説明

断層画像処理方法および装置ならびにプログラム

【課題】光トモグラフィー計測により得られる断層画像の画質劣化を防止する。
【解決手段】干渉信号取得手段51において干渉信号ISが取得され、干渉信号ISが各光束La、Lbの波長帯域毎の干渉信号ISa、ISbに分割される。その後、各光束La、Lbの間の離散波長帯域GRにおける離散領域信号GSが取得され、この離散領域信号GSと各干渉信号ISa、ISbとが合成される。そして、合成された合成干渉信号IS10が周波数解析されて、断層情報r(z)が取得される。その後、複数の断層情報r(z)を用いて断層画像Pが生成され、表示装置60に断層画像Pが出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OCT(Optical Coherence Tomography)計測により光断層画像を生成する断層画像処理方法、装置およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、生体組織の光断層画像を取得する際に、OCT計測を利用した光断層画像取得装置を用いることが提案されている。たとえば眼底や前眼部、皮膚の断層画像を取得する場合の他に、光プローブを用いる動脈血管壁の観察、内視鏡の鉗子チャンネルから光プローブを挿入する消化器管の観察など、様々な部位に応用されている。この光断層画像取得装置では、光源から射出された低コヒーレント光を測定光と参照光とに分割した後、該測定光が測定対象に照射されたときの測定対象からの反射光、もしくは後方散乱光と参照光とを合波し、該反射光と参照光との干渉光の強度に基づいて光断層画像を取得する。以下、測定対象からの反射光、後方散乱光をまとめて反射光と標記する。
【0003】
上記のOCT計測には、大きくわけてTD−OCT(Time domain OCT)計測とFD(Fourier Domain)−OCT計測の2種類がある。TD−OCT(Time domain OCT)計測は、参照光の光路長を変更しながら干渉光強度を測定することにより、測定対象の深さ方向の位置(以下、深さ位置という)に対応した反射光強度分布を取得する方法である。
【0004】
一方、FD(Fourier Domain)−OCT計測は、参照光と信号光の光路長は変えることなく、光のスペクトル成分毎に干渉光強度を測定し、ここで得られたスペクトル干渉強度信号を計算機にてフーリエ変換に代表される周波数解析を行うことで、深さ位置に対応した反射光強度分布を取得する方法である。TD―OCTに存在する機械的な走査が不要となることで、高速な測定が可能となる手法として、近年注目されている。FD(Fourier Domain)−OCT計測を行う装置構成で代表的なものとしては、SD−OCT(Spectral Domain OCT)装置とSS−OCT(Swept source OCT)の2種類が挙げられる。
【0005】
上述したTD−OCT計測、SS−OCT計測、SD−OCT計測において空間分解能の向上を図るためには、より広帯域なスペクトル幅を有する測定光を用いることが望ましい。光のスペクトル幅を広帯域化させる方法として、特許文献1にはそれぞれ異なるスペクトル帯域の光を射出する複数の光源と、各光源から射出された光を光結合器により合成し、単一光波の光を射出するものが開示されている。
【特許文献1】特開2002−214125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のように複数の光源を用いたとしても連続したスペクトルを有する光を射出することは困難であり、複数の光源から射出された光を合成したときに光が射出されない波長域(離散波長帯域)が生じてしまう場合がある。
【0007】
ところで、干渉信号から測定対象の各深さ位置における断層情報(反射率)を取得するときに、たとえばフーリエ解析等のような周波数解析方法が用いられる。上記周波数解析は干渉信号の全波長帯域において信号が存在していることを前提とするものである。よって、上述のように、光が射出されない波長域が存在したときには周波数解析することができない、もしくは断層情報のS/N比が悪化し画質の劣化を招いてしまうという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、OCT計測に用いる光に離散波長帯域が存在するときであっても、断層画像の画質の劣化を防止することができる断層画像処理方法および装置ならびにプログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の光断層画像処理方法は、離散した波長帯域からなる複数の光束を射出し、射出した各光束を測定光と参照光とに分割し、分割した測定光が測定対象に照射されたときの測定対象からの反射光と参照光とを各光束毎に合波し、反射光と参照光とが合波したときの各光束の干渉光をそれぞれ干渉信号として検出し、検出した複数の干渉信号を用いて測定対象の断層情報を取得し断層画像を生成する断層画像処理方法であって、複数の干渉信号を用いて複数の光束の間に存在する離散波長帯域の干渉信号を予測して離散領域信号を生成し、生成した離散領域信号と複数の干渉信号とを合成した合成干渉信号を生成し、生成した合成干渉信号を用いて測定対象の断層情報を取得し、取得した断層情報を用いて断層画像を生成することを特徴とするものである。
【0010】
本発明の光断層画像処理装置は、離散した波長帯域からなる複数の光束を射出し、射出した各光束を測定光と参照光とに分割し、分割した測定光が測定対象に照射されたときの測定対象からの反射光と参照光とを各光束毎に合波し、反射光と参照光とが合波したときの各光束の干渉光をそれぞれ干渉信号として検出し、検出した複数の干渉信号を用いて測定対象の断層情報を取得し断層画像を生成する断層画像処理装置であって、複数の干渉信号を用いて複数の光束の間に存在する離散波長帯域の干渉信号を予測して離散領域信号を生成する離散領域信号生成手段と、離散領域信号生成手段により生成された離散領域信号と複数の干渉信号とを合成した合成干渉信号を生成する信号合成手段と、信号合成手段において生成された合成干渉信号を用いて測定対象の断層情報を取得する断層情報取得手段と、断層情報取得手段において取得された断層情報を用いて断層画像を生成する画像生成手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
