説明

料金式精米設備

【課題】全自動処理によって料金対応の精米出力をするとともに、穀物が機器内部に残留する場合であっても、その混入を招くことなく、次の利用者が投入した穀物のみについて精米出力することができる料金式精米設備を提供する。
【解決手段】料金対応精米システムは、利用者の操作によって精米条件を規定する精米設定部(P)と、その投入穀物を精米する精米部(14a,14,16a,16)と、精米受部としての白米タンク(13)と、これらの各機器を精米条件に添って精米動作させる精米運転制御を行う制御部とから構成され、上記精米設定部(P)に清掃スイッチ(23)を設け、この清掃スイッチ(23)の操作信号によって精米部各機器からの穀物排出動作をさせ、各排出穀物が精米受部(13)に到達する時間に限定して動作させる清掃運転制御を上記制御部に備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者の投入による穀物を投入料金の範囲で全自動処理により精米出力する料金式精米設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
料金式精米設備は、利用者の投入による穀物を投入料金の範囲で全自動処理して精米出力するために、特許文献1に記載のように、料金、穀物の投入、その他の入力によって精米条件を規定する精米設定部と、その投入穀物を精米する精米部と、精米出力された穀物を払出し可能に受ける精米受部と、これらの機器動作を精米条件に添って運転制御する制御部とから構成したものが知られている。
【0003】
さらに、この料金式精米設備は、投入穀物の返却ボタンを精米設定部に配置し、このボタンを操作することによって穀物投入部から穀物を返却可能に構成することにより、前の利用者が料金切れ等によって未処理のまま放棄した投入穀物が穀物投入部に残留する場合において、その混入を避けようとする利用者の操作に応じて残留穀物を排出した後において、持込穀物について精米することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−205116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記料金式精米設備は、精米部に穀物が残留する場合には、利用者の操作で残留穀物を排出することができず、その存否すら利用者には分からないことから、次の利用者の精米出力に混入するという問題を内包しており、その解決が望まれていた。
【0006】
本発明の目的は、全自動処理によって料金対応の精米出力をするとともに、穀物が精米機器の内部に残留する場合であっても、その混入を招くことなく、利用者が投入した穀物のみを精米出力することができる料金式精米設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、利用者の操作によって投入穀物の精米条件を規定する精米設定部(S)と、その投入穀物を精米する精米部(14a,14,16a,16)と、この精米部から出力された穀物を受ける白米タンク(13)と、精米部(14a,14,16a,16)を操作盤(P)で設定した精米条件で精米動作させる精米運転制御を行う制御部(F)とを設け、該制御部(F)は清掃スイッチ(23)の操作信号によって精米部(14a,14,16a,16)各機器内の残留穀物を排出させる清掃運転制御を行うことを特徴とする。
【0008】
上記構成の料金式精米設備は、制御部の精米運転制御によって投入穀物の全自動精米を行い、また、清掃スイッチの操作による清掃運転制御の起動により、設定時間について各機器内の残留穀物の排出動作をする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1の構成において、前記制御部は、料金投入部(21)への料金の投入を条件に、清掃スイッチ(23)の操作により清掃運転制御を行なうことを特徴とする。 上記清掃運転制御は、料金投入を前提条件と実施される。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2の構成において、精米部(14a,14,16a,16)と白米タンク(13)との間には、清掃スイッチ(23)の操作と対応して精米部から受ける穀物の案内先を切替える切替弁(13a)を設け、この切替弁(13a)を介して穀物を受ける残留米受部(13b)を備えることを特徴とする。
