文書管理システム
【課題】 地方公共団体の庁内システム間において、一方の庁内システムのセキュリティを確保した上で、その庁内システム間の連携を双方向に確立することを可能とした文書管理システムを提供することである。
【解決手段】 本発明の文書管理システムでは、第2の連携サーバ装置10において、第1または第2の地方公共団体の庁内システムからの文書データが受信された際に、一意情報付与部12によって、その文書データに対して一意の情報を割り振っている。また、第1の地方公共団体の庁内システムに設けられた第1の連携サーバ装置30において、データ取込部31により、その第2の連携サーバ装置10内に保持される一意の情報が付与されたデータについての情報を取り込んでいる。
【解決手段】 本発明の文書管理システムでは、第2の連携サーバ装置10において、第1または第2の地方公共団体の庁内システムからの文書データが受信された際に、一意情報付与部12によって、その文書データに対して一意の情報を割り振っている。また、第1の地方公共団体の庁内システムに設けられた第1の連携サーバ装置30において、データ取込部31により、その第2の連携サーバ装置10内に保持される一意の情報が付与されたデータについての情報を取り込んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書管理システムに関し、特に、地方公共団体の庁内システム間、例えば、都道府県の庁内システムと、その都道府県のより下位レベルにあたる市町村の庁内システムとの連携に用いられる文書管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地方公共団体の庁内システム間、例えば、都道府県の庁内のシステムと、より下位にある市町村のシステムとは互いに独立に存在していて互いに連携がとれていなかった。このような状況を改善すべく、図8に示すように、平成9年1月より、地方公共団体間を相互に専用ネットワークにて接続する総合行政ネットワーク(Local Government Wide Area Network、LGWAN)の運用が開始され今日に至っている。
【0003】
例えば、LGWANの概要を解説している非特許文献1では、その目的の1つに、「各市町村や都道府県におけるネットワーク規模、多様な情報化の進度や方法の違いを吸収」することが述べられている。
【非特許文献1】「総合行政ネットワーク(LGWAN)の概要」、[online][2004年11月5日検索]、<URL:http://www.lasdec.nippon-net.ne.jp/lgw/shiryou/L-2_gaiyou_20030529.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、地方公共団体ごとに、例えば都道府県の庁レベルと、その下にある市町村とでは、システム構築に割り当てることができる予算枠も自ずと異なり、したがって、構築可能なシステムの規模も異なる。
【0005】
図9は、県の庁内システムと市町村の庁内システムとの連携における従来の問題点を説明する図である。図9において、ファイアウォール(FW)の下に県の庁内システムが設けられている。
【0006】
県の庁内システムにおいて、文書管理システムが文書管理システム51の位置に設けられていて、グローバルなアドレスを有する場合は、県の庁内システム外のLGWAN上のグローバルなアドレスを有する業務システム、例えば業務システム61、62とも連携が可能、すなわち、相互に接続が可能である。この場合、図10に示すように、例えば、県の庁内システム外の(個別)業務システム61からデータ収受の依頼が県の庁内システムの文書管理システム51になされ、その文書管理システム51において、受け付けた文書の種別に応じて、対応する文書DB宛てにその受け付けた文書データが振り分けられて送信され(文書DBに対しデータ収受の依頼がなされ)、その文書DB側において、例えば書式チェック等の収受処理が行われる。
【0007】
しかし、県の庁内システムにおいて、文書管理システムが文書管理システム52の位置に設けられていてグローバルなアドレスを有さない場合には、その文書管理システム52から、県の庁内システム外のLGWAN上のグローバルなアドレスを有する業務システム、例えば業務システム61、62に対して接続可能であるが、業務システム61、62から文書管理システム52に対しては接続不可である。
【0008】
そして、今日では、文書管理システムについては言うまでもなく、県の庁内システムに、その県とその県のより下位にある市町村とを連携する連携サーバ装置を設ける場合でも、セキュリティを優先する関係からその連携サーバ装置にグローバルなアドレスは持たせないようにしている。このような場合、図11に示すように、県の庁内システムにおいて文書管理システムと連携サーバ装置とはローカルなアドレスを有していて、県の庁内システム外に設けられた業務個別システムはグローバルなアドレスを有することになるので、県の庁内システムの連携サーバ装置から業務個別システムへのアクセスは可能でも、業務個別システムから県の庁内システムの連携サーバ装置へのアクセスは不可となってしまう。このため、例えば、市町村から予算の申請を行った場合に、その申請についての処理の進捗状況を市町村側の担当者が知りたくても、その進捗状況を取得することができないという問題があった。
【0009】
本発明の課題は、地方公共団体の庁内システム間において、一方の庁内システムのセキュリティを確保した上で、その庁内システム間の連携を双方向に確立することを可能とした文書管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の文書管理システムは、第1の地方公共団体の庁内システムから第2の地方公共団体の庁内システムへはアクセスが可能であり、前記第2の地方公共団体の庁内システムから前記第1の地方公共団体の庁内システムへはアクセスを不可であるような地方公共団体の庁内システム間の連携に用いられるとともに、該第1の地方公共団体の庁内システム側に設けられた第1の連携サーバ装置と該第2の地方公共団体の庁内システム側に設けられるか、または、該第2の地方公共団体をはじめとする複数の地方公共団体の庁内システム側に設けられそれら地方公共団体によって共用されるかする第2の連携サーバ装置とを備える文書管理システムにおいて、前記第2の連携サーバ装置は、第1の地方公共団体、第2の地方公共団体、または、第2の地方公共団体を含む複数の地方公共団体からの文書データを保持する手段と、前記保持された文書データを一意に決定するための情報を該文書データに対し付与する一意情報付与手段と、を有し、前記第1の連携サーバ装置は、前記第2の連携サーバ装置内に保持される一意の情報が付与された文書データについての情報を取り込むデータ取込手段と、取り込んだ文書データの種別に基づいて、該取り込んだ文書データを庁内の対応するデータベースに分配するデータ分配手段と、を有する、ことを特徴とする文書管理システムである。
【0011】