本発明の光断層画像処理プログラムは、離散した波長帯域からなる複数の光束を射出し、射出した各光束を測定光と参照光とに分割し、分割した測定光が測定対象に照射されたときの測定対象からの反射光と参照光とを各光束毎に合波し、反射光と参照光とが合波したときの各光束の干渉光をそれぞれ干渉信号として検出したとき、コンピュータに、複数の干渉信号を用いて複数の光束の間に存在する離散波長帯域の干渉信号を示す離散領域信号を生成し、生成した離散領域信号と複数の干渉信号とを合成した合成干渉信号を生成し、生成した合成干渉信号を用いて測定対象の断層情報を取得し、取得した断層情報を用いて断層画像を生成することを実行させることを特徴とするものである。
【0012】
ここで、反射光とは、測定対象からの反射光および後方散乱光を意味する。
【0013】
また、「互いに離散した波長帯域を有する」とは、これら各光束のピーク波長の間に、たとえば光束のピーク強度に対して概ね−10dB以下の光強度となる波長帯域が存在するというように、OCT計測に寄与しない低強度の波長帯域が存在することを意味する。2つの光束のピーク強度が異なるときは、よりピーク強度が小さな方のピーク強度を用いて考えるものとする。
【0014】
また、断層情報取得手段は、干渉信号から各深さ位置における断層情報を取得するものであればその方法は問わず、たとえばフーリエ変換処理、最大エントロピー法、Yule−Walker法等のスペクトル解析により断層情報を取得するようにしてもよい。
【0015】
さらに、離散領域信号算出手段は、複数の光束間の離散波長帯域の干渉信号を示す離散領域信号として生成するものであればその手法は問わない。たとえば、離散領域信号算出手段は、各干渉信号毎に波長に対する干渉強度を線形モデル化した線形関数を生成する線形関数生成手段と、線形関数生成手段により生成された複数の線形関数毎に、それぞれ離散波長帯域における干渉強度を予測して中間離散領域信号を算出する中間信号算出手段と、中間信号算出手段において算出された複数の中間離散領域信号から離散領域信号を算出する離散領域信号算出手段とを備えたものであってもよい。
【0016】
このとき、中間信号算出手段は、離散波長帯域に隣接する2つの干渉信号から生成された線形関数を用いて2つの中間離散領域信号を算出するものであってもよい。このとき、離散領域信号算出手段は、2つの中間離散領域信号から離散領域信号を算出するようにしてもよい。あるいは、中間信号算出手段は2つ以上の複数の干渉信号から生成された線形関数を用いて中間離散領域信号を算出し、離散領域信号算出手段は複数の中間離散領域信号から離散領域信号を算出するようにしてもよい。
【0017】
なお、線形関数生成手段は、各干渉信号毎に波長に対する干渉強度を線形関数として生成するものであればその手法は問わず、たとえば線形モデル関数を用意しておき、この線形モデル関数に干渉信号を代入したときのモデル係数を最大エントロピー法、Yule−Walker法等を用いて求めることにより線形関数を生成するようにしてもよい。
【0018】
また、離散領域信号算出手段は、複数の中間離散領域信号を波長に応じた重み付け平均を行うことにより離散領域信号を算出するようにしてもよいし、複数の中間断層情報の平均値を算出することにより離散領域信号を算出するようにしてもよい。
【0019】
なお、光は所定の波長帯域内において波長を掃引しながら周期的に射出されたものであって、いわゆるSS−OCT計測により断層画像を取得するものであってもよいし、所定の波長帯域からなる低コヒーレンス光を射出するものであって、いわゆるSD−OCT計測により断層画像を取得するものであってもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の断層画像処理方法および装置ならびにプログラムによれば、離散した波長帯域からなる複数の光束を射出し、射出した各光束を測定光と参照光とに分割し、分割した測定光が測定対象に照射されたときの測定対象からの反射光と参照光とを各光束毎に合波し、反射光と参照光とが合波したときの各光束の干渉光をそれぞれ干渉信号として検出したとき、複数の干渉信号を用いて複数の光束の間に存在する離散波長帯域の干渉信号を予測して離散領域信号を生成し、生成した離散領域信号と複数の干渉信号とを合成した合成干渉信号を生成し、生成した合成干渉信号を用いて測定対象の断層情報を取得し、取得した断層情報を用いて断層画像を生成することにより、互いに波長帯域が離散する光束を用いてOCT計測した場合であっても、離散波長帯域の干渉信号を補間することにより、離散波長帯域に干渉信号が存在しないことによって周波数解析ができない、もしくは周波数解析結果の劣化を防止し画質の劣化を防止することができる。
【0021】
なお、離散領域信号算出手段が、各干渉信号毎に波長に対する干渉強度を線形モデル化した線形関数を生成する線形関数生成手段と、線形関数生成手段により生成された複数の線形関数毎に、それぞれ離散波長帯域における干渉強度を予測して中間離散領域信号を算出する中間信号算出手段と、中間信号算出手段において算出された複数の中間離散領域信号を用いて離散領域信号を算出する離散領域信号算出手段とを備えたものであるとき、干渉信号が出力されていない離散波長帯域の離散領域信号を、線形関数として表現された実際に取得された干渉信号から取得することができるため、信頼度の高い離散領域信号を生成することができる。
【0022】
さらに、中間信号算出手段が、離散波長帯域に隣接する2つの干渉信号から生成された線形関数を用いて2つの中間離散領域信号を算出するものであり、離散領域信号算出手段が、2つの中間離散領域信号から離散領域信号を算出するものであるとき、効率的に信頼度の高い離散領域信号を生成することができる。
【0023】
