説明

文書数予測装置及び方法及びプログラム

【課題】 複数のサーバに単語を含む文書への転置インデックスが分散した環境において、各サーバにおいて偏りの少ない予測文書数の値を求める。
【解決手段】 本発明は、入力されたクエリが複合語の場合に複合語を単一の単語分割し、転置インデックス記憶手段を参照して、分割された単語それぞれに対する転置インデックスを抽出し、抽出された転置インデックスから複合語を含む全文書数(第1の文書数)を算出し、抽出された前記転置インデックスを複数のブロックに分割してブロック毎に複合語を含む文書数(第2の文書数)を算出し、ブロック全体で検出した複合語を含む文書の分布の偏りの度合いである分布補正値を算出し、分布補正値を用いて文書全体に対する複合語を含む文書数の予測値を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書検索における複合語に対する文書数予測装置及び方法及びプログラムに係り、特に、単語に関する転置インデックスが複数のサーバに分散した環境において、ユーザから入力された複合語のクエリに対し、複合語を含む文書数が未知の場合に文書数を予測して文書検索の計算量と検索結果の応答速度を向上させるための文書数予測装置及び方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット上で検索サービスが広く普及し、ユーザが欲しい文書へのクエリを用いて文書を効率良く文書が検索できるようになった。このような検索を実現するために、文書に関するインデックスを作成し、ユーザから入力されたクエリに該当するインデックスから文書を検索結果として提供している。
【0003】
文書群に対するインデックスとして、一般に転置インデックスが用いられる(例えば、非特許文献1参照)。この転置インデックスとは、ある単語に対して当該単語を含む文書をリスト化したものである。図9を用いて説明する。同図は「太陽」に関する転置インデックスを示している。転置インデックス内の1つの四角は「太陽」を文書に含む1つの文書に関する情報を表している。以下に、文書に関する情報を示す。
【0004】
1.文書ID
2.単語(「太陽」)の出現回数
3.単語(「太陽」)の出現位置
図9の一つ目の四角(文書の情報)に関して説明すると、この一つ目の四角は、「太陽」を含む文書として文書IDが「Doc1」に関する情報が入っている。また、出現回数は「5」のため、文書「Doc」1には単語「太陽」が5回出現する。さらに、文書内での「太陽」の出現位置は1番目、8番目、12番目、25番目、30番目を示している。つまり、「太陽」を含む文書の数と、転置インデックスの文書ID、出現回数、出現位置からなる四角の数は一致する。
【0005】
前述のように単語に対する転置インデックスを検索対象となる文書群から抽出した単語に対して作成しておくが、ユーザからの入力されるクエリには転置インデックスが用意されていない単語の場合がある。転置インデックスが用意されていないクエリに対しては、クエリを構成する単語群や関連する単語の転置インデックスから該当する文書を求める必要がある。
【0006】
ここではクエリが複合語(複数の単語から構成される語)の場合について取り上げ、複合語に対する転置インデックスが用意されていない時の文書のリストを求める方法について説明する。複合語のクエリとして「太陽エネルギー」の場合について説明する。図9のように「太陽」、「エネルギー」の転置インデックスが用意されている場合、複合語「太陽エネルギー」を含む文書を、これら転置インデックスから求める必要がある。まずは、「太陽」を含む文書Doc1に着目し、「エネルギー」を含む文書を探索する。ここでは、「エネルギー」の転置インデックスから「Doc1」に「エネルギー」が含まれていることがわかる。
【0007】
次に、「Doc1」の「太陽」の出現位置の次に、「エネルギー」の出現位置が連続する箇所を探索する。図9からは「太陽」の出現位置が「1」に対し、「エネルギー」の出現位置が「2」のため「Doc1」に「太陽エネルギー」が含まれることを検出する。同様の処理を、「太陽」の転置インデックスに存在するすべての文書に対して処理し、「太陽エネルギー」を含む文書のリストを作成する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Justin Zobel, Alistair Moffat and Kotagiri Ramamohanarao, Inverted files versus signature files for text indexing. ACM Transactions on Database Systems (TODS), Volume 23, Issue 4 (December 1998), Pages: 453 - 490.