ここで、第1の地方公共団体の庁内システム側に設けられた第1の連携サーバ装置内のデータ取込手段によって第2の連携サーバ装置内に保持(プール)される文書データが取り込まれるようにしたので、第1の地方公共団体の庁内システム側に設けられた第1の連携サーバ装置に対してセキュリティの関係から外部アドレスが割り当てられないような場合でも、第1および第2の地方公共団体間の連携をとることが可能となる。また、一意情報付与手段によって、第1または第2の地方公共団体からの文書データが受信された際に、その文書データに一意の情報を割り振っているので、その一意の情報に基づいて、第1または第2の地方公共団体の間でその文書データを特定することが可能となり、例えば、第2の地方公共団体において、その一意の情報が割り振られた文書データに対する処理の進捗状況を取得することが可能となる。すなわち、第1の地方公共団体の庁内システム側に設けられた第1の連携サーバ装置のセキュリティを確保した上で、上記付与された一意の情報を用いて、第1および第2の地方公共団体の庁内システム間の連携を双方向に確立することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1の地方公共団体の庁内システム側に設けられた第1の連携サーバ装置から第2の連携サーバ装置内に保持(プール)される文書データが取り込まれるようにしたので、その第1の連携サーバ装置に対してセキュリティの関係から外部アドレスが割り当てられないような場合でも、第1および第2の地方公共団体の庁内システム間で連携をとることが可能となる。すなわち、第1の地方公共団体の庁内システム側に設けられた第1の連携サーバ装置のセキュリティを確保した上で、上記付与された一意の情報を用いて、第1および第2の地方公共団体の庁内システム間の連携を双方向に確立することが可能となる。
【0013】
また、本発明によれば、一意情報付与手段によって、第1または第2の地方公共団体からの文書データが受信された際に、その文書データに対し一意の情報を割り振っているので、その一意の情報に基づいて、第1または第2の地方公共団体の間でその文書データを特定することが可能となり、例えば、第2の地方公共団体において、その一意の情報が割り振られた文書データに対する処理の進捗状況を取得することが可能となる。すなわち、第1の地方公共団体の庁内システム側では、その庁内システム内の担当部署において、第2の地方公共団体から受信した文書データ、例えば予算申請データに対する処理の進捗状況が変化する毎に、その文書データに割り振られた一意の情報を用いて、上記第2の連携サーバ装置に第1の連携サーバ装置内の処理状況通知手段を介してその進捗状況を送信し、また、第2の地方公共団体の庁内システム側では、第2の連携サーバ装置にアクセスする。これにより、その一意の情報が割り振られた文書データについての処理の進捗状況を第2の地方公共団体の庁内システム側で取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態の文書管理システムを示す構成図である。図1の文書管理システムは、第1の地方公共団体の庁内システムと、その第1の地方公共団体より下位レベルにあたる第2の地方公共団体の庁内システム40との連携に用いられる。
【0015】
第2の連携サーバ装置10は、第2の地方公共団体の庁内システム40をはじめとする複数の地方公共団体の庁内システムによって共同利用される装置である。この第2の連携サーバ装置10は、上位システムとしての第1の地方公共団体の庁内システムからの通達等の文書データ、該通達等の文書データに対する下位システムとしての第2の地方公共団体の庁内システムからの回答データ、第2の地方公共団体の庁内システムから第1の地方公共団体の庁内システムへの予算等の各種申請データ等を保持する文書プール部11と、その保持された文書データを一意に決定するための情報をその文書データに対し付与する一意情報付与部12と、文書データに対して付与された一意の情報を該文書データの送信元に通知する一意情報通知部13と、を有し、第2の地方公共団体の庁内システム40をはじめとする複数の地方公共団体の庁内システムと第1の地方公共団体の庁内システムとの間に設けられる。
【0016】
第1の連携サーバ装置30は、第2の連携サーバ装置10内に保持される一意の情報が付与されたデータについての情報を取り込むデータ取込部31と、その取り込んだデータの種別に応じて、その取り込んだデータを庁内の対応するデータベースに分配するデータ分配部32と、庁内システムに受け付けられた一意の情報が付与されたデータに対する処理の進捗状況を第2の連携サーバ装置10に通知する処理状況通知部33と、を有し、第1の地方公共団体の庁内システム(の内部)に設けられる。
【0017】
なお、図1では、ファイアウォール(FW)の下に第1の地方公共団体の庁内システム(転送処理装置21、文書管理システム22、第1の連携サーバ装置30)がある。この第1の地方公共団体の庁内システムにおいては、転送処理装置21がグローバルなアドレスを有していて、庁内外のデータの転送処理を行っている。第1の連携サーバ装置30は、庁内システム内のローカルなアドレスしか有さない。
【0018】
また、第2の連携サーバ装置10は、第1の地方公共団体の庁内システムと第2の地方公共団体の庁内システム40をはじめとする複数の地方公共団体の庁内システムとの間に設けられていて、グローバルなアドレスを有する。
【0019】
図2は、第2の連携サーバ装置10の文書プール部11が保持するデータ構造を示す図である。
図2に示すように、それぞれの文書データは、その文書データに対応付けられた項目として、「自治体コード」、「業務システムコード」、「業務システムデータのID」を含んでいる。ここで、「自治体コード」とは、第2の連携サーバ装置10が関わる第1または第2の地方公共団体の庁内システムを識別するためのコードである。また、「業務システムコード」とは、上位側の第1の地方公共団体の庁内システムにおいて、受信した文書データを担当部署に分配するときに参照される分配先を識別するための情報である。つまり、上位側の第1の地方公共団体の庁内システムにおいて、文書データを担当部署へ分配するときに用いられるロジックが第2の連携サーバ装置10内でも用いられている。また、「業務システムデータのID」とは、第1または第2の地方公共団体側でその文書データに対して割り振ったIDであり、例えば、それぞれの地方公共団体において、連番で割り振られる。そして、これら「自治体コード」、「業務システムコード」、「業務システムデータのID」を組み合わせることで、その文書データに対する一意の情報が構成される。なお、図からは定かでないが、文書プール部11には、このような一意の情報が文書データと対応付けられて格納されている。
【0020】
以下、図1の文書管理システムの動作について、図3〜図6を参照して説明する。なお、以下の説明では、第1の地方公共団体を都道府県、例えば、県とし、また、第2の地方公共団体をその県の下にある市町村としている。
【0021】
図3は、都道府県、例えば県側から市町村側に通達がなされる場合のシステムの動作を説明する図である。図3において、まず、(1)で、その県の庁内のローカルLAN上の文書管理システム22内において、通達に相当する文書データが(県側担当者によって)作成されて、同じローカルLAN上の連携サーバ装置30に送信される。そして、(2)で、連携サーバ装置30からProxyサーバ装置(転送処理装置)21を介することで、その通達に相当する文書データが、市町村側で共同利用するサーバ装置(市町村側連携サーバ装置)10宛てに送信される。(市町村側)連携サーバ装置10は、その通達に相当する文書データを受信すると、その文書データに含まれる配布先の市町村についての情報を参照して、その対応する市町村に送信するか、または、その文書データを、文書プール部11に一旦保持し、例えば、データ取得要求を行った市町村が、その配布先情報に含まれる場合に、その市町村にその文書データが取得される。この場合、一意情報付与部12によって、文書データの送信元の庁に対応する自治体コード、および、通達に対応する業務システムコードが生成され、予め庁側で割り振られている業務システムデータのIDと組み合わさることで、この文書データに対して一意の情報が付与される。