また、離散領域信号算出手段が、複数の中間離散領域信号を波長に応じた重み付け平均して離散領域信号を算出するものであるとき、中間離散領域信号の各波長における信号値は、中間離散領域信号の生成の基になった干渉信号の波長帯域に近ければ近いほど信頼度が高いことを利用し、複数の中間離散領域信号のうち、信頼度の高い中間離散領域信号の重み付けを重くした平均値の算出することにより離散領域信号を算出することができ、信頼度の高い離散領域信号を生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の断層画像処理装置を用いて光断層画像化システムの実施の形態を詳細に説明する。図1は光断層画像化システムの好ましい実施の形態を示す模式図である。光断層画像化システム1は、たとえば体腔内の生体組織や細胞等の測定対象の断層画像をSS−OCT(Swept source OCT)計測により取得するものであって、光源ユニット10、光分割手段3a、3b、合波手段4a、4b、干渉光検出手段40a、40b、断層画像処理装置50を有している。
【0025】
光源ユニット10は、互いに離散した波長帯域Δλa、Δλbを有する複数の光束La、Lbを射出するものである。具体的には、光源ユニット10は波長帯域Δλa内において波長を一定の周期で掃引させながらレーザ光を射出する光源10aと、波長帯域Δλb内において波長を一定の周期で掃引させながらレーザ光を射出する光源10bを有している。したがって、各光源10a、10bは波長を1周期掃引させたときにそれぞれ波長帯域Δλa、Δλbからなる光束La、Lbを射出したことになる。
【0026】
光源10a、10bは、それぞれ利得媒質である半導体光増幅器(SOA:Semiconductor Optical Amplifier)11aと、FFP−TF(Fiber Fabry Perot−Tunable Filter)からなる波長選択手段12aと、半導体光増幅器11aおよび波長選択手段12aの両端に接続されてリング状の共振器を構成する光ファイバ13aとを備えている。
【0027】
半導体光増幅器11aは、駆動電流の注入により微弱な放出光を一端側に接続された光ファイバ13aに射出するとともに、他端側の光ファイバ13aから入射された光を増幅する機能を有している。半導体光増幅器11aは、例えば波長1000nm〜1100nmに発光帯域を持つInGaAs/AlGaAs素子で構成されている。この半導体光増幅器11aにより、リング状の共振器においてレーザ光が発振し、このレーザ光が光ファイバ13aに接続された分岐比10:90の光カプラ14aにより分岐され、光ファイバFB1aにより導波されて光束Laとして外部へ射出される。波長選択手段12aは、透過させる光の波長を変更可能なように構成されており、これにより、リング状の共振器内で発振するレーザ光の波長が選択可能となり、一定の周期で波長掃引することができる。
【0028】
ここで、図2(A)に示すように、光源10aは波長帯域Δλa内において一定周期で波長掃引された光束Laを射出し、光源10bは波長帯域Δλb内において一定周期で波長掃引された光束Lbを射出する。光束La、Lbは各波長帯域Δλa、Δλb内においてそれぞれ連続したスペクトルを有するものであり、波長帯域Δλaと波長帯域Δλbとは互いに離散波長帯域GRだけ離散している。また、各光源10a、10bは、図2(B)に示すようなスペクトル形状を有する各光束La、Lbを射出するようになっている。
【0029】
図1の光分割手段3a、3bは、例えば、分岐比90:10の2×2の光カプラから構成されている。光分割手段3aは、光束Laを測定光L1aと参照光L2aとに分割し、光分割手段3bは、光束Lbを測定光L1bと参照光L2bとに分割する。このとき、光分割手段3a、3bは、測定光:参照光=90:10の割合で分割する。
【0030】
光プローブ30は、光ロータリコネクタ31を介して入射された測定光L1a、L1bを測定対象Sまで導波し、測定対象Sの同一部位に同時に照射する。また、光プローブ30は、測定光L1a、L1bが測定対象Sに照射されたときの測定対象Sからの反射光L3a、L3bを導波する。光プローブ30は、図示しないモータにより、光ロータリコネクタ31から先のファイバ部が回転する構成となっており、それによりサンプル上において円周状に光束を走査する様になっており、これにより2次元断層画像が計測可能となっている。さらに、図示しないモータにより光プローブ30の先端が光路の走査円が形成する平面に対して垂直な方向に走査することにより、3次元断層画像の計測も可能となっている。また、光プローブ30は、図示しない光コネクタにより光ファイバFB5に対して着脱可能に取り付けられている。勿論、光プローブ先端形状や走査方向はこれに限る物ではなく、例えば、ファイバ先端に高速走査ミラーを配置して2次元走査を行うような構成でもよい。
【0031】
光分割手段3aと光プローブ30の間の光路、光分割手段3bと光プローブ30の間の光路には合分波手段5が設けられている。合分波手段5は、設定されたカットオフ波長に応じて光を合分波する機能を有し、たとえばWDM(Wavelength Division Multiplexing:波長分割多重)カプラにより構成される。WDMカプラは概ね−10dB以下のアイソレーションがあれば、完全に分離していると言える。
【0032】
合分波手段5は、光分割手段3a、3b側からそれぞれ入射された測定光L1a、L1bを合波して光プローブ30側に射出し、光プローブ30側から入射された反射光L3a、L3bの光を分波してそれぞれ合波手段4a、4b側へ射出する。
【0033】
反射光L3aは合波手段4aにおいて参照光L2aと合波され、反射光L3bは合波手段4bにおいて参照光L2bと合波される。なお、光分割手段3aから合波手段4aまでの参照光L2aの光路には透過型の光路長調整手段20aが設けられ、光分割手段3bから合波手段4bまでの参照光L2bの光路には透過型の光路長調整手段20bが設けられている。光路長調整手段20a、20bは、断層画像の取得を開始する位置を調整するために、それぞれ参照光L2a、L2bの光路長を変更するものである。
【0034】
合波手段4a、4bは、例えば、分岐比50:50の2×2の光ファイバカプラから構成されている。合波手段4aは反射光L3aと参照光L2aを合波して、このとき生じた干渉光L4aを干渉光検出手段40aへ射出する。合波手段4bは反射光L3bと参照光L2bを合波して、このとき生じた干渉光L4bを干渉光検出手段40bへ射出する。なお、ここでは、合波手段4a、4bはそれぞれ干渉光L4a、L4bを二分して干渉光検出手段40a、40bへ射出し、干渉光検出手段40a、40bでは二分された干渉光L4a、L4bをそれぞれ2つの光検出素子を用いてバランス検波するようにしている。この機構により、光強度ゆらぎの影響を抑え、より鮮明な画像を得ることができる。
