斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータの軸受制限装置
【課題】斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータの軸受制限装置を提供する。
【解決手段】円弧面が、円弧経路に従う円周方向に揺動することを可能にするように、斜板の背面の凸状の円弧面が軸受を介して斜板支持部の凹状の円弧面に支持されるべく構成された斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータ。軸受の移動を制限するための制限ピンが含まれる。組立構造により、制限ピンが斜板と斜板支持部とから外れることが防止される。制限ピンの一端は斜板の側面に回転可能に支持される。制限ピンの中間部は、軸受のホルダに形成された係合孔に緩く嵌合して係合される。最後に、ピン軸方向への制限ピンの移動を許容するために、制限ピンの他端が、支持ロッドの軸を中心として斜板支持部に回転可能に支持された前記支持ロッドに挿入される。
【解決手段】円弧面が、円弧経路に従う円周方向に揺動することを可能にするように、斜板の背面の凸状の円弧面が軸受を介して斜板支持部の凹状の円弧面に支持されるべく構成された斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータ。軸受の移動を制限するための制限ピンが含まれる。組立構造により、制限ピンが斜板と斜板支持部とから外れることが防止される。制限ピンの一端は斜板の側面に回転可能に支持される。制限ピンの中間部は、軸受のホルダに形成された係合孔に緩く嵌合して係合される。最後に、ピン軸方向への制限ピンの移動を許容するために、制限ピンの他端が、支持ロッドの軸を中心として斜板支持部に回転可能に支持された前記支持ロッドに挿入される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、斜板式油圧ポンプまたは斜板式油圧モータ、より詳しくは、斜板支持部の軸受の移動を制限するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータは、斜板の傾斜角を変化させることによって、ピストンの往復行程が増大または減少され、これにより、ポンプまたはモータの容量が変化するように構成される。斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータは、斜板の背面に形成された凸状の円弧面と、斜板の凸状の円弧面に面する斜板支持部の凹状の円弧面とを含み得る。凸状の円弧面と凹状の円弧面との間に軸受が配置される。斜板は、円弧形状に沿って円周方向に自由に揺動するように支持される。この構造では、凸状の円弧面と凹状の円弧面との間に配置された軸受は、斜板の円弧面の揺動と共に移動して、徐々に変位または落下される可能性があり、したがって、軸受の移動を制限するための制限装置が必要となり得る。従来知られている1つの制限装置が(特許文献1)に記載されている。この特許は、一端において斜板支持部に回転可能に支持され、中間部において軸受のホルダに係合され、そして他端において、斜板に形成されたU字状の溝に係合されたリンク部材を開示している。(特許文献2)に記載されている他の技術は、一端において、斜板に形成された取付孔に嵌合され、中間部において、軸受のホルダに形成されたスリットに緩く嵌合され、そして他端において、ケース側面に埋め込まれたピンに緩く嵌合するホルダロッドを開示している。
【0003】
しかし、(特許文献1)に記載されている技術によれば、リンク部材の他端は、斜板に形成されたU字状の溝に係合されているだけなので、斜板の揺動角が大きくなった場合、リンク部材の他端がU字状の溝から外れる可能性があり、これにより、斜板の揺動角の望ましくない制限が生じる。(特許文献2)に記載されている技術によれば、ホルダロッドの他端は、ケース側面に埋め込まれたピンに緩く嵌合されるが、ホルダロッドの一端および中間部が、斜板の取付孔と軸受ホルダのスリットとから外れることが制限されず、したがって、ピンが他端においてホルダロッドから外れることを制限する必要がある。ホルダロッドの他端に緩く嵌合するピンは、それがホルダロッドから外れることを制限するようにケース側面の制限部材に埋め込まれ、また制限部材はケース外側の開口部を介して設置される。結果として、ケース側面のこの開口部をシールするためのシール用部材を設けることが必要となり、これにより、部品数が増加して、コストが上がる。さらに、この構造では、ケース内に制限部材を設置する場合、制限部材に埋め込まれたピンがホルダロッドの他端から外れないように調整された位置に、制限部材を設置しなければならない。このことは、制限部材がホルダロッドの移動を妨げないようにするために必要である。このことは作業性を困難にしまたそれを低下させる。
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,590,579号明細書
【特許文献2】特開2004−183621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は上述の課題の1つ以上に向けられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
軸受制限装置および斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータは、背面に形成された凸状の円弧面を有する斜板を含む。斜板支持部は、斜板の凸状の円弧面に面する凹状の円弧面を含む。斜板の凸状の円弧面は、それと凹状の円弧面との間に軸受を配置することによって円周方向に自由に揺動するように斜板支持部の凹状の円弧面に支持される。軸受の移動を制限するための制限ピンが含まれる。制限ピンは、一端において斜板側面に回転可能に支持され、中間部において、軸受のホルダに形成された係合部に緩く嵌合して係合し、そして他端において、軸線を中心として斜板支持部に回転可能に支持された支持ロッドに挿入される。制限ピンはそのピン軸方向に可動なままである。
【0007】