【0022】
なお、(市町村側)連携サーバ装置10の下にある各市町村システムからのデータ取得要求によって、対応する市町村の市町村システム内に文書データが取り込まれた場合や、対応する市町村に文書データが送信された場合は、そのデータ取得要求による文書データの取り込みが行なわれたという情報、または、その市町村側への文書データの送信が行われたという情報は、(市町村側)連携サーバ装置10内の文書プール部11に対応する文書データとともに処理結果として保持される。
【0023】
そして、例えば、タイマによって、所定時間毎に起動される、庁内の連携サーバ装置30内のデータ取込部31によって、(市町村側)連携サーバ装置10内に保持される一意の情報が付与されたデータについての情報(この場合、文書データのそれぞれに割り振られた一意の情報とそれら文書データに対する処理結果)が(3)で庁側に取り込まれる。なお、この場合、文書プール部11は、庁側からの各種文書データの送信時刻についての情報も保持していて、データ取込部31は、その送信時刻の情報を利用して文書データの取り込みを、例えば、前回取り込んだ以降の時刻に対して行う。
【0024】
データ分配部32は、取り込まれた一意の情報が付与された(文書)データの分配先を、その一意の情報中の「業務システムコード」の値を参照して決定する。このようにして、取り込まれた一意の情報が付与されたデータは、(4)で、データ分配部32によって、対応する庁内の所定の部署(例えば、文書管理システム22)のデータベースに分配される。すなわち、連携サーバ装置30から担当の文書管理システム22に対して結果通知がなされる。
【0025】
図4は、都道府県、例えば県側から市町村側になされた通達に対して、市町村側から回答がなされる場合のシステムの動作を説明する図である。図4において、まず、(1)で、市町村システム(不図示)内で、県からの通達に対する回答に相当する文書データ(回答データ)が(市町村側担当者によって)作成される。そして、この作成された文書データに対してその市町村システム側で例えば連番の(業務システムデータの)IDが割り振られる。このIDが割り振られた回答データは、その市町村システムから(市町村側)連携サーバ装置10に送られる。
【0026】
(市町村側)連携サーバ装置10では、一意情報付与部12によって、受信した回答データに対して、一意の情報が付与される。この場合、一意情報付与部12によって、文書データの送信元の市町村に対応する自治体コード、および、通達への回答に対応する業務システムコードが生成され、予め市町村側で割り振られている業務システムデータのIDと組み合わさることで、この文書データに対して一意の情報が付与される。一意の情報が付与された回答データは、文書プール部11に記憶される。なお、回答データに対して付与された一意の情報は、その回答データの送信元の市町村に、一意情報通知部13を介して通知される。
【0027】
庁内の連携サーバ装置30内のデータ取込部31は、例えば、タイマによって所定の時間間隔毎に起動されるが、そのデータ取込部31によって、(市町村側)連携サーバ装置10内に保持される一意の情報が付与されたデータが(2)で庁内の連携サーバ装置30に取り込まれる。なお、文書プール部11は、市町村システム40からの各種文書データの送信時刻についての情報も保持していて、データ取込部31は、その送信時刻の情報を利用して文書データの取り込みを、例えば、前回取り込んだ以降の時刻に対して行う。
【0028】
このように、本実施形態では、庁内に設けられた第2の連携サーバ装置30から市町村側の第1の連携サーバ装置内に保持(プール)される文書データを取り込むようにしたので、庁内に設けられる第2の連携サーバ装置に対してセキュリティの関係から外部アドレスが割り当てられないような場合でも、市町村側と庁側との連携をとることが可能となる。
【0029】
再び図4の説明に戻ると、データ分配部32は、取り込まれた一意の情報が付与された(文書)データの分配先を、その一意の情報中の「業務システムコード」の値を参照して決定する。このようにして、取り込まれた一意の情報が付与された回答データは、(3)で、データ分配部32によって、庁内の対応する文書管理システム22宛てに送信される。そして、(4)において、文書管理システム22側で、その回答データを受け取った後の処理結果が連携サーバ装置30内の処理状況通知部33を介して(市町村側)連携サーバ装置30に通知される。例えば、規定される書式に則った回答データを収受した場合は、その旨が通知され、また、書式エラーがあった場合は、書式エラーを修正した回答データを再送するように促す旨が通知される。
【0030】
処理状況通知部33からの通知を受け取った市町村側の第1の連携サーバ装置10では、その通知内容に基づいて、文書プール部11に保持される対応する文書データ(回答データ)に対する処理の進捗状況を更新する。この回答データに対する処理の進捗状況については、市町村システム40側から第1の連携サーバ装置10に(一意の情報を用いて)データ取得要求を行うことによって、その市町村システム40内に取り込むことが可能である。
【0031】
このように、本実施形態においては、文書データ(回答データ)を送信した後も、一意情報付与部12によって付与された一意の情報を利用することで、その回答データについての処理進捗を市町村側で取得することが可能となる。
【0032】
図5は、市町村側から都道府県、例えば県側に予算申請がなされる場合のシステムの動作を説明する図である。図5において、まず、(1)で、市町村システム(不図示)内で、県側への(所定の事業に対する)予算申請に相当する文書データ(予算申請データ)が(市町村側担当者によって)作成される。そして、この作成された予算申請データに対してその市町村システム側で例えば連番の(業務システムデータの)IDが割り振られる。このIDが割り振られた予算申請データは、その市町村システムから(市町村側)連携サーバ装置10に送られる。
【0033】
(市町村側)連携サーバ装置10では、一意情報付与部12によって、受信した予算申請データに対して、一意の情報が付与される。この場合、一意情報付与部12によって、文書(予算申請)データの送信元の市町村に対応する自治体コード、および、予算申請に対応する業務システムコードが生成され、予め市町村側で割り振られている業務システムデータのIDと組み合わさることで、この文書データに対して一意の情報が付与される。一意の情報が付与された予算申請データは、文書プール部11に記憶される。なお、予算申請データに対して付与された一意の情報は、その予算申請データの送信元の市町村に、一意情報通知部13を介して通知される。
【0034】
庁内の連携サーバ装置30内のデータ取込部31は、例えば、タイマによって所定の時間間隔毎に起動されるが、そのデータ取込部31によって、(市町村側)連携サーバ装置10内に保持される一意の情報が付与されたデータが(2)で庁内の連携サーバ装置30に取り込まれる。なお、文書プール部11は、市町村システム40からの各種文書データの送信時刻についての情報も保持していて、データ取込部31は、その送信時刻の情報を利用して文書データの取り込みを、例えば、前回取り込んだ以降の時刻に対して行う。
【0035】
