斜面の安定化工法
【課題】あらゆる斜面に、しかも確実に施行可能な斜面の安定化工法とする。
【解決手段】内部に空隙を有する3次元構造体X1を斜面に敷設し、この構造体X1の空隙に中詰め材Sを供給して斜面を安定化させる。中詰め材Sは、可撓性の搬送ホース72内を空気搬送する。中詰め材Sの空気搬送は、圧縮エアAが供給され、かつ中詰め材Sと共に圧縮エアAを吐出する圧力釜71を用いて、滑剤Cと共に行う。
【解決手段】内部に空隙を有する3次元構造体X1を斜面に敷設し、この構造体X1の空隙に中詰め材Sを供給して斜面を安定化させる。中詰め材Sは、可撓性の搬送ホース72内を空気搬送する。中詰め材Sの空気搬送は、圧縮エアAが供給され、かつ中詰め材Sと共に圧縮エアAを吐出する圧力釜71を用いて、滑剤Cと共に行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然斜面や切取り法面等の斜面を安定化する工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
河川護岸法面、ダムたん(湛)水法面、道路法面等の法面などの斜面を安定化する工法としては、コンクリートブロック工や石積み工等がある。しかしながら、これらの工法は、施工に手間がかかり、また、作業員の負担が大きい。そこで、現在では、斜面にかご体を敷設し、当該かご体の中に玉石や栗石等の中詰め材をバックホウによって供給する工法が主流になっている。また、この工法においては、更に中詰め材が供給されたかご体の上を、植物を植え付けた覆土で覆って植物を繁茂させることもある。具体的には、例えば、「連続空隙を有する多孔質マットの下部に土砂吸出防止用シートを接合して2層構造の上蓋を構成し、耐腐食性に優れた亜鉛・アルミ合金メッキ鉄線等よりなる強度の高いかご体たるかご状金網に栗石又は砕石を中詰めし、当該かご状金網に前記上蓋を結合して植生用生態系保全構造物を構成し、斜面をこの植生用生態系保全構造物により覆い、この植生用生態系保全構造物を覆土により覆って、当該覆土に植え付けた植物等の根を前記多孔質マットに絡ませるとともに前記土砂吸出防止用シートに貫入する植生用生態系保全護岸工法」がある(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、これらの工法においては、かご体の中に中詰め材をバックホウによって供給する必要があるため、バックホウを稼働するためのスペースが法肩や法尻等に必要となる。したがって、斜面が、例えば、ダムたん(湛)水法面等の狭隘地である場合は、当該工法による施行が不可能に近い。
この点、かご体の中に中詰め材を供給するについて、バックホウによるのではなく空気搬送による旨記載された文献はある(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、当該文献においては、栗石や砕石等の中詰め材を具体的にどのようにして空気搬送するのかが明らかにされていない。また、当該文献は、空気搬送するに適当な中詰め材の粒径を15〜25mmとするが、粒径25mm以下とするのみで確実に空気搬送することができるようになるものではなく、そもそも、そのような小さな粒径の中詰め材では、敷設したかご体から流出してしまうおそれがある。
【特許文献1】特開平11−81326号公報
【特許文献2】特開昭53−73808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする主たる課題は、あらゆる斜面に、しかも確実に施行可能な斜面の安定化工法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決した本発明は、次のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
内部に空隙を有する3次元構造体を斜面に敷設し、この構造体の空隙に中詰め材を供給して前記斜面を安定化させるにあたり、
前記中詰め材を、可撓性の搬送ホース内を空気搬送する工法であって、
前記中詰め材の空気搬送を、圧縮エアが供給され、かつ中詰め材と共に圧縮エアを吐出する圧力釜を用いて、滑剤と共に行う、
ことを特徴とする斜面の安定化工法。
【0005】
(主な作用効果)
○ 中詰め材を、可撓性の搬送ホース内を空気搬送するので、バックホウを稼働するためのスペースが法肩や法尻等に必要とならず、あらゆる斜面に施行可能である。
○ 中詰め材の空気搬送を、圧縮エアが供給され、かつ中詰め材と共に圧縮エアを吐出する圧力釜を用いて行うので、中詰め材を現実に搬送することができる。
○ 中詰め材の空気搬送を、当該圧力釜を用いて、滑剤と共に行うので、中詰め材同士の摩擦抵抗や中詰め材と搬送ホースとの摩擦抵抗が低減され、中詰め材が粒径25mmを超えるか否かにかかわらず確実に搬送することができる。
【0006】
〔請求項2記載の発明〕
内部に空隙を有する3次元構造体を斜面に敷設し、この構造体の空隙に中詰め材を供給して前記斜面を安定化させるにあたり、
前記中詰め材を、可撓性の搬送ホース内を空気搬送する工法であって、
前記中詰め材の空気搬送を、圧縮エアが供給されるエジェクターを用いて、滑剤と共に行う、
ことを特徴とする斜面の安定化工法。
【0007】
(主な作用効果)
○ 中詰め材を、可撓性の搬送ホース内を空気搬送するので、バックホウを稼働するためのスペースが法肩や法尻等に必要とならず、あらゆる斜面に施行可能である。
○ 中詰め材の空気搬送を、圧縮エアが供給されるエジェクターを用いて行うので、中詰め材を現実に搬送することができる。
○ 中詰め材の空気搬送を、当該エジェクターを用いて、滑剤と共に行うので、中詰め材同士の摩擦抵抗や中詰め材と搬送ホースとの摩擦抵抗が低減され、中詰め材が粒径25mmを超えるか否かにかかわらず確実に搬送することができる。
【0008】
〔請求項3記載の発明〕
内部に空隙を有する3次元構造体を斜面に敷設し、この構造体の空隙に中詰め材を供給して前記斜面を安定化させるにあたり、
前記中詰め材を、可撓性の搬送ホース内を空気搬送する工法であって、
前記中詰め材の空気搬送を、前記搬送ホースの基端部に備わり、かつ中詰め材と共に圧縮エアを吐出する圧力釜と、この圧力釜と前記搬送ホースの先端部との間の所定の部位に備わるエジェクターと、前記圧力釜及び前記エジェクターに圧縮エアを供給する手段と、を用いて、滑剤と共に行う、
ことを特徴とする斜面の安定化工法。
【0009】
(主な作用効果)
○ 中詰め材を、可撓性の搬送ホース内を空気搬送するので、バックホウを稼働するためのスペースが法肩や法尻等に必要とならず、あらゆる斜面に施行可能である。
○ 中詰め材の空気搬送を、搬送ホースの基端部に備わり、かつ中詰め材と共に圧縮エアを吐出する圧力釜と、この圧力釜と前記搬送ホースの先端部との間の所定の部位に備わるエジェクターと、前記圧力釜及び前記エジェクターに圧縮エアを供給する手段と、を用いて行うので、中詰め材を現実に搬送することができる。
○ 中詰め材の空気搬送を、当該圧力釜、エジェクター及び圧縮エア供給手段を用いて、滑剤と共に行うので、中詰め材同士の摩擦抵抗や中詰め材と搬送ホースとの摩擦抵抗が低減され、中詰め材が粒径25mmを超えるか否かにかかわらず確実に搬送することができる。
○ 特に、エジェクターが圧力釜と搬送ホースの先端部との間の所定の部位に備わるので、例えば、当該所定の部位を圧力釜による空気搬送力が低下した部位とするなどして、中詰め材の搬送距離を延ばすことができ、施工面が広い場合においても適用可能である。
【0010】
〔請求項4記載の発明〕
前記中詰め材として、最大粒径30〜60mmのものを用い、
かつ、前記エジェクターとして、吸引側径7.62〜20.32mm、排出側径7.62〜20.32mmのものを用いる、請求項2又は請求項3記載の斜面の安定化工法。
【0011】
(主な作用効果)
○ 中詰め材として、最大粒径30mm以上のものを用いるので、敷設した3次元構造体から流出してしまうおそれが低下する。
○ 中詰め材として、最大粒径60mm以下のものを用いるので、極端に大径な搬送ホースを用いる必要がなく、施工作業性に優れる。
○ 中詰め材として、最大粒径30〜60mmのものを用いる場合においても、エジェクターとして、吸引側径7.62〜20.32mm(3〜8インチ)、排出側径7.62〜20.32mm(3〜8インチ)、のものを用いれば、当該中詰め材を確実に空気搬送することができる。
なお、本発明者らは、最大粒径30〜60mmの砕石を、吸引側径20.32mm(8インチ)、排出側径20.32mm(8インチ)のエジェクターを用いて、50m離れた法面上まで円滑に搬送できることを確認している。
【0012】
〔請求項5記載の発明〕
前記搬送ホースに接続した供給ホースを通して、前記搬送ホース内に前記滑剤を供給する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
【0013】
(主な作用効果)
○ 搬送ホースに接続した供給ホースを通して、前記搬送ホース内に滑剤を供給するので、滑剤供給の手間がかからない。
【0014】
〔請求項6記載の発明〕
前記中詰め材に前記滑剤を噴霧することによって、前記中詰め材の空気搬送を前記滑剤と共に行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
【0015】
(主な作用効果)
○ 中詰め材に滑剤を噴霧すると、中詰め材の表面がより確実に滑剤で覆われることになるので、中詰め材同士の摩擦抵抗や中詰め材と搬送ホースとの摩擦抵抗が一段と低減される。
【0016】
〔請求項7記載の発明〕
前記滑剤として、泡状とした界面活性剤を用いる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
【0017】
(主な作用効果)
○ 滑剤として、泡状とした界面活性剤を用いると、中詰め材同士の摩擦抵抗や中詰め材と搬送ホースとの摩擦抵抗が一段と低減される。
なお、本発明者らは、2号砕石(粒径40〜60mm)を、内径20.32mm(8インチ)の搬送ホースと、この搬送ホースに備わる吸引側径15.24mm(6インチ)、排出側径20.32mm(8インチ)のエジェクター(190馬力のコンプレッサーで圧縮エアを供給)とを用いて、50m離れた法面上に設置した容量0.375m3の金網製のかご体(寸法:500×500×1500mm)内に吹き付ける試験を行った。かご体内に中詰め材が充填されるまでの時間は、滑剤を用いなかった場合が3分50秒であったのに対し、合成界面活性剤からなる滑剤を用いた場合は3分10秒であった。
【0018】
〔請求項8記載の発明〕
前記滑剤の搬送量を、中詰め材の搬送量の1〜5質量%とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
【0019】
(主な作用効果)
○ 滑剤の搬送量を、中詰め材の搬送量の1質量%以上とすると、中詰め材同士の摩擦抵抗や中詰め材と搬送ホースとの摩擦抵抗の低減効果が確実に得られる。
○ 滑剤の搬送量を、中詰め材の搬送量の5質量%以下とすると、滑剤の無駄が防止される。
【0020】
〔請求項9記載の発明〕
前記3次元構造体として、
表面側に位置するほぼ同一の上平面において長手方向に連なり実質的に平行な上骨を有し、裏面側に位置するほぼ同一の下平面において長手方向に連なり実質的に平行な下骨を有し、かつ、平面的に視て隣接する前記上骨間に前記下骨が位置し、隣接する前記上骨とこれらの間に位置する前記下骨との関係の少なくとも一部において、延在方向の多数の位置において、前記下骨とそれぞれ隣接する前記上骨との間が連結骨により連結されて構成されたベース体を用い、
前記上平面と前記下平面との間に形成された前記空隙に、前記中詰め材を供給する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
