次結合機能>
ブック属性の用紙方向が縦、原稿ページの用紙方向が横で、目次ページを「選択ページの原稿ページサイズ」かつ横方向で作成し、ブック属性のN−UP設定において、2−UP設定がされている場合を考える。この場合、目次が複数ページになると、同じ用紙内に2ページの目次が配置されることになる(図26の用紙2601の状態)。このような状態となると、見栄えが悪くなる上に目次タイトルが2つあり、2つの原稿ページ間の余白もあるため、1枚の用紙の情報量が少なくなる。そのため、特定の条件において、目次ページを結合する。
【0100】
図27は、図26の状態において、目次結合機能が行われた後の状態を示した図である。この機能も又製本アプリケーション104により、目次の更新と合わせて実行される。目次結合機能により、用紙2601に配置されていた2つの目次ページは、ひとつの目次ページに更新される。この機能は、図24の目次結合設定欄2402を有効にすることにより、行われる。
【0101】
図28は、目次結合機能の処理の一例を示したフローチャートである。この処理は、目次結合設定手段2402を有効にし、ボタン2404を押したとき、または、目次結合設定手段2402が有効な状態で、目次挿入がされたときに行う。
【0102】
まず、ステップ2801において、製本アプリケーション104は、仕上がりの用紙方向が縦かどうかを調べる。縦であった場合、ステップ2802において、製本アプリケーション104は、目次の原稿の向きが横かどうかを調べる。横であった場合、ステップ2803において、製本アプリケーション104は、ブック属性のN−UP印刷指定が2−UPとなっているか調べる。2−UPであった場合、ステップ2804において、製本アプリケーション104は、目次ページが複数存在するかどうか調べる。複数の目次ページがあった場合、目次ページを結合する条件が満たされている。そこでステップ2805において、製本アプリケーション104は、目次ページの原稿サイズ設定を仕上がりサイズに変更する。次に、ステップ2806において、製本アプリケーション104は、ブック設定無効をオンにして、N−UP印刷指定3003aのみを無効にする。そして、ステップ2807において、目次ページの更新処理(再生成処理)を行う。
【0103】
この処理により、見栄えの良い目次ページを生成することが可能となる。
【0104】
<目次の属性連動機能>
目次ページを特定の原稿ページの体裁に合わせて作成したい場合、合わせたい原稿ページと同じ原稿サイズで作成した上で、章属性、ページ属性を合わせたい原稿ページと同じにしなければならない。このような場合において、図24の属性連動設定欄2403を有効にすることにより、特定の原稿ページの属性と合わせることができる。
【0105】
図29は、目次章の章属性・ページ属性を選択した原稿ページと合わせる処理のフローチャートの一例を示した図である。この処理は、属性連動設定欄2403を有効にして、目次の原稿サイズを選択した原稿サイズで作成した場合に目次挿入処理が行われた後に行う。まず、ステップ2901において、選択している原稿ページの章属性を取得する。そして、ステップ2902において、ステップ2901で取得した章属性と目次章の章属性を同じにする。次に、ステップ2903において、選択している原稿ページのページ属性を取得する。そして、ステップ2904において、すべての目次ページのページ属性をステップ2903で取得したページ属性と同じにする。
【0106】
なお図24の各設定値は、図30の目次設定情報3000に項目3010〜3012として保存され、目次更新処理において参照される。なお項目3010〜3012は目次設定情報3000とは別の設定情報として保存されても良い。また、ブック属性の一部として保存されず、製本アプリケーション104の処理設定として保存しても良い。これは
目次設定情報3000全体についても同様である。
【0107】
以上説明した本実施形態にかかる文書処理システムにより、所望の体裁で目次ページを作成でき、所望の位置に挿入することができる。また、文書の編集に伴って目次を自動的に更新する事も可能となる。
【0108】
なお本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。また本発明の目的は、前述の実施形態の機能を実現するプログラムコードを記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータが記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体およびプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0109】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0110】
