説明

断熱センサ類

【課題】 所望位置に取付け易く、断熱パネル、真空断熱パネル、断熱容器等に取付けることができる断熱センサ類を提供することにある。
【解決手段】 断熱材の内部にセンサ類が内蔵され、その断熱材及びセンサ類が外被材で密封されたものである。断熱材及び外被材の内部を真空状態(完全真空及び略真空)にすることができる。内蔵するセンサ類には、温度センサ、湿度センサ、真空センサ、加速度センサ、それらセンサで感知したデータを記憶する記憶部、それらデータを外部と通信(送受信)する通信部、それらを駆動するためのバッテリ等とした。それらセンサ類は個別に内蔵することもできるが、全てを又はいずれか二以上を一つに纏めてユニット化することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は断熱センサ類に関し、断熱容器や断熱パネルに取り付けたり(貼り付けたり)して、断熱容器や断熱パネルの温度、湿度、真空度等を感知でき、感知したデータを記憶したり、そのデータを外部と送受信可能としたものである。
【背景技術】
【0002】
近年、断熱材として発泡スチロール、ガラス繊維、ロックウール、発泡ウレタンといった各種材質製のものがある。それら断熱材よりも断熱性能が高い真空断熱材もある。真空断熱材は断熱材(心材)の外周をガスバリア性のある外被材(フィルム、シート)で被覆して、心材及び外被材の内部を減圧して真空状態(真空度の高い状態)とすることで断熱性能を高めた断熱材である。
【0003】
断熱材や真空断熱材は、保冷容器、冷蔵庫、冷凍室等(以下これらをまとめて「断熱容器」という。)の壁材や、家屋の壁材等など、各種分野で利用されている。
【0004】
断熱材や真空断熱材を使用して断熱容器を作るには、複数枚の板状の断熱材や真空断熱材を箱状に組み立てるか、断熱材で箱型に成型する必要があった。しかし、前者は組み立て作業が面倒であり、後者の断熱容器は立体形状であり、サイズが定形であるため嵩張り、不使用時の収容、保管、運搬等に不便であった。
【0005】
従来は、折り曲げ可能な断熱パネル及びそれを用いた断熱箱もある(特許文献1)。この断熱パネルを使用すれば断熱容器の製作が容易であるが、断熱パネルが波状であるため壁面として使用することはできない。
【0006】
断熱容器内に食材や食品、化粧品や薬品、生体などの保冷を必要とする物品を収容して、自動車や列車等で搬送する場合、それら物品の鮮度や品質を保持するためには断熱空間内・外の温度管理が重要であることから、それら温度を遠隔地でも管理できるようにしたいという需要がある。しかしながら、従来は、断熱材や真空断熱材の断熱性能を高める技術について提案されることはあったが(特許文献2)、温度管理に対応できる断熱材の提案は見られなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−263186号公報
【特許文献2】特許第3885742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明者は、先に、真空断熱パネル内に温度センサ、湿度センサ、バッテリ等(センサ類)を内蔵したセンサ付き真空断熱パネルを開発し、特許登録された(特許第4641565号、現在未開)。それは、特に問題は無いが、センサ類を内蔵してから断熱材及びその外周を被覆した外被材内を真空引きするため、断熱材内へのセンサの位置決め(内蔵位置決め)が難しいという製造上の難点があった。
【0009】
本願発明は、前記位置決めの難点が無く、断熱パネル、真空断熱パネル、それら断熱パネルで製作された断熱容器、他の断熱材で成形された断熱容器等の所望箇所に取り付けて使用することができる、断熱構造のセンサ類を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明の断熱センサ類は、断熱材の内部にセンサ類が内蔵され、その断熱材及びセンサ類が外被材で密封されたものである。この場合、断熱材及び外被材の内部を真空状態(完全真空及び略真空状態)にすることができる。内蔵するセンサ類には温度センサ、湿度センサ、真空センサ、加速度センサ、それらセンサで感知したデータを記憶する記憶部(記憶素子:データロガー)、それらデータを外部と通信(送受信)する通信部、それらを駆動するためのバッテリ、通信に必要なアンテナ等がある。それらセンサ類は個別に内蔵することもできるが、全てを又はいずれか二以上を一つに纏めてユニット化して内蔵することもできる。前記バッテリは充電式とすることができる。バッテリは非接触の充電式(例えば、電磁波充電式)とすることもできる。外被材の全部又は一部を熱伝導材製にして、温度センサでの温度検知を容易且つ確実にすることができる。外被材の全部又は一部を電波透過材製にして通信部と外部との通信を確実にすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本願発明の断熱センサ類は次のような効果がある。