【0035】
干渉光検出手段40a、40bは各干渉光L4a、L4bをそれぞれ光電変換し、各光束La、Lbの波長帯域Δλa、Δλbごとの複数の干渉信号ISa、ISbとして検出する機能を有している。ここでは、光源10a、10bの波長掃引のトリガと同期をとることで、対応する光束を認識するようにしてもよい。このとき、干渉光検出手段40a、40bにおいて、各光束毎La、Lbの干渉信号ISa、ISbが観測されることになる。干渉信号ISa、ISbは、断層画像処理装置50に出力される。
【0036】
ここで、図1を参照して光断層画像化システム1の動作例について説明する。光源10aから波長帯域Δλa内を一定の周期で波長掃引された光束Laが射出され、光ファイバFB1aにより導波されて光分割手段3aに入射する。光分割手段3aにおいて光束Laは測定光L1aと参照光L2aに光分割されて、測定光L1aは光ファイバFB2a側に射出され、参照光L2aは光ファイバFB3a側に射出される。測定光L1aは光ファイバFB2aにより導波されてサーキュレータ15aを経由した後、光ファイバFB4aにより導波されて合分波手段5に入射する。
【0037】
一方、光源10bからは、波長帯域Δλb内を一定の周期で波長掃引された光束Lbが射出され、光ファイバFB1bにより導波されて光分割手段3bに入射する。光分割手段3bにおいて光束Lbは測定光L1bと参照光L2bに光分割されて、測定光L1bは光ファイバFB2b側に射出され、参照光L2bは光ファイバFB3b側に射出される。測定光L1bは光ファイバFB2bにより導波されてサーキュレータ15bを経由した後、光ファイバFB4bにより導波されて合分波手段5に入射する。
【0038】
合分波手段5において、測定光L1aと測定光L1bは合波されて、光ファイバFB5により導波されて光ロータリコネクタ31を介して光プローブ30に入射し、光プローブ30により導波されて測定対象Sに照射される。そして、測定対象Sの各深さ位置zにおいて反射した反射光L3a、L3bがプローブ30に入射し、測定光と逆の経路を辿って合分波手段5に入射する。さらに、合分波手段5において反射光L3aと反射光L3bは分波されて、反射光L3aは光ファイバFB4a側に射出され、反射光L3bは光ファイバFB4b側に射出される。
【0039】
光ファイバFB4aにより導波された反射光L3aは、サーキュレータ15aを経由した後、光ファイバFB6aにより導波されて合波手段4aに入射する。一方、光分割手段3aにより分割された参照光L2aは、光ファイバFB3aの途中に設けられた光路長調整手段20aにより光路長を変更された後、合波手段4aに入射する。
【0040】
合波手段4aにおいて、反射光L3aと参照光L2aが合波され、この合波により生じた干渉光L4aは二分されて干渉光検出手段40aへ射出される。干渉光検出手段40aでは、干渉光L4aがバランス検波されるとともに光電変換されて、干渉信号ISaが生成され、断層画像処理装置50へ出力される。
【0041】
同様に、光ファイバFB4bにより導波された反射光L3bは、サーキュレータ15bを経由した後、光ファイバFB6bにより導波されて合波手段4bに入射する。一方、光分割手段3bにより分割された参照光L2bは、光ファイバFB3bの途中に設けられた光路長調整手段20bにより光路長を変更された後、合波手段4bに入射する。
【0042】
合波手段4bにおいて、反射光L3bと参照光L2bが合波され、この合波により生じた干渉光L4bは二分されて干渉光検出手段40bへ射出される。干渉光検出手段40bでは、干渉光L4bがバランス検波されるとともに光電変換されて、干渉信号ISbが生成され、断層画像処理装置50へ出力される。
【0043】
図3は本発明の断層画像処理装置の好ましい実施の形態を示すブロック図であり、図3を参照して断層画像処理装置50について説明する。なお、図3のような断層画像処理装置50の構成は、補助記憶装置に読み込まれた断層画像処理プログラムをコンピュータ(たとえばパーソナルコンピュータ等)上で実行することにより実現される。このとき、この断層画像処理プログラムは、CD−ROM等の情報記憶媒体に記憶され、もしくはインターネット等のネットワークを介して配布され、コンピュータにインストールされることになる。
【0044】
断層画像処理装置50は、干渉信号取得手段51、干渉信号分割手段52、離散領域信号生成手段53、信号合成手段54、断層情報取得手段55、断層画像生成手段56、画像出力手段57を有している。干渉信号取得手段51は干渉光検出手段40a、40bにおいて検出された各干渉信号ISa、ISbを1つの干渉信号ISとして取得するものである。上述のように、図2に示すような離散した波長帯域Δλa、Δλbの光束La、Lbを用いた場合、図4に示すように離散波長帯域GRにおいて干渉信号が発生せず干渉信号取得手段51においても干渉信号が取得されない。
【0045】
干渉信号分割手段52は、各光束La、Lb毎に干渉信号ISを分割して干渉信号ISa、ISbを生成するものである。ここで、干渉信号分割手段52は予め各光束La、Lbの波長帯域Δλa、Δλbの波長帯域情報を有しており、この波長帯域情報を用いて干渉信号ISを各光束La、Lb毎に分割する。よって、図4に示すような干渉信号ISが取得されたとき、図5に示すように、干渉信号分割手段52は干渉信号ISを光束Laの波長帯域Δλaである第1干渉信号ISaと、光束Lbの波長帯域Δλbである第2干渉信号ISbとに分割する。
【0046】
また、干渉信号分割手段52は、干渉信号ISを分割する際の前処理として各光束La、Lbのスペクトル形状の影響の除去を行う。具体的には、図6に示すように、各干渉信号ISa、ISbは干渉強度が光束La、Lbのスペクトル強度に依存した状態になっている。そこで、干渉信号分割手段52は、予め計測された光束La、Lbのスペクトル形状を用いて各干渉信号ISa、ISbからスペクトル強度を除算し、図7、図8に示すような干渉成分のみを抽出する。
【0047】