他の形態では、斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータは、凹状の円弧面を有するハウジングを含む。シャフトはハウジングによって回転可能に支持される。凸状の円弧面を有する斜板は凹状の円弧面に面する。支持ロッドは、ハウジングに配置されたボアに回転可能に取り付けられる。軸受は凸状の円弧面と凹状の円弧面との間に位置決めされる。制限ピンは、斜板のボアに回転可能に受け入れられた一端と、軸受のボアを通して摺動可能に受け入れられた中間部と、支持ロッドを貫通するボアに摺動可能に受け入れられた反対端とを有する。
【0008】
他の形態では、斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータを作動させる方法は、シャフトを回転させてピストンを往復させることにより作動油を移動させるステップを含む。ハウジングに対して斜板の角度を変化させることによって、ピストンの変位が調整される。軸受を制限ピンの中間部にロックすることによって、ハウジングの凹状の円弧面において斜板の凸状の円弧面の間に軸受が保持される。制限ピンの一端は斜板のボアに回転するように支持される。制限ピンの反対端は、ハウジングに回転可能に取り付けられた支持ロッドのボアを通して摺動可能に受け入れられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1〜図5を参照して、本開示の第1の実施形態について説明する。これらの図面において、参照番号1は斜板油圧ポンプを示している。斜板油圧ポンプ1は、ハウジング2に軸方向に回転可能に支持されたドライブシャフト3を含む。シリンダブロック4はドライブシャフト3と一体回転する。複数のピストン5は往復運動するようにシリンダブロック4に設置され、またシュー6はピストン5の先端に取り付けられる。斜板7は、シュー6が摺動可能に接触するカム面7aを有する。図示していない調整器の作動に基づきドライブシャフト3の軸に対して斜板7の傾斜角を変化させることにより、往復行程長、したがってピストン5の変位が変化する。斜板角を変化させることにより、斜板油圧ポンプ1の吐出流量が増加または減少される。
【0010】
ドライブシャフト3は、斜板7の中心に形成されるシャフト貫通孔7bを通して挿入される。シュー6が摺動可能に接触するカム面7aの背面側において、一対の凸状の円弧面がシャフト貫通孔7bに隣接してその反対側に形成される。さらに、ハウジング2は、それに一体形成される一対の斜板支持部8を含む。斜板支持部8は、斜板7の一対の凸状の円弧面7cにそれぞれ面する凹状の円弧面8aを含む。
【0011】
さらに、斜板7の凸状の円弧面7cと斜板支持部8の凹状の円弧面8aとの間には、ホルダ9aが取り付けられたローラ式軸受9が配置される。軸受9を介して、斜板7の凸状の円弧面7cは、円弧経路に従う円周方向に自由に揺動するように斜板支持部8の凹状の円弧面8aに支持される。参照番号9bは、斜板支持部8の凹状の円弧面8aに固定されるべきアウターレースを示している。
【0012】
参照番号10は、軸受9の移動を制限するための制限ピンを示している。制限ピン10の一端10aをピン軸方向に対して直角に曲げることが可能である。制限ピン10の一端10aは、斜板7の側面7dに形成されたピン孔またはボア7eに回転可能に挿入され、これによって、制限ピン10は、支点としての一端10aを中心として斜板7の側面7dに回転可能に支持される。凹部7fは斜板側面7dに形成され、この斜板側面7dには、それが制限ピン10の揺動を妨げることを防止するようにピン孔7eが形成される。制限ピン10の中間部は、軸受9のホルダ9aの外周に形成された軸受9cの係合孔またはボア(本開示の係合部に対応する)に緩く嵌合して係合される。
【0013】
制限ピン10のピン軸方向に直交する方向に面する貫通孔8bが斜板支持部8に開けられる。貫通孔8bには、支持ロッド11が貫通孔8bの軸線を中心として回転可能に挿入される。支持ロッド11の一端は斜板支持部8の一方の側面から突出し、制限ピン10の他端10bは、支持ロッド11の突出端部に開けられた挿入孔11aに挿入され、ピン軸方向への制限ピン10の移動が許容される。支持ロッド11の他端において、斜板支持部8の貫通孔8bの直径よりも大きい直径を有するロック部11bは、支持ロッド11が貫通孔8bから外れることを防止するように斜板支持部8の他方の側面に隣接して形成される。
【0014】
上述のように構成された第1の実施形態では、斜板7の背面に凸状の円弧面7cが形成される。斜板支持部8はハウジング2に一体形成される。凹状の円弧面8aは斜板7の凸状の円弧面7cに面する。軸受9は凸状の円弧面7cと凹状の円弧面8aとの間に配置される。斜板7の凸状の円弧面7cは、円弧形状によって画成された円周方向に揺動することを可能にするように斜板支持部8の凹状の円弧面8aに支持される。この構造では、軸受9の移動を制限するための制限ピン10が設けられ、またその制限ピン10は、一端10aにおいて斜板側面7のピン孔7eに回転可能に支持される。ピン10の中間部は軸受9のホルダ9aの外周の係合孔9cに緩く嵌合して係合される。ピン10は、斜板支持部8に支持された支持ロッド11を通してピン軸方向に可動に挿入され、また他端10bの軸を中心に可動である。
【0015】
したがって、斜板7の凸状の円弧面7cが斜板支持部8の凹状の円弧面8aに対して円周方向に揺動したとき、制限ピン10の一端10aは斜板7と斜板支持部8とに対して回転し、また他端10bは斜板支持部8と支持ロッド11とに対してピン軸方向に移動する。斜板7の揺動角が大きくなった場合、制限ピン10は、斜板7と斜板支持部8とから外れることなく、斜板7の揺動に従って揺動でき、そして軸受9の変位または落下を防止するように、制限ピン10の中間部に係合された軸受9の移動を制限する。さらに、別個の部材は、制限ピン10が斜板7と斜板支持部8とから外れることを防止する必要がなく、またこのことは部品数を低減し、コストの低減に寄与する。
【0016】
また、支持ロッド11は、斜板支持部8に開けられた貫通孔8bを通して挿入され、また貫通孔8bの軸線を中心として、制限ピン10のピン軸方向に直交する方向に回転可能である。支持ロッド11の一端は斜板支持部8の一方の側面から突出する。ピン10がピン軸方向に移動することを許容するように、制限ピン10の他端10bがロッド11の突出端部に摺動可能に挿入される。他方、支持ロッド11の他端に形成されたロック部11bは、支持ロッド11が貫通孔8bから外れることを防止する。これにより、単に、斜板支持部8の貫通孔8bを通して支持ロッド11を挿入し、また制限ピン10の他端10bを支持ロッド11の突出端部に挿入することによって、ピン軸方向における回転性および可動性を維持しつつ外れが生じないように制限ピン10の他端を斜板支持部8に支持することが可能になる。支持ロッド11と斜板支持部8とのおよび制限ピン10と支持ロッド11との組み立てを容易に行うことができる。