【0021】
(主な作用効果)
○ 3次元構造体としては、例えば、金網篭、蛇篭、鉄筋篭等も例示することができるが、「表面側に位置するほぼ同一の上平面において長手方向に連なり実質的に平行な上骨を有し、裏面側に位置するほぼ同一の下平面において長手方向に連なり実質的に平行な下骨を有し、かつ、平面的に視て隣接する前記上骨間に前記下骨が位置し、隣接する前記上骨とこれらの間に位置する前記下骨との関係の少なくとも一部において、延在方向の多数の位置において、前記下骨とそれぞれ隣接する前記上骨との間が連結骨により連結されて構成されたベース体」を用いるのが好ましい。このベース体を用いると、後述するようにベース体内を中詰め材が自重落下するため、中詰め材の供給が容易となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、あらゆる斜面に、しかも確実に施行可能な斜面の安定化工法となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
〔搬送装置1〕
図18に示すように、本形態の搬送装置70Xは、先端部にノズル75が備わる可撓性の搬送ホース72と、この搬送ホース72の基端部に備わり、コンプレッサー等の圧縮エア供給手段78からレギュレーター(調節器)79を介して圧縮エアAが供給され、かつ内部に貯留された中詰め材Sと共に圧縮エアAを吐出する圧力釜71と、この圧力釜71に滑剤Cを供給する滑剤貯留槽やポンプ等からなる滑剤供給手段80と、を主に有する。
【0024】
〔搬送装置2〕
図19に示すように、本形態の搬送装置70Yは、先端部にノズル75が備わる可撓性の搬送ホース72と、この搬送ホース72の基端部に備わり、コンプレッサー等の圧縮エア供給手段78からレギュレーター(調節器)79を介して圧縮エアAが供給されるエジェクター73と、このエジェクター73よりも上流の搬送ホース72に中詰め材Sが吸引され、その搬送ホース72の任意の位置に滑剤Cを供給する滑剤貯留槽やポンプ等からなる滑剤供給手段80と、を主に有する。
【0025】
〔搬送装置3〕
図20に示すように、本形態の搬送装置70Zは、先端部にノズル75が備わる可撓性の搬送ホース72と、この搬送ホース72の基端部に備わり、内部に貯留された中詰め材Sと共に圧縮エアAを吐出する圧力釜71と、この圧力釜71と搬送ホース72の先端部との間の所定の部位に備わるエジェクター73と、圧力釜71及びエジェクター73にレギュレーター(調節器)79を介して圧縮エアAを供給するコンプレッサー等の圧縮エア供給手段78と、エジェクター73と圧力釜71との間の搬送ホース72に滑剤Cを供給する滑剤貯留槽やポンプ等からなる滑剤供給手段80と、を主に有する。
本形態において、中詰め材Sとしては、栗石、砕石、岩石、砂利、人工軽量骨材、疑似骨材等を用いることができる。
搬送ホース72のホース径(内径)は、7.62〜20.32mm(3〜8インチ)であるのが好ましい。内径が20.32mm(8インチ)を超えると、搬送ホース72を保持したり移動したりするのが不便になる。
また、一般に、搬送ホース72として、内径が中詰め材Sの最大粒径の2.8〜3.2倍のものを用いれば、中詰め材Sを確実に空気搬送することができる。
搬送ホース72の材質は、中詰め材Sの搬送性や作業員等による作業のしやすさという観点からは、ポリホースやソルフレックスホース(内面コーティングホース)であるのが好ましい。
エジェクター73としては、公知のものを使用すればよい。
滑剤Cとしては、例えば、水等を用いることができるが、合成界面活性剤を用いるのが好ましい。合成界面活性剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤(カルボン酸、脂肪酸、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ)、カチオン系界面活性剤(テトラアルキリアンモニウム)、ノニオン系界面活性剤(ポリエチレングリコール)を用いることができる。また、以上のほか、樹脂石けん系の滑剤を用いるのも好ましい。以上の滑剤Cは、泡状にして供給するのが好ましい。また、滑剤Cは、中詰め材Sの質量の1〜5%とするのが好ましい。中詰め材Sと滑剤Cとを共に搬送ホース72内を搬送させることにより、中詰め材S同士の摩擦抵抗や中詰め材Sと搬送ホース72との摩擦抵抗が低減して、中詰め材Sの搬送性が向上する。
滑剤Cは、中詰め材Sに対して噴霧することもできる。
【0026】
〔ベース体の構造〕
本発明の理解を深めるために、まず、ベース体を用いた斜面の安定化工法・構造の実施の態様について説明する。
(実施の態様1)
内部に空隙を有する骨が繋がっている3次元構造体たるベース体を用意し、
前記ベース体を斜面に敷設するとともに、前記空隙に中詰め材(塊状物)を含む下層材を設け、前記ベース体の上から被覆層を造成する、
ことを特徴とする斜面の安定化工法。
(実施の態様2)
内部に空隙を有する骨が繋がっている3次元構造体たるベース体を用意し、
前記ベース体を斜面に敷設するとともに、前記空隙に中詰め材(塊状物)を含む下層材を設ける、
ことを特徴とする斜面の安定化工法。
(実施の態様3)
前記ベース体の表面側を網体で覆う、実施の態様2記載の斜面の安定化工法。
(実施の態様4)
表面側に位置するほぼ同一の上平面において長手方向に連なり実質的に平行な上骨を有し、裏面側に位置するほぼ同一の下平面において長手方向に連なり実質的に平行な下骨を有し、かつ、平面的に視て隣接する前記上骨間に前記下骨が位置し、
隣接する前記上骨とこれらの間に位置する前記下骨との関係の少なくとも一部において、延在方向の多数の位置において、前記下骨とそれぞれ隣接する前記上骨との間が連結骨により連結してベース体を構成し、
前記ベース体を斜面に敷設するとともに、前記上平面と前記下平面との間に中詰め材(塊状物)を含む下層材を設け、前記ベース体の上から被覆層を造成する、
ことを特徴とする斜面の安定化工法。
(実施の態様5)
表面側に位置するほぼ同一の上平面において長手方向に連なり実質的に平行な上骨を有し、裏面側に位置するほぼ同一の下平面において長手方向に連なり実質的に平行な下骨を有し、かつ、平面的に視て隣接する前記上骨間に前記下骨が位置し、
隣接する前記上骨とこれらの間に位置する前記下骨との関係の少なくとも一部において、延在方向の多数の位置において、前記下骨とそれぞれ隣接する前記上骨との間が連結骨により連結してベース体を構成し、
前記ベース体を斜面に敷設するとともに、前記上平面と前記下平面との間に中詰め材(塊状物)を含む下層材を設ける、
ことを特徴とする斜面の安定化工法。
(実施の態様6)
前記ベース体の表面側を網体で覆う、実施の態様5記載の斜面の安定化工法。
(実施の態様7)
前記ベース体における、隣接する前記上骨とこれらの間の前記下骨とを繋ぐ連結骨の配置形態において、平面的に視て前記上骨における前記下骨との第1の連結部と次の第2の連結部との間の長手方向中間位置に、前記下骨における前記上骨との連結部がある、実施の態様4〜6のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
(実施の態様8)
前記ベース体を、その前記上骨及び前記下骨の延在方向を斜面の尻と肩を結ぶ斜面方向に対して交差する方向に敷設する、実施の態様4〜7のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
(実施の態様9)
複数の前記ベース体を使用し、斜面の下方に設ける下方のベース体及び斜面の上方に設ける上方のベース体を、それらの前記上骨及び前記下骨の延在方向を斜面の尻と肩を結ぶ斜面方向に対して交差する方向に敷設するとともに、前記下方のベース体及び前記上方のベース体の前記延在方向が、前記下方のベース体と前記上方のベース体との境界線に対して交差する位置関係にある、実施の態様4〜8のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
(実施の態様10)
前記ベース体の骨に絡むように長繊維及び短繊維の少なくとも一方を前記ベース体上から設ける、実施の態様1〜9のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
(実施の態様11)
前記ベース体を、ライン状に布設し、非敷設域を確保する、実施の態様1〜10のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
(実施の態様12)
前記ベース体を複数重ねて敷設し、少なくとも最下方に前記下層材を設ける、実施の態様1〜11のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
(実施の態様13)
地山に対向する前記ベース体との間に、透水性のシートを敷設する、実施の態様1〜12のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
(実施の態様14)
前記被覆層は植生用の基盤である、実施の態様1〜13のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
(実施の態様15)
前記ベース体を、固定部材により地山に固定する、実施の態様1〜14のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
(実施の態様16)
複数の前記下骨上に支持材を掛け渡し、地山に打ち込む前記固定部材の定着座を複数の前記下骨上に配置し、前記支持材と前記定着座とが一体で地山側に押圧する、実施の態様15記載の斜面の安定化工法。
(実施の態様17)
前記中詰め材(塊状物)は、前記ベース体の上端側から投入し、前記中詰め材をその自重落下力により前記ベース体の厚み内に撒き出す、実施の態様1〜16のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
(実施の態様18)
表面側に位置するほぼ同一の上平面において長手方向に連なり実質的に平行な上骨を有し、裏面側に位置するほぼ同一の下平面において長手方向に連なり実質的に平行な下骨を有し、かつ、平面的に視て隣接する前記上骨間に前記下骨が位置し、
隣接する前記上骨とこれらの間に位置する前記下骨との関係の少なくとも一部において、延在方向の多数の位置において、前記下骨とそれぞれ隣接する前記上骨との間が連結骨により連結してベース体を構成し、
前記ベース体が斜面に敷設され、前記上平面と前記下平面との間に中詰め材(塊状物)を含む下層材が設けられ、前記上平面に基盤が造成されている、ことを特徴とする斜面の安定化構造。
(実施の態様19)
表面側に位置するほぼ同一の上平面において長手方向に連なり実質的に平行な上骨を有し、裏面側に位置するほぼ同一の下平面において長手方向に連なり実質的に平行な下骨を有し、かつ、平面的に視て隣接する前記上骨間に前記下骨が位置し、
隣接する前記上骨とこれらの間に位置する前記下骨との関係の少なくとも一部において、延在方向の多数の位置において、前記下骨とそれぞれ隣接する前記上骨との間が連結骨により連結してベース体を構成し、
前記ベース体が斜面に敷設され、前記上平面と前記下平面との間に中詰め材(塊状物)を含む下層材が設けられている、
ことを特徴とする斜面の安定化構造。
(実施の態様20)
前記ベース体の表面側が網体で覆われている、実施の態様19記載の斜面の安定化構造。
【0027】
(実施の態様の主な作用効果)
(1)3次元構造体たるベース体中に中詰め材(塊状物)を含む下層材を設ける。したがって、下層材が中詰め材(塊状物)を含むので、湧水や雨水が下層材に浸透したときの排水性が良好であり、かつ、ベース体自体は、3次元構造体であり、中詰め材(塊状物)の移動に対する抵抗体として機能するから、水による侵食を確実に防止することができ、安定した保護構造体となる。