データ分配部32は、取り込まれた一意の情報が付与された(文書)データの分配先を、その一意の情報中の「業務システムコード」の値を参照して決定する。このようにして、取り込まれた一意の情報が付与された予算申請データは、(3)で、データ分配部32によって、庁内の対応する文書管理システム22宛てに送信される。そして、(4)において、文書管理システム22側で、その予算申請データを受け取った後の処理結果が連携サーバ装置30内の処理状況通知部33を介して(市町村側)連携サーバ装置30に逐次通知される。例えば、規定される書式に則った回答データを収受した場合は、その旨が通知され、また、書式エラーがあった場合は、書式エラーを修正した回答データを再送するように促す旨が通知される。さらに、予算申請の処理がどの段階まで進んでいるか(受理された、決済された)等の処理の進捗状況についての情報についても、(市町村側)連携サーバ装置10に、処理状況通知部33を介して担当の文書管理システム22側から逐次報告される。
【0036】
処理状況通知部33からの逐次、処理進捗についての報告を受け取っている市町村側の第1の連携サーバ装置10では、その通知(報告)内容に基づいて、文書プール部11に保持される対応する文書データ(予算申請データ)に対する処理の進捗状況を更新する。この予算申請データに対する処理の進捗状況については、市町村システム40側から第1の連携サーバ装置10に(一意の情報を用いて)データ取得要求を行うことによって、その市町村システム40内に取り込むことが可能である。
【0037】
このように、本実施形態においては、文書データ(予算申請データ)を送信した後も、一意情報付与部12によって付与された一意の情報を利用することで、その予算申請データについての処理進捗(予算申請の処理がどの段階まで進んでいるか)を市町村側で取得することが可能となる。
【0038】
図6は、図4または図5における装置間でのデータの収受を説明する図である。図6において、データ取込部31によって、データ収受がなされて、市町村側の連携サーバ装置10からの収受されたデータが庁内の連携サーバ装置30に登録される。庁内の連携サーバ装置30に収受されたデータは、庁内の担当部署(文書管理システム22)に送られ、そこで、収受処理、例えば、データの書式チェック処理が行われる。また、庁内の担当部署(文書管理システム22)から庁内の連携サーバ装置30の処理状況通知部33を介して、市町村側の連携サーバ装置10に完了通知(処理の進捗状況も含む)が通知される。
【0039】
なお、以上の説明では、図4または図5において、一意情報通知部13は、データの送信元(市町村システム)にそのデータに対して付与された一意の情報を送信していたが、(市町村側)連携サーバ装置10の構成として、この一意情報通知部13を有さない構成を採用することもできる。この場合、市町村システム側から定期的に、(市町村側)連携サーバ装置10に対してデータ取得要求を送付する。
【0040】
また、図1に示すように、第1の連携サーバ装置30において、取り込んだデータを、その取り込んだデータに関する処理の進捗状況も含めて保持するデータ記憶部34をさらに備えるようにしてもよい。
【0041】
また、以上の説明では、第1の地方公共団体を都道府県、例えば、県とし、第2の地方公共団体をその県の下の市町村としたが、それ以外の構成でもよい。例えば、第1の地方公共団体を国とし、第2の地方公共団体を都道府県または市町村とすることができる。
【0042】
また、以上の説明では、第2の連携サーバ装置10は、第2の地方公共団体をはじめとする複数の地方公共団体で共同利用するものとし、第1の地方公共団体の庁内システムと、第2の地方公共団体をはじめとする複数の地方公共団体の庁内システムとの間に設けられるものであったが、例えば、予算が十分にとれるような場合は、図7に示すように、1つの地方公共団体の庁内システム(第2の地方公共団体の庁内システム40)内に、グローバルなアドレスが割り当てられた第2の連携サーバ装置41を有するようにしてもよい。この場合、その第2の地方公共団体の庁内システム40内に設けられた第2の連携サーバ装置41の一意情報通知部13は、データに対して付与された一意の情報をその第2の地方公共団体の庁内システム40内のそのデータの送信元の部署(例えば、個別業務システム42)宛てに通知する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態の文書管理システムを示す構成図である。
【図2】第2の連携サーバ装置が保持するデータ構造を示す図である。
【図3】都道府県、例えば県側から市町村側に通達がなされる場合のシステムの動作を説明する図である。
【図4】都道府県、例えば県側から市町村側になされた通達に対して、市町村側から回答がなされる場合のシステムの動作を説明する図である。
【図5】市町村側から都道府県、例えば県側に予算申請がなされる場合のシステムの動作を説明する図である。
【図6】図4または図5における装置間でのデータの収受を説明する図である。
【図7】本実施形態の文書管理システムの変形例を示す図である。
【図8】LGWANの概要を示す図である。
【図9】県の庁内システムと市町村の庁内システムとの連携における従来の問題点を説明する図(その1)である。
【図10】従来のシステムにおけるデータの収受を説明する図である。
【図11】県の庁内システムと市町村の庁内システムとの連携における従来の問題点を説明する図(その2)である。
【符号の説明】
【0044】
10、41 第2の連携サーバ装置
11 文書プール部
12 一意情報付与部
13 一意情報通知部
21 転送処理装置
22 文書管理システム
30 第1の連携サーバ装置
31 データ取込部
32 データ分配部
33 処理状況通知部
34 データ記憶部
40 第2の地方公共団体の庁内システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書管理システムに関し、特に、地方公共団体の庁内システム間、例えば、都道府県の庁内システムと、その都道府県のより下位レベルにあたる市町村の庁内システムとの連携に用いられる文書管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地方公共団体の庁内システム間、例えば、都道府県の庁内のシステムと、より下位にある市町村のシステムとは互いに独立に存在していて互いに連携がとれていなかった。このような状況を改善すべく、図8に示すように、平成9年1月より、地方公共団体間を相互に専用ネットワークにて接続する総合行政ネットワーク(Local Government Wide Area Network、LGWAN)の運用が開始され今日に至っている。
【0003】
例えば、LGWANの概要を解説している非特許文献1では、その目的の1つに、「各市町村や都道府県におけるネットワーク規模、多様な情報化の進度や方法の違いを吸収」することが述べられている。
【非特許文献1】「総合行政ネットワーク(LGWAN)の概要」、[online][2004年11月5日検索]、<URL:http://www.lasdec.nippon-net.ne.jp/lgw/shiryou/L-2_gaiyou_20030529.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、地方公共団体ごとに、例えば都道府県の庁レベルと、その下にある市町村とでは、システム構築に割り当てることができる予算枠も自ずと異なり、したがって、構築可能なシステムの規模も異なる。
【0005】
図9は、県の庁内システムと市町村の庁内システムとの連携における従来の問題点を説明する図である。図9において、ファイアウォール(FW)の下に県の庁内システムが設けられている。
【0006】