【0017】
図6〜図9を参照して、本開示の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、支持ロッド12以外の構成部材が第1の実施形態と同じであり、したがって、それらの構成部材には同じ参照番号が付与されており、それらの構成部材の説明は省略する。図1に関連して、第1の実施形態の構成部材が一般に第2の実施形態に使用される。第1の実施形態では、対の構成部材は、斜板7の背面に形成された一対の凸状の円弧面7cに対応する。斜板支持部8、軸受9、制限ピン10および支持ロッド11は対で設けられる。同様に、第2の実施形態において、斜板支持部8、軸受9および制限ピン10が対で設けられるが、支持ロッド12の必要数は1つのみである。
【0018】
第2の実施形態では、制限ピン10のピン軸方向に直交する方向に面する一対の貫通孔8bが一対の斜板支持部8に同軸に開けられる。1つの支持ロッド12は一対の貫通孔8bの軸線を中心にこの貫通孔8bを横切って回転可能に挿入される。次に、支持ロッド12の両端は一対の斜板支持部8の側面から突出する。ピン10をピン軸方向に摺動可能に支持するために、一対の制限ピンの他端10bが、両方の突出端部に開けられた一対の貫通孔12aに挿入される。
【0019】
さらに、上述の第1の実施形態と同じ作用および効果が第2の実施形態で得られる。その上、第2の実施形態では、一対の制限ピン10の他端10bを支持するために、1つのみの支持ロッド12が必要となるので、両方の突出端部に挿入された一対の制限ピン10によって、支持ロッド12が両方向に外れることが防止される。支持ロッド12が外れることを防止するために、ロック部11bを形成する必要がない。このようにして、ロッド12は均一な直径であることができる。したがって、第2の実施形態の構造は部品数の低減と部品の構造の簡略化とに寄与する。この代替例では、一対の制限ピン10が同期して移動するので、一対の軸受9も同期して揺動し、したがって、一対の軸受9によって支持された斜板7の揺動を滑らかに制御できる。当業者は、ピン10が、支持ロッド11または12を貫通するボアから外れることなく、斜板7の完全な移動範囲に対応できるようなピン10の長さにすべきであることを理解するであろう。
【0020】
さらに、斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータを作動させる方法が開示される。ステップは、シャフト3を回転させてピストン5を往復させることにより作動油を移動させるステップと、ハウジング2に対して斜板7の角度を変化させることによりピストン5の変位を調整するステップとを含む。軸受9を制限ピン10の中間部にロックすることによって、斜板7の凸状の円弧面7cとハウジング2の凹状の円弧面8aとの間に軸受9が保持される。制限ピン10の一端は斜板7のボアに回転するように支持される。制限ピン10の反対端は、ハウジング2に回転可能に取り付けられた支持ロッド11のボアを通して摺動可能に受け入れられる。斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータを作動させる方法は、一対の制限ピン10を共通の支持ロッド11に連結することによって一対の軸受9の移動を同期させるステップを含むことが可能であり、さらに、斜板7の角度調整に応じて支持ロッド11のボアを通して制限ピン10を摺動するステップを含むことが可能である。
【0021】
また、当然、本開示は、第1および第2の実施形態の場合と同様に、斜板油圧ポンプだけでなく、斜板油圧モータにも適用可能である。斜板油圧モータの場合、出力シャフトは斜板7のシャフト貫通孔7bを通して挿入される。その上、本開示は、異なる時間でポンプおよびモータとして作動する装置、あるいは両方向への流体の流れを促進できる装置のポンプまたはモータにも適用できる。このような場合、斜板は正角および負角を取ることが可能であり、できるだけ、本開示による追加の軸受、支持ロッド、および制限ピンが正当化される。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本開示は、任意の斜板式油圧ポンプまたは斜板式油圧モータに可能な用途を見出す。本開示は、斜板が、その角度を調整するために軸受を介して凹状の円弧面に支持された凸状の円弧面を含む斜板式油圧ポンプおよび斜板式油圧モータに特定の用途を見出す。最後に、本開示は、軸受が斜板の凸状の円弧面と斜板支持部の凹状の円弧面との界面から外れることを防止しつつ、斜板の完全な角度範囲の変化を許容することに特定の用途を見出す。
【0023】
再び、図面を参照すると、ドライブシャフト3を回転させることによって、シリンダブロック4がハウジング2に対して回転され、油圧ポンプ1が作動される。ハウジング2に固定される斜板支持部8に対して斜板7の角度を調整するために、油圧ポンプ1を通した流量がアクチュエータ(図示せず)を介して調整される。斜板7の角度により、ピストン5の行程距離、したがって、ドライブシャフト3の回転毎に、どのくらいの量の流体がポンプを通して移動されたかが決定される。凸状の円弧面7cとハウジング2の斜板支持部の凹状の円弧面8との界面に配置される軸受9によって、斜板角の調整が容易になる。斜板7の孔7eに受け入れられる一端と、支持ロッド11または12を貫通するボアに受け入れられる他端とを有する制限ピン10によって、軸受9が界面から外れることが防止される。制限ピン10は、一方のものが他方のものから外れることなく、支持部8に対する斜板7の完全な角度範囲の配向によって、ボアおよび支持ロッド11または12内にまたそこから摺動できる程度に十分に長い。制限ピン10の中間部は軸受9用のホルダ9aの係合孔を通って突出する。このようにして、保持ピン10の両端は捕捉され、外れることはない。したがって、軸受9は保持ピン10に常に接続され、また凸状の円弧面7cとハウジング2の支持部の凹状の円弧面8との間から外れることはない。制限ピン10は、斜板7の完全な角度範囲の位置決めを容易にしつつ、軸受9の極端な移動を制限する。