(2)また、ベース体上に被覆層を造成すると、被覆層に雨水が浸透したとしても下層材に雨水を導き、迅速なる排水を行わせることで、被覆層の侵食を防止できる。
(3)上平面と下平面との間で所定の厚みを示す3次元構造体たるベース体であり、上下の骨が同一方向に延在していると、その延在方向についての曲げ剛性が高いものとなる。そして、後述の例で示すように、中詰め材(塊状物)の分散が容易なものとなる。
(4)前記ベース体における、隣接する前記上骨とこれらの間の前記下骨とを繋ぐ連結骨の配置形態において、平面的に視て前記上骨における前記下骨との第1の連結部と次の第2の連結部との間の長手方向中間位置において、前記下骨における前記上骨との連結部がある構造によれば、中詰め材(塊状物)の移動に対する抵抗体としての、連結骨の配置形態となる。
(5)中詰め材(塊状物)をベース体上に撒き出す際に、隣接する上骨間の谷(谷底に下骨が存在する)が斜面方向に沿う場合には、その谷に沿って中詰め材(塊状物)がそのまま落下する割合が多くなるのに対し、ベース体を、その前記上骨及び前記下骨の延在方向を斜面の尻と肩を結ぶ斜面方向に対して交差する方向に敷設する形態では、隣接する上骨間の谷に沿って中詰め材(塊状物)が落下するものの、一部が隣の山の内や隣の谷へと落下するので、全体として中詰め材(塊状物)の均一な分散を容易に達成できる。
(6)斜面が高い場合、複数のベース体を斜面方向に繋ぎ合わせる。その際に、複数のベース体の方向を食い違わせる。例えば、下方のベース体については右肩上がり、上方のベース体については左肩上がりのように敷設すると、前述のように中詰め材(塊状物)を撒き出したときに、上方のベース体では左下がりで中詰め材(塊状物)が落下し、その後に下方のベース体では右下がりで中詰め材(塊状物)が落下するので、全体として中詰め材(塊状物)の均一な分散を容易に達成できる。逆に、すべてが同じ方向である場合、中詰め材(塊状物)の投入位置に対し、中詰め材(塊状物)の分布がずれる傾向になる(この原因は、中詰め材(塊状物)が前記の谷に沿って多く落下する割合が多いからである。)。
(7)例えば、ベース体上から、長繊維(連続長繊維も当然に含む)及び短繊維の少なくとも一方を、繊維のみ又は被覆材料と共に吹き付け等して散布すると、骨、例えば、実施の態様のベース体においては上骨及び連結骨に絡むようになる。その結果、繊維が下層材や被覆層の被覆材料と絡み、流亡に対する抵抗材として機能する。
(8)ベース体は、地山全体を覆うのではなく、横方向に段状に、縦方向にストライプ状に、あるいは格子状などに敷設することでも、(1)と同様な作用効果を奏する。なお、横方向に段状に配置したとしても、その下層材を通して左右に浸透雨水を誘導でき(必要ならば左右に誘導した雨水の排水手段を付加的に設ける)るから、同様の作用効果を奏する。
(9)ベース体は複数重ねて敷設してもよい。この場合、少なくとも最下方に前記下層材を設けることで円滑な排水が可能となる。表面側のベース体については、下層材を設けないで、ベース体を埋設するように被覆層材料を設けると、3次元構造体としてのベース体が、被覆層材料の流亡を抑止するものとなる。
(10)地山に対向するベース体との間に、透水性のシートを敷設すると、透水性のシート(例えば、不織布シート)により細かい地山粒子を押さえることができ、その流亡を防止できるとともに、下層材側への移動を防止して、下層材の透水性の低下を防止できる。また、逆に透水性のシートはベース体により押えられるものであるから安定し、しかも、シートが透水性であるために、例えば、被覆層を通して植生を図る場合において、その根茎に対して十分な水の供給が可能である。
(11)被覆層としては、モルタル又はコンクリートの吹き付け層や植生用の基盤などを例示できるが、植生用の基盤であると、下層材が中詰め材(塊状物)を含み、空隙が多いので、根茎が良好に成長し、かつ、根茎がベース体に絡むようになり、対流亡性に優れるように植物が生育するものとなる。
(12)ベース体は、3次元構造体であり、中詰め材(塊状物)を含む下層材を設けるものであるから、それ自体で安定性に富むものであるが、急斜面などにおいては、アンカーピン、ロックボルト、アンカー体などの固定部材により地山に固定すると、より安定した構造体となる。
(13)定着座が複数の下骨上にあり、しかも、支持材が複数の下骨上に掛け渡して設けられていると、固定部材を地山に打ち込んだとき、ベース体を強固かつ安定して地山に固定でき、逆に、地山の変形力に対し、ベース体がそれ自体の変形を防止しながら抑止できる。
(14)中詰め材(塊状物)をその自重落下力によりベース体の厚み内に撒き出す形態によれば、作業性に優れ、かつ迅速に撒き出しが可能となる。
【0028】
次に、中詰め材Sが搬送されるベース体の構造例について図を参照しながら以下に詳述する。
(第1のベース体例)
図1〜4に示すように、第1のベース体X1は、上骨10,10…と、下骨20,20…と、連結骨30,30…と、から主になる。
各上骨10,10…は、特に図4に示すように、表面側に位置し、ほぼ同一の上平面Uにおいて長手方向に連なり、適宜の間隔をおいて、好ましくは16〜20cmの間隔をおいて、より好ましくは18cmの間隔をおいて、実質的に平行に配置されている。また、各下骨20,20…は、特に図4に示すように、裏面側に位置し、ほぼ同一の下平面Dにおいて長手方向に連なり、適宜の間隔をおいて、好ましくは16〜20cmの間隔をおいて、より好ましくは18cmの間隔をおいて、実質的に平行に配置されている。そして、上骨10,10…及び下骨20,20…は、特に図1及び図2に示すように、平面的に視て隣接する上骨10,10間に下骨20が位置するように、配置されている。
一方、上骨10,10…及び下骨20,20…は、特に図1に示すように、延在方向の多数の位置において、下骨20,20…とそれぞれ隣接する上骨10,10…との間が、連結骨30,30…によって連結されている。
より具体的には、特に図2に示すように、各連結骨30,30…が、上下に折れ曲がって波状となった1本の骨材(ほねざい)で形成されている。そして、各連結骨30,30…の上方から下方へ折れ曲がる部分(山折り部分)の下側に上骨10,10…が接合され、下方から上方へ折れ曲がる部分(谷折り部分)の上側に下骨20,20…が接合されている。この連結骨30,30…と、上骨10,10…及び下骨20,20…との各接合は、例えば、溶接、接着、ねじり合わせ、ソケット接合などによることができる。ただし、強度の向上という観点からは、溶接によるのが好ましい。また、本ベース体X1の製造は、例えば、上骨10,10…及び下骨20,20…と波状の連結骨30,30…とを接合するという方法によることができる。ただし、製造容易性という観点からは、上骨10,10…及び下骨20,20…と直線状の連結骨30,30…とを接合した後、上骨10,10…が上方に、下骨20,20…が下方に移動するようにプレスして、製造するのが好ましい。
以上のようにして、ベース体X1は、骨(10,20,30…)が繋がっている3次元構造体であって、その内部に空隙を有する形状となっている。
ここで、各骨(10,20,30…)の素材は、特に限定されない。ただし、強度という観点からは、鉄、鋼、ステンレス、チタン、各種合金等の金属であるのが好ましく、耐腐食性という観点も加えて考えるならば、鋼であるのがより好ましい。また、各骨(10,20,30…)の断面形状も、特に限定されない。例えば、長方形状、正方形状、菱形形状等の多角形状や、真円形状、楕円形状等の円形状、星形形状などの様々な形状が考えられる。ただし、強度という観点からは、図示例のように、真円形状であるのが好ましい。
【0029】
(第2のベース体例)
図5〜8に示すように、第2のベース体X2も、第1のベース体X1とほぼ同様の形状となっており、上骨10,10…と、下骨20,20…と、連結骨31、32…と、から主になる。
ただし、本ベース体X2は、符号31及び32で示す連結骨の形状が、第1のベース体X1の連結骨30と異なっている。
具体的には、特に図6に示すように、各連結骨31、32…は、上方から下方へ折れ曲がる部分(山折り部分)が存在せず、この山折り部分に替えて、上方から横方へ折れ曲がり、この横方から下方へ折れ曲がった形状となっている。そして、上骨10,10…は、上方から横方へ折れ曲がった部分の下側や、横方から下方へ折れ曲がった部分の下側に、接合されている。なお、下方から上方へ折れ曲がる部分(谷折り部分)が存在することは、第1のベース体X1の場合と同様である。
各連結骨31、32…の横方への延在距離は特に限定されない。例えば、図示例のように下骨20を1本通り越す距離にすることや、下骨20を2本通り越す距離、下骨20を3本通り越す距離、又は下骨20をそれ以上の複数本通り越す距離、などにすることができる。
本ベース体X2において、連結骨は、符号31で示すものも、符号32で示すものも、以上で示したとおりの、同様の形状となっている。ただし、連結骨31と連結骨32とでは、配置位置が異なっている。すなわち、特に図7に示すように、連結骨31及び連結骨32は、連結骨31の延在部分(上方から横方へ折れ曲がってから、この横方から下方へ折れ曲がるまでの部分)中央に連結骨32の谷折り部分が位置し、連結骨32の延在部分中央に連結骨31の谷折り部分が位置するように、幅方向にずれて配置されている。このように連結骨31、32を幅方向にずらして配置することにより、中詰め材(塊状物)Sが均一に分散することになる。したがって、各連結骨31、32…の横方への延在距離は、短い方が好ましく、図示例のように、1本通り越す距離がより好ましい。
【0030】
(第3のベース体例)
図9〜12に示すように、第3のベース体X3も、第1のベース体X1とほぼ同様の形状となっており、上骨10,10…と、下骨20,20…と、連結骨33,33…と、から主になる。
ただし、本ベース体X3は、符号33で示す連結骨の形状が、第1のベース体X1の連結骨30と異なっている。
具体的には、特に図9に示すように、各連結骨33,33…が、平面的に視て上骨10,10…における下骨20,20…との第1の連結部(上骨10と連結骨33とが接続する部位)33Aと次の第2の連結部(第1の連結部の長手方向一方において、図示例では紙面下方において、上骨10と連結骨33とが接続する部位)33Bとの間の長手方向中間位置に、下骨20,20…における上骨10,10…との連結部(下骨20と連結骨33とが接続する部位)33Cがある形状となっている。この構造によると、中詰め材(塊状物)Sの移動に対する抵抗体としての、連結骨の配置形態となる。また、本構造によると、斜め方向についての曲げ剛性が高いものとなる。
本ベース体X3の製造は、例えば、上骨10,10…及び下骨20,20…と折れ曲がった連結骨30,30…とを接合するという方法によることができる。ただし、製造容易性という観点からは、上骨10,10…及び下骨20,20…と直線状の連結骨30,30…とを接合した後、上骨10,10…を固定した状態で、相互に隣接する下骨20,20…の一方を上方に、他方を下方にそれぞれ移動し、さらに上骨10,10…が上方に、下骨20,20…が下方に移動するようにプレスして、製造するのが好ましい。
【0031】
(その他のベース体例)
以上のベース体X1、X2及びX3では、上下の骨10、20…が同一方向に延在している形態であるが、ベース体としては、多数の骨が繋がっている3次元構造体であって、内部に空隙を有し、その空隙に中詰め材(塊状物)Sが入り込むことが可能なものであれば、使用することができる。
【0032】
〔施工方法〕
上記の各ベース体X(X1、X2、X3)において、いずれも横断面をみた場合において、山形をなし、稜線部と谷部とが形成され、上骨10にて稜線部が、下骨20にて谷部が形成されている(特に図4、図8、図12参照)。各ベース体の厚みとしては、20〜300mm、特に40〜150mmが望ましい。上骨10と下骨20と連結骨30とで構成される目開きの大きさについても、20〜300mm、特に40〜150mmが望ましい。