なお、干渉信号取得手段51が各干渉信号ISa、ISbを1つの干渉信号ISとして取得し、干渉信号分割手段52が各光束La、Lb毎の干渉信号ISa、ISbに分割する場合について例示しているが、干渉信号取得手段51が各干渉信号ISa、ISbをそれぞれ別々に取得した場合、干渉信号分割手段52は不要となる。また、上述した前処理は干渉信号分割手段52により行われる場合について例示しているが、干渉信号取得手段51により行われてもよい。
【0048】
図3の離散領域信号生成手段53は、複数の干渉信号ISa、ISbを用いて複数の光束La、Lb間の離散波長帯域GRにおける干渉信号を予測して離散領域信号GSを生成するものである。ここで、離散領域信号生成手段53は、図9に示すように、線形関数生成手段53a、中間信号算出手段53b、離散領域信号算出手段53cを有している。
【0049】
線形関数生成手段53aは、各干渉信号ISa、ISb毎に波長に対する干渉強度を線形モデル化した線形関数y(k)、y(m)を生成するものである。ここで、線形関数生成手段53aは線形予測法を用いて各干渉信号ISa、ISbを線形モデル化する。
【0050】
具体的には、干渉光検出手段40aが所定のサンプリングクロックで干渉光L4aをサンプリングした第1干渉信号ISaにおいて、所定のサンプリング点kの干渉強度y(k)が干渉強度y(k)に隣接する過去のp個分の干渉強度との間に線形一次結合が成り立つと仮定したとき、下記式(1)のような関係が成立する。
【数1】

【0051】
ここでa(k)は線形予測係数、e(k)は線形予測残差を示している。線形関数生成手段53aは、最大エントロピー法やYule−Walker法等を用いて線形予測係数a(k)を算出する。これにより、第1干渉信号ISaから線形予測係数a(k)とする線形関数ya(k)が生成されたことになる。
【0052】
同様に、干渉光検出手段40bが所定のサンプリングクロックで干渉光L4bをサンプリングした第2干渉信号ISbにおいて、サンプリング点mの干渉強度y(m)が干渉強度y(m)に隣接する過去のq個分の干渉強度との間に線形一次結合が成り立つと仮定したとき、下記式(2)のような関係が成立する。
【数2】

【0053】
ここで、b(m)は線形予測係数、e(m)は線形予測残差を示している。線形関数生成手段53aは、最大エントロピー法やYule−Walker法等を用いて線形予測係数b(m)を算出する。これにより、第2干渉信号ISbから線形予測係数b(m)とする線形関数y(m)が生成されたことになる。
【0054】
中間信号算出手段53bは、上記式(1)、(2)のような線形関数y(k)、y(m)を用いて複数の中間離散領域信号GSa、GSbを算出するものである。つまり、図10に示すように、中間信号算出手段53bは、上記式(1)を用いて離散波長帯域GR内において所定のピッチのサンプリング点nにおける干渉強度を予測し中間離散領域信号GSaとして算出する。同様に、中間信号算出手段53bは、上記式(2)を用いて離散波長帯域GR内において一定のサンプリング点nにおける干渉強度を中間離散領域信号GSbとして算出する。このように、中間信号算出手段53bにおいて、実際に検出された各干渉信号ISa、ISbから線形関数y(k)、y(m)を求め、この線形関数y(k)、y(m)を用いて離散波長帯域GRの離散領域信号GSを取得することにより、離散領域信号GSの信頼度を向上させることができる。
【0055】
離散領域信号算出手段53cは、中間信号算出手段53bにおいて生成された複数の中間離散領域信号GSa、GSbから離散領域信号GSを算出するものである。ここで、離散領域信号算出手段53cは、下記式(3)のような重み付け平均の式によって複数の中間離散領域信号GSa、GSbから離散領域信号GSを算出する。
【数3】

【0056】
なお、Lは離散した離散波長帯域GRの幅、nは離散波長帯域GR内におけるサンプリング点を示す。すると、図11に示すように、離散波長帯域GRの離散領域信号GSが算出される。ここで、中間離散領域信号GSa、GSbの各波長における信号値は、中間離散領域信号GSa、GSbの生成の基になった干渉信号ISa、ISbの波長帯域に近ければ近いほど信頼度が高くなる。よって、式(3)のように、複数の中間離散領域信号GSa、GSbのうち、信頼度の高い中間離散領域信号GSa、GSbの重み付けを重くした平均値の算出することにより(式(3)参照)、信頼度の高い離散領域信号GSを生成することができる。
【0057】
図3の信号合成手段54は、離散領域信号生成手段53により算出された離散領域信号GSと、各干渉信号ISa、ISbとを合成して合成干渉信号IS10を生成するものである。したがって、図11、12に示すように、合成干渉信号IS10は干渉信号ISa、ISb間の離散波長帯域GRに離散領域信号GSが補間されたものとなる。
【0058】
図3の断層情報取得手段55は、信号合成手段54において生成された合成干渉信号IS10を用いて、図13に示すような各深さ位置における断層情報r(z)を取得するものである。断層情報取得手段55は、たとえばフーリエ変換処理、最大エントロピー法(MEM)、Yule−Walker法等の公知のスペクトル解析技術を用いて、深さ方向zの断層情報(反射率)を取得していく。なお、断層情報取得手段55は、干渉光検出手段40において波長毎(時間経過毎)の干渉強度として取得された干渉信号ISを、波数k(=2π/λ)軸において等間隔になるように変換する機能を有している。この信号変換手法の詳細はUS5956355号明細書に開示されている。
【0059】
図3の断層画像生成手段56は、断層情報取得手段55により逐次取得された複数ライン分の断層情報r(z)から1枚の断層画像Pを生成するものである。具体的には、断層画像生成手段56は、光源ユニット10における波長掃引1周期分の合成干渉信号IS10から得られた断層情報r(z)を1ライン分の断層情報r(z)として記憶してゆく。さらに、光プローブ30により測定光L1a、L1bが測定対象Sに対し走査されながら照射されたときに、断層画像生成手段56は逐次取得される複数の断層情報r(z)を記憶していく。その後、断層画像生成手段56は、記憶していた複数ライン分の断層情報r(z)を用いて断層画像Pを生成する。そして、画像出力手段57は、断層画像生成手段56により生成された断層画像Pを図1の表示装置60に表示することになる。
【0060】