【0024】
上述の説明が、例示目的のみのために意図され、本発明の範囲を限定することを決して意図するものではないことを理解されたい。したがって、当業者は、図面、開示および特許請求の範囲を考慮すれば、本発明の他の形態を得ることができることを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】斜板油圧ポンプの部分切取全体図である。
【図2】第1の実施形態の主要部の斜視図である。
【図3】第1の実施形態の主要部の正面図である。
【図4】第1の実施形態の主要部の断面図である。
【図5(A)】第1の実施形態の支持ロッドの正面図である。
【図5(B)】第1の実施形態の支持ロッドの側面図である。
【図6】第2の実施形態の主要部の斜視図である。
【図7】第2の実施形態の主要部の正面図である。
【図8】第2の実施形態の主要部の断面図である。
【図9(A)】第2の実施形態の支持ロッドの正面図である。
【図9(B)】第2の実施形態の支持ロッドの側面図である。
【符号の説明】
【0026】
7 斜板
7c 円弧面
8 斜板支持部
8a 凹状の円弧面
9 軸受
9a ホルダ
9c 係合孔
10 制限ピン
11 支持ロッド
11a 挿入孔
11b ロック部
12 支持ロッド
12a 挿入孔
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、斜板式油圧ポンプまたは斜板式油圧モータ、より詳しくは、斜板支持部の軸受の移動を制限するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータは、斜板の傾斜角を変化させることによって、ピストンの往復行程が増大または減少され、これにより、ポンプまたはモータの容量が変化するように構成される。斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータは、斜板の背面に形成された凸状の円弧面と、斜板の凸状の円弧面に面する斜板支持部の凹状の円弧面とを含み得る。凸状の円弧面と凹状の円弧面との間に軸受が配置される。斜板は、円弧形状に沿って円周方向に自由に揺動するように支持される。この構造では、凸状の円弧面と凹状の円弧面との間に配置された軸受は、斜板の円弧面の揺動と共に移動して、徐々に変位または落下される可能性があり、したがって、軸受の移動を制限するための制限装置が必要となり得る。従来知られている1つの制限装置が(特許文献1)に記載されている。この特許は、一端において斜板支持部に回転可能に支持され、中間部において軸受のホルダに係合され、そして他端において、斜板に形成されたU字状の溝に係合されたリンク部材を開示している。(特許文献2)に記載されている他の技術は、一端において、斜板に形成された取付孔に嵌合され、中間部において、軸受のホルダに形成されたスリットに緩く嵌合され、そして他端において、ケース側面に埋め込まれたピンに緩く嵌合するホルダロッドを開示している。
【0003】
しかし、(特許文献1)に記載されている技術によれば、リンク部材の他端は、斜板に形成されたU字状の溝に係合されているだけなので、斜板の揺動角が大きくなった場合、リンク部材の他端がU字状の溝から外れる可能性があり、これにより、斜板の揺動角の望ましくない制限が生じる。(特許文献2)に記載されている技術によれば、ホルダロッドの他端は、ケース側面に埋め込まれたピンに緩く嵌合されるが、ホルダロッドの一端および中間部が、斜板の取付孔と軸受ホルダのスリットとから外れることが制限されず、したがって、ピンが他端においてホルダロッドから外れることを制限する必要がある。ホルダロッドの他端に緩く嵌合するピンは、それがホルダロッドから外れることを制限するようにケース側面の制限部材に埋め込まれ、また制限部材はケース外側の開口部を介して設置される。結果として、ケース側面のこの開口部をシールするためのシール用部材を設けることが必要となり、これにより、部品数が増加して、コストが上がる。さらに、この構造では、ケース内に制限部材を設置する場合、制限部材に埋め込まれたピンがホルダロッドの他端から外れないように調整された位置に、制限部材を設置しなければならない。このことは、制限部材がホルダロッドの移動を妨げないようにするために必要である。このことは作業性を困難にしまたそれを低下させる。
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,590,579号明細書
【特許文献2】特開2004−183621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は上述の課題の1つ以上に向けられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
軸受制限装置および斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータは、背面に形成された凸状の円弧面を有する斜板を含む。斜板支持部は、斜板の凸状の円弧面に面する凹状の円弧面を含む。斜板の凸状の円弧面は、それと凹状の円弧面との間に軸受を配置することによって円周方向に自由に揺動するように斜板支持部の凹状の円弧面に支持される。軸受の移動を制限するための制限ピンが含まれる。制限ピンは、一端において斜板側面に回転可能に支持され、中間部において、軸受のホルダに形成された係合部に緩く嵌合して係合し、そして他端において、軸線を中心として斜板支持部に回転可能に支持された支持ロッドに挿入される。制限ピンはそのピン軸方向に可動なままである。
【0007】
他の形態では、斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータは、凹状の円弧面を有するハウジングを含む。シャフトはハウジングによって回転可能に支持される。凸状の円弧面を有する斜板は凹状の円弧面に面する。支持ロッドは、ハウジングに配置されたボアに回転可能に取り付けられる。軸受は凸状の円弧面と凹状の円弧面との間に位置決めされる。制限ピンは、斜板のボアに回転可能に受け入れられた一端と、軸受のボアを通して摺動可能に受け入れられた中間部と、支持ロッドを貫通するボアに摺動可能に受け入れられた反対端とを有する。
【0008】