ベース体X及び河川護岸の例を採ると、図13及び図14に示すように、河川から道路にかかる緩斜面において、不織布などの透水性のシート40を敷設する。その上にベース体Xを敷設する。
その際に、上骨10及び下骨20の延在方向を斜面の尻と肩を結ぶ斜面方向に対して交差する方向、例えば、45度の角度で交差する方向に敷設する。この交差角度としては、20〜65度が望ましい。
また、図14に示すように、斜面スロープが長い場合には、複数のベース体X、Xを使用し、斜面の下方に設ける下方のベース体X及び斜面の上方に設ける上方のベース体Xを、それらの上骨10及び下骨20の延在方向を斜面の尻と肩を結ぶ斜面方向に対して交差する方向に敷設するとともに、下方のベース体X及び上方のベース体Xの延在方向が、下方のベース体Xと上方のベース体Xとの境界線に対して交差する位置関係にあるように設置する。図示例では下方のベース体については左肩上がり、上方のベース体については右肩上がりのように敷設してある。
【0033】
ベース体Xの敷設に前後して、中詰め材(塊状物)Sを圧力釜71内に供給しておく。そして、ベース体Xの敷設が終了した段階で、例えば、30〜60mm程度の中詰め材(塊状物)Sを前述した搬送装置70X,70Y,70Zによりベース体Xに向って吹付ける。この場合、ベース体Xの上端部から吹き付けることが望ましい。ただし、下端部から積み上げるようにして設けることもできる。この際、図示はしないが、作業員が搬送ホース72を担いで、ノズル75をベース体Xに向けた状態で、材料を吹き付けてもよい。その際、作業員は、中詰め材(塊状物)Sのベース体X内への充填状況を見ながら作業することができる。搬送した(吹付けた)塊状物Sは、隣接する上骨10、10間の谷(谷底に下骨20が存在する)に沿って中詰め材(塊状物)Sがそのまま落下するとともに、一部の中詰め材(塊状物)Sが隣の山の内や隣の谷へと落下するので、全体として中詰め材(塊状物)の均一な分散を容易に達成できる。
場合によって、中詰め材(塊状物)Sと共に、あるいは別に、客土やチップ類、バーク堆肥などを設けて、下層材を形成することができる。図示の例では、中詰め材(塊状物)S群のみで下層材を形成したものである。下層材の上面は、上骨10に揃う場合のほか、上骨10の下方や上方であってもよい。
次いで、下層材上に、被覆層50を形成できる。この被覆層50としては、植生基盤が好ましいが、モルタルや客土などでもよく、また、植生基盤やモルタル、客土などに繊維を混入したものでもよい。植生基盤としては公知のものをそのまま使用できる。種子や肥料とともに客土吹付を行い、植生基盤を造成できる。下層材の上面が、上骨10の下方である場合には、上骨10の下方にも被覆層50が入り込む。
植生基盤である場合、図13の拡大図により判るように、下層材の空隙が多いので、植物の根茎が、下層材中に容易に侵入する。そして、排水性が高い下層材を構成できる。
【0034】
ベース体Xは、図15及び図16に示すように、ライン状に布設して、非敷設域を確保することができる。
図15の例は、縦方向にストライプ状に敷設した例であり、図16は横枠Xhと縦枠Xvとで格子状に布設した例である。連結枠とする場合、連結部材による連結で、連結枠の形状に限定されない。
図17に示すように、ベース体Xは、アンカーピン(アンカーピンの形状は、特に限定されない。例えば、基端部(頭部)に、一方又は両側方へ向かって、直線状や円弧状等に広がる掛止部が備わるものなどを、使用することができる。なお、固定時においては、掛止部が、下骨20に引っ掛かることになる。)、ロックボルト、アンカー体などの固定部材60により地山に固定することが望ましい。この具体例としては、下骨20上に例えば、棒状の支持材を掛け渡し、地山に打ち込むロックボルトからなる固定部材60の定着座62、63を複数の下骨20、20上に配置し、支持材61とプレート受圧板等の定着座62とを一体化部材(図示せず)により連結し、一体的に地山側に押圧することができる。64はロックボルトからなる固定部材60のナット部材である。
【0035】
その他の形態について説明すると、被覆層50の造成前に、ベース体上に、ベース体の上骨及び連結骨に絡むように長繊維を散布などにより設けることができる。客土などの被覆層形成材料中に長繊維を含ませておき、その材料を吹き付けることで、長繊維をベース体の上骨及び連結骨に絡ませることもできる。この場合の長繊維としては連続長繊維が望ましい。必要により、短繊維を含ませた長繊維を使用できる。繊維として、天然繊維、合成繊維など種類は問われない。
ベース体を複数重ねて布設し、少なくとも最下方に下層材を設けることができる。ベース体を重ねた場合、結束材などにより一体化できる。
中詰め材(塊状物)Sとしては、前述した栗石又は砕石のほか、現場で収集した石、人工石、適宜の人工無機粒子、人工有機粒などの使用も可能である。
【0036】
上記例から明らかなように、たとえば代表例を示す図13によって、本発明の作用効果を改めて説明すると、3次元構造体たるベース体X中に中詰め材(塊状物)Sを含む下層材を設ける。したがって、下層材は中詰め材(塊状物)Sを含むので、湧水や雨水が下層材に浸透したときの排水性が良好であり、かつ、ベース体X自体は、3次元構造体であり、中詰め材(塊状物)Sの移動に対する抵抗体として機能するから、水による侵食を確実に防止することができ、安定した保護構造体となる。
また、ベース体X上には被覆層50を造成する。したがって、被覆層50に雨水が浸透したとしても下層に雨水を導き、迅速なる排水を行わせることで、被覆層50の侵食を防止できる。
したがって、自然斜面、切取り法面、河川護岸、人工的に造成した斜面(たとえば砂防堤)、ダム湛水法面などにおいて、侵食を確実に防止して安定した保護構造体を造成できる。特に、排水性が良好であることは、高い侵食防止効果を示すばかりでなく、たとえば地盤が強アルカリまたは強酸性土壌であるとき、当該土壌から湧出した強アルカリまたは強酸性の水を下層材に沿って下方に排出できるから、被覆層50への影響はなく、もってたとえば被覆層50において植生を図ることができる。
以上に対し、河川護岸等であって、被覆層50が洗い流されてしまうことが明らかな場合などには、ベース体X上には被覆層50を造成しないこともできる。ただし、この場合は、中詰め材(塊状物)Sがベース体Xから流出してしまうのを防止するために、ベース体Xの表面側を、ラス網、亀甲金網等の金網やネット等の網体で覆っておくのが好ましい。
【0037】
<その他>
本発明に係る斜面安定化工法は、上記ベース体に限られず、図示はしないが、公知の金網篭、蛇篭、鉄筋篭等を用いてもよい。この際、中詰め材Sとして軽量骨材等の軽量の材料を用いる場合、密度が軽いことによる飛散防止機能を付加させるために、金網篭や鉄筋篭等の箱形形状の場合には、上部に蓋付き金網を取付けることが好適である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】第1ベース体の平面図である。
【図2】第1ベース体の断面図である。
【図3】第1ベース体の斜視図である。
【図4】第1ベース体の3次元構造を説明するための図である。
【図5】第2ベース体の平面図である。
【図6】第2ベース体の連結骨を説明するための図である。
【図7】第2ベース体の断面図である。
【図8】第2ベース体の斜視図である。
【図9】第3ベース体の平面図である。
【図10】第3ベース体の断面図である。
【図11】第3ベース体の側面図である。
【図12】第3ベース体の斜視図である。
【図13】安定化構造の断面図である。
【図14】斜面の概要正面図である。
【図15】別の形態の斜面の概要正面図である。
【図16】さらに他の形態の斜面の概要正面図である。
【図17】固定部材の配設例の斜視図である。
【図18】中詰め材搬送装置例の概要図である。
【図19】中詰め材搬送装置例の概要図である。
【図20】中詰め材搬送装置例の概要図である。
【符号の説明】
【0039】
10…上骨、20…下骨、30,31,32,33…連結骨、40…透水性のシート、50…被覆層、60…固定部材、70X,70Y,70Z…中詰め材搬送装置、71…圧力釜、72…搬送ホース、73…エジェクター、74…圧縮エア供給ホース、75…ノズル、77…滑剤供給ホース、78…エア圧縮手段、79…レギュレーター、80…滑剤タンク、S…中詰め材(塊状物)、X1,X2,X3…ベース体。
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然斜面や切取り法面等の斜面を安定化する工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
河川護岸法面、ダムたん(湛)水法面、道路法面等の法面などの斜面を安定化する工法としては、コンクリートブロック工や石積み工等がある。しかしながら、これらの工法は、施工に手間がかかり、また、作業員の負担が大きい。そこで、現在では、斜面にかご体を敷設し、当該かご体の中に玉石や栗石等の中詰め材をバックホウによって供給する工法が主流になっている。また、この工法においては、更に中詰め材が供給されたかご体の上を、植物を植え付けた覆土で覆って植物を繁茂させることもある。具体的には、例えば、「連続空隙を有する多孔質マットの下部に土砂吸出防止用シートを接合して2層構造の上蓋を構成し、耐腐食性に優れた亜鉛・アルミ合金メッキ鉄線等よりなる強度の高いかご体たるかご状金網に栗石又は砕石を中詰めし、当該かご状金網に前記上蓋を結合して植生用生態系保全構造物を構成し、斜面をこの植生用生態系保全構造物により覆い、この植生用生態系保全構造物を覆土により覆って、当該覆土に植え付けた植物等の根を前記多孔質マットに絡ませるとともに前記土砂吸出防止用シートに貫入する植生用生態系保全護岸工法」がある(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、これらの工法においては、かご体の中に中詰め材をバックホウによって供給する必要があるため、バックホウを稼働するためのスペースが法肩や法尻等に必要となる。したがって、斜面が、例えば、ダムたん(湛)水法面等の狭隘地である場合は、当該工法による施行が不可能に近い。
この点、かご体の中に中詰め材を供給するについて、バックホウによるのではなく空気搬送による旨記載された文献はある(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、当該文献においては、栗石や砕石等の中詰め材を具体的にどのようにして空気搬送するのかが明らかにされていない。また、当該文献は、空気搬送するに適当な中詰め材の粒径を15〜25mmとするが、粒径25mm以下とするのみで確実に空気搬送することができるようになるものではなく、そもそも、そのような小さな粒径の中詰め材では、敷設したかご体から流出してしまうおそれがある。
【特許文献1】特開平11−81326号公報
【特許文献2】特開昭53−73808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする主たる課題は、あらゆる斜面に、しかも確実に施行可能な斜面の安定化工法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決した本発明は、次のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
内部に空隙を有する3次元構造体を斜面に敷設し、この構造体の空隙に中詰め材を供給して前記斜面を安定化させるにあたり、
前記中詰め材を、可撓性の搬送ホース内を空気搬送する工法であって、