県の庁内システムにおいて、文書管理システムが文書管理システム51の位置に設けられていて、グローバルなアドレスを有する場合は、県の庁内システム外のLGWAN上のグローバルなアドレスを有する業務システム、例えば業務システム61、62とも連携が可能、すなわち、相互に接続が可能である。この場合、図10に示すように、例えば、県の庁内システム外の(個別)業務システム61からデータ収受の依頼が県の庁内システムの文書管理システム51になされ、その文書管理システム51において、受け付けた文書の種別に応じて、対応する文書DB宛てにその受け付けた文書データが振り分けられて送信され(文書DBに対しデータ収受の依頼がなされ)、その文書DB側において、例えば書式チェック等の収受処理が行われる。
【0007】
しかし、県の庁内システムにおいて、文書管理システムが文書管理システム52の位置に設けられていてグローバルなアドレスを有さない場合には、その文書管理システム52から、県の庁内システム外のLGWAN上のグローバルなアドレスを有する業務システム、例えば業務システム61、62に対して接続可能であるが、業務システム61、62から文書管理システム52に対しては接続不可である。
【0008】
そして、今日では、文書管理システムについては言うまでもなく、県の庁内システムに、その県とその県のより下位にある市町村とを連携する連携サーバ装置を設ける場合でも、セキュリティを優先する関係からその連携サーバ装置にグローバルなアドレスは持たせないようにしている。このような場合、図11に示すように、県の庁内システムにおいて文書管理システムと連携サーバ装置とはローカルなアドレスを有していて、県の庁内システム外に設けられた業務個別システムはグローバルなアドレスを有することになるので、県の庁内システムの連携サーバ装置から業務個別システムへのアクセスは可能でも、業務個別システムから県の庁内システムの連携サーバ装置へのアクセスは不可となってしまう。このため、例えば、市町村から予算の申請を行った場合に、その申請についての処理の進捗状況を市町村側の担当者が知りたくても、その進捗状況を取得することができないという問題があった。
【0009】
本発明の課題は、地方公共団体の庁内システム間において、一方の庁内システムのセキュリティを確保した上で、その庁内システム間の連携を双方向に確立することを可能とした文書管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の文書管理システムは、第1の地方公共団体の庁内システムから第2の地方公共団体の庁内システムへはアクセスが可能であり、前記第2の地方公共団体の庁内システムから前記第1の地方公共団体の庁内システムへはアクセスを不可であるような地方公共団体の庁内システム間の連携に用いられるとともに、該第1の地方公共団体の庁内システム側に設けられた第1の連携サーバ装置と該第2の地方公共団体の庁内システム側に設けられるか、または、該第2の地方公共団体をはじめとする複数の地方公共団体の庁内システム側に設けられそれら地方公共団体によって共用されるかする第2の連携サーバ装置とを備える文書管理システムにおいて、前記第2の連携サーバ装置は、第1の地方公共団体、第2の地方公共団体、または、第2の地方公共団体を含む複数の地方公共団体からの文書データを保持する手段と、前記保持された文書データを一意に決定するための情報を該文書データに対し付与する一意情報付与手段と、を有し、前記第1の連携サーバ装置は、前記第2の連携サーバ装置内に保持される一意の情報が付与された文書データについての情報を取り込むデータ取込手段と、取り込んだ文書データの種別に基づいて、該取り込んだ文書データを庁内の対応するデータベースに分配するデータ分配手段と、を有する、ことを特徴とする文書管理システムである。
【0011】
ここで、第1の地方公共団体の庁内システム側に設けられた第1の連携サーバ装置内のデータ取込手段によって第2の連携サーバ装置内に保持(プール)される文書データが取り込まれるようにしたので、第1の地方公共団体の庁内システム側に設けられた第1の連携サーバ装置に対してセキュリティの関係から外部アドレスが割り当てられないような場合でも、第1および第2の地方公共団体間の連携をとることが可能となる。また、一意情報付与手段によって、第1または第2の地方公共団体からの文書データが受信された際に、その文書データに一意の情報を割り振っているので、その一意の情報に基づいて、第1または第2の地方公共団体の間でその文書データを特定することが可能となり、例えば、第2の地方公共団体において、その一意の情報が割り振られた文書データに対する処理の進捗状況を取得することが可能となる。すなわち、第1の地方公共団体の庁内システム側に設けられた第1の連携サーバ装置のセキュリティを確保した上で、上記付与された一意の情報を用いて、第1および第2の地方公共団体の庁内システム間の連携を双方向に確立することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1の地方公共団体の庁内システム側に設けられた第1の連携サーバ装置から第2の連携サーバ装置内に保持(プール)される文書データが取り込まれるようにしたので、その第1の連携サーバ装置に対してセキュリティの関係から外部アドレスが割り当てられないような場合でも、第1および第2の地方公共団体の庁内システム間で連携をとることが可能となる。すなわち、第1の地方公共団体の庁内システム側に設けられた第1の連携サーバ装置のセキュリティを確保した上で、上記付与された一意の情報を用いて、第1および第2の地方公共団体の庁内システム間の連携を双方向に確立することが可能となる。
【0013】
また、本発明によれば、一意情報付与手段によって、第1または第2の地方公共団体からの文書データが受信された際に、その文書データに対し一意の情報を割り振っているので、その一意の情報に基づいて、第1または第2の地方公共団体の間でその文書データを特定することが可能となり、例えば、第2の地方公共団体において、その一意の情報が割り振られた文書データに対する処理の進捗状況を取得することが可能となる。すなわち、第1の地方公共団体の庁内システム側では、その庁内システム内の担当部署において、第2の地方公共団体から受信した文書データ、例えば予算申請データに対する処理の進捗状況が変化する毎に、その文書データに割り振られた一意の情報を用いて、上記第2の連携サーバ装置に第1の連携サーバ装置内の処理状況通知手段を介してその進捗状況を送信し、また、第2の地方公共団体の庁内システム側では、第2の連携サーバ装置にアクセスする。これにより、その一意の情報が割り振られた文書データについての処理の進捗状況を第2の地方公共団体の庁内システム側で取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態の文書管理システムを示す構成図である。図1の文書管理システムは、第1の地方公共団体の庁内システムと、その第1の地方公共団体より下位レベルにあたる第2の地方公共団体の庁内システム40との連携に用いられる。
【0015】
第2の連携サーバ装置10は、第2の地方公共団体の庁内システム40をはじめとする複数の地方公共団体の庁内システムによって共同利用される装置である。この第2の連携サーバ装置10は、上位システムとしての第1の地方公共団体の庁内システムからの通達等の文書データ、該通達等の文書データに対する下位システムとしての第2の地方公共団体の庁内システムからの回答データ、第2の地方公共団体の庁内システムから第1の地方公共団体の庁内システムへの予算等の各種申請データ等を保持する文書プール部11と、その保持された文書データを一意に決定するための情報をその文書データに対し付与する一意情報付与部12と、文書データに対して付与された一意の情報を該文書データの送信元に通知する一意情報通知部13と、を有し、第2の地方公共団体の庁内システム40をはじめとする複数の地方公共団体の庁内システムと第1の地方公共団体の庁内システムとの間に設けられる。