(1)温度センサ、真空センサ、加速度センサ、湿度センサ等の一又は二以上を備えているので、断熱パネルに取り付ければ断熱パネル内の温度、湿度、真空状態等を検知でき、断熱容器に取り付ければその内部の温度、湿度、輸送中の断熱容器の振動状況等を検知することができる。
(2)センサ類が断熱材に内蔵されているので損傷し難く、低温下や、結露が生ずるような高湿度環境下で使用してもバッテリが低温、湿度に曝されないためバッテリの劣化が進行しにくく、長期間使用可能となる。
(3)真空式の断熱センサ類の場合、その真空度(センサ類を内蔵した外被材の内部の真空度)を感知することもできる、真空式の断熱センサ類の品質(断熱度)の管理が可能となる。
(4)センサ類で検知したデータを記憶する記憶部を備えているので、各種センサでの検知データを記憶して、外部の管理システムでそのデータを読み取って、断熱パネル又はそれで製作された断熱容器内の温度、湿度等を把握して、断熱容器内の物品の品質管理を行うこともできる。
(5)通信部を備えているので、各種センサで検知したデータを外部に送信して、断熱パネル又はそれで製作された断熱容器内の温度、温度を把握して、断熱容器内の物品の品質管理を行うこともできる。この場合、通信部が無線通信式であれば移動中の断熱容器の遠隔管理や遠隔制御もできる。
(6)バッテリを充電式にし、断熱パネルに充電電源を接続可能な充電用接続具を設ければ、バッテリへの充電が容易になる。バッテリを非接触の充電式にすれば充電も容易になり、商用電源のない場所での充電も可能になり、電池切れの心配がない。
(7)センサ類がユニット化された場合は収容が容易になる。それらを個別に収容すれば断熱センサが薄型になる。
(8)外被材の全部又は一部を熱伝導材製とすれば、温度検知を容易且つ確実に行うことができる。外被材の全部又は一部を電波透過材製とすれば、通信部と外部との通信を確実に行うことができる。
(9)外被材に有線接続可能な接続具を設ければ、通信部と外部機器とで有線通信ができ、電波障害があるような場所でも通信が確実にできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)は本願発明の断熱センサ類の一例を示す断面図、(b)は外被材に断熱材を収容する過程の一例を示す説明図、(c)は本願発明の断熱センサ類の一例を示す製造過程の説明図、(d)は(c)の断熱センサ類の開口部をシールする過程の説明図である。
【図2】(a)は本願発明の断熱センサ類に使用されるセンサ類のユニットの一例を示す平面図、(b)はその正面図。
【図3】本願発明の断熱センサ類に使用されるセンサ類のユニットの一例を示す平面図。
【図4】本願発明の真空式の断熱パネルを真空にする場合の一例を示す説明図。
【図5】(a)は本願発明の断熱センサ類の一例であって、センサ類ユニットを断熱材の収容凹部内に配置した場合の部分断面図、(b)はセンサ類ユニットを断熱材の表面に配置した場合の部分断面図、(c)はセンサ類ユニットの回路基板を断熱材の表面に配置し検知素子等の部分を断熱材内に収容した場合の部分断面図。
【図6】(a)は本願発明の断熱センサ類の一例であって、ユニットの一部を断熱材の一面に配置し、温度センサを断熱材の他面に配置した場合の部分断面図、(b)はユニットの一部を断熱材内に収容し温度センサを断熱材の他面に配置した場合の部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施形態]
本願発明の断熱センサ類の一例を以下に説明する。図1(a)に示すものは、断熱材2の内部にセンサ類4が内蔵され、その断熱材2及びセンサ類4が外被材3で密封されたものである。図1(a)に示す断熱センサ類は、図1(b)に示す袋状(チューブ状)の外被材3内に、センサ類4が収容配置された断熱材2を収容してから、外被材3の開口部3aを熱シール等の手段で密封してある。センサ類4は断熱材2に形成した収納凹部11に収納してある。この断熱材2及び外被材3の内部は真空状態(完全真空及び略真空状態を含む)にすることができる。図1(a)に示す断熱センサ類は、断熱材2及び外被材3の内部を真空状態(完全真空及び略真空状態を含む)にして、真空式の断熱センサ類とすることができる。