他の形態では、斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータを作動させる方法は、シャフトを回転させてピストンを往復させることにより作動油を移動させるステップを含む。ハウジングに対して斜板の角度を変化させることによって、ピストンの変位が調整される。軸受を制限ピンの中間部にロックすることによって、ハウジングの凹状の円弧面において斜板の凸状の円弧面の間に軸受が保持される。制限ピンの一端は斜板のボアに回転するように支持される。制限ピンの反対端は、ハウジングに回転可能に取り付けられた支持ロッドのボアを通して摺動可能に受け入れられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1〜図5を参照して、本開示の第1の実施形態について説明する。これらの図面において、参照番号1は斜板油圧ポンプを示している。斜板油圧ポンプ1は、ハウジング2に軸方向に回転可能に支持されたドライブシャフト3を含む。シリンダブロック4はドライブシャフト3と一体回転する。複数のピストン5は往復運動するようにシリンダブロック4に設置され、またシュー6はピストン5の先端に取り付けられる。斜板7は、シュー6が摺動可能に接触するカム面7aを有する。図示していない調整器の作動に基づきドライブシャフト3の軸に対して斜板7の傾斜角を変化させることにより、往復行程長、したがってピストン5の変位が変化する。斜板角を変化させることにより、斜板油圧ポンプ1の吐出流量が増加または減少される。
【0010】
ドライブシャフト3は、斜板7の中心に形成されるシャフト貫通孔7bを通して挿入される。シュー6が摺動可能に接触するカム面7aの背面側において、一対の凸状の円弧面がシャフト貫通孔7bに隣接してその反対側に形成される。さらに、ハウジング2は、それに一体形成される一対の斜板支持部8を含む。斜板支持部8は、斜板7の一対の凸状の円弧面7cにそれぞれ面する凹状の円弧面8aを含む。
【0011】
さらに、斜板7の凸状の円弧面7cと斜板支持部8の凹状の円弧面8aとの間には、ホルダ9aが取り付けられたローラ式軸受9が配置される。軸受9を介して、斜板7の凸状の円弧面7cは、円弧経路に従う円周方向に自由に揺動するように斜板支持部8の凹状の円弧面8aに支持される。参照番号9bは、斜板支持部8の凹状の円弧面8aに固定されるべきアウターレースを示している。
【0012】
参照番号10は、軸受9の移動を制限するための制限ピンを示している。制限ピン10の一端10aをピン軸方向に対して直角に曲げることが可能である。制限ピン10の一端10aは、斜板7の側面7dに形成されたピン孔またはボア7eに回転可能に挿入され、これによって、制限ピン10は、支点としての一端10aを中心として斜板7の側面7dに回転可能に支持される。凹部7fは斜板側面7dに形成され、この斜板側面7dには、それが制限ピン10の揺動を妨げることを防止するようにピン孔7eが形成される。制限ピン10の中間部は、軸受9のホルダ9aの外周に形成された軸受9cの係合孔またはボア(本開示の係合部に対応する)に緩く嵌合して係合される。
【0013】
制限ピン10のピン軸方向に直交する方向に面する貫通孔8bが斜板支持部8に開けられる。貫通孔8bには、支持ロッド11が貫通孔8bの軸線を中心として回転可能に挿入される。支持ロッド11の一端は斜板支持部8の一方の側面から突出し、制限ピン10の他端10bは、支持ロッド11の突出端部に開けられた挿入孔11aに挿入され、ピン軸方向への制限ピン10の移動が許容される。支持ロッド11の他端において、斜板支持部8の貫通孔8bの直径よりも大きい直径を有するロック部11bは、支持ロッド11が貫通孔8bから外れることを防止するように斜板支持部8の他方の側面に隣接して形成される。
【0014】
上述のように構成された第1の実施形態では、斜板7の背面に凸状の円弧面7cが形成される。斜板支持部8はハウジング2に一体形成される。凹状の円弧面8aは斜板7の凸状の円弧面7cに面する。軸受9は凸状の円弧面7cと凹状の円弧面8aとの間に配置される。斜板7の凸状の円弧面7cは、円弧形状によって画成された円周方向に揺動することを可能にするように斜板支持部8の凹状の円弧面8aに支持される。この構造では、軸受9の移動を制限するための制限ピン10が設けられ、またその制限ピン10は、一端10aにおいて斜板側面7のピン孔7eに回転可能に支持される。ピン10の中間部は軸受9のホルダ9aの外周の係合孔9cに緩く嵌合して係合される。ピン10は、斜板支持部8に支持された支持ロッド11を通してピン軸方向に可動に挿入され、また他端10bの軸を中心に可動である。
【0015】
したがって、斜板7の凸状の円弧面7cが斜板支持部8の凹状の円弧面8aに対して円周方向に揺動したとき、制限ピン10の一端10aは斜板7と斜板支持部8とに対して回転し、また他端10bは斜板支持部8と支持ロッド11とに対してピン軸方向に移動する。斜板7の揺動角が大きくなった場合、制限ピン10は、斜板7と斜板支持部8とから外れることなく、斜板7の揺動に従って揺動でき、そして軸受9の変位または落下を防止するように、制限ピン10の中間部に係合された軸受9の移動を制限する。さらに、別個の部材は、制限ピン10が斜板7と斜板支持部8とから外れることを防止する必要がなく、またこのことは部品数を低減し、コストの低減に寄与する。
【0016】
また、支持ロッド11は、斜板支持部8に開けられた貫通孔8bを通して挿入され、また貫通孔8bの軸線を中心として、制限ピン10のピン軸方向に直交する方向に回転可能である。支持ロッド11の一端は斜板支持部8の一方の側面から突出する。ピン10がピン軸方向に移動することを許容するように、制限ピン10の他端10bがロッド11の突出端部に摺動可能に挿入される。他方、支持ロッド11の他端に形成されたロック部11bは、支持ロッド11が貫通孔8bから外れることを防止する。これにより、単に、斜板支持部8の貫通孔8bを通して支持ロッド11を挿入し、また制限ピン10の他端10bを支持ロッド11の突出端部に挿入することによって、ピン軸方向における回転性および可動性を維持しつつ外れが生じないように制限ピン10の他端を斜板支持部8に支持することが可能になる。支持ロッド11と斜板支持部8とのおよび制限ピン10と支持ロッド11との組み立てを容易に行うことができる。
【0017】