前記中詰め材の空気搬送を、圧縮エアが供給され、かつ中詰め材と共に圧縮エアを吐出する圧力釜を用いて、滑剤と共に行う、
ことを特徴とする斜面の安定化工法。
【0005】
(主な作用効果)
○ 中詰め材を、可撓性の搬送ホース内を空気搬送するので、バックホウを稼働するためのスペースが法肩や法尻等に必要とならず、あらゆる斜面に施行可能である。
○ 中詰め材の空気搬送を、圧縮エアが供給され、かつ中詰め材と共に圧縮エアを吐出する圧力釜を用いて行うので、中詰め材を現実に搬送することができる。
○ 中詰め材の空気搬送を、当該圧力釜を用いて、滑剤と共に行うので、中詰め材同士の摩擦抵抗や中詰め材と搬送ホースとの摩擦抵抗が低減され、中詰め材が粒径25mmを超えるか否かにかかわらず確実に搬送することができる。
【0006】
〔請求項2記載の発明〕
内部に空隙を有する3次元構造体を斜面に敷設し、この構造体の空隙に中詰め材を供給して前記斜面を安定化させるにあたり、
前記中詰め材を、可撓性の搬送ホース内を空気搬送する工法であって、
前記中詰め材の空気搬送を、圧縮エアが供給されるエジェクターを用いて、滑剤と共に行う、
ことを特徴とする斜面の安定化工法。
【0007】
(主な作用効果)
○ 中詰め材を、可撓性の搬送ホース内を空気搬送するので、バックホウを稼働するためのスペースが法肩や法尻等に必要とならず、あらゆる斜面に施行可能である。
○ 中詰め材の空気搬送を、圧縮エアが供給されるエジェクターを用いて行うので、中詰め材を現実に搬送することができる。
○ 中詰め材の空気搬送を、当該エジェクターを用いて、滑剤と共に行うので、中詰め材同士の摩擦抵抗や中詰め材と搬送ホースとの摩擦抵抗が低減され、中詰め材が粒径25mmを超えるか否かにかかわらず確実に搬送することができる。
【0008】
〔請求項3記載の発明〕
内部に空隙を有する3次元構造体を斜面に敷設し、この構造体の空隙に中詰め材を供給して前記斜面を安定化させるにあたり、
前記中詰め材を、可撓性の搬送ホース内を空気搬送する工法であって、
前記中詰め材の空気搬送を、前記搬送ホースの基端部に備わり、かつ中詰め材と共に圧縮エアを吐出する圧力釜と、この圧力釜と前記搬送ホースの先端部との間の所定の部位に備わるエジェクターと、前記圧力釜及び前記エジェクターに圧縮エアを供給する手段と、を用いて、滑剤と共に行う、
ことを特徴とする斜面の安定化工法。
【0009】
(主な作用効果)
○ 中詰め材を、可撓性の搬送ホース内を空気搬送するので、バックホウを稼働するためのスペースが法肩や法尻等に必要とならず、あらゆる斜面に施行可能である。
○ 中詰め材の空気搬送を、搬送ホースの基端部に備わり、かつ中詰め材と共に圧縮エアを吐出する圧力釜と、この圧力釜と前記搬送ホースの先端部との間の所定の部位に備わるエジェクターと、前記圧力釜及び前記エジェクターに圧縮エアを供給する手段と、を用いて行うので、中詰め材を現実に搬送することができる。
○ 中詰め材の空気搬送を、当該圧力釜、エジェクター及び圧縮エア供給手段を用いて、滑剤と共に行うので、中詰め材同士の摩擦抵抗や中詰め材と搬送ホースとの摩擦抵抗が低減され、中詰め材が粒径25mmを超えるか否かにかかわらず確実に搬送することができる。
○ 特に、エジェクターが圧力釜と搬送ホースの先端部との間の所定の部位に備わるので、例えば、当該所定の部位を圧力釜による空気搬送力が低下した部位とするなどして、中詰め材の搬送距離を延ばすことができ、施工面が広い場合においても適用可能である。
【0010】
〔請求項4記載の発明〕
前記中詰め材として、最大粒径30〜60mmのものを用い、
かつ、前記エジェクターとして、吸引側径7.62〜20.32mm、排出側径7.62〜20.32mmのものを用いる、請求項2又は請求項3記載の斜面の安定化工法。
【0011】
(主な作用効果)
○ 中詰め材として、最大粒径30mm以上のものを用いるので、敷設した3次元構造体から流出してしまうおそれが低下する。
○ 中詰め材として、最大粒径60mm以下のものを用いるので、極端に大径な搬送ホースを用いる必要がなく、施工作業性に優れる。
○ 中詰め材として、最大粒径30〜60mmのものを用いる場合においても、エジェクターとして、吸引側径7.62〜20.32mm(3〜8インチ)、排出側径7.62〜20.32mm(3〜8インチ)、のものを用いれば、当該中詰め材を確実に空気搬送することができる。
なお、本発明者らは、最大粒径30〜60mmの砕石を、吸引側径20.32mm(8インチ)、排出側径20.32mm(8インチ)のエジェクターを用いて、50m離れた法面上まで円滑に搬送できることを確認している。
【0012】
〔請求項5記載の発明〕
前記搬送ホースに接続した供給ホースを通して、前記搬送ホース内に前記滑剤を供給する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
【0013】
(主な作用効果)
○ 搬送ホースに接続した供給ホースを通して、前記搬送ホース内に滑剤を供給するので、滑剤供給の手間がかからない。
【0014】
〔請求項6記載の発明〕
前記中詰め材に前記滑剤を噴霧することによって、前記中詰め材の空気搬送を前記滑剤と共に行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
【0015】
(主な作用効果)
○ 中詰め材に滑剤を噴霧すると、中詰め材の表面がより確実に滑剤で覆われることになるので、中詰め材同士の摩擦抵抗や中詰め材と搬送ホースとの摩擦抵抗が一段と低減される。
【0016】
〔請求項7記載の発明〕
前記滑剤として、泡状とした界面活性剤を用いる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
【0017】
(主な作用効果)
○ 滑剤として、泡状とした界面活性剤を用いると、中詰め材同士の摩擦抵抗や中詰め材と搬送ホースとの摩擦抵抗が一段と低減される。
なお、本発明者らは、2号砕石(粒径40〜60mm)を、内径20.32mm(8インチ)の搬送ホースと、この搬送ホースに備わる吸引側径15.24mm(6インチ)、排出側径20.32mm(8インチ)のエジェクター(190馬力のコンプレッサーで圧縮エアを供給)とを用いて、50m離れた法面上に設置した容量0.375m3の金網製のかご体(寸法:500×500×1500mm)内に吹き付ける試験を行った。かご体内に中詰め材が充填されるまでの時間は、滑剤を用いなかった場合が3分50秒であったのに対し、合成界面活性剤からなる滑剤を用いた場合は3分10秒であった。
【0018】
〔請求項8記載の発明〕
前記滑剤の搬送量を、中詰め材の搬送量の1〜5質量%とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
【0019】
(主な作用効果)
○ 滑剤の搬送量を、中詰め材の搬送量の1質量%以上とすると、中詰め材同士の摩擦抵抗や中詰め材と搬送ホースとの摩擦抵抗の低減効果が確実に得られる。
○ 滑剤の搬送量を、中詰め材の搬送量の5質量%以下とすると、滑剤の無駄が防止される。
【0020】
〔請求項9記載の発明〕
前記3次元構造体として、
表面側に位置するほぼ同一の上平面において長手方向に連なり実質的に平行な上骨を有し、裏面側に位置するほぼ同一の下平面において長手方向に連なり実質的に平行な下骨を有し、かつ、平面的に視て隣接する前記上骨間に前記下骨が位置し、隣接する前記上骨とこれらの間に位置する前記下骨との関係の少なくとも一部において、延在方向の多数の位置において、前記下骨とそれぞれ隣接する前記上骨との間が連結骨により連結されて構成されたベース体を用い、
前記上平面と前記下平面との間に形成された前記空隙に、前記中詰め材を供給する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
【0021】
(主な作用効果)
○ 3次元構造体としては、例えば、金網篭、蛇篭、鉄筋篭等も例示することができるが、「表面側に位置するほぼ同一の上平面において長手方向に連なり実質的に平行な上骨を有し、裏面側に位置するほぼ同一の下平面において長手方向に連なり実質的に平行な下骨を有し、かつ、平面的に視て隣接する前記上骨間に前記下骨が位置し、隣接する前記上骨とこれらの間に位置する前記下骨との関係の少なくとも一部において、延在方向の多数の位置において、前記下骨とそれぞれ隣接する前記上骨との間が連結骨により連結されて構成されたベース体」を用いるのが好ましい。このベース体を用いると、後述するようにベース体内を中詰め材が自重落下するため、中詰め材の供給が容易となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、あらゆる斜面に、しかも確実に施行可能な斜面の安定化工法となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
〔搬送装置1〕
図18に示すように、本形態の搬送装置70Xは、先端部にノズル75が備わる可撓性の搬送ホース72と、この搬送ホース72の基端部に備わり、コンプレッサー等の圧縮エア供給手段78からレギュレーター(調節器)79を介して圧縮エアAが供給され、かつ内部に貯留された中詰め材Sと共に圧縮エアAを吐出する圧力釜71と、この圧力釜71に滑剤Cを供給する滑剤貯留槽やポンプ等からなる滑剤供給手段80と、を主に有する。
【0024】
〔搬送装置2〕
図19に示すように、本形態の搬送装置70Yは、先端部にノズル75が備わる可撓性の搬送ホース72と、この搬送ホース72の基端部に備わり、コンプレッサー等の圧縮エア供給手段78からレギュレーター(調節器)79を介して圧縮エアAが供給されるエジェクター73と、このエジェクター73よりも上流の搬送ホース72に中詰め材Sが吸引され、その搬送ホース72の任意の位置に滑剤Cを供給する滑剤貯留槽やポンプ等からなる滑剤供給手段80と、を主に有する。
【0025】
〔搬送装置3〕
図20に示すように、本形態の搬送装置70Zは、先端部にノズル75が備わる可撓性の搬送ホース72と、この搬送ホース72の基端部に備わり、内部に貯留された中詰め材Sと共に圧縮エアAを吐出する圧力釜71と、この圧力釜71と搬送ホース72の先端部との間の所定の部位に備わるエジェクター73と、圧力釜71及びエジェクター73にレギュレーター(調節器)79を介して圧縮エアAを供給するコンプレッサー等の圧縮エア供給手段78と、エジェクター73と圧力釜71との間の搬送ホース72に滑剤Cを供給する滑剤貯留槽やポンプ等からなる滑剤供給手段80と、を主に有する。
本形態において、中詰め材Sとしては、栗石、砕石、岩石、砂利、人工軽量骨材、疑似骨材等を用いることができる。
搬送ホース72のホース径(内径)は、7.62〜20.32mm(3〜8インチ)であるのが好ましい。内径が20.32mm(8インチ)を超えると、搬送ホース72を保持したり移動したりするのが不便になる。
また、一般に、搬送ホース72として、内径が中詰め材Sの最大粒径の2.8〜3.2倍のものを用いれば、中詰め材Sを確実に空気搬送することができる。
搬送ホース72の材質は、中詰め材Sの搬送性や作業員等による作業のしやすさという観点からは、ポリホースやソルフレックスホース(内面コーティングホース)であるのが好ましい。
エジェクター73としては、公知のものを使用すればよい。
滑剤Cとしては、例えば、水等を用いることができるが、合成界面活性剤を用いるのが好ましい。合成界面活性剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤(カルボン酸、脂肪酸、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ)、カチオン系界面活性剤(テトラアルキリアンモニウム)、ノニオン系界面活性剤(ポリエチレングリコール)を用いることができる。また、以上のほか、樹脂石けん系の滑剤を用いるのも好ましい。以上の滑剤Cは、泡状にして供給するのが好ましい。また、滑剤Cは、中詰め材Sの質量の1〜5%とするのが好ましい。中詰め材Sと滑剤Cとを共に搬送ホース72内を搬送させることにより、中詰め材S同士の摩擦抵抗や中詰め材Sと搬送ホース72との摩擦抵抗が低減して、中詰め材Sの搬送性が向上する。