【0014】
本発明の一例として図1(c)に示す断熱センサ類は、断熱材2が内装された断熱シート(パネル)20をU字状に曲げ、その断熱シート20内にセンサ類4が内蔵された断熱材2を挟み、その断熱シート20の先端側開口部21を断熱テープ22で密封し、その断熱シート20の側方側開口部23を図示されていない断熱テープで密封して、断熱シート20の外周を十字状に密封して断熱センサ類とするものである。この場合、前記断熱テープの内側に断熱材を宛がうこともできる。
【0015】
図1(c)の断熱シート20には、図1(a)のように、外被材3の内部に断熱材2を収容してから、外被材3の内部及び断熱材2内を真空状態にした真空断熱パネルとか、真空引きしない断熱パネルを使用することができる。図1(d)のように断熱テープ22で外周を密封した断熱シート20の内側を真空引きして、真空式の断熱センサ類とすることもできる。本願発明の断熱センサ類は他の方法で製造することもできる。
【0016】
(断熱材)
前記センサ類4を収容する断熱材2には、例えば、ガラスウール、セラミックファイバ、ロックウールなどの繊維素材、粉末シリカなどの粉体、有機又は無機の発泡体、紙(厚紙、積層紙)等を用いることができる。発泡スチロールやFRP等を使用することもできるが、真空式とする場合は、多くの空気を排出できる方が減圧され、高い真空状態にすることができるため、内部に多くの空隙や孔等(以下「空隙」という。)をもついわゆる多孔質のものが望ましい。スタイロホームも利用できるが、割れやすいという面があるので使用状況によっては注意を要する。ガラスウールは割れ難いという特性を有する。断熱材2の材質、形状、サイズ、厚さ等は用途に合わせて設計される。
【0017】
断熱材2に内蔵するセンサ類4には、温度センサ、湿度センサ、真空センサ、加速度センサ、それらを駆動するためのバッテリ、それらセンサで感知したデータを記憶する記憶部30(記憶素子:データロガー)、それらデータを外部と通信(送受信)する通信部28、通信に必要なアンテナ等がある。それらセンサ類4は個別に内蔵することもできるが、全てを又はいずれか二以上を一つに纏めてユニット化することもできる。
【0018】
(センサ類のユニット化)
センサ類4のユニット化の一例として図2に示すものは、温度センサ26、真空センサ27、それらセンサで検知された検知データを外部に無線通信又は有線通信可能な通信部28、通信用のアンテナ29、前記センサ類で検知されたデータを記憶可能なデータロガー(記憶素子)30を一枚の回路基板31の片面(表面)に搭載し、回路基板31の反対面(裏面)にバッテリホルダ32を設け、そのバッテリホルダ32にバッテリ25を装備してある。回路基板31にはガラスエポキシ製の硬質のものを使用することができる。センサ類4としては、前記センサの他に湿度センサ、加速度センサ、その必要な任意のセンサを設けることができる。回路基板31には樹脂フィルム製のフレキシブルなもの等を使用することができ、その場合は図3に示すように、フレキシブルな回路基板31の温度センサ26、通信用の回路を表示した通信部28を設け、それからアンテナ29を引き出し、裏面にバッテリ25を備えることができる。
【0019】
バッテリ25、温度センサ26等はユニット化せずに、断熱材2に複数の収容凹部11を設け、それら収容凹部11に個別に収容することもできる。このようにすると、真空式の断熱パネルを薄くすることができる。
【0020】
前記温度センサ26は断熱材2又は外被材3の内側の温度を、湿度センサは外被材3の内側の湿度を感知するものある。湿度センサで検知される湿度は、外被材3のガスバリア性が劣化或いは棄損して外部から外被材3の内側に侵入した湿気である。加速度センサは本願発明の断熱センサ類を貼り付けた断熱容器の振動を感知できるものであるため、断熱容器内に要保冷品を収容して搬送する際に、断熱容器内の要保冷品の振動状況を把握でき、要保冷品の品質管理に利用することができる。
【0021】
(バッテリ)