清掃スイッチの操作によって清掃運転制御が起動された時に、その排出穀物が残留米受部に案内される。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明の料金式精米設備は、制御部の精米運転制御によって投入穀物の全自動精米を行い、また、清掃スイッチの操作による清掃運転制御の起動により、各機器の内部の残留穀物を排出することができるため、前の利用者の穀物が精米部の各機器に残留する場合に排出でき、次の利用者の穀物との混入を招くことを防止できる。従って、利用者が投入した穀物毎に精米処理することができる。
【0012】
請求項2に係る発明の料金式精米設備は、請求項1の効果に加え、料金投入を前提条件として清掃運転制御をすることから、精米利用者に限定適用が可能となり、無用の清掃運転制御の起動を防止することができる。
【0013】
請求項3に係る発明の料金式精米設備は、請求項1又は請求項2の効果に加え、切替弁と残留米受部とを備えることから、清掃スイッチの操作によって清掃運転制御が起動された時に、その排出穀物を残留米受部に分けて取扱うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】料金式精米設備の一構成例についてのシステム展開図
【図2】料金式精米設備の機器配置構成例の平面図
【図3】図2の機器配置構成例の側面図
【図4】客室側からの見取図
【図5】制御部による制御フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
料金式精米設備は、その一構成例についてのシステム展開図を図1に示すように、穀物を投入するための投入ホッパ12から、穀物を取出すための白米タンク13および切替弁13aによって切替え可能に設けた残米受箱13bによる精米受部のまでの間に精米部機器、すなわち、上記投入ホッパ12から繰出し手段である搬送ロータリバルブ12aによって取込んだ穀粒を上位排出する第1昇降機14aと、この第1昇降機14aから受けた穀粒を異物選別する石抜機14と、その送出穀粒を上位排出する第2昇降機16aと、この第2昇降機16aから玄米タンク16tに受けた穀粒を精米する精米機16とを設け、これら機器を制御する制御部Fを後述の操作パネルPの内部に構成する。また、第1昇降機14aの送出側には、第一昇降機で搬送された穀物を投入ホッパ12側に戻すための戻し通路12c側に切り替える切替弁14bを備える。
【0016】
料金式精米設備の具体的な構成は、建家内にコンパクトに収容した一例を図2、図3の機器配置構成の平面図および側面図にそれぞれ示すように、収容建家B内を客室Cと機械室Mとに前後に分け、両者の間は、仕切壁Dで仕切られ、ている。
【0017】
機械室Mには、精米部を構成する各機器を配置し、すなわち、第1昇降機14a、石抜機14、第2昇降機16a、精米機16が順に配置され、精米機16の排出口と白米タンク側13との間に切替弁13aを設け、精米機16から排出した穀物を白米タンク13か残米受箱13bに案内できる構成としている。
【0018】
客室C側には、仕切壁D面の見取図を図4に示すように、シャッター12bによって投入口を開放・閉鎖可能に構成した投入ホッパ12、精白米を袋に収納するための払出口13cにシャッターレバーを備えた白米タンク13を左右端に配置し、中央下部位置に料金投入部21、その上方に白度選択部22、清掃スイッチ23等の操作盤Pから構成される。清掃スイッチ23は、その操作が可能である範囲で点灯表示可能に構成する。
【0019】
また、各機器を制御する制御部Fは、操作盤Pで設定された精白度や投入料金等の精米条件に応じて投入穀物を精米するように各機器を制御する精米運転制御を構成し、また、清掃スイッチ23の操作により、各機器について空運転を行なって残留穀物を排出させるとともに、切替弁13aを切替えて精米機16の排出穀物を残米受箱13bに案内するように設定時間清掃動作をさせる清掃運転制御を構成する。清掃動作の時間は、各排出穀物が残米受箱13bに到達する時間を確保する。
【0020】
上記制御部による清掃運転制御について詳細に説明すると、図5の制御フローチャートに示すように、まず料金を投入すると、シャッター12bが開放動作し、投入ホッパ12の投入口が開口されると共に、清掃スイッチ23のランプが点灯する。
清掃スイッチ23の操作をチェックする処理ステップ1(以下において、S1の如く略記する。)を設け、「操作有り」の場合に限り所定の制御(S2〜S5)を行う。すなわち、切替弁13aを残米受箱13bに切替え(S2)、第1昇降機14a、石抜機14、第2昇降機16a、精米機16におよぶ構成各機器の残留穀物を排出するために所定時間(例えば20秒)について空運転(S3,S4)による清掃動作を行い、次いで切替弁13aを再度切替えて精米機16の精米出力先を白米タンク13に戻す(S5)。