滑剤Cは、中詰め材Sに対して噴霧することもできる。
【0026】
〔ベース体の構造〕
本発明の理解を深めるために、まず、ベース体を用いた斜面の安定化工法・構造の実施の態様について説明する。
(実施の態様1)
内部に空隙を有する骨が繋がっている3次元構造体たるベース体を用意し、
前記ベース体を斜面に敷設するとともに、前記空隙に中詰め材(塊状物)を含む下層材を設け、前記ベース体の上から被覆層を造成する、
ことを特徴とする斜面の安定化工法。
(実施の態様2)
内部に空隙を有する骨が繋がっている3次元構造体たるベース体を用意し、
前記ベース体を斜面に敷設するとともに、前記空隙に中詰め材(塊状物)を含む下層材を設ける、
ことを特徴とする斜面の安定化工法。
(実施の態様3)
前記ベース体の表面側を網体で覆う、実施の態様2記載の斜面の安定化工法。
(実施の態様4)
表面側に位置するほぼ同一の上平面において長手方向に連なり実質的に平行な上骨を有し、裏面側に位置するほぼ同一の下平面において長手方向に連なり実質的に平行な下骨を有し、かつ、平面的に視て隣接する前記上骨間に前記下骨が位置し、
隣接する前記上骨とこれらの間に位置する前記下骨との関係の少なくとも一部において、延在方向の多数の位置において、前記下骨とそれぞれ隣接する前記上骨との間が連結骨により連結してベース体を構成し、
前記ベース体を斜面に敷設するとともに、前記上平面と前記下平面との間に中詰め材(塊状物)を含む下層材を設け、前記ベース体の上から被覆層を造成する、
ことを特徴とする斜面の安定化工法。
(実施の態様5)
表面側に位置するほぼ同一の上平面において長手方向に連なり実質的に平行な上骨を有し、裏面側に位置するほぼ同一の下平面において長手方向に連なり実質的に平行な下骨を有し、かつ、平面的に視て隣接する前記上骨間に前記下骨が位置し、
隣接する前記上骨とこれらの間に位置する前記下骨との関係の少なくとも一部において、延在方向の多数の位置において、前記下骨とそれぞれ隣接する前記上骨との間が連結骨により連結してベース体を構成し、
前記ベース体を斜面に敷設するとともに、前記上平面と前記下平面との間に中詰め材(塊状物)を含む下層材を設ける、
ことを特徴とする斜面の安定化工法。
(実施の態様6)
前記ベース体の表面側を網体で覆う、実施の態様5記載の斜面の安定化工法。
(実施の態様7)
前記ベース体における、隣接する前記上骨とこれらの間の前記下骨とを繋ぐ連結骨の配置形態において、平面的に視て前記上骨における前記下骨との第1の連結部と次の第2の連結部との間の長手方向中間位置に、前記下骨における前記上骨との連結部がある、実施の態様4〜6のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
(実施の態様8)
前記ベース体を、その前記上骨及び前記下骨の延在方向を斜面の尻と肩を結ぶ斜面方向に対して交差する方向に敷設する、実施の態様4〜7のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
(実施の態様9)
複数の前記ベース体を使用し、斜面の下方に設ける下方のベース体及び斜面の上方に設ける上方のベース体を、それらの前記上骨及び前記下骨の延在方向を斜面の尻と肩を結ぶ斜面方向に対して交差する方向に敷設するとともに、前記下方のベース体及び前記上方のベース体の前記延在方向が、前記下方のベース体と前記上方のベース体との境界線に対して交差する位置関係にある、実施の態様4〜8のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
(実施の態様10)
前記ベース体の骨に絡むように長繊維及び短繊維の少なくとも一方を前記ベース体上から設ける、実施の態様1〜9のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
(実施の態様11)
前記ベース体を、ライン状に布設し、非敷設域を確保する、実施の態様1〜10のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
(実施の態様12)
前記ベース体を複数重ねて敷設し、少なくとも最下方に前記下層材を設ける、実施の態様1〜11のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
(実施の態様13)
地山に対向する前記ベース体との間に、透水性のシートを敷設する、実施の態様1〜12のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
(実施の態様14)
前記被覆層は植生用の基盤である、実施の態様1〜13のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
(実施の態様15)
前記ベース体を、固定部材により地山に固定する、実施の態様1〜14のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
(実施の態様16)
複数の前記下骨上に支持材を掛け渡し、地山に打ち込む前記固定部材の定着座を複数の前記下骨上に配置し、前記支持材と前記定着座とが一体で地山側に押圧する、実施の態様15記載の斜面の安定化工法。
(実施の態様17)
前記中詰め材(塊状物)は、前記ベース体の上端側から投入し、前記中詰め材をその自重落下力により前記ベース体の厚み内に撒き出す、実施の態様1〜16のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
(実施の態様18)
表面側に位置するほぼ同一の上平面において長手方向に連なり実質的に平行な上骨を有し、裏面側に位置するほぼ同一の下平面において長手方向に連なり実質的に平行な下骨を有し、かつ、平面的に視て隣接する前記上骨間に前記下骨が位置し、
隣接する前記上骨とこれらの間に位置する前記下骨との関係の少なくとも一部において、延在方向の多数の位置において、前記下骨とそれぞれ隣接する前記上骨との間が連結骨により連結してベース体を構成し、
前記ベース体が斜面に敷設され、前記上平面と前記下平面との間に中詰め材(塊状物)を含む下層材が設けられ、前記上平面に基盤が造成されている、ことを特徴とする斜面の安定化構造。
(実施の態様19)
表面側に位置するほぼ同一の上平面において長手方向に連なり実質的に平行な上骨を有し、裏面側に位置するほぼ同一の下平面において長手方向に連なり実質的に平行な下骨を有し、かつ、平面的に視て隣接する前記上骨間に前記下骨が位置し、
隣接する前記上骨とこれらの間に位置する前記下骨との関係の少なくとも一部において、延在方向の多数の位置において、前記下骨とそれぞれ隣接する前記上骨との間が連結骨により連結してベース体を構成し、
前記ベース体が斜面に敷設され、前記上平面と前記下平面との間に中詰め材(塊状物)を含む下層材が設けられている、
ことを特徴とする斜面の安定化構造。
(実施の態様20)
前記ベース体の表面側が網体で覆われている、実施の態様19記載の斜面の安定化構造。
【0027】
(実施の態様の主な作用効果)
(1)3次元構造体たるベース体中に中詰め材(塊状物)を含む下層材を設ける。したがって、下層材が中詰め材(塊状物)を含むので、湧水や雨水が下層材に浸透したときの排水性が良好であり、かつ、ベース体自体は、3次元構造体であり、中詰め材(塊状物)の移動に対する抵抗体として機能するから、水による侵食を確実に防止することができ、安定した保護構造体となる。
(2)また、ベース体上に被覆層を造成すると、被覆層に雨水が浸透したとしても下層材に雨水を導き、迅速なる排水を行わせることで、被覆層の侵食を防止できる。
(3)上平面と下平面との間で所定の厚みを示す3次元構造体たるベース体であり、上下の骨が同一方向に延在していると、その延在方向についての曲げ剛性が高いものとなる。そして、後述の例で示すように、中詰め材(塊状物)の分散が容易なものとなる。
(4)前記ベース体における、隣接する前記上骨とこれらの間の前記下骨とを繋ぐ連結骨の配置形態において、平面的に視て前記上骨における前記下骨との第1の連結部と次の第2の連結部との間の長手方向中間位置において、前記下骨における前記上骨との連結部がある構造によれば、中詰め材(塊状物)の移動に対する抵抗体としての、連結骨の配置形態となる。
(5)中詰め材(塊状物)をベース体上に撒き出す際に、隣接する上骨間の谷(谷底に下骨が存在する)が斜面方向に沿う場合には、その谷に沿って中詰め材(塊状物)がそのまま落下する割合が多くなるのに対し、ベース体を、その前記上骨及び前記下骨の延在方向を斜面の尻と肩を結ぶ斜面方向に対して交差する方向に敷設する形態では、隣接する上骨間の谷に沿って中詰め材(塊状物)が落下するものの、一部が隣の山の内や隣の谷へと落下するので、全体として中詰め材(塊状物)の均一な分散を容易に達成できる。
(6)斜面が高い場合、複数のベース体を斜面方向に繋ぎ合わせる。その際に、複数のベース体の方向を食い違わせる。例えば、下方のベース体については右肩上がり、上方のベース体については左肩上がりのように敷設すると、前述のように中詰め材(塊状物)を撒き出したときに、上方のベース体では左下がりで中詰め材(塊状物)が落下し、その後に下方のベース体では右下がりで中詰め材(塊状物)が落下するので、全体として中詰め材(塊状物)の均一な分散を容易に達成できる。逆に、すべてが同じ方向である場合、中詰め材(塊状物)の投入位置に対し、中詰め材(塊状物)の分布がずれる傾向になる(この原因は、中詰め材(塊状物)が前記の谷に沿って多く落下する割合が多いからである。)。
(7)例えば、ベース体上から、長繊維(連続長繊維も当然に含む)及び短繊維の少なくとも一方を、繊維のみ又は被覆材料と共に吹き付け等して散布すると、骨、例えば、実施の態様のベース体においては上骨及び連結骨に絡むようになる。その結果、繊維が下層材や被覆層の被覆材料と絡み、流亡に対する抵抗材として機能する。
(8)ベース体は、地山全体を覆うのではなく、横方向に段状に、縦方向にストライプ状に、あるいは格子状などに敷設することでも、(1)と同様な作用効果を奏する。なお、横方向に段状に配置したとしても、その下層材を通して左右に浸透雨水を誘導でき(必要ならば左右に誘導した雨水の排水手段を付加的に設ける)るから、同様の作用効果を奏する。
(9)ベース体は複数重ねて敷設してもよい。この場合、少なくとも最下方に前記下層材を設けることで円滑な排水が可能となる。表面側のベース体については、下層材を設けないで、ベース体を埋設するように被覆層材料を設けると、3次元構造体としてのベース体が、被覆層材料の流亡を抑止するものとなる。
(10)地山に対向するベース体との間に、透水性のシートを敷設すると、透水性のシート(例えば、不織布シート)により細かい地山粒子を押さえることができ、その流亡を防止できるとともに、下層材側への移動を防止して、下層材の透水性の低下を防止できる。また、逆に透水性のシートはベース体により押えられるものであるから安定し、しかも、シートが透水性であるために、例えば、被覆層を通して植生を図る場合において、その根茎に対して十分な水の供給が可能である。
(11)被覆層としては、モルタル又はコンクリートの吹き付け層や植生用の基盤などを例示できるが、植生用の基盤であると、下層材が中詰め材(塊状物)を含み、空隙が多いので、根茎が良好に成長し、かつ、根茎がベース体に絡むようになり、対流亡性に優れるように植物が生育するものとなる。