図6〜図9を参照して、本開示の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、支持ロッド12以外の構成部材が第1の実施形態と同じであり、したがって、それらの構成部材には同じ参照番号が付与されており、それらの構成部材の説明は省略する。図1に関連して、第1の実施形態の構成部材が一般に第2の実施形態に使用される。第1の実施形態では、対の構成部材は、斜板7の背面に形成された一対の凸状の円弧面7cに対応する。斜板支持部8、軸受9、制限ピン10および支持ロッド11は対で設けられる。同様に、第2の実施形態において、斜板支持部8、軸受9および制限ピン10が対で設けられるが、支持ロッド12の必要数は1つのみである。
【0018】
第2の実施形態では、制限ピン10のピン軸方向に直交する方向に面する一対の貫通孔8bが一対の斜板支持部8に同軸に開けられる。1つの支持ロッド12は一対の貫通孔8bの軸線を中心にこの貫通孔8bを横切って回転可能に挿入される。次に、支持ロッド12の両端は一対の斜板支持部8の側面から突出する。ピン10をピン軸方向に摺動可能に支持するために、一対の制限ピンの他端10bが、両方の突出端部に開けられた一対の貫通孔12aに挿入される。
【0019】
さらに、上述の第1の実施形態と同じ作用および効果が第2の実施形態で得られる。その上、第2の実施形態では、一対の制限ピン10の他端10bを支持するために、1つのみの支持ロッド12が必要となるので、両方の突出端部に挿入された一対の制限ピン10によって、支持ロッド12が両方向に外れることが防止される。支持ロッド12が外れることを防止するために、ロック部11bを形成する必要がない。このようにして、ロッド12は均一な直径であることができる。したがって、第2の実施形態の構造は部品数の低減と部品の構造の簡略化とに寄与する。この代替例では、一対の制限ピン10が同期して移動するので、一対の軸受9も同期して揺動し、したがって、一対の軸受9によって支持された斜板7の揺動を滑らかに制御できる。当業者は、ピン10が、支持ロッド11または12を貫通するボアから外れることなく、斜板7の完全な移動範囲に対応できるようなピン10の長さにすべきであることを理解するであろう。
【0020】
さらに、斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータを作動させる方法が開示される。ステップは、シャフト3を回転させてピストン5を往復させることにより作動油を移動させるステップと、ハウジング2に対して斜板7の角度を変化させることによりピストン5の変位を調整するステップとを含む。軸受9を制限ピン10の中間部にロックすることによって、斜板7の凸状の円弧面7cとハウジング2の凹状の円弧面8aとの間に軸受9が保持される。制限ピン10の一端は斜板7のボアに回転するように支持される。制限ピン10の反対端は、ハウジング2に回転可能に取り付けられた支持ロッド11のボアを通して摺動可能に受け入れられる。斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータを作動させる方法は、一対の制限ピン10を共通の支持ロッド11に連結することによって一対の軸受9の移動を同期させるステップを含むことが可能であり、さらに、斜板7の角度調整に応じて支持ロッド11のボアを通して制限ピン10を摺動するステップを含むことが可能である。
【0021】
また、当然、本開示は、第1および第2の実施形態の場合と同様に、斜板油圧ポンプだけでなく、斜板油圧モータにも適用可能である。斜板油圧モータの場合、出力シャフトは斜板7のシャフト貫通孔7bを通して挿入される。その上、本開示は、異なる時間でポンプおよびモータとして作動する装置、あるいは両方向への流体の流れを促進できる装置のポンプまたはモータにも適用できる。このような場合、斜板は正角および負角を取ることが可能であり、できるだけ、本開示による追加の軸受、支持ロッド、および制限ピンが正当化される。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本開示は、任意の斜板式油圧ポンプまたは斜板式油圧モータに可能な用途を見出す。本開示は、斜板が、その角度を調整するために軸受を介して凹状の円弧面に支持された凸状の円弧面を含む斜板式油圧ポンプおよび斜板式油圧モータに特定の用途を見出す。最後に、本開示は、軸受が斜板の凸状の円弧面と斜板支持部の凹状の円弧面との界面から外れることを防止しつつ、斜板の完全な角度範囲の変化を許容することに特定の用途を見出す。
【0023】
再び、図面を参照すると、ドライブシャフト3を回転させることによって、シリンダブロック4がハウジング2に対して回転され、油圧ポンプ1が作動される。ハウジング2に固定される斜板支持部8に対して斜板7の角度を調整するために、油圧ポンプ1を通した流量がアクチュエータ(図示せず)を介して調整される。斜板7の角度により、ピストン5の行程距離、したがって、ドライブシャフト3の回転毎に、どのくらいの量の流体がポンプを通して移動されたかが決定される。凸状の円弧面7cとハウジング2の斜板支持部の凹状の円弧面8との界面に配置される軸受9によって、斜板角の調整が容易になる。斜板7の孔7eに受け入れられる一端と、支持ロッド11または12を貫通するボアに受け入れられる他端とを有する制限ピン10によって、軸受9が界面から外れることが防止される。制限ピン10は、一方のものが他方のものから外れることなく、支持部8に対する斜板7の完全な角度範囲の配向によって、ボアおよび支持ロッド11または12内にまたそこから摺動できる程度に十分に長い。制限ピン10の中間部は軸受9用のホルダ9aの係合孔を通って突出する。このようにして、保持ピン10の両端は捕捉され、外れることはない。したがって、軸受9は保持ピン10に常に接続され、また凸状の円弧面7cとハウジング2の支持部の凹状の円弧面8との間から外れることはない。制限ピン10は、斜板7の完全な角度範囲の位置決めを容易にしつつ、軸受9の極端な移動を制限する。
【0024】
上述の説明が、例示目的のみのために意図され、本発明の範囲を限定することを決して意図するものではないことを理解されたい。したがって、当業者は、図面、開示および特許請求の範囲を考慮すれば、本発明の他の形態を得ることができることを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】斜板油圧ポンプの部分切取全体図である。
【図2】第1の実施形態の主要部の斜視図である。
【図3】第1の実施形態の主要部の正面図である。