【0021】
上記清掃運転制御(S2〜S5)は、料金投入を前提条件として白度選択前の清掃スイッチ23の操作に限って各機器の清掃動作を行い、その後は、清掃スイッチ23の操作が無い場合を含め、穀物投入(S6)と白度選択操作(S7)に従って設定条件に添うように投入穀物を精白する精米運転制御(S8〜S10)に移行する。
【0022】
料金切れ等で精米運転が途中で停止した場合に、投入ホッパ12内に穀物が残留している場合に、持ち帰りスイッチ12dを操作するとロータリバルブ12aと第一昇降機14aが駆動すると共に、切替弁14bが切り替えられ、投入ホッパ12内の残留穀物は戻し通路から穀物返却口12eに戻され、利用者は投入ホッパ12上で袋等で受けて持ち帰ることができる。
【0023】
清掃スイッチ23により、機器の内部に前の利用者の穀物や異物が残留していても、清掃運転制御(S2〜S5)によって残米受箱13bに案内されることから、その混入を招くことなく、利用者の投入穀物のみを精白して白米タンク13から精白穀物を取出すことができる。
【0024】
上記制御部は、その制御構成により、料金投入の後における清掃スイッチ23の操作に限って内部清掃のための清掃運転制御(S2〜S5)が起動されることにより、精米利用を前提としない清掃運転制御(S2〜S5)を排除することができる。
【0025】
また、清掃運転制御を行なう場合、清掃運転制御(S2〜S5)の終了後に白度選択操作(S7)を可能に構成することにより、清掃運転制御(S2〜S5)による内部清掃の動作中なのか、精米運転制御(S8〜S10)による精米動作中なのかを認識することができ、逆に、清掃運転制御(S2〜S5)を白度選択操作(S7)により強制終了して精米運転制御(S8〜S10)に移行するように構成することにより、内部清掃を適宜切り上げて精米を急ぐ場合に対応することができる。
【0026】
また、清掃運転制御について、ロータリバルブ12aを動かして投入ホッパ12の残留穀物を排出する構成としても良い。なお、この場合に、清掃運転中に投入ホッパ12に設ける穀物有無検出センサ12fが穀物無しから穀物有りを検出すると、利用者が穀物を誤投入したと判定してロータリバルブ12aを停止する構成としても良い。
【0027】
また、清掃運転制御で排出する残留穀物は第2昇降機16aの排出口側に切替弁(図示せず)を設けて残米受箱13bに排出する構成としても良い。
また、清掃スイッチ23は料金投入して、利用者がスイッチを押しているときだけ清掃運転動作を行なう構成にしてもよい。また、清掃スイッチ23は操作盤Pに限らず、仕切壁Dの所望の位置や投入ホッパ12の近傍といった客室C側に適宜設ける構成としても良い。
【符号の説明】
【0028】
12 投入ホッパ
13 白米タンク
13a 切替弁
13b 残米受箱
14 石抜機(精米部)
14a 第一昇降機(精米部)
16 精米機(精米部)
16a 第二昇降機(精米部)
21 料金投入部
22 白度選択部
23 清掃スイッチ
F 制御部
S 精米設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の操作によって投入穀物の精米条件を規定する精米設定部(S)と、その投入穀物を精米する精米部(14a,14,16a,16)と、この精米部から出力された穀物を受ける白米タンク(13)と、精米部(14a,14,16a,16)を操作盤(P)で設定した精米条件で精米動作させる精米運転制御を行う制御部(F)とを設け、
該制御部(F)は清掃スイッチ(23)の操作信号によって精米部(14a,14,16a,16)各機器内の残留穀物を排出させる清掃運転制御を行うことを特徴とする料金式精米設備。
【請求項2】
前記制御部は、料金投入部(21)への料金の投入を条件に、清掃スイッチ(23)の操作により清掃運転制御を行なうことを特徴とする請求項1記載の料金式精米設備。
【請求項3】
精米部(14a,14,16a,16)と白米タンク(13)との間には、清掃スイッチ(23)の操作と対応して精米部から受ける穀物の案内先を切替える切替弁(13a)を設け、この切替弁(13a)を介して穀物を受ける残留米受部(13b)を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の料金式精米設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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