前記バッテリ25は、温度センサ26、真空センサ27、通信部28、記憶部30等を作動させるための電源である。バッテリ25にはリチウム電池とか他の長寿命の電池を使用することができる。電池は充電式のものでも非充電式のものでも使用可能である。充電式の場合は外被材3の外に充電用電源接続器(例えば、コンセント)を設けておき、それに電源を接続することにより充電することができる。近年は、非接触式の充電、例えば、電磁波を充電に利用する充電方法も研究され、実用化の目途が立っているので、非接触式で充電が可能な電池を使用することもできる。リチウム電池をはじめとして各種電池は、一般に、低温環境や高湿環境では劣化が進みやすく、極端に寿命が短くなることが知られているが、本願発明は断熱材2を外被材3で被覆してあるため、バッテリ25を断熱材2や外被材3の内部に設けることにより低温環境や高湿環境から隔離することができる。
【0022】
(外被材)
外被材3には、フィルム状、シート状、板状のものを使用することができる。外被材3の内側を真空状態に保持するためには、外被材3をガスバリア性に優れた材質にする必要がある。ガスバリア性に優れた材質としては、ステンレススチール、アルミニウム、鉄といった金属板、プラスチック(樹脂)、金属箔とプラスチックフィルムとをラミネートした複合材、プラスチックに金属を蒸着した複合材、金属シートと樹脂シートを貼り合わせた積層構造の複合材、樹脂繊維製或いは天然繊維製の織布や不織布等の布とガスバリア性のある樹脂製、金属箔製等のフィルムやシート等とを積層した複合材等がある。これら外被材3の材質、厚さ、形状、サイズ、複合構造等は使用目的に応じて設計することができる。
【0023】
外被材3はフィルム状又はシート状のものを単独で使用することもできるが、断熱材2の片面(下面)を板状の外被材3で被覆し、反対側面(上面)をシート状或いはフィルム状の外被材3で被覆するとか、断熱材2の両面(下面と上面)に板状の外被材3を配置し、上下の外被材3の外周部分をフィルム状或いはシート状の外被材3で被覆するといったように、フィルム状、シート状、板状のものを組み合わせて断熱材2を被覆することもできる。外被材3の材質、形状、サイズ、厚さ、強度等も断熱パネルの用途に合わせて設計する。外被材3は同じ或いは異なる材質、構造のもの(いずれもガスバリア性のあるもの)を二重にして断熱材2を被覆することもでき、二重被覆することにより、万が一いずれか一方の外被材3が損傷しても外被材3の内側の真空状態は確保される。
【0024】
アルミニウムをはじめとする金属製の外被材3は、ガスバリア性、熱伝導性に優れるという特性があるため、外被材3の内側に設けた温度センサ26で温度検知するのには適するが、シールド特性(電波遮蔽性)があるため、各種センサで検知した外被材3内のデータを、外被材3の内部に収容した通信部28により外部に送信するのには適さない。その場合は、通信部28の外側部分だけをガスバリア性はあるが電波シールド性のない材質(電波透過材)の外被材3で被覆するのが望ましい。
【0025】
外被材3には樹脂製のものを用いることもできる。樹脂はガスバリア性があるだけでなく、電波シールド性がないという特性があるため、金属とは逆に、通信面では適しているが、熱伝導性が低いため、外被材3内に設けた温度センサ26での周辺温度の計測には適さない。これら全ての特性を生かすべく、金属製と樹脂製の外被材3を組み合わせて使用することもできる。一例として、温度センサ26に近接する(温度センサを覆う)範囲には熱伝導性の高い金属、例えばアルミニウムを使用し、通信部27に近接する(通信部を覆う)範囲には電波シールド性のない樹脂を用いるのが望ましい。
【0026】
温度センサ26による温度検知、通信部28による通信を考えた場合、温度センサ26や通信部28付近に用いられる外被材3の素材の選択が重要になる。前記したように金属材は熱伝導性が高いという特性がある半面、電波を吸収しやすいという特性があり、樹脂は熱伝導性が低く、電波を透過しやすいという特性があるため、図5(a)〜(c)に示す断熱パネルの場合、アンテナ29が配置された部分は電波透過性の良好な樹脂を用い、温度センサ26が配置された部分は熱伝導性の高い金属材を用いるのが望ましい。
【0027】
外被材3の全体を熱伝導性の高い金属製とし、アンテナ29(図5)を覆う範囲だけを部分的に電波透過性の良好な樹脂材とすることもできる。或いは、全体を樹脂材とし、温度センサ26を覆う範囲だけを部分的に金属材とすることもできる。
【0028】
断熱材2へのセンサ類4の収容方法は各種考えられるが、一例としては、断熱材2に収容凹部11を設け、その収容凹部11内にセンサ類4を収容して接着剤で固定したり、収容凹部11の開口部をテープ等(図示しない)で封止したりして、センサ類4が収容凹部11から脱落しないようにすることができる。