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、一般の検索サービスでは、図10に示すように単語に対する転置インデックスが複数のサーバに分散しているため、文書全体に対する複合語を含む文書数の算出が困難である。また、ユーザからの検索クエリが送信された際にリアルタイムで前述の複合語を含む文書数を算出するには、サーバ間で通信し各サーバ内の転置インデックス内から複合語を含む文書数を通信する必要があるため時間を要する。
【0010】
そのため、複数のサーバに単語を含む文書への転置インデックスが分散した環境で、各サーバで複合語を含む文書数をそれぞれ予測する必要がある。
【0011】
しかし、各サーバで検出する複合語を含む文書数に偏りがある場合、各サーバで予測する複合語を含む文書数の値も大きく偏る問題がある。特に、この文書数に偏りが大きい場合、検索スコアの精度が著しく低下するため、各サーバで偏りの少ない値を予測する必要がある。
【0012】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、複数のサーバに単語を含む文書への転置インデックスが分散した環境において、各サーバにおいて偏りの少ない予測文書数の値を求めることが可能な文書数予測装置及び方法及びプログラムを提供することを目的とする
【課題を解決するための手段】
【0013】
図1は、本発明の原理構成図である。
【0014】
本発明(請求項1)は、文書検索における複合語に対する文書数を予測する文書数予測装置であって、
ある単語に対して該単語を含む文書をリスト化した転置インデックスを格納した転置インデックス記憶手段5と、
入力されたクエリが複合語の場合に複合語を単一の単語分割する単語分割手段1と、
転置インデックス記憶手段5を参照して、分割された単語それぞれに対する転置インデックスを抽出する複合語検出手段2と、
複合語検出手段2で抽出された転置インデックスから複合語を含む全文書数(第1の文書数)を算出する第1の文書数算出手段31と、
複合語検出手段2で抽出された転置インデックスを複数のブロックに分割してブロックごとに複合語を含む文書数(第2の文書数)を算出する第2の文書数算出手段32と、
ブロック全体で検出した複合語を含む文書の分布の偏りの度合いである分布補正値を算出する分布補正値算出手段41と、
分布補正値を用いて文書全体に対する複合語を含む文書数の予測値を算出する予測値算出手段42と、を有する。
【0015】
また、本発明(請求項2)は、請求項1の分布補正値算出手段41において、
複数のブロックに分割された転置インデックスに対し、各ブロック内で検出した複合語を含む第2の文書の出現割合を算出し、ブロック全体の出現割合に対するエントロピーを用いて分布補正値を算出する手段を含む。
【0016】
また、本発明(請求項3)は、請求項1の予測値算出手段42において、
第1の文書数算出手段で算出された第1の文書数、第2の文書数算出手段で算出された第2の文書数、及び、分布補正値を用いて文書全体に対する複合語を含む文書数の予測値を算出する手段を含む。
【0017】
図2は、本発明の原理を説明するための図である。
【0018】
本発明(請求項4)は、文書検索における複合語に対する文書数を予測する文書数予測方法であって、
ある単語に対して該単語を含む文書をリスト化した転置インデックスを格納した転置インデックス記憶手段を有する装置が、
入力されたクエリが複合語の場合に複合語を単一の単語分割する単語分割ステップと、
転置インデックス記憶手段を参照して、分割された単語それぞれに対する転置インデックスを抽出する複合語検出ステップ(ステップ1)と、
複合語検出ステップで抽出された転置インデックスから複合語を含む全文書数(第1の文書数)を算出する第1の文書数算出ステップ(ステップ2)と、
複合語検出ステップで抽出された前記転置インデックスを複数のブロックに分割してブロックごとに複合語を含む文書数(第2の文書数)を算出する第2の文書数算出ステップ(ステップ3)と、
ブロック全体で検出した複合語を含む文書の分布の偏りの度合いである分布補正値を算出する分布補正値算出ステップ(ステップ4)と、
前記分布補正値を用いて文書全体に対する複合語を含む文書数の予測値を算出する予測値算出ステップ(ステップ5)と、を行う。