【図4】第1の実施形態の主要部の断面図である。
【図5(A)】第1の実施形態の支持ロッドの正面図である。
【図5(B)】第1の実施形態の支持ロッドの側面図である。
【図6】第2の実施形態の主要部の斜視図である。
【図7】第2の実施形態の主要部の正面図である。
【図8】第2の実施形態の主要部の断面図である。
【図9(A)】第2の実施形態の支持ロッドの正面図である。
【図9(B)】第2の実施形態の支持ロッドの側面図である。
【符号の説明】
【0026】
7 斜板
7c 円弧面
8 斜板支持部
8a 凹状の円弧面
9 軸受
9a ホルダ
9c 係合孔
10 制限ピン
11 支持ロッド
11a 挿入孔
11b ロック部
12 支持ロッド
12a 挿入孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータの軸受制限装置であって、斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータが、
背面に形成された凸状の円弧面を有する斜板と、
斜板の凸状の円弧面に面する凹状の円弧面が形成される斜板支持部であって、斜板の凸状の円弧面が、凸状の円弧面と凹状の円弧面との間に軸受を配置することによって円周方向に自由に揺動するように斜板支持部の凹状の円弧面に支持される斜板支持部と、
軸受の移動を制限するための制限ピンと、
を備え、
制限ピンが、一端において斜板側面に回転可能に支持され、中間部において、軸受のホルダに形成された係合部に緩く嵌合して係合し、そして他端において、制限ピンのピン軸方向に可動であるように、軸線を中心として斜板支持部に回転可能に支持された支持ロッドに挿入される斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータの軸受制限装置。
【請求項2】
一対の凸状の円弧面がシャフト貫通孔の両側の斜板の背面に形成され、シャフト貫通孔を通して、ドライブシャフトまたは出力シャフトが挿入され、斜板支持部、軸受、制限ピンおよび支持ロッドのそれぞれが一対の凸状の円弧面にそれぞれ対応して対で設けられ、それぞれの支持ロッドが、軸線を中心として回転可能に制限ピンのピン軸方向に直交する方向にそれぞれの斜板支持部を貫通し、支持ロッドの一端が斜板支持部の一方の側面から突出し、制限ピンの他端がピン軸方向に可動に突出端部に挿入され、支持ロッドの他端が、外れが生じないように斜板支持部の他方の側面に係合される、請求項1に記載の斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータの軸受制限装置。
【請求項3】
一対の凸状の円弧面が、シャフト貫通孔の両側の斜板の背面に形成され、シャフト貫通孔を通して、ドライブシャフトまたは出力シャフトが挿入され、斜板支持部、軸受および制限ピンのそれぞれが一対の凸状の円弧面にそれぞれ対応して対で設けられ、支持ロッドが、軸線を中心として回転可能に制限ピンのピン軸方向に直交する方向に一対の斜板支持部を貫通し、支持ロッドの両端が個々の斜板支持部の側面から突出し、一対の制限ピンの他端がピン軸方向に可動に両方の突出端部に挿入される請求項1に記載の斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータの軸受制限装置。
【請求項4】
斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータであって、
凹状の円弧面を含むハウジングと、
ハウジングによって回転可能に支持されたシャフトと、
凹状の円弧面に面する凸状の円弧面を有する斜板と、
ハウジングに配置されたボアに回転可能に取り付けられた支持ロッドと、
凸状の円弧面と凹状の円弧面との間に位置決めされた軸受と、
斜板のボアに回転可能に受け入れられた一端と、軸受のボアを通して摺動可能に受け入れられた中間部と、支持ロッドを貫通するボアに摺動可能に受け入れられた反対端とを有する制限ピンと、
を備える斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータ。
【請求項5】
制限ピンが、一端と軸受を貫通するボアとの間に直角屈曲部を含む請求項4に記載の斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータ。
【請求項6】
支持ロッドがハウジングの同軸の一対のボアを通して受け入れられ、
制限ピンが、支持ロッドの第1のボア内で摺動可能な第1の制限ピンであり、
支持ロッドの第2のボア内で摺動可能な第2の制限ピンである請求項5に記載の斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータ。
【請求項7】
斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータを作動させる方法であって、
シャフトを回転させてピストンを往復させることにより作動油を移動させるステップと、
ハウジングに対して斜板の角度を変化させることによりピストンの変位を調整するステップと、
軸受を制限ピンの中間部にロックすることによって、斜板の凸状の円弧面とハウジングの凹状の円弧面との間に軸受を保持するステップと、
を含み、
保持するステップが、制限ピンの一端を斜板のボアに回転するように支持するステップを含み、
保持するステップが、ハウジングに回転可能に取り付けられた支持ロッドのボアを通して制限ピンの反対端を摺動可能に受け入れるステップを含む、方法。
【請求項8】
一対の制限ピンを共通の支持ロッドに連結することによって、一対の軸受の移動を同期させるステップを含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
斜板の角度調整に応じて、支持ロッドのボアを通して制限ピンを摺動するステップを含む請求項7の方法。
【請求項1】
斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータの軸受制限装置であって、斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータが、
背面に形成された凸状の円弧面を有する斜板と、
斜板の凸状の円弧面に面する凹状の円弧面が形成される斜板支持部であって、斜板の凸状の円弧面が、凸状の円弧面と凹状の円弧面との間に軸受を配置することによって円周方向に自由に揺動するように斜板支持部の凹状の円弧面に支持される斜板支持部と、