(12)ベース体は、3次元構造体であり、中詰め材(塊状物)を含む下層材を設けるものであるから、それ自体で安定性に富むものであるが、急斜面などにおいては、アンカーピン、ロックボルト、アンカー体などの固定部材により地山に固定すると、より安定した構造体となる。
(13)定着座が複数の下骨上にあり、しかも、支持材が複数の下骨上に掛け渡して設けられていると、固定部材を地山に打ち込んだとき、ベース体を強固かつ安定して地山に固定でき、逆に、地山の変形力に対し、ベース体がそれ自体の変形を防止しながら抑止できる。
(14)中詰め材(塊状物)をその自重落下力によりベース体の厚み内に撒き出す形態によれば、作業性に優れ、かつ迅速に撒き出しが可能となる。
【0028】
次に、中詰め材Sが搬送されるベース体の構造例について図を参照しながら以下に詳述する。
(第1のベース体例)
図1〜4に示すように、第1のベース体X1は、上骨10,10…と、下骨20,20…と、連結骨30,30…と、から主になる。
各上骨10,10…は、特に図4に示すように、表面側に位置し、ほぼ同一の上平面Uにおいて長手方向に連なり、適宜の間隔をおいて、好ましくは16〜20cmの間隔をおいて、より好ましくは18cmの間隔をおいて、実質的に平行に配置されている。また、各下骨20,20…は、特に図4に示すように、裏面側に位置し、ほぼ同一の下平面Dにおいて長手方向に連なり、適宜の間隔をおいて、好ましくは16〜20cmの間隔をおいて、より好ましくは18cmの間隔をおいて、実質的に平行に配置されている。そして、上骨10,10…及び下骨20,20…は、特に図1及び図2に示すように、平面的に視て隣接する上骨10,10間に下骨20が位置するように、配置されている。
一方、上骨10,10…及び下骨20,20…は、特に図1に示すように、延在方向の多数の位置において、下骨20,20…とそれぞれ隣接する上骨10,10…との間が、連結骨30,30…によって連結されている。
より具体的には、特に図2に示すように、各連結骨30,30…が、上下に折れ曲がって波状となった1本の骨材(ほねざい)で形成されている。そして、各連結骨30,30…の上方から下方へ折れ曲がる部分(山折り部分)の下側に上骨10,10…が接合され、下方から上方へ折れ曲がる部分(谷折り部分)の上側に下骨20,20…が接合されている。この連結骨30,30…と、上骨10,10…及び下骨20,20…との各接合は、例えば、溶接、接着、ねじり合わせ、ソケット接合などによることができる。ただし、強度の向上という観点からは、溶接によるのが好ましい。また、本ベース体X1の製造は、例えば、上骨10,10…及び下骨20,20…と波状の連結骨30,30…とを接合するという方法によることができる。ただし、製造容易性という観点からは、上骨10,10…及び下骨20,20…と直線状の連結骨30,30…とを接合した後、上骨10,10…が上方に、下骨20,20…が下方に移動するようにプレスして、製造するのが好ましい。
以上のようにして、ベース体X1は、骨(10,20,30…)が繋がっている3次元構造体であって、その内部に空隙を有する形状となっている。
ここで、各骨(10,20,30…)の素材は、特に限定されない。ただし、強度という観点からは、鉄、鋼、ステンレス、チタン、各種合金等の金属であるのが好ましく、耐腐食性という観点も加えて考えるならば、鋼であるのがより好ましい。また、各骨(10,20,30…)の断面形状も、特に限定されない。例えば、長方形状、正方形状、菱形形状等の多角形状や、真円形状、楕円形状等の円形状、星形形状などの様々な形状が考えられる。ただし、強度という観点からは、図示例のように、真円形状であるのが好ましい。
【0029】
(第2のベース体例)
図5〜8に示すように、第2のベース体X2も、第1のベース体X1とほぼ同様の形状となっており、上骨10,10…と、下骨20,20…と、連結骨31、32…と、から主になる。
ただし、本ベース体X2は、符号31及び32で示す連結骨の形状が、第1のベース体X1の連結骨30と異なっている。
具体的には、特に図6に示すように、各連結骨31、32…は、上方から下方へ折れ曲がる部分(山折り部分)が存在せず、この山折り部分に替えて、上方から横方へ折れ曲がり、この横方から下方へ折れ曲がった形状となっている。そして、上骨10,10…は、上方から横方へ折れ曲がった部分の下側や、横方から下方へ折れ曲がった部分の下側に、接合されている。なお、下方から上方へ折れ曲がる部分(谷折り部分)が存在することは、第1のベース体X1の場合と同様である。
各連結骨31、32…の横方への延在距離は特に限定されない。例えば、図示例のように下骨20を1本通り越す距離にすることや、下骨20を2本通り越す距離、下骨20を3本通り越す距離、又は下骨20をそれ以上の複数本通り越す距離、などにすることができる。
本ベース体X2において、連結骨は、符号31で示すものも、符号32で示すものも、以上で示したとおりの、同様の形状となっている。ただし、連結骨31と連結骨32とでは、配置位置が異なっている。すなわち、特に図7に示すように、連結骨31及び連結骨32は、連結骨31の延在部分(上方から横方へ折れ曲がってから、この横方から下方へ折れ曲がるまでの部分)中央に連結骨32の谷折り部分が位置し、連結骨32の延在部分中央に連結骨31の谷折り部分が位置するように、幅方向にずれて配置されている。このように連結骨31、32を幅方向にずらして配置することにより、中詰め材(塊状物)Sが均一に分散することになる。したがって、各連結骨31、32…の横方への延在距離は、短い方が好ましく、図示例のように、1本通り越す距離がより好ましい。
【0030】
(第3のベース体例)
図9〜12に示すように、第3のベース体X3も、第1のベース体X1とほぼ同様の形状となっており、上骨10,10…と、下骨20,20…と、連結骨33,33…と、から主になる。
ただし、本ベース体X3は、符号33で示す連結骨の形状が、第1のベース体X1の連結骨30と異なっている。
具体的には、特に図9に示すように、各連結骨33,33…が、平面的に視て上骨10,10…における下骨20,20…との第1の連結部(上骨10と連結骨33とが接続する部位)33Aと次の第2の連結部(第1の連結部の長手方向一方において、図示例では紙面下方において、上骨10と連結骨33とが接続する部位)33Bとの間の長手方向中間位置に、下骨20,20…における上骨10,10…との連結部(下骨20と連結骨33とが接続する部位)33Cがある形状となっている。この構造によると、中詰め材(塊状物)Sの移動に対する抵抗体としての、連結骨の配置形態となる。また、本構造によると、斜め方向についての曲げ剛性が高いものとなる。
本ベース体X3の製造は、例えば、上骨10,10…及び下骨20,20…と折れ曲がった連結骨30,30…とを接合するという方法によることができる。ただし、製造容易性という観点からは、上骨10,10…及び下骨20,20…と直線状の連結骨30,30…とを接合した後、上骨10,10…を固定した状態で、相互に隣接する下骨20,20…の一方を上方に、他方を下方にそれぞれ移動し、さらに上骨10,10…が上方に、下骨20,20…が下方に移動するようにプレスして、製造するのが好ましい。
【0031】
(その他のベース体例)
以上のベース体X1、X2及びX3では、上下の骨10、20…が同一方向に延在している形態であるが、ベース体としては、多数の骨が繋がっている3次元構造体であって、内部に空隙を有し、その空隙に中詰め材(塊状物)Sが入り込むことが可能なものであれば、使用することができる。
【0032】
〔施工方法〕
上記の各ベース体X(X1、X2、X3)において、いずれも横断面をみた場合において、山形をなし、稜線部と谷部とが形成され、上骨10にて稜線部が、下骨20にて谷部が形成されている(特に図4、図8、図12参照)。各ベース体の厚みとしては、20〜300mm、特に40〜150mmが望ましい。上骨10と下骨20と連結骨30とで構成される目開きの大きさについても、20〜300mm、特に40〜150mmが望ましい。
ベース体X及び河川護岸の例を採ると、図13及び図14に示すように、河川から道路にかかる緩斜面において、不織布などの透水性のシート40を敷設する。その上にベース体Xを敷設する。
その際に、上骨10及び下骨20の延在方向を斜面の尻と肩を結ぶ斜面方向に対して交差する方向、例えば、45度の角度で交差する方向に敷設する。この交差角度としては、20〜65度が望ましい。
また、図14に示すように、斜面スロープが長い場合には、複数のベース体X、Xを使用し、斜面の下方に設ける下方のベース体X及び斜面の上方に設ける上方のベース体Xを、それらの上骨10及び下骨20の延在方向を斜面の尻と肩を結ぶ斜面方向に対して交差する方向に敷設するとともに、下方のベース体X及び上方のベース体Xの延在方向が、下方のベース体Xと上方のベース体Xとの境界線に対して交差する位置関係にあるように設置する。図示例では下方のベース体については左肩上がり、上方のベース体については右肩上がりのように敷設してある。
【0033】
ベース体Xの敷設に前後して、中詰め材(塊状物)Sを圧力釜71内に供給しておく。そして、ベース体Xの敷設が終了した段階で、例えば、30〜60mm程度の中詰め材(塊状物)Sを前述した搬送装置70X,70Y,70Zによりベース体Xに向って吹付ける。この場合、ベース体Xの上端部から吹き付けることが望ましい。ただし、下端部から積み上げるようにして設けることもできる。この際、図示はしないが、作業員が搬送ホース72を担いで、ノズル75をベース体Xに向けた状態で、材料を吹き付けてもよい。その際、作業員は、中詰め材(塊状物)Sのベース体X内への充填状況を見ながら作業することができる。搬送した(吹付けた)塊状物Sは、隣接する上骨10、10間の谷(谷底に下骨20が存在する)に沿って中詰め材(塊状物)Sがそのまま落下するとともに、一部の中詰め材(塊状物)Sが隣の山の内や隣の谷へと落下するので、全体として中詰め材(塊状物)の均一な分散を容易に達成できる。
場合によって、中詰め材(塊状物)Sと共に、あるいは別に、客土やチップ類、バーク堆肥などを設けて、下層材を形成することができる。図示の例では、中詰め材(塊状物)S群のみで下層材を形成したものである。下層材の上面は、上骨10に揃う場合のほか、上骨10の下方や上方であってもよい。
次いで、下層材上に、被覆層50を形成できる。この被覆層50としては、植生基盤が好ましいが、モルタルや客土などでもよく、また、植生基盤やモルタル、客土などに繊維を混入したものでもよい。植生基盤としては公知のものをそのまま使用できる。種子や肥料とともに客土吹付を行い、植生基盤を造成できる。下層材の上面が、上骨10の下方である場合には、上骨10の下方にも被覆層50が入り込む。
植生基盤である場合、図13の拡大図により判るように、下層材の空隙が多いので、植物の根茎が、下層材中に容易に侵入する。そして、排水性が高い下層材を構成できる。
【0034】
ベース体Xは、図15及び図16に示すように、ライン状に布設して、非敷設域を確保することができる。
図15の例は、縦方向にストライプ状に敷設した例であり、図16は横枠Xhと縦枠Xvとで格子状に布設した例である。連結枠とする場合、連結部材による連結で、連結枠の形状に限定されない。
図17に示すように、ベース体Xは、アンカーピン(アンカーピンの形状は、特に限定されない。例えば、基端部(頭部)に、一方又は両側方へ向かって、直線状や円弧状等に広がる掛止部が備わるものなどを、使用することができる。なお、固定時においては、掛止部が、下骨20に引っ掛かることになる。)、ロックボルト、アンカー体などの固定部材60により地山に固定することが望ましい。この具体例としては、下骨20上に例えば、棒状の支持材を掛け渡し、地山に打ち込むロックボルトからなる固定部材60の定着座62、63を複数の下骨20、20上に配置し、支持材61とプレート受圧板等の定着座62とを一体化部材(図示せず)により連結し、一体的に地山側に押圧することができる。64はロックボルトからなる固定部材60のナット部材である。