【0019】
また、本発明(請求項5)は、請求項4の分布補正値算出ステップ(ステップ4)において、
複数のブロックに分割された転置インデックスに対し、各ブロック内で検出した複合語を含む第2の文書の出現割合を算出し、ブロック全体の出現割合に対するエントロピーを用いて分布補正値を算出する。
【0020】
また、本発明(請求項6)は、請求項4の予測値算出ステップ(ステップ5)において、
第1の文書数算出手段で算出された第1の文書数、第2の文書数算出手段で算出された第2の文書数、及び、分布補正値を用いて文書全体に対する複合語を含む文書数の予測値を算出する。
【0021】
本発明(請求項7)は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の文書数予測装置を構成する各手段としてコンピュータを機能させるための文書数予測プログラムである。
【発明の効果】
【0022】
上記のように、本発明は、各サーバ内に格納している転置インデックスから複合語を検出し、転置インデックス上で検出した複合語の検出分布に基づいて文書全体を対象とした複合語を含む文書数を推定することにより、複数のサーバに単語を含む文書への転置インデックスが分散した環境において、各サーバで検出した複合語を含む文書数を基に、各サーバ間で偏りの少ない予測文書数の値を算出することが可能となる。
【0023】
また、この偏りの少ない予測文書数の値によって、検索スコアに用いる情報が安定し、精度の良い検索エンジンの実現が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の原理構成図である。
【図2】本発明の原理を説明するための図である。
【図3】本発明の一実施の形態における文書数予測装置の構成図である。
【図4】本発明の一実施の形態における文書数予測計算フローチャートである。
【図5】本発明の一実施例の転置インデックス記憶部から読み出された転置インデックスの例である。
【図6】本発明の一実施例の複合語を含む文書の検出の例である。
【図7】本発明の一実施例の複合語『太陽エネルギー』をもつ文書の検出の例である。
【図8】本発明の一実施例のブロック分割例である。
【図9】転置インデックスの例である。
【図10】分散された転置インデックスである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下図面と共に、本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
本発明は、複数のサーバに分散配置された転置インデックスに対し、各サーバの転置インデックスから検出する複合語を含む文書の検出分布の偏りに着目して、各サーバにおいて全文書を対象とした文書数を予測し、サーバ毎に予測する値の偏りを小さくする機能をもつことを特徴とする。
【0027】
図3は、本発明の一実施の形態における文書数予測装置の構成を示す。同図に示す文書数装置は、システム内に分散された1つのサーバに相当する。
【0028】
同図に示す文書数予測装置は、クエリ入力部1、複合語検出部2、文書数予測部3、文書数補正部4、転置インデックス記憶部5から構成される。
【0029】
クエリ入力部1は、ユーザから入力されたクエリが複合語の場合に複合語を単一の単語分割する機能を有する。
【0030】
複合語検出部2は、分割された単語それぞれに対する転置インデックスを転置インデックス記憶部5から抽出する機能を有する。
【0031】
文書数予測部3は、抽出した転置インデックスから複合語を含む文書数を算出する機能と、抽出した転置インデックスを複数のブロックに分割してブロック毎に複合語を含む文書数を算出する機能と、を有する。なお、ここで、ブロック分割するのは、転置インデックスをNブロックに等分割して、各ブロック内に存在する該当文書の数を見ることで、全体的な文書数の偏りを判断するためである。例えば、全部ロックに均等に該当する文書が存在するのであれば、他のサーバでも同じ傾向があると考えられる。また、特定のブロックに集中して該当する文書が存在し、他のブロックには該当文書が存在しない場合は、たまたまそのサーバ内に該当文書が集中したと考えられる。これにより、ブロック内の文書数の集中度合いからサーバ全体に存在する文書数を予測することが可能となる。
【0032】
文書数補正部4は、ブロック全体で検出した複合語を含む文書の分布の偏りの度合いを算出する機能と、前記偏りの度合いを用いて文書群全体における複合語を含む文書数を予測する機能を有する。