このように、波長帯域Δλa、Δλbが離散する光束La、Lbを用いてOCT計測した場合であっても、離散波長帯域GRの離散領域信号GSを予測し補間することにより、波長帯域ΔλaとΔλbとの間に干渉信号が存在しないことによる周波数解析ができない、もしくは周波数解析結果の劣化を防止し画質の劣化を防止することができる。
【0061】
つまり、従来のように複数の光源を用いて広帯域な分解能を実現しようとしたときに、各光源ユニット10から射出される光束La、Lbが互いに重複し、光が射出されない波長帯域が存在しないことが理想である。しかし、このような複数の光源にするには困難であり、光が射出されない離散波長帯域GRが存在してしまう場合があり(図2参照)、図14(A)のように離散波長帯域GRにおいて干渉信号は発生しない領域が存在する。この状態で干渉信号が後段の断層情報取得手段55において周波数解析されたとき、図14(B)に示すようにノイズ成分が多く含まれたものになってしまい、結果として分解能の低下および断層画像の画質劣化の原因になってしまう。
【0062】
一方、図3〜図13に示すように、離散波長帯域GRが存在する場合であっても、離散領域信号GSを予測し補間することにより、波長帯域Δλa〜Δλbにわたる広帯域な波長帯域の合成干渉信号IS10を用いて断層情報r(z)を取得することができるため、分解能の向上を図ることができるとともに、光源ユニット10の種類選択の自由度を向上させることができる。
【0063】
図15は本発明の断層画像処理方法の好ましい実施形態を示すフローチャートであり、図1から図15を参照して断層画像処理方法の一例について説明する。まず、干渉信号取得手段51において、干渉光検出手段40a、40bにより検出された各干渉信号ISa、ISbが1つの干渉信号ISとして取得される(ステップST1、図5参照)。次に、干渉信号分割手段52により、干渉信号ISが各光束La、Lbの波長帯域毎の干渉信号ISa、ISbに分割される(ステップST2、図6参照)。なお、干渉信号取得手段51において干渉信号ISa、ISbが既に分割された状態で取得されたとき、干渉信号ISの分割工程は不要となる。その後、離散領域信号生成手段53により、各光束La、Lbの間の離散波長帯域GRの離散領域信号GSが生成される(ステップST3、図6〜図9参照)。
【0064】
具体的には、線形関数生成手段53aにおいて、各干渉信号ISa、ISbがそれぞれ線形モデル化されることにより各干渉信号ISa、ISb毎に線形関数ya(k)、y(m)が生成される(ステップST3−1)。次に、中間信号算出手段53bにおいて上記式(1)、(2)で示される線形関数y(k)、y(m)を用いて複数の中間離散領域信号GSa、GSbが算出される(ステップST3−2)。そして、離散領域信号算出手段53cにおいて、上記式(3)を用いて複数の中間離散領域信号GSa、GSbを用いて離散領域信号GSが算出される(ステップST3−3)。
【0065】
次に、信号合成手段54において離散領域信号生成手段53により算出された離散領域信号GSと各干渉信号ISa、ISbとが合成され合成干渉信号IS10が生成される(ステップST4、図10、11参照)。その後、断層情報取得手段55において合成干渉信号IS10を周波数解析することにより、断層情報r(z)が取得される(ステップST5、図12参照)。そして、断層画像生成手段56により断層画像Pが複数の断層情報r(z)を用いて生成され(ステップST6)、画像出力手段57から表示装置60に断層画像Pが出力される(ステップST7)。
【0066】
上記実施の形態によれば、波長帯域Δλa、Δλbが離散した複数の光束La、Lbを射出し、射出した各光束La、Lbを測定光L1a、L1bと参照光L2a、L2bとに分割し、分割した測定光L1a、L1bが測定対象Sに照射されたときの測定対象Sからの反射光L3a、L3bと参照光L2a、L2bとを合波し、反射光L3a、L3bと参照光とが合波したときの干渉光L4a、L4bを干渉信号ISとして検出したとき、干渉信号ISを光束La、Lb毎に分割し複数の干渉信号ISa、ISbを生成し、生成した複数の干渉信号ISa、ISbを用いて複数の光束La、Lb間の離散波長帯域GRにおける干渉信号を離散領域信号GSとして算出し、算出した離散領域信号GSと各干渉信号ISa、ISbとを合成した合成干渉信号IS10を生成し、合成干渉信号IS10を用いて測定対象Sの断層情報r(z)を取得し、取得した断層情報r(z)を用いて断層画像Pを生成することにより、互いに波長帯域Δλa、Δλbが離散する光束La、Lbを用いてOCT計測した場合であっても、離散領域信号GSを干渉信号ISa、ISbに補間することにより、離散波長帯域GRに干渉信号が存在しないことによって周波数解析ができない、もしくは周波数解析結果の劣化を防止し画質の劣化を防止することができる。
【0067】
また、離散領域信号生成手段53が、干渉信号ISa、ISb毎に干渉信号ISa、ISbの波長に対する干渉強度を線形関数ya(k)、y(m)として生成する線形関数生成手段53aと、線形関数生成手段53aにより生成された線形関数ya(k)、y(m)を用いて予測し中間離散領域信号GSa、GSbを算出する中間信号算出手段53bと、中間信号算出手段53bにおいて算出された複数の中間離散領域信号GSa、GSbから離散領域信号GSを算出する離散領域信号算出手段53cとを備えたものであるとき、実際に検出された各干渉信号ISa、ISbから取得された線形関数ya(k)、y(m)から離散領域信号GSを算出することができるため、信頼度の高い離散領域信号GSを生成することができる。
【0068】
さらに、中間信号算出手段53bが、上記式(1)、(2)に示すような離散波長帯域に隣接する2つの干渉信号ISa、ISbから生成された線形関数ya(k)、y(m)を用いて2つの中間離散領域信号GSa、GSbを算出するものであり、離散領域信号算出手段53cが、2つの中間離散領域信号GSa、GSbから離散領域信号GSを算出するものであるとき、信頼度の高い離散領域信号GSを効率的に算出することができる。
【0069】
また、離散領域信号算出手段53cが、上記式(3)に示すような複数の中間離散領域信号GSa、GSbを波長に応じた重み付け平均して離散領域信号GSを算出するものであるとき、中間離散領域信号GSa、GSbの各波長における信号値は、中間離散領域信号GSa、GSbの生成の基になった干渉信号ISa、ISbの波長帯域に近ければ近いほど信頼度が高いことを利用し、複数の中間離散領域信号GSa、GSbのうち、信頼度の高い中間離散領域信号GSa、GSbの重み付けを重くして離散領域信号GSを取得することができ、離散領域信号GSの信頼度を高めることができる。