【0029】
センサ類4が収容された収容凹部11内の空間は外被材3を被せる前に熱伝導性の高い充填剤で注入しておくことも、そのまま空隙として残しておくこともできる。バッテリ25は断熱材2の肉厚方向略中心部に配置して、外部の低温・高湿度環境の影響を受けにくくするのがよい。
【0030】
断熱材2へのセンサ類4の配置位置、配置構造は種々考えられる。その主な例を図5(a)〜(c)、図6(a)(b)に示す。
【0031】
図5(a)は、センサ類4を断熱材2に設けた収容凹部11内に収容し、断熱材2の外周を外被材3で被覆した場合である。この場合、断熱材2の表面側に、センサ類4の回路基板31を上にして配置して、バッテリ25、真空センサ27、通信部28、記憶部30を収容凹部11内に収容してそれらを破損しにくくし、温度センサ26を断熱パネル2の表面に出して温度センサ26で外部温度を検知し易くしてある。
【0032】
図5(b)は、センサ類4を断熱材2の上に配置し、断熱材2をセンサ類4の外から外被材3で被覆してある。
【0033】
図5(c)は、断熱材2の上に回路基板31を上にして配置して、真空センサ27、通信部28、記憶部30、バッテリ25を断熱材2の収容凹部11内に収容して、それらを衝撃等から保護できるようにしてある。
【0034】
図6(a)は、センサ類4の回路基板31を断熱材2の上面(表面)に配置し、その回路基板31を断熱材2に設けたガイド孔やガイド溝の中を通して断熱材2の肉厚方向反対側(下面:裏面)に導出し、その導出部33に取付けてある温度センサ26を断熱材2の裏面側に配置したものである。
【0035】
図6(b)は、センサ類4の回路基板31を断熱材2の上面(表面)に配置し、センサ類4の真空センサ27、通信部28、記憶部30、バッテリ25を断熱材2の収容凹部11内に収容し、回路基板31を断熱材2に設けたガイド孔やガイド溝の中を通して断熱材2の肉厚方向反対側(下面:裏面)に導出し、その導出部33に取付けてある温度センサ26を断熱材2の裏面側に配置したものである。
【0036】
(真空式の断熱センサ)
断熱材2の外側を外被材3で被覆した本願発明の断熱センサは、心材及び外被材3の内側を真空にして真空式断熱センサとすることができる。この場合は、外被材3の内側を真空ポンプP(図4)で減圧して所定の真空度(基準圧力)Paの真空状態にしてから、真空ポンプPを外被材3から取外し、その取外しあとの開口部をシール(密閉)することで、断熱材2(心材)及び外被材3の内側を所定圧の真空度に保持することができる。真空ポンプPを取外したあとの開口部の密閉は接着剤での密封、熱溶着といった各種手段で行うことができる。例えば、外被材3がアルミニウムをはじめとする金属製の板、フィルム、シート等の場合は熱シールが難しいため、それらに熱シールし易いPET素材を組み合わせた(貼り合わせ、蒸着等したもの)を用いることができる。
【0037】
断熱材2には、内部に多くの空隙があり、吸引機による抜気等により空隙内の空気を排出することができるものもある。このような断熱材2は外被材3の内部を真空装置で減圧して真空状態にすることにより断熱材の内部も減圧される。断熱材2が湿気を帯びているとその後の真空状態が保持され難いので、外被材3の内側を真空にするには、抜気作業(減圧作業)は乾燥空気を送りながら行うなど乾燥環境下で実施するのが望ましい。
【0038】
(真空センサ)
外被材3の内側を真空状態にした断熱センサの場合、その真空状態を維持するためには真空状態を真空センサ27で検知する必要がある。真空センサ27にはピラニ真空計、隔膜真空計、静電容量型真空センサ、マイクロメカニカル真空センサ等々各種のものがある。本願発明の断熱センサで使用できる真空センサ27は外被材3の内側の真空状態を検知できるものであれば各種真空センサを使用可能である。真空センサ27は断熱材2又は外被材3の内側に収容するためにはできるだけ小型、薄型のものが望ましい。真空状態は減圧状態を意味するので、真空センサ27には例えば圧力センサを使用することができる。
【0039】