【0033】
図4は、本発明の一実施の形態における文書数予測装置の動作のフローチャートである。
【0034】
ステップ101) 予め、メモリ(図示せず)に分布補正値に関する定数αと、ブロック分割数N、及び、サーバ内の選出した単語min_wを設定する。
【0035】
ステップ102) クエリ入力部1は、入力された複合語を形態素解析し、単一の単語に分解する。
【0036】
ステップ103) 複合語検出部2は、転置インデックス記憶部5からステップ102で分解されたそれぞれの単語に対する転置インデックスと、文書数全体に対する各単語を含む文書数を読み出し、メモリ(図示せず)に格納する。
【0037】
ステップ104) 文書数予測部3は、ステップ103で読み出された各単語の転置インデックスの先頭から単語の出現位置を基に入力されたクエリの複合語を含む文書数を探索する。この時に検出した文書数をDとし、メモリ(図示せず)に格納する。
【0038】
ステップ105) 文書数予測部3は、ステップ103で読み出され、メモリ(図示せず)に格納されている文書数のうち、文書数の最も少ない単語を選出する。選出した単語をmin_w(以下、「文書全体のmin_w」と記す)とし、当該単語の転置インデックスを、ステップ101で設定したブロック分割数Nで分割する。
【0039】
ステップ106) 文書数予測部3は、ステップ105で分割したブロック毎に複合語を含む文書の数を算出し、文書数補正部4に渡す。
【0040】
ステップ107) 文書数補正部4は、下記の式でブロック全体の検出エントロピーを算出する。
【0041】
検出エントロピー = (-1.0 ×Σ(P(b(i))×log(P(b(i)))))
ここで、b(i)は、N個に分割したi番目のブロックを示しており、P(b(i))は下記の式で表される。
【0042】
P(b(i)) = ブロック内で検出した複合語の文書数
/ ブロック内の文書数
つまりP(b(i))は、ブロックの中での複合語を含む文書の存在割合である。次にブロック全体の分布補正値をステップ101で設定した分布補正値に関する定数αを基に、下記の式で算出する。
【0043】
ブロック全体の分布補正値 = 検出エントロピー/α
ステップ108) 文書補正部4は、ステップ107で算出したブロック全体の分布補正値を用いて、文書全体に対する複合語を含む文書数を下記の予測式を計算する。
【0044】
予測文書数 = サーバで検出した複合語の文書数D
×(文書全体のmin_wの文書数/サーバ内のmin_wの文書数)
×分布補正値
上記の「文書全体のmin_wの文書数」はステップ105で求められたものであり、「サーバ内のmin_wの文書数」は予めメモリ(図示せず)に格納されている値である。
【0045】
上記の予測式で求めた予測文書数を、文書全体に対する複合語の文書数とし、処理を終了する。
【実施例】
【0046】
以下に、上記の実施の形態における具体例を示す。
【0047】
以下の実施例を前述の図3の構成と、図4のフローチャートに基づいて説明する。
【0048】
転置インデックス記憶部5には単語名「太陽」、「エネルギー」に関する転置インデックス情報が格納されているものとする。
【0049】
ステップ101) メモリ(図示せず)に分布補正値に関する定数α=3.0と、ブロック分割数N=10を設定する。
【0050】
ステップ102) クエリ入力部1にクエリとして複合語「太陽エネルギー」が入力されると、「太陽エネルギー」を形態素解析し、「太陽」と「エネルギー」の2つの単語に分割する。次に「太陽」、「エネルギー」の単語を複合語検出部2へ送信する。
【0051】
ステップ103) 複合語検出部2は、「太陽」、「エネルギー」の単語を受信すると、「太陽」、「エネルギー」の2つに関する転置インデックス情報を転置インデックス記憶部5から読み出し、メモリ(図示せず)に格納する。ここで、読み出した転置インデックス情報を図5に示す。図5では、文書内に「太陽」、「エネルギー」の単語を含んでいる文書に関する転置インデックスとして、各文書に対する文書ID、出現回数、出現位置が格納されている。
【0052】
ステップ104) 複合語検出部2において、「太陽」と「エネルギー」の転置インデックスから、「太陽エネルギー」を含む文書を検出する。図6を用いて、「太陽エネルギー」を含む文書の検出方法について説明する。図6は文書ID Doc1に対する「太陽」の転置インデックスと、文書ID Doc1に対する「エネルギー」の転置インデックスを示している。この2つの転置インデックスから単語の出現位置に着目し、「太陽」の出現位置と「エネルギー」の出現位置が連続する箇所を検出する。図6からは、出現位置に丸で囲まれた数字(「太陽」は「1」、「エネルギー」は「2」)の箇所が連続しており、文書ID Doc1に「太陽エネルギー」の単語が含まれていることを検出できる。