【0035】
その他の形態について説明すると、被覆層50の造成前に、ベース体上に、ベース体の上骨及び連結骨に絡むように長繊維を散布などにより設けることができる。客土などの被覆層形成材料中に長繊維を含ませておき、その材料を吹き付けることで、長繊維をベース体の上骨及び連結骨に絡ませることもできる。この場合の長繊維としては連続長繊維が望ましい。必要により、短繊維を含ませた長繊維を使用できる。繊維として、天然繊維、合成繊維など種類は問われない。
ベース体を複数重ねて布設し、少なくとも最下方に下層材を設けることができる。ベース体を重ねた場合、結束材などにより一体化できる。
中詰め材(塊状物)Sとしては、前述した栗石又は砕石のほか、現場で収集した石、人工石、適宜の人工無機粒子、人工有機粒などの使用も可能である。
【0036】
上記例から明らかなように、たとえば代表例を示す図13によって、本発明の作用効果を改めて説明すると、3次元構造体たるベース体X中に中詰め材(塊状物)Sを含む下層材を設ける。したがって、下層材は中詰め材(塊状物)Sを含むので、湧水や雨水が下層材に浸透したときの排水性が良好であり、かつ、ベース体X自体は、3次元構造体であり、中詰め材(塊状物)Sの移動に対する抵抗体として機能するから、水による侵食を確実に防止することができ、安定した保護構造体となる。
また、ベース体X上には被覆層50を造成する。したがって、被覆層50に雨水が浸透したとしても下層に雨水を導き、迅速なる排水を行わせることで、被覆層50の侵食を防止できる。
したがって、自然斜面、切取り法面、河川護岸、人工的に造成した斜面(たとえば砂防堤)、ダム湛水法面などにおいて、侵食を確実に防止して安定した保護構造体を造成できる。特に、排水性が良好であることは、高い侵食防止効果を示すばかりでなく、たとえば地盤が強アルカリまたは強酸性土壌であるとき、当該土壌から湧出した強アルカリまたは強酸性の水を下層材に沿って下方に排出できるから、被覆層50への影響はなく、もってたとえば被覆層50において植生を図ることができる。
以上に対し、河川護岸等であって、被覆層50が洗い流されてしまうことが明らかな場合などには、ベース体X上には被覆層50を造成しないこともできる。ただし、この場合は、中詰め材(塊状物)Sがベース体Xから流出してしまうのを防止するために、ベース体Xの表面側を、ラス網、亀甲金網等の金網やネット等の網体で覆っておくのが好ましい。
【0037】
<その他>
本発明に係る斜面安定化工法は、上記ベース体に限られず、図示はしないが、公知の金網篭、蛇篭、鉄筋篭等を用いてもよい。この際、中詰め材Sとして軽量骨材等の軽量の材料を用いる場合、密度が軽いことによる飛散防止機能を付加させるために、金網篭や鉄筋篭等の箱形形状の場合には、上部に蓋付き金網を取付けることが好適である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】第1ベース体の平面図である。
【図2】第1ベース体の断面図である。
【図3】第1ベース体の斜視図である。
【図4】第1ベース体の3次元構造を説明するための図である。
【図5】第2ベース体の平面図である。
【図6】第2ベース体の連結骨を説明するための図である。
【図7】第2ベース体の断面図である。
【図8】第2ベース体の斜視図である。
【図9】第3ベース体の平面図である。
【図10】第3ベース体の断面図である。
【図11】第3ベース体の側面図である。
【図12】第3ベース体の斜視図である。
【図13】安定化構造の断面図である。
【図14】斜面の概要正面図である。
【図15】別の形態の斜面の概要正面図である。
【図16】さらに他の形態の斜面の概要正面図である。
【図17】固定部材の配設例の斜視図である。
【図18】中詰め材搬送装置例の概要図である。
【図19】中詰め材搬送装置例の概要図である。
【図20】中詰め材搬送装置例の概要図である。
【符号の説明】
【0039】
10…上骨、20…下骨、30,31,32,33…連結骨、40…透水性のシート、50…被覆層、60…固定部材、70X,70Y,70Z…中詰め材搬送装置、71…圧力釜、72…搬送ホース、73…エジェクター、74…圧縮エア供給ホース、75…ノズル、77…滑剤供給ホース、78…エア圧縮手段、79…レギュレーター、80…滑剤タンク、S…中詰め材(塊状物)、X1,X2,X3…ベース体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空隙を有する3次元構造体を斜面に敷設し、この構造体の空隙に中詰め材を供給して前記斜面を安定化させるにあたり、
前記中詰め材を、可撓性の搬送ホース内を空気搬送する工法であって、
前記中詰め材の空気搬送を、圧縮エアが供給され、かつ中詰め材と共に圧縮エアを吐出する圧力釜を用いて、滑剤と共に行う、
ことを特徴とする斜面の安定化工法。
【請求項2】
内部に空隙を有する3次元構造体を斜面に敷設し、この構造体の空隙に中詰め材を供給して前記斜面を安定化させるにあたり、
前記中詰め材を、可撓性の搬送ホース内を空気搬送する工法であって、
前記中詰め材の空気搬送を、圧縮エアが供給されるエジェクターを用いて、滑剤と共に行う、
ことを特徴とする斜面の安定化工法。
【請求項3】
内部に空隙を有する3次元構造体を斜面に敷設し、この構造体の空隙に中詰め材を供給して前記斜面を安定化させるにあたり、
前記中詰め材を、可撓性の搬送ホース内を空気搬送する工法であって、
前記中詰め材の空気搬送を、前記搬送ホースの基端部に備わり、かつ中詰め材と共に圧縮エアを吐出する圧力釜と、この圧力釜と前記搬送ホースの先端部との間の所定の部位に備わるエジェクターと、前記圧力釜及び前記エジェクターに圧縮エアを供給する手段と、を用いて、滑剤と共に行う、
ことを特徴とする斜面の安定化工法。
【請求項4】
前記中詰め材として、最大粒径30〜60mmのものを用い、
かつ、前記エジェクターとして、吸引側径7.62〜20.32mm、排出側径7.62〜20.32mmのものを用いる、請求項2又は請求項3記載の斜面の安定化工法。
【請求項5】
前記搬送ホースに接続した供給ホースを通して、前記搬送ホース内に前記滑剤を供給する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
【請求項6】
前記中詰め材に前記滑剤を噴霧することによって、前記中詰め材の空気搬送を前記滑剤と共に行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
【請求項7】
前記滑剤として、泡状とした界面活性剤を用いる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
【請求項8】
前記滑剤の搬送量を、前記中詰め材の搬送量の1〜5質量%とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
【請求項9】
前記3次元構造体として、
表面側に位置するほぼ同一の上平面において長手方向に連なり実質的に平行な上骨を有し、裏面側に位置するほぼ同一の下平面において長手方向に連なり実質的に平行な下骨を有し、かつ、平面的に視て隣接する前記上骨間に前記下骨が位置し、隣接する前記上骨とこれらの間に位置する前記下骨との関係の少なくとも一部において、延在方向の多数の位置において、前記下骨とそれぞれ隣接する前記上骨との間が連結骨により連結されて構成されたベース体を用い、
前記上平面と前記下平面との間に形成された前記空隙に、前記中詰め材を供給する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
【請求項1】
内部に空隙を有する3次元構造体を斜面に敷設し、この構造体の空隙に中詰め材を供給して前記斜面を安定化させるにあたり、
前記中詰め材を、可撓性の搬送ホース内を空気搬送する工法であって、
前記中詰め材の空気搬送を、圧縮エアが供給され、かつ中詰め材と共に圧縮エアを吐出する圧力釜を用いて、滑剤と共に行う、
ことを特徴とする斜面の安定化工法。
【請求項2】
内部に空隙を有する3次元構造体を斜面に敷設し、この構造体の空隙に中詰め材を供給して前記斜面を安定化させるにあたり、
前記中詰め材を、可撓性の搬送ホース内を空気搬送する工法であって、
前記中詰め材の空気搬送を、圧縮エアが供給されるエジェクターを用いて、滑剤と共に行う、
ことを特徴とする斜面の安定化工法。
【請求項3】
内部に空隙を有する3次元構造体を斜面に敷設し、この構造体の空隙に中詰め材を供給して前記斜面を安定化させるにあたり、
前記中詰め材を、可撓性の搬送ホース内を空気搬送する工法であって、
前記中詰め材の空気搬送を、前記搬送ホースの基端部に備わり、かつ中詰め材と共に圧縮エアを吐出する圧力釜と、この圧力釜と前記搬送ホースの先端部との間の所定の部位に備わるエジェクターと、前記圧力釜及び前記エジェクターに圧縮エアを供給する手段と、を用いて、滑剤と共に行う、
ことを特徴とする斜面の安定化工法。
【請求項4】
前記中詰め材として、最大粒径30〜60mmのものを用い、
かつ、前記エジェクターとして、吸引側径7.62〜20.32mm、排出側径7.62〜20.32mmのものを用いる、請求項2又は請求項3記載の斜面の安定化工法。
【請求項5】
前記搬送ホースに接続した供給ホースを通して、前記搬送ホース内に前記滑剤を供給する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
【請求項6】
前記中詰め材に前記滑剤を噴霧することによって、前記中詰め材の空気搬送を前記滑剤と共に行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
【請求項7】
前記滑剤として、泡状とした界面活性剤を用いる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
【請求項8】
前記滑剤の搬送量を、前記中詰め材の搬送量の1〜5質量%とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
【請求項9】
前記3次元構造体として、
表面側に位置するほぼ同一の上平面において長手方向に連なり実質的に平行な上骨を有し、裏面側に位置するほぼ同一の下平面において長手方向に連なり実質的に平行な下骨を有し、かつ、平面的に視て隣接する前記上骨間に前記下骨が位置し、隣接する前記上骨とこれらの間に位置する前記下骨との関係の少なくとも一部において、延在方向の多数の位置において、前記下骨とそれぞれ隣接する前記上骨との間が連結骨により連結されて構成されたベース体を用い、
前記上平面と前記下平面との間に形成された前記空隙に、前記中詰め材を供給する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の斜面の安定化工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2008−297780(P2008−297780A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−144341(P2007−144341)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000115463)ライト工業株式会社 (137)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000115463)ライト工業株式会社 (137)
【Fターム(参考)】
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