【0070】
本発明の実施の形態は、上記実施の形態に限定されない。たとえば、図1および図2において光源ユニット10は2つの光束La、Lbを射出する場合について例示しているが、たとえば特開2002−214125号公報のような構成にし、3つ以上複数の光束を射出するようにしてもよい。このとき、信号合成手段54は、上述のように離散波長帯域GRに隣接する2つの波長帯域から各離散波長帯域GRについて離散領域信号GSを算出するようにしてもよいし、1つの離散した波長帯域GRに対し3つ以上の干渉信号に基づいて離散領域信号GSを算出するようにしてもよい。
【0071】
さらに、図11の離散領域信号算出手段53cにおいて、中間離散領域信号の重み付け平均値により離散領域信号GSを算出する場合について例示しているが、最頻法(Mode)や中央値(メディアン)等を利用した公知の手法により、離散領域信号GSを算出するようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施の形態において図1の光断層画像化システム1をいわゆるSS−OCT計測に適用した場合について例示しているが、図16に示すようなSD−OCT計測を用いた光断層画像化システム200についても同様に適用することができる。なお、図16において図1の光断層画像化システム1と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0073】
図16において光源ユニット110は、離散した波長帯域Δλa、Δλb内において連続したスペクトルを有する光束La、Lbをそれぞれ射出する複数の光源110a、110bを備えている。光源110aはたとえば第1光源110aは波長領域Δλa=770〜810nmの波長帯域の光束Laを射出するAlGaAs系のSLD(スーパールミネセンスダイオード)からなっており、光源110bは波長領域Δλb = 1380〜1420nmのInGaAsP系のSLDからなっている。また、測定対象Sの各深さ位置から同時に反射する複数の反射光L3a、L3bを各波長帯域Δλa、Δλb毎に分離する反射光分離手段201を有し、反射光分離手段201により分離された反射光L3a、L3bと参照光L2a、L2bとを各光束毎に合波するために複数の合波手段4a、4bが設けられている。さらに、反射光L3aと参照光L2aとの干渉光L4aおよび反射光L3aと参照光L2aとのL4bをそれぞれ検出するために複数の干渉光検出手段140a、140bが設けられている。
【0074】
ここで、第1光源110aから射出した第1光束Laは、光ファイバFBaを介して光分割手段3aに入射し、光分割手段3aにおいて測定光L1aと参照光L2aとに分割される。そして、測定光L1aは光サーキュレータ11aから光ファイバFB200aを導波し光結合器201に入射される。なお、この光サーキュレータ11aにはたとえばBIG (Bi3Fe5O12)が用いられている。
【0075】
一方、第2光源110bから射出した第2光束Lbは光ファイバFBbを介して光分割手段3bに入射し、光分割手段3bにおいて測定光L1bと参照光L2bとに分割される。そして、測定光L1bは光サーキュレータ11bから光ファイバFB200aを導波し、光結合器201に入射される。なお、光サーキュレータ11bにはYIGが用いられている。
【0076】
光結合器(反射光分離手段)201はたとえばWDMカプラからなっており、2つの測定光L1a、L1bを合波し光ファイバFB4側へ射出するようになっている。そして、測定光L1a、L1bは光ファイバFB4および光プローブ30を介して測定対象Sに照射され、その反射光L3a、L3bが光プローブ30および光ファイバFB4を介して光結合器201に入射される。このとき、光結合器201は、第1光束Laの波長帯域λaの反射光L3aを光ファイバFB200a側に射出し、第2光束Lbの波長帯域λbの反射光L3bを光ファイバFB200b側に射出するようになっている。よって、光結合器201は、反射光L3aとL3bとを分離する反射光分離手段として機能することになる。
【0077】
そして、反射光L3aは、光ファイバFB200a、光サーキュレータ11a、光ファイバFB5aを導波し合波手段4aにおいて参照光L2aと合波される。その後、反射光L3aと参照光L2aとの干渉光L4aが光ファイバFB6aを介して干渉光検出手段140aに入射される。同様に、反射光L3bは、光ファイバFB200b、光サーキュレータ11b、光ファイバFB5bを導波し合波手段4bにおいて参照光L2bと合波される。その後、反射光L3bと参照光L2bとの干渉光L4bが光ファイバFB6bを介して干渉光検出手段140bに入射される。
【0078】
干渉光検出手段140a、140bは、それぞれコリメータレンズ141a、141b、分光素子(回折格子素子)142a、142b、光学レンズ143a、143b、光検出手段144a、144bを備えている。そして、干渉光L4a、L4bは分光素子142a、142bにより分光され、光検出手段144a、144bにより各波長毎に干渉信号ISa、ISbが検出される。
【0079】
この場合であっても、上述したように断層画像処理装置50において離散領域信号GSと各干渉信号ISa、ISbとを合成することにより、離散波長帯域GRに干渉信号が存在しないことによって周波数解析ができない、もしくは周波数解析結果の劣化を防止し画質の劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の断層画像処理装置が用いられる光断層画像化システムの一例を示す概略構成図
【図2】図3の光源ユニットから射出される光束の特性を示すグラフ
【図3】本発明の断層画像処理装置の好ましい実施形態を示すブロック図
【図4】図3の干渉信号取得手段において取得される干渉信号の一例を示すグラフ
【図5】図3の干渉信号分割手段において取得された複数の干渉信号の一例を示すグラフ
【図6】図3の干渉信号分割手段において取得された複数の干渉信号の一例を示すグラフ