【0053】
上記の複合語の検出を、「太陽」と「エネルギー」の転置インデックスの全文書に対して処理する。この処理を終えて「太陽エネルギー」を含む文書の検出状況が図6のように検出できたものとする。図7では、1つの長方形が文書の転置インデックスを現しており、「○」がついているのは文書内に「太陽エネルギー」を含む文書である。この検出情報として、転置インデックスの文書IDと複合語検出値(0 or 1)を文書数予測部3に出力する。
【0054】
ステップ105) 文書数予測部3は、複合語検出部2からから出力された転置インデックス内の「太陽エネルギー」を含む文書の検出情報に対し、検出情報を予め設定したブロック数Nに分割する。本実施の形態では、ブロック数Nは"10"としている。ブロックに分割する際には、「太陽」と「エネルギー」を含む文書数が小さい方を中心として10個に分割する。ここで、「「太陽」と「エネルギー」を含む文書数が小さい方を中心とする」とは、各ブロック内の文書に対して「太陽エネルギー」の単語を含む文書を見つけるために、例えば、「太陽」を含む文書が100文書、「エネルギー」を含む文書が1000文書あった場合、文書数の少ない「太陽」の転置インデックスをNブロックに分割することを意味する。
【0055】
「太陽」の転置インデックスを10個に分割した例を図7に示す。
【0056】
ステップ106) 次に、文書数予測部3は、各ブロックにおいて、複合語「太陽エネルギー」を含む文書数を算出する。図7からはブロック1では1文書、ブロック2では1文書、ブロック3では2文書を算出することになる(同図中の○に対応)。これら各ブロック内に含まれる「太陽エネルギー」の文書数と、ブロック内の文書数の情報、またブロック全体で検出した「太陽エネルギー」の文書数を文書数補正部4に出力する。ここでは、ブロック全体で検出した「太陽エネルギー」の文書数が15文書あったものとする。
【0057】
ステップ107) 文書数補正部4は、文書数予測部3からブロック情報として各ブロックに含まれる文書数と、「太陽エネルギー」を含む文書数を受信すると、下記の式を用いてブロック全体の分布補正値を算出する。ここで
P(w) = ブロック内で検出した「太陽エネルギー」の文書数
/ ブロック内の文書数
とし、ブロック全体の分布補正値を算出する。下記式のΣはブロック全体を示している。
【0058】
ブロック全体の分布補正値 = 検出エントロピー/α
= (-1.0 ×Σ(P(w)×log(P(w)))) / α
= (-1.0 ×(1/3 × log(1/3) + 1/3 × log(1/3)
+ 2/3 × log(2/3) + ・・・) /α
= 2.94/α
本実施例では、α=3.0に設定したものとし、ブロック全体の分布補正値は0.98となる。
【0059】
上記で求めた分布補正値を基に、下記の式で「太陽エネルギー」を含む文書数を予測する。
【0060】
「太陽エネルギー」の
予測文書数(DF)=サーバで検出した「太陽エネルギー」の文書数
×(「太陽」の文書数/サーバ内の「太陽」の文書数)
×分布補正値
= 15文書 × (1500文書/30文書) ×分布補正値
= 15 × 50 × 0.98
= 735
上記を「太陽エネルギー」の予測DFとし、出力する。上記の「サーバで検出した「太陽エネルギー」の文書数」はステップ104で算出された値であり、「「太陽」の文書数」はステップ105で『太陽』と『エネルギー』のうち、『太陽』を含む文書数が少なかったことを意味しており、「サーバ内の「太陽」の文書数」は予めメモリ(図示せず)から取得した値である。
【0061】
上記の実施の形態における文書数予測装置の構成要素の動作をプログラムとして構築し、文書数予測装置として利用されるコンピュータにインストールして実行させる、または、ネットワークを介して流通させることが可能である。
【0062】
また、構築されたプログラムをハードディスクや、フレキシブルディスク・CD−ROM等の可搬記憶媒体に格納し、コンピュータにインストールする、または、配布することが可能である。
【0063】
なお、本発明は、上記の実施の形態や実施例に限定されることなく、特許請求の範囲内において種々変更・応用が可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 単語分割手段、クエリ入力部