【0016】
第1の連携サーバ装置30は、第2の連携サーバ装置10内に保持される一意の情報が付与されたデータについての情報を取り込むデータ取込部31と、その取り込んだデータの種別に応じて、その取り込んだデータを庁内の対応するデータベースに分配するデータ分配部32と、庁内システムに受け付けられた一意の情報が付与されたデータに対する処理の進捗状況を第2の連携サーバ装置10に通知する処理状況通知部33と、を有し、第1の地方公共団体の庁内システム(の内部)に設けられる。
【0017】
なお、図1では、ファイアウォール(FW)の下に第1の地方公共団体の庁内システム(転送処理装置21、文書管理システム22、第1の連携サーバ装置30)がある。この第1の地方公共団体の庁内システムにおいては、転送処理装置21がグローバルなアドレスを有していて、庁内外のデータの転送処理を行っている。第1の連携サーバ装置30は、庁内システム内のローカルなアドレスしか有さない。
【0018】
また、第2の連携サーバ装置10は、第1の地方公共団体の庁内システムと第2の地方公共団体の庁内システム40をはじめとする複数の地方公共団体の庁内システムとの間に設けられていて、グローバルなアドレスを有する。
【0019】
図2は、第2の連携サーバ装置10の文書プール部11が保持するデータ構造を示す図である。
図2に示すように、それぞれの文書データは、その文書データに対応付けられた項目として、「自治体コード」、「業務システムコード」、「業務システムデータのID」を含んでいる。ここで、「自治体コード」とは、第2の連携サーバ装置10が関わる第1または第2の地方公共団体の庁内システムを識別するためのコードである。また、「業務システムコード」とは、上位側の第1の地方公共団体の庁内システムにおいて、受信した文書データを担当部署に分配するときに参照される分配先を識別するための情報である。つまり、上位側の第1の地方公共団体の庁内システムにおいて、文書データを担当部署へ分配するときに用いられるロジックが第2の連携サーバ装置10内でも用いられている。また、「業務システムデータのID」とは、第1または第2の地方公共団体側でその文書データに対して割り振ったIDであり、例えば、それぞれの地方公共団体において、連番で割り振られる。そして、これら「自治体コード」、「業務システムコード」、「業務システムデータのID」を組み合わせることで、その文書データに対する一意の情報が構成される。なお、図からは定かでないが、文書プール部11には、このような一意の情報が文書データと対応付けられて格納されている。
【0020】
以下、図1の文書管理システムの動作について、図3〜図6を参照して説明する。なお、以下の説明では、第1の地方公共団体を都道府県、例えば、県とし、また、第2の地方公共団体をその県の下にある市町村としている。
【0021】
図3は、都道府県、例えば県側から市町村側に通達がなされる場合のシステムの動作を説明する図である。図3において、まず、(1)で、その県の庁内のローカルLAN上の文書管理システム22内において、通達に相当する文書データが(県側担当者によって)作成されて、同じローカルLAN上の連携サーバ装置30に送信される。そして、(2)で、連携サーバ装置30からProxyサーバ装置(転送処理装置)21を介することで、その通達に相当する文書データが、市町村側で共同利用するサーバ装置(市町村側連携サーバ装置)10宛てに送信される。(市町村側)連携サーバ装置10は、その通達に相当する文書データを受信すると、その文書データに含まれる配布先の市町村についての情報を参照して、その対応する市町村に送信するか、または、その文書データを、文書プール部11に一旦保持し、例えば、データ取得要求を行った市町村が、その配布先情報に含まれる場合に、その市町村にその文書データが取得される。この場合、一意情報付与部12によって、文書データの送信元の庁に対応する自治体コード、および、通達に対応する業務システムコードが生成され、予め庁側で割り振られている業務システムデータのIDと組み合わさることで、この文書データに対して一意の情報が付与される。
【0022】
なお、(市町村側)連携サーバ装置10の下にある各市町村システムからのデータ取得要求によって、対応する市町村の市町村システム内に文書データが取り込まれた場合や、対応する市町村に文書データが送信された場合は、そのデータ取得要求による文書データの取り込みが行なわれたという情報、または、その市町村側への文書データの送信が行われたという情報は、(市町村側)連携サーバ装置10内の文書プール部11に対応する文書データとともに処理結果として保持される。
【0023】
そして、例えば、タイマによって、所定時間毎に起動される、庁内の連携サーバ装置30内のデータ取込部31によって、(市町村側)連携サーバ装置10内に保持される一意の情報が付与されたデータについての情報(この場合、文書データのそれぞれに割り振られた一意の情報とそれら文書データに対する処理結果)が(3)で庁側に取り込まれる。なお、この場合、文書プール部11は、庁側からの各種文書データの送信時刻についての情報も保持していて、データ取込部31は、その送信時刻の情報を利用して文書データの取り込みを、例えば、前回取り込んだ以降の時刻に対して行う。
【0024】
データ分配部32は、取り込まれた一意の情報が付与された(文書)データの分配先を、その一意の情報中の「業務システムコード」の値を参照して決定する。このようにして、取り込まれた一意の情報が付与されたデータは、(4)で、データ分配部32によって、対応する庁内の所定の部署(例えば、文書管理システム22)のデータベースに分配される。すなわち、連携サーバ装置30から担当の文書管理システム22に対して結果通知がなされる。
【0025】
図4は、都道府県、例えば県側から市町村側になされた通達に対して、市町村側から回答がなされる場合のシステムの動作を説明する図である。図4において、まず、(1)で、市町村システム(不図示)内で、県からの通達に対する回答に相当する文書データ(回答データ)が(市町村側担当者によって)作成される。そして、この作成された文書データに対してその市町村システム側で例えば連番の(業務システムデータの)IDが割り振られる。このIDが割り振られた回答データは、その市町村システムから(市町村側)連携サーバ装置10に送られる。
【0026】
(市町村側)連携サーバ装置10では、一意情報付与部12によって、受信した回答データに対して、一意の情報が付与される。この場合、一意情報付与部12によって、文書データの送信元の市町村に対応する自治体コード、および、通達への回答に対応する業務システムコードが生成され、予め市町村側で割り振られている業務システムデータのIDと組み合わさることで、この文書データに対して一意の情報が付与される。一意の情報が付与された回答データは、文書プール部11に記憶される。なお、回答データに対して付与された一意の情報は、その回答データの送信元の市町村に、一意情報通知部13を介して通知される。
【0027】