また、本発明には、プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた場合についても、本発明は適用される。その場合、書き込まれたプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本実施形態におけるスタンドアロン型の文書処理システムのソフトウェア構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の文書処理システムを実現するハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図3】ブックファイルの構造の一例を示す図である。
【図4】ブック属性の一覧を示す図である。
【図5】章属性の一覧を示す図である。
【図6】ページ属性の一覧を示す図である。
【図7】ブックファイルを開く手順例を示すフローチャートである。
【図8】新規のブックファイルを開いた際のユーザインタフェース画面の一例を示す図である。
【図9】既存のブックファイルを開いた際のユーザインタフェース画面の一例を示す図である。
【図10】電子原稿ファイルをブックファイルにインポートする手順例を示すフローチャートである。
【図11】図10のステップ801に示すアプリケーションデータを電子原稿ファイルに変換する手順例を示すフローチャートである。
【図12】印刷や表示を行う際に使用するデータ構造の例を示す図である。
【図13】クライアントサーバ型の文書処理システムのソフトウェア構成例を示すブロック図である。
【図14】目次を挿入するための設定を行うユーザインタフェース画面の一例を示す図である。
【図15】目次に対して、反映しないブック属性の設定を行うユーザインタフェース画面の一例を示す図である。
【図16】目次挿入機能によって作成される目次ページの内容の一例を示した図である。
【図17】目次の挿入を行う前のブックの状態を示す図である。
【図18】図17の状態のブックに対して、目次の原稿サイズを仕上がりサイズで目次挿入を行った後のブックの状態を示す図である。
【図19】図17の状態のブックに対して、目次の原稿サイズを選択している原稿ページと同じサイズで目次挿入を行った後のブックの状態を示す図である。
【図20】目次挿入における処理の一例を示したフローチャートである。
【図21】目次ページの原稿内容を作成する処理の一例を示したフローチャートである。
【図22】目次ページの原稿内容の配置の一例について示した図である。
【図23】目次ページの更新処理の一例を示したフローチャートである。
【図24】目次自動更新設定のユーザインタフェース画面の一例を示した図である。
【図25】目次の自動更新を行う処理の一例を示したフローチャートである。
【図26】ブック属性の用紙方向が縦、原稿ページの用紙方向が横で、目次を原稿サイズ・横で作成し、ブック属性のN−UP設定が2−UPで、目次挿入によって複数ページの目次が挿入されたブックの状態を示した図である。
【図27】図26の状態において、目次結合機能が行われた後のブックの状態を示した図である。
【図28】目次結合機能の処理の一例を示したフローチャートである。
【図29】目次章の章属性・ページ属性を選択した原稿ページと合わせる処理のフローチャートの一例を示した図である。
【図30】目次設定情報を示す図である。
【符号の説明】
【0112】
104 製本アプリケーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書データを構成する原稿ページに基づいて目次ページを生成する文書処理装置であって、
前記目次ページに関する設定情報を設定する設定手段と、
前記文書データから、前記設定手段によって設定された設定情報に適合する部分を前記原稿ページから抽出して、抽出した部分と当該抽出された部分が配置されていたページ番号とが列挙された目次データを作成する作成手段と、
前記作成手段によって作成された目次データと前記設定手段によって設定された設定情報とに基づく目次ページを前記文書データに挿入する挿入手段と
を備えることを特徴とする文書処理装置。
【請求項2】
前記設定手段は、前記目次ページに適用される指定サイズを設定し、
前記指定サイズは、前記原稿ページが配置されるシートのサイズであることを特徴とする請求項1に記載の文書処理装置。
【請求項3】
前記指定サイズを、前記シートのサイズとするか、選択された原稿ページのサイズとするかの設定を受け付け、目次設定情報として保存するサイズ設定手段をさらに備え、