図4では、電源Bからの供給電源で真空センサ27を作動させ、真空センサ27で外被材3の内側の圧力を検知し、検知した電流(電圧)を増幅器Aで増幅し、増幅器Aの出力電圧を、比較器Cにおいて本願発明の断熱パネルが必要とする適正な真空状態(外被材3内の適正圧力:基準圧力)Paと比較することにより、外被材3の内側が適正な真空状態に維持されているか否かを判別することができる。図4では検知した圧力をデジタルメータMに表示して、外被材3の内部の真空状態を確認できるようにしてある。比較器Cの出力が前記基準圧力Paよりも高い場合は、リレーRにより真空ポンプPの電磁弁を開いて、真空ポンプPで外被材3内を減圧することもできる。真空センサ27は全部を外被材3内に設けてもよいが、部分的に外被材3の外部に突出させて取付けてもよい。いずれの場合も外被材3内の真空状態が損なわれないように取付ける。
【0040】
図4の真空センサ27で検知した真空データは外被材3の内側に設けた通信部28(図2)から、例えば外部の管理センタや他の設備に無線送信し、管理センタや他の設備でデータ処理して真空状態の異常を確認し、管理することもできる。前記通信は有線で行うこともできる。無線式の場合は通信部28にアンテナ29を内蔵或いは外付けすることができる。有線式の場合は外被材3の外に外部機器と電気的に接続可能なコネクタとか他の接続機器(接続具)を設けておき、それに接続された外部機器との間で有線通信することができる。
【0041】
本願発明では、真空センサ27で検知した真空データ(例えば、圧力データ)を、外被材3の内側に設けた記憶部(データロが−)30(図2)に記憶させておき、記憶されたデータを例えば外部の管理センタやその他の箇所で処理して真空状態の異常を確認して真空状態を管理することもできる。
【0042】
(断熱センサ類の取付け)
本願発明の断熱センサ類は、断熱パネルの外被材3の外側に貼り付けるとか、断熱パネルの外被材3の内側に収容して使用することもできる。断熱容器の内面に貼り付けて使用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本願発明の断熱センサは、断熱パネルや断熱容器以外の箇所、例えば、冷蔵庫、冷蔵室、冷凍庫、冷凍室、保冷車や配送車、その他、任意の必要箇所に取付けて使用することができる。
【符号の説明】
【0044】
2 断熱材
3 外被材
3a 開口部
4 センサ類
11 収容凹部
20 断熱シート(パネル)
21 (断熱シートの)先端側開口部
22 断熱テープ
23 (断熱シートの)側方側開口部
25 バッテリ
26 温度センサ
27 真空センサ
28 通信部
29 アンテナ
30 記憶部(データロガー)
31 回路基板
32 バッテリホルダ
33 導出部
P 真空ポンプ
Pa 真空度
A 増幅器
B 電源
C 比較器
M デジタルメータ
R リレー
P 真空ポンプ
Pa 基準圧力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱材の内部にセンサ類が内蔵され、その断熱材及びセンサ類が外被材で密封されたことを特徴とする断熱センサ類。
【請求項2】
請求項1記載の断熱センサ類において、断熱材及び外被材の内部が真空状態であることを特徴とする断熱センサ類。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の断熱センサ類において、断熱材の内部に内蔵されるセンサ類が、温度センサ、湿度センサ、真空センサ、加速度センサ、それらセンサで感知したデータを記憶する記憶部、それらデータを外部と通信(送受信)する通信部のいずれか一又は二以上と、それらの駆動に必要なバッテリを備えたことを特徴とする断熱センサ類。
【請求項4】
請求項3記載の断熱センサ類において、センサ類がユニット化されて、又は個別に、断熱材に内蔵されたことを特徴とする断熱センサ類。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の断熱センサ類において、外被材の全部又は一部が熱伝導材製であることを特徴とする断熱センサ類。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の断熱センサ類において、外被材の全部又は一部が電波透過材製であることを特徴とする断熱センサ類。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−180904(P2012−180904A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44544(P2011−44544)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000155045)株式会社本宏製作所 (41)
【Fターム(参考)】