軸受の移動を制限するための制限ピンと、
を備え、
制限ピンが、一端において斜板側面に回転可能に支持され、中間部において、軸受のホルダに形成された係合部に緩く嵌合して係合し、そして他端において、制限ピンのピン軸方向に可動であるように、軸線を中心として斜板支持部に回転可能に支持された支持ロッドに挿入される斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータの軸受制限装置。
【請求項2】
一対の凸状の円弧面がシャフト貫通孔の両側の斜板の背面に形成され、シャフト貫通孔を通して、ドライブシャフトまたは出力シャフトが挿入され、斜板支持部、軸受、制限ピンおよび支持ロッドのそれぞれが一対の凸状の円弧面にそれぞれ対応して対で設けられ、それぞれの支持ロッドが、軸線を中心として回転可能に制限ピンのピン軸方向に直交する方向にそれぞれの斜板支持部を貫通し、支持ロッドの一端が斜板支持部の一方の側面から突出し、制限ピンの他端がピン軸方向に可動に突出端部に挿入され、支持ロッドの他端が、外れが生じないように斜板支持部の他方の側面に係合される、請求項1に記載の斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータの軸受制限装置。
【請求項3】
一対の凸状の円弧面が、シャフト貫通孔の両側の斜板の背面に形成され、シャフト貫通孔を通して、ドライブシャフトまたは出力シャフトが挿入され、斜板支持部、軸受および制限ピンのそれぞれが一対の凸状の円弧面にそれぞれ対応して対で設けられ、支持ロッドが、軸線を中心として回転可能に制限ピンのピン軸方向に直交する方向に一対の斜板支持部を貫通し、支持ロッドの両端が個々の斜板支持部の側面から突出し、一対の制限ピンの他端がピン軸方向に可動に両方の突出端部に挿入される請求項1に記載の斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータの軸受制限装置。
【請求項4】
斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータであって、
凹状の円弧面を含むハウジングと、
ハウジングによって回転可能に支持されたシャフトと、
凹状の円弧面に面する凸状の円弧面を有する斜板と、
ハウジングに配置されたボアに回転可能に取り付けられた支持ロッドと、
凸状の円弧面と凹状の円弧面との間に位置決めされた軸受と、
斜板のボアに回転可能に受け入れられた一端と、軸受のボアを通して摺動可能に受け入れられた中間部と、支持ロッドを貫通するボアに摺動可能に受け入れられた反対端とを有する制限ピンと、
を備える斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータ。
【請求項5】
制限ピンが、一端と軸受を貫通するボアとの間に直角屈曲部を含む請求項4に記載の斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータ。
【請求項6】
支持ロッドがハウジングの同軸の一対のボアを通して受け入れられ、
制限ピンが、支持ロッドの第1のボア内で摺動可能な第1の制限ピンであり、
支持ロッドの第2のボア内で摺動可能な第2の制限ピンである請求項5に記載の斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータ。
【請求項7】
斜板油圧ポンプまたは斜板油圧モータを作動させる方法であって、
シャフトを回転させてピストンを往復させることにより作動油を移動させるステップと、
ハウジングに対して斜板の角度を変化させることによりピストンの変位を調整するステップと、
軸受を制限ピンの中間部にロックすることによって、斜板の凸状の円弧面とハウジングの凹状の円弧面との間に軸受を保持するステップと、
を含み、
保持するステップが、制限ピンの一端を斜板のボアに回転するように支持するステップを含み、
保持するステップが、ハウジングに回転可能に取り付けられた支持ロッドのボアを通して制限ピンの反対端を摺動可能に受け入れるステップを含む、方法。
【請求項8】
一対の制限ピンを共通の支持ロッドに連結することによって、一対の軸受の移動を同期させるステップを含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
斜板の角度調整に応じて、支持ロッドのボアを通して制限ピンを摺動するステップを含む請求項7の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5(A)】
【図5(B)】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9(A)】
【図9(B)】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5(A)】
【図5(B)】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9(A)】
【図9(B)】
【公開番号】特開2009−115096(P2009−115096A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287952(P2008−287952)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(391020193)キャタピラー インコーポレイテッド (296)
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
【出願人】(000190297)キャタピラージャパン株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(391020193)キャタピラー インコーポレイテッド (296)
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
【出願人】(000190297)キャタピラージャパン株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】
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