前記挿入手段は、前記目次設定情報として保存されている指定サイズに応じて、前記シートのサイズが設定されている場合には前記シートのサイズのページに前記目次データを配置することで生成された目次ページを挿入し、前記選択された原稿ページのサイズが設定されている場合には当該サイズのページに前記目次データを配置することで生成された目次ページを挿入することを特徴とする請求項2に記載の文書処理装置。
【請求項4】
前記サイズ設定手段は、前記指定サイズとして、選択された原稿ページのサイズが設定され、かつ原稿ページが選択されていない場合には、文書データの先頭の原稿ページのサイズを目次ページのサイズとすることを特徴とする請求項3に記載の文書処理装置。
【請求項5】
前記サイズ設定手段は、前記指定サイズとして、選択された原稿ページのサイズが指定され、かつ複数の原稿ページが選択されている場合には、選択されている原稿ページのうち先頭の原稿ページのサイズを、目次ページのサイズとすることを特徴とする請求項3に記載の文書処理装置。
【請求項6】
前記文書データは、文書全体について適用されるブック設定を示すブック設定情報を含んでおり、
前記ブック設定のうち、前記目次ページに対して反映しない設定項目である無効化項目の入力を受け付けて無効化設定情報として保存する設定無効化手段をさらに備え、
前記挿入手段は、前記ブック設定のうち、前記無効化項目を除く設定を反映することで生成された目次ページを挿入することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の文書処理装置。
【請求項7】
前記設定無効化手段は、複数の原稿ページをシートの1面に配置するNアップ印刷、ヘッダ及びフッタの印刷、ウォーターマークの印刷の、少なくともいずれかの項目を無効化項目とする入力を受け付けて目次設定情報として保存することを特徴とする請求項6に記載の文書処理装置。
【請求項8】
目次ページの向きを、縦もしくは横のいずれかに設定する入力を受け付け、目次設定情報として保存する方向設定手段をさらに備え、
前記挿入手段は、前記目次設定情報として保存されている目次ページの向きに応じて、縦方向が選択されている場合には縦方向となるように作成された目次ページを挿入し、横方向が選択されている場合には横方向となるように作成された目次ページを挿入することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の文書処理装置。
【請求項9】
ブック設定において、原稿ページの配置として2原稿ページを1面に配置する2アップが設定され、かつ仕上がりのシートの方向として縦が設定され、さらに前記目次ページの向きとして横が設定されている場合、前記挿入手段は、2アップの設定を無効にして目次ページのサイズをシートサイズに設定することで再生成された目次ページを挿入することを特徴とする請求項8に記載の文書処理装置。
【請求項10】
前記サイズ設定手段は、前記目次ページの指定サイズとして選択された原稿ページのサイズとする設定がされている場合、該目次ページのページ設定、及び目次ページが属する章の章設定として、前記選択された原稿ページのページ設定及び当該ページの属する章の章設定をそれぞれ設定することを特徴とする請求項3に記載の文書処理装置。
【請求項11】
文書データを構成する原稿ページに基づいて目次ページを生成する文書処理装置における文書処理方法であって、
前記文書処理装置の設定手段が、前記目次ページに関する設定情報を設定する設定工程と、
前記文書処理装置の作成手段が、前記文書データから、前記設定工程によって設定された設定情報に適合する部分を前記原稿ページから抽出して、抽出した部分と当該抽出された部分が配置されていたページ番号とが列挙された目次データを作成する作成工程と、
前記文書処理装置の挿入手段が、前記作成工程によって作成された目次データと前記設定工程によって設定された設定情報とに基づく目次ページを前記文書データに挿入する挿入工程と
を有することを特徴とする文書処理方法。
【請求項12】
コンピュータを、文書データを構成する原稿ページを、1枚のシートに1あるいは複数ページずつ配置する面付け機能を有する文書処理装置として機能させるプログラムであって、
文書データから、指定された条件に適合する部分を抽出して、抽出した部分とそれが存在するページ番号とを列挙した目次データを作成し、指定サイズのページに前記目次データを配置して目次ページを作成する作成手段と、
前記目次ページを前記文書データに挿入する挿入手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2009−271682(P2009−271682A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−120771(P2008−120771)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】