2 複合語検出手段、複合語検出部
3 文書数予測部
4 文書数補正部
5 転置インデックス記憶手段、転置インデックス記憶部
31 第1の文書数算出手段
32 第2の文書数算出手段
41 分布補正値算出手段
42 予測値算出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書検索における複合語に対する文書数を予測する文書数予測装置であって、
ある単語に対して該単語を含む文書をリスト化した転置インデックスを格納した転置インデックス記憶手段と、
入力されたクエリが複合語の場合に複合語を単一の単語分割する単語分割手段と、
前記転置インデックス記憶手段を参照して、分割された単語それぞれに対する転置インデックスを抽出する複合語検出手段と、
前記複合語検出手段で抽出された前記転置インデックスから複合語を含む全文書数(第1の文書数)を算出する第1の文書数算出手段と、
前記複合語検出手段で抽出された前記転置インデックスを複数のブロックに分割してブロックごとに複合語を含む文書数(第2の文書数)を算出する第2の文書数算出手段と、
ブロック全体で検出した複合語を含む文書の分布の偏りの度合いである分布補正値を算出する分布補正値算出手段と、
前記分布補正値を用いて文書全体に対する複合語を含む文書数の予測値を算出する予測値算出手段と、
を有することを特徴とする文書数予測装置。
【請求項2】
前記分布補正値算出手段は、
前記複数のブロックに分割された転置インデックスに対し、各ブロック内で検出した複合語を含む前記第2の文書の出現割合を算出し、ブロック全体の出現割合に対するエントロピーを用いて分布補正値を算出する手段を含む
請求項1記載の文書数予測装置。
【請求項3】
前記予測値算出手段は、
前記第1の文書数算出手段で算出された前記第1の文書数、前記第2の文書数算出手段で算出された前記第2の文書数、及び、前記分布補正値を用いて文書全体に対する複合語を含む文書数の予測値を算出する手段を含む
請求項1記載の文書数予測装置。
【請求項4】
文書検索における複合語に対する文書数を予測する文書数予測方法であって、
ある単語に対して該単語を含む文書をリスト化した転置インデックスを格納した転置インデックス記憶手段を有する装置が、
入力されたクエリが複合語の場合に複合語を単一の単語分割する単語分割ステップと、
前記転置インデックス記憶手段を参照して、分割された単語それぞれに対する転置インデックスを抽出する複合語検出ステップと、
前記複合語検出ステップで抽出された前記転置インデックスから複合語を含む全文書数(第1の文書数)を算出する第1の文書数算出ステップと、
前記複合語検出ステップで抽出された前記転置インデックスを複数のブロックに分割してブロックごとに複合語を含む文書数(第2の文書数)を算出する第2の文書数算出ステップと、
ブロック全体で検出した複合語を含む文書の分布の偏りの度合いである分布補正値を算出する分布補正値算出ステップと、
前記分布補正値を用いて文書全体に対する複合語を含む文書数の予測値を算出する予測値算出ステップと、
を行うことを特徴とする文書数予測方法。
【請求項5】
前記分布補正値算出ステップにおいて、
前記複数のブロックに分割された転置インデックスに対し、各ブロック内で検出した複合語を含む前記第2の文書の出現割合を算出し、ブロック全体の出現割合に対するエントロピーを用いて分布補正値を算出する
請求項4記載の文書数予測方法。
【請求項6】
前記予測値算出ステップにおいて、
前記第1の文書数算出手段で算出された前記第1の文書数、前記第2の文書数算出手段で算出された前記第2の文書数、及び、前記分布補正値を用いて文書全体に対する複合語を含む文書数の予測値を算出する
請求項4記載の文書数予測方法。
【請求項7】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の文書数予測装置を構成する各手段としてコンピュータを機能させるための文書数予測プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−227732(P2011−227732A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97257(P2010−97257)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】