【図7】図3の干渉信号分割手段において各干渉信号から干渉成分のみを抽出した干渉信号の一例を示すグラフ
【図8】図7の干渉信号における離散波長帯域近傍を示すグラフ
【図9】図3の離散領域信号算出手段の一例を示すブロック図
【図10】図9の中間信号算出手段において算出される中間離散領域信号の一例を示すグラフ
【図11】図9の離散領域信号算出手段により算出された離散領域信号の一例を示すグラフ
【図12】図9の離散領域信号算出手段により算出された離散領域信号の一例を示すグラフ
【図13】図3の断層情報取得手段において取得された断層情報の一例を示すグラフ
【図14】従来の離散波長帯域に干渉強度が存在しない干渉信号の一例およびこの干渉信号を周波数解析したときの断層情報の一例を示すグラフ
【図15】本発明の断層画像処理方法の好ましい実施形態を示すフローチャート
【図16】本発明の断層画像処理装置の別の実施形態を示す模式図
【図17】図16の光源ユニットから射出される光束の特性を示すグラフ
【符号の説明】
【0081】
1、200 光断層画像化システム
3a、3b 光分割手段
4a、4b 合波手段
10、110 光源ユニット
40a、40b、140a、140b 干渉光検出手段
50 断層画像処理装置
51 干渉信号取得手段
52 干渉信号分割手段
53 離散領域信号生成手段
53a 線形関数生成手段
53b 中間信号算出手段
53c 離散領域信号算出手段
54 信号合成手段
55 断層情報取得手段
56 断層画像生成手段
57 画像出力手段
60 表示装置
GR 離散波長帯域
GS 離散領域信号
GSa、GSb 中間離散領域信号
IS、ISa、ISb 干渉信号
IS10 合成干渉信号
L1a、L1b 測定光
L2a、L2b 参照光
L3a、L3b 反射光
L4a、L4b 干渉光
La、Lb 光束
P 断層画像
r(z) 断層情報
S 測定対象
a(k)、y(m) 線形関数
Δλa、Δλb 波長帯域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
離散した波長帯域からなる複数の光束を射出し、射出した各光束をそれぞれ測定光と参照光とに分割し、前記測定光が前記測定対象に照射されたときの該測定対象からの反射光と前記参照光とを前記各光束毎に合波し、前記反射光と前記参照光とが合波したときの前記光束毎の干渉光を干渉信号として検出し、検出した複数の前記干渉信号を用いて前記測定対象の断層情報を取得し断層画像を生成する断層画像処理方法であって、
前記複数の前記干渉信号に基づいて前記複数の光束の間に存在する離散波長帯域の干渉信号を予測して離散領域信号を生成し、
生成した前記離散領域信号と前記複数の干渉信号とを合成して合成干渉信号を生成し、
生成した前記合成干渉信号を用いて前記測定対象の断層情報を取得し、
取得した断層情報を用いて断層画像を生成する
ことを特徴とする断層画像処理方法。
【請求項2】
離散した波長帯域からなる複数の光束を射出し、射出した各光束を測定光と参照光とに分割し、分割した前記測定光が前記測定対象に照射されたときの該測定対象からの反射光と前記参照光とを前記各光束毎に合波し、前記反射光と前記参照光とが合波したときの前記光束毎の干渉光を干渉信号として検出し、検出した複数の前記干渉信号を用いて前記測定対象の断層情報を取得し断層画像を生成する断層画像処理装置であって、
前記複数の干渉信号に基づいて前記複数の光束の間に存在する離散波長帯域の干渉信号を予測して離散領域信号を生成する離散領域信号生成手段と、
該離散領域信号生成手段により生成された前記離散領域信号と前記複数の干渉信号とを合成した合成干渉信号を生成する信号合成手段と、
該信号合成手段において生成された前記合成干渉信号を用いて前記測定対象の断層情報を取得する断層情報取得手段と、
該断層情報取得手段において取得された断層情報を用いて断層画像を生成する画像生成手段と
を備えたことを特徴とする断層画像処理装置。
【請求項3】
前記離散領域信号生成手段が、
前記各干渉信号毎に波長に対する干渉強度を線形モデル化した線形関数を生成する線形関数生成手段と、
該線形関数生成手段により生成された複数の前記線形関数毎に、それぞれ前記離散波長帯域における干渉強度を予測して前記中間離散領域信号を算出する中間信号算出手段と、
該中間信号算出手段において算出された複数の前記中間離散領域信号を用いて前記離散領域信号を算出する離散領域信号算出手段と
を備えたものであることを特徴とする請求項2記載の断層画像処理装置。
【請求項4】
前記中間信号算出手段が前記離散波長帯域に隣接する2つの前記干渉信号から生成された前記線形関数を用いて2つの前記中間離散領域信号を算出するものであり、
前記離散領域信号算出手段が前記2つの中間離散領域信号から前記離散領域信号を算出するものであることを特徴とする請求項3記載の断層画像処理装置。
【請求項5】
前記離散領域信号算出手段が、前記複数の中間離散領域信号を波長に応じた重み付け平均して前記離散領域信号を算出するものであることを特徴とする請求項3または4記載の断層画像処理装置。
【請求項6】
離散した波長帯域からなる複数の光束を射出し、射出した各光束を測定光と参照光とに分割し、分割した前記測定光が前記測定対象に照射されたときの該測定対象からの反射光と前記参照光とを前記各光束毎に合波し、前記反射光と前記参照光とが合波したときの該各光束の干渉光をそれぞれ干渉信号として検出したとき、
コンピュータに、
複数の前記干渉信号から前記複数の光束の間に存在する離散波長帯域の干渉信号を予測して離散領域信号を生成し、
生成した前記離散領域信号と前記複数の干渉信号とを合成した合成干渉信号を生成し、
生成した前記合成干渉信号を用いて前記測定対象の断層情報を取得し、
取得した断層情報を用いて断層画像を生成する
ことを実行させるための断層画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−261768(P2008−261768A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−105555(P2007−105555)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【復代理人】
【識別番号】100134245
【弁理士】
【氏名又は名称】本澤 大樹
【Fターム(参考)】