庁内の連携サーバ装置30内のデータ取込部31は、例えば、タイマによって所定の時間間隔毎に起動されるが、そのデータ取込部31によって、(市町村側)連携サーバ装置10内に保持される一意の情報が付与されたデータが(2)で庁内の連携サーバ装置30に取り込まれる。なお、文書プール部11は、市町村システム40からの各種文書データの送信時刻についての情報も保持していて、データ取込部31は、その送信時刻の情報を利用して文書データの取り込みを、例えば、前回取り込んだ以降の時刻に対して行う。
【0028】
このように、本実施形態では、庁内に設けられた第2の連携サーバ装置30から市町村側の第1の連携サーバ装置内に保持(プール)される文書データを取り込むようにしたので、庁内に設けられる第2の連携サーバ装置に対してセキュリティの関係から外部アドレスが割り当てられないような場合でも、市町村側と庁側との連携をとることが可能となる。
【0029】
再び図4の説明に戻ると、データ分配部32は、取り込まれた一意の情報が付与された(文書)データの分配先を、その一意の情報中の「業務システムコード」の値を参照して決定する。このようにして、取り込まれた一意の情報が付与された回答データは、(3)で、データ分配部32によって、庁内の対応する文書管理システム22宛てに送信される。そして、(4)において、文書管理システム22側で、その回答データを受け取った後の処理結果が連携サーバ装置30内の処理状況通知部33を介して(市町村側)連携サーバ装置30に通知される。例えば、規定される書式に則った回答データを収受した場合は、その旨が通知され、また、書式エラーがあった場合は、書式エラーを修正した回答データを再送するように促す旨が通知される。
【0030】
処理状況通知部33からの通知を受け取った市町村側の第1の連携サーバ装置10では、その通知内容に基づいて、文書プール部11に保持される対応する文書データ(回答データ)に対する処理の進捗状況を更新する。この回答データに対する処理の進捗状況については、市町村システム40側から第1の連携サーバ装置10に(一意の情報を用いて)データ取得要求を行うことによって、その市町村システム40内に取り込むことが可能である。
【0031】
このように、本実施形態においては、文書データ(回答データ)を送信した後も、一意情報付与部12によって付与された一意の情報を利用することで、その回答データについての処理進捗を市町村側で取得することが可能となる。
【0032】
図5は、市町村側から都道府県、例えば県側に予算申請がなされる場合のシステムの動作を説明する図である。図5において、まず、(1)で、市町村システム(不図示)内で、県側への(所定の事業に対する)予算申請に相当する文書データ(予算申請データ)が(市町村側担当者によって)作成される。そして、この作成された予算申請データに対してその市町村システム側で例えば連番の(業務システムデータの)IDが割り振られる。このIDが割り振られた予算申請データは、その市町村システムから(市町村側)連携サーバ装置10に送られる。
【0033】
(市町村側)連携サーバ装置10では、一意情報付与部12によって、受信した予算申請データに対して、一意の情報が付与される。この場合、一意情報付与部12によって、文書(予算申請)データの送信元の市町村に対応する自治体コード、および、予算申請に対応する業務システムコードが生成され、予め市町村側で割り振られている業務システムデータのIDと組み合わさることで、この文書データに対して一意の情報が付与される。一意の情報が付与された予算申請データは、文書プール部11に記憶される。なお、予算申請データに対して付与された一意の情報は、その予算申請データの送信元の市町村に、一意情報通知部13を介して通知される。
【0034】
庁内の連携サーバ装置30内のデータ取込部31は、例えば、タイマによって所定の時間間隔毎に起動されるが、そのデータ取込部31によって、(市町村側)連携サーバ装置10内に保持される一意の情報が付与されたデータが(2)で庁内の連携サーバ装置30に取り込まれる。なお、文書プール部11は、市町村システム40からの各種文書データの送信時刻についての情報も保持していて、データ取込部31は、その送信時刻の情報を利用して文書データの取り込みを、例えば、前回取り込んだ以降の時刻に対して行う。
【0035】
データ分配部32は、取り込まれた一意の情報が付与された(文書)データの分配先を、その一意の情報中の「業務システムコード」の値を参照して決定する。このようにして、取り込まれた一意の情報が付与された予算申請データは、(3)で、データ分配部32によって、庁内の対応する文書管理システム22宛てに送信される。そして、(4)において、文書管理システム22側で、その予算申請データを受け取った後の処理結果が連携サーバ装置30内の処理状況通知部33を介して(市町村側)連携サーバ装置30に逐次通知される。例えば、規定される書式に則った回答データを収受した場合は、その旨が通知され、また、書式エラーがあった場合は、書式エラーを修正した回答データを再送するように促す旨が通知される。さらに、予算申請の処理がどの段階まで進んでいるか(受理された、決済された)等の処理の進捗状況についての情報についても、(市町村側)連携サーバ装置10に、処理状況通知部33を介して担当の文書管理システム22側から逐次報告される。
【0036】
処理状況通知部33からの逐次、処理進捗についての報告を受け取っている市町村側の第1の連携サーバ装置10では、その通知(報告)内容に基づいて、文書プール部11に保持される対応する文書データ(予算申請データ)に対する処理の進捗状況を更新する。この予算申請データに対する処理の進捗状況については、市町村システム40側から第1の連携サーバ装置10に(一意の情報を用いて)データ取得要求を行うことによって、その市町村システム40内に取り込むことが可能である。
【0037】
このように、本実施形態においては、文書データ(予算申請データ)を送信した後も、一意情報付与部12によって付与された一意の情報を利用することで、その予算申請データについての処理進捗(予算申請の処理がどの段階まで進んでいるか)を市町村側で取得することが可能となる。
【0038】
図6は、図4または図5における装置間でのデータの収受を説明する図である。図6において、データ取込部31によって、データ収受がなされて、市町村側の連携サーバ装置10からの収受されたデータが庁内の連携サーバ装置30に登録される。庁内の連携サーバ装置30に収受されたデータは、庁内の担当部署(文書管理システム22)に送られ、そこで、収受処理、例えば、データの書式チェック処理が行われる。また、庁内の担当部署(文書管理システム22)から庁内の連携サーバ装置30の処理状況通知部33を介して、市町村側の連携サーバ装置10に完了通知(処理の進捗状況も含む)が通知される。
【0039】
なお、以上の説明では、図4または図5において、一意情報通知部13は、データの送信元(市町村システム)にそのデータに対して付与された一意の情報を送信していたが、(市町村側)連携サーバ装置10の構成として、この一意情報通知部13を有さない構成を採用することもできる。この場合、市町村システム側から定期的に、(市町村側)連携サーバ装置10に対してデータ取得要求を送付する。
【0040】
また、図1に示すように、第1の連携サーバ装置30において、取り込んだデータを、その取り込んだデータに関する処理の進捗状況も含めて保持するデータ記憶部34をさらに備えるようにしてもよい。
【0041】
また、以上の説明では、第1の地方公共団体を都道府県、例えば、県とし、第2の地方公共団体をその県の下の市町村としたが、それ以外の構成でもよい。例えば、第1の地方公共団体を国とし、第2の地方公共団体を都道府県または市町村とすることができる。
【0042】
また、以上の説明では、第2の連携サーバ装置10は、第2の地方公共団体をはじめとする複数の地方公共団体で共同利用するものとし、第1の地方公共団体の庁内システムと、第2の地方公共団体をはじめとする複数の地方公共団体の庁内システムとの間に設けられるものであったが、例えば、予算が十分にとれるような場合は、図7に示すように、1つの地方公共団体の庁内システム(第2の地方公共団体の庁内システム40)内に、グローバルなアドレスが割り当てられた第2の連携サーバ装置41を有するようにしてもよい。この場合、その第2の地方公共団体の庁内システム40内に設けられた第2の連携サーバ装置41の一意情報通知部13は、データに対して付与された一意の情報をその第2の地方公共団体の庁内システム40内のそのデータの送信元の部署(例えば、個別業務システム42)宛てに通知する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態の文書管理システムを示す構成図である。
【図2】第2の連携サーバ装置が保持するデータ構造を示す図である。
【図3】都道府県、例えば県側から市町村側に通達がなされる場合のシステムの動作を説明する図である。
【図4】都道府県、例えば県側から市町村側になされた通達に対して、市町村側から回答がなされる場合のシステムの動作を説明する図である。
【図5】市町村側から都道府県、例えば県側に予算申請がなされる場合のシステムの動作を説明する図である。
【図6】図4または図5における装置間でのデータの収受を説明する図である。
【図7】本実施形態の文書管理システムの変形例を示す図である。
【図8】LGWANの概要を示す図である。
【図9】県の庁内システムと市町村の庁内システムとの連携における従来の問題点を説明する図(その1)である。
【図10】従来のシステムにおけるデータの収受を説明する図である。
【図11】県の庁内システムと市町村の庁内システムとの連携における従来の問題点を説明する図(その2)である。
【符号の説明】
【0044】
10、41 第2の連携サーバ装置
11 文書プール部
12 一意情報付与部
13 一意情報通知部
21 転送処理装置
22 文書管理システム
30 第1の連携サーバ装置
31 データ取込部
32 データ分配部
33 処理状況通知部
34 データ記憶部
40 第2の地方公共団体の庁内システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の地方公共団体の庁内システムから第2の地方公共団体の庁内システムへはアクセスが可能であり、前記第2の地方公共団体の庁内システムから前記第1の地方公共団体の庁内システムへはアクセスを不可であるような地方公共団体の庁内システム間の連携に用いられるとともに、該第1の地方公共団体の庁内システム側に設けられた第1の連携サーバ装置と該第2の地方公共団体の庁内システム側に設けられるか、または、該第2の地方公共団体をはじめとする複数の地方公共団体の庁内システム側に設けられそれら地方公共団体によって共用されるかする第2の連携サーバ装置とを備える文書管理システムにおいて、
前記第2の連携サーバ装置は、第1の地方公共団体、第2の地方公共団体、または、第2の地方公共団体を含む複数の地方公共団体からの文書データを保持する手段と、前記保持された文書データを一意に決定するための情報を該文書データに対し付与する一意情報付与手段と、を有し、
前記第1の連携サーバ装置は、前記第2の連携サーバ装置内に保持される一意の情報が付与された文書データについての情報を取り込むデータ取込手段と、取り込んだ文書データの種別に基づいて、該取り込んだ文書データを庁内の対応するデータベースに分配するデータ分配手段と、を有する、ことを特徴とする文書管理システム。
【請求項2】
前記データ取込手段は、定周期またはオン・デマンドで起動されることを特徴とする請求項1記載の文書管理システム。
【請求項3】
前記第1の地方公共団体の庁内システム側に設けられた第1の連携サーバ装置は、前記庁内システムに受け付けられた前記一意の情報が付与された文書データに対する処理の進捗状況を前記第2の連携サーバ装置に通知する処理状況通知手段、をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の文書管理システム。
【請求項4】
前記第2の連携サーバ装置は、前記文書データに対して付与された一意の情報を該文書データの送信元に通知する一意情報通知手段、をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の文書管理システム。
【請求項1】
第1の地方公共団体の庁内システムから第2の地方公共団体の庁内システムへはアクセスが可能であり、前記第2の地方公共団体の庁内システムから前記第1の地方公共団体の庁内システムへはアクセスを不可であるような地方公共団体の庁内システム間の連携に用いられるとともに、該第1の地方公共団体の庁内システム側に設けられた第1の連携サーバ装置と該第2の地方公共団体の庁内システム側に設けられるか、または、該第2の地方公共団体をはじめとする複数の地方公共団体の庁内システム側に設けられそれら地方公共団体によって共用されるかする第2の連携サーバ装置とを備える文書管理システムにおいて、
前記第2の連携サーバ装置は、第1の地方公共団体、第2の地方公共団体、または、第2の地方公共団体を含む複数の地方公共団体からの文書データを保持する手段と、前記保持された文書データを一意に決定するための情報を該文書データに対し付与する一意情報付与手段と、を有し、
前記第1の連携サーバ装置は、前記第2の連携サーバ装置内に保持される一意の情報が付与された文書データについての情報を取り込むデータ取込手段と、取り込んだ文書データの種別に基づいて、該取り込んだ文書データを庁内の対応するデータベースに分配するデータ分配手段と、を有する、ことを特徴とする文書管理システム。
【請求項2】
前記データ取込手段は、定周期またはオン・デマンドで起動されることを特徴とする請求項1記載の文書管理システム。
【請求項3】
前記第1の地方公共団体の庁内システム側に設けられた第1の連携サーバ装置は、前記庁内システムに受け付けられた前記一意の情報が付与された文書データに対する処理の進捗状況を前記第2の連携サーバ装置に通知する処理状況通知手段、をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の文書管理システム。
【請求項4】
前記第2の連携サーバ装置は、前記文書データに対して付与された一意の情報を該文書データの送信元に通知する一意情報通知手段、をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の文書管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−201889(P2006−201889A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−10960(P2005−10960)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(000237156)株式会社エフ・エフ・シー (100)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(000237156)株式会社エフ・エフ